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シャ・ラ・ラ


「シャ・ラ・ラ」ショーケンです(笑)
1982年2月PART4------------

▼9時・・・スカイ・マンション1Fカフェ

石井
「ムーさん。梅木がムーさんの事ばかり聞きたがります。今回の結果、よほど嬉しかったんでしょうね(笑)」

松井
「そりゃーそーでしょう!ムーさんのお陰でだ大出世したんですから(笑)」

オレ
「梅木はビビってるのさ!全部見破られているんじゃないかってな(笑)」

石井
「・・・」

松井
「どういう事でしょう?」

オレ
「オレは前にも梅木の前で言ったよな?これまでの一連の騒動を」

石井
「はい」

オレ
「あの時の話しで気になるところはなかった?」

石井
「・・・」

オレ
「ケンちゃん。組に戻れ」

石井
「待ってくださいムーさん。誤解です。すみません。オレは・・・」

オレ
「オレが思ってる事と違う理由があるのなら言ってくれ!隠しごとはナシだ」

松井の表情が変わり石井を見ていた。

松井
「石井さん。話してくださいよ!ムーさんは一旦言い出したら・・・」

オレ
「松井は郷田組との一連の騒動でチョーエキにまで行っている。最初から話してやってくれないか」

オープンカフェにはこの時間サラリーマンなどの一般客も多かった。ようやく春の兆しが見え始めたとはいえ、長くここに居るとやはり寒かった。オレはラークに火を点けた。

石井
「ムーさんが刺されて死にかけた時の事です。」

「最初みんな郷田組の仕業だと思いました。」

「もちろん後になって郷田組は関係ない事がわかったんですが」

「ムーさんがなんとか生還した後、頼まれました」

石井は水の入ったグラスを口にした。

松井
「一体何を?誰に?」

石井
「今回は郷田組じゃなかったけど、いつ郷田組にムーさんが襲われるかも知れないから、そうならないようにしてくれと・・・」

松井
「もしかして理恵ママたちに?それが、今回石井さんが郷田組を庇う姿勢に繋がった理由ですか」

石井
「・・・」

松井
「でも梅木はいいとしても今回の件で郷田のおっさんは怒ってる訳ですよね?襲われる可能性も高くなって、K芸能にガードするように石井さんは頼んだんでしょう?」

石井
「敵はしょせんオレや梅木ではどうしようもない相手だから・・・」

松井
「郷田がですか?」

石井
「・・・」

オレ
「いいから教えてやって(笑)」

石井
「渡辺さんだ」

松井
「そんなバカな!だってムーさんと渡辺さんは・・・そんな」

石井
「松井。オレは郷田を狙って失敗した。破門になってお前がチョーエキに行ってる間に調べまくった」

「何故高橋の兄貴が嵌められたのか?一体誰に?本当の理由を知りたかった」

「郷田組、香山の個人的な恨みによる仕業・・・それは表向きの理由だ」

「本当は・・・高橋の兄貴が持っていた利権が狙われた」

「ギャラクシーとホテル、そしてそれらを使った接待営業で不動産関連の大きな仕事を商社と組んでやっていた。それだけで他のシノギをかけなくてもいいくらいの利益を生んだ」

「ミナミの勢力図は非常に細かい。色んな組がひしめき合ってる。郷田組はミナミで勢力を拡大したかった」

「梅木は高橋の兄貴の持ってるモノの正体を突き止め、それを乗っ取りにかかった。普通ならそんな事はできないが・・・その許可を得た」

「99%成功しかけたが・・・突然現れたムーさんに阻まれた」

「郷田は強行手段に出ようとしたがかろうじて思い留まった」

「絶対にムーさんには手を出すなと厳命されていたから」

「高橋の兄貴が亡くなった時、3代目が通夜の席に来られたのは知ってるな?渡辺さんも居た。その時に改めてムーさんの立場を再認識して諦めた」

「ところがムーさんが行方不明になった。チャンスが来たと思って仕掛けたら、見事に引っかかってムーさんの居ないカンパニーを赤子の手を捻るように始末した」

「もちろんオレが気付くのが遅くて不甲斐なかったからだが・・・だからオレはケジメをとるために早合点して郷田を・・・まーそれはいいんだが」

「郷田組は調子に乗った。ギャラクシーのオンナ達を奪い。沢渡を使って不動産利権を貪り、銀行まで抱き込む事に成功した」

「それから1年後、3代目が亡くなった1週間後、ムーさんが突然現れた」

「派手な格好で正面から本家に入って・・・田岡家の家族と談笑して仮の祭壇で当たり前のように焼香した。そしてメシまで食った」

「危ないと感じた渡辺さんは、ミナミで起きた不祥事に対して郷田組から侘びを入れさせると言う事で手打ちの話をした。ムーさんはそんな事に拘っていない素振りをした」

「後は周知の通り・・・郷田から理恵ママを救いだして、沢渡を一瞬で追い出しギャラクシーを取り戻した。」

「郷田組のフロントだった沢渡の会社は結局ムーさんが復帰した事で銀行に見放されて潰された」

「そしてムーさんは刺された。先に言ったとおりだが・・・」

「ムーさんが回服した後、オレはママたちから頼まれた。郷田組との関係修復を」

「しかしオレはその時はまだ破門の身だったから表立って動けない。K芸能の西岡や高坂を使って郷田組、梅木にプレシャーをかけた」

「その後、ムーさんを怒らせたのはあいつらにとって些細な事だった」

「梅木はギャラクシーを辞めたオンナを連れていた。偶然に鮨屋でムーさんと出くわしてしまった」

「オンナはムーさんに助けを求めたが・・・すでに覚醒剤中毒状態だった」

「ムーさんは勘違いした。梅木のせいだと、そして落とし前をつけさせた」

「ところが梅木と付き合う前からオンナはシャブ中だった」

「梅木はムーさんの性格を読んであえて落とし前をつけた」

「誤解がとけた時に梅木はムーさんに依頼した。台頭してきた組内の香山を排除するために・・・一方郷田はこの時、他の直系大物組長から誘いを受けていた。それも香山の仕掛けだった」

「梅木は香山をシャブで嵌めた。郷田組が法度のシャブでシノギをかけていた事が新聞沙汰となり、組は処分を受ける事になる。ムーさんに間に立ってもらう形で渡辺さんに侘びを入れて体裁をつくろった」

