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ジャニスと言えば


ジャニス・イアン-------------
1976年のアルバム『愛の余韻』はシングル「恋は盲目」が、TBSドラマ『グッドバイ・ママ』に使われて大ヒットしたこともあって、日本の洋楽アルバムチャートで半年間に渡って首位を記録した。

さらに翌年1977年のアルバム『奇跡の街』に収録されたシングル曲「Will You Dance?」が、TBSドラマ『岸辺のアルバム』の主題歌に使われた。家庭崩壊を描いたシリアスドラマに彼女の優しい歌がよくマッチし、アルバムは日本だけで100万枚を超えるセールスを記録した。

1978年には来日し、日本独自規格で2枚組ライブアルバムが作られた。
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これ以前には、ジャニスといえば・・・ジャニス・ジョプリンで、曲はやっぱり「MOVE OVER」その当時のバンドの入門曲だったんじゃないでしょうか?
▼1976年1月-----------------

年末年始の喧騒が終わり、店もいくぶんヒマになった。もっともこれまでが異常な忙しさだったと思うと、これが普通なのかも知れない。時間的な余裕もできたので、そろそろ他店の様子などを見たり積極的に外に出ることになっていた。

学校のクラブの連中も帰省からほとんどが戻っていて、いよいよ今週の日曜から「合同練習」が始まる。

火曜日23時・・・

キャッシャーの内線がコール音を立てた。竹内が受話器をとり言葉を交わすと

竹内
「松井さんからです」

オレ
「ムトーです・・・わかった。降りる。」

ネクタイを締め直し、上着の両襟りを持ち上げ強く押し下げた。戦闘開始の緊張感を伴いながら、ゆっくりと階下へ向かった。中2階、すでにこの時間ここには客はいない。そして松井が待っていた。

松井
「さっきの客が無理なオーダーを・・・断ると責任者を呼んでくれと」

オレ
「断ったのはチーフ(関川)の指示か?」

松井
「はい」

もう1段降りて、そのまま一番奥まったボックス席に向かった。

オレ
「いらっしゃいませ!マネージャーのムトーです。何か問題がありましたでしょうか?」

女1
「問題?そうね。おいしいお酒が飲みたいんだけど「ない」って言われたの」

オレ
「わかりました。買って、いえ、ご用意させていただきます」

女1
「あなたが本当に責任者なの?」

オレ
「はい」

女1
「ずいぶん若いのね(笑)」

オレ
「はい」

女1
「美味しいシャンパンが飲みたいの」

女2
「私はブランデー」

オレ
「以上でよろしいですか?」

女3
「急いでね」

オレはゆっくりと上に上がり、上がると急いでキャッシャーへ

オレ
「10万、いや20万出してくれ」

竹内
「えっ!はい。」


Cassina ixc. Design store


奪うように金を受け取り店を出た。商店街を走り道頓堀を渡る。クレージーホースの向かい側のビルの6階。息を整え、会員制と書かれたプレートのついたドアを開けた。

タキシード男
「申し訳ございません。当店は会員制となっており、また、本日はすでに閉店時間となっております」

オレ
「実はママに用があって」


「失礼ですが・・・」

オレ
「ムトウと申します」
オレはシャツのポケットから自分の名刺を差し出した。


「暫くお待ちくださいませ」

入り口を入ったところのアプローチからは店内の様子はまったくわからなかった。


「ママはただいま接客中でして・・・私が」

相手が全部喋り終える前に、酒を分けて欲しいことを伝えると、和服姿のママが現れた。

ママ
「もしかしてご同業かしら?」

オレ
「はい。いえ、千日前のディスコ「ミルク・ホール」のムトーと申します。急なお願いですみません。」

ママ
「滝田さんご用意してあげて」

最初に応対に出た男にブランデーとシャンパンが必要な事を言ったが、逆に銘柄を問われても応えられず、「美味しいのを!」とだけ伝えると、困った顔をしながらも奥に消えた。

