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GOODNIGHT TONIGHT


1979年「GOODNIGHT TONIGHT」
Paul McCartney & Wingsが続きます^^
1979年12月PART2-------------

山村
「んーーー月額1万円の3年契約、支配人は脅されたけど金を貰った。裁判で契約の無効を争えば時間はかかっても勝てるとは思いますけど・・・」

オレ
「相手はやくざですけど、和解交渉は平行してやるつもりなんですが、納得がいかなくて(笑)」

山村
「一応提訴の方向も進めましょう」

オレ
「はい。それと高利貸しの返済の方は我々で交渉しますが、決裂した場合に元金の一括返済と高利の件、それとホテルの売り上げを勝手に持って行ってる現状ですぐに法的措置は可能ですか?」

山村
「一括返済に応じないというのは問題外で、また法定金利以上のものは当然違法ですから取り返せるでしょう。売り上げの持ち帰りも言語道断です。」

オレ
「わかりました。じゃーとりあえず交渉がうまくいかない場合はそういう事でよろしくお願いします」

山村
「ムトーさん。気をつけて下さいね」

オレ
「ご心配かけてすみません」

オレの左の頬の腫れは昨日より酷くなっているようだった。もっとも今日がピークだとは思うが、この顔であまりウロウロしない方がいいのはわかっている。しかし、のんびりと人任せにしておけなかった。

山村弁護士事務所を出ると、松井がトランザムを前に回していた。オレはそれに乗り込んで車内から東京の毛利商会に電話した。途中松井が病院の前でクルマを停めた。オレは仕方なくそこへ入り診断書を書いてもらった。

▼10時・・・スカイ・オフィス応接室

石井
「ムーさん。そのお顔は?」

オレ
「あはっちょっとシャレで^^」

オレは簡単に昨夜の経緯そして山村弁護士と相談した内容も説明した。

石井
「わかりました。ムーさんはこれ以上は前に出ないで下さい」

オレ
「いやでもそれじゃー役者が足りないでしょう?」

石井
「どういう意味です?」

オレ
「問題は借りた金の一括返済の話。それと長期契約の解除の話。それらは裏で繋がってるとしても別々の顔で話をする必要があるでしょう?」

石井
「と言うと?」

オレ
「最低でも二人必要じゃないかと」

前田
「じゃーオレが」

オレ
「いや、オレが話をしないとダメだろう」

石井
「わかりました。でも挑発には乗らないようにして下さいね」

オレ
「あはっ!オレは大丈夫ですよ(笑)」

石井
「そーかなー?(笑)」

オレと前田、石井と高坂の4人でセドリックに乗って浪速区にある「ニコニコローンズ」へ行った。オレと石井、高坂が店内に入り前田は車内で連絡係として待機させた。「毛利通商」の件だと石井が受付で言うと、奥の応接室に通された。店内はごく一般的な人間が営業を行う普通の金融屋に見えた。

応接室のドアが開き男が二人入ってきた。オレたちは立ち上がった。


「営業部長の坂上と申します。こちらは専務の南田です」

石井
「K芸能の石井と申します。こちらは・・・」

オレ
「ギャラクシーのムトーと申します」

薦められるままに席についた。制服を着た女子がお茶を持ってきた。彼女が出て行くまで誰もが無言だったが、オレはその女子に笑顔で礼を言った。

坂上
「毛利通商さんの件と伺いましたが?」

石井
「毛利さんから依頼されて借りた金の返済にきました」

坂上
「そうですか?でどの様な返済方法ですか?」

石井
「元金一括返済です」

坂上
「ほう^^4000万を一括返済していただけるわけですか?」

石井
「もっともこの2週間余りホテルの売り上げを持って行っているそうですから、それを差し引かせてもらいますけどね」

坂上
「それは無理ですね。滞っていた利子に充当していますしまだそれも足りていません」

オレ
「じゃーそれらを含めた今日の時点での精算明細をすぐに出してもらえますか?」

ふたりの男が同時にオレの方を見た。それまで黙っていたもうひとりの南田という50前後の男が口を開いた。

南田
「昨夜、自分の部下に殴らせてうちの者を追い払ったおにーちゃんだな?」

オレ
「いえ。この顔はそいつに殴られたんです(笑)」

南田
「クククっ面白いおにーちゃんだ」

石井
「この契約書の金利は暴利ですよ^^今年の5月に2500を借りてそれが8月には元金と金利を合計した4000になってる。それからは金利だけでも儲けたでしょう」

坂上
「うちは4000出した。その前のことは他社のことでしょう関知しておりません」

石井
「どうせ懐は一緒なんでしょう?」

坂上
「法的にはまったく別会社ですから知りません」

オレ
「法的にですか・・・じゃー法定利息を上回る金利で貸している事はどうなるんですか?」

南田
「だったらどうするんだ?」

オレ
「弁護士が言うには4000を供託して、法廷金利の上限でこれまで支払った金利を差し引いたものを返還してもらう提訴を起しなさいと言われました」

南田
「なるほど(笑)じゃーそれをやったらいい。」

石井
「その前に毛利通商が倒産する訳ですね」


「さて、そんな事情があるのかないのか毛利さんに聞いてみたらどうです?」

オレ
「15日の手形、5000ぐらいでした?なんならオレが持ちますよ」

南田
「あんた本気でうちとやろうっていうのか?」

オレ
「ビジネスの話ですから妥協点を見つけたいと思ってるだけですよ」

南田
「あのホテルあんたが買って営業するつもりか?」

オレ
「一応」

南田
「うち以外にもう1社あるけどそことも話がつけられるかなー?」

オレ
「努力します^^1時間後にもう1度来ますので、持って帰ったホテルの売り上げ明細を用意しておいてください。

オレと石井は応接室を出た。お茶を持ってきてくれた女子を見つけて手を振って店を出た。そこには前田と高坂が居た。4人でクルマに乗り込んだ。オレはすぐに車内から電話をかけた。