松村
「渡辺さんと梅木が繋がっているのなら何故そんな面倒なことをしたんです?」

石井
「渡辺さんはムーさんを立て恩を売ることで関係を修復したかったんだろな?この頃、三代目姐と呼ばれるようになってた人とムーさんはあまりも親し過ぎたから・・・」

石井
「香山を蹴落とした事で郷田組を仕切った梅木は焦った。拡大した勢力維持のためのシノギが欲しかった。それで韓国クラブを会員制売春組織にして、あまつさえムーさんから奪ったホテルを使った」

「そして2課の係長を抱きこみ、議員に女を抱かせ、署長も嵌めた。賭博などの取り締まり情報を手に入れ郷田組だけが伸張した」

「ムーさんと仲のいい頭取の後輩である署長を嵌めた事と、それにぴったりとくっついている2課の係長・・・郷田組に対して4課も手が出させないでいる事実を知らされムーさんは動いた」

「オレはムーさんは郷田組、いや梅木を本気で潰すつもりだと思った」

「自ら強盗をして署長と対立する姿勢まで見せた」

「オレは焦った。郷田組どころか警察まで敵に回してムーさんが無事で居られるわけがない」

「オレは梅木を説得した。そしていち早く梅木を連れて来て侘びを入れさせた」

「ムーさんはその時何かを感じて・・・方針変更をしてくれた」

「郷田組から梅木を切り離して勢力を半減させ、梅木をミナミから追っ払うことを渡辺さんに了承させた」

松井
「敵と和解したって事ですか?」

石井
「ムーさんと渡辺さんは特別な関係だから表だって争ってる気配なんかこれっぽっちもない」

「傍から見るとまるで兄弟のように仲がいい」

「ムーさんと郷田組の対立に早くから気付いていた大物直系組長がいた。ムーさんに接近した」

「K芸能を増員してオレの要請に応える対応をとってくれた」

「渡辺さんも、変わり身が早かった。ムーさんの要請を呑んで郷田を健竜会の会長にして、梅木を神戸に貼り付けるようにしてミナミからはずした」」

「それが今回の結果だ」

松井
「そんな事が・・・傍から見ていると郷田も梅木も出世しただけなのに?」

石井
「そうだ。(笑)いくら郷田が健龍会の会長になったとはいえ、梅木の独立で力は半分以下になってしまい郷田は怒った。しかし怒りの矛先はムーさんに向いてたわけじゃない。それは飼い犬に手を噛まれたという思いで梅木に向いていた」

松井
「石井さんはじゃー何を?」

石井
「梅木と兄弟分になり渡辺さんと何度か会ってムーさんの考えや行動を知らせた」

松井
「どうしてですか?」

石井
「ムーさんの安全を確保する事とムトー商会を磐石にするためにだ」

松井
「それは出来たんですか?」

石井
「ああ。出来た。もっともミナミの組内の紛争なんかに関わっていられる程平和じゃないと言うのが本当のところだが」

「そしてムーさんはそんな事に一切関心が無い事を示すために、ミナミから出る事を約束した」

松井
「ミナミから出るってそんな・・・」

石井
「何言ってるんだ?ムーさんは最初からニューヨークへ行く事が決まってるじゃないか」

松井
「あーそういう事ですか」

石井
「ムーさんの居ないミナミはやくざにとって過ごしやすい」

「ムトー商会と関わりのあるところだけを避けて通ればいいんだから」

「疫病神には誰も近づかない」

「梅木は兄弟分のオレが完全に押さえる」

オレ
「微妙に違うところはあるが・・・よく調べたな?(笑)」

石井
「ひとつだけどうしても分らない事があります」

松井
「それは何です?」

石井
「ムーさんの立場です」

オレ
「ゴローちゃんは教えてくれなかったか?」

石井
「しゃべったらオレが破門になる!って笑ってました」

オレ
「あははは^^」

オレはウエイターを呼び温かい珈琲を3つオーダーした。

オレ
「梅木はまだオレを狙ってる」

石井
「それは・・・ありません」

オレ
「梅木は2課の係長にオレを恐喝で逮捕させようとした」

石井&松井
「えっ」

オレ
「沢渡を引っ張り出してギャラクシーと泉が乗っ取られた被害届を出させようとした」

「それを押さえてそうさせなかったのも・・・警察だ(笑)」

「ただ、そんな裏事情を佐竹さんは一切知らない。あの人だけ蚊帳の外だった」

石井
「じゃー4課は最初からムーさんの味方だったんですか?」

オレ
「いや、それは4課でもなければ南署でもない。。。」

石井
「・・・」

オレは薄い珈琲に口をつけた。

石井
「ムーさん。高橋の兄貴はムーさんの立場を知っていたんでしょうか?」

オレ
「高橋が警察病院に運ばれた時、4課の課長の計らいで特別に面会が許された。そして10年前の話をした。

高橋はその時、健一おじさんのボディーガードをしていて、オレと健一おじさんの話を偶然にも聞いていたそうだ。満さんと一緒にMellow Beachに来た時、その事を思い出したそうだ。(笑)まさか知ってるヤツが居たとは、オレもびっくりしたけどな」