ママ
「ところでどうしてここへ」

オレ
「向かいの「ミルバ」からよく見かけたもんですから」

ママ
「あら、それだけ?」

オレ
「はい」

男が用意した店オリジナルの紙袋には、シャンパン2本とブランデー1本が入っていた。

オレ
「おいくらでしょうか」

男はちらっとママのほうを見た。

ママ
「原価で」


「大体ですが、40万ぐらいです」

オレ
「・・・ここに20万あります。それと・・・」

オレは自分の財布を出しかけると

ママ
「今日はもう閉店だから明日で結構よ」

オレ
「えっいいんですか?」

ママ
「できたら夕方に」

オレ
「すみません。ありがとうございました」

大きく頭を下げ店を出た。そしてまた走った。

フロントの松井に袋を渡し、ブランデーとシャンパンの用意を指示している間に息を整え、水を1杯飲み、DJブースへスロータイムの指示を出すように言った。

オレ
「遅くなりました」

女1
「あなたが買いに行ってたの?」

オレ
「・・・はい」

女1
「ありがとう」

シャンパンはいい音でうまくあいた。それぞれのシャンパングラスにちょっと緊張しながら注いた。

女1
「あなたもどうぞ」

オレ
「・・・はい」

後ろにいる松井がグラスを持ってきた。女3がシャンパンを注いだ。

女1
「誕生日なの、カンパイしてくれる」

オレ
「はい。では・・・『今日の良き日を神に感謝』」

彼女らは一拍おいて一斉に笑い出した。

女2
「何ソレ(笑)」

女1
「でも良かったわ。もう1度お願い」

オレはもう1度繰り返し、今度はちゃんと全員カンパイをした。

オレ
「ごちそうさまでした。どうぞごゆっくりお過ごし下さい」

立ち上がりフロントへ向かった。

オレ
「すまん。もう20万出してくれ」

竹内
「わかりました。」

こういう時に竹内は無駄口をたたかない。フロントには前田も居たが、彼も見ているだけで、口を挟まなかった。かなり高額な酒を買ってきたコトを心配するような視線だった。

金を受け取ると表に出てラークを口にした。今から走って残金を持っていこうか?とも思ったが、まだ一番重要な始末が残っている。吸い終わると店に戻った。

フロントには松井も居た。誰もが緊張感を持って関心を寄せているのがわかる。一体いくらの伝票を切るのか?ほんとに回収できるのか?チーフの関川も上がってきたいはずだが、動けない状況なのはわかっているようだった。

オレ
「大丈夫だ。下にいてくれ」

彼らは黙って下へ降りていった。

オレ
「オレのバンス(前借)扱いで出金伝票きっておいてくれる」

竹内
「はい」

オレ
「竹内、次の休みに映画に行かないか?」

竹内
「映画だけですか?」

オレ
「もちろん食事も^^」

竹内
「ほんとですか?」

オレ
「約束だ」

竹内が何かを言おうとした時に、内線がコールされた。

竹内
「先ほどのお客様が帰られるそうです」

オレはうなづいて、クロークに目線を動かした。女性3名の毛皮のコートが用意される。ひとつひとつを広げとりやすくするクロークの動作をみていた。

暫くすると松井が先導し、その後に3人が続いていた。

オレ
「もうお帰りですか?」


「十分楽しんだわ。おいくらかしら?」

シャンパン1本とブランデー1本・・・

オレ
「・・・40万円になります」

女1
「じゃーこれで」

女はバックから帯封のついた札束を取り出し、オレに渡した。

オレ
「帯をきっていいですか?」

女1
「切らなくていいわ。残りはあなたのチップよ」

オレ
「・・・受け取れません」

女1
「私の誕生日なのよ」

オレ
「・・・」

女1
「その代わり珈琲ごちそうして」

オレ
「わかりました」

すでに女2人は松井がアシストしてコートをつけていた。オレは松井にクルマを呼んでくるように指示し、女1にコートを着せた。なんの香りか知らなかったが、ちょっと凶暴になりそうないい匂いだった。