オレ
「えっ15日の後に20日決済の手形があるんですか?」

「他には?」

「どうして最初に言ってくれなかったんですかー」

「とりあえずすぐ大阪へ来て下さい。もちろん印鑑も必要です」

「じゃー着いたらすぐに連絡下さい」

「お願いします」

前田は近くの公園の前でセドリックを停めた。

オレ
「やっぱり他にも2000万の手形を振り出してニコニコが紹介したところで割って貰ったらしいです」

石井
「ムーさんの勘が当たりましたね」

オレ
「とりあえずそれも金はこっちでなんとかします」

石井
「わかりました。ここから先は私がやりますからムーさんは戻って下さい」

オレ
「いや午後からあともう1社あるじゃないですか」

石井
「そこも私だけで十分です。どうせヤツラは繋がってますから」

オレ
「いや、でも後で来ると言ってしまいましたから」

石井
「いえ。これ以上南田がムーさんに興味を持っても困りますから(笑)」

オレは不承不承だったが、これ以上石井に逆らわない方がいいと思って前田を残して事務所に戻ることにした。

前田
「後ろに松井が居ますので、それで戻って下さい」

オレ
「えっ?来てるのかあいつ」

前田
「トランザムでずっと付いてきてました(笑)」

後ろを振り向くと、公園の角を曲がったところにトランザムが停まっていた。オレはセドリックを降りてそこへ近づいた。松井が車外に出た。

松井
「お疲れさまです^^」

オレ
「ヒマなやつだな(笑)」

松井
「何処へ行きます?」

オレ
「んーーー理恵のところでメシ食わせてもらおう^^」

オレは助手席から電話を何本かかけた。クルマはスカイ・マンションの地下駐車場へ停めた。そこから歩いて理恵のマンションへ向い松井と共に理恵の部屋へ上がった。

理恵
「いらっしゃい^^」

オレ
「腹減った」

理恵
「もうすぐ鰻が来ると思うから^^」

オレ
「オッケー」

松井
「お邪魔します!」

オレと松井はリビングのソファに座った。理恵はビールとグラスを持ってきた。松井は恐縮しながらもグラスを持った。理恵がビールを注ぐ。

理恵
「病院行ったの?」

オレ
「あー行ってきたよ診断書もらいに」

理恵
「昨日より酷くなってるじゃない」

オレ
「病院へ行ったからといってすぐに治らないさ(笑)」

猿芝居の診断書。こんなものでも何かの役に立つかも知れない。と思って医者に行った。何しろこの顔は敵にやられた事になっているんだから(笑)そこでも湿布薬を出してもらっただけだった。

理恵
「事務所に居ると事情を知らない人は心配するでしょうね」

松井
「今日と明日ぐらいは大人しくしてて下さい(笑)」

理恵
「そうねっ!松井ちゃんお願いね」

理恵は特上のうな重を5つ注文していた。足りなかったら困るだろうと思ったようだ。仕方なくオレと松井は二人前づつ食った。そして松井は事務所に戻った。何かあれば直接こっちに電話するかポケベルを鳴らす事になった。

理恵
「ケンちゃんと何かやってるのね」

オレ
「まーな」

理恵
「でも松井君が一緒にいてくれて安心だわ^^」

オレ
「あいつがずっと付いてくるから、他の女のところへ行けない(笑)」

理恵
「じゃーずーとくっついててもらいたいわ(笑)」

オレ
「松井だけじゃなくて、理恵ママとの関係はもうみんなにバレてるみたいだし」

理恵
「ホステスたちもとっくに気付いているわ」

オレ
「そんなもんか?」

理恵
「控え室ですぐに噂が回っちゃうから」

オレ
「ふむ」

もちろんそんな事は表立っては誰も聞かないし話題にしない。暗黙の了承になっているようだった。それを人がどう思うか?気にしていると仕事にならない。という面は確かにある。だが・・・

理恵
「それでね・・・問題があるの」

オレ
「ん?」

理恵
「そろそろ言わないといけないって思って」

オレ
「なんだ?」

理恵
「ギャラクシーのオンナの事」

「接待に出るオンナ達の事なんだけど」

「接待に出れば、もちろん特別な報酬が出る。でもそれだけじゃないの」

「彼女たちが望めばオーナーが相手をしないといけないの」

オレ
「相手って?」

理恵
「セックスよ」

オレ
「バカなっ!彼女らにも恋人は居るだろう?誰も望まないさ」

理恵
「7人居るのその中で恋人の居る子は4人だけど、3人は変わってて居ないの」

「佐和子、加奈子、智子」

「特に加奈子がご褒美をねだってるの」

オレ
「冗談はやめてくれ」

理恵
「この間の昭和相銀の時、加奈子に声かけたでしょ?」

オレ
「えっ」

理恵
「あなたが加奈子に『かなちゃん悪かったな』って」

オレ
「・・・」

理恵
「加奈子それで舞い上がってしまって」

オレ
「そんな」

理恵
「だから1度抱いてやって」

オレ
「ダメだ」

それがギャラクシーのオンナの正体なのか?バカげている。そのオンナたちはそれこそ高級コールガールで、元締めがオーナーだとするとオーナーはそのオンナたちをも自分のオンナいや商品として扱うのか?

オレ
「そんな決まりはオレがオーナーになった以上止めさせる。そして今後一切接待は行わない。生玉のホテルの盗撮システムも破棄する」

理恵
「・・・」

オレ
「今日にでもその7人を集めてくれ!オレから説明して謝るから」

理恵
「前にも言ったと思うけど、家族なのよ」

「うまく説明できないけど、彼女らにはそういう環境が必要なの」

「なんなら今から呼ぶ?彼女たちはすぐにやってくるわ」

「そしてきっとみんな反対すると思う」

オレ
「有り得ない。今夜、特室に集めてくれオレが直接話す」

ポケベルが鳴った。オレは理恵の部屋の電話から連絡を入れた。石井が戻ってきたようだった。

オレ
「事務所に行く」

理恵
「はい」

それ以上は何も話さずにオレは上着を来て部屋を出た。EVを降りると入り口の外には松井が居た。

オレ
「お前も心配症だなー(笑)」

松井
「タバコを買ったついでですから^^」

▼14時・・・スカイ・オフィス

オレの顔を見てさっちゃんは驚いていた。松井はウィンクをした。オレは応接室に入った。石井と前田がいた。

オレ
「お疲れ様です」

石井
「2社とも結局理由にならない理由でのらりくらりと時間稼ぎに出ました」

オレ
「ということは?」

石井
「15日の不渡りが出るのを待っているんでしょう」

オレ
「毛利氏が来たら売買契約を結んでしまって名義変更を先に行ってしまいましょう」

石井
「15日の5000万20日の2000万、それ以外にないか?確認したら明日にでもそれをネタに一気に話をつけます」

石井はとりあえずK芸能の事務所に戻った。毛利氏が来た段階で再び話し合うことにした。

オレ
「松井と前田で毛利さんを迎えに行ってくれるか?」

松井
「さらわれる可能性が?」

前田
「そこまでしますかね?」

オレ
「いや本人にこれ以上勝手にウロウロされても困るから、とりあえずここに連れて来てくれ」

前田&松井
「了解です」

オレは自分のデスクに座った。手帳を広げて12月の月間予定表を眺めていた。眼に入るひとつひとつの予定を眺めていた。そうしているとその隙間を埋めるようにそれまでにしておいた方がいいと思われる小さなテーマが浮かんでくる。

