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明日に架ける橋


サイモン&ガーファンクル「明日に架ける橋」1970年のアルバム。全世界で1000万枚を超える大ヒットとなるが、直後にソロ活動が活発化。1982年に日本に初来日。
1981年12月PART3・・・

▼20時・・・ギャラクシーオフィス

オレ
「加奈子はどう?」

理恵
「まだもう少し時間かかりそうだわ」

オレ
「そうか。理恵、寝てないんじゃないか?」

理恵
「これぐらい大丈夫よ!佐和子と交代で眠ってるから」

オレ
「面倒かけて申し訳ない」

理恵
「何言ってんの。ユーちゃんが謝ることじゃないわよ。」

ドアがノックされ声がかかり松井が入ってきた。

松井
「梅木を特別室に通しました」

オレ
「うん」

理恵
「ユーちゃん!」

オレ
「オレが呼んだんだ(笑)大丈夫心配ない」

理恵
「・・・」

オレは裏から特別室に入った。

オレ
「梅木さん。わざわざお呼びだてしてすみませんねー」

梅木
「・・・いえ」

オレ
「実は、加奈子が戻ってきましてね。大変なんですよ」

梅木
「そーですか私も気にはしてたんですけどね。」

オレ
「ほうどんな?」

梅木
「何しろ私が知り合った時すでにシャブ中でしてね!病院にでも入院するように言ってたんですが・・・」

オレ
「加奈子は今禁断症状で苦しんでます。。。だんだん良くはなってきてるんですが・・・治ったら絶対訴えてやるって言ってて・・・」

梅木
「どういう事です?」

オレ
「自分をこんな風にしたヤツを許せないって、まー仕方ないから弁護士に相談したんですけどね。」

梅木
「悪いやつにひっかかんたんでしょうね!可哀そうに」

オレ
「まー裁判になると長期化するだろうって弁護士も言ってました」

梅木
「そーでしょうね。相手も素直に認めるわけないでしょうから」

オレ
「でも、証拠なんかなしで判断するところもありますから」

梅木
「どういう事です?」

オレ
「今日ゴローちゃん居なくて、竹中さんと台所で一緒にメシ食ってて、またメシ食おうって誘われました(笑)」

梅木
「・・・」

オレ
「松井。梅木さんノド乾いているようだからビールを」

松井
「はい」

梅木
「オレが指でも飛ばせば満足なんですか?」

オレ
「オレ、嫌なヤツでしょ(笑)」

梅木
「・・・」

オレ
「オレもあんたみたいなヤツ大嫌いですよ!だから二人だけの手打ちにしましょう」

梅木
「・・・どんな?」

オレ
「加奈子をシャブ中にした詫び状を出して貰います。文面はコレです。組の名前と肩書き、それに署名と拇印を押して下さい」

梅木
「それをどうしようっていうんです?」

オレ
「なんかあった時には本家に持って行ってあんたを破門にしてもらいます」

梅木
「・・・」

オレ
「今後、オレとオレの周辺に一切ちょっかいを出さなければそれは永遠に表に出ません」

梅木
「それを信じろと?」

オレ
「それはあんたの勝手です」

梅木
「もし断ったら?」

オレ
「個人の問題じゃなくて、組の問題になるかも知れませんね」

松井はビールの入ったグラスを二つ持ってきてテーブルの上に置いた。

梅木
「わかりました。」

オレはボールペンと朱肉をカバンから取り出して、テーブルの上に置いた。梅木はボールペンをとりその書類に書き込んだ。右手人差し指を朱肉につけて書類に押した。

松井が梅木にオシボリを差し出した。梅木はそれを受け取り丁寧に指を拭った。

オレ
「治療費はどうしましょう?」

梅木
「・・・お支払いさせていただきますよ!」

オレ
「そーですか。じゃー明日にでも!どーぞビールを」

オレは軽くグラスを上げてビールを一気に半分ほど飲み干した。梅木は一口、口をつけただけだった。

オレ
「松井。送って差し上げろ」

梅木は黙って立って裏口から松井に伴われて出て行った。入れ替わりに理恵が入ってきた。オレは理恵に書類を見せた。

理恵
「これは・・・」

オレ
「加奈子への詫び状だ(笑)」

理恵
「これを警察に持っていけば」

オレ
「それは警察では役に立たない。でも出すところに出せば、破門になるだろうな」

理恵
「そう(笑)」

オレ
「治療費は明日持ってくるそうだ(笑)」

理恵
「そんなの要求したの?」

オレ
「いくら持ってくるか知らないが、それは加奈子のものだから(笑)」

理恵
「まー^^」

オレはギャラクシーを出た。後ろを振り向くと、少し離れて松井が付いて来ていた。オレはタクシーに乗った。

▼21時・・・パーク・マンション「本町」

オレ
「どう?」

佐和子
「睡眠薬を与えたんだけど、全部吐くのよ」

オレ
「食事は?」

佐和子
「口にしない」

オレ
「水は?」

佐和子
「少し」

オレ
「明日、病院に連れて行こう」

佐和子
「でも・・・」

オレ
「ちょっと調べてみると専門の病院が近くにあるようだ」

寝室から泣き声のような声が聞こえた。佐和子の後に続き、オレも様子を見に行った。
なんと加奈子は素っ裸で手足がベッドに縛られて大の字になって寝ている。加奈子は泣いていた。佐和子は毛布を掛け直した。

佐和子
「大丈夫よ。ムーさんも来てくれたから」

オレ
「加奈ちゃん。よく頑張ってるんだって、エライなー^^」

加奈子
「ムーさん。助けて・・・」

オレ
「あー助けてやる。安心しろ。もうお前を苛めるヤツはいないから大丈夫だ」

加奈子
「ムーさん」

オレはベッドに近寄って顔を撫でた。

オレ
「安心して眠っていいぞ!隣に居るから」

加奈子
「はい」

オレは寝室を出た。リビングのソファに座りラークに火をつけた。佐和子がキッチンへ行ってビールの用意をして戻って来た。

佐和子
「やっとちゃんと話した。あなたが来たから我慢できてるんだわ」

オレ
「それまではやっぱりひどかったのか?」

佐和子
「あれだけ縛っていても暴れて取れてしまうのよ」

オレ
「・・・」

オレはグラスのビールを飲んだ。上着の内ポケットから封筒を出して、中の書類を佐和子に見せた。

佐和子
「これは・・・」

オレ
「オレと理恵、そして佐和子の3人だけの秘密だ」

佐和子
「それにしても相手がよく署名しましたね」

オレ
「あくまでもオレと梅木の話合いだから他には関係ない。もちろん他言無用だ。加奈子にはオレからうまく伝える」

佐和子
「はい」

佐和子はビールを注ぎオレはそれを飲んだ。

オレ
「今日はオレが泊まるから上で休んだらどう?」

佐和子
「いえ。私も居ます」

オレ
「それは困る」

佐和子
「どーしてですか?」

オレ
「エッチしたくなるじゃん(笑)」

佐和子
「あははは^^」

佐和子をとりあえず理恵のところで休ませた。0時を過ぎた頃に理恵がやってきた。同じように理恵も理恵の部屋に行かせてオレはリビングのソファで寝た。明け方近くになって加奈子は騒いだ。オレはベッドに座って宥めていた。乳を揉み、性器を弄り指を使った。キスをして耳元で囁く。加奈子は泣きながら少し反応する。