オレはタクシーの前座席にのり、運転手に千日前を半周してもらいアーケードの入り口で止めてもらった。女1だけが降り、タクシーはそのまままた走り始めた。

ケニアは目の前だった。

女1
「昨日来たの知ってる?」

オレ
「はい」

女1
「笑ったでしょ?」

オレ
「いえ」

女1
「ウソ」

オレ
「男性の方は変なお客さんだとは思いました」

濃い珈琲が運ばれてきた。ここの珈琲なら問題ないはずだ。

女1
「あの人たちホストなの」

オレ
「そんなフインキでした」

女1
「アレで彼らは自分でカッコイイと本気で思ってるのよ!」

オレ
「それぞれの個性ですから」

女1
「ふーん。さっきと違うのね」

オレ
「えっ?」

女1
「さっきあなた正直だったわ」

オレ
「そーですか?」

女1
「それにプロっぽく振舞ってるけど、全然プロじゃないわ」

オレ
「ははは」

女1
「名刺もらえる?」

酒を買いに行った時に、名刺を用意していたのでシャツの胸ポケットからすぐに取り出せた。

女1
「送ってくれる?」

オレ
「はい」

そこでも彼女がコートを着るのを手伝い、伝票を持って先に出ようとしたら、

女1
「隣に居て」

オレ
「?」

咄嗟に理解できないまま、女の横にいて一緒に歩き、タクシーを待った。いつの間にか女の手はオレの腕にからんだ。タクシーに乗り、彼女は行き先を伝え、それ以上は何も話さなかった。

タクシーを待たせたまま一緒に降りて、小さなマンションの前の入り口に立った。

女1
「ここでいいわ。ありがとう」

オレ
「はい」

女1
「またお邪魔するわね。」

オレ
「はい。失礼します。」





25時・・・


オレ
「何人いた?」

松井
「3人・・・じゃなかったですか?^^」

オレ
「9人いや10人か」

松井
「?スタッフですか?」

独り言のように納得しながら、松井の答えがろくに耳に入らなかった。キャッシャーに入り、さっきの出金伝票を破り、女1から受け取った100万から40万を戻した。あらたに会計伝票をつくり売り上げ10万を計上した。竹内に30万を渡し、10袋に分けるように指示した。

