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Jet


ポールとウイングス「Jet」
1974のアルバム「Band On The Run」

大学に入学した頃、カフェのジュークで毎日これかけてましたねー^^
1979年12月------------

毛利
「4億ぐらいでは売れるはずなんだが・・・例によってウルサイところの抵当が2つ付いてるんだ」

オレ
「またですか?」

毛利
「どうやら彼らは独自の情報網があるんだろう。(笑)何度も電話攻勢をかけられてついつい甘言に乗って借りてしまった」

オレ
「なんとか維持できないんですか?生玉のホテルはオレが改装して、その後の売り上げもいいはずですし」

毛利
「確かに・・・でももうそういう状態じゃないんだ」

オレ
「内容は?」

毛利
「抵当は銀行から2億、他が5000万なんだ。だから3億5000、いや3億でいいから」

オレ
「3億で引き受けると、差し引き5000万をいつまでに?」

毛利
「1週間後に5000万の手形決裁があるんだ」

オレ
「そのために1週間で処理するわけですか?」

毛利
「無理を承知でなんとか引き受けてくれないか」

オレ
「・・・わかりました」

オレは毛利氏がすでに用意していた必要書類を受け取って毛利氏の東京事務所「毛利通商」を出た。道路を隔てた向かい側の公衆電話ボックスに入った。事務所に電話をし横山に段取りを説明し、すぐに動くように指示した。

▼17時・・・ホテル・ニューオータニ

ロビーでゴルフ雑誌を見ていた。

佐和子に紹介してもらったところでゴルフ場の会員権を2つ買った。ひとつはそれなりに歴史のあるところ、もうひとつはレッスンプロに進められたところ、どちらも早朝なら車で1時間ちょっとで到着できる場所だった。そこで平日は週に2度、週末は色んなところのコンペに参加し、まさにゴルフ三昧の日々を過ごしていた。

キョーコ
「お待たせ^^」

オレ
「うん。^^」

オフホワイトのシックなツーピース。タクシーでやってきたのだろう。コートは持っていなかった。

キョーコ
「この時期、忙しいんでしょう?」

オレ
「ん?あーそれぞれの店は忙しけど、オレは居場所がなくてふらふらしてる(笑)」

キョーコ
「これまで飛ばしすぎて来たから、少しゆっくりするのもいいじゃない」

オレ
「そっか」

キョーコ
「この間、ひさしぶりに横山君に電話したの」

オレ
「そう?知らなかった(笑)」

キョーコ
「それまで、ユーイチの近況知りたくて横山君に教えてもらってたのに、今になってまったく連絡しないってのも悪いじゃない?」

オレ
「うん。ほんとは横山も連れてきたかったんだが、どうしても二人一緒に大阪を空にできなくて」」

キョーコ
「今度また私が大阪へ行った時に3人で会おう^^」

オレ
「そーだな^^」

オレたちはEVに乗り最上階のレストランに行った。窓際のテーブル。すでに街の灯がキレイに見えた。

ワインとお奨めディナーをオーダーした。

オレ
「仕事はどう?もう秋のシーズンも終わって落ち着いた?」

キョーコ
「うん。今月はゆっくりできそう」

オッケーを出したワインがそれぞれに注がれた。軽くグラスを合わせた。暫くするとコース料理も運ばれてきた。

キョーコ
「横山君から聞いたけど、ゴルフ始めたんだって?」

オレ
「うん。最初は付き合いのつもりだったんだけど・・・ハマってしまって(笑)」

キョーコ
「へーそんなに面白いんだ?」

オレ
「プロを目指そうと思って^^」

キョーコ
「えーゴルフのプロに?ユーイチが?^^」

オレ
「おかしい?」

キョーコ
「ううん。新しい目標が出来て良かったじゃない」

オレ
「ははは^^」

キョーコと話してると暖かい安心感に包まれて癒される。どんな状況の時も楽天的で、ユーイチなら大丈夫よ!と励ましてくれる。いつも最大の理解者だった。

キョーコ
「そうだ。沙耶ちゃん怒ってるわよ」

オレ
「えっ」

キョーコ
「相変わらず電話もないしって(笑)」

オレ
「ははは^^」

どんなタイミングでその事を切り出そうか?と思っていたが、キョーコの方が先にその話題に触れた。

オレ
「あの後、オレに会え!と本当に言ったのか?」

キョーコ
「ユーイチは最初から誤解してたもんね」

オレ
「?」

キョーコ
「沙耶ちゃんが最初にユーイチに言ったでしょ?私の許可を貰ってきた!って」

オレ
「最初って・・・沙耶がオレのところへやってきた時か?」

キョーコ
「そうよ!その前に私と話し合って、私が沙耶ちゃんにユーイチの彼女にしてもらいなさいって言ったのよ」

「それをユーイチは、キョーコがそんな事を言う訳がないって信じなかったそうね?」

オレ
「どうしてそんな事を・・・」

キョーコ
「あの子はあなたの事がずっと好きだったのよ」

オレ
「ずっとって?」

キョーコ
「私たち3人で居て、あなたが襲われて大怪我した時からよ」

オレ
「そんな」

キョーコはオレの知らない沙耶のことを話しだした。当時沙耶はモデルを始めたばかりだった。内向的な性格ででほとんど他人と付き合いがなかった。それをキョーコが妹のように扱い色んなところへ連れて行った。

ミルク・ホールへショーの打ち上げできた時、スロータイムにオレが相手をして踊った。その時、顔が少し触れた。それを沙耶はキスをされたと錯覚した。

その後、3人で店を出た時、オレは襲われ血まみれになって意識を失い倒れた。救急車が到着するまでの間、キョーコは泣き叫びながらオレの頭を持って庇っていた。そばで見ていた沙耶はそのシーンが衝撃的だったようだ。

