<< LOVE SONG | main | 歌うたいのバラッド >>
ずっと好きだった


斉藤和義 『ずっと好きだった』

化粧品会社のCMソングでしたっけ?いやー今時こういうシンプルなオールドスタイルが受けるんですねー^^
82年7月・・・

今週は独立記念日と重なって、各種商店でバーゲンが行われていた。ニューヨークでも4日の日にはパレードがあり、色んなイベントと共に夜には花火があがるらしい。

▼11時・・・ブライトン・カフェ

紗也乃
「ここんとこ急速に体力が落ちて、少し痛みも出てきてるの」

オレ
「そうですか・・・」

紗也乃
「先生は、まだ鎮痛剤が効いているから大丈夫だ!って言って下さるんだけど」

オレ
「きっとママの前だけでしょうね。そんな風に正直にいられるのは」

紗也乃
「・・・」

オレ
「オレたちの前では無理して明るく振舞うからその反動も大きくて、ママもつらいでしょう。悪いなー」

紗也乃
「ユーちゃん。。。」

オレは薄いコーヒーを口にした。

オレ
「そーだ。今日は店でショーコが演奏しますよ^^」

紗也乃
「うん。松村も楽しみにしてるわ」

オレ
「アマチュア楽団の仲間と弦楽四重奏をやるんですよ」

紗也乃
「そう。私はよくはわからないんだけど、きっとショーコさんその為に努力してくださったんでしょうね」

オレ
「ははは^^ママ。いちいちそんな風に気を使わないで(笑)」

「キョーコや裕子も来るから、みんなで楽しみましょう^^」

紗也乃
「そーね^^」

オレ
「ちょっとでもおかしい状況が発生したらすぐにオレに言って下さいよ!無理しないように」

紗也乃
「はい」

松村さんの病状は一時改善されたのか?と思うほど良かったように思っていたが、それはあるはずもなかった。病状は確実に進んでいるがそれが表に出ていなかっただけだと知らされた。そして、これからは本人にとってもつらい段階に入っていくだろうと・・・

街は初夏の様相で、道行く人の服装もすっかり変った。中には夏まっさかりのようなファッションでうろつく人も多い。

オレ
「そうだ。先週はありがとうございました。理恵もすごく喜んでました。ママによくお礼を言っておいてと^^」

紗也乃
「ううん。理恵さんがきてくれたおかげで私まで観光に連れて行って貰って、こちらこそ楽しかったわ」

オレ
「今度は理沙が来ます(笑)」

紗也乃
「うわーそれはまた楽しみねー^^」

オレ
「なんかオレばっかり楽しんでいるようで、申し訳ないんですけどね」

紗也乃
「ううん。それがユーちゃんの仕事だもの^^誰もそんな風に思ってないわ」

オレ
「いやー鮨屋の方もバタバタしてるので、オレが出来るだけ入るようにしたいんですけど」

紗也乃
「お鮨屋さんの方も繁盛してて良かったわね^^」

オレ
「まー普及価格の店ですから少々流行ってもたかが知れてるんですけどね(笑)」

紗也乃
「でもその内すぐに他にも出すんでしょう?」

オレ
「まーなんとかそんな風にできたらいいと思ってますが・・・なかなか(笑)」

mar'sBLGと「ヤマシロ」のちょうど中間にあたる場所に、鮨屋「マンガク」が6月の第3週の月曜にオープンした。鮨はニューヨーカーにも一般的な食べ物になっていたため、当日の昼間から通りがかりの一見客で混雑する場面も見られた。通りの1階と言う立地も良かったのかも知れない。

ここっちへ来て4ヶ月目・・・先週、理恵がようやくやってきた。5泊7日のツアーでやってきた。5日間オレはぴったりと理恵にくっついて過ごした。自由の女神やリンカーン・センターそして博物館などを見て周り、夜は摩天楼の夜景を見ながら食事をし、ひさびさに「蒼い龍」を見ながら毎日セックスをした。

見送りの際・・・笑いながら理恵は泣いた。そして秋にまた来ると言って日本に帰って行った。

そして今週はいよいよ理沙が来る。理恵以上に本当は寂しがり屋の理沙・・・同じく5泊7日のツアーでやってくる。楽しみだった。

オレは2階のOfficeに戻り、紗也乃ママは5階の自室に戻った。

ショーコ
「最近リョーコさんが真面目にやってるのを喜んでましたよ」

オレ
「そう(笑)」

ショーコ
「ユーちゃんはどんなマジックを使ったんだろう?っておしゃってました(笑)」

オレ
「いや、リョーコは誤解されやすいけど優しいヤツだから」

ショーコ
「私も似たような事を言ったんですけど、松村さん笑ってました」

オレ
「あははは^^そっか」

リョーコはアレ以来真面目に語学スクールの集中トレーニングを受けているようだ。午前、午後とかなりハードな内容らしいが、横山とふたりで頑張っているようだった。

本橋と香はすでにステップアップして次の中級コースに進んでいると言う。

オレは週に1度のペースでリョーコの部屋を訪れ、セックスをしている。アレ以来リョーコはドラッグをやっていないようだ。

ショーコ
「じゃー私は先に出で、少し練習してから皆と店に入ります」」

オレ
「うん。楽しみにしてる^^」

▼13時・・・mar'sOffice

四方
「ただいま戻りましたー^^」

オレ
「お疲れっ^^」

四方
「あらっムーさん。そんなモノ食べてるんですか?」

オレ
「うん。オレ麺類好きだから(笑)」

四方
「言ってくれれば「ざる蕎麦」ぐらいならつくったのに(笑)」

オレ
「えっ!四方は料理できるんだ?」

四方
「あのー私これでも主婦の経験もあるんですよ?それにざる蕎麦ぐらい誰でもつくれますよ(笑)」

オレ
「あははは^^そっか。じゃー今度是非ごちそうしてくれ」

四方
「はい^^いつでも」

オレはカップラーメンを食い終わって、それをキッチンのごみ箱に入れた。四方は冷たいウーロン茶をグラスに入れてくれた。オレはキッチンで四方に軽くキスをした。

四方
「ムーさん。。。誰かに見られたらどーするんですか」

オレ
「いいじゃん。キスぐらい^^頻繁に会えなくなるんだし」

四方
「そんな事ありません。毎日でもここへは来ますから」

オレ
「寮はふたり部屋なんだろう?もう相手は誰だからわかってるのかな?」

四方
「同じ留学生でドイツの人だと聞いてます」

オレ
「えっオトコなのか?」

四方
「女性です(笑)」

オレ
「そーだよな(笑)」

四方
「奨学金出してもらうし、しっかり勉強して2年で修了しないと大変ですから」

オレ
「コロンビア大学の環境はいいよな^^寮に入って学生かーいつか泊めてくれ(笑)」

四方
「私のところへですかー?(笑)現役女子大生も来るんでしょ」

オレ
「あっ!そっちの面倒もよろしくお願いしますm(_"_)m」

今月末、ユーコとヒロミがやってくる。結局コロンビア大学に付属する語学コースに入る事になった。寮も確保できたのだが、夏の間は夏季集中講座がある為にまだ寮には入れない。

