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砂時計


「砂時計」ショーケン

ショーケンが続きます。(笑)
1982年2月PART3------------

▼翌日・・・10時南署、署長室

佐竹
「やー早くに呼び出して悪いね」

オレ
「いえ。これでも早起きの方ですから^^」

佐竹
「紹介しておこう。2課の係長の岡山君だ」

50代のおっさん。まるでビジネスマンのように名刺をくれた。オレはムトー商会の名刺を渡して挨拶した。

佐竹
「実はミナミのクラブが経営するホテルに強盗が入ったそうなんだ。盗られたモノがよくわからないんだが、まだ被害届は出ていなくて」

岡山
「クラブのオーナーは盗られた物が戻ってくれば問題にしたくないとおっしゃってます」

オレ
「そうですか。それがボクとどう関係があるんでしょう?」

佐竹
「夜のミナミの事は「ギャラクシーのムトー」君に聞けば何かわかるんじゃないかと岡山君が言うもんで」

オレ
「いやー1年半留守にしてミナミに戻ってきてまだ半年ですから^^でも調べてみます」

岡山
「できたら急ぎでお願いします」

オレ
「そうだ。今日当たりタケちゃんがうちに来るそうですから先輩も是非顔を出してくださいよ」

佐竹
「ん?あーそうなのか。じゃーちょっと顔だけ出すようにするよ」

オレ
「はい^^待ってます。それじゃー失礼します」

オレは署長室を出て階段を下りた。4課の課長が受付カウンターの奥に居た。目があったがオレは知らん顔をして南署を出た。松井が立っていた。一緒に歩いてスカイ・マンションに戻った。事務所に上がる前に1Fのオープン・カフェのテーブルに座った。

オレはさっきのやりとりの概要を松井に話した。

松井
「オレたちが強盗犯だとバレてるわけですよね?」

オレ
「もちろん(笑)」

松井
「逮捕せずに話し合いですか?」

オレ
「あんなモノを盗られたって言えないもんな?(笑)自分たちも写ってる訳だし」

松井
「じゃー例のモノ倉庫から出しておきましょうか?」

オレ
「いや、返すつもりはない」

松井
「オレはいいですけど、下手したら強盗容疑でムーさん逮捕されるかも知れないじゃないですか」

オレ
「今日、佐竹さんは店に来る。その時に話すから大丈夫だ^^」

松井
「他に何か仕掛けがあるんですね?」

オレ
「まーな(笑)全部がうまくいくかどうかはわからないが・・・」

松井
「暫く離れませんよ」

オレ
「その心配はない」

松井
「ダメです(笑)」

オレたちは珈琲が出てくる前に寒かったので事務所に上がった。すでに石井は来ていた。オレは四方に熱い珈琲を頼んだ。

オレ
「ケンちゃん。あっちで話そう」

松井はオレの方を見た。オレは頷いた。先にオレが応接室に入り石井と松井が続いた。

石井
「今日の午後、郷田と梅木が本部に呼ばれているようです」

オレ
「あっそう。」

石井
「連絡があると思いますが、お礼の挨拶に伺いたいと言ってました」

オレ
「誰が?」

石井
「誰がって、もちろんふたりともですよ(笑)」

オレ
「そうはならない。(笑)きっと揉めると思うぞ」

石井
「えっ」

オレ
「郷田は健龍会の会長・・・梅木は山健組の若頭補佐で今後本部に詰めることになる」

石井
「なっなんですって!」

オレ
「ケンちゃん本気で郷田が山健組の頭が務まると思ってた?」

石井
「そっそれは・・・」

オレ
「梅木が居れば大丈夫だろうというつもりだったんだろう?」

石井
「はい」

オレ
「じゃー梅木の杯を直させて、梅木組を作らせて独立させる方がいいんじゃないか?」

石井
「まさかムーさんがそれを?」

オレ
「いやゴローちゃんが決めた(笑)」

石井
「でも揉めますよ」

オレ
「揉めたら、郷田の会長職もなくなるし、下手したらこの先冷や飯を食う事になる」

石井
「それは、そうですが・・・」

内部事情を知らない松井にはよくわかならい話だっただろう。石井も難しい顔をしていた。

松井
「韓国クラブはどうなります?」

オレ
「たぶん潰れるんじゃないか?」

松井
「それは、郷田組、いえ梅木にそうさせると言う事ですか?」

オレ
「その前に警察が動くだろう」

石井
「そうでしょうか?政治力のある悪徳係長が居ますよ」

オレ
「警察といっても行政の役人だからな(笑)移動だってあるだろう」

オレは応接室を出て事務所を出た。松井がついてくる。

オレ
「サウナに入ってちょっと寝る(笑)」

松井
「付き合いますよ(笑)」

オレたちは心斎橋を歩いて東洋ビルへ行った。そしてその通りサウナに入って、カプセルで夕方まで仮眠した。

▼17時・・・ギャラクシー・オフィス

オレ
「今日はここへ何組か客がくる。特室で話込むと思う」

佐和子
「了解です^^」

オレ
「何か嬉しそうだな?」

佐和子
「悪企み大好きですから(笑)」

オレ
「人助けだよ(笑)」

佐和子
「そーですね^^」

ドアがノックされ松井が声をかけて入ってきた。

松井
「石井さんと梅木さんがお見えになりました」

オレ
「じゃー特室へ!その間に佐竹さんがもし来たら一般席へ」

オレは裏の通路から特室へ先に入った。ソファ前で立って待っているとすぐに松井が二人を案内して入ってきた。

オレ
「いらっしゃいませ^^」

オレは正面のソファに座るように勧めた。オレも席についた。松井はカウンターで飲み物を用意した。

石井
「ふたりの前で、渡辺さんが言ったそうです。事前に聞いていた話と同様です」

梅木
「郷田が怒りまくってます。。。」

オレ
「何に怒ってるんでしょう?」

梅木
「山健の頭になれなかった事とオレが頭補佐に抜擢され杯を直すことを」

オレ
「でも郷田さん健龍会の会長でしょ?それだけでも大出世じゃないですか!^^」

梅木
「・・・」

オレ
「今、郷田組は何人ぐらいです?」

梅木
「末端まで入れると・・・500ぐらいかと」

オレ
「梅木組に何人連れて出ます?」

梅木
「・・・200ぐらいでしょうか」

石井
「厳選しするとそんなもんでしょう」

松井が大き目のグラスに入れた生ビールを持ってきた。

オレ
「じゃーとりあえずカンパイしよう^^」

それぞれがグラスを軽く上げてカンパイした。

オレ
「それから韓国クラブですが・・・VIPの会員リストを全部手に入れてください」

「この後、警察が来る予定になってます」

「テープと会員リストはこっちが回収して処分すると伝えます」

梅木
「わかりました」

オレ
「じゃーそういう事でよろしく^^」

梅木
「ムトーさん。ありがとうございました。」

「それから・・・松井さん。コレまで色々とあったと思いますが、よろしくお願いします」

「じゃー私はコレで失礼します」

オレたちは立ち上がった。そしてそこで梅木と別れた。松井は梅木をEV前まで見送った。

石井
「ムーさん。ありがとうございました」

オレ
「オレはただのメッセンジャー・ボーイだ(笑)」

松井が戻ってきた。

松井
「入れ違いで佐竹さんがいらっしゃいました」

オレ
「じゃーこっちにお通しして」

松井と石井が特室から出て行った。牧村が入ってきてテーブルを片付けた。オレは礼を言ってさっきと同じようにソファの前で立って迎える準備をした。正面のドアが開いて佐竹さんが現れた。