そしてそれはいつの間にか、沙耶自身の錯覚で自身とキョーコが入れ替わっていたそうだ。

キョーコ
「せっかくのディナーが変な話になってごめんね」

オレ
「いや・・・」

キョーコ
「でもコレだけは知ってて欲しかったの。私の事より沙耶の事を考えてあげて」

オレ
「お前は本当にそれでいいのか?」

キョーコ
「私には・・・あなたより大事な子供がいるの」

オレ
「そーだな」

キョーコ
「沙耶はあなたが一番よ^^仕事辞めてあなたの傍に行きたがってる」

オレ
「・・・わかった」

もう過去の思い出はこの間大阪で会った時に塗り替えられた。そして次に東京で会った時に新しい関係が始まるかと思ったが・・・やっぱり無理があるようだった。いつの間にかキョーコと沙耶が入れ替わっていた。まるで沙耶の錯覚のように

オレ
「実は年内に東京進出の予定だったんだけど、色々あってダメになったんだ」

キョーコ
「そう」

オレ
「何をしてるんだか(笑)」

キョーコ
「プロゴルファーになってよ^^」

オレ
「あははは^^プロになれても食えないだろうなー」

キョーコ
「大丈夫よ!ユーイチなら(笑)」

オレ
「そっか?^^」

半分冗談で言ってた事に真実味が出てきた。自分でカートを引いてひとりで廻る。1打、1打に緊張感を持った真剣勝負のようなプレーに打ち込んでいると、何もかも忘れていい気持ちになる。本気でプロを目指してみようと思った。

キョーコ
「じゃー私そろそろ」

オレ
「子供はカメイさんちに?」

キョーコ
「うん^^」

オレ
「じゃー下まで行こう」

オレはホテルの前でキョーコをタクシーに乗せた。泊まっていくものだとばかり思っていたので、ホテルはツインをとってあったのだが、もうそういう事はキョーコとはないのかも知れない。

ロビーから沙耶のところへ電話した。沙耶はオレにロビーで待つように言った。自分の部屋に招き入れるのにわざわざ迎えにくると言う。オレは苦笑したが、それは確かに正しい選択だ。

沙耶の部屋に行く前に沙耶に案内されて六本木のレストランへ行った。余裕のあるスペースで周辺の客の様子が見えないようなレイアウトになっていた。沙耶は常連客のようだったので彼女にオーダーを任せた。

沙耶
「もう待ちきれなくて今週は大阪へ行こうと思ってたんだから」

オレ
「沙耶も仕事忙しかったんだろう?(笑)」

沙耶
「そう。イライラしながら仕事してたんだから」

オレ
「さっきキョーコに怒られたよ」

沙耶
「なんて?」

オレ
「もっと沙耶を大事にするようにって(笑)」

沙耶
「うわーキョーコちゃんがそんな事を^^嬉しい」

オレ
「(笑)」

一風変わった中華でも韓国風でもないアジア料理。聞くとベトナム料理を食べやすいようにアレンジしたものらしい。

沙耶
「時々ならいいよ」

オレ
「ん?」

沙耶
「ユーイチがキョーコちゃんとデートするの」

オレ
「ははは^^たまに会うことはあってもデートじゃないな」

沙耶
「えーどっちもまだ好きなくせいに(笑)」

オレ
「時間が経ち過ぎていて、もう無理なんだ(笑)」

沙耶
「そう。なんか淋しい気がする」

それ以上キョーコの話はしなかった。最近ゴルフにはまっていることや、東京進出が保留になったこと、大阪の店が増えたことなどを話した。

店を出てタクシーを拾って沙耶のマンションに行った。2LDKのゆったりとした部屋のデザインはどこか以前のオレの部屋に似ていた。

リビングのソファに座る。

オレ
「いい部屋だな^^」

沙耶
「落ち着く?前のユーちゃんの部屋を意識したんだー」

オレ
「えっ!ユーちゃんって(笑)」

沙耶
「高校生のファンからそう呼ばれているんでしょ?(笑)」

オレ
「なんでもよく知ってるなー」

沙耶は冷えたバドワイザーを持ってきてくれて隣に座った。オレは視線の先にあるフォトスタンドを見た。オレが真ん中にキョーコと沙耶が両側にいて顔をくっつけて撮った写真。それをうまくトリミングしてオレと沙耶のツーショットになっている。

オレ
「あの写真、まだ飾ってるんだ(笑)」

沙耶
「だってアレしかないんだもん」

オレ
「じゃー今度同じポーズで撮ろうか?」

沙耶
「うん^^」

沙耶に部屋を案内されて、ベッドルームに入った。そこにはmar'sのLIVEパネルが掛かっていた。懐かしさとともに未だにそれを大事にしてくれている沙耶が可愛かった。

オレ
「付き合ってた男がこの部屋に入ってアレをみたら色々聞かれるだろう?(笑)」

沙耶
「残念でした。ここには誰も入った事ありませんっ!」

オレ
「そっか^^なんか嬉しいなー」

沙耶
「へへへっ」

オレたちはそのまま抱きあいベッドに入った。そして濃厚なセックスをして・・・オレはそのまま沙耶を抱いて眠ってしまった。

翌日、沙耶は仕事に行きオレはホテルに戻ってチェックアウトした。今後はそんな無駄なことをしないようにと沙耶から部屋の鍵を渡された。そしてオレは新幹線に乗り大阪へ戻った。

▼13時・・・スカイオフィス・応接室

生玉のホテルの購入だけの内容を話した。抵当は1番は銀行から2億。2番、3番は4000万と1000万の高利貸しからの借り入れ。その他今現在わかっている毛利通商の状態を説明した。