秋学期が始まる9月までは、このBLGの1LDKにふたりで住む事になっている。本来であれば、9月にやってくれば一番スムーズなのだが・・・ユーコの我侭で大学が夏休みに入ったらすぐに来ることになってしまった。

▼17時・・・タイムズ・スクウェア「ヤマシロ」

マーク
「いらっしゃいませ^^皆様すでにお揃いになってます^^」

オレ
「うん」

オレはキョーコと裕子、そして沙耶と一緒にテーブルについた。テーブルには松村さん。紗也乃ママ、リョーコ、四方が居た。すでに食前酒が出ていた。

オレ
「遅くなりました^^」

リョーコ
「ちょうど渋滞に巻き込まれたんでしょう?」

オレ
「早めに出たつもりだったんだけど、申し訳ない」

松村
「いやーそんなに気にするほどの事じゃない(笑)ひろこちゃん♪こんばんわ」

裕子
「こんばんわ^^おじーちゃん♪」

マークはワインを持って来た。オレは簡単にチェックをして頷いた。マークのサービスでそれぞれにワインが注がれた。

すでに店は7割ぐらい客が入っていた。今日は珍しく日本人の客が多い。ワインを飲み前菜が出たきた頃に、ショーコ達が出てきた。黒いシックなドレスに身を包んだ彼女たち・・・ショーコはチェロ、ビオラとバイオリンの一人が白人。そしてもうひとりのバイオリンがアジア系だった。

そして演奏が始まった。

まるで別人のように思えた。初めてショーコを見た時の印象そのままにチェロを弾くショーコは知的で優雅で繊細で・・・美しかった。

1曲ごとに少し休憩が入り譜面を変える。そして5曲ほどで演奏は終わった。彼女達が席を立つ時に店内から大きな拍手が沸き起こった。

ショーコがこちらにやってきて挨拶をした。

ショーコ
「つたない演奏を聞いて頂きありがとうございました」

松村
「とんでもない。素晴らしかったよ^^」

紗也乃
「ほんとクラシックは初めてだけど、すごく良かったわ」

キョーコ
「それにとっても美しくて、魅了されちゃった^^」

沙耶
「私もこんなの初めてよーきれいだったわー」

四方
「ショーコさん。素晴らしかった^^」

オレ
「うん。ドキドキしたよ^^」

ショーコは再度礼を言ってその場を後にした。その後姿を見ながらオレは思った。ショーコはいつかオレから離れて、居なくなるんじゃないかと・・・そしてショーコを思い切り大事にしたいと思った。

オレたちは食事を済ませ店を出た。松村さんの体調も考慮し早めに切り上げた。オレはチェルシーの沙耶のアパートに寄った。

キョーコは部屋に入り、裕子を寝かしつける。オレは沙耶の部屋に入りジーンズとTシャツに着替えた。その隣で沙耶も着替える。下着だけになった沙耶を見てオレは沙耶を抱きしめた。そしてキスをした。

ショーコの演奏を見た興奮がそのまま残っていた。オレは沙耶のブラジャーを跳ね上げて乳を揉みながらキスを続けた。

沙耶
「あんっユーイチ。どうしたのよー^^」

オレ
「誰だって沙耶のこんな姿みたら抱きつきたくなるさ」

沙耶
「うそばっかり(笑)」

オレ
「ウソじゃないさ」

オレは下半身に手を伸ばして下着の中に手を入れた。沙耶のそこは少し濡れていた。

沙耶
「あっダメよしたくなるから」

オレは沙耶にキスをしながらベッドに押し倒した。そして沙耶の下着を取り、オレは自分のモノを出してすぐに沙耶に乗った。そして優しく挿入した。

沙耶
「あぅー」

オレ
「沙耶、我侭していいか」

沙耶
「あーしたいのっ?してー」

オレのモノはそんなに大きくなっていないかも知れなかった。ただすぐに穴に入って放出したかった。オレは自分の快楽のためだけに動いた。

オレ
「うっ。ほんとにいいか沙耶」

沙耶
「うん。大丈夫だから安心でして・・・」

オレ
「あっあーあーー」

オレは瞬間的にいってしまった。沙耶の穴の中にオレの精液が放出された。

沙耶
「あーユーイチ。可愛い」

沙耶はオレの頭を撫でながらオレを抱きしめるようにした。オレはゆっくりと沙耶の体から降りた。

そしてリビングの方へ行った。

キョーコはキッチンで酒の用意をしていた。

キョーコ
「私クラシックなんて全然わからないけど、ショーコさん良かったわねー」

オレ
「うん。今日はあいつひとりにやられたな(笑)」

ソファの前にブランデーセットが置かれた。キョーコはオレの前に水割りを置いた。沙耶が着替えて出てきた。髪をアップにしていた。

沙耶
「きっとあの人、これからモテモテよ^^」

オレ
「そう?」

沙耶
「きっとものすごいファンがつくと思う」

キョーコ
「ユーイチは心配でしょう?(笑)」

オレ
「そんな事ないさ。あいつには色んな意味で幸せになって欲しいと思ってるから」

オレは何故か自分が今感じている気持ちとは裏腹にそんな風に言ってしまった。それは沙耶の中でいってしまったからか?

沙耶
「ほんと?」

キョーコ
「そんな風に思ってるんだ」

オレ
「ん?変か?」

沙耶
「ううん。わかるような気がする(笑)」

何だ?オレが我侭したからそんな風に思うのか?オレはブランデーの水割りを口にした。キョーコは沙耶の水割りをつくり沙耶の前に置いた。

沙耶
「あっありがとう^^」

キョーコ
「私たちふたりは去らないわよ!覚悟してね^^」

オレ
「あははは^^」

オレはその日キョーコにも甘えた。キョーコの指と口で責められてすぐに果てた。そしてまた沙耶の部屋に入り、朝まで沙耶を抱いて眠った。

明け方近くにオレは起きだして沙耶のアパートを出た。夜明け前のバスに乗ってmar'sBLGに戻った。

ロフトのシャワールームでシャワーを浴び着替えた。ショーコの部屋へ行きたかったが我慢した。コーヒーを淹れて自分のデスクの前に座った。

コーヒーカップを口にしながら思い出していた。こっちへ来てから4ヶ月目・・・ショーコと過ごす時間が短くなっている。今年の3月、玲子が出た後、ショーコに来てもらった。

彼女の自宅が処分され、ショーコはNYへ行くまでの間、仮住まいとしてワンルーム・マンションを借りた。1度オレはそこへ行ったが・・・ショーコに似合ってなかった。オレはちょっと強引にショーコを1110号に入れた。わずか2週間ほどだったが、その時が一番充実しているように思えた。