高橋は自分が狙われている事を知っていた。それは上の意思が働いている事も薄々気付いていた。だからオレに譲ろうとした。

そして最初から梅木は上の思惑を形にしていただけなんだ。梅木にとっては郷田組なんてどうでもよかったんだ」

杯を直して独立する・・・梅木が望んでいた通りにした」

石井
「それにしても渡辺さんは一体何をしたかったんでしょうか?」

オレ
「もしかしたら・・・オレを本当のやくざにしてミナミをとらせたかったのかも知れない(笑)」

松井
「そんな・・・」

オレ
「ケンちゃん・・・約束できる?」

「オレが居ない間、組内の事に一切関わるな」

石井
「はい」

オレ
「松井。ギャラクシーとその他の店はお前が仕切れ」

「その際のトラブルは全部K芸能に任せろ」

「K芸能の責任者は代が変ろうとムトー商会に挨拶に来るから」

松井
「はい」

オレ
「オレはニューヨークへ行ってレストランをやる(笑)」

「盆と正月には帰ってくる」

松井&石井
「はい^^」

新しい珈琲を飲み終えオレは約束があると言ってカフェを出た。

▼11時・・・大丸1Fカフェ


「ムトーさん。あなた結婚してるんですよね?お子様までいらっしゃるとか?」

オレ
「・・・はい」


「もう2度と優子とは会わないで下さい」

オレ
「この事は優子さんはもう?」


「いえ、言ってません。」

「あなたの事で私と優子の関係までおかしくしたくないから」

「だから、これはあなたと優子の問題としてあなたが2度と優子に会わなければ・・・自然に解決できると思います」

オレ
「そうでしょうか?」


「どういう事?」

オレ
「優子さんは必ずオレに会おうとします。理由がわからないまま会わないで済ます事はできないでしょう」

「彼女はもう立派な大人です。例えボクがこのままニューヨークへ行っても必ず会いにやってくるでしょう」


「じゃーどうしろと?」

オレ
「優子さんに会って、本当の事を言って・・・もう付き合えない事を話します」


「・・・」

オレ
「そして、それで終わりにします」


「本当にそれで終わりにしてくれますね!」

オレ
「はい」


「わかりました」

「それから広田さんとも」

オレ
「広田さん?」


「優子の友人の広田博美さんです」

「広田さんのおかーさまがあなたの事を調べて、今回の事がわかったんです」

オレ
「そーでしたか」


「私はあなたの事をそんなに悪い人だとは思ってません。でも優子とのお付き合いは認められません。約束を守って下さいね」

オレ
「はい」


「お願いします」

そう言って優子のおかーさんは席を立って去って行った。いつかユーコに正直に話をしなければならないと思っていたが・・・こんな形でそれがやってきたとは気が重かった。あの無邪気な顔を見てそんな話をきりだせるだろうか?自信がなかったが、母親と約束した以上それは実行するしかなかった。

御堂筋は春めいてきた陽射しの中で人やクルマが忙しく行きかっていた。オレは心斎橋を歩き東洋ビルに行った

▼12時・・・東洋ビル4F事務所

横山
「ソーホーの契約がダメになったって本当ですか?」

オレ
「うん。契約の細部にひっかかったのが表向きの理由だが、有利な条件の借主に決めたんだろう」

横山
「じゃー暫くはホテル住まいですか?」

オレ
「月末にニューヨークへ行って向こうで不動産取引の会社と契約しに行こうと思ってる。でも1ヶ月ぐらいの遅れはでるだろうなー」

横山
「それは・・・良かった(笑)」

オレ
「何がいいんだ?」

横山
「その1ヶ月間、ママ達とゆっくり過ごして下さい」

オレ
「ふんっママ達か・・・お前は誰が一番好きだ?」

横山
「誰がって、なんてこと言うんですか!」

オレ
「ん?」

横山
「ムーさんと一緒ですよ!どのママも美しくて平等に好きですよ!順番なんかつけられるわけないでしょう(ーー;)」

オレ
「何怒ってるんだよ!ちょっと聞いてみただけじゃないか(笑)」

横山
「別にオレは怒ってなんかいませんよ」

オレ
「でもまーそんな風に思ってくれてるのは嬉しい^^」

横山
「(ーー;)」

オレ
「ただ・・・」

横山
「ただ、何です?」

オレ
「みんなオレの前で、オンナの話をしないじゃないか?どう思ってるんだろうなーってふと気になったりする。やっぱりそれぞれの性格や相性もあるから、僅差で順番がつくんじゃないかと思って」

「オレが居ない間、誰に聞けばそれぞれのママたちの様子が詳しくわかるかなーと思ってみたりしてな」

横山
「やっぱり、心配ですよね」

オレ
「うん。玲子には裕人が居る。理恵は佐和子も居るし明るいからそう心配してない」

横山
「理沙ママですか?」

オレ
「ずっと無理してるように思うんだ」

横山
「わかりました。オレが全力でカバーします」

オレ
「そっか。ありがとう。お前にそう言ってもらえると助かる(笑)」

横山
「その代わり、ムーさんの事なんでも話しますよ(笑)」

オレ
「ははは・・・」

オレは東洋ビルで時間をつぶした後、アメリカ村を歩いて約束の場所へ行った。

▼13時・・・心斎橋M「石原事務所」

石原
「おう^^ひさしぶりだな?メシは?」

オレ
「すみません。さっき済ませてきました」

石原
「そっか」

オレ
「実は電話でも言った通りちょっとやっかいな問題があって」

石原
「うん。何だ?」

オレ
「北条が体調不良で、仕事が難しくなったんです」

石原
「どういう事だ?」

オレ
「松尾の専属の件なんですけど・・・次はニューヨーク・ロケに変更できませんか?」

石原
「ん?」

オレは香が精神的に弱いことを簡単に説明した。オレの入院は病気ではなくて、香との絡みで刺された事も白状した。そして、香をニューヨークへ連れて行く事にしたことも正直に言った。

石原
「そうか。お前も大変だなー」

「松尾の今年の前半の印刷物はもう終わってるからいいとして、問題は秋冬をニューヨーク・ロケにする!って事だな」

オレ
「はい」

石原
「わかった。代理店の方にはそのセンでコンセプトの変更をお願いするとして・・・松尾社長の方にはお前から話をしてみてくれ」

オレ
「わかりました。それに絡んでショーの方ですが、出来たら12月に大阪、京都、神戸と組んでくれたら、オレと香は帰って来れるんですけど」

石原
「ふむ。なるほど、じゃー秋冬の印刷物もお前と香で行こう!そして12月にショーを集中させよう!うん。その方がいいかも知れない(笑)」

オレ
「そう言ってもらえると助かります^^」

石原
「ははは^^元々松尾社長はお前を使いたがっていたからな!いいんじゃないか(笑)」

オレは石原さんが快諾してくれたことに安堵した。いくら松尾社長とオレが話し合って決めたからと言って、代理店や制作現場が納得しなければ大きな迷惑をかける事になっただろう。

オレ
「じゃー代理店と摺合せが終わったら連絡下さい。その後、松尾社長にお詫びとプラン変更の話をしますから」

石原
「おうわかった^^」

オレ
「お願いします^^」

オレは目の前の珈琲を残したまま事務所を出た。アメリカ村をまた戻った。道路脇に白のポルシェ・カレラが停まっていた。ナンバーを見るとリョーコのだった。来るときにはなかったはずだ。周辺を見渡し近くのカフェに入った。そこからならポルシェが見える。