オレ
「どうでしょうか?」

石井
「前回と同じように2番、3番をはずす交渉だけならなんとかなるとは思いますが・・・」

オレ
「何か?」

石井
「最初から一気に買い取って交渉を行いますか?」

オレ
「どういう事でしょう?」

石井
「物件は東洋産業じゃなくて毛利通商になってますよね。毛利通商の1週間後の手形を落とせなくて倒産というようなことになった場合、元も子もありませんから・・・その辺りはどうです?」

オレ
「金融屋と交渉を行いつつ同時に売買契約を結んで先に名義変更を行えば、毛利通商が倒産しても物件は確保できるということですよね」

石井
「そうですね。でもそのホテルの売却先は決まっているんでしょうか?」

オレ
「いえ、どうするかまだ決めていません。一応買取資金は全額用意するつもりです」

石井
「よろしければ金額を教えてもらえますか?」

オレ
「彼、毛利氏が言うには相場は4億ぐらいで、うちに渡す金額は3億5000と言ってましたが、最終的に3億にまで向こうは下げてきました。」

石井
「そうですか。ただ年末ですからそれ以外の手形はどうなんでしょう?名変のタイミングが少しでもずれれば問題です」

オレ
「わかりました。もう1度東京へ行ってそのあたりのところを確認してきます。どっちにしても名変は最優先で行いう段取りにします。それから変なお願いなんですけど、今回の交渉ですがうちの前田を運転手代わりに同行させてもらえませんか?」

石井
「構いませんけど?」

オレ
「今後、不動産関係は前田を担当にしたいと思ってますので、しごいてやって下さい」

石井
「わかりました。でもムトーさんのところの若い人は「優秀」ですから安心ですね」

オレ
「オレも含めて「ワカゾー」ですから、よろしくお願いします(笑)」

石井
「あっそうだ。サウナのフリーパスありがとうございました。(笑)」

オレ
「あははは^^今度また一緒に行きましょう^^」

オレは石井をEV前まで送っていった。

オレは自分のデスクに戻って手帳を開いた。すでに日本橋のビルの1階、バンドの練習用スタジオの工事が始まっている。奥行きのある建物なので、奥に2部屋、練習スペースをとることが出来た。そして手前はギターを主とした楽器販売。関連パーツなどのショップになる予定だった。

Julianも同様にオープン前の広告をハデに打ったせいか初日から大入りだった。田川からの報告ではジュリーもご機嫌で頑張っているという。近い内にメシを食おうということになっていた。

チャイムが鳴り、横山と前田が揃って戻ってきた。

横山&前田
「おはようございます」

オレ
「お疲れっ!さっそくで悪いけど応接室へ入ってくれ」

すぐにさっちゃんが新しい珈琲を3つ持って来てくれた。

オレ
「じゃー聞こうか?」

横山
「はい。昭和相銀にすでにお願いして1億5千の現金で定期預金をつくりそれを担保に3億の融資が決まりました。」

オレ
「そっか。じゃー資金的には問題ないな?」

横山
「売り上げも順調ですし特に問題はありません」

オレ
「オッケー。それからさっき石井と話して、前田が一緒に交渉の場に出ることを了解してもらった」

前田
「はい^^しっかりと勉強してきます(笑)」

横山
「東洋産業の生玉のホテルですが、毛利さんが社長になってから支配人も変わってるようですね」

前田
「そろそろ様子を見に行ってきましょうか?」

オレ
「ふむ。そうだなうちの管理になったことを説明する必要もあるな!よし行こう」

横山&前田
「はい。」

地下駐車場に降りた。セドリックを前田が運転して生玉のラブホテル「キングコング」にクルマを乗りつけた。ホテル入り口から入る。フロントには知らない顔・・・

横山
「毛利社長からの依頼で来ました。入れてもらえますか?」


「はぁ〜今ちょっとわからないんですけど」

横山
「とりあえず入れてください」


「・・・」

暫くするとフロント脇のドアが開いてオレたちはそこへ入った。

前田
「あなたの名前は?」


「あなたたちは・・・?」

オレ
「毛利通商の毛利さんからの依頼でこのホテルの管理に来ました。これが毛利社長からの委任状です」


「私に言われてもわからないんです」

前田
「だからお前の名前は?支配人は何時に出勤するんだ?」


「狭山です。支配人は遅番なので夜の10時ごろになります」

横山
「ちょっとここ数日の帳面を見せてくれませんか?」


「いやそれは・・・私には」

前田
「さっき委任状を見ただろう?毛利社長から任されているんだよ!見せると都合の悪いことでもあるのかな?」


「いえ。でもすでに毛利社長から頼まれてるって、他の人が売り上げまで持って行ってますし・・・」

前田
「なんだー?何処の誰だ?」


「ですからボクはよく知りません。支配人に聞いて下さい」

オレ
「支配人の自宅の連絡先を教えてくれないか?」


「わかりました」

男はデスクの棚から住所録を取り出して、指をさした。横山はそれを控えた。

オレ
「売り上げを集金にくる人間は何時ごろ来るのかな?毎日決まった時間?」


「知りません。ボクの居る間には来たことありません」

横山
「どうも不在のようです。松島支配人」

オレ
「伝票や帳面は?」


「その机の上のモノがそうです」

オレはそれをとって2週間分の売り上げを見てみたが・・・いい加減な数字で伝票も揃っていないようだった。

横山
「今、何組入ってます?」


「7組です」

横山
「12部屋使ってるんじゃないですか?」


「5組は・・・長期滞在者です」

オレ
「なんだソレ?」


「3年間の長期契約者なんです」

オレ
「誰がそんな契約を?」


「支配人が」

オレ
「契約書あるか?」

男はファイルを取り出して、その契約書を見せた。それはすべて手書きで大雑把に書かれている。月額1万円で3年契約。どれも同じ内容だった。契約者は法人で「泉州建設」となっていた。