横山
「手を引いた方がいいんじゃないですか?」

オレ
「そーだな」

横山
「今回はどう考えてもハイリスク、ローリターンですね」

オレ
「でも、『人はパンのみにあらず』って言うじゃないか」

横山
「ムーさん。やっぱりカトリックだったんですね(笑)」

オレ
「いや、浄土真宗だ(笑)」

さっちゃんが珈琲を持ってきてくれた。

村上
「前田さんに殴られたって聞いてびっくりしました」

オレ
「ちょっとした芝居で必要だったんだ^^」

村上
「せっかくの顔が・・・」

オレ
「えっ?バカっぽい顔が余計バカに見えるって?(笑)」

村上
「(笑)でも気をつけて下さいね」

オレ
「はいはい^^」

電話が鳴った。さっちゃんが取り「毛利さまからです」と言った。オレは目の前の受話器をとって外線ボタンを押した。

オレ
「はい。ムトーです」

「そうですか。すでにうちの者が迎えに出ています。前田と松井です。一緒にこちらへ来て下さい」

「はい。お願いします」

オレは受話器を置いた。オレはさっちゃんにホテルを1室予約するように頼んだ。

横山
「石井さんはどうします?」

オレ
「先に毛利さんとオレふたりきりで話をしてみるよ」

オレ
「他の店の連中は今日はこないのか?」

横山
「ギャラクシーオフィスの方へ行かせてます」

オレ
「そっか。その方が効率がいいか・・・」

横山
「はい」

暫くすると毛利氏を案内して松井と前田が戻ってきた。オレは毛利氏とふたりで応接室に入った。

毛利
「大阪はまだ暖かいね。東京は寒くていけない^^」

オレ
「そーですか」

毛利
「六本木の「カーブス」そこの経営者は他にも店をやっててね。そこで知り合ったんだ」

オレ
「・・・」

毛利
「案内された店の奥に特別室があって、バカラ賭博が行われていたんだ」

「最初は勝ってね!いい思いをしてたんだけど・・・」

「すぐに負けが込んで、簡単に融通してくれたもんでのめり込んでしまった」

「そしたら借金が1億になって・・・」

「ちょうどそのタイミングで大下さんが倒れて、姉に無理をいって1億融通してもらった」

オレ
「そーでしたか」

毛利
「簡単に1億を返したもんだからやつらも上機嫌でね。豪勢な接待をしてくれて、そしてまたバカラにハマって」

「そしたら高利貸しや手形やらで調整していくうちに、銀座のオンナまでつけてもらってギャンブル三昧」

「気がついたらあっと言う間にここまで来てしまった」

オレ
「15日の手形決済は5000万ですか?」

毛利
「うん」

オレ
「それ以外には?」

毛利
「電話でも言った通り、20日に2000万の決済。同時に箕面の姉の自宅を抵当にとられているのでそれもたぶん持っていかれてしまうだろう」

オレ
「どうするつもりなんですか?」

毛利
「そーだな。何処か温泉でも行ってゆっくりしてから・・・首でも吊るよ」

オレ
「・・・」

毛利
「これだけ姉や家族、大下さんにまで迷惑をかけた訳だからそうするしかないもんなー」

毛利氏は表情は穏やかだった。その落ち着いた態度は本当にそんな事を考えているのかどうか?読めなかった。

毛利
「せっかくムトー君に助けてもらってチャンスを貰ったのに申し訳ない」

オレ
「いやそれは・・・」

毛利
「本当にカーブスを買い取って「ディスコ」やりたかったよ」

オレ
「・・・」

毛利
「いや大下さんがね。いつも自慢してたんだ。「うちの若い連中が頑張ってディスコを流行らせてくれて儲かってる」って」

オレ
「15日に5000万、20日には正確にいくらなんですか?」

毛利
「2000万の手形は同じようにニコニコローンなんだ。箕面の方は別のところで・・・同じく2000万」

オレ
「それをクリアーしたらどうなります?」

毛利
「表面上の倒産は回避できる」

オレ
「本業の方の輸入家具はどうなんです?」

毛利
「うん。イタリア直輸入のいい家具が倉庫で大量に眠ったままだ(笑)」

オレ
「毛利さんはオレにどうして欲しいんですか?」

毛利
「そーだな。できればそんな毛利通商を存続させて1000万ぐらいで引き取ってくれたら嬉しい」

オレ
「借金だらけの毛利通商を?」

毛利
「うん。」

オレ
「その後、毛利さんはどうするんです?」

毛利
「もし生かしてくれるんなら東南アジアにでも暫く滞在してみる(笑)」

オレ
「わかりました。毛利さんオレに印鑑をすべて預けて貰えますか?」

毛利
「えっ?本当に助けてくれるのか?」

オレ
「なんとか」

毛利
「ありがとう」

毛利氏はオレの前で長い時間頭を下げていた。

オレ
「後はこっちでやりますから、うちの横山と一緒に東京へ戻って貰えますか?」

毛利
「横山君といえばムトー君と一緒にいた?」

オレ
「はい。東京の毛利通商の関係は横山に説明してやってください」

毛利
「わかった」

オレ
「じゃートンボ帰りで申し訳ないですけど、これからすぐにお願いできますか?」

オレは毛利氏と応接室を出た。横山に一緒に東京へ行くように伝えた。そして毛利通商の持つ在庫などを調べて管理するように伝えた。

横山
「ムーさん。それって」

オレ
「詳しいことは後だ。すぐに東京へ向かってくれ。新幹線に乗ったら電話をかけてきてくれ」

横山
「了解です」

オレ
「じゃー毛利さん横山をお願いします」

毛利
「うん。ありがとう」

横山と毛利氏は事務所を出た。事務所の中には松井も前田も居たが静まり返っていた。応接室の会話はすべて録音できるようになっている。彼らはヘッドフォンでモニターしていたのだろう。