鍵の空く音がしてドアが開いた。ショーコが入ってきた。

ショーコ
「やっぱり帰って来てた(笑)」

オレ
「よくわかったな?」

ショーコ
「なんとなく」

オレ
「すぐにショーコのところへ行こうと思ったんだけど・・・」

ショーコ
「何故躊躇したの?(笑)」

オレ
「なんか冷たくされそうな気がして」

ショーコ
「あらっどうして私があなたに冷たくするの?」

オレ
「んーーーわからないけどそんな気がした」

ショーコはオレの方に近づいて来てオレの後ろから抱きついた。

ショーコ
「昨日、私、良かった?」

オレはショーコを抱いて膝の上に座らせた。ショーコはオレの首筋に手を回してうまく座った。

オレ
「ああ。とんでもなく美しかった。あの場の誰もがそう思ってお前に魅了された」

ショーコ
「そう^^ありがとう」

オレ
「きっと、そうやってお前はオレなんかよりもっとイイオトコに見初められて・・・」

ショーコ
「それで?」

オレ
「いつかオレの元から去っていく」

ショーコ
「それがあなたの望みなんでしょ?」

オレ
「・・・」

ショーコはそう言ってオレにキスをした。オレはショーコの舌を貪るように吸って抱きしめた。

ショーコ
「どーしたのよ^^ジョーダンじゃない。変よ(笑)」

オレ
「部屋に行こう」

ショーコ
「いいわよ」

オレたちはOfficeに鍵をかけてEVに乗った。そしてショーコの部屋に入り、荒々しくショーコを犯すようにセックスをした。オレはそれでも何故か安心できなかった。

▼7月4日・・・独立記念日

朝からニューヨーク市内で様々なイベントがあり、街は人で溢れタイムズ・スクウェアの前では盛大なパレードが行われた。ニューヨーク以外の州からも人が集まり、市内はどこも混雑を極めた。

そんな騒々しい1日が終わった翌日・・・理沙がやってきた。

空港ターミナルで理沙を見つけた瞬間。オレは理沙に抱き付いてキスをした。理沙はそれを驚く風でもなく同じように舌を絡ませ、それに応えた。

何故か理沙はベソをかく様に泣いていた。

オレ
「淋しかったよな^^」

理沙
「ううん^^」

涙を拭いながら笑顔を見せていた。オレはその団体の添乗員に断りを入れ、直接ホテルへ向かうと伝えた。

市内の高級ホテルへ入り、チェックインするとすぐに部屋に入りベッドに二人で入った。ひさしぶりの「蒼い蝶」を見て緩いセックスをして夕方まで理沙を抱いていた。

夕方にタイムズ・スクウェアの店に案内した。理沙は横山と軽く抱擁を交わした。一緒に食事をしてから、ロック・フェラー・センターへ行き展望台に上がった。摩天楼の夜景を見て、その場でキスをいっぱいした。

それから5日間、オレは理沙のホテルの部屋で過ごし、午後から市内観光をしては夜になると、ブルーノートや他のライブハウスに連れていった。

楽しい日々はあっという間に過ぎる。

来た時も理沙はベソをかいたが、帰る時も理沙は泣いた。そしてオレは手紙を書くことを約束させられた。

オレは一度、全部を捨てた。それぞれのオンナ達に何も告げずに1年半、アメリカで好き勝手に過ごした。そして帰ってきた時、その間に大きく変化したものもあったが・・・結局、元のオンナたちとの関係が戻った。

それがいいことか悪い事か?またそれぞれのオンナ達がどう感じているか?そしてオレ自身は?そんな事をオレはもう考えないことにしていた。

少なくとも理恵や理沙はオレが何をしてどんな目に会っても待っていてくれるだろう。それはオレの驕りではなくて、絶対的な信頼関係だとオレは思っている。だからもし、彼女達のどちらかひとりがオレに何かを頼んだら・・・オレは絶対にその望みを叶える。その為の努力は一切惜しまない。

一方で、ショーコや香、そしてこれからやってくるユーコ達・・・彼女らはいつかオレから離れていく。自立して離れる。或いはオレ以外のパートナーを見つけるために、今ここに居る。だからと言って理沙や理恵と区別している訳ではない。一緒にここに居る間は精一杯愛し合おうと思っている。

そしてキョーコと沙耶・・・不思議な関係だった。まるでそれぞれがオレの分身のように思える。時に熱く、時に冷たく、それはまるで自分自身に対応しているようだった。心と体が絡まりあって生きているような気がしていた。

もう一人・・・玲子。まちがいなく彼女はオレの嫁で、オレの家を守るオンナだった。

それからもオレは多忙を極めた。

昼間は鮨屋「マンガク」に出て、現地スタッフのウエイターやウエイトレスの教育をし、カウンターの中に入って鮨も握った。夕方になって、語学学校を終え横山と本橋がマンガクに入った。入れ替わるようにオレは「ヤマシロ」に入る。その合間に休憩をとりmar'sBLGに戻って、松村さんのところに誰がもうひとり連れていって沙耶のママがつくる夕食を食べる。そしてまた店に戻りラストまで居た。それがほぼ日課になっていた。