オレ
「とりあえず11時前にもう1度来る。それまでに集金に来たらここへ連絡するように!」

オレはその場でメモ用紙にギャラクシーの事務室の電話番号を書いて狭山に渡した。オレたちはキングコングを出た。車中でK芸能へ電話した。運よく石井が居たので事情を話して「泉州建設」を調べてもらった。山村弁護士事務所に連絡を入れる。公判に出ているようで不在だった。

前田
「すでにややこしい事になってますね」

横山
「長期滞在ってバカにしてますね。とにかくその支配人から事情を聞かないことには」

オレ
「オレはK芸能で降ろしてくれ。前田と横山は事務所で待機だ」

前田・横山
「了解です」

▼15時・・・K芸能事務所

石井
「泉州建設は五日会系益田組の本部です」

オレ
「本家とは仲の良くないところですね」

石井
「はい。金融屋2社もたぶんその系列でしょう」

オレ
「20部屋中、5部屋がこの内容で契約されてます」

オレは契約書のファイルを持ってきていた。石井がざっと目を通す。

石井
「うまいやり方ですね(笑)その内それらが難癖をつけて暴れだす。営業妨害をする。そんなところでしょう」

オレ
「すでにこの乗っ取り計画は8割方進んでいるようですね」

石井
「毛利通商の手形ってほんとに5000万なんですかね?きっと融通手形なんでしょう。」

オレ
「それはどういう事ですか?」

石井
「わかりやすく言うと手形の額面は5000万ですが、実際には1000万かあるいはそれまでの利子分と称してその手形を割った。そしてそれはすでに仲間内の他の業者に回されてるはずです。」

「さっき調べましたが毛利通商はすでに1度不渡りを出していますから、20日にその5000万が落とせなかったら倒産ですね」

オレ
「例えばその5000万の手形が不正だと主張したらどうなります?」

石井
「振り出した相手から善意の第3者に渡っているから同じです。落とさなければ不渡りになります」

オレ
「・・・」

石井
「どうしました?」

オレ
「んーまだ何かありそうな気がして(笑)」

石井
「どっちにしてもホテルはこっちが取りに行きましょう」

オレ
「彼らはきっと1週間後の不渡り待ちわびているでしょうね?簡単に交渉に応じるとは思えません。」

石井
「諦めるんですか?」

オレ
「・・・」

石井
「ムーさん。オレたちの世界では食うか食われるか?こんなこと日常茶飯事ですよ。こっちの事を心配してくれるのはありがたいですが、ご無用に願います」

オレ
「・・・」

石井
「ヤレって言ってくださいよ(笑)」

オレ
「わかりました。やって下さい(笑)」

オレはK芸能の事務所を出て、英国屋に入った。しばらくまた緊張の続く戦いが始まる。ビビッているわけじゃない。他人の財産を悪どい方法で取ろうとしてるヤツらとやり合うのになんら容赦はいらないと思う。しかし、いくらキレイごとを言ってこっちが正攻法でしかやらなくても結局ヤツらと同じヤクザを使っている自分がそいつらと何も変わらないんじゃないかと、ちょっと嫌気がさしていた。

ガボマスター
「ユーちゃん。怖い顔してどーしたの(笑)」

オレ
「あっシューさん」

ガボマスター
「誰かと待ち合わせ?」

オレ
「いえ。いいですよどうぞ」

ガボマスター
「いや、何気に外を見ていたらユーちゃん見かけたからつい(笑)」

オレ
「あははは^^この辺りでは変な事できないなー^^」

ガボマスター
「最近ゴルフはどう?」

オレ
「高槻のゴルフ場で暫く特訓です」

ガボマスター
「おっ!高槻ゴルフ倶楽部の会員券買ったんだ?」

オレ
「一応。(笑)セルフでひとりでも回れるそうですから」

ガボマスター
「あらーどうやら本気のようだな(笑)」

シューさんと話していると楽観的になる。彼の持論は「人生は友人たちと少しの酒が飲めればそれ以上の事はない」だそうだ。誰が言った言葉かは知らない。

ガボマスター
「で、今夜なんだけど彼女らが来るんだよ」

オレ
「シューさんはいつも強引だなー(笑)」

ガボマスター
「あはっ!ネストで6時なんだいいかな?」

オレ
「じゃーちょっとだけ顔を出します」

わざわざ入って来て無駄話だけで終わるとは思わなかったが、やっぱりさっきから鳴っていたポケベルはそれも含まれていたんだと思った。シューさんはそれを言うとすぐに自分の店に戻っていった。

オレは事務所に電話をかけていくつかの連絡事項を聞いた。ギャラクシーの事務室にもかけた。オレは電話をきって事務所に戻った。

▼16時・・・スカイ・オフィス

オレ
「ただいまー」

村上
「お疲れ様です^^」

オレ
「ちょっとシャワー使ってくる」

村上
「はい」

オレは自室に入って新しい下着を用意してその場で裸になった。腰にバスタオルを巻いてそのまま風呂場へ入った。

熱いシャワーを頭からかぶる。首筋から胸。後ろを向いて肩から背中・・・きつい水流が気持ち良かった。

『抵当は銀行から2億、他2社で5000万なんだ。3億5000、いや3億でいいから』

毛利氏の言葉が蘇った。3億から借金の2億5000を引くと単純に5000しか手元には入らない。それも手形の決裁に必要だと言う。先月の東洋ビルもそうだったが、毛利氏のところの金の動き方は異常だった。何をすればそんな無茶な借金が出来るのだろう?不思議だった。

それにしても東洋ビルに続き今回の生玉のホテル。予想は出来ていたとはいえ、東洋産業の前社長大下さんがその半生をかけて築き上げた資産。それをわずか半年あまりであっさりと食いつぶした前社長の奥さんの弟である毛利氏。あまりにもあっけない終焉だった。