加奈子
「ムーさん。して、してー」

オレは今日子を縛ってるモノをほどいた。そして今日子に乗ってオレのモノを入れた。感じているのかいないのかはわからない。ゆっくりと動く

加奈子
「あー」

少しは感じているようだ。オレは腰の動きを早めて様子をみたが・・・その苦しげな表情は判断がつかなかった。

オレ
「気持ちいいか?」

加奈子
「いい」

オレは腰を激しく使った。加奈子が声をだす。

加奈子
「あーあーーあーーー」

穴の奥が緩み熱いものが溢れた。オレはスピードを緩めてゆっくりと加奈子の体から離れた。横抱きに加奈子を抱いた。

オレ
「ジュースをとってくる」

加奈子
「・・・」

オレは素っ裸のまま冷蔵庫からフレッシュジュースとグラスを用意した。ダイニングテーブルの上にある睡眠薬を入れたジュースを作った。寝室に戻る。加奈子はベッドで大人しくしていた。オレはグラスに入れたジュースを飲ませた。

オレ
「全部飲んで」

オレは加奈子の上半身を起してグラスを口に近づけちょっと強引に飲ませた。少し咳き込んだがグラス1杯のジュースを加奈子は飲んだ。加奈子を寝かせた。

加奈子
「ムーさん。元気なったらまたして」

オレ
「おう^^元気になったらやりまくってやる^^」

加奈子
「(笑)」

オレは加奈子を抱いてそのままベッドの中にいた。加奈子は眠った。オレはベッドを抜け出して服を着てリビングに戻った。キッチンへ行きコーヒーメーカーで珈琲を淹れた。

珈琲を持って南側のカーテンを開けて外をみた。目の前に大きな公園が広がる。そろそろ夜が明ける頃だが、まだ街灯は点いていた。テラスに続くガラス戸を開けて空気を入れ替えた。シンと冷え切った12月の外気が一斉に流れ込んできた。

オレは珈琲を飲みながら空を見上げた。もうすぐ夜が明ける色をしていた。

▼11時・・・スカイ・マンション1Fカフェ

オレ
「梅木が金を持ってきたら受け取ってくれ。領収書が必要だったら加奈子の名前できってやれ(笑)」

松井
「はい。^^」

オレ
「なんだ?嬉しそうだな?」

松井
「あのバカ帰り際に言ってましたよ「お前らはいいな」って(笑)」

オレ
「(笑)」

松井
「ヤクザと一緒にされちゃー迷惑ですよね^^」

オレ
「あったり前だ(笑)」

松井
「あははは^^」

松井と打ち合わせた後、オレは心斎橋を歩いてミナミの料亭「桜川」へ行った。女将に案内されて部屋に入った。すでに内海さんは来ていた。

オレ
「お待たせしました」

内海
「気にするな。オレは早くくるのが習慣だから」

オレ
「もういいんですか?」

内海
「ああ。この年になるとたかが風邪でも治りが悪くてな」

オレ
「気をつけてくださいよ」

内海
「お前は変なやつだな(笑)」

女将と仲居が現れて、昼食が運ばれてきた。ジーさんがビールを持った。オレはグラスを持ってジーさんにビールを注いでもらい代わりにオレがビールを注ごうとしたら、ジーさんは断った。

内海
「一応まだドクターストップがかかっているんでな」

オレ
「あっじゃーオレの為に?なんか悪いなー^^」

内海
「(笑)お前はビールが好きなんだろう?」

オレ
「あははは^^」

昼食はシンプルな懐石料理だった。オレはビールを水代わりに飲みながら、それを食った。

内海
「次はニューヨークだって?」

オレ
「ええ、鮨屋をやろうと思いまして」

内海
「ふむっブームに乗って一気にチェーン展開でもするのか?」

オレ
「まーそうなればなったでいいんですけど、何しろうちのスタッフを修行に出したばかりですから(笑)」

内海
「本当の狙いは何なんだ?」

オレ
「んーーー実はニューヨーク大学に入学しようと思って」

内海
「だったら単純にお前だけが留学すれば済む話じゃないか」

オレ
「オレだけ勝手な事が出来ないんじゃないかと思って、それに観光じゃなくて1ヶ月とか3ヶ月単位ぐらいで、全員NYで働くことを経験させたいなーと思って」

内海
「全員をか?」

オレ
「はい。アパートで共同生活させながら世界を肌で感じさせたくて」

内海
「それで?」

オレ
「それだけです。(笑)ミナミに戻って従来の仕事に戻る。また他に自分で何かを見つけたらそれはそれでいいんですけどね」

内海
「それでまとまるか?」

オレ
「さーどうでしょう?(笑)」

内海
「お前は横山の大学の先輩だったな?映画の勉強をしてたんだろう?」

オレ
「(笑)4年在籍しただけで結局退学しましたからほとんど勉強してません」

内海
「それで今頃になって勉強したくなったのか?」

オレ
「(笑)一応。」

内海
「ふざけたヤツだ(笑)」

内海のジーさんはオレとふたりで話す時は、どこか不機嫌そうでぞんざいな口調になる。もっとも人前では普通に話すのだが・・・

内海
「じゃー最低でも4年ぐらいはNYか?」

オレ
「そーですね。もっとも半年に1回程度は戻ってこようと思ってますけど」

内海
「いつからだ?」

オレ
「2月から準備の為に行こうと思ってます。」

内海
「ふむ。玲子や裕人は?」

オレ
「玲子は来たがってますので、落ち着いたら呼ぼうと思ってます」

内海
「ふむ」

そんなやり取りだけで特にコレと言った話はなくオレは昼食をごちそうになってそこを出た。変なジジーだが、オレが居ない間にずいぶん玲子と裕人が世話になった。正月開けには3人で年賀に行こうと思った。