そしてそれは唐突にやってきた。

▼7月20日・・・

オレはいつものように「マンガク」の仕事を終えて、「ヤマシロ」に向かっていた。ダッチを駐車場に入れて裏から「ヤマシロ」に入った。

ショーコ
「すぐに病院へ行って下さい。松村さんが倒れました」

オレ
「えっ!・・・わかった」

オレはダッチに乗り、ミッドタウンのセントラル病院に行った。受付で病室を確かめてそこへ向かった。

扉をノックして入った。

病室に入るとすでに松村さんは酸素マスクを付けられてベッドで寝ていた。各種の機器がセットされていた。紗也乃ママは蒼白な顔でオレを迎えた。

紗也乃ママ
「突然苦しみだして・・・」

四方
「いつもの痛み止めを飲まそうとしたら、意識がなくなったようなので救急車を呼びました」

オレ
「うん。適切な対応だ。で、先生は?」

四方は首を振った。どういう意味か聞かずにオレは一旦病室を出て、ナースステーションへ行き担当の医師を呼んでもらった。

医師
「心臓が弱ってます。今夜いっぱいかと・・・」

オレ
「昨日まで元気でしたよ?」

医師
「いえ。相当弱ってます」

オレ
「・・・そうですか」

医師は沈痛な面持ちのままそれだけ言うとその場を去った。

オレは病室へ入った。そして短くたった今聞いた事を紗也乃ママと四方、そして現れたばかりのリョーコに伝えた。

誰も何も言わない。看護婦が心電図の説明をしてくれた。それは機器が現す波長がフラットになると、死んだことを意味すると・・・それだけを説明して部屋を出て行った。

紗也乃ママがベッドの前に座り松村さんの手をさすっていた。何かしら刺激を与える事で意識が回服するかも知れない。オレにはそんな風に見えた。

30分ほどして横山がキョーコを連れてきた。オレはキョーコに状況を説明した。そして横山と病室を出た。ロビーに向かい。今後の対応を相談した。

mar'sBLGの1Fスペースで通夜を行い。翌日には火葬。その程度だったが、それらは事前にすでに相談して決まっていた事で、あくまで確認事項に過ぎなかった。

命の行方を見守る者と、すでにその後の段取りを進める者・・・事前に予想されていたとはいえ名状しがたいほど気持ちが揺れて釈然としなかった。

オレは病室に戻った。

全員が揃うのを待っていたかのように松村氏は意識を回服する事なく亡くなった。

紗也乃ママが号泣した。そしてリョーコとキョーコのすすり泣くような声・・・四方も涙を拭いていた。オレは腕を組んで病室の壁に凭れて立っていた。涙は出なかった。特に悲しみもない。ただ終わった。という気持ちの中でミナミの鮨屋「満楽」で松村さんが大声で笑っているシーンを思い出した。

火葬業者に連絡を入れ、棺おけを用意してもらい遺体を搬出した。mar'sBLGの1Fに仮の祭壇をつくり写真立てを置いて通夜の準備をした。

オレは努めて明るく振舞った。

誰もがそんな風に無理に笑顔をつくりとぎれとぎれに話をした。祭壇の前に会議テーブルでつくった大きなテーブルをセットした。

紗也乃ママ、キョーコ、リョーコ、そしてオレがそこに居た。横山やショーコ、四方たちは電話連絡やらクルマで走り回って忙しく立ち回っていた。

テーブルの上に鮨が運ばれてきた。「マンガク」で用意されたものだろう。

オレ
「マンガクの鮨です。どーぞ皆さん召し上がって下さい」

「四方。上から氷とグラスをお願い。それとコークを^^」

紗也乃
「この写真いい写真ね」

オレ
「そーでしょ(笑)知り合った頃の初期の写真です」

オレは棺の上の写真を手に取って周りの者に回して見せた。

紗也乃
「さっきまで今日は誰を連れてくるんだろうなーって楽しみにしてたのよ(笑)」

オレ
「一巡したんで、また岩崎でも連れて行こうと思ってました。今日はどんなメニューだったんですか?」

紗也乃
「ハヤシライスよ^^」

オレ
「うわー食いたかったなー」

紗也乃
「ユーちゃんはカレーやハヤシだったら山盛り3杯は食うからたくさんつくっとけ!って何度も言ってた」

オレ
「ははは^^たくさんあるんなら、ここで皆で食べようか?」

紗也乃
「いいわね^^持ってくるわ」

オレはママとEVに乗って5階へ上がった。その間、何も話さなかった。部屋に入りキッチンへ向かい、まだガスコンロの上に乗ったままの大きな鍋をオレは持とうとした。

紗也乃ママがいきなり抱き付いてきて、また声を上げて泣いた。この時、初めてオレも涙が出てきた。暫く抱き合ったまま泣いた。

紗也乃
「ユーちゃん。ありがとう・・・」

オレ
「・・・」

オレは声を出せなかった。ワゴンにハヤシの入った鍋と炊飯器を乗せた。ママは皿とスプーンなどをいくつかそれに乗せた。オレはそれを押して1Fまで運んだ。

1Fに着くとママはまた明るく振舞い。それぞれの皿にハヤシライスを盛ってテーブルに並べた。

キョーコ
「いただきまーす」

オレ
「うん^^旨いわコレ(笑)」

リョーコ
「ほんと^^美味しい」

紗也乃
「松村も大好物だったのよ^^」

そう言って小さな皿に盛ったハヤシライスを祭壇の前に置いた。

オレは四方が持って来たグラスに冷酒を注いでみんなに回した。オレは立ち上がった。

オレ
「それでは松村さんの旅立ちを祈念して^^カンパイっ!」

「カンパイ・・・」

オレは冷酒を半分ほど一気に飲んだ。

紗也乃
「実は皆さんへ松村から手紙を預かってるの。ちょっと部屋へ行ってとってくるね」

そう言って紗也乃ママはもう1度出て行った。オレは後をついて行った。

紗也乃
「もう大丈夫よ」

オレ
「ええ。でも一緒に行きましょう^^」

何かを心配していたわけでもなかったが、ママをひとりにさせたくなかった。オレは黙って部屋に入り、キッチンの前のテーブルで待った。すぐにママは部屋から出てきた。手に風呂敷のようなもので巻いたものを持っていた。オレたちは1Fに戻った。

紗也乃ママはそれをテーブルの上に置いて広げた。表に名前が書いてある。キョーコ、リョーコ、紗也乃、そしてオレ・・・それぞれに封筒を渡した。オレは何故かすぐに開く気がしなかった。

冷酒を自分で注いで飲んだ。

それぞれがその場で封筒を開いて中の手紙を読んでいた。オレは祭壇の写真を眺めていた。

ニューヨークで鮨屋をやろう。咄嗟に思いついた話をして鮨屋の大将と揉めた。仲裁に入るようなタイミングで声をかけてくれたのが松村さんだった。

確かにそれは運命のいたずらのような偶然だった。しかし、松村さんはオレが19の時から知っていた。キョーコの親父だと知った時は驚愕と同時に怒りがこみ上げて来てオレは怒鳴り、罵倒した。

何故ならそれを知らずに松村さんの娘のリョーコをすでに抱いていたからだった。そしてそのフィアンセの大槻さえもそれと知らずヤクザを使ってオレを襲ってきたただのバカヤローだと思ってヤクザと共に撃退した。

それからも紆余曲折があったが、オレと松村さんの関係は続き、そしてニューヨークにまで一緒に来た。それから4ヶ月余り・・・とうとう別れの日が来てしまった。

紗也乃ママ
「ユーちゃんは読まないの?」

オレ
「えっうん」

紗也乃ママ
「できたら今、読んでくれない?」

オレ
「はぁ〜」

紗也乃ママ
「私の手紙の中に、何かあったらユーちゃんに相談するように書いてあるの」

キョーコ
「私のにもそう書いてあるわ」

リョーコ
「私のにも・・・」

オレは封筒を開けて中の手紙を出して目で追った

それは親しみのこもった表現で、これまで楽しく過ごせたお礼の言葉が述べられていた。そして最後の部分をオレは声を出して読んだ。

「ユーちゃん。もう君の事だからわかってると思うけど、我侭な友人の最後の頼みを聞いて欲しい。ワシの後継となって、キョーコ、リョーコ、紗也乃の面倒をお願いしたい。

面倒と言ってもそんなに大げさな事じゃない。彼女らが本当に何かに困った時に、相談にのってやってくれるだけでいいんだ。

たとえそれが困難な事で、解決しない事だったとしても心から信頼できる相談相手が居る。それだけでいいんだ。

すでに手続きは済んでいるんだ。ワシの後は、すべては君のモノになるようになっている。迷惑な話だと思うがよろしく頼む。

そしてユーちゃん。君のこれからの人生が大きなものになる事を心から願ってる!」

オレ
「という事でした・・・」

紗也乃
「安心したわ^^」

キョーコ
「そういう運命だったのよ」

リョーコ
「・・・」

店が終わり田川や岩崎らがやってきた。それぞれ霊前に焼香していった。そしてテーブルに着いて一杯飲んでから部屋に上がって行った。横山やショーコ、そして本橋に香、菊水亭の3人組、それぞれが同じようにそうした。