ジーンズとシャツ、革ジャンを羽織ってオフィスを出た。

▼18時・・・アメリカ村「ネスト」

オレ
「あっ皆さん早いなー^^」

ガボマスター
「あの後、店の方に来てくれてそれでここへ一緒に来たってわけよ」

オレ
「あっそう」

真樹
「おひさしぶりでーす」


「ほんとミナミにはよく来てるのになかなか会えなくて(笑)」

オレ
「バタバタしててすみません^^」

イケちゃんがまだ注文していないジン・トニックをわざわざ持ってきてくれた。オレは礼を言って改めて目の前にいるシューさんと女の子2人を紹介した。池谷はちょっと照れながら挨拶をしてテーブルを離れていった。


「ゴルフの練習頑張ってるんですよね?」

オレ
「えーまー^^」

真樹
「この間、石原オフィスの忘年会に行ってきたんです」

ガボマスター
「そう言えば長いこと彼とも会ってないなー」

真樹
「シューちゃんもお知り合いなんですか?」

ガボマスター
「まー同じ業界だから^^」

真樹
「石原さんも相当酔っ払ってたので、チャンスだと思って聞いてみたんです」

ガボマスター
「何を?」

真樹
「香とムトーさんが付き合ってるんですけど、ムトーさんってプータローですか?って」

ガボマスター
「ぎゃははは^^ユーちゃんがプータロー?(笑)」

オレ
「ははは・・・」

一体こいつらは何を言い出すんだ?石原さんめったなことでは人のプライバシーを暴露するような人じゃないけど、あくまでもそれはシラフの時の話だった。

真樹
「石原さんも同じように大笑いして、あいつがプータローならオレは乞食いやそれ以下だって」

ガボマスター
「ふむっ^^それで?」

真樹
「どういう意味かわからなくて聞いたらあいつは今や『夜のミナミの帝王』だって、益々わかんなくなっちゃいました(笑)」

ガボマスター
「なんかちょっとバタくさいネーミングだなー(笑)」


「なんか隠し事がいっぱいありそう^^」

オレ
「いやここんとこ競馬が調子よくて、ちょっとリッチなプータローなんですよ(笑)」

ガボマスター
「ちょっとリッチなプータロー♪オレもなりたい^^」

真樹
「ほんとはジゴロだったり?」

オレ
「ん?真樹ちゃん食わしてくれるの?(笑)」


「ほんとにプータローだったらそれぐらい私が^^」

ガボマスター
「うわー^^オレすぐにプータローになるっ!ダメ?」

真樹
「シューちゃんはシブさが魅力なんだからプータローはダメよ」

ガボマスター
「あははは^^」

最初からそういう段取りだったのか?シューさんと真樹は友人と待ち合わせていると言って二人で出て行った。オレと香はそこに取り残された。

オレ
「じゃーオレたちも行こうか?」


「何処へ?^^」

オレ
「ラブホテルへでも」


「いいわよ!でもひとつ条件があるわ」

オレ
「あはっジョーダンだよ!他所で飲みなおそう」

オレは立ち上がった。イケちゃんに精算をお願いしたらすでにシューさんが支払いを済ませていたようだった。

オレと香は店を出た。通りはどの店もクリスマス・イルミネーションで明るく華やかだった。

オレ
「危ないから腕どーぞ^^」


「うん」

オレは周防町に出て東へ行こうと思っていた。

オレ
「モデルの仕事はいつから?」


「高校の時から。本格的にやりだしたのは大学の時」

オレ
「どこの学校?」


「松蔭ってところ」

オレ
「そっか夏の制服きて阪急電車に乗っててスカウトされたな?」


「えーーーどーして?^^」

オレ
「なんとなく(笑)」


「大阪で松蔭って言ったら「大阪樟蔭」だとみんな思うのに・・・ユーちゃんは神戸の人?」

オレ
「19までな!香の家はどこ?」


「灘区」

オレ
「それから?」


「赤坂通り」

オレ
「そっか^^」


「ユーちゃんはどの辺り?」

オレ
「西岡本」


「甲南大学の近く?」

オレ
「そーだ」

そんな話をしながら歩いているとスコッチ・バンクの前まで来た。オレたちはそこに入った。そしていつもの奥のソファ席に案内された。オレはスコッチセットをオードブルをオーダーした。


「19の時まで神戸に居たんだ。私は高校生かー」

オレ
「香はいくつだっけ」


「21です」

オレ
「うわーほんと?落ち着いてるからもっと上かと思ってた」


「よくそう言われるんだけど、嬉しくない(笑)」

オレ
「まーでも褒め言葉だと思って^^」

ウエイターがドリンクセットとオードブルを同時に持ってきた。うちの店なら注意するところだが、オレは黙って水割りをつくった。もちろん香のリクエストなんか聞いていない。


「さっきの条件聞かないの?」

オレ
「えっ何だっけ?」


「彼女が本当にいないのなら!って条件だったんだけど(笑)」

オレ
「(笑)」


「居るわよね^^」

オレ
「申し訳ないm(_ _)m」


「ざーーーんねんっ!」

オレ
「ほんと残念だ(笑)」

オレは水割りを口にした。最近ウィスキーの水割りはほとんど飲む機会はなかったが・・・ひさびさに飲むと辛かった。

オレ
「来年、卒業?」


「ううん。2年で止めちゃった」

オレ
「そっか。」


「理由聞かないの?」

オレ
「悪いかなーと思って」


「付き合ってた彼が私と同じ学校の子と二股かけてたの」

オレ
「あらら・・・」


「それが許せなくて学校も辞めちゃった」

オレ
「そう。オレは4年間席を置いただけで結局辞めてしまった」

それ以上、香の身の上話を聞きたくなかったので、オレはあえて自分の話題に持っていった。二股が許せない・・・耳の痛い話だ。


「あっ!芸大なんでしょ?TWISTと同じ」

オレ
「シューさんが言ってた?」


「うん。^^でもこの間の歌なんかTWISTより断然いいと思うけどなー」

オレ
「そう?ありがとう(笑)」


「そう思った瞬間、席に戻ったらなんかすごくバカっぽかったけど、今よりずっと良かった(笑)」

オレ
「えっ今よりって・・・今?」


「うん」

オレ
「あらら・・・どうしてだろう?」


「今ユーちゃんすごく私に気を使ってるでしょ」

オレ
「そーかなー?」


「私を傷つけないように帰そうとしてる」

オレ
「んーーーなんか難しそうだな?」

オレはとぼけて見せたが、年下の女の子にそんな風にズボシを刺されて驚いた。この子の感性が鋭いのか?オレがまだまだ未熟なのか?どっちにしても見破られていることは事実だった。