周防町に戻り葡萄屋を通り過ぎてから一本上の道に入った。見慣れたビルの1階は当時のままのパブがあった。その2階は、元の『Mary's』があった場所だったが、すでに営業形態は変わり海鮮料理店になっていた。

そのビルの東側へ向かい10メートルも行かないうちに新しいビルがあった。NKビル1階は吹き抜けになっていて2階が上がる階段があった。もちろんEVもある。オレは階段を使い2階に上がった。真新しいドアに新しいMary'sのロゴが描かれていた。

オレはドアを押して中に入る。

ステージではリハが行われているらしく特殊照明とハデなMが流れていた。暫くそれを見ていた。リハが終わり静かになった。

マリー
「ムーさん^^おはようございます」

「おはようございます^^」

他の女の子(ニューハーフ)達からも一斉に声がかかった。

オレ
「マリーいつ見てもセクシーだなー^^みんなもとてもきれいだもう勃起しちゃったよ(笑)」

「きゃー見せてー^^」

横山
「お疲れさまです」

オレ
「いよいよ明日だな?」

横山
「はい。いつもながらドキドキしますね」

オレ
「お前と前田の仕込みなんだから大丈夫だ」

横山
「はい^^」

小休止に入ったのかマリーがこっちに近づいてきた。

マリー
「ムーさん。まるで夢のようよ^^」

オレ
「ははは^^お楽しみはこれからじゃないか^^」

マリー
「うん。新しい子が3人入ってるの紹介するわ」

オレはマリーニ引っ張られるようにステージの方へ行き紹介してもらった。ナミと同じぐらいの年頃の新人が3名、どの子も完全にオンナに見える。確実に新しい世代のニューハーフだった。

前田と嶋本が他の黒服たちと店に入ってきた。

前田
「おはようございます」

「おはようございます」

一斉に彼らに挨拶されてちょっと戸惑った。どの顔を始めてみる顔ばかりだった。こうして見るともう嶋本が頭で前田などはオーナー然としている様に見える。

前田
「周辺の店舗への挨拶と捨て看板の再設置に行ってました」

オレ
「ご苦労さん^^」

前田
「昨夜はすみませんでした。」

オレ
「ん?」

前田
「松井が教えてくれなかったもんで・・・」

オレ
「いやオレが誰にも言ってなくて突然始まったんだ(笑)決着は着いたから心配するな」

前田
「いえ、ひとつ終わった後が一番気をつけないと、今からオレひっつきますから」

オレ
「いやお前にはここを頼む」

前田
「嶋本ひとりで十分です。オレの出番なんかありませんよ(笑)」

オレ
「お前がそんな事言ったらオレはどうなる?それこそもう役立たずか?(笑)」

前田
「あははは^^」

オレは厨房に顔を出した。2名のコックと見習いが1名。懐かしい顔だった。Mellow Beachから旧Mary'sの厨房を取り仕切っていた。

島崎
「ムーさん。^^ご無沙汰してます」

オレ
「チーフ♪またよろしくお願いしますねっ!」

島崎
「いつでも言ってください。ビーフシチューの用意はしてますから^^」

オレ
「うわー嬉しいなーじゃー是非頼みます!じゃー明日また^^」

カウンター脇のボトルラックにはウイスキーとブランデーのボトルが並べられている。厨房、カウンター脇を通り抜けるとスタッフの更衣室、マリーらの控え室、そしてそこから直接ステージ脇に出られるようになっていた。一番奥に事務室と倉庫があった。