オレは通りに面したテーブルに座りかけ、奥に居るカップルを見た。背中越しの男の向こうにリョーコが居た。オレは気付かないフリをしてサングラスをはずしそのまま座った。ウエイトレスにアメリカンをオーダーした。

アメリカン珈琲が来るより早くリョーコがこっちにやってきた。

リョーコ
「偶然ねっ!^^」

オレ
「おう^^ひさしぶり」

リョーコ
「そんな格好だったからすぐにわからなかったわ(笑)」

オレはジーンズにシャツ。それに革ジャンを着ていた。リョーコは構わずにオレの前に座った。

リョーコ
「もしかして待ち合わせ?」

オレ
「いや、ポルシェを見ながら珈琲を飲もうと思って(笑)」

リョーコ
「私じゃなくてポルシェなのね?(笑)」

オレ
「それより打合せ中じゃないのか?」

リョーコ
「うん。仕事の打合せよ^^誤解のないように」

オレ
「どーぞお構いなく^^」

リョーコ
「ちょっと待ってて!^^すぐに済ませるから」

そう言ってリョーコは元の席に戻っていった。そしてようやくアメリカンが運ばれてきた。オレはそれをそのまま口に持っていき、通りを眺めながらポルシェを見ていた。何人か置きに若いやつらがポルシェを見ては立ち止まっていた。

もしかしたらオレのウィーク・ポイントかも知れない。スポーツカーを駆るオンナに弱い。それは昔からそうで、とにかく弱い。

リョーコ
「お待たせー^^」

オレ
「ん?もういいのか?」

オレは店内を見渡した。さっきの男はすでに居なかった。

リョーコ
「さっきの人は北新地でレストランやクラブを経営してる青年実業家なんだけど・・・」

オレ
「どした?」

リョーコ
「ううん。何でもないわ」

オレは珈琲をカップを手にして、視線を外に向けた。

リョーコ
「あなた。ほんとにポルシェが好きなのね(笑)」

オレ
「ホラまた男が立ち止まった。ポルシェを見ながらこのクルマに乗る人間はどんなヤツなんだろう?って思ってるぜ!」

「もし、それがオンナだったらどんなオンナなんだろう?」

「きっとトビッキシイイオンナなんだろうなーって、オレなら思う^^」

リョーコ
「そう^^」

オレ
「今見てる若い男に教えてやりたいよ!ここにそのイイオンナが居るぞ!って」

リョーコ
「ふーん^^」

オレ
「あの覘き込んでいるもうひとりの男にも言ってやりたいなーオレはそのオンナとエッチしたんだぞーって(笑)」

リョーコ
「あははは^^やっぱりユーちゃん。いい(笑)」

オレは珈琲を口にした。アレ以来電話もしなければ会ってもいなかった。きっと内心では怒っていたに違いないと思い少しご機嫌とりをした。

リョーコ
「ニューヨークもうそろそろじゃなかった?」

オレ
「うん。準備の手違いでもう1ヶ月伸びてしまった(^。^;)」

リョーコ
「そう^^今日は?」

オレ
「まだ仕事中だ(笑)」

リョーコ
「じゃーランチ行かない?」

オレ
「オッケー^^」

オレたちは店を出た。オレはサングラスをかけた。リョーコはポルシェのキーをオレに渡した。オレはハンドルを握りリョーコは助手席に乗りポルシェを出した。何人かのクルマ好きが注目していた。千日前通りを1週する形で周防町に戻り一方通行の三寺筋に入って小さな駐車場へポルシェを預けた。そこから歩いてすぐのいつも夜に行くステーキ・ハウスに入った。

カウンターに座りビールとサーロインを注文した。

リョーコ
「ここは父もよく来ているところね」

オレ
「そういやここんとこ松村さんと飲んでないなー」

リョーコ
「この間、父に言ったの「ユーちゃんとデートした」って」

オレ
「あらら・・・」

リョーコ
「いけなかった?」

オレ
「いや、全然(笑)」

目の前にビール瓶とグラスがふたつ置かれた。リョーコはビール瓶を持った。オレはグラスを持つとビールが注がれた。オレも同じようにビールを注いだ。軽くグラスを合わせてオレはそれを口にした。

リョーコ
「父は笑ってたわ」

オレ
「そう?もしかしたら信用されてて、おかしな事にはなってないと思ってくれてるかも知れないなー」

リョーコ
「おかしな事って?」

オレ
「エッチしてしまったし(笑)」

リョーコ
「それがおかしな事?」

オレ
「まー一般的にはそう思われるだろう」

リョーコ
「(笑)」

オレは一瞬ムキになりかけたがやめた。さっきも午後からの予定はない!と応えたら長くなりそうだと思ってウソをついた。

オレ
「まっなんだかんだ言ってもオレはニューヨークに行ってしまうから」

リョーコ
「そうね。実を言うと父は私を早く結婚させたがってるの」

オレ
「ふーん」

リョーコ
「どうもその相手も取引先の関係者のようで決まってるみたい」

オレ
「いつ頃の話?」

リョーコ
「たぶん1年後ぐらいかしら」

オレ
「じゃーリョーコもその事は了解してるんだ?」

リョーコ
「ずいぶん我侭聞いてもらったし、イイオトコも居ないし、最後の親孝行しようと思って(笑)」

オレ
「そっか」

目の前に表面だけ焼いた肉が一口大にカットされて置かれた。昼間はマスターは出ていないのか?若い男がそれをした。

オレ
「んーいい匂いだ。これだけで食欲が出る^^」

オレは肉に手をつけ始めた。

リョーコ
「なんか言ってよー(笑)反対意見はないのー?」

オレ
「ジゴロのオレに聞いたって仕方ないさ(笑)」

リョーコ
「あなたがジゴロ?それこそ立派な青年実業家じゃない」

オレ
「ははは^^そんなモノは一時のまやかしに過ぎないさ」

リョーコ
「そう。もっと野心的な人かと思ってたけど」

オレ
「野心?」

リョーコ
「あたなたは父のお気に入りだし、事業だってしてる。あなたにその気があれば私と一緒になって父の相当の遺産を継ぐことが出来るわ」

オレ
「あははは^^それはすごい(笑)」

リョーコ
「ちょっとはその気になってくれる?(笑)」

オレ
「ものすごく心の揺れる話だけど、他の女の手前それはできないなー(^。^;)」

リョーコ
「さすがー^^って言いたいけど、アホっ!」

オレ
「あははは^^」

昼間からビールを飲み旨い肉を食い、隣にイイオンナ♪この瞬間だけでいいと思った。自立したプロのオンナと何人も付き合い、嫁や子供をほったらかして自分の好きな事をやろうとしている男。女に食わせてもらっているわけではないが、ジゴロと変らないと思っている。どんな理屈をつけても理解されるものではない。オレ自身がそう思っているのだから