オレ
「そーいう事だ」

松井
「はい」

前田
「わかりました」

オレ
「じゃー石井を呼んでくれ」

前田が受話器をとりK芸能に電話した。石井はすぐにやってきた。応接室に入りことの仔細を説明した。

石井
「そーですか。毛利通商をまるごと抱え込むことになったんですか」

オレ
「成り行きで・・・」

石井
「何故そこまでするんです?」

オレ
「毛利さんには何の義理もありませんけど・・・前の社長にはお世話になりました。その人が住んでいる箕面の自宅も確保しないと」

石井
「そうですか。そうなった以上腰を据えてやりますか!」

オレ
「大変な無理をお願いすることになってすみません」

石井
「いえ。面白いですよ(笑)」

石井は呆れ顔で聞いていたが、最後は笑って協力してくれることになった。とてもヤクザとは思えない笑顔だった。

オレ
「ちょっと出てくる」

松井
「はい」

松井は付いてきた。

オレ
「いや、ちょっとひとりで行きたいんだ」

松井
「ダメです」

オレ
「・・・じゃー箕面に行ってくれ」

松井
「了解です」

松井が運転するトランザムに乗って箕面に向かった。箕面の駅前で花とケーキを買った。細かな道を指示してオレは大下社長の自宅前でトランザムを降りた。玄関先のインターフォンを押した。暫く待ったが応答がない。再度押して待ったが反応はなかった。オレは表の扉を開けて入り、玄関先で声をかけてみた。

玄関の開く音がして、人が出てきた。

オレ
「どうも^^ムトーと申します。以前大下社長にお世話になっていた」


「はい・・・」

オレ
「あっこれどうぞ^^ちょっとお見舞いのつもりでやってきました」

女は大下社長の娘さんだとすぐにわかった。オレは買ってきた花束とケーキを渡した。


「あっ父が倒れた時に、病院に居てくれていた人?」

オレ
「はい」


「母はまだ帰っていないんです」

オレ
「社長は?」


「居ますけど・・・」

オレ
「会えますか?」


「どうぞ」

オレは家の中に招き入れられ応接室に通された。南に面した窓から広い庭が見える。何度かここへ通されて見た光景だった。

応接氏のドアが開いて車椅子に乗った老人が現れた。よく見ると大下社長だった。やせ衰えて下半身は毛布で覆われ、鼻からはチューブが通されていた。

オレの顔を見ようともしない。

オレ
「社長。ご無沙汰してます。ムトーです。」


「すみません。父は声が出ないんです。それに最近は痴呆症も出ているってお医者さんが・・・」

オレ
「そうですか。じゃーボクが一方的に報告するだけにします」

家族に重い病人を抱えていると、自然にその家自体が暗いムードになるのか、高校生の娘さんは同じように沈んでいるように見えた。

オレ
「ご無沙汰してます。何度が訪れたんですけど会えなくて、すみませんでした」

「東洋ビルは正味堂の内海さんに引き取ってもらいました。そして5階にカプセルベッドを導入してカプセルホテルとして来年2月にオープンさせます。社長と一緒にやるはずだったプランが一応形になりました」

光のない眼がオレの方を向いていた。

オレ
「それから毛利通商の毛利さんですが、事業が行き詰まってどうにもならなくて、オレが引き受けることになりました。この家もなんとか残すように努力します」

社長の左手がゆっくりと持ち上がった。指が震えている。声をだ出そうとしているのか口元が歪むが声は出てこない。光のなかった眼が少し潤んでいるようだった。

オレは車椅子に近づいた。

オレ
「安心してください。なんとか乗り切りますから」

社長
「うぅーうぅー」

オレ
「わかってますから」

オレは社長の手を握った。かさかさに乾いて細い指がものすごい力でオレの手を握り返してきた。

オレ
「はい。わかりました」

娘の幸代ちゃんは買ってきたバラを花瓶に挿して応接室のテーブルに置いた。社長が呻きに似た声を出している姿を見て驚いていた。


「おとーさん!!!」

オレ
「じゃーまたご報告に伺いますから」

オレは応接室を出た。幸代ちゃんはオレの後に着いてきた。


「おとーさん。あんなに声を出して動いて・・・」

オレ
「ちょっと興奮させちゃったかな?ごめんね」


「いえ。すみません。お茶も出せなくて」

オレ
「さっちんだったよね?社長が以前そう呼んでいたような」


「・・・うわー」

幸代ちゃんは両手で顔を覆っていきなり大きな声で泣き出した。オレは戸惑った。普通なら抱き寄せて背中を撫でるぐらいの事はするのだが・・・落ち着くのを待っていた。

オレ
「もう大丈夫だから。安心して」


「・・・すみません」

オレ
「おかーさんやお兄いちゃんは?」


「みんな働きに行ってます」

オレ
「そっか!ちょっと待っててくれる?一度外に出てすぐ戻ってくるから」


「はい」

オレは外に出た。松井は門の外で立って待っていた。

松井
「ムーさん。この家、電気停まってるんじゃないですか?」

オレ
「えっ?」

松井
「もう暗くなってきてるのに何処にも灯りがついてません」

オレ
「そんなバカな・・・」

オレと松井はすぐに駅前の銀行へ行って、キャッシュカードを使い現金を用意した。松井に関西電力に電話をして状況を調べてもらって、すぐに対処するように指示した。同様にガスや水道なども調べさせた。

オレはもう1度、社長の家に戻った。すでに応接室に社長の車椅子はなかった。

オレ
「社長は?」


「暗くなったので部屋に戻りました」

オレ
「もうすぐ電気つくから」


「・・・」

幸代ちゃんはまた泣き出しそうになっていた。

オレ
「大丈夫だ^^オレが来たからには安心して」


「・・・すみません」

オレ
「おかーさんは何時ごろ帰ってくるのかな?」


「仕事を掛け持ちしてますから夜遅くでないと」

オレ
「お兄いちゃんは?」


「学校が終わるとすぐにバイトに」

オレ
「そっか。電話をちょっと借りるよ」


「あっ電話は・・・」

オレ
「ダメか」


「おかーさんの給料日までの辛抱なんです」

オレ
「・・・」

ここまで酷い状態になっているとは想像できなかった。さっきまで感じていた毛利氏に対する同情は消え失せ、強烈な怒りがこみ上げてきた。

オレ
「じゃーこれさっちんが持っているといい^^」

オレは銀行の封筒に入れた現金を手渡した。


「これは・・・」

オレ
「オレの金じゃない。社長の金だと思って使ってくれたらいい。」

オレはBPCの名刺を渡した。

幸代ちゃんはまた泣いた。今度はちょっと抱き寄せて背中を撫でてやった。そうすると余計に泣いてしまった。

オレ
「じゃーオレは帰るけど、おかーさんに連絡してもらえるように伝えてくれる」


「はい」

オレ
「すぐに明るくなるからもう少し頑張って^^」


「はい」

オレは居た堪れない気持ちだった。トランザムの助手席に乗った。

松井
「大下社長の家だったんですね」

オレ
「チクショーあのバカヤローが」

松井
「毛利のおっさんですか」

オレ
「・・・」

松井
「さっき横山から電話がありました。またかけると」

オレは自分のうかつさを後悔した。先月東洋ビルの件が終わった時にやっぱり社長に報告に来るべきだったのだ。今回毛利氏の状況があまりにも悪いので心配してきてみたら、この有様だ。