オレは横山にキョーコを送っていってもらった。リョーコは部屋に上がった。

夜が更けてオレと紗也乃ママだけになった。

オレ
「明日、松村さんは灰になる。ママ。日本に届けてくれるかなー?」

紗也乃
「うん。半分は松村の長男に渡す。残りの半分はこっちにお墓をつくってそこに・・・」

オレ
「そう。こっちにか!それはいい(笑)」

紗也乃
「ユーちゃん。私ここに帰って来ていい?」

オレ
「もちろん。5階のあの部屋はママの部屋だからいつでも帰ってきて(笑)」

「でもちょっと日本でゆっくりして遊んできたら?」

紗也乃
「うん。ありがとう。そうしてみる^^」

ママはオレのグラスに冷酒を注いだ。氷がすでに溶けてなかった。オレは階段を使って2階に上がり新しい氷をとってきた。

ママは祭壇のローソクを取り替えていた。

オレ
「ママ。交代で仮眠しよう。先にママが休んで」

ママ
「私は大丈夫よ!ユーちゃん休んで」

オレ
「いや、ママが先だ。お風呂にでも入って少し横になった方がいい。まだ明日も色々あるし」

ママ
「じゃー遠慮なく先にそうさせてもらうわ^^」

オレ
「うん」

オレはママが怖がりなのを知っていた。5階の部屋までオレは一緒について上がってママを部屋に入れた。そしてオレは1Fに降りた。

朝までそうしてオレはその場にいた。

翌朝・・・火葬業者の車がやってきて、全員で火葬場へ行ったが日本のそれとは違って、まるで工場のようなところで機械的にたんたんと火葬処理された。そして骨はそのままの形で見せてもらって確認だけすると、すべての骨が砕骨されて、パウダー状になったものだけが渡された。

翌日・・・紗也乃ママとリョーコは日本に戻った。

そして日をおかずキョーコと裕子、そして沙耶も東京へ戻った。裕子がどうしてもこっちの環境、幼稚園に馴染めなかったこともあり、一度帰国する事になった。沙耶はキョーコだけが帰るのは可哀そうだと言い一緒に着いて帰った。

▼7月25日18時・・・mar'sOffice

四方
「ムーさん。私はどうしましょう?」

オレ
「ん?コロンビア大学合格したんだから、9月からは学生じゃないか(笑)」

四方
「ええ。それまでの間、何をすればいいですか?」

オレ
「ゆっくりと今のうちにやりたい事やってればいいよ」

四方
「でも・・・」

オレ
「それにもうすぐシューさんが来るよな?」

四方
「はい。ようやく許可が降りたそうで、とりあえず夫婦で観光に来ます。そしてその後、奥さんだけが帰国するそうです(笑)」

オレ
「そっか^^シューさんが来てくれたらオレは安心だ(笑)」

四方
「そーですかー?叔父は自分でも言ってる通り役立たずですよー」

オレ
「あははは^^ショーコや香、みんなシューさんにお世話になってる(笑)それにオレのご意見番でもあるしきっと楽しくなるよ」

四方
「あはっご意見番ですか?今のムーさんにそんな風に言ってもらえるなんて叔父も案外できる人なのかも知れませんね(笑)」

オレ
「あははは^^」

オレと四方は松村基金から奨学金が出ることになり、学費、滞在費、生活費がすべて実費で出ることになっていた。

それは四方にとってオレに負担をかけなくていいと思うことで、精神的に非常に楽になったはずだ。そう言う意味では松村さんに感謝している。

オレ
「じゃーオレはそろそろ「ヤマシロ」に行ってくるよ」

四方
「はい^^いってらっしゃい」

オレはダッヂに乗って「ヤマシロ」へ行った。オレはカウンターに入って、ドリンク係りをケアした。時に厨房へ入り新しいメニューの料理を見ていた。

そして店が終わった後、全員を車に乗せてmar'sBLGに戻った。オレはショーコの部屋に入った。

ショーコ
「あなたご飯食べてないでしょ?お蕎麦で良かったらつくるけど?」

オレ
「おっ!サラダ以外につくれるんだ?」

ショーコ
「お蕎麦ぐらい誰だってできるわよ(笑)」

オレ
「じゃーお願い(笑)」

1LDKの部屋、日本のそれよりかなり広い。キッチンスペースも余裕がある。オレは4人用のダイニング・テーブルの前に座ってショーコの後ろ姿を見ながら話していた。

ショーコ
「昨日、遠山君から電話があったわ。ロクロと土を送ったって言ってた」

オレ
「ほう^^ついに始まるか」

ショーコ
「彼も今月末にはこっちへ来るわ」

オレ
「そっか。じゃーそろそろ1Fの準備をしないとな」

ショーコ
「ヤマシロもマンガクも備前焼で一新できそうね^^」

オレ
「うん。いよいよ始まるかー」

ショーコはザル蕎麦をオレの前に置いた。薬味もしっかりと揃えて見た目はなかなかのモノだった。そして味も茹で加減も申し分なかった。

オレ
「旨いっ!ショーコ。そこらの日本食レストランよりも美味しいぞ!食ってみろよ」

ショーコ
「そう?^^」

ショーコはオレの蕎麦を一口食べてオレに箸を返した。

ショーコ
「うん。まーまーねっ!^^」

オレは一気にそれを平らげて、お替りをした。バドワイザーの缶を持ってソファの方に行った。TVを点けた。ショーコはオレの隣に座った。ベージュのコットンワンピースに着替えて髪を降ろしていた。