オープン前の新しい店の匂い。まだ馴染んでいない家具や什器。テーブルに落ちたスポットの明るさが目に痛いように見える。何度経験してもドキドキ、ワクワクする。

横山
「新店をオープンさせるのは、SPEAK EASYから数えて8店目ですね」

オレ
「そんなになるか?」

横山
「はい。次はいよいよNYですね」

オレ
「ふむ」

横山
「会長はどうでした?」

オレ
「相変わらず不機嫌そうな顔をしたジーさんだよ(笑)」

横山
「(笑)普段はざっくばらんなんですけどね」

オレ
「どーだか(笑)そーだ後で前田も誘って田川のところでメシ食おう」

横山
「あっ!いいですねー^^」

オレ
「オレはまだ次があるから、そーだな7時に『満楽』にしよう」

横山
「了解です^^」

オレはマリーに声をかけて店を出た。前田がついてこようとした。デートだからといって断り同じように7時「満楽」と伝えるとようやく納得した。

▼15時・・・心斎橋「ウイリアムス」

オレはウエイターにアイス・ティーをオーダーした。それが運ばれてくる前にユーコがやってきた。

オレ
「よっ!」

優子
「お待たせ^^」

オレ
「いやオレが早くきてただけだから」

優子
「ユーちゃん。(笑)びっくりよ!」

オレ
「ははは^^電話で言ったとおりの事情で」

オレのアイス・ティーが運ばれてきた。ユーコは同じものをオーダーした。ユーコはオレのアイス・ティーにストローを刺してオレの前に置いた。

優子
「でもやっぱり「可愛い」かったよ^^」

オレ
「どーしてそーなるかなー?」

優子
「きっとユーちゃんを知らない人が見れば普通のカッコイイモデルに見えるけど、ユーちゃんの事を知ってる人がみたらきっと「可愛い」になるのよ(笑)」

オレ
「んー自分ではまだビデオも見てないからわかんないんだけど・・・そーなのかなー?」

優子
「いいじゃない。「可愛い」で(笑)」

オレ
「実はな・・・」

優子
「何?」

オレ
「いや、いいや」

優子
「ダメよ!言いかけたら最後までちゃんと言って」

オレ
「んーーー」

優子
「もうっ!じれったいわね!」

オレ
「来月、神戸と京都で同じことやることになったんだ。。。」

優子
「うわーいいじゃない^^ヒロミも悔しがってたし」

オレ
「・・・」

優子
「ついユーちゃんがショーに出てたって言っちゃたの(^。^;)」

オレ
「まーいいけど(笑)」

優子
「そしたら怒られちゃった(笑)ヒロミに「どーして誘ってくれなかったの」って」

オレ
「だって、演出の手伝いだって言ってたから!ってか?(笑)」

優子
「(笑)その通りよ^^今度は一緒に見に行ってもいい?」

オレ
「あーいいよ^^」

優子
「6組出てたけどユーちゃんのカップルが一番良かった。最後なんか本当のウエディングみたいだった」

オレ
「そう^^」

優子
「ユーちゃんの相手だった「北条さん」もキレイで上手だった」

オレ
「そっか。ユーコは何処に所属してたんだっけ?」

優子
「「旺美社」よ北条さんと同じ^^」

オレ
「ふーん」

優子
「私もユーちゃんとあんな仕事したいなー^^」

オレ
「オレはあの仕事だけで終わりだ」

優子
「えーもったいないせっかくモデルデビューしたのに」

オレ
「だってオレは2月にNYへ行ってしまうんだぜ(笑)」

優子
「・・・」

ユーコのアイス・ティーが運ばれてきた。このショーをきっかけに香は仕事に復帰する事になったのだが・・・ユーコと香。いずれ接点ができてしまうかも知れないと思った。もっとも今のところどちらもNYへやってくる予定だったから遅かれ早かれそうなることは明白なのだが・・・

優子
「ユーちゃん。私、留学やめることにした」

オレ
「えっ?」

優子
「やっぱり自信ないし・・・」

オレ
「そう」

優子
「ヒロミは行くみたいだけど」

オレ
「・・・」

優子
「半年に1度は帰ってくるんでしょう?いい子にして待ってる^^」

オレ
「ふーん」

優子
「なんか言ってよ」

オレ
「じゃーこうしないか?留学の学費や滞在費などの一切は、うちの社から奨学金として出す。帰国してからローンで返せばいい。もちろんNYでなくてもユーコの行きたいところを選んでいい」

優子
「・・・」

オレ
「そんな事もやりなさい!って言われてたからちょうどいいタイミングだ^^」

優子
「ユーちゃん・・・うわーーーん」

オレ
「あらら・・・なんで泣くんだよー」

オレは正面に居るユーコの隣に移動して軽く肩を抱いて宥めた。

優子
「私の行きたいところは・・・ユーちゃんの居るところなんだもん」

オレ
「そう」

優子
「ユーちゃんはどうしてそんな事してくれるの?」

オレ
「それは・・・きっとユーコが家族思いのいい子だからだ(笑)」

優子
「ユーちゃん。うわーーーん」

アメリカの教育費は高い。中でもニューヨーク大学は私学の人気校でその費用は全米でも1、2を争う。忘れていたが、母子家庭のユーコのところには相当の負担だ・・・それだけならいいのだが、友人のヒロミが行くのに自分が行けない。オレはそれが我慢できなかった。どうしようもなく我慢できなかった。

オレ
「でもこの事はぎりぎりまで言わない方がいい」

優子
「ユーちゃん。」

オレ
「その代わり勉強しろ(笑)」

優子
「うん」

それにしてもオレは一体何をしたいのか?自分でも訳が分からなくなってきた。そしてキング・コングへ行ってきついセックスをしてジャグジーにも入った。心斎橋まで戻って地下鉄へ降りる階段のところで別れた。ユーコはご機嫌で帰って行った。

▼19時・・・鮨屋「満楽」

オレ
「お疲れっ!」

軽くグラスを上げてビールを飲んだ。

前田
「ムーさん。オレはマリーには世話になりましたから、アイツの喜んでる顔見ると嬉しいですよ」

横山
「うん。あの騒ぎの中でも経営が変わるのなら辞める!って筋を通したもんなーえらいやつですよ」

オレ
「まー根性は男だからな(笑)」

オレは居なかったから細かな事情は分らないが、マリーのスター性を考えると他にいくらでもいい話があったはずだが、律儀にも小さな店を持ってミナミに居てくれたことにこいつらは感謝してるんだろうと思った。

前田
「そーだ。マリーが言ってましたよ。ムーさんと一緒にステージやりたいって」

オレ
「おい。もしかしてアイツもブライダル・ショー観に来てたのか?」

横山
「もちろんですよ(笑)」

前田
「マリーきっと何か考えてますよ(笑)」

オレ
「やばいなーバニーガールの格好でもさせられたらどうしよう?」

横山&前田
「ぎゃははは^^」

新しい客が入ってきた。オレは会釈した。松村さんは紗也乃ママとふたりでオレたちの隣の席に座った。

松村
「相変わらずユーちゃんは楽しそうだな?^^」

オレ
「あはっ!旨い肴と酒があればそりゃー楽しいですよ^^」

紗也乃ママ
「あら男ばかりで^^イイオンナもたくさんいるでしょうに」

オレは横山と前田を紹介した。紗也乃ママはエスポワールのママだと紹介したが、松村さんはただの「飲み友達」としてしか説明していない。

オレ
「オレは本当は女嫌いなんですけどねー(笑)」

横山&前田
「あははは^^」

オレ
「何だよ!(ーー;)アメリカにいた1年半は、月に1度ぐらいしかパーラーに行かなかったぞ!」

紗也乃ママ
「パーラーってどんなところ?」

オレ
「んーーー日本で言うとソープみたいなもんです(笑)」

紗也乃ママ
「まーそんなところへ^^」

松村
「ほー向こうではユーちゃんモテなかったのか?」

オレ
「というよりそういう環境に居ませんでしたから(笑)」

オレ
「ちょっと前までこっちでもストイックに過ごしていて、そこの前田とよくソープに行きましたよ^^」

前田
「ムーさん!(笑)」

オレ
「何だよお前だって笑いながらするの好きじゃないか!(笑)」

前田
「ははは・・・」

松村
「ユーちゃん。今度オレも連れてってくれよ(笑)」

紗也乃ママ
「まー松村さんまで何を言い出すんですか!私の立場が(笑)」

横山
「ムーさんは男には優しいんですけど、女性にはある意味冷たいからまんざら女嫌いってのはウソじゃないんですよ」

オレ
「わかった。横山その話はよそう(笑)それより前田。いい子の居るソープを探しといてくれ!今度松村さんと3人で行こう^^」

松村
「前田さんよろしく^^」

紗也乃ママ
「ユーちゃん。ソープへ行く前にまず私でしょ!」

オレ
「あははは^^松村さんママにバレないようにお願いしますよ(笑)」

大将がやってきて、松村さんに何か言った。松村さんはオレに「ちょっといいかな?」と言って何か話があるようだった。それをきっかけに横山と前田が、明日の準備に戻るという口実で気を利かせて退席した。