リョーコ
「行きましょう」

リョーコは唐突に席を立った。仕方なくオレも席を立って支払いを済ませ店を出た。

オレ
「じゃーオレはここで」

リョーコ
「ダメよ。後1時間・・・」

オレ
「・・・」

▼13時・・・ホテル、キング・コング

オレは革ジャンを脱いでソファに放り投げた。振り向くとリョーコはぶつかるように抱き付いてきてキスをした。オレはリョーコの舌を探り、絡ませて吸った。服の上から乳を揉んだ。

リョーコをベッドに押し倒し服を荒々しく脱がせた。パンストと下着を一気に引き降ろした。黒々とした下半身。リョーコの腕を上に上げさせた。オレはリョーコの乳を口にした。一方の乳は手の平で擦るように強く弱く撫で付けた。オレの手の平でリョーコの乳首が転がった。

オレは手早く自分の服を脱いで素っ裸になった。

丹念に両方の乳首を口にし、舌で転がしては吸った。リョーコの体を裏返すようにして背中にキスをして、尻や太ももを撫で回した。尻の割れ目を指で撫で、そのまま前に指を移動させた。割れ目を少し開くようにすると一気に熱いモノが溢れ出てきた。

背中のキスを続けながら女の穴に指を入れ責めた」

リョーコ
「うぅー」

リョーコの喘ぎ声、時折漏れる声を聞いていた。もう1度リョーコの体を動かして、仰向けにさせた。オレはリョーコの手を取りオレのモノに触れさせた。リョーコの指が動きだしオレのモノに絡んだ。

オレはリョーコの股間に手を入れてちょっと荒っぽくオンナの穴に指を二本付きたてた。

リョーコ
「うっ」

そしてゆっくりと強く穴の中の上側を責めた」

リョーコ
「あーーー」

リョーコの指の動きが止まりオレのモノから手が離れた。乳を揉み乳首を口に含み指の動きは益々強く早くなった。

リョーコ
「うっあーあーー」

リョーコの体が仰け反って横を向いた。オレはリョーコの体に乗りリョーコの片脚を持ってオレのモノをオンナの穴に突きたてた。

リョーコ
「うわーーー」

またリョーコの体は仰け反った。オレのモノはまだ全部入っていない。ゆっくりと大きなストロークでリョーコの穴を責めた。オレのモノをしっかりときつく咥え込む穴・・・よく濡れて動きがスムーズになってきた。オレはリョーコの両脚を抱えるようにしてオレのモノを全部突っ込んだ。

リョーコ
「あぅー」

リョーコの反応を確かめながら、徐々に動きを早めた。

リョーコ
「あーあーー」

ピークに近い快楽を与え続けながら、自分の欲望を押さえていた。声の変化に注意しながら動きを早めていった。そして頃合を見計らって一気に激しく責め立てた。

リョーコ
「うぁーあーーあーーーあーーーー」

大きな声を上げてシーツを掴みリョーコはいった。オレはリョーコの体から降りた。リョーコの体を裏返して、腰を持ち上げた。

リョーコ
「いやっ」

リョーコは逃げようとした。オレはおかまいなしに腰を持ち上げて後ろから強引に突っ込んだ。

リョーコ
「あぅー」

後ろから犯すように責め立てた。すぐにリョーコの体は反応した。

リョーコ
「うぅーうぅーー」

激しく責め立てるとすぐにリョーコは声をあげていった。感度のいい体だと思った。オレは動きをとめずに荒っぽく責め続けた。

リョーコ
「いゃーやめてーもういゃーー」

その言葉が終わらない内に、次の波がきたようでまた別の声を上げ始めた。そして・・・

リョーコ
「うぁーあーーーあーーーあーーー」

リョーコは立て続けにいった。オレはリョーコの体を突き放すようにしてオレのモノを抜いた。

オレは革ジャンからラークを取り出して火をつけた。リョーコの体はオレに背を向けるようにして体をくの字に曲げている。

リョーコ
「あー」

体がビクン、ビクンと動くまだ体の中に快感が走りぬけ切って居ない。オレはラークを吸いながら暫く見ていた。

ベッドから降りて風呂場へ行きジャグジーに湯を張った。戻る時に冷蔵庫からバドワイザーの缶とコークを取り出した。ベッドに戻りラークを灰皿で潰した。

リョーコはまださっきのポーズのままだった。オレはリョーコの体に毛布をかけてやり隣に座った。ベッドヘッドに凭れてバドワイザーを口にした。

リョーコの体をこっちに向かせて引き寄せた。まだコークを飲める状態でもないようだった。

オレはベッドに潜り込んで、リョーコを横抱きにした。手を股間に入れて割れ目を撫でた。逃げようとする体を押さえて脚を絡ませた。その隙間を縫うようにオレの手はリョーコの穴の付近を軽く押しながら揉み続けた。

リョーコ
「うぅーもうダメ・・・」

オレ
「うん。ちょっとキツかったな」

リョーコ
「あなたは?」

オレ
「後で^^」

オレはリョーコの頭の後ろを持ってキスした。軽く舌を入れてすぐに離れた。体を起してコークのプルトップを引いた。リョーコを起してやりそれを与えた。リョーコはコークの缶を持って飲んだ。形のいい乳が露出している。