佐竹
「やっぱり武本さんは来られないんだな?」

オレ
「はい。急用が出来たらしくて、しっかり佐竹さんをおもてなしするように言われました^^どうぞこちらへ」

オレはデタラメを言った。もちろん最初から武本さんなんか呼んでない。佐竹署長はさっきまで居た梅木の席に座った。松井は同じように生ビールを持って来た。そして部屋から出て行った。

佐竹
「ビデオの件は手配してくれてるかな?」

オレ
「はい。ついでに会員リストもすべて手に入れるように発注をかけてます」

佐竹
「・・・ムトー君は一体何をしようとしてるんだろう?」

オレ
「ちょっと余計なお節介を」

オレはビールに口をつけた。佐竹署長はそれに手をつけようとしていない。

オレ
「秋山係長・・・そろそろ移動する時期じゃないんですか?」

佐竹
「・・・それは無理だ」

オレ
「そうでしょうか?」

佐竹
「彼の実兄がうるさ型の府会議員でね。彼はずっとミナミに居るつもりだろう」

オレ
「あのホテルですが、うちが取得する予定になってます」

佐竹
「えっ」

オレ
「それと韓国クラブはもうすぐ潰れるでしょう」

佐竹
「・・・」

オレ
「ビデオとリストは責任を持って処分します」

佐竹
「信用していいんだな?」

オレ
「はい。ボクはいつだって先輩の味方です。できたらこれからはうちで遊んで下さい。^^」

佐竹
「わかった。」

ようやく佐竹署長は笑顔を見せた。そして今度は本当に武本さんを交えて一緒に飲もうと約束して帰って行った。

オレはギャラクシーを出ようとした。松井がついてくる。

オレ
「大丈夫だってもう終わったから(笑)」

松井
「どちらへ?」

オレ
「Maggie」

松井
「じゃーそこまで一緒に行きます(笑)」

オレ
「ったく(笑)」

EVを降りた。ビルの外へ出ると少し離れたところに見た顔があった。向こうはとっさに顔を背けた。

オレ
「アレ?高坂じゃないか?」

松井
「そーですか?」

オレ
「何とぼけてんだ?(笑)」

松井
「石井さんの手配りでしょう(笑)」

オレ
「なんで?」

松井
「郷田が怒ってるようですから、とばっちりが来るかも知れません」

オレ
「考え過ぎだ(笑)すぐにおさまる」

▼20時・・・Maggie

関川に案内されてオレたちはテーブル席に座った。客の入りはまーまーだった。ウエイターがブランデーセットを持って来た。彼は好みを聞き、その場でふたつの水割りをつくった。

オレ
「前田は関川の事をぶつぶつ言ってたけど、お前はどーなんだ?」

松井
「前田の気持ちはわかります。(笑)でもオレはもうなんとも思ってませんよ」

オレ
「そっか(笑)」

松井
「あれほど憎んでいた梅木さえ、あんな風に侘びを入れられると・・・なんかそう言う気持ちを持ち続けるのがバカバカしくなってきました(笑)」

オレ
「それは良かった^^」

松井
「それにMaggieはオレが最初にムーさんとこへ戻って来た時に任された店ですから、その名前を付けたここはなんとしても流行ってもらわないと困りますし」

オレ
「そーだな」

松井
「ムーさん」

オレ
「ん?」

松井
「この年になって、ムーさんと一緒に強盗するとは思ってもみませんでしたよ(笑)」

オレ
「あははは^^」


「ムーさん」

松井
「あっ!」

オレの後ろから声がかかり、松井が驚いたように声をあげた。

オレ
「おう^^尚子じゃないか!ひさしぶりだなー(笑)」


「ムーさん。松井さん。お久しぶりです^^」

オレ
「まー座れよ」


「はい」

松井
「Maggieの名前で思わず入ってきたのか?」


「もしかして?と思ったら本当にムーさんと松井さんが居てびっくりしました(笑)」

クラブ「冴子」の時から尚子はホステスとして働いていた。そしてその店が「Maggie」に変った後も暫く居た。

オレ
「今どうしてるんだ?」


「彼とふたりですぐそこのビルで小さなスナックをやってます。^^」

そう言って尚子は小さな名刺を取り出した。BAR「ALICE」


「是非一度きて下さい^^」

オレ
「うん」


「じゃー私、仕事中なんでこれで失礼します^^」

オレ
「じゃー^^」

松井
「顔を出すよ^^」

尚子は笑顔を残して店を出て行った。

松井
「これもMaggieの名前でやってるからこそですね(笑)」

オレ
「そうだな^^お前、尚子と出来てたんじゃなかったか?」

松井
「馬鹿な事言わないで下さいよ!店の子に手を出すわけないじゃないですか」

オレ
「何ムキになってんだ?あーもしかして出したかったけど出さなかったから後悔してんだろう(笑)」

松井
「あははは^^多少は(笑)」

オレ
「(笑)」

浜田達の演奏が始まり、リクエストをこなしだした。オレと松井は店を出た。オレはキャッツへ行った。松井はそれを見届けて、「帰りは電話してください」と言ってギャラクシーに戻った。

ガボマスター
「あれ入れ違いだなー?さっきまで横山君がショーコちゃんと居たんだけど」

オレ
「そう?オレはMaggieで飲んでました^^」

未来
「あっMaggieのオープンおめでとうございます」

シューさんの隣に座っていた未来は席を替わってカウンターに入った。そしてブランデーの水割りをオレの前に置いた。

オレ
「ありがとう^^」

ガボマスター
「オレも昨日行ったけど、Maggieどうだった?」

オレ
「まーまー盛況でした!懐かしいお客さんも居たりしていい感じでしたよ」

ガボマスター
「街も人も新陳代謝するけど、こうして名前が引き継がれるってのはいいね!そんな風に伝説も生まれるんだろうな」

オレ
「伝説ですか^^」

ガボマスター
「この間も誰かが言ってたじゃないか?『龍の女』その背中にはぞっとするような美しい大きな龍の刺青があって、その女を抱く男はすべての成功を手に入れる・・・って伝説」