「大丈夫^^好きになりかけてたけど、まだなってないから(笑)」

オレ
「嬉しいこと言ってくれるけど、オレいいかげんだから悪いな」


「(笑)」

オレ
「駅まで送ってくよ」


「うん」

オレたちはスコッチ・バンクを出て心斎橋を歩いた。香は腕を絡ませている。心斎橋の駅を降りる階段の前で立ち止まった。

オレ
「じゃーまた^^」


「うん。さよなら^^」

彼女は笑顔で会談を降りて行った。「さよなら」オレはこの言葉が嫌いだった。そしてそれを言われたことでちょっと失恋に似た気持ちになった。でも気持ちのいい子だった。

スカイ・オフィスに戻り夜用のスーツに着替えた。

▼21時・・・ギャラクシー・オフィス

横山
「前田さんはすでにキングコングへ詰めてます」

オレ
「じゃー行くか!」

松井
「送ります(笑)」

オレ
「松井はこっちで待機しててくれ」

松井
「いえ、こっちは大丈夫ですから」

オレ
「ったく(笑)」

ドアがノックされ理恵ママが入ってきた。

理恵ママ
「ん?後にしましょうか?^^」

オレ
「いやもう終わったから^^悪い先に降りていてくれ」

横山と松井は事務室を先に出た。

理恵ママ
「何かあった?」

オレ
「いや、ちょっと仕事で^^」

理恵ママ
「難しいことがあったら言ってね!無理しないで」

オレ
「ああわかってる(笑)」

オレは軽くキスをした。

理恵ママ
「今夜は?」

オレ
「行くよ」

理恵ママ
「じゃー気をつけて^^」

EVで1階に下りるとすでに松井はクルマを回していた。オレは後部座席に乗った。セドリックは静かに周防町を抜けて生玉のキングコングへ向かった。

少し早かったが、オレたちはキングコングのフロントから小さな事務所に入った。

前田
「早いですね。^^まだ誰も来てません」

オレ
「狭山君。長期滞在客は?」

狭山
「今現在。5部屋中2部屋に人が入ってます」

前田
「さっきちらっと見かけましたがチンピラでした」

松井
「街で出会ったチンピラなら簡単なんだけどなー(笑)」

前田
「特に騒いだりはしていませんから、手のつけようがないですね」

それにしてもこの狭いところでこれ以上人が増えて話をするのには無理がある。机の上の電話が鳴った。

「あっはい。わかりました。。。」

狭山は受話器を置いた。

「今から来るそうです。たぶん10分ぐらいで」

オレ
「わかった。君はそこに居てくれ」

オレ
「何処か空き室を確保してくれ、そこででも話をしよう」

横山はすぐにそれを調べに動いた。

暫くするとフロントのドアがノックされた。オレは頷いて狭山にドアを開けさせた。狭い室内に入ろうとした男。オレたちを見て驚いたようだった。後ろにもうひとり。


「なんだお前ら」

オレ
「ムトーと申します。今日からここの管理を毛利社長から任されました」


「何だと」

オレ
「これが委任状です」


「・・・」

オレ
「後ろに居るのは松島支配人ですね?ご一緒に出勤ですか?」

松島
「いえ私は・・・」

オレ
「松井、松島支配人と話をしてくれ」

松井は松島を連れて10号室へ連れて行った。

オレ
「あなたはここの売り上げを持ち出しているそうですね」


「毛利社長がそうしてくれ!って言ってるからな」

オレ
「この2週間でいくら持っていったんですか?」


「お前にはカンケーねーよ(笑)」

オレ
「そうですか。でも今日からは渡せません」


「ほう^^にーちゃんたちオレらにケンカ売ってんのか?(笑)」

オレ
「いえ。ビジネスです。明日毛利氏の依頼を受けてうちの弁護士がおたくの借金の返済のことで伺う予定です」


「ふーーーん」

オレ
「ですから今日はこのままお引きとりください」


「ガキの使いできてるわけじゃねーんだよ。オレの仕事は今日のあがりを持って帰ることなんだ。弁護士が来るのは明日だろう?お前らこそ明日こいよ」

オレ
「あははは^^確かにその通りだ(笑)」


「ものわかりのいいにーちゃんだな(笑)」

オレ
「でも、やっぱり今日の売り上げは渡せません」


「なんだと」

オレ
「ケンカしますか?強盗容疑でケーサツ呼びますよ」


「ふん。これは民事だ。サツは何もできねーよ」

オレ
「前田。オレを遠慮なく殴れっ!」

前田
「・・・」


「何だ?」

オレ
「早くやれっ!」

前田はオレの左頬にパンチを入れた。脳天に衝撃が走って眼から火花が散った。オレはよろけた。唇を噛んだ。拭うと手に血がついていた。

オレ
「コノヤローやってくれたな!これで民事じゃなくて立派な傷害だ」


「おいお前何を言ってるんだ。(笑)バカか」

オレ
「狭山。今オレは誰に殴られた?このオッサンだよな?」

狭山
「・・・はい」

オレ
「さて、ケーサツを呼ぼう(笑)」


「いいかげんにしろよ!お前ら・・・」

横山が110番に電話した。

横山
「男が押し入ってきていきなり殴られました。すぐにパトカーを」

オレ
「ちっお前ら明日覚えてろよ」

捨て台詞を吐きながらも男は慌てて出て行った。車の急発進する音が聞こえた。警察にひっぱられるとよほど都合が悪いヤカラのようだった。