オレと松村さんそして紗也乃ママは奥の座敷の方へ入った。あらためて新しいビールを紗也乃ママに注いでもらった。大将も席にいた。

松村
「実はムトー君に大将が相談があるそうなんだ」

オレ
「はい。なんでしょう?」

大将
「実は・・・うちのバカをムトーさんのところで預かって貰えないかと」

オレ
「はぁ〜」

松村
「カウンターに入っている対象の息子さんなんだ」

オレ
「あーあの向こう意気の強そうな?」

大将
「高校を3日で止めてしまって、それから店で修行させたんですか、出たり入ったりでダラダラと12年になります」

オレ
「そーですか」

松村
「どうだろう?」

オレ
「預かると言っても・・・NYにでも?」

松村
「できたらそれが1番いいと思う」

オレ
「そーですか。じゃーそうしましょうか?」

大将
「ありがとうございます」

そう言って大将は一旦部屋を出て行った。そしてすぐにその男を連れてきた。


「よろしくお願いします」

オレ
「こちらこそよろしく^^」


「ひとつだけ聞いていいですか?」

オレ
「うん。いいよ」


「ムトーさんはやくざなんですか?」

オレ
「いえ。やくざじゃありません。オレの親父は警察官ですから(笑)」


「へっ!じゃーどうしてこの間、郷田組の若頭が敬語使ってたんです?」

オレ
「へーあの人そんな立場の人だったんだ(笑)」

大将
「いいかげんにしろバカヤローが、いつまでもそんな事を言ってるからお前は」

松村
「じゃーそういう事で明日からどうすればいいかな?」

オレ
「とりあえず4時にクラブ「ギャラクシー」に来て下さい」


「はい」

大将
「ありがとうございます」

そう言って大将と大将の息子の岩崎晃三は退席した。

紗也乃ママ
「ユーちゃん。大変なことになったわね(笑)」

オレ
「あははは^^」

松村
「すまないね^^」

オレはビールを飲んだ。紗也乃ママはすぐにビールを注いでくれた。

オレ
「そーだ。松尾さんが松村さんと酒を飲みたいって言ってるんですけど」

松村
「松尾?あーこの間のユーちゃんがショーに出たとこだな?」

オレ
「どうでしょう?」

松村
「ユーちゃんにも無理お願いしたし、付き合うよ(笑)」

オレ
「なんか取引みたいですみません」

松村
「その代わりアレだぞユーちゃんはいつも通りで頼むよ!変に気を使わないでくれよ」

オレ
「もちろんそのつもりです(笑)」

その後オレは松村さんとお茶漬けを食いながら山城さんのところの昔話を聞いた。そして一緒に店を出て、オレはギャラクシーに行った。

▼22時・・・ギャラクシー特別室

佐和子
「だいぶ良くなってきました」

オレ
「そう。入院しなくていいかな?」

佐和子
「はい。ムーさんが加奈子を抱いて寝てくれたおかげで」

オレ
「・・・オレがしてやれる事といったらあんな事ぐらいだから」

佐和子
「一番の治療だったと思います^^」

ドアがノックされて声がかかった。そして松井が入ってきた。

松井
「お疲れ様です。^^梅木から預かってます」

オレ
「そう。じゃー佐和子からでも加奈子に渡しといて」

佐和子
「いえ。やっぱりそれはオーナーから」

松井
「はんぱな額じゃないですし(笑)」

オレ
「ん?」

松井が紙袋をオレの前のテーブルに置いた。そしてその中身を取り出した。レンガ大の札束・・・

松井
「数えてませんが、1000万あるかと」

オレはそれを手にとって重さを確かめるように上下に振ってみた。

オレ
「自分の命の値段だとでも思ってるんだろう(笑)」

松井
「それが変なんですよ。『相談したいことがある』って伝えてくれって」

オレ
「相談?オレにか?なんで?」

松井
「さー?」

オレは佐和子の方を観た。

佐和子
「見当もつきません」

オレ
「オレはアイツ大嫌いなんだけどなー(笑)」

松井
「まー一応伝えるだけは伝えるけどダメだろうって言いましたけどね」

オレ
「ふむっ!じゃーここで聞くと言っといてくれ」

松井
「えっ?いいんですか?あのヤローの事だから油断できませんよ」

佐和子
「私も反対です」

オレ
「じゃー他所でふたりっきりで会う方がいいか?」

松井
「オレは離れませんよ」

佐和子
「松井君と前田君が居る条件でしか絶対ダメです」

オレ
「わかったよ(笑)」

オレは先に出た。タクシーを拾うまで事務室に居た前田がついてきた。

▼23時・・・パークマンション「本町」

鍵を使って部屋に入った。リビングへ入るが理恵がいない。オレは寝室を覘いた。「龍」が動いていた。加奈子の体に理恵が乗っている。加奈子の喘ぎ声・・・

加奈子
「あーあーーー」

理恵の乳が加奈子の乳とぶつかり、理恵の手が加奈子の股間に入っている。オレは声もかけられずその光景を見ていた。

加奈子の体が揺れる。理恵の腕の動きが早くなった。

加奈子
「あーーーあーーーあーーー」

加奈子の体は反り返って加奈子はいった。理恵の手の動きは徐々に緩やかになった。そしてベッドから降りた。

理恵は素っ裸のままオレに近づいてきた。オレは両腕を開いた。理恵を抱きキスをした。理恵の股間に手を触れると、そこは濡れきっていた。

理恵
「ずいぶん良くなってきてる」

オレ
「ありがとう^^加奈子ちょっといいか?」

加奈子
「はい。なんか恥ずかしい・・・」

オレ
「ん?大丈夫だ^^実はな梅木が謝りにきた。そして治療費と慰謝料を持って来た」

加奈子
「・・・」

オレは紙袋から1000万の束を取り出してベッドの上に置いた。

オレ
「1000万ある。加奈子の金だ」

加奈子
「ムーさん・・・実は」

オレ
「なんだ(笑)」

オレは加奈子の話を聞いている内に青ざめた。それにしても・・・

オレ
「加奈子は何も心配しなくていいから^^」

加奈子
「ごめんなさない」

オレ
「それより、ゆっくりおやすみ^^」

オレは加奈子に軽くキスをして理恵と寝室から出た。すでに理恵は服を着ていた。