オレ
「へー『龍の女』ですかー(笑)」

ガボマスター
「そう?オレその話を聞いた時に、ユーちゃんだと思った。いやその女を知ってるのはユーちゃんだって言う意味なんだけどね(笑)」

未来
「ムーさんはすべての成功を手に入れるんだ!^^すごいなー」

オレ
「あははは^^オレなんか龍どころか、うなぎ?いやミミズ程度でしょう(笑)それよりオレは『蒼い蝶』の伝説の方がいい」

未来
「何ですかそれは?」

オレ
「その女の体には3匹の『蒼い蝶』が飛んでいて、どんな男でもソレを見るとその女としたくなってしまって、するとこの世のものとは思えない快楽を味わう事が出来て虜になってしまうらしい」

ガボマスター
「それも有名伝説だよな!^^」

理沙
「ミナミには色んな伝説があるのね^^」

理沙はオレの隣に座った。オレはグラスを空け、理沙は新しい水割りをつくった。

ガボマスター
「龍に蝶か?やっぱり一度見てみたいなー(笑)」

オレ
「ほんとですね(笑)」

さっきからポケベルが鳴っていた。オレはトイレに立ち、入り口にある電話でギャラクシーに電話を入れた。牧村が出て松井に代わった。

オレ
「そっか。じゃーそーだな。スコッチ・バンクに来るように伝えてくれ」

「うん。よろしく」

オレは電話を切った。未来がオシボリを手渡してくれた。オレはそれを使いカウンターに戻った。

オレ
「じゃーオレはそろそろ^^」

ガボマスター
「うん。じゃーまた」

オレは理沙に送られて店の外へ出た。

理沙
「なんかアブナイ事してる?」

オレ
「もう終わった(笑)」

理沙
「気をつけてよー」

オレ
「うん^^」

オレはEVを使って外に出た。北に向かい歩いた。周防町を東に、そして英国館の向いのビルの地下へ入った。

ひさしぶりのスコッチ・バンク。いつもの奥のソファ席に案内された。ここからはステージがほとんど見えない。死角になっているような席で、一般的にはあまり好まれない席だったが、女とふたりでゆっくりと過ごすにはいい席だった。

ブランデーのセットとオードブルをオーダーした。ラークに火をつけた。1本吸い終わらない内に女はきた。そしてその前にブランデーセットは目の前のダウンライトが当たるテーブルに用意されていた。


「突然すみません^^」

オレ
「いえ。ちょっと飲み歩いていて退屈してたところだから」

ウエイターがオーダーを取りに来た。麻里子ママ「リョーコ」は、同じようにグラスをもう1つ頼んだ。


「ここはよく来るんですか?」

オレ
「北隣の東洋ビルで昔ディスコをやってたから、その時は毎日のように来てた」


「あっSPEAK EASYでしょう?学生の時に何度か行った事あります」

オレ
「学生の時かーオレはずいぶん昔のように思うなー(笑)」


「あらっでもムーさんより私の方が若いから仕方ありません」

この店のデザインを真似て、千日前「ミルク・ホール」が出来た。そしてその店はディスコになり、わずか数ヶ月でオレとオレの友人ふたりが仕切るようになった。そして初めてオンナとデートしてこの店に来た。それが目の前にいるオンナと同じ名前の「リョーコ」だった。


「父が無理やりエスポワールとローズマリーを押し付けたそうで、すみません」

オレ
「いえ。あれだけ流行っている店を譲ってもらってびっくりしてます(笑)」


「ムトーさんは父のお気に入りですから^^」

オレ
「ただの飲み友達なんですけどね」


「私、東京でレストランをやろうと思ってたんですけど止めました」

オレ
「あらら・・・それは残念ですね」


「どうしてですか?」

オレ
「東京でヒットさせれば多店舗展開も可能じゃないですか?」


「ムトーさんはそういうビジネスに興味があるんですか?」

オレ
「いえ、ありません(笑)」


「なーんだ(笑)」

オレは水割りを飲み干した。リョーコは新しい水割りをつくった。


「先にパリかミラノへ行ってそこでレストランをやろうかなーって」

オレ
「ほー^^ヨーロッパですか!いいんじゃないですか?」


「でもひとりじゃ無理そうだし・・・」

オレ
「まーそれなりの覚悟は必要でしょうね」


「だから、知り合いの居るニューヨークにしようかと」

オレ
「ニューヨークには知り合いが多いんですか?」


「はい。ひとりだけ」

オレ
「それは楽しみだなー」


「でも、その人、女ったらしなんですよ」

オレ
「あははは・・・そういうのには絶対近づかない方がいい」


「やっぱり?」

オレ
「それこそジゴロでしょう(笑)相手にしたらダメだ」


「ムトーさん。ジゴロじゃないじゃないですか(笑)」

オレ
「えっ?オレ?(笑)似たようなもんです」


「今日はクールなんですね。あっ相手に合わせてるんだ?私がムトーさんって呼んでるからでしょ?」

オレ
「さぁ〜?」


「3ヶ月ぐらいニューヨークに居て、色んなお店を見てそれからヨーロッパにちょっと寄ってから東京でお店をする。それがいいかなーって」

オレ
「うん。優雅でいい^^」


「ユーちゃん。ドライブしない?」

オレ
「えっ?」


「ユーちゃんずいぶん飲んでるから私が運転するわ^^神戸辺りまで行こうよ」

オレ
「ふむっ」

いきなりユーちゃんと呼び言葉遣いも変った。オレはここでズルズルとするよりクルマに乗って走ってる方がいいと思った。ふたりで店を出た。リョーコは軽く腕に絡んできた。オレはスカイ・マンションの駐車場へ向かおうとした。


「こっちよ!」

オレ
「えっ?」

リョーコはスコッチ・バンクのすぐ前の道路、周防町通り沿いにクルマを停めていた。


「乗って^^」

オレはそこに立ち尽くした。白のポルシェ・カレラ・・・リョーコは歩道からそのまま運転席に・・・


「どうしたの?」

オレ
「いや・・・」

オレは仕方なく道路側に出て助手席に乗り込んだ。固いバケットシート。シートを少し後ろに下げた。

セル一発で背中からエンジンの咆哮が聞こえてくる。リョーコは周防町をそのまま西に走った。アメリカ村を抜け四ツ橋筋を北へ曲がり中央大通りに出た。4車線の広い道になるとポルシェの加速力を見せ付けるようにスピードを上げた。オレの体はシートに押さえつけられ緊張した。