オレ
「あの家もたぶん毛利通商の名義になっているんだろう。社長一家はただそこに住んでいるだけか」

松井
「社長はどうでした」

オレ
「車椅子に乗ってやせ細って最初オレを見ても何の反応も見せなかったよ」

松井
「そーですか」

オレ
「オレが東洋ビルの話をしたら反応しはじめて、最後は手を上げてオレを呼んだ」

松井
「それはよかったですね」

オレ
「ああ」

▼18時・・・スカイ・オフィス

村上
「お疲れ様です」

オレ
「さっちゃん。もういいよ遅くまでありがとう」

オレたちは大きなテーブルに座った。

村上
「ビールでいいですか?」

オレ
「うん」

松井
「オレはお茶」

オレ
「松井・・・ずいぶんエラソーだな」

松井
「えっいや、その、すみません」

オレ
「うちの可愛い紅一点のさっちゃんを・・・」

村上
「ムーさん(笑)」

オレ
「泣かせたら承知しねーぞ!」

松井
「あっはい!すみません」

オレ
「まだ謝らなくていいけどな(笑)」

松井
「ははは・・・」

さっちゃんはビールと冷たいお茶をテーブルに置くと恥ずかしかったのかすぐに「お先に失礼します」と言って事務所を出た。

オレ
「今回の勝負は絶対負けないからなっ!」

松井
「はい」

オレは自室で着替えた。鏡で顔を見てみた。まだかなり腫れていた。大きな絆創膏を貼った顔は何処かマヌケに見えた。

松井と歩いてギャラクシーに入った。松井はそのまま店内に、オレは関川が来ているというので事務室に行った。

▼19時・・・ギャラクシー・オフィス

関川
「あははは^^その顔(笑)」

オレ
「大きなキスマークさ^^」

関川
「前田が羨ましいよ(笑)」

オレ
「なんだ?みんな本当はオレを殴りたいんだな?(笑)」

関川
「冗談でもそういうシーンにめぐり合えた前田は幸せなヤツだ」

オレ
「ふんっ」

関川はふたりだけの時は荒っぽい話し方になる。今回も自分が一番に参加できなかったことに不満を持っているようだった。

関川
「今度も危ない相手らしいじゃねーか」

オレ
「こっちから強引な手段をとらない限り大丈夫だ」

関川
「そうなのか?でどうするんだ?」

オレ
「今回も、負けられない事情が出来てしまった」

関川
「じゃーやるしかないな」

オレ
「ああ」

ドアがノックされた。「入ります」そう言って前田が入ってきた。

前田
「理恵ママが後で特室に来てくださいと言ってました」

オレ
「そっか」

前田
「キングコングどうしましょう?」

オレ
「どうとは?」

前田
「頼りない連中に任せておいて大丈夫ですかね?」

関川
「オレが行くよ」

オレ
「んーーーじゃー前田と一緒に後で行って来てくれるか?」

関川
「了解^^」

オレは事務室を出て特別室に裏から入った。理恵を囲んで7人のオンナ達がソファに座っていた。オレを認めると一斉に彼女たちは立ち上がった。オレはちょっとびびった。

理恵ママ
「ムトーオーナーの方針を伝えました」

オレ
「そう^^良かった」

佐和子
「ムトーオーナー。これまで通り接待は続けて下さい。」

オレ
「えっ」

佐和子
「私たちはプロのオンナです。店を変わってもいい客を得るためには体を張ることもあります。でも誰も守ってくれません」

「この店に居てギャラクシーのオンナとして居ることで安心できるんです」

「だからギャラクシーのオーナーとして私たちを守って下さい」

オレ
「はっきり言ってオレにそんな力はない。でもうちのカンパニーにはいいスタッフが大勢居る。それらが総力を挙げて君らを守る。だから何も心配しなくていい。もちろん君らに限らずこの店に関わってる全員がそうなんだけど」

佐和子
「それはわかります。でもギャラクシーはミナミで1番の店にならないとダメなんです。その為には接待も必要な場合があります。」

オレ
「そういうのは・・・嫌なんだ。」

佐和子
「これはここに居る7人の総意なんです」

オレ
「どうしてもダメだと言ったら?」

佐和子
「・・・私はこの店辞めます」

オレ
「仕方ないな・・・縁がなかったということで、お疲れ様でした」

オレは特別室を出た。そしてそのまま外へ出た。しかしこの顔でどこにも行く気がしなかった。しかたなく事務所に戻った。ポケベルが鳴っていたが無視した。

今回の毛利通商の関わりを整理してみた

キングコングは銀行から2億、2、3番抵当を設定しているニコニコローン関連が5000万それを3億で買う、毛利氏は残った5000万で15日の手形5000万を決済するつもりだが、20日にはニコニコに振り出した融通手形2000万と箕面の社長宅を抵当に入れて短期で借りている2000万の決済が必要だ。もっとも社長宅はたぶん他にも銀行あたりから抵当権が設定されているだろう。そして毛利氏自身に1000万を渡す。合計で3億5000万で毛利通商を引き取る。もともと毛利氏が最初に希望した額と同じだった。

事務所の電話が鳴った。オレは受話器をとった。

「BPCムトーです」

「横山にはこっちからかける」

「理恵には後で行くと言っておいてくれ」

オレは電話機のフックを押して電話を切った。そして毛利通商にかけた

「ムトーです」

「お疲れ。他に何か出てきたか?」

「そっか。わかった。もう1日そこに居てくれ。」

「うん。じゃー頼む」

▼21時・・・ギャラクシー・オフィス

前田
「関川さんが騒ぐ長期契約の部屋で文句を言いに言ってちょっとモメました」

オレ
「それで?」

前田
「Maggie北新地の渡辺とMary'sの城田をキングコングに詰めさせました。」

オレ
「そっか。長期契約者と多少モメても構わん。それでいい」

前田
「はい。それ以上に応援が必要になったらこっちに連絡が入るようになってます」

オレ
「そうなったら?」

前田
「オレか松井、それとここの田辺、石岡あたりで駆けつけます。」

オレ
「そっか。じゃー頼む」

前田
「後、ママが心配してます」

オレ
「うん。前田お前はどう思う?」

前田
「詳しくは知りませんが、ムーさんの考えはいつも正しいと思ってますから」

オレ
「スマンな^^」

前田
「(笑)」

オレは事務室を出て特別室に行った。理恵と佐和子が居た。オレはソファには行かずにカウンターバーに入りジン・トニックとモスコを2つ作った。理恵と佐和子が近づいてきた。