理恵
「どうしよう?」

オレ
「転んでもただ起きないヤツだな(笑)」

理恵
「関わり合いたくないのにね」

オレ
「まーどっちにしてももう1度会うしかないな」

理恵はキッチンへ行ってビールの用意をしてリビングに戻って来た。オレはグラスを持った。理恵はビールを注いだ。

理恵
「佐和子から聞いてる?」

オレ
「いや梅木の件でバタバタしてたから」

理恵
「ギャラクシーのオンナ達の内辞めた子がどんどん戻ってきてるの」

オレ
「ふーん」

理恵
「あたなが復帰して沢渡やヤクザを追い払った噂を聞いてるからよ」

オレ
「また尾ひれがついたおおげさな噂になってんじゃないのか?」

理恵
「多少は(笑)でもきっとみんな戻ってくると思う」

オレ
「そう^^また楽しくやれそうだな?(笑)」

理恵
「うん^^」

理恵と一緒に風呂に入り、風呂場で後ろから龍をみながらした。そしてオレは階下の佐和子の部屋に行き同じように佐和子を抱いた。そしてそこで朝まで眠ってしまった。

▼10時・・・スカイ・マンション1Fカフェ

石井
「梅木の件、松井に聞きました」

オレ
「そう(笑)」

石井
「一昨日、本家に行ってたんでしょ?」

オレ
「それは松井も知らないはずだけど?」

石井
「高坂から聞きました。(笑)今本家に出入りする人間はすべてその日の内に主要な組に知られます」

オレ
「そうなんだ」

石井
「特にムーさんが出入りすると噂になります」

オレ
「なんで?」

石井
「正体不明だからです(笑)」

オレ
「あははは^^」

石井
「影の直若だとか、最近では3代目の隠し子らしいとまで言われてます」

オレ
「ぎゃははは^^(笑)」

石井
「それからどうも郷田組の動きがおかしいんですよ・・・」

石井は郷田を狙って表面上、破門になった。しかしK芸能とはやりとりがあり、高坂から内情はかなり知らされているようだった。オレは石井の話を聞きながら迷った。

石井が話を終えてファミリー不動産の方へ戻るのと入れ替わりに田川が降りてきた。

田川
「おはようございます^^」

オレ
「悪いな早くに」

田川
「いえ、今日は休みなんですけど早起きのクセがついてしまって(笑)」

オレ
「そっか^^大将の息子をうちで預かることになった」

田川
「えーーーそうなんですか?!」

オレ
「どうしたらいい?(笑)」

田川
「んーーーはっきり言って使いものになりませんよ(笑)」

オレ
「やっぱり・・・」

田川
「あいつムーさんの事ばかり聞くんですよ」

「何故あいつはやくざに顔が利くんだ?とか」

「ギャラクシーのママはあいつのオンナなのか?とか」

「あいつは働いてないのか?とか」

オレ
「ふむ。で、どう応えたんだ?」

田川
「そういう事は自分で直接聞けばいい!としか応えようがありません(笑)」

オレ
「そっか。じゃー今日にも聞いてくるな?(笑)」

田川
「あははは^^あのバカならやりそうですよ」

オレ
「まーでもうちに来た以上はお客さん扱いしないで普通に対応するよ」

田川
「まー長くて3日じゃないでしょうか?」

オレ
「ん?」

田川
「松井さんあたりに食ってかかって、泣かされて終わりでしょう(笑)」

オレ
「ふむ」

どんな動機でうちにやってくるのかはわからないが、あの大将の息子だからサービス精神と忍耐力は期待できないだろう。だが・・・もしかしたら化けるかも知れない。かすかな期待を持って迎えることにした。

地下駐車場へ降りてクラウンに乗り箕面の自宅に戻った。ちょうと昼だったので、玲子と裕人を誘って、昼メシを食いに行った。クルマで少し走ったところのステーキ・ハウス

クルマを駐車場に停め、オレは裕人を抱いて店にはいった。子供用のイスを用意してもらってオレの隣に座らせた。ステーキ・ランチをオーダーした。

玲子
「お昼を外で3人で食べるなんて初めてね!^^」

オレ
「そう?(笑)」

玲子
「ビールは飲まないの?」

オレ
「うん。なんか不謹慎な気がして(笑)」

玲子
「そう(笑)」

オレは満楽の大将の息子をうちで今日から預かる話をした。玲子は笑って聞いていた。店はお昼時という事もあって、どんどん客が入ってきている。1組のカップルが入ってきた。男が先にこっちへきて、その後ろを女が続いた。オレと目があった。その前から女はオレの方を見ていた。そしてオレたちの後ろの席についた。

玲子
「じゃー3日で辞めなければ見込みがある!ってことね?」

オレ
「とりあえずは(笑)」

玲子
「一応ニューヨーク要員なのかしら?」

オレ
「大将はそのつもりで居るようだけど、本人にはまだ確認してないから」

玲子
「山城さんは?」

オレ
「その後まだ何も、そーだ今度一緒に行くか?」

玲子
「うん。^^」

オレたちは先に出た。オレは裕人を抱いてキャッシャーへ行った。そこで裕人を玲子に渡して先にクルマに乗るように言ってキーを渡した。オレは支払いを済ませながら、元のテーブルの方をみた。後ろの女が立ち上がってこっちにやってくる。


「連絡先教えて」

オレ
「元の事務所に居る」


「あそこはもうなかったわ」

オレ
「また同じところに戻ったんだ(笑)」


「わかった」

オレは店を出てクルマに乗った。オレたちは自宅まで戻りオレは夕方までそこで過ごした。

▼17時・・・スカイ・オフィス

四方
「お疲れ様です」

オレ
「ただいまっ!」

四方
「これからMary'sの応援に行ってきます」

オレ
「ん?何か要請があった?」

四方
「いえ特にはありませんけど、新規オープンだしちょっと見ておきたいし何か手伝いたいと思って(笑)」

オレ
「そう。じゃーいってらっしゃい^^」

四方
「はい」

すぐに四方は事務所を出た。オレは連絡ノートを見ていくつかの電話をした。珈琲カップを持って南側の窓のブラインド開けた。冬のこの時間、すでに外は夜の風景になっていた。街の灯がきれいにみえた。