前田
「ムーさん。すみません!」

オレ
「このバカっ!少しぐらい手加減しろっ(笑)」

前田
「すみません!手加減したつもりですが・・・」

横山
「ムーさん・・・前田さんがボクシングやってるの忘れたんですか」

オレ
「あーそうだったな(ーー;)」

ドアがいきなり開いた。松井が飛び込んできた。オレと目があった。

松井
「あっ!さっきのオッサンが・・・」

オレ
「いや違う。前田にやられた(笑)」

松井
「えっ?」

横山が不機嫌そうに事情を説明した。

松井
「あははは^^チクショーオレも見たかった(笑)」

オレ
「なんだ?お前が殴りたかったか?」

松井
「はい。オレに命令してくれればもう少し手加減できたものを(笑)」

オレ
「アホっ!空手の有段者に間違っても頼まねーよ」

横山
「それにしてもよくまーそんなムチャクチャしますね。顔が腫れあがってますよ」

オレ
「あっケーサツは?」

横山
「かけてません(笑)」

オレ
「あははは^^」

そして10号室へ行き、松島支配人から事情を聞いた。やはり脅されて無理やり長期契約を迫られたようだ。その時、謝礼として10万受け取ったと正直に告白した。オレは財布から10万を抜き松島支配人に渡した。

オレ
「暫く自宅待機してもらえますか?もし彼らが家にきたらそれを返して下さい」

松島
「はい。」

オレ
「横山、今の話を簡単に文章にしてサインしてもらってくれ」

横山
「了解です」

ドアがノックされた。前田が出た。狭山が入ってきた。

狭山
「8号室の長期契約者が騒いで・・・」

前田
「見てきます」

そう言って前田と狭山が向かった。

オレ
「そういう事で今後は私たちがここを管理しますから、是非協力してください。もちろん松島さんにも落ち着いたら出勤してもらいます。その間しばらく我慢して下さい。」

松島
「はい。すみません。よろしくお願いします」

横山に後を頼んでオレは8号室に行ってみた。部屋の外で大声で文句を言っている。

前田
「じゃーさっそく中を点検します」

見るからにチンピラ風の男と前田は部屋に入った。オレは狭山をフロントに返した。オレと松井も8号室に入った。


「みろよこの風呂!湯が漏れて使えない。すぐに部屋を変えてくれよ」

前田
「ほーこんな穴が開いているとはおかしいですね」


「だろう?わかったらさっさと新しい部屋を用意しろよ」

前田
「バールか何かで壊したようですね?」


「そんなことはどうでもいいんだよオレは早く風呂に」

前田
「舐めるなチンピラ!器物破損で明日被害届を出す」


「なんだとーオレがやった証拠でもあるのかよ」

前田
「そんな事は警察か裁判所で言え!規約違反で退去してもらうぞ」


「やろうってのか?」

オレ
「すみません。お客さん。」


「なんだよ。大勢で」

オレ
「今夜は風呂、我慢して下さい。そして明日になったら出て行って下さい」


「オレは長期契約の客なんだよ」

オレ
「明日。泉州建設に行ってきますから、それで話がつくはずです。これ以上あんたの仕事はここにはない」


「・・・」

オレ
「じゃーお休み^^」

オレたちは8号室へ戻った。横山が文面を考えてそれに署名と押印をしていた。狭山に無理を言ってそのまま通しで明日の朝まで業務を行ってもらう事になった。そして売り上げと伝票を狭山から受け取った。

セドリックに乗りミナミへ戻った。途中道頓堀の遅くまでやってるドラッグストアーに立ち寄って、湿布と大きな絆創膏を買った。

▼24時・・・ギャラクシー・オフィス

理恵ママ
「まーユーちゃん一体( ̄□ ̄;)」

オレ
「あはっ^^酔っ払いに殴られた(笑)」

横山が湿布や絆創膏を取り出した。

理恵ママ
「私がやるからいいわありがとう^^」

オレ
「悪い。特室に行っててくれるか?」

横山&前田
「了解です」

彼らは出て行きオレと理恵だけになった。理恵は湿布をハサミで切りオレの顔にゆっくりと充てた。ひんやりとして気持ち良かった。その上から絆創膏を貼り付けて固定した。オレは鏡で見てみた。大げさだった。

ドアがノックされた。「入ります」声がかかって松井が入ってきた。

松井
「ぷっ^^」

理恵ママ
「やっぱりおかしい?(笑)」

オレ
「なんだよ人の顔をおもちゃにしやがって」

松井
「終礼終わりました」

オレ
「じゃー先にママを送ってくれるか?」

理恵ママ
「私はまだ」

オレ
「いや、今からまた打ち合わせなんだ」

理恵ママ
「・・・わかりましたっ」

オレ
「松井頼む」

松井
「了解です」

事務室を一緒に出てオレは特別室へ入った。

前田
「ムーさん。本当にすみませんでした(笑)」

オレ
「笑ってるじゃねーか(笑)ビールくれるか?」

前田
「はい^^」

口の中を切っていたのでちょっと冷たいビールでぴりっとしたが、気持ちよかった。オレは奥歯を噛み締めて殴られる用意をしていたので、それほど大きなダメージはないはずだが、2、3日は顔の腫れが残るだろう。