佐和子
「先ほどは申し訳ありませんでした。反省してます。許して下さい」

オレ
「許すも許さないも君が決めたことだ」

佐和子
「・・・申し訳ございません」

理恵ママ
「私からもお願い」

オレはモスコ・ミュールをふたつカウンターに置いた。

オレ
「千日前のディスコで始めてバイトした時カウンターに入ってた。これぐらいはつくるれる(笑)」

理恵ママ
「わー頂きます^^」

佐和子
「・・・」

オレ
「毎日、グラスばかり洗ってた。その時の上司が関川だ」

理恵ママ
「まー関川君、上司だったんだ(笑)」

オレ
「厳しい上司で毎日怒られてたよ」

「ある時オレはキレて関川に言ったんだ」

「こんなバカばっかりの店でやってられねーって」

「そしたら、気に入らなかったらいつでも辞めろ!って言いやがった」

「オレは、それは違う。お前ら全員放り出してやるって啖呵をきった」

「1ヶ月後・・・その通りになってオレはマネジャーになった」

「オレは知らなかったが関川はその時、裏でオレに協力していた。それから大笑いしてオレの部下になった」

「それ以来、ふたりきっりの時はオレの兄貴のように小言を言う」

理恵ママ
「いい関係ね」

オレ
「松井や前田だってそうさ。年はオレと同じなんだ。」

「ただ、たまたまオレがリーダーとしてやってきただけで、オレが居なくてもやつらだけでうちのカンパニーは回る」

「ここだってそうさ。理恵と佐和子で運営すればいい。なんかあれば石井に出張ってもらえばいい。」

理恵ママ
「どういう事?」

オレ
「オレはギャラクシーから手を引く」

「高橋から預けられたモノはすべて返す」

「今月いっぱいでそうする」

理恵ママ
「待ってユーちゃん。いえムトーさん」

佐和子
「そんな・・・」

理恵ママ
「高橋から怒られます。」

佐和子
「私が悪いんです。何でも言う事聞きますからお願いです許して」

オレ
「さわちゃん。オレは怒ってるわけじゃない。気がついただけなんだ」

「ここはオレがつくった店じゃない。やっぱり元の持ち主に返すべきなんだ」

「ただそれに気付いただけなんだ」

理恵ママ
「それじゃーこの店、閉めてください。」

オレ
「えっ」

理恵ママ
「ムトーさんがこの店を運営できないと言うならこの店はもう必要ありません。だから来月からクローズしてください」

佐和子
「・・・」

オレ
「ホステスや他のスタッフはどうするんだ?もしそうしたいのなら君たちが決めてやればいい」

理恵ママ
「ムトーさん。あなたはわかってない。カンパニーはあなたが居るからカンパニーなのよ!あなたが居なかったらすぐにバラバラになるわ」

オレ
「そんな風につくっていないさ」

理恵ママ
「いつも先頭に立っているあなたが居るから、みんな安心して頑張ってるのがわからないのね」

オレ
「・・・」

理恵ママ
「このギャラクシーもそうよ。もうこの店はあなたやカンパニーでないとダメなのよ。高橋に返すと言っても誰も納得なんかしないわ。そしてバラバラになる」

「あなたは男には優しいのにどうして女にはそんなに厳しいの?」

「佐和子ひとりぐらい抱いて言う事聞いてあげるぐらいの優しさはないの?」

オレ
「詭弁だ」

理恵ママ
「佐和子今すぐお客さんに帰ってもらってもう店を閉めましょう」

佐和子
「・・・はい」

理恵は特別室を出て行こうとした。

オレ
「待てよ」

理恵ママ
「・・・」

オレ
「どうしてオレを困らせるんだよ」

理恵ママ
「困らせるつもりなんてないわ」

オレ
「佐和子は何が気に入らない?」

佐和子
「私は・・・」

オレ
「向こうへ座れ」

オレはソファに彼女らを座らせた。カウンターのモスコは置かれたままだった。オレは一口飲んでみた。まったくうまくはなかった。

オレ
「なーオレは何処にでも居るただの我侭で生意気なワカゾーなんだ。ギャラクシーのオーナーなんて所詮無理なんだよ」

理恵ママ
「例えそうでも、あなたはカンパニーの代表でギャラクシーのオーナーよ!もうそんな事言っても通用しないのよ」

佐和子
「もう絶対に怒られるようなマネはしませんから」

オレ
「だから怒ってないって(笑)」

理恵ママ
「ううん。あなたは怒ってる。自分のためにギャラクシーのオンナが接待することに、それを許すことはあなたのプライドが傷つけられるから怒ってる」

オレ
「・・・」

確かにその通りかも知れない。オレはギャラクシーのオンナの事なんか考えていない。どうだっていいんだ。ただイイカッコをしている自分を見せたかっただけかも知れない。そんなオレは理恵が言うようにオンナに優しくないのかも知れないな」

理恵ママ
「接待はあの客以外はもうしない。どうしてもそれが必要だと思った時は私と佐和子でやる。」

オレ
「・・・」

佐和子
「お願いです」

オレ
「わかった」

理恵ママ
「ほんと?」

オレ
「くどい」

理恵ママ
「はい^^」

佐和子
「私は・・・?」

オレ
「不問だ」

佐和子
「ありがとうございます」

オレは立ち上がって特別室を出た。そして事務室に入った。誰もいない。冷蔵庫からビールを出した。グラスをとりビールを注いだ。一気に飲み干してまた注いだ。ドアがノックされ理恵が入ってきた。