オレはたまらず抱き付いてキスをした。

オレ
「来週シューさんが来る(笑)」

ショーコ
「そーだったわね!また何か楽しくなりそうね(笑)」

オレ
「松村さんが居なくなって、新しい人間がやってきて、NY生活も第2段階に入るな」

ショーコ
「ユーイチはニューヨーク大で頑張るのよね?」

オレ
「あーそうだよ^^今度はちゃんと卒業目指すんだから」

ショーコ
「うん。でも松村さんの後継者になるわけだし、このままこっちに居ていいのかなーって思って」

オレ
「何かを引き継いだからって、オレはオレのやりたいようにやる。それは松村さんもわかっていたはずだから、大丈夫だ」

ショーコ
「そうよね!ユーイチはそのままで居ないと(笑)」

オレ
「でもあれだな。キャンパスライフと言う意味では四方のコロンビア大学が一番だな」

ショーコ
「そーだ。ユーコちゃん達もコロンビア大でしょう?」

オレ
「ああ。ALIだけどなうまくキャンパス内の寮に入れる事になった」

ショーコ
「でもよく入れたわね?ユーイチが段取りしたんでしょう?」

オレ
「今、本橋や香が通ってる専門学校でも、授業の内容はそう変らないのに留学ビザが降りないんだよな!だからALIでもこっちに身元引受人が居るって事が優先されて入学が早く決まったから寮も確保できた」

ショーコ
「どうして留学ビザが降りにくいの?」

オレ
「きっと語学留学で入ってきて、すぐに学校行かなくなってこっちで不法就労する外国人が多いからだろうって聞いたけどな」

「だから本橋や香らはグリーンビザ取ってる」

ショーコ
「そーなんだ。どこへ行っても日本人学生多いもんね」

オレ
「逆にオレたちは留学ビザの切り替えはすぐだけどな?まー今更必要ないけど(笑)」

ショーコ
「今度楽団の演奏会があるのよ^^出してもらえるみたいなの」

オレ
「おっ!いよいよデビューかー^^」

ショーコ
「そんな大げさなものじゃないわ。アマチュア楽団だから^^」

オレ
「いや・・・ショーコは絶対認められるよ!」

ショーコ
「ユーちゃん。この間からなんか変よ?(笑)」

オレ
「店もアレ以来弦楽四重奏の時は予約でいっぱいじゃないか!」

ショーコ
「まーそれはそれなりに演奏を評価してもらえてるのかな?ってちょっと嬉しいけど」

オレ
「みんなお前に注目してるんだ」

ショーコ
「そんなことないって(笑)」

ショーコはわかっていないようだ。オレはクラシックには疎いがそれでも音楽の評価はできる。間違いなくショーコは優れている。そして絶対にチャンスが来ると確信していた。

▼7月28日・・・

予定通りシューさんとシューさんの奥さんの美千代さんがニューヨークにやってきた。さっそく当日の夜。オレと四方と4人で摩天楼の夜景を眺めながら食事をした。

美千代さんは東洋ビルのMellow Beachがオープンした時、よくシューさんと一緒に食事に来てくれていた。シューさんより年上だと聞いていたが、なかなかの美人でとてもそんな年だとは思えなかったが、ひさしぶりに会ったがその印象はまったく代わらなかった。少し強引なところがあり、変わっているがシューさんとはお似合いの夫婦だ。

翌日からはツアーのオプション観光には参加せず、もっぱらオレと四方で観光名所を案内した。驚いた事に美千代さんは英語が出来て、自分で興味のあるファッション関係の会社などにもアポをとり訪問する予定だと聞いた。きっとブティック・ガボで販売する商品の仕入れなども考えていたのだろう。

そして美千代さんだけが帰国し、シューさんは残った。シューさんには暫くの間、菊水亭のスタッフが先住する4階の田川と岩崎が住む2LDKの田川の部屋に新しくベッドを入れて、そこに住んでもらうことにした。

そしてシューさんは自ら鮨屋を手伝うと言って「マンガク」のカウンターに入り、皿洗いから手伝い始めた。オレはそんな事をしないで、のんびり居候をしていればいいと言ったのだが、シューさんは聞かなかった。

時は前後して、30日についに、いやとうとうユーコとヒロミがやってきた。オレはケネディー空港まで迎えに行った。

9月の初旬まで大学の寮には入れない。その間、mar'sBLGの4階のオレと横山が暮らしている部屋を与えた。横山にはOfficeのロフトに一時移動して貰った。

ユーコ
「ユーちゃん♪ついに来ちゃったよー^^」

ヒロミ
「ムトーさん。これからお世話になります。どうぞよろしくお願いします」

オレ
「うん^^ユーコもヒロミも今日からオレが親だと思って、ちゃんと言う事聞くんだぞー(笑)」

ユーコ&ヒロミ
「はぁ〜〜〜いっ♪」

オレ
「寮に入るまでここで生活してもらう。後でうちの連中にも紹介するけど、くれぐれも安全には気をつけてくれよ」

ユーコ
「はい。わかってます。さんざん日本でも注意を受けてきてますから(笑)」

ヒロミ
「はい。私も同様に、安全にだけは気をつけるようにと(笑)」

オレ
「うん。9月からの寮には、うちの四方も入るからそっちでは四方に何でも相談すればいい」

ユーコ
「ユーちゃんは?」

オレ
「オレはニューヨーク大に通う」

ユーコ
「やっぱり私もニューヨーク大にすればよかったなー」

オレ
「いや、学校としてはコロンビア大の方がキャンパスもきれいで面白い」

「オレはここから一番近いところを選んだだけだ(笑)」

ヒロミ
「演劇学科なんでしょう?すごいなー^^」

オレ
「別にすごくはないさ。ニューヨークにある大学じゃどこでも演劇学科はあるんだ」

年はずいぶん離れているはずなのに、こっちで同じように学生をする事になり、彼女らとも違和感なく同じ話題で接することが出来てオレの意識は少し変ってきていた。

オレは彼女らを2FのOfficeへ連れて行き、四方と横山を紹介した。四方は以前に作成した資料を彼女らに渡して、ニューヨーク生活をレクチャーした。

四方はさっそく彼女らを連れて買い物に出かけた。

横山
「ムーさん。日本でもちょっと大変な事になってしまいました」

オレ
「何?どうした?」

横山
「芸大のmar'sClubに夏季ニューヨーク・ツアーをやれって言ったじゃないですか?アレ・・・応募が殺到して急遽入会制限を行うことになってるようです」

オレ
「ほー盛況で良かったじゃないか(笑)」

横山
「mar'sClub今や300人を超えているようです」

オレ
「元々は何人だったんだ?」

横山
「登録者は50人ぐらいだったようですけど、とりあえず300人で締め切ったそうです」

オレ
「なんでそんなに集まったんだ?」

横山
「限定6人、夏のニューヨーク無料ツアー♪って掲示板に張り出したそうです」

オレ
「ははは・・・バッカだなー(笑)」

横山
「どうしましょう?」

オレ
「やるしかねーだろう?ただ、しっかりとしたヤツを選ぶように言え!(笑)3LDKに2人一部屋で6人だから、後はお前が適当に考えろ」

横山
「はぁ〜」

オレ
「アゴアシ、他、含めて大判振るまいしてやれ(笑)」

横山
「ははは・・・」

1Fの改造もほぼ工事が済んだ。通りから入る入り口の半分をショップにし、奥の半分を陶芸工房にする為の固辞を行った。簡単な仕切りとショップには壁一面に木製の商品棚、通りに面したガラス面にディスプレイ用のスチール製のラックを設置した。