オレ
「いい形してる」

リョーコ
「そう?」

オレはその胸に顔を寄せた。リョーコはオレの頭を抱えるようにして胸に押し当てた。

リョーコ
「なんか安心するわ^^」

オレは乳首を口にした

リョーコ
「あんっ」

オレはベッドから降りた。バスローブとタオルを出してやりベッドに置いた。

オレ
「風呂入ろう^^」

オレは笑って先に風呂場へ行った。すでに暖房は効いていた。シャワーを捻りテキトーに湯温を調整し頭からかぶった。顔、首筋、肩、後ろを向いて両肩から体全体にシャワーを浴びる。

シャワーを止めて、ジャグジーに入った。手足を大きく伸ばして体を捻った。首筋が音を立てて鳴った。脳に酸素が送り込まれすっとした。

リョーコが頭にタオルを巻いて入ってきた。シャワーを使い横を向いて入ってきた。

オレ
「ジャグジーなんだ^^」

リョーコ
「ふーん」

オレはスイッチを入れた。真ん中辺りから大きな気泡が勢いよく湧き上がり湯の色がブルーに変った。

リョーコ
「あっ」

オレは気泡の位置に移動した。

オレ
「気持ちいい^^来てみろよ」

リョーコ
「キレイね」

オレはリョーコの腕を引っ張って後ろから抱くようにして気泡を浴びせた。少しづつ体を動かしてふとももから股間に当たるようにした。リョーコの体はビクンと反応して逃げた。

オレは元の位置に戻りスイッチを切り替えた。ゴォーという音と共にリョーコのすぐ横からジェット水流が飛び出した。

リョーコ
「あっ」

驚いたように小さく声を上げた。青から赤に水の色が変った。

リョーコ
「うわーキレイ^^」

オレ
「このホテルがリニューアルする時に、オレがデザインした」

リョーコ
「そーなんだ」

オレ
「リゾートっぽい部屋、そしてこのジャグジーが目玉なんだ(笑)」

リョーコ
「NYへ行ったらのペントハウスに住んでコレを置くんだ?^^」

オレ
「いいなー^^ビルに囲まれた夜景を見ながら^^」

リョーコ
「金曜日の夜はパーティーを開いて、ゲストと一緒にコレに入るのね?」

オレ
「みんな水着を着ているのに、リョーコは素っ裸で入って驚かすんだろう?(笑)」

リョーコ
「仲のいい人達だけの時はね(笑)」

オレ
「もっともすぐにそんな暮らしが出来るわけないけどな」

リョーコ
「あなたならすぐよ!間に合わなかったら私がやるわ」

オレ
「間に合わないって?」

リョーコ
「だから私が自由に過ごせるのも後1年だから」

オレ
「そういう意味か」

リョーコ
「だから付き合って」

オレ
「ははは^^」

オレは立ち上がってそこから出た。シャワーを頭から浴びてシャンプーを使った。リョーコはオレの方へ近づいて来た。

リョーコ
「すごい傷ね」

オレ
「ん?胃潰瘍の手術の痕なんだ」

リョーコ
「ふーん。なんかウソっぽい(笑)」

オレ
「ヤクザとケンカして刺された。って言えばいいのかも知れないけど(笑)」

リョーコ
「違うの?」

オレ
「三角関係のもつれで刺された(^。^;)」

リョーコ
「・・・」

オレはシャンプーを終えた。手を伸ばしてリョーコを上がらせた。新しいスポンジにボディーシャンプーをつけてリョーコの体を軽く洗おうとした。

リョーコ
「いいわよ」

オレ
「ダメだ」

オレは嫌がるリョーコの体をスポンジで撫でるようにして洗った。胸から腹、そして下腹部、そこから下は手の平で洗った。リョーコは目を閉じていた。少し抱くようにして引き寄せて割れ目を撫でていた。そしてゆっくりと元の位置に戻した。

シャワーをかけてやり一緒に風呂場を出た。バスタオルを渡してオレは先にそこから離れた。

冷蔵庫から新しいビールとコークを出した。オレは頭にトニックをふりかけタオルで頭全体をマッサージするように拭いた。バスローブを来てソファに座りバドワイザーを口にした。

暫くするとショーコが出てきた。頭のタオルはとって髪を降ろしていた。裸のまま隠す様子もない。オレはワードローブを指さした。リョーコはそこを開けてバスローブをとってそれを体につけた。

ソファの隣に少し距離を置いて座った。オレは新しいコークのプルトップを引いてテーブルの前に置いた。

リョーコ
「ありがとう^^」

オレ
「ほんとならカクテルでもつくってサービスしたいところだけど(笑)」

リョーコ
「さっきの話、本気よ」

オレ
「ん?」

リョーコ
「ニューヨークのペントハウス♪」

オレ
「(笑)」

リョーコ
「さっきの男居たでしょ?付き合い始めて1ヶ月・・・昨夜初めて一緒に泊まったの」

オレ
「あらら・・・」

リョーコ
「さっき私があなたの席へ行ったら、色々と聞かれてうんざりしちゃった」

「一晩寝ただけでもう横暴なのよ!幻滅通り越してケンカ別れしちゃった」

「これでもローズマリーで女を磨いて男を見る目は持ってるはずなんだけど」

オレ
「とんでもないジャジャ馬だな(笑)」

リョーコ
「あなたとの方が先なのにね^^」

オレ
「あははは^^」

オレたちはホテルを出た。リョーコがポルシェのハンドルを握りオレはミナミで降ろしてもらった。

▼17時・・・スカイ・オフィス

四方
「お疲れ様です^^」

オレ
「ただいまーって、今日始めてだっけ?」

四方
「はい。朝、下に来てらっしゃったって聞いてましたが?」

オレ
「うん。そのまま出かけてしまったから(笑)」

オレは連絡ノートを見ながら自分のデスクに座った。いくつかの電話をした。目の前に珈琲が置かれた。

四方
「ムーさんはほとんどどこのお店にも出てないんですよね?」

オレ
「ん?そーいえばそーだな。オレだけ遊んでる(笑)」

四方
「ディスコの頃はずっと出ていたんでしょう?」

オレ
「うん。何だかんだ問題も多かったけど、現場に居ると楽しかったよ」

四方
「じゃー今はやっぱり早く帰ってるんですか?」

オレ
「それがなかなかそうも行かなくて困ってる(笑)」

四方
「やっぱりママたちのところへ?」

オレ
「あははは^^」

こいつはよくまーそんな答え難い事を・・・(笑)何が言いたいんだ?