理恵
「さっきはごめんなさい」

オレ
「・・・」

理恵
「まさかあんなこと言い出すとは思ってなかったから」

理恵はオレの正面に座った。オレは立ち上がり冷蔵庫から新しいビールを出してまた自分で注いだ。

理恵
「機嫌直してー?」

オレ
「理恵はノーテンキでいいな^^」

理恵
「あはっ^^ミナミのオンナですから」

オレ
「頭が痛くなってきた」

理恵は立ち上がり机の引き出しからオレの頭痛薬を出した。

オレ
「よく知ってるな?」

理恵
「当たり前よ^^」

オレ
「松井か?」

理恵
「前田君からも(笑)」

オレ
「ったく」

オレはビールで頭痛薬を飲んだ。目の前の電話が鳴った。オレは受話器をとった。

オレ
「はいギャラクシー・オフィスです」

「私ですが?」

「ご無沙汰しております」

「いえ、はい私は構いませんが・・・」

「じゃー今から向かいます」

オレは受話器を戻した。

オレ
「ちょっと出てくる」

理恵ママ
「はい^^」

理恵は先に事務室を出た。オレ上着を着て裏からそのまま出ようとした。すでに理恵が松井に伝えたらしく松井は待っていた。

松井
「運転します」

オレ
「何処かわかってるのか?(笑)」

松井
「たぶん箕面あたりかと」

オレ
「(笑)」

スカイ・オフィスの地下駐車場へ行きトランザムに乗って大下社長宅へ向かった。門柱の灯りが点いていた。チャイムを押すとすぐに応答があった。玄関が開かれオレは入ってすぐの応接室に招き入れられた。

オレ
「ご無沙汰してます」

奥さん
「昼間に来ていただいて助けてもらってほんとにありがとうございました」

オレ
「いえ。もっと早く来るべきだったと」

奥さん
「あんな大金まで貸してもらって・・・何から何まで」

幸代ちゃんがお茶を持って入ってきた。

幸代
「お昼はありがとうございました」

オレ
「いえ、お安い御用です^^」

幸代ちゃんは少し笑顔を見せて応接室を出て行った。

オレ
「克也君は?」

奥さん
「まだバイトしてて12時ぐらいでないと帰ってきません」

オレ
「そうですか頑張ってるんだ。大学は何処に?」

奥さん
「関西学院の社会学部に」

オレ
「社会学部ですか!すごいじゃないですか(笑)」

奥さん
「喜んだのもつかの間で、こんな事になってしまって」

オレ
「もう大丈夫です。安心してください」

奥さん
「・・・」

オレ
「それからもしどこかにお金を借りているんならそれも全部教えてください。こちらで処理しますから」

奥さん
「・・・」

オレ
「今生玉のホテルを取り戻そうとしてます。その内、社長に復帰してもらいますから」

奥さん
「そんな事・・・」

オレ
「昼間に社長にも約束しました。社長も納得してくれてます」

奥さん
「何て言ったらいいか、ありがとうございます」

オレ
「ここの家も確保するてはずですから安心して住んでください」

奥さん
「・・・ムトーさんどうしてそんなに」

オレ
「社長に元気になってもらって、また一緒に仕事が出来ればいいかな?と(笑)」

奥さんは泣き出した。オレはオンナの涙に弱い。だけど・・・さすがに抱くことはできず背中を撫でることもしなかった。

オレ
「もし気分転換が必要だったら引越しもいいかも知れませんね」

奥さん
「はい。私もそれは考えていたんですけど・・・」

オレ
「幸代ちゃんは芦屋女子高校でしたよね。芦屋あたりだと関学も近いしいいかも知れませんね。車椅子のことも考えて、過ごしやすいマンションでも探しましょうか?」

奥さん
「そんなに甘えていいんでしょうか?」

オレ
「ええ。ボクも社長にはずいぶん甘えましたから^^」

奥さん
「私が馬鹿だったんです。あの人が言ったように全部ムトーさんに任せていればこんなことには・・・」

オレ
「いえ。今からでも遅くないですから大丈夫です。^^じゃーとりあえずそんな感じで進めます」

オレは立ち上がってくだらない冗談を言いながら玄関を出た。最後には奥さんにも笑顔が戻ったようで外まで出てきて見送ってくれた。

トランザムの助手席に乗った。松井はクルマをすぐに出した。FMラジオからクリスマスソングが流れていた。

松井
「これで少しは安心してもらえますね」

オレ
「そうだな。大下社長もなんとか元気になってくれればいいが」

松井
「それにしても毛利ってヤツは酷い男ですね」

オレ
「想像力のない人間なんだろうな」

松井
「ムーさん。また余計な人助けしようとしてます?いやもうしてますけど」

オレ
「お前はどう思う?」

松井
「ムーさんは気前がいいから、今度のホテルあげちゃうんじゃないかと(笑)」

オレ
「あははは^^」

あの頃と同じジョン・レノンのハッピー・クリスマス歌が聴こえていた。

オレ
「松井、お前さっちゃんと結婚しろ」

松井
「なっ何を言い出すかと思ったら」

オレ
「あの子はいい嫁さんになるだろうなー」

松井
「結構頑固ですよ!オレよりムーさんの言う事の方が大事みたいですし(笑)」

オレ
「そっか^^」

松井
「喜ばれても困るんですけど(笑)」

オレ
「あははは^^」

▼23時・・・スカイ・オフィス

松井はセドリックに乗り換えてギャラクシーに戻った。オレはジーンズとシャツに着替えた。バドワイザーの缶を持ってデスクの後ろの窓の前に立った。

ミナミの街の灯が見える。12月はいつもよりその灯りが明るい気がした。バドワイザーを飲み干して缶を潰した。

タクシーを拾って玲子のマンションに行った。インターフォンを鳴らしてから鍵を使って部屋に入った。

玲子
「おかえりー^^」

オレ
「ただいま」

玲子
「どーしたのよその顔」

オレ
「うん。ちょっと(笑)」

オレは革ジャンを玲子に預けてソファに座った。玲子は革ジャンを持ったままオレの横に座って腫れた顔に触れた。しかめっ面をしている。

玲子
「痛いでしょう?」

オレ
「もうヘーキだ」

玲子
「何してるの?」

オレ
「別にぃー」

玲子
「後でゆっくり聞くわ!」

玲子は革ジャンをハンガーにかけてキッチンに入った。すぐに冷たいビールを持って来てくれた。オレはグラスを持った。玲子はビールを注いだ。

玲子
「お蕎麦でいいかな?^^」

オレ
「うん」

オレはオーディオラックのカセットデッキにそのまま入っているカセットをかけた。ロバータ・フラッグの声が聞こえてきた。SPEAK EASYやMellow Beachがあった時は常に新しいレコードからカセットに録音してくれる担当が居たが・・・それがなくなってから新しいカセットがなかなか作れないでいた。