オレ
「ちょっと停めてくれないか・・・」


「・・・」

ポルシェは43号線に出る前に、道路の左側にハザードをつけて停止した。


「どうしたの?クルマ酔い?」

オレ
「いや女の運転自体に慣れてないから(笑)」


「じゃー運転する?(笑)」

オレ
「うん」

オレたちは外に出て入れ替わるようにポルシェに乗った。オレはシートを調整し、バックミラーを合わせた。新しいミッションシステムを採用したポルシェ。ギアを入れてアクセルを踏むだけで走る。

オレはゆっくりと指示器を出してポルシェを出した。この時間道路は空いている。アクセルの弾力を確かめながら、徐々にスピードを上げハンドルをきった。43号線に出るとアクセルを踏み込んだ。爆発的な加速力!まさにレーシングカーそのものだった。

オレ
「ははは^^パトカーに追われても余裕で振り切れるな(笑)」


「ふーん。(笑)」

オレはそのまま一気に芦屋まで走り、宮川を北上して芦屋の路有に入った。しっかりとした足回りはワインディングロードでも安定していた。奥池を超えてすぐの駐車場へポルシェを入れた。

オレ
「ポルシェを初めて運転した^^」


「ユーちゃん。クルマ好きなんだ^^」

オレ
「ん?ああ」


「神戸も詳しいの?」

オレ
「まーな(笑)出よう」

オレはポルシェの外へ出た。すぐ前の柵のところまで行った。真冬の乾燥した大気は澄んでいて、素晴らしい夜景が眼前に広がっていた。


「うわー気持ちいい^^」

オレ
「こんなにキレイに見える日はそうはない^^」


「うん。キレイだわー」

オレ
「あのクルマ、神戸ナンバーだけどこっちに住んでるのか?」


「うん。この下の芦屋のマンションに半年前から^^」

オレ
「ふーん」


「ねーここまで来たら有馬まで行こうよ」

オレ
「この時間からか?(笑)」


「うん♪」

オレは自動販売機で温かい缶コーヒーを2つ買い、プルトップを引いてリョーコに渡した。甘すぎる缶コーヒーは一口のんだだけでそれ以上は飲めなかった。オレはゴミ箱にそれを投げ捨てて、リョーコを促してポルシェの車内に戻った。

駐車場を出て、さらに北へ向かった。小さな山を越えると下りになる。そこを降りきるともう有馬だった。

オレは有馬でも由緒ある旅館「古泉閣」の入り口の前にポルシェを停めた。

オレ
「温泉入る?」


「うん♪」

オレはポルシェのエンジンをかけたままひとりで降りた。玄関に入り空きの確認をした。ちょっと強引に交渉して宿泊することになった。ポルシェに戻り駐車場へ入れオレたちは部屋に案内された。すでに食事の時間は終わっていたが、特別に用意してくれた。


「芦屋は外車ばっかりじゃない?インパクトのあるクルマがいいと思ってアレにしたの」

オレ
「芦屋あたりじゃもう有名になっただろう?(笑)」


「少しぐらいは(笑)」

オレ
「どこの店によく行く?」


「ちょっとミーハーだけど、山手倶楽部にはよく行くわ」

そう言えば、平井がやってた店「スマイリング・リンカーン」を東映の女優に売ったという話を思いだした。そこが確かそんな名前だった。

仲居がやってきて、食事の用意をした。有り合わせの割には贅沢なメニューだった。リョーコはオレにビールを注ぎ、オレも注いでやった。軽くグラスを合わせた。


「ねー後で露天風呂一緒に入ろうか?」

オレ
「ここは混浴じゃないぞ(笑)」


「遅い時間だったら大丈夫じゃない?」

オレ
「そんな事言われたらドキドキするじゃないか^^」


「そう?(笑)」

オレ
「しかし、とんでもないクルマだなポルシェは・・・」


「ふふふ^^」

オレ
「まだ5000しか走ってないな?神戸と大阪の往復だけ?」


「そーよ^^」

オレ
「たまには深夜に阪神高速の環状線とかぶっ飛ばしてエンジン回さないとダメだな」


「今度そうしようか?^^」

オレ
「そーだな(笑)ん?どーした?」


「かわいいなーと思って(笑)」

オレ
「ふんっ!」

オレはしっかりと食うつもりだったが、次々と運ばれてくる料理は質、量ともに申し分なく腹いっぱいになった。リョーコは少しづつ箸をつけただけだった。

オレ
「さてと風呂に行くか!」

オレは隣の襖を開けて浴衣に着替えた。リョーコと交代した。本気で一緒に入ってくるかどうか楽しみだった。

二人で風呂場へ行った。


「やっぱり私が男湯に入る方が問題が少ないわよね?(笑)」

オレ
「そーだけど(笑)じゃーちょっと様子を見てくるよ」


「うん」

館内から一度外へ出る。露天風呂専用の簡単な着替え場所があった。そこでオレは裸になってタオルを肩にかけて入ってみた。銀泉の露天風呂。湯気が薄く立ち上る。人影はない。中に入っていてもちょっと注意をすればここへやってくる人の気配は感じられるようだ。

素っ裸のままオレは戻った。誰も居ない事を告げるとリョーコは微笑んで一緒について来た。

オレは先に露天風呂に入った。外気が冷たいせいか入ると熱いく感じられたが、すぐに体が慣れてちょうど良い加減だった。

リョーコは髪をアップにし頭にタオルを巻き浴衣姿のままやってきた。生垣の傍で浴衣を脱ぐと素っ裸だった。どうやら下着だけを脱いで置いてきたらしい。リョーコは隠す仕草もみせずそのままゆっくりと入って来た。


「んー気持ちいい^^」

オレ
「うん。真冬に露天風呂はサイコーだな」


「明日も晴れるかなー?」

オレも同じように空を見上げた。小さな星がいくつか見えるだけだった。

オレ
「山間だからな、わからないなー」


「あんまり星見えないね。」

オレ
「このあたりじゃまだ無理だな」


「オキナワで見た星はキレイだったわ」

オレ
「そう^^」


「本当に満天の星で・・・それこそ宇宙に居るみたいだったわ」

オレ
「ふーん」


「今度一緒に行こうか?」

オレ
「ああ」

オキナワには仕事も含めて何度も行っているが、オレはあえて何も言わなかった。もちろん星の話も・・・オレは立ち上がって、リョーコに尻を向ける形でそこから外を眺めた。庭の向こうに雑木林が広がっていた。オレはタオルで前を隠して向き直った。

オレ
「中の金泉に入ろう」


「うん」

オレは先に上がり、その場で待っていた。リョーコはオレの背の後ろで浴衣を着ているようだった。

話声が小さく聞こえた。こっちに近づいてくる人の気配がした。着替えのところまで戻ると老人が2人入ってきた。リョーコを見て変な顔をした。リョーコは笑顔で「こんばんわ^^」と挨拶をしていた。老人たちも同じように挨拶をした。オレは浴衣を来て戻った。リョーコは男湯の出口から出て行った。