電話が鳴った。オレは振り向いて近くの受話器をとった。

オレ
「ムトー商会です」

「はい。私です」

「じゃー降りて行きます」

オレは受話器を置いた。もう1度窓際によって外を見た。長堀通りを走る車の灯りが大量に見え光の渦を作っていた。

EVで1階に下りて内部の通路からカフェに入った。女、ひとりで席についていた。オレはそこへ近づく前にウエイターに冷たい珈琲をオーダーした。

オレは女の正面に座った。

オレ
「ひさしぶりだな^^」


「2年?ううんそれ以上ね」

オレ
「そんなになるかな?」


「何度かここへは来てたのよ」

オレ
「そう」


「あなたが行方不明だって皆が心配してて・・・次に来たらもう事務所がなくなってた」

オレ
「オレが居ない間に、カンパニーは倒産したようだ(笑)」


「今度は「ムトー商会」そのものズバリね!(笑)」

オレはアメリカに行っていた事を話し、帰ってきたら子供がいて結婚した事も話した。


「そう。あなたが結婚したの?昼間あった時もしかしたらと思ったけど驚いたわ」

オレ
「オレも驚いさた(笑)」

冷たい珈琲が運ばれてきた。オレはそれをそのまま口にした。


「昼間、ミナミにはよく来るのよ^^時々ここに立ち寄るわ」

オレ
「そう。^^」


「ねーお酒、飲みに行こう?」

オレ
「オッケー」

オレたちは店を出た。ショーコはオレに腕を絡ませてきた。

ショーコ
「危険防止の為よ(笑)」

オレ
「(笑)」

心斎橋を歩く、明後日はクリスマスだった。大丸、そごうともショーウインドウはクリスマス一色だった。周防町を左に折れて福原ビルの地下に降りた。スコッチ・バンク。

オレたちはいつもの奥のテーブルに案内された。ブランデーセットとオードブルをオーダーした。

ショーコ
「ここはアレ以来よ」

オレ
「アレとは?」

ショーコ
「Doホテルに泊まった日」

オレ
「そーだっけ?(笑)」

運ばれてきたブランデーセットをショーコが手にとり水割りを2つつくった。軽くグラスを合わせた。

ショーコ
「また皆と楽しくやってるの?」

オレ
「うん。関川だけが行方がわからないが、後の連中はほとんど戻って来た」

ショーコ
「そう^^懐かしいなー(笑)」

オレ
「この間も『田よし』で宴会したよ(笑)」

ショーコ
「そう^^シューさんは元気?」

オレ
「そっか会ってないのか?シューさんは変わらない!いつだって元気さ(笑)」

ショーコ
「普段は梅田に出ることが多くて、ミナミには落ち込んでる時しかこなかったから」

オレ
「なんで落ち込んでる時なんだ?」

ショーコ
「さー?なんとなくよ(笑)」

オレ
「ふーん」

ショーコ
「ねーあの時・・・泣いて我侭言ったら聞いてくれた?」

オレ
「たぶん」

ショーコ
「ありがとう^^やっぱり後悔しまくりだわ(笑)」

オレ
「あははは^^」

あの時、最後の別れとなった日。オレは夜中にショーコの家に行った。ショーコの自宅の公園前にクルマを停めて・・・我侭?たぶんあの時、見合いで決まった相手と結婚するのをやっぱり嫌だと言ってたら、自分と結婚してくれたか?と聞きたかったのだろうと思った。

オレはいつだってそういうヤツだ。と言いたかったが、ショーコは明るくジョークにした。

オレたちはスコッチ・バンクを出た。ショーコはオレの腕に絡んでいる。

オレ
「クルマで来たのか?」

ショーコ
「うん」

オレ
「何に乗ってる?」

ショーコ
「新しいフェアレディー♪」

オレ
「色は・・・赤?」

ショーコ
「もちろんよ^^」

オレ
「フェアレディーのショーコ♪昔のままだな(笑)」

ショーコ
「まだ帰りたくない」

オレ
「じゃーもう1軒行くか?」

ショーコ
「うん^^」

心斎橋の駐車場へ向かっていたが引き返して周防町を東に歩いた。そして新しいMary'sの店の前に立った。すでに階段に入店待ちの列ができていた。オレたちはその列を無視して店の前まで行った。

ショーコ
「ここは・・・」

オレ
「今日オープンなんだ^^」

ショーコ
「マリーが居るの?ほんとに?^^」

オレはフロントを覗いた。横山と前田が居た。

前田
「いらっしゃいませ♪^^」

オレ
「ふたりなんだけど?(笑)」

前田はオレに近づき耳元で囁いた。

前田
「次の席を用意しますから裏から入ってください」

オレ
「オッケー」

オレはショーコを連れて、裏から店に入った。ちょうどショータイムが終わったところで客の入れ替えが行われているようだった。厨房脇を通り店内に入った。横山がオレに気付き近づいた。

横山
「どうぞそちらのお席です^^」

ショーコ
「横山君^^」

横山
「うわっ!ショーコさん♪おひさしぶりです^^」

ショーコ
「覚えていてくれたんだ(笑)」

横山
「当たり前ですよ!憧れの先輩なんですから^^」

ショーコ
「ありがとう^^嬉しい♪」

オレたちは用意された席に座った。横山はショーコのコートを預かりフロントへ行った。前田がブランデーセットを用意した。

ショーコ
「前田君も^^」

前田
「ショーコさん。ご無沙汰しております^^会えて嬉しいです♪」

ショーコ
「私もすごく嬉しい^^」

前田はブランデーの水割りをふたつつくって「どうぞごゆっくり^^」と言ってその場を離れた。

ショーコ
「ユーイチ。なんか嬉しくて涙出てきちゃった(笑)」

オレ
「あいつらもそれぞれ苦労したらしいから、昔の仲間は格別なんだろう」

ショーコ
「私が?昔の仲間?」

オレ
「ああ。あの頃、ショーコだけが皆に認められてた^^」

ショーコ
「認められてた・・・」

オレ
「ショーコは宴会の時に皆の前で言ったじゃないか(笑)彼女見習いですって^^」

ショーコ
「ユーイチ・・・」

英語のMCが始まった。客電が徐々に落ちていった。ステージ上にレイザー光線が入り幾何学模様を描き最後にMary'sのロゴに変った。同時にアップテンポのMになりマリーを先頭に脇を2人が固める。ランウエイを歩き、踊る。スポットと特殊照明に彩られながら超ビキニ姿のマリーがセクシーな踊りを続ける。