四方
「じゃーちょっと今日いいですか?」

オレ
「ん?なーに?」

四方
「飲みに行きません?何処か違うお店へ私の奢りで^^」

オレ
「ほんと?それは嬉しいなー^^」

四方
「ほんとに嬉しそうな顔するんですね(笑)」

オレ
「あははは^^」

電話が鳴った。四方が出てこっちを見た。「お電話です」とだけ答えた。オレは目の前の受話器をとり外線ボタンを押した。

オレ
「はい。ムトーです」

「すみません。今来客中で今日はちょっと」

「はい。申し訳ありません」

オレは受話器を置いた。

オレ
「タカちゃん。これからは女の電話もすべて名前を言っていいから^^」

四方
「はい。了解です」

電話はヒロミからだった。下のカフェにひとりで来ているようだった。もしかしたらヒロミの母親が調べた事を知ってオレに何か言いに来たのかも知れない。オレは優子に会う前にそんな事を誰にも話す気がしなかった。

オレ
「さて、何処へ連れて行ってくれるのかな?^^」

四方
「南海ホテルに新しい中華レストランができたの知ってます?」

オレ
「いや知らない」

四方
「評判のお店のようなんですけどそこでいいですか?」

オレ
「うん^^」

オレたちは事務所を出た。夕暮れの御堂筋を歩いてナンバに向かった。高島屋の手前の南海ホテルに入った。千日前の店に居た頃はここをよく利用した。

2階の中華レストラン。いくつかのテナントが入れ替わって新しくリニューアルしたようだ。2階そのものが以前と大きく変っていた。

オレたちは壁際のテーブルに案内された。メニューを渡され評判だというディナーコースをオーダーした。

四方
「ニューヨークでも中華は流行ってるんでしょうか?」

オレ
「そーだな。彼らは何処にでも中華料理を持ってきて広めているから」

四方
「漁師をしていた時も中華は食べました?」

オレ
「うん。チャイナ・タウンに出かけて行って安くて旨い中華はよく食った」

ウエイターがビールがビールを持って来た。オレは四方にそれを注いでやり、四方はオレに注いだ。軽くグラスを合わせてオレは一気にそれを飲んだ。

オレ
「実はな迷ってるんだ」

四方
「何をですか?」

オレ
「鮨屋で通用するかな?って(笑)」

四方
「あらっそうなんですか?」

オレ
「で、今月末に山城さんと一緒にNYへ行って物件を決めてきっちりとそのあたりの調査をして来ようと思ってる」

四方
「いいですね!^^」

オレ
「向こうに行ったら最低でも4年間はそこで暮らすつもりだから、なんとしても成功させないとな(笑)」

料理が順に運ばれてきた。一般的な中華のイメージではなく、美味しいものを少量づつコースにして出す。味も少しマイルドだった。

オレたちは尚もニューヨークでのビジネスの話をし食事を続けた。

四方
「気がかりな事を先に言っていいですか?」

オレ
「ん?何でもどーぞ^^」

四方
「ショーコさんとは今の関係がありますよね?」

オレ
「・・・うん」

四方
「ショーコさんと私、仕事の面ではなんとかうまくやっていけるんですけど、ムーさんとショーコさんの関係を見てるとどうも自信がありません」

オレ
「そっか」

四方
「それを出来たらムーさんに解決して欲しいのですが?」

オレ
「解決?んーーー」

四方
「そんなに難しい事ではありません」

オレ
「ん?」

四方
「私とも・・・関係を持って下さい」

オレ
「えっ?」

四方
「1度でいいです。儀式みたいなものですから」

オレ
「関係って・・・エッチするってこと?」

四方
「・・・はい」

オレ
「ははは・・・儀式ですか」

四方
「1度ムーさんとそういう関係が出来たら、ショーコさんともうまくやれます」

オレ
「あっそう」

真面目な顔をして何を言い出すかと思ったら(笑)四方も一度結婚の経験がある女だ。そしてニューヨークへ行ってこれからバリバリやろうって言う大人の女だ。まー1回ぐらいは問題ないだろうと思った。

