![]() 2009.11.15 Sunday
時代
![]() 先日、中島みゆきは2009年秋の「紫綬褒章」を受賞した。 本人は「棚から牡丹餅という言葉がありますが、それどころじゃなくて、棚から本マグロという気分です。これを励みにこれからも頑張ります」と語った。年をとるとファンキーなコメントも出せるようになったようだ。^^ 彼女が世に出たのは、第10回ヤマハ・ポピュラーソング・コンテストだった。1975年の秋の大会で北海道から出てきて「時代」を歌いグランプリに輝いた。そして川上源一にかわいがられ、スターダムにのし上がっていった。 この時の優秀曲賞は2曲あり、その内の1曲が因幡 晃の「わかって下さい」で、これもすぐに世に出ることになった。 そして入賞は9曲、その中に「目をそらさないで」田島 裕子(大阪)、「朝」庄野真代(大阪)がいた。庄野真代は78年に「飛んでイスタンブール」でヒットを出したが、まだ学生だった田島 裕子がデビューするのには・・・ずいぶん時間がかかった。
▼1975年2月-----------
まだ右足が本復していない浜田を乗せてクルマで学校へ行った。正面入り口に続く道路の端々に茶色い雪が残っていた。入り口を入ったすぐの駐車スペースにサニーを停めて、とりあえず掲示板前に行った。 男 「おっ久しぶりじゃないかムトー元気にしてたのかよ!」 オレ 「あーなんとかな!^^」 そこここで同じ学科の連中から声がかかった。同じように浜田も芸計の連中と何か話しあっていた。そしていつものカフェに入ると、斉藤はすでに待っていた。 オレ 「寒いな!」 斉藤 「あったかいクルマの中から出るとそりゃー寒いだろう」 浜田 「オレが居たからなんだ」 斉藤 「おーーーそうだった。スマンスマン」 オレ 「お前ちょっと会わない間にセーカク悪くなったんじゃないか?(笑)」 斉藤 「そりゃーしとりぼっちじゃ悪くもなるさ(笑)」 浜田 「お前は真面目に学校来ているようだけど・・・女でも出来たのか?(笑)」 斉藤 「アホっ!そんなんじゃねーよ」 オレ 「ところで・・・」 斉藤 「あっ紹介するよ!デザイン学科の・・・」 男 「デザイン学科の土居です。」 入った時から斉藤の隣に居ながら、斉藤がなかなか紹介しようとしなかった。どうもあまり深い関係ではないらしいことはわかったが・・・ 土居 「ちょっとムトー君と話がしたくて」 オレ 「はぁ〜オレと?話しですか?」 土居 「ムトー君は確か・・・A工業高校出身でしたよね?」 オレ 「・・・ちょっとあっちで話す?」 土居 「はい」 親しい友人以外は知るはずのない出身高校を確認された。どうも込み入った話になりそうだったので、ちょっと離れたテーブルに移動した。土居はごく普通のタイプに見えたし、日本一のワルの高校と関わりあうようなヤツには思えなかったのだが・・・ 土居 「田島裕子って覚えてます?」 オレ 「・・・その子が何か?」 土居 「連絡とりたがってます」 オレ 「それで?」 土居 「それだけです」 オレ 「あんたは?」 土居 「彼女の・・・ただの友人です」 土居は電話番号を書いたメモを残して、最後に「必ず電話してくださいね」といって出て行った。いぶかる斉藤の思いを無視して、これからの事を話し合った。オレと浜田は後期の試験を受けていないので、留年は確実だが4月からはまた復帰する約束をした。そして春先からは大阪市内に拠点を設ける事も約束した。ちょっとアテがあったもんだから安請け合いをしてしまったが・・・結果はまったく別の理由でそうなることになった。 田島裕子に電話した。 電話は用件を伝えるための通信手段だ。意味もなくだらだらと長話をするのは嫌いな方だったし、そういう電話は苦手だった。結果、「会う」ことになった。 大阪、心斎橋通りの「half」約束の30分以上前に着いてしまい、向かいの本屋で時間をつぶした。誰とでも待ち合わせとはそんなもんで、今回が特別なことではなかった。そして約束の5分前に入った。どうやら彼女も今来たところだった。 オレ 「よう^^」 田島 「わざわざごめんね^^」 オレ 「いや、帰り道だから」 田島 「学校から?」 オレ 「ん、まー」 2年ぶりに会う彼女は、ショートヘアーで以前とほとんど変っていなかった。ウエイトレスが去るまでの沈黙がどことなく居心地の悪さを強調しているようで、ちょっと後悔しはじめた。 田島 「大学でもバンドやってるんでしょ?」 オレ 「今は開店休業状態さ。君は?」 田島 「今年からちょっと頑張ってみようかと思ってる。」 オレ 「音大だっけ?」 田島 「ううん。上の学校へそのままあがったの」 オレ 「そう。オレが芸大に居ることは誰から?」 田島 「SS君から聞いて前から知ってたし、ユーイチ君やっぱり芸大でも有名人みたいだし(笑)」 オレ 「ははは・・・」 しまった。と思った。できるだけ相手の話題に入り、こちらの中に入れないのが鉄則なのに、余計な事を聞いてしまった。SSの名前が出たことで、またあの時の話題になるかも知れないと思った。 オレ 「歌の方はやっぱりオリジナルばかり?」 田島 「うん。つたない詩だけどつくってる」 オレ 「楽譜読むのに四苦八苦している身としては羨ましいなー^^」 田島 「でもバンドの方が楽しそう^^」 オレ 「楽しくもあるが、苦労も多いよ(笑)君は?ピアノかギターで?」 田嶋 「うん。ピアノがない時はギターで弾き語りみたいにやってる」 オレ 「そう^^」 オレは運ばれてきた珈琲にミルクだけを少量入れた。そしてラークに火をつけた。 田島 「今度、ヤマハのポプコンに出ようと思ってるの」 オレ 「そっか、コンテストに出てプロを目指すのか?」 田島 「うん。夢だから(笑)ユーイチ君は?」 オレ 「暫くバンドをやる(笑)」 田嶋 「私はユーヤ君よりあなたのボーカルの方がいいと思う」 オレ 「・・・」 田嶋 「あっごめん・・・」 オレ 「いや、いいさ」 昔の話にできるだけ戻らないように気をつけた。主に高校時代の彼女の友人の話や音楽の事だけに集中した。そしてバイトを理由に1時間ほどで切り上げた。 田島 「また、手紙書くね^^」 オレ 「おう^^じゃーまたなっ!」 ---------------------- それから次に彼女を見たのは・・・5年後だった。 TVの中で歌っている彼女は、クレジットが出ていなければわからなかった。ひねくれ者のオレが、何故かこの時は素直に喜べた。^^そして、可能な限り長く歌い続けて欲しいと願った。 と、ここで終わればハッピーエンドなのだが・・・ 現実の奇なるところで、それから2年後、邂逅することになる。 だけど・・・やっぱりそれは書けない。f^^;) 風の噂で、彼女は一児の母となり今でも音楽活動を続けているらしい。 Nest Story>>>>> <<<<<Back Story -------------------------- えっ! 土居はその後どうなったのか?って たぶん、おそらく、田嶋とふたりでハッピーにやってるさ。^^ 「時代」今になって聞くといい歌だと思う。(笑) 田島裕子の詳細はこちら「あざやかに生きて」 ━…━…━…━…━…━…━ My History Index ━…━…━…━…━…━…━ ![]() |