奥の工房には、電気炉(窯)を1台設置して、手動のロクロが2台、電動ロクロが5台いつでも利用できるようにした。これで備前焼窯元の次男でショーコと同級生の遠山を迎える準備ができた。

ユーコとヒロミを連れてタイムズ・スクウェアの「ヤマシロ」に行った。そこで夕食をとった後、恒例のロックフェラーセンターの展望台に上がった。地上70階の展望台から摩天楼の夜景を見せた。

ユーコ
「うわーすごい^^」

ヒロミ
「なんてキレイなのー^^」

オレ
「ここがニューヨーク・マンハッタンだ^^」

ユーコ
「ここで私たち暮らすのよね」

ヒロミ
「なんかウソみたいだなー」

オレ
「ははは^^観光旅行だとウソみたいにあっと言う間に終わるけど」

「留学できたんだから来年の春までしっかりとここで生活するんだ」

「たぶん・・・それだけで人生感が変るほどの経験をするだろう(笑)」

ユーコ
「うん。しっかり色んな事、勉強するわ^^」

ヒロミ
「もうドキドキしてきた^^」

そしてダッチに乗ってmar'sBLGへ戻った。2階のOfficeで横山と4人でこれからの予定を話あった。横山が自身で語学学校に通っている。ALIの授業内容もほぼ似たようなものなので、その経験から適切なアドバイスをしていた。

「ヤマシロ」と「マンガク」のスタッフが戻って来た。オレは全員にユーコとヒロミを紹介した。

香や本橋は若いユーコやヒロミと話してさっそく生活衣料品などのショップ情報を教えていた。香は明日買い物に連れて行く約束までしていた。

そしてそれぞれの部屋に戻った。

オレは5階の紗也乃ママの空き室に入った。暫くすると電話が鳴った。内線のランプがついていた。オレは受話器をとった。

オレ
「はいムトーです」

「ん?うんわかった」

すぐにインターフォンが鳴った。オレはドアを開けてユーコを招き入れた。ユーコはすぐに抱き付いてきた。オレは軽くキスをしながら絡みつくユーコをオレの部屋に入れた。

ベッドに座らせてキスをしながらユーコを裸にした。キスをして乳を揉み股間を弄る。ユーコはすぐに反応して喘ぎ声を出し、股間を濡らした。オレは裸になってユーコの体に乗り、ゆっくりと挿入した。

ユーコ
「うぁーーー」

「あーーーユーちゃん」

オレは優しく丁寧にユーコの穴を責めた。ユーコはオレにしがみ付きすすり泣くように声を上げた。

ユーコの反応を確かめながら徐々にスピードを上げてユーコの穴の奥深くまでオレのモノを入れた。

ユーコ
「あぁーあぁーー」

オレはそのままの姿勢で一気にユーコを責め立てた。

ユーコ
「うぁーあーーーあーーーあーーー」

ユーコは膝を立てて上半身を反り返しいった。ユーコの穴の奥に熱いものを感じながらオレの動きは止まらなかった。

ユーコ
「うぅーーー」

オレはユーコの両脚を抱え上げるように持って、腰を使った。それだけでもうこれ以上は入らないところまで、ユーコの穴の奥を激しく突き続けた。

ユーコ
「あぅーあーーーあーーーあーーー」

ユーコは力いっぱいオレにしがみ付き、オレの背中に爪を立てた。オレは背中に痛みを感じながらも強烈に絞まるユーコの穴の奥が少し緩み熱いモノが溢れるのを感じた。

ユーコの体からゆっくりと降りて、オレはユーコを横抱きにした。股間に手を入れて穴の周辺を指で押すように撫でた。

ユーコ
「うぅーうぅーーー」

ユーコは声を上げ、オレの胸の中でまだ悶え続けていた。ひさしぶりのセックスできつい責めにあいその強烈な快感がまだ体の中を駆け巡っているようだった。ユーコの穴を指で押えながら、ユーコの体をクールダウンさせた。

ユーコ
「あーユーちゃん。もう死んじゃう。溶けそう。。。」

オレ
「久しぶりだったのにキツイのをしてしまった。ごめんな^^」

ユーコ
「ううん。嬉しい」

オレは股間から手を離し、シーツを引っ張り上げてユーコを包んだ。そして背中を軽く叩くように撫でた。それだけですぐにユーコは眠りに落ちた。

オレはベッドを降りてキッチンへ行き、バドとコークを取り出した。プルトップを引いてベッドに戻った。

オレはコークをユーコの顔にくっつけた。ユーコは目を覚ました。

ユーコ
「あっ私寝てた?」

オレ
「ほんの数分だ^^」

ユーコは起きて、ベッドヘッドにもたれかかりコークを口にした。オレはその姿をベッドの前のイスに座りみていた。コークの缶を口元から外してユーコはシーツをたぐって胸を隠した。

オレ
「せっかくユーコのお乳を見ていたのに」

ユーコ
「見たいのー?^^」

オレ
「うん」

ユーコ
「じゃーちょっとだけね^^」

ユーコは少しシーツを下げた。キレイな形のいい少しこぶりな乳が露になった。オレはそれに噛み付きたくなった。

オレ
「うん。いいお乳だ^^」

ユーコ
「ふんっ」

ユーコはまたシーツを手繰ってそれを隠した。オレはバドを飲み干した。そしてまたベッドに入りユーコを抱いた。そしてまたユーコを責め立ててユーコを泣かせた。

▼8月1日・・・

そして一時帰国していた紗也乃ママとリョーコ。それに菊水亭のオーナーの山城さんがやってきた。

mar'sBLG2FOffice

山城
「ようやく来る事ができました^^」

オレ
「ようこそ^^ニューヨークへ♪」

ビッグ・テーブルの前にかけて貰いオレは正面に座った。ショーコがコーヒーを入れた。紗也乃ママとリョーコは先に部屋に荷物を入れに行った。

オレ
「営業が始まる前に行きましょうか?」

山城
「はい^^楽しみにしてきましたから」

ショーコ
「ようやくお客さんも増えてきて、好調ですよ^^」

山城
「数字を見て喜んではいたんですけど、実際のところどうなのか気になって、気になって(笑)うちのスタッフはちゃんとやってますか?」

オレ
「ええ中里チーフをはじめ皆さん創作料理に研究熱心で、その努力によるところが大きいですよ」

山城
「いやーそう言っていただけると嬉しいなー(笑)」

紗也乃ママとリョーコが降りてきた。そしてテーブルに付いた。ショーコは立ち上がって彼女らのコーヒーを出した。

オレ
「ひさしぶりの日本はどーでした?^^」

紗也乃
「ミナミの灯を見て、道頓堀を歩いたらなんかほっとしました(笑)」

「でも、それも最初だけで、はやくニューヨークへ帰りたくなったわ」

オレ
「ほんとかなー(笑)」

ショーコ
「うわー紗也乃ママはすっかりニューヨークがお気に入りになったんですねー^^」

紗也乃
「うん。みんなの顔が早く見たくって(笑)」

オレ
「じゃーそろそろ行きましょうか?」

オレはダッヂに全員を乗せてタイムズ・スクウェアの「ヤマシロ」に行った。開店前の店の様子を見ながら、山城さんは厨房に入った。そして久しぶりに会う里中チーフ以下のスタッフににぎらいの言葉をかけていた。