もう1度浴衣を脱いで大浴場の方へ行った。ドロドロとした色の金泉に入り、シャワーを浴び髪を洗ってもう1度、今度は広い銀泉に入った。

それにしてもリョーコは我侭で楽しいヤツだな(笑)

部屋に戻るとすでにテーブルは片付けられていた。リョーコは髪を整え薄い化粧に変っていた。


「どーぞ^^」

オレ
「ありがとう」

新しいビールが用意されていた。オレはリョーコにもビールを注ぎ、グラスを軽く上げて一気に飲み干した。

オレ
「旨いっ!」

リョーコはすぐにビールを注いだ。そして少しビールに口をつけた。

オレ
「さてと!そろそろ帰ろうか?」


「えっ?」

オレ
「久々に楽しいデートだった」


「ユーちゃん」

オレ
「あはっ^^ジョーダンだよ(笑)あんなキレイな姿見せて貰ってこのまま泊まっていいのかなーって、ちょっと言ってみただけだ」


「もうっ!びっくりするじゃない(笑)」

ちょっと前のオレならカッコをつけて帰るつもりでもう少し会話を引っ張ったかも知れない。特に欲望を感じたわけでもなかったが、付き合ってやることにした。

オレは立ち上がってもうひとつの部屋の襖を開けた。すでに2組の布団が敷かれていた。枕元の小さなスタンド照明を点けた。

オレ
「布団に入ろう^^」

リョーコ
「うん」

オレはその部屋にリョーコを入れた。リョーコは布団の前に座った。オレはリョーコを抱き寄せてキスをした。リョーコの舌を探り、絡ませて強く、緩く吸った。そのまま布団の上に押し倒して、浴衣の胸を開く、さっき見たバランスのいい乳が目の前に表れた。乳首を口に含み、もう一方の乳を揉んだ。両手を上げさせて乳から脇の下へ舌を這わせる。

リョーコの体がよじれ、吐息が荒くなる。もう一方の乳にも同じ事を繰り返す。オレはリョーコの脚の間に膝を入れた。浴衣の裾を割り股間に手を入れる。少し湿った草むらを掻き分けて割れ目に指をはわせた。

リョーコ
「んーーー」

上体の向きを変えるように体が動き声が漏れた。固くなったクリトリスに触れその下のヒダを開く、そしてその奥の穴に指を入れた。

リョーコ
「あんっ」

よく濡れたその穴とクリトリスを親指と人差し指で挟むよう擦りつけた。

リョーコ
「ああー」

乳首を口にしたまま手は股間に入り、もう一方の手は乳を掴んでゆっくりと大きく揉んだ。初めての女とのセックス。期待感にオレのモノは痛いぐらい大きくなっていた。

指を二本入れた瞬間にリョーコは仰け反った。そのまま穴の奥まで指で激しく責め立てた。

リョーコ
「あぅー」

すぐにリョーコは指でいった。オレはリョーコの体に乗りオレのモノを少し荒々しく挿入した。

リョーコ
「うわーーー」

大きな声とともにリョーコの上体がよじれた。オレのモノはまだ全部入っていない。オレはリョーコの体の外側に手をついて大きなストロークでゆっくりと出し入れするように動いた。

リョーコ
「あーあーー」

間欠的に漏れる声、浴衣から露になっている乳が小さく揺れる。リョーコの前髪が少し顔にかかって、眉間に皺が寄る。口元は開き声が・・・

オレはリョーコの両脚を抱えて一気に穴の奥までオレのモノを挿入した。

リョーコ
「うぁー」

そのまま激しく穴の奥を壊すように責め立てた。

リョーコ
「あぅーあーーあーーー」

リョーコは苦しげな表情で上体は反り返りシーツに指を突き立てるようにしていった。穴の奥が少し緩み熱く感じられた。

オレはリョーコの体から降りて、布団をひっぱってその中にリョーコの体を入れた。腕まくらをして横抱きにリョーコの体を抱き寄せた。オレはリョーコの股間に手を入れて穴の付近を軽く撫でていた。暫くそうしていると・・・リョーコは寝息をたてて眠った。

オレは股間から手を離してゆっくりと布団から出た。そしてもう1組の布団に入り、そのままオレも眠った。

自然と目が覚めた。枕元に置いたデイジャストをとり時間をみる。6時半・・・体内時計は正確にいつもの時間になると起動し目を覚まさせた。

隣をみると少し乱れた姿勢でリョーコは眠っている。オレは静かに起き上がり隣の部屋へ行った。そしてそのまま風呂場に向かった。

先に大浴場の銀泉に入った。体を伸ばし後ろの髪を掴み横に引っ張る。首のすぐ上が小さく音を立てて鳴る。反対側も同じようにする。酸素が脳に入り頭がすっきりした気になる。