オレ
「あと何組?」

松井
「客は7組残ってます」

オレ
「じゃーラストオーダーをとって2時にクローズしよう」

松井
「わかりました」

松井が下に降りて行くのと同時に関川が上がってきた。
オレは指で外を示し、店を出たすぐ横でラークを関川に勧め火をつけた。

関川
「シャンパンはドンペリのベル・エポック、ブランデーはナポレオンの・・・オレはまだ一度も口にしたことはない。」

オレ
「シャンパンの味、覚えてねーよ」

関川
「やっぱりあんた気に入られたな」

オレ
「いや、からかい半分だ。プロっぽく振舞ってるだけだと言われた」

関川
「なるほど」

オレ
「えっ?」

関川
「オレもそう思う。(笑)」


午前2時・・・

ホールに全員集め、簡単に終礼を行った。

オレ
「お客さんから、断ったのだが、チップをもらったので、気持ち配分する」

おぉぉぉとどよめいた。松井が封筒をそれぞれに配り終えるのを待った。ひとり3万の臨時収入。大声で騒ぎあっている。

オレ
「この件は、口外しないように!解散!」

お疲れ様でしたっ!と大きな声があがり、騒ぎながらも更衣室へ向かい出した。

松井
「口外するな!と言っても噂はすぐに広がると思いますけど?(笑)」

オレ
「わかってる。(笑)」

松井
「しかし世の中には居るもんなんですねー」

オレ
「また来る!と言ってた」

松井
「ほんとっすかー^^」

別に期待してたわけでもない。ただ、このままでは終わりそうにない予感はあった。それより「クラブ純子」での借りが気になった。何かお礼をしなくては・・・

竹内
「お先に失礼します」

オレ
「あーーークルマとめよう」

店を出てタクシーをとめてやった。遅番でも彼女だけはタクシー代が出る。

竹内
「さっきの約束ですけど・・・」

オレ
「うん?何?」

竹内
「いえ、いいです」

オレ
「お疲れー」





日曜9時・・・

電話のベル音、話し声、ドアのノック

横山
「入ります」

「そろそろ時間ですけど」

「ムーさん」

オレ
「・・・ん?何時?」

横山
「8時50分です。オレだけ先に行ってきましょうか?」

寝ぼけながらジーンズを履き、ダウンジャケットを引っ掛け、ニットキャップとサングラスを持ち部屋を出た。玄関に出るまでに4人が寝ていた。

オレ
「行こう」

寮を出て10分、店の前にはすでにクラブの連中が集まっていた。

オレ
「おはよう」

集団
「おはようございます」
それぞれが口々にバラバラに挨拶がかえってきた。

機材搬入の注意を与え、すぐにシャッターを開け、後は横山に任せた。

斉藤
「おはよう^^」

浜田
「ほとんど徹夜なんだろう?」

オレ
「いや、ちょっと寝た。大丈夫だ」

機材を店内ホールに入れて、一斉に店内の掃除が始まった。1年は珍しそうに店内を見渡しながらはしゃいでいた。横山は注意を促しながら、ごみの処理などを大きな声で指示していた。オレはその間に、洗顔、ハミガキ、整髪を終えた。

アンプ5台、ドラムセット、マイクスタンド&マイク、ヘッドフォン、各種ケーブルなどなど・・・ギターなどは個人所有のモノがほとんどだった。電源の割り振りを行い。店のミキサーにも通してみる。が、コレは調整が必要だったので今回はナシにした。

それぞれのチューニングが始まったのを期に店を出てケニアに行った。

ひとりの時間は必要だった。濃い珈琲を飲みながら、ファイルを眺めた。新しい会員3名、合計で21名分のプロフィール。間島のところで手が止まった。今日は欠席らしいが・・・ふとこの間のことを思い出していると声がかかった。


「ここいいかしら?」

オレ
「・・・?」


「誰かと約束してる?」

オレ
「いえ、構いませんけど」

ポニーテール、ジーンズ、シャツに赤いダウン。女はゆっくりとサングラスをはずした。


「美味しい珈琲が飲みたくなって」

オレ
「ここの珈琲はまーまーですね」


「夜になったら美味しいシャンパンが飲みたくなるわ」

オレ
「ん?あっ!」

シャンパン女、だった。オレは慌てて席を立ち「先日はありがとうございました」と頭を下げた。


「まわりがびっくりしてるわよ」

オレ
「すみません」


「あなたが夜の格好をしてたら声かけれなかったけど、同じような格好なのでつい^^」

オレ
「はぁ」

大抵の事は予測の範囲で決して慌てたりしないようにしているつもりだが・・・コレには驚いた。まるで別人だ。そしてそれは夜の彼女よりもどちらかというと健康的で魅力的に見えた。