ソファ前のテーブルに置かれたビールとグラスを持ってダイニング・テーブルの方へ移った。

玲子
「できたわ!どーぞ」

オレ
「いただきまーす」

玲子
「お正月はどうするの?」

オレ
「玲子は?実家に帰るのか?」

玲子
「んーーーユーイチが居ないのならそうしようと思ってる」

オレ
「じゃー悪いけどそうしてくれる?」

玲子
「わかった。でもそれまでは一緒に居てね」

オレ
「うん」

理由を聞かない。玲子はいつもそうだ。イイオンナだと思う。

玲子
「で、その怪我は?」

オレ
「今日・・・大下社長のところへ行ってきた」

オレはややこしい仕事の部分を除いて簡単に事情を説明した。

玲子
「ユーイチ。ありがとう」

オレ
「社長には良くしてもらったから」

玲子
「私もよ」

オレ
「東洋サウナがリニューアルしたら、社長に見せてやろうと思って(笑)」

玲子
「そうね」

オレ
「その時には「クラブ純子」にも連れてってやるよ」

玲子
「うわーどうしよう?」

オレ
「ブランデーぐらい飲ませてやればいいじゃん」

玲子
「わかった^^」

オレ
「ごちそうさまでした」

オレはリビングのソファに戻った。ラークに火をつけた。

玲子
「お正月が終わったらどっか行こうか?」

オレ
「そーだな^^」

玲子
「どこ行きたい?」

オレ
「オレはどこでもいい」

玲子
「じゃー温泉行こうか?」

オレ
「一緒に入れる温泉がいいなー」

玲子
「最近「家族風呂」ってあって、露点の温泉でも一緒に入れるそうよ」

オレ
「へーーーそーなんだ^^」

玲子
「美味しいもの食べて美味しいお酒飲んで、一緒に温泉入ろっ^^」

オレ
「楽しみだなー^^それまでしっかりガンバローっと(笑)」

玲子
「面白い事教えてあげようか?」

オレ
「何?」

玲子
「この間、内海さんとこじれた時、あの後チーママや果林とゴハン食べに言ったのよ」

オレ
「ふむ」

玲子
「その時、果林が私に聞くの『もしかしてママの恋人はムトーさんなの?』って」

「そしたらチーママが『ママを見てたらわかるでしょう』って」

「果林がそうなんですか?って確かめるように聞くから『そうよ』って言ったら果林がびっくりしてた」

オレ
「あははは^^これで皆に知れ渡ってしまった(笑)」

玲子
「その後、女同士のちょっとエッチな話になったんだけど(笑)」

オレ
「ふんふん^^どんな?」

玲子
「私もちょっと酔ってたし、なんか嬉しくてつい調子に乗って変な事言ってしまった」

オレ
「だからどんな変なこと?」

玲子
「もうあの子ナシじゃ生きられないって(笑)」

オレ
「あははは^^別に変なことじゃないじゃん」

玲子
「きつーいセックスで調教されちゃったから他のオトコじゃもうダメって」

オレ
「うわー^^みんなびっくりしただろうなー(笑)」

玲子
「そしたら果林が泣きそうな顔して興奮しちゃって」

オレ
「普段の玲子から想像できない話だったんだろうな」

玲子
「一度だけでいいから私も!って」

オレ
「ん?」

玲子
「冗談だと思って、「あの子に聞いてみる^^」って言ったの」

オレ
「バッカだなー(笑)」

玲子
「それから・・・ずっと聞くのよ「聞いてみてくれた?」って」

オレ
「なっなんだー?」

玲子
「どうしよう?」

オレ
「冗談に決まってるでしょ!って笑い飛ばして終わりだろう(笑)」

玲子
「私も誤魔化そうとしたんだけど、あの子真剣にお願いするのよ」

オレ
「・・・それで」

玲子
「ちゃんと聞いてみるって言ったの」

オレ
「断れよ」

玲子
「果林。やっぱりショックを受けるかなー」

オレ
「じゃーオレが果林を抱いたら玲子はどうなんだよ」

玲子
「私、この部屋で私が居る時なら・・・」

オレ
「えっ」

玲子
「ユーちゃんが果林抱いてユーちゃんが喜ぶところ見たいかも」

オレ
「・・・」

玲子
「私、ちょっと変かな?」

オレは玲子のスカートの中に手を入れてふとももを撫でた。

オレ
「果林のオトコは?」

玲子
「今居ないらしいの」

オレは玲子を抱き寄せて玲子の股間に指を這わせた。下着はつけていない。割れ目を撫でると濡れきっていた。

オレ
「アイツ、オレの事好きなのか?」

玲子
「そうみたい・・・」

オレ
「きつーいのしたら、アイツも離れられなくなるぞ」

玲子
「それは・・・困るっ」

玲子は強く抱き付いてきた。オレの指は玲子の穴に入って玲子の好きなところを責めていた

オレ
「じゃー果林の穴にオレのモノを入れていっぱい精液出してやろう」

玲子
「ダメっ私のよ」

オレ
「オレはきっと果林に乗って声を出していくだろうなー」

玲子
「イヤ・・・」

オレはちょっと乱暴に玲子の体を床に降ろした。ジーンズと下着を一気に脱いだ。玲子の腰を持ち上げて後ろから一気に突っ込んだ。

玲子
「うぁー」

オレ
「気持ちいいか?果林」

玲子
「あーいゃーーー」

オレ
「あー果林の穴はいい穴だ」

玲子
「うぁー」

オレは激しく責め立てた。玲子の穴は強烈に絞まる。まるで本当に違う穴のように

オレ
「玲子よりよく絞まる穴だ」

玲子
「あーーーあーーーあーーー」

玲子の穴の奥が緩み熱いものがほとばしるのがわかった。

オレ
「ほら果林ちょっと我慢しろよ!すぐにまたいいのがくるから」

玲子
「あっ あっ あっ」

「あーーーあーーーあーーー」

ほとんど同時にオレの脳はスパークして強烈な快感とともに放出していた。玲子の体を放り出して、オレは裸になり風呂場へ行った。

熱いシャワーを頭からかぶる。ちょっとした言葉遊びのセックスだったが、まるで他のオンナとしたような錯覚に陥った。オレはバスタブに入った。

玲子が頭にタオルを巻いて入ってきた。少し表情は固い。シャワーを浴びたあと後ろ向きに入ってきた。

オレは後ろから玲子を抱いた。

オレ
「あとでベッドで前から乗ってしような^^」

玲子
「ユーちゃん。私、狂いそうになった」

オレ
「そう」

玲子
「自分が怖くなっちゃった」

オレは玲子の乳をもてあそんだ。

玲子
「やっぱり謝ってちゃんと断る」

オレ
「うん^^それがいい」

玲子
「でも・・・すごかった」

オレ
「あははは^^」

オレはヘンタイだからどんなセックスだっていい。でも後で笑って楽しく過ごせるような関係でないとダメだった。真剣に愛し合ってする切ないセックスなんてオレは嫌だ。たかがセックスじゃないか。


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