腕、脚をゆっくりと屈伸させる足の指を手で折り曲げる。体の隅々まで覚醒していく感覚がたまらない。

風呂場を出てハブラシを使った。整髪をし部屋に戻った。

オレ
「まだ早いから寝てればいいのに^^」

リョーコ
「ううん。よく眠ったから大丈夫よ^^」

オレ
「オレは先に朝風呂してきた(笑)入ってきたら?」

リョーコ
「うん」

オレ
「朝食は取らずにそのまま出ようか?」

リョーコ
「そうね」

▼8時・・・六甲山「オリエンタル・ホテル・1Fカフェ」

泊り客専用のゾーンに入れてもらい朝食のバイキングを摂った。

見晴らしのいい席で、トースト、サラダ、スクランブルエッグ、ソーセージ、オレンジジュース、珈琲などなどをセルフサービスで持って来た。

リョーコ
「朝はこんなスタイルの方がいいわね^^」

オレ
「うん。気分的にシャキっとするし」

リョーコ
「ユーちゃんは神戸の人?」

オレ
「ああ。19まで神戸にいて、その後はミナミだ。何で?」

リョーコ
「道もよく知ってるみたいだし、なんとなくそんな気がした」

オレ
「ずっと神戸に居ると思ってたんだけどな(笑)」

リョーコ
「どうしてミナミに?」

オレ
「大学留年して学業に専念するという建前で」

リョーコ
「大学は何処だったの?」

オレ
「芸大・・・大阪芸術大学の映像学科だった」

リョーコ
「へーそーなんだ^^」

オレ
「リョーコは同志社だろう?学生時代は京都に住んでたのか?」

リョーコ
「ううん。まだその頃は大阪から通ってた」

オレ
「そっか」

松村さんは5年前にリョーコの母親が亡くなったと言っていた。きっとその後はひとり暮らしだったのだろうと思った。

オレ
「昨日は天気良かったのにな」

リョーコ
「雨もなんかロマンティックでいいわ^^」

オレ
「このあたりだとミゾレ混じりになって雪になるかも知れないなー」

リョーコ
「雪かぁ〜それもいいなぁ〜^^」

オレ
「なんならすぐそこでスキーでもするか?」

リョーコ
「また今度ね(笑)ユーちゃんはスキー好きなの?」

オレ
「ピアノとスキーは子供の頃必須だったから無理やりやらされた」

リョーコ
「ふーん^^お坊ちゃんなんだ(笑)」

オレ
「親がミーハーだっただけさ(笑)」

オレは手を上げてウエイターを呼びテーブルを片付けてもらった。その間にカウンターバーに行き、もう1度珈琲と紅茶を取り席に戻った。そして珈琲を飲んだ後、ポルシェに乗りリョーコの自宅ある芦屋まで戻った。

オレは芦屋駅前で降りた。

オレ
「楽しかったよ!ありがとう」

リョーコ
「後で電話する^^」

オレ
「ああ」

リョーコ
「じゃーねー^^」

オレは電車に乗ってミナミまで戻った。

▼11時・・・スカイ・オフィス

四方
「石井さんがムーさん戻ったら知らせて欲しいって言ってました。下に居ると思いますけどいいですか?」

オレ
「うん」

オレは自室に入り着替えた。昨晩からの酒の匂いが服に残っているようで気になっていた。下着を換えジーンズにトレーナー、革ジャンを着た。部屋を出るとすでに石井は上がって来ていた。そして応接室に入った。

石井
「梅木がリストを手に入れたようです。ここへ来るように連絡しました」

オレ
「そう」

石井
「何か?」

オレ
「いや、意外に早かったなと思って(笑)」

石井
「とろとろやってると向こうのケツに火がつく状態ですから(笑)」

四方が持ってきてくれた冷たいお茶を飲んだ。内線のコール音が鳴った。オレは受話器を取り上げた。返事をして外線ボタンを押した。

オレ
「はい。ムトーです」

「そーですか」

「わかりました。」

オレは受話器を置いた。チャイムが鳴った。石井が応接室を出た。人が入って来た気配でわかった。梅木を連れて石井が戻って来た。

梅木
「おはようございます」

オレ
「ども^^わざわざすみません^^」

四方は梅木に温かい珈琲を持ってきてテーブルに置いた。

梅木
「さっそくですが、昨夜ちょっと荒っぽい事になりましたけど、リストの原本と思われるものを入手しました」

そう言って梅木はアタッシュケースからファイルを取り出した。オレはソレを手にとってパラパラとめくってみた。会員申込み用紙にそれぞれ筆跡の違う文字が見えた。

オレ
「店でそういう事態に?」

梅木
「はい」

オレ
「今日中にホテルの方のビデオ室は機材も含めて完全に撤去して下さい」

梅木
「今日中にですか?」

オレ
「それからクラブ「済州島」には今日は絶対に行かないように」

石井
「・・・」

梅木
「何かあるんですか?」

オレ
「言えない(笑)」

梅木
「わかりました。じゃー私はコレでさっそくホテルの方の手配をします」

オレ
「どうもありがとうございました」

梅木は珈琲に手をつけないまま出て行った。石井が送って行った。オレはもう1度ファイルを見た。一番後ろに集計用紙に書き移された一覧リストがあった。

石井が戻って来た。

石井
「さっきの電話・・・今日サツが入るんですね?」

オレ
「2課の悪徳係長が今朝移動になった。辞令即移動という事態になってるらしい」

石井
「親戚に大物の府会議員が居ると言うあの係長がですか!」

オレ
「よく知らないけど(笑)」

石井
「そんなにタイミング良く・・・もしかしてムーさんが?」

オレはそれには答えずラークに火をつけた。鬱陶しい話になるとタバコをよく吸う。

オレ
「1回では終わらないだろうな」

石井
「どういう事です?」

オレ
「あの店は徹底してやられる(笑)」

石井
「そーですか」

オレ
「梅木組はいつ頃できそう?」

石井
「来月そうそうには立ち上げるようです。今度そこの頭になるやつが挨拶に来たいと・・・」

オレ
「オレに?勘弁してよ(笑)」

石井
「実は梅木に懇願されて、オレあいつと兄弟杯を交わしたんです」

オレ
「えっ」

石井
「もちろん正式なモノではありませんし、あくまでもオレはカタギですから」

「一応5分の兄弟です。オレはムーさんの弟分ですから、梅木は回り兄弟という事でムーさんの弟分です」

オレ
「ちょっと待て!オレはそんな杯をケンちゃんと交わした事ないぞ!」

石井
「なくてもオレが郷田を狙って破門で済んだのは、頭がムトーの兄弟分だからって郷田に言ったからなんですよ!組内じゃーそれで通ってます(笑)」

「それにムトー商会はムーさんが家長で長兄なんですから、オレは弟じゃないですか^^」

オレ
「それは・・・」

石井
「頭、いえ渡辺さんとムーさんはすでに特別な関係なんですから、梅木が下についたって問題ないでしょう?」

オレ
「・・・」

石井
「絶対に表に出ない話ですし、たとえ出てたとしても、誰もそんな話信じませんよ(笑)」

石井は梅木の正体をまだわかっていないようだった。もっともわかる訳がないのだが・・・この始末がついたら説明しておかなければ・・・

------------------------
それから3日後・・・
------------------------

▼6時・・・ギャラクシー特別室


「急にうちのカイシャは綱紀粛正と言うお触れが出て大変なんだ(笑)」

オレ
「へーそうなんですか(笑)」


「それにしても、相当手数をかけさせたようだな」

オレ
「さー?オレは何も」


「強盗が発生したかと思えば、とんでもない政治力を使って人事に介入し、挙句の果ては顧客リストや決定的な証拠のビデオまできれいになくなってた」

オレ
「敵にも用心深いのが居たんじゃないですか?」


「敵がそんな事するか!(笑)またできるわけもない」

オレ
「ミナミには色んな人間が居ますから^^」


「ここだけの話だが、2課の課長からも礼を言っておいてくれって伝言をもらってる(笑)」

オレ
「(笑)」


「今回の事は礼を言う・・・ありがとう。」

「だけど、郷田組がきなくさいな?梅木がお前のところに出入りしてるそうじゃないか?」

オレ
「もうヤツが来ることもありません」


「とにかく何があってもミナミだけは平和にする。いいな?」

オレ
「もちろんですよ!でも、実はオレ近々ニューヨークへ行くんですよ!」


「ん?」

オレ
「留学するつもりですから、暫く向こうで暮らします」


「そうなのか?(笑)親父さんもひと安心だろう」

オレ
「後はよろしくお願いします(笑)」


「わかった^^」

ミナミのヤクザがその名前を聞いただけで震え上がる4課、マルボウの坊野課長は笑顔でビールを飲み干した。そして財布から千円札を1枚置いて帰って行った。オレは目の前のビールに口をつけた。あまり旨くは感じられなかった。