「向こうで見てたの」

オレ
「あっそーでしたか。全然気づきませんでした」


「気づいても誰だかわからなかったくせに(笑)」

オレ
「ははは・・・」

ウエイターがオーダーをとりにきたが、彼女は断った。


「あなたのシゴトは夜遅いんでしょ?」

オレ
「昨日は、もう今日ですけど4時までやってました」


「じゃー寝てないの?」

オレ
「いえ、仮眠はしてますけど今日は朝からちょっと貸切りが入っていたので」


「こんなに早くから?」

オレ
「えーーーまーーーちょっと後輩が練習を」


「練習?なんの?」

最初の不意打ちでペースを取り戻せないまま、なんか追い込まれている。なんとなくまずい予感がしたのだが・・・

オレ
「音楽の・・・」


「それってバンドとか?」

オレ
「・・・はい」


「ふーーーん」

女は視線を外に向けた。何気に陽のあたっている横顔を見ていた。


「ちょっとだけ見せてくれない?」

オレ
「・・・下手なバンドで見る価値ないですよ」


「見たい^^」

オレ
「じゃーちょっと待って下さい」

オレは店内の電話に向かった。店に電話すると松井が出た。表に居るように依頼した。


「いい?」

オレ
「はい」

千日前通りを並んで歩いたが、女の腕はからんでこなかった。松井も私服で店の前にいた。3人で入る。

フロアーの一番後ろの席に座ってもらった。松井にフレッシュ・ジュースを頼んだ。

「ムトーちょうど良かったちょっと歌合わせてくれ」
マイクを通して斉藤の声がよく聞こえた。最悪のタイミングだった。1年もこっちを見ている。覚悟を決めて前に出た。ご丁寧に照明まで点いている。。。

バラードっぽいオリジナルを1曲、サビに入ると途中で浜田がとめた。
これまでとは違うリードアレンジをして

浜田
「ここんところにピアノも入れようと思ってるんだが」

オレ
「うん。来週中には間に合わせる」

浜田
「じゃーもう1度サビのところから」

1曲やると、後は1年に交代してもらった。そして奥をみると女が居ない。
探すと近くの1年が居るところへ席を移し何か話していた。
オレが近づくと、女も立ち上がり、上にあがった。

オレは彼女がもう帰るものと思い、店の前で立ち止まっていた。


「もう少し付き合って?」

松井の様子から女があのシャンパン女だとは気づいてなさそうだった。

商店街を反対に抜けるとアーケードが途切れる。陽が射していい天気だった。彼女が腕を絡ませてきた。次の小さな角を曲がった。そのまま小さな入り口に引っ張られた。


「はやく入って」

オレ
「えっ」

薄暗い部屋に入ると、女はポニーテールの髪を下ろした。無言でオレのジーンズを脱がせ始めオレはそれを見下しながら見ていた。オレのモノに指をからませる。巧妙な動きにオレは途中でそれを止めベッドに座った。女はオレの前にきてオレのモノを掴み口にくわえた。絶妙な指の動きに、思わず女の体を両手で掴んだ。が、そのまま引き剥がした。


「我慢しないで」

オレ
「・・・」

女は1度離れジーンズを下着ごと脱いだ。
降ろした髪、下半身の黒い部分、恐ろしいぐらいセクシーに思えた。

女はオレのシャツをめくり胸にキスをしながら乳首を軽く噛んだ。
オレのモノにはまた指が絡まっている。

快感にのめり込みそうになる度にそれを振り払う。
女が上になりオレのモノは取り込まれた。

女はゆっくり大きく動く。オレはシャツの上から女の胸を掴んだ。下半身の動き方が変った。深く入ったまま連続的に早くなった。
女はあえぎながら・・・


「我慢しないで」

オレは女の腰を両手で掴み激しく動かした。数秒後、放出した。


「そのままやめないで」

尚も動かし続けると、女は声をあげて・・・暫くすると動きはとまった。

裸のまま、冷蔵庫の扉をあけた。飲めそうなモノは缶ビールしかない。それをあけて一気に半分ほど飲んだ。

女は上半身を起こしセーラムに火をつけていた。半分飲んだ缶ビールを渡した。


「どういう女かわかったでしょ」

オレ
「・・・」


「もうホストクラブには行かないわ」

女は静かな目でオレを睨んでいた。

オレ
「出よう」

手早く服をつけて、支払いを済ませそこを出た。女はサングラスをかけていた。オレは持っていたが、かけなかった。腕はからんだままだ。


「いいお天気ね」

オレ
「そーだな」

ゆっくりと大通りまで歩いてタクシーを止めた。


「今日もお店に出てる?」

オレ
「たぶん」


「じゃー後で行くわ」

オレ
「・・・」

タクシーの扉が閉まるとオレはサングラスをかけた。タクシーが立ち去った後の通りの向こうをみた。そういえばまだ向こうには行ったことがない事に気がついた。ラークに火をつける。下半身はまだ突っ張ったままだった。