四方
「ムーさん。ポケベル鳴ってますけど?」

オレ
「ん?あーそう?」

四方
「この時間のポケベルは緊急だと思います」

オレ
「そっか」

オレは店内からギャラクシー・オフィスに電話した。

オレ
「ムトーです」

「ん?わかった。直接そっちに向かう」

オレは四方の待つテーブルに戻った。

オレ
「ちょっと8絡みの問題が発生したらしい」

四方
「8絡み?」

オレ
「やくざ絡み・・・」

四方
「・・・そうですか」

オレ
「日を改めてエッチしよう^^」

四方
「近日中にお願いします」

オレ
「了解^^」

四方はナンバ駅の方へ向かいオレは周防町のK芸能の事務所に行った。

▼21時・・・K芸能事務所

インターフォンを押して名前を告げるとすぐにドアが開いた。


「お疲れ様です」

高坂の下についている町田が少し緊張気味に挨拶をした。

オレ
「こんばんわ^^」

オレはわざとらしく明るく振舞った。正面のドアを町田が開けオレは中に入った。

松井と石井、それに西岡と高坂が居た。ソファの手前には男が3人座っていた。ソファから離れたテーブルの方にオレは案内された。

松井がソファから立ち上がりオレの方へ近づいた。

松井
「ギャラクシーの下でオレとムーさんを間違えて襲ってきました」

「高坂さんたちがちょうど居て、そいつらをここにひっぱってきて事情を聞きました」

「新地のクラブ「りんどう」のオーナーに頼まれたと言ってます」

「今そいつをここへ連れてくる段取りになってます」

オレ
「襲ったヤツらはどこの組なんだ?」

西岡
「中西さんのところの枝の枝で「松本組」です。今そこの頭を呼んでます」

石井
「とりあえずガラ受けに来てもらってからそっちとは話をつけます」

オレ
「・・・襲われる心当たりがないなー?」

石井
「もうそろそろ引っ張ってくる頃ですから確認してもらえますか」

オレ
「ああ」

オレは目の前に置かれたお茶に手を伸ばした。

玄関あたりが騒がしくなった。大きな声が聞こえて数人の男たちがドアの向こうに入ったようだ。ドアが開かれスーツを着こなした男が押されて入ってきた。

ふと今朝の記憶が蘇った。カフェの中、リョーコの手前で背中を見せていた男、そう言えばリョーコはクラブを経営している青年実業家だと言っていた。

その男は顔面蒼白で突っ立っていた。そいつを引っ張ってきた玉城が腕をとってソファに詰め込むように座らせた。

玉城以下の男たちはソファの後ろに立った。

高坂
「名前と年は?」


「・・・大槻です」

高坂
「名前と年を聞いてるんだ!ちゃんと大きな声で言え」


「大槻圭吾です。35」

高坂
「何故、ギャラクシーのムトーを襲うように依頼したんだ」

インターフォンが鳴り、高坂の下の町田が部屋から出た。すぐに戻って来て西岡に囁き西岡が出て行った。たぶん松本組の現場責任者でも来たのだろう。

オレ
「悪いが大槻さんとふたりにしてくれないか?」

松井
「ダメです。オレは残ります」

西岡が戻って来た。ソファに座っていた松本組の実行犯を連れてくるようにソファの後ろに立っている連中に指示した。

西岡
「隣の部屋に居ますから」

西岡は石井に目配せした。高坂は残りの連中を連れて外へ出た。部屋の中はオレと松井、そして大槻だけになった。

オレは大槻の正面に座った。

オレ
「何故狙ったんです?」

大槻
「・・・河野翔子はオレのオンナだ」

オレ
「それで」

大槻
「若いクラブの黒服にちょっかい出されて黙っていられない」

オレ
「だったら自分で来いよ!ヤクザ使って卑怯なやり方だな」

大槻
「お前も同じじゃないか」

松井
「大槻、人が減ったら急に元気になったな?」

ドアがノックされて高坂が入ってきた。

高坂
「ちょっとよろしいでしょうか?」

オレは立ち上がって部屋を出た。入れ替わるように大槻をさらってきた男4人が部屋に入った。

オレは突き当りの部屋に案内された。そこにもソファセットが置かれた応接室のようだった。ソファの手前に座っていた松本組の連中が一斉に立ち上がった。一番年長者に見えた男がコッチに向き直った。


「松本組の大田と申します。この度は大変ご迷惑をおかけして申し訳ございません」

オレ
「ムトーです。わざわざどうも。私も今来たところなので事情がよくわかってませんが後で聞いときます」

西岡
「一応、今日のところは連れて帰ってもらう事にしました。」

「大槻はこっちで話をつけると言うことで了解させました」

オレ
「そう。じゃーよろしく」

オレは大谷に一瞥をくれた。そいつは不思議そうな顔でオレを見ていた。西岡は松田組の連中を部屋から連れ出した。オレと石井が残った。

石井
「たぶん西岡は松田組にそれなりの侘びをいれさせるでしょう」

オレ
「松井は無傷だし、向こうの方がダメージ受けてるようだし、そこまでしなくてもいいじゃないか?」

石井
「ギャラクシーの入り口には見るものが見ればわかるように、K芸能が「守り」をしている事を示してます。例えやつらが「ギャラクシーのムトー」をただの黒服だと勘違いしたとしても、K芸能を知らなかったでは通りません」

オレ
「そんなもんか・・・」

石井
「他所のシマで勝手な事を、あんなのが居るからダメなんですよ!それと大槻とか言うやつですが・・・ちょっと性質が悪いですね。甘い顔をして許すとまた繰り返しますね」

オレ
「・・・」

うんざりしたが、オレのために周りがこれだけ動いていると思ったら我慢するしかなかった。

向こうの部屋からは大きな声が聞こえてくる。この段階でオレが大槻と話をしても、何も事態は好転しないだろう。ここまで来たら任せるしかないと思った。

オレ
「ひとつだけいいか?河野翔子に今後一切手を出さないようにだけ約束させてくれ」

「麻里子ママのことだ。松村さんの娘さんなんだ」

石井
「わかりました」

それからわずか30分ほどで西岡が後は任せてください。という事だったのでオレと松井、石井はK芸能の事務所を出た。そして道頓堀の「田よし」へ行った。

オレ
「西岡らはどうするつもりなんだろう?」

石井
「たぶん大槻は相当な慰謝料を払うことになるでしょうね」

オレ
「誰に?」

石井
「そりゃームーさんにですよ」

オレ
「オレはそんなものはいらない」

石井
「大槻は商売人です。それなりのダメージを与えないと再発します。K芸能に受け取らせましょうか?」

オレ
「勝手にしろ!松田組は?」

石井
「松田組もK芸能に改めて侘びを入れてくるでしょう」

オレ
「じゃーそっちからも大槻は責められるな?」

石井
「当然ですね。これをきっかけに懐に入り込まれて徐々に追い込まれていくんじゃないですか?」

オレ
「ったく」

石井
「ムーさんが気にする必要はありません。あーいうヤツは今回の事がなかったとしても、遅かれ早かれ同じ道をたどりますから」

松井
「自業自得ですね。でも逆恨みしませんか?」

石井
「そういう精神的な余裕を与えず追い込んで行く!反撃する気持ちより、逃げ出す事しか考えなくなる。」

松井
「それがヤクザのやり方ですか?」

石井
「やくざに限らずケンカはみんなそうでしょう?」

オレ
「・・・」

自分は手を汚さず、安易に金でやくざを顎で使った罰とはいえ、大槻の先行きを考えると哀れに思った。メシもそこそこにオレは沈んだ気持ちで田よしを出た。クルマに乗って車内からリョーコの家に念のために電話を入れた。


「はい」

オレ
「ムトーです」


「今何処から?」

オレ
「ミナミからだよ」


「なーんだ。近くに来てくれてるのかと思った」

オレ
「あははは^^今日は早起きだったからもう眠っくって(笑)」


「そう^^」

オレ
「じゃーおやすみ♪」


「あっ明日は?」

オレ
「また電話する(笑)」


「もうっ^^」

オレは電話を切った。杞憂に終わったようで安心した。たぶん今日の事はリョーコが知る事はないだろう。そして大槻は仮に彼女が望んだとしても2度と接触する事はないだろう。

今日は朝から落差の激しい1日だった。オレはクルマを飛ばした。箕面の自宅に戻って玲子の乳に顔を埋めて寝ようと思った。


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