理恵と佐和子が裏から入って来た。

理恵
「無事に終わったのね?」

オレ
「そうみたいだ」

佐和子
「加奈子に白状させたわ。強盗したって話、本当だったのね(笑)」

オレ
「誤解だ(笑)」

理恵
「よくそんなムチャクチャな事を(笑)」

オレ
「でもまーあのホテルは買い戻したから、またオレたちのモノだ^^」

理恵
「ユーちゃん。ありがとう」

佐和子
「エスポワールの事なにか聞いてます?」

オレ
「ん?」

理恵
「エスポワールは紗也乃ママがこれまでやってきて、うちとミナミで1,2を争うトップクラスの店じゃない?」

「紗也乃ママの後を継いでやれる女はそうはいない。私か佐和子が行くとギャラクシーと競合してしまうでしょう?」

「だから・・・」

オレ
「だから?」

理恵
「この間、玲子ママに相談に行ったの!佐和子と一緒に」

オレ
「それで?」

理恵
「そしたら・・・次が決まるまで手伝ってもいいって言ってくれたんだけど、いいかなー?」

オレ
「・・・」

佐和子
「誤解のないように、私たちから手伝って下さいとは言ってないんですよ」

理恵
「ユーちゃんがオッケーしたらと言う前提なんだけど」

オレ
「そっか。ちょっと話し合ってみるよ」

理恵
「怒ってる?ごめんね?他にいい考えが浮かばなくて・・・」

オレ
「怒ってなんかいないよ^^あいつも退屈なのかも知れないし、やる気があるんだったらオレは反対しないよ」

理恵
「ほんと^^ほんとに怒ってない?」

佐和子
「良かったー^^」

ドアがノックされ松井が声をかけて入って来た。その後に前田が居た。そして入れ替わるように理恵と佐和子が元気に店に出て行った。

前田
「ムーさん。オレも一緒に強盗したかったですよー(笑)」

オレ
「まーアレは成り行きでそうなっただけだ」

松井
「係長の移動もムーさんの予言通りでしたね?(笑)」

前田
「どんなマジックを使ったんです?^^」

オレ
「うん。いつも通り『神に祈った』だけさ^^」

前田&松井
「ははは・・・」

前田
「もう誰もうちには手を出せませんよね(笑)」

松井
「やっぱりコレも人助けでしたね(笑)」

オレ
「言っとくけど、これで終わりだ!ムトー商会はもうヤクザとは関わらない!」

前田&松井
「はい」

オレ
「たぶん・・・この先、神戸は大変な事になる。」

前田
「やっぱり跡目問題ですか?」

松井
「荒れそうなんですね」

オレ
「オレには・・・もう関係ない」

オレはギャラクシーを出てスカイ・マンションの地下駐車場へ行った。クラウンを出して自宅に戻った。

▼20時・・・箕面「自宅」

チャイムを鳴らし鍵を使って中に入った。

玲子
「おかえりー^^」

オレ
「ただいまっ!」

玄関前で軽く抱き合ってキスをした。そしてそのままリビングへいった。上着を脱いで玲子に預けソファに座った。

オレ
「裕人は?」

玲子
「もう寝ちゃったの(笑)今日は公園で散々遊んで疲れたみたい」

オレ
「そう^^」

玲子はビールの用意をしてソファの前のテーブルに置いた。オレがグラスを持つとビールを注いだ。

玲子
「ごはんの用意するね」

そう言ってキッチンへ入った。こんな時間に家に居て晩飯を食う。もしかしたら初めての事かも知れない。

TVを点けた。リモコンを操作してチャンネルを換える・・・ニュース。暴力団特集、3代目山口組の組長死去から、4代目と目されていた若頭の病死、混乱を極める跡目問題の中、警察の壊滅に向けた新しい頂上作戦の実施。など等の経緯が映像と共に解説されていた。

玲子
「出来たわよー」

オレはTVを消してダイニングテーブルの方へ行った。

オレ
「おっ旨そうだ^^」

玲子
「あなたのつくってくれたシチュー程じゃないけど(笑)」

オレ
「あははは^^アレは厨房のチーフがつくったモノだから」

玲子
「実は作り方教えてもらったの^^」

オレ
「そうなんだ?頂きます」

スープ、サラダ、タンシチュー、ローストビーフ。オレは残さずに全部きれいに食った。

オレ
「理恵と佐和子から聞いた」

玲子
「うん。いいかなー?」

オレ
「ニューヨークへは?」

玲子
「時々行く」

オレ
「・・・」

玲子
「あなたがミナミに戻って来て、ギャラクシーや泉を取り戻して、キャッツ、Mary's、Maggieも新しく再開したわ。」

「私がクラブ『純子』をクローズして1年半・・・何かやりたくてうずうずしてたの。エスポワールは1流の店だわ!やりがいがあるし頑張るつもりよ」

「どうしてもやりたいの!ダメ?」

オレ
「他に理由は?」

玲子
「それだけよ!私の勝手な我侭なの」

オレ
「・・・」

玲子
「お願いっ」

オレ
「わかった」

玲子
「ありがとう^^」

オレはソファに戻ってラークに火を点けた。玲子は新しいビールと灰皿を持って来た。グラスを手にすると玲子はビールを注いだ。

玲子
「それともうひとつお願いがあるんだけど」

オレ
「何?」

玲子
「引越そうと思うの。1110号室貸してくれる?」

オレ
「・・・」

玲子
「わかってる。あの部屋があなたや皆にとって大事なところなのは・・・もしリョーコさんが現れたら必ず連絡する」

「昔・・・リョーコさんが訪ねてきた事があった」

オレ
「えっ」

玲子
「あなたが出て行ったって・・・彼女は私の事を誤解してた。ちゃんと話してわかってもらえたけど、その時に彼女言ったわ。ユーイチの事、頼みますって」

「そして遠くで見てるって」

オレ
「そんな事が・・・」

オレは一気にビールを飲み干した。玲子はまた注いだ。いつだってそうなんだ。本当に肝心な事はオレの耳には入ってこない。女同士で話し合い解決を図る。それはオレがガキだからか?