オレ
「明日、金融屋へK芸能の石井が乗り込む。その前にもちろん打ち合わせをする。山村弁護士とは明日の朝1番で相談することになってる」

前田
「じゃー明日オレは石井さんと」

オレ
「そーだな。一応そういうことに」

横山
「東京へは?」

オレ
「こっちが行こうと思ってたが、毛利氏に来てもらうことにした」

前田
「オレ今夜はスカイ・オフィスに泊まります。キングコングからの連絡もあるかも知れませんし」

オレ
「そっか。ベッド使っていいから^^」

横山
「じゃーオレも泊まります。^^」

オレ
「あんまり無理するな」

さっきまで香といい感じでちょっと失恋した気分で気持ち良かったのに・・・

松井が戻ってきたので、オレたちは店を閉めて出た。結局松井もスカイ・オフィスに泊まるようだ。セドリックに乗り込みスカイマンションの地下駐車場へ入れた。

オレは1Fで降りて「じゃー明日^^」そう言って振り向かずにマンションを出た。西に10メートル歩いて左に曲がった。理恵のマンション。暗礁番号を押してマンションのオートロックを開けた。EVで最上階へ

インターフォンを押してから鍵を使って部屋に入った。

理恵
「おかえりー^^」

オレ
「お邪魔しますー^^」

理恵
「ユーちゃん。ちょっと」

オレ
「はい。何でしょう?(笑)」

オレはダイニングテーブルのイスに座った。

理恵
「松井君から聞いたわ。前田君に殴らせたんだって?」

オレ
「まー余興みたいなもんだから(笑)」

理恵
「前田君も前田君よね。いくら殴れって言われたからって」

オレ
「あっちょっと大事な話を思いだしたっ」

オレは立ち上がった。そのまま玄関前へ向かった。理恵は慌ててオレを引きとめた。

理恵
「ごめんなさい。つい・・・」

オレ
「いや、ほんとに大事な話が残ってるんだ。みんな居るし今日は事務所で寝る。^^」

理恵
「ごめん。本当にごめん。」

オレ
「そんなに謝らなくていいさ」

理恵
「だったらお願い帰らないで」

オレ
「・・・」

理恵
「ねっ」

オレ
「じゃービール」

理恵
「はい」

オレはリビングへ戻り上着を脱いでソファに座った。理恵はビールとグラスを持って隣に座った。オレは仕方なくグラスを持った。理恵が両手でビールを持って注いだ。

グラスの半分ほど一気に飲んだ。

オレ
「心配かけて悪かったな^^」

理恵
「ううん」

理恵はオレの目を凝視するように見ている。

オレ
「ん?」

理恵
「もう怒ってない?」

オレ
「最初から怒ってなんかないさ(笑)」

理恵
「ううん。怒った。怖かった。」

オレ
「そんな事言われたの始めてだよ」

理恵
「気付かなかったら私は嫌われて・・・」

オレ
「だからそんなことないって」

理恵
「これから気をつけるから許して?」

オレは男には優しくて女には厳しいらしい。居心地がよくないところいには居たくない。あのまま不快な話を聞かされるぐらいなら、あいつらと酒盛りでもしてゴロ寝するほうがよほど楽しい。

まーその事にすぐに気付いたんだからよしとするか?でもすぐにプロのオンナに戻ってるじゃないか。

オレ
「こんな顔だから怒ってるように見えるのかなー(笑)」

理恵ママ
「そーかも^^男前が台無し」

オレ
「あははは^^」

オレはあくまでもトボけた。

店でも顔を合わせ、仕事の内容もある程度知られている。そういう意味では今一番オレの身近に居て、オレの世話も焼いてくれる。だけどオレのオンナではない。あくまでも高橋の代わりに接しているだけなので、気持ち的には楽だった。

高橋の代わり、それは理恵を抱くことも含まれている。

背中に大きな龍の刺青をしている理恵。成熟したオンナの魅力もあり、その体はオトコを夢中にさせるのに十分だった。

理恵を裸にしてベッドにうつ伏せに寝かせる。後ろから背中の龍にキスをしながら乳を揉む。

尻を撫で尻の割れ目にそって、オンナの穴に触れる。いつの間に?と思うほど理恵の穴は熱いものが溢れている。背中のキスを続けながらクリトリスを指先で転がす。

理恵
「あーーー」

理恵の体をベッドから降ろして、ベッドの端に手を着かせる。オレは龍を見ながら理恵の腰を持って後ろから挿入した。

理恵
「うわぁーーー」

半分ほど挿入してゆっくりと責めた。単調なリズムで責める

理恵
「あーお願い」

オレ
「なに?」

理恵
「もっと・・・」

オレ
「もっとなんだ?」

理恵
「もっと入れてー」

オトコの味を知り尽くしている体が、オレのモノを欲しがってる。オレは力強く腰を使い理恵の穴の奥を一気に責めた。

理恵
「うぁーーー」

激しい動きを続ける。理恵の上体が揺れる。同じように龍が動いている。

理恵
「あーーーあーーーあーーー」

理恵は大きな声を上げていった。それでもオレの動きは止まらない。

理恵
「うぅーーー」

理恵は次を待っている。すぐにそれがやってくるのを知っている。

理恵
「うっあーあーーあーーー」

理恵は立て続けにいった。オレは理恵の体から離れた。理恵のその姿を見ていた。

理恵
「あぅ」

理恵の体はまだ反応している。快楽の余韻が残っているようだった。オレは理恵の体を持ってベッドに上げ、布団の中に入れた。同時にオレもそこへ入った。

理恵を横抱きにして、股間を撫でてやる。

理恵
「あなたもいって」

オレ
「後で」

理恵
「私の中でいっぱい喜んで」

オレ
「ああ」

理恵の体はぴったりとオレの体に吸い付くようにくっついている。そんな体に安心して放出していたら・・・すべてを吸い取られそうだった。

オレはキョーコの事を思い出していた。ふたりでからまり合うように過ごした時代。それからの時間が経ち過ぎて、いくら望んでも今のオレにはあんな恋愛はもう出来ないのだと思った。


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