サチのコミカルなショーに変わり、会場の笑いが大きくなる。そしてナミのキャットショーが続いた。

最後に10人ほどでフィナーレがあった。そして暗転。スポットがマリーに当たる。マリーはステージを降りてこっちに近づいた。

マリーはショーコの手をとり立たせた。

マリー
「ショーコ♪愛してるわっ!^^」

マリーはショーコを抱き軽くキスをした。会場から拍手があった。マリーは座ったままのオレに近づきその胸にオレの頭を抱いた。

そして颯爽とステージ脇に消えた。

ショーコ
「みんなこんなに歓迎してくれて・・・」

ショーコは笑いながらもハンカチで目を押さえていたが涙をポロポロとこぼしていた。

オレ
「なんだ?涙もろくなったのか?(笑)」

ショーコ
「うん。そーかも知れない(笑)」

オレたちは店を出た。来た時と同じように裏から出た。そして周防町を歩いた。ブティック・ガボの前・・・

ショーコ
「今度シューさんにも会っていいかなー?」

オレ
「きっとシューさんも喜ぶよ」

北へ上がった。東洋ビルの前・・・

ショーコ
「ここも変ったわね」

オレ
「でもうちが管理している」

ショーコ
「そーなんだ(笑)」

駐車場前・・・ショーコはオレに抱きついた。少しつま先で立ちキスをした。オレはショーコの舌を吸った。そしてすぐに離した。

ショーコ
「また来ていい?」

オレ
「うん。今度は夫婦で来いよ(笑)」

ショーコ
「・・・嫌よ。ここへはひとりで来るっ!」

オレ
「そっか(笑)じゃー気をつけて」

ショーコ
「うん。こんな楽しかったのひさしぶりよ^^ユーイチ。ありがとう」

オレ
「おう^^またな!」

ショーコは赤いフェアレディーに乗り去っていった。

▼21時・・・ギャラクシー特別室

梅木
「わざわざありがとうございます」

オレ
「それにしてもよくまー(笑)」

梅木
「アレはあのままで・・・」

オレ
「松井、前田、ふたりだけで話をするから遠慮してくれるか」

松井&前田
「・・・はい」

前田がカウンター前に、松井は少し離れたところにいた。彼らは大げさに梅木にボディーチェックまでしたようだ。前田は大き目のグラスに入ったビールをオレたちの前に置いて松井とともに特別室から出た。

オレは1000万の金と白い封筒をテーブルの上に置いた。

オレ
「とりあえずコレはお返ししますが・・・謝りませんよ(笑)」

梅木
「私としては、一度出したものは受け取れません。」

オレ
「はぁ〜?こんな爆弾オレが持ってたら梅木さん眠れないでしょう?」

梅木
「信用してますから」

昨夜、加奈子は衝撃的な事実をオレに話した。梅木のオンナになる前から覚醒剤をやっていたと、そして梅木は覚醒剤に関係していないとも・・・梅木はそれを逆手にとって詫び状を書き尚且つ1000万という金を払った。そして相談があると言ってオレに何か頼みごとをするつもりらしい。食えないヤツだった。

オレ
「・・・オレにどうしろと?」

梅木
「実は・・・今、うちの組が岐路に立たされているんです」

オレ
「・・・」

梅木
「山健組を離れて加茂田組の系列に入ろうとする動きがあるんです。それを渡辺が察知して、うちの郷田としっくりいってません」

「うちに香山と言うのが居まして、こいつはシャブのシノギで組内で台頭してきてます。郷田に気に入られていて、そいつの考えで加茂田組みに急接近しているような状況なんです」

オレ
「それがオレに何か?」

梅木
「私はなんとかそれを阻止したい。渡辺会長と郷田の仲を取り持っていただけませんか?」

オレ
「例えばそんな事が出来たとして、その後はどうなんです?形だけで終わって元の木阿弥になるんじゃないですか?」

梅木
「香山は以前にシャブのシノギを高橋さんに見つかって、半殺しの目にあってます。もっともその時は高橋さんの一存で公にはならなかったのですが・・・」

「今回、香山をハメます。後はオレがなんとかします」

オレ
「高橋さんの銃刀法違反は・・・香山の仕込みだと?」

梅木
「私や郷田の指示ではありません」

オレ
「香山を排除して、自分の地位を安泰にしたいから、協力しろと言う訳ですか」

梅木
「いえ。郷田組を主流につけたいだけです」

オレ
「ふーん」

梅木
「ムトーさんはこの間、竹中さんと台所でメシを食ったとおっしゃいましたよね」

オレ
「そーだったかなー?」

梅木
「台所でメシを食える人間なんて今じゃ数人です」

オレ
「オレはシロートでまったく関係ありませんよ」

梅木
「そんなことは誰も気にしていません。事実の積み重ねだけが重要なんです」

オレ
「・・・」

梅木
「お願いできませんか?」

オレ
「郷田さんはオレの事嫌いだろう?(笑)うまく行くわけない」

梅木
「いえ。不思議な事にムトーさんに手をかけるな!と組員に厳命してます。」

オレ
「ふーん」

梅木
「理由を聞いたら、あいつは実子かも知れない!って笑ってました」

オレ
「(笑)うまくいくかどうかわかりませんけど一応その方向で動いてみます」

梅木
「ありがとうございます。どーぞそれはムトーさんが持ってて下さい」

オレ
「わかった」

梅木は目の前のビールをキレイに飲み干して、特別室を出て行った。すぐに前田が入ってきた。

前田
「松井が梅木を外まで送ってます」

オレ
「聞いてたか?」

前田
「はい。一応録音しましたけど」

オレ
「消去しておいてくれ」

前田
「了解です」

オレは目の前の金と封筒をしまった。松井と石井が入ってきた。オレは彼らをソファに座らせた。

石井
「高橋の兄貴をハメたのは香山だったんですね」

松井
「ムーさん。関わらないで下さい」

オレ
「前田お前は?」

前田
「ムーさん。もう決めてるんでしょ?オレはガードに徹します」

オレ
「郷田と一緒に本部に行くだけだからそんなに大げさな話じゃない(笑)」

石井
「組の人間と一緒に本部へ行ったら、もう言い訳が通じません。どこか外で会ってもらえませんか?」

オレ
「わかった。それでいいか?松井」

オレ
「仕方ないですね。オレも離れませんから覚悟しておいて下さい(笑)」

オレ
「デートの時は・・・」

松井&前田
「ダメです!」

オレ
「あっそう。。。」

その後の梅木の仕事は早かった。2日後のクリスマス・イブ。郷田組に所轄から家宅捜査が入り、香田の私物から覚醒剤が出てきた。香田は逮捕され、香田の自宅にも操作が入り、同様に覚醒剤が出てきた。

オレはゴローちゃんに連絡を入れて、会う段取りをした。暮も押し迫った28日だった。


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