オレ
「わかった」

玲子
「ニューヨークはショーコちゃんや香ちゃんに任せるわ^^」

オレ
「もう話したのか?」

玲子
「ショーコちゃんが電話くれたのよ!私が家に誘った」

「色んな事、話したわ」

「ショーコちゃん。あなたが助けてくれたって言ってた」

オレ
「何も知らずにノーテンキにやってるのはオレだけか(笑)」

玲子
「ううん。あなたが苦しんでるのは皆知ってるわ。だからあなたはNYで頑張って」

オレ
「・・・」

オレは新聞をとってみた。天気図を確かめた。大丈夫そうだった。

オレ
「明日。3人で船に乗りに行こうか?」

玲子
「えっ?」

オレ
「叔父貴のクルーザーを借りる。船に乗った後、オレの家に行こう。オフクロとオヤジに会おう」

玲子
「・・・」

オレ
「オレも家に帰るのは・・・7年ぶりだ(笑)」

玲子
「ほんとに?」

オレ
「ああ」

玲子は抱き付いてきた。オレはキスをして舌を絡ませ、乳を揉んだ。太ももを撫でて股間に手を入れた。下着はつけていなかった。

オレ
「エッチしてくれる?」

玲子
「うん。ここで?」

オレ
「ベッドに行こう」

オレは立ち上がり寝室へ行った。玲子はオレの服を脱がせた。オレは玲子に任せた。玲子はオレの前に座り下着を下ろした。目の前のオレのモノに顔を軽くつけてパンツを取り去った。まるで意識せずに自然に当たったように・・・

オレはベッドに寝転んで玲子の方を見た。

玲子は服を脱ぎ裸になった。何も隠さずにベッドに入ってきた。キスをして抱き合った。オレは玲子の脚を挟み、玲子の太ももにオレのモノを当てて腰を使った。まるでさかりのついたオスイヌがするように・・・

乳にしゃぶりついて腰を使い。もう一方の乳を揉む。玲子の喘ぎ声が徐々に大きくなる。

玲子
「あーユーイチ。私にさせて」

オレは乳から離れた。玲子はオレの上に被さりオレの乳にキスをする。指はオレのモノに絡みついた。

玲子
「ユーイチ。我慢しないで、気持ち良かったらそのままいって」

玲子の舌はオレの乳から徐々に下へ移動していった。オレは玲子の指だけでいきそうになる。指の使い方が変り、オレのモノの先端部分に玲子の舌が絡む。そして玲子の口に飲み込まれた。先端部分は口の中に入り、真ん中あたりは指で、そしてもう一方の指は袋の裏側を撫でなれる。オレの腰は自然に動き、口の奥に入ろうとした。

玲子の体が動いた。口が離れたと思った瞬間、すぐに別の穴にくわえ込まれた。その快感に思わず声が漏れた。

オレ
「あーーー」

玲子はオレの上に乗り大きく体を使ってオレのモノを出し入れした。

玲子
「あーーーユーイチ」

オレは両手で玲子の乳を掴んだ。玲子はオレの体に座った。

オレ
「もっと動いて、あーーーそのままいかせてくれ」

オレのモノは穴の奥深くまで突き刺さっていた。玲子のそのままの姿勢で激しく腰を使う。

玲子
「ユーイチ。声をだして」

オレ
「あーもういく」

玲子は乳を掴んでいるオレの両手を持って激しく腰を使う。玲子の声も大きくなる

オレ
「うっうわーあーーあーーー」

穴の奥深くまで入っていたオレのモノはそのままそこで爆発し放出した。玲子がゆっくりとオレの体の上に被さってきた。オレの腰はまだ動いて玲子の穴の感触を貪っていた。

玲子
「いっぱい出たね」

オレ
「恥ずかしい(笑)」

玲子
「どーして?」

オレ
「昔、早漏で女に笑われたことがあるんだ」

玲子
「あなたが?うっそー(笑)」

オレ
「それから変になった(笑)」

玲子
「ほんと変な子^^」

オレ
「よーし。玲子を泣かしてやるっ」

玲子
「うん^^」

それからオレ達はきつーいセックスをした。玲子は声をあげてオンナの泣き声を上げ淫らに色んな事を口走った。オレは満足感を得た。オンナをセックスで征服したと思った。しかしそんなモノは全くのウソで、刹那の錯覚をオトコに与えてくれるオンナの性なのだと・・・最近になってようやくわかってきた。(笑)

翌日、約束通り玲子と裕人を西宮のヨットハーバーに係留している叔父貴のクルーザーに乗せた。玲子はさすがに漁師の家の子だった。船酔いもせずに裕人を抱き喜んでいた。

夕方、西岡本の実家に戻った。オフクロに玲子を紹介した。驚愕は一瞬で、裕人を見ると満面の笑みで夢中になった。オフクロと玲子はすぐに打ち解けた。

オレは7年ぶりに自分の部屋に入った。19の時に家を出た時のままだった。壁には青木エミのヌードパネル。本棚には漫画が・・・机の引き出しの中には、張り替えたギターの弦や割れたピック、周辺の喫茶店のマッチ。人からもらった写真が数枚。オンナからの手紙、はがき、お守り・・・どれもこれも懐かしい記憶を呼び覚ますモノばかりだった。

レコードプレイヤーの下の扉を開けた。70年代の輸入版レコード。その上の段にシングルレコードが並んでいる。加山雄三、石田あゆみ、よしだたくろう、ジローズ。

ベッドの横に立てかけてあるギターケースを開けた。15の時に初めて買ったハルキのフォーク・ギターが入っていた。ちょっとソリが出て弦が浮いている。少し鳴らしてケースに閉まった。この部屋はそのままにして置こうと思った。

居間に戻って、オフクロが話す親戚の近況を聞いた。手持ち無沙汰な時間を持て余し退屈してきた。

オヤジは相変わらず帰りは遅いらしい。オレはまた来る!と言って引きとめようとするオフクロを長々と説明して家を出た。玲子は何か言いたそうにしていたが何も言わなかった。

これでオレが居なくても、オフクロは頻繁に玲子のところへやってくるだろう。鬱陶しいが、玲子は安心するんだろうと思った。もうすぐ阪神高速神戸線が開通するようだ。そうなれば大阪→神戸間が一直線で繋がる。益々関係は近くなるだろう。

オレ
「NYに行く前に玲子の実家の高知にも行こう」

玲子
「ほんとに?」

オレ
「当ったり前だ。さわち料理を食わしてくれ(笑)それに漁船に乗って漁もしたい」

玲子
「うん^^」

玲子は本当はニューヨークで裕人と3人で暮らしたかったに違いない。だけど、理恵や理沙がそれぞれ自立しているのに、自分だけ安穏とオレの嫁として存在するわけにはいかない。そして何よりもオレを自由にしようと思っての事なんだろう。と思った。

オレはアウディーのハンドルを握り43号線を東に向けて走った。


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