練習メニュー通りだとあと5曲ほど残っているようだが、すでに約束の時間はせまっていた。

横山
「次で終わらせます」

オレ
「うん」

横山
「間島が来てます」

オレ
「そっか」

斉藤
「この後どうする?」

オレ
「悪いが、そのままシゴトなんだ」

斉藤
「じゃー1年も解散させて俺たちはアパートに戻る」

オレ
「たのむ」

曲が終わり斉藤がマイクを持って、時間オーバーの為、これで終了!と告げ撤収を指示した。ざわざわと動きだした店内から上に上がろうとしたら間島が近づいてきた。

間島
「クラブに残ります」

オレ
「うん」

間島
「でも、諦めません」

ひどく残酷な気分になっていた。
一瞬、間島の顔がオレの下半身に絡まるシーンが見えた。

オレ
「来週中にはステージ・ピアノ調達する」

間島
「・・・はい」

オレはそのままフロントに上がり松井にサウナへ行く!と言って店を出た。


22時・・・


中2階ボトル倉庫前

横山
「みんな喜んでましたよ!」

オレ
「うん。結構充実した練習だったんじゃないか?!」

横山
「そのあたりはオレにはよくわかりませんが(^-^;)ゞ」

オレ
「ちょっとは関心もて(笑)」

横山
「PAの方で頑張ります^^」

前田
「ムトーさん。先日のお客さまがお見えです!」

オレ
「うん」

フロントへ行くと松井がコートをとっていた。

オレ
「すみません。もう1度コートをお願いします」

女1
「・・・」

コートを着るのを手伝い外へ出た。

オレ
「他で飲もう」

女1
「いいの?」

オレ
「断ってくる」

店に戻りちょっと出る!と言ってすぐに引き返した。昼間歩いた道を大通りまで並んで歩いた。

女1
「怒っているんじゃなかった?」

オレ
「別に」

心斎橋のスコッチバンクへ入った。
奥まった二人席、ステージは見えにくかったが、ファブリックなソファは新しく、上からのピンスポットはテーブルを明るくしていた。そして、今はそのほうがよかった。

オレ
「ジントニックとモスコ、それとサーモンと生ハム」

女1
「この席いいわね」

オレ
「うん。落ち着く」

女1
「この仕事ずっと続けるの?」

オレ
「止めると練習場所もなくなる(笑)」

女1
「そうね。」

ジャズのLIVEが終わろうとしていた。程よい音は周辺のノイズをかき消し、会話を保護するような効果があった。そしてオーダーしたものがサービスされた。

オレ
「良き日に感謝!」

女1
「乾杯」

女1
「おいしい」

オレ
「よかった」

女1
「慕われているのね」

オレ
「ん?コーハイの連中?センパイの悪口は言えないもんでしょ」

女1
「昼間はごめんね」

オレ
「謝られるコトではないですよ」

女1
「あの時、あーしないと2度とないと思った」

オレ
「・」

女1
「あたしたちみたいな職業の女に純粋な恋愛はないの」

オレ
「・・」

女1
「お金を出せば恋愛ごっこが出来るの」

オレ
「・・・」

女1
「この職業やってる間はそれでいいと思ってる」

オレ
「よくわかりませんけどね」

女1
「その相手になってくれたら喜んでバンドの応援する。いや、応援したいの」

オレ
「バンドの応援はどんな形でもできます。単に観に来てくれるだけでも」

女1
「あなた彼女いるでしょ?」

オレ
「はい」

女1
「居て当然だし、そのままでいいのよ」

オレ
「?」

女1
「だけど、私はあなたの特別な存在になりたい。」

オレ
「最初から何故か特別扱いしてますけど(笑)」

女1
「ちゃかすのね。でもいいわ」

「特別な存在でいさせて」

「お願い」

彼女の目は真剣そうだった。


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