そしてやはり自らが料理人という事もあり、仕込みの材料などをチェックしながらこっちでの人気メニューなどを聞き、現地に合ったアレンジなどにも耳を傾けていた。

開店時間になり、客がポツポツと入ってくる。オレたちは客としてすでにテーブルに付き食事を始めていたが、山城さんは客の動向が気になっているようだった。

山城
「正直、日本人以外に日本の味のままで通用してるんでしょうか?」

オレ
「ええ。立派に通用してますよ^^」

リョーコ
「ニューヨーカー好みと言うかやはり高級料理と言う意味で味を理解してるようですから」

オレ
「まー明日にでもランチ・タイムに「マンガク」に行けばもっと面白い現象を見ることができますけどね」

山城
「面白いとは?」

オレ
「それは見てのお楽しみにしましょう(笑)」

山城
「ふむ。何やら意味ありげだなー(笑)」

オレは冷酒を山城さんのグラスに注いだ。

紗也乃
「あらすっかり食べるのに夢中になってしまってすみません^^」

オレ
「あははは^^やっぱりここのメニューは美味しいですか?」

紗也乃
「何しろ私は昔から「菊水亭」のファンですから^^」

食事が終わって、オレたちは恒例の摩天楼の夜景を見に行った。そしてmar'sBLGに戻った。時差ぼけもあり長旅で疲れているだろうと言う事で、その日はそれで終わった。

山城さんは5階の厨房スタッフの3LDKの部屋を1つ開けて貰ってそこで過ごす事になっていた。

▼22時・・・2FOffice

リョーコが降りてきた。ヤマシロに行く前から何かしらオレに話があるようで、落ち着かない様子を見せていたが・・・

リョーコ
「いいかなー?」

オレ
「じゃーお前の部屋に行こうか?」

リョーコ
「うん」

ユーコとヒロミがここに住むようになってから、夜はパブリックスペースのようになっていた。菊水亭の3人が面白がって彼女らの相手をしている。そしてロフトには横山が居る。込み入った話はできなくなっていた。

オレはリョーコの部屋に入った。

リョーコはキッチンへ入りブランデーセットを用意してリビングのソファに座るオレの前に持って来た。そして水割りを2つ作った。

オレ
「久しぶりの日本はどうだった?」

リョーコ
「うん。長男さんにお骨を渡して・・・言葉だけお礼を言われたけど、冷たい対応だったわ」

オレ
「そっか」

リョーコ
「そしてすぐに社葬の準備にかかるって言ってた」

オレはブランデーの水割りを口にした。詳細は後で紗也乃ママに聞けばわかるだろうと思って何も質問をしなかった。

リョーコ
「六本木にいい場所があったの!新しいビルの1階よ!とりあえずは手付けを打って契約は待ってもらってるの」

オレ
「それで?」

リョーコ
「山城さんに相談したら、東京の知り合いに頼んで料理人を紹介してもらうことになったの」

オレ
「何か資料はあるのか?」

リョーコ
「うん。」

リョーコは立ち上がり部屋に入った。そしてファイルを持って戻って来た。オレはそれを受け取り中身を見た。事業計画書が書かれていた。

コンセプト資料、料理の写真、そして簡単な見積もりと総事業費。総額で1億2000万となっていた。

オレ
「それでいくら足りない?」

リョーコ
「1億」

オレ
「わかった。ムトー商会からその金は用意する。借用書は書いてもらうぞ?」

リョーコ
「ええ。もちろんよ」

オレ
「他には?」

リョーコ
「資金だけで十分よ!あとは全部自分でやるわ」

オレ
「オッケーじゃーカンパイしよう^^」

リョーコ
「うん^^」

軽くグラスを合わせてオレは水割りを飲んだ。言いたい事は山ほどあったが・・・あえて何も言わなかった。

オレ
「じゃーこの部屋はもう必要ないな?」

リョーコ
「そーね。たくさん人も増えたみたいだし、自由に使って?」

オレ
「で、いつ東京へ戻る?」

リョーコ
「出来たら明日にでも」

オレ
「芦屋の部屋はどうした?」

リョーコ
「引き払って今は東京よ」

オレ
「じゃームトー商会の前田に東京へ行かせる。テナント契約なんかも前田はプロだから任せてしまって大丈夫だ」

リョーコ
「ありがとう^^正直、反対されるんじゃないかと思ってた」

オレはリョーコを抱き寄せた。

オレ
「これだけは約束してくれ」

「意地を張らずに何でもオレには話してくれ」

リョーコ
「うん」

オレはリョーコを抱いたまま、リョーコの匂いを嗅いでいた。オレはリョーコに軽くキスをしてから立ち上がり、リョーコの部屋を出た。

そしてオレは紗也乃ママの部屋に行った。ドアをノックした。すぐに部屋の中に招き入れられた。

紗也乃
「遠慮せずに鍵を使って入ってきて^^」

オレ
「いやそれは・・・(笑)」

オレはソファに座った。ママはキッチンで酒の用意をしているようだった。同じようにブランデーセットを持ってきてくれた。そして目の前で水割りをつくってオレの前に置いた。

紗也乃
「そーだ。先に大事な書類を渡しておくわ^^松村の顧問弁護士から預かってきてるの」

ママは立ち上がって部屋に入り、大きな茶封筒を持ってきた。オレはその中身を見ずに傍らへ置いた。

オレ
「明日朝、しらふの時にゆっくり拝見します^^」

紗也乃
「そーね^^」

オレ
「リョーコちゃんは明日日本に戻って、さっそく東京で新しい店を始めるようです」

紗也乃
「そう・・・それでやっぱりお金の無心を?」

オレ
「ええ。一応うちの社から出資することにしました」

紗也乃
「でもそれは・・・」

オレ
「ママも約束して下さい」

紗也乃
「はい。何でしょう?」

オレ
「今後、リョーコちゃんがママに借金を申込んでも一切出さないで下さい」

紗也乃
「・・・」

オレ
「金はすべてオレに預けてる。とでも言ってオレの了解がなければ自分のお金であっても大きな金額は自由にならない!そう言って下さい」

紗也乃
「・・・わかりました」

オレ
「そしてもし借金を申込んできたらすぐにオレに教えて下さい」

紗也乃
「ユーちゃんは今度リョーコちゃんがやろうとしているお店が失敗するとでも?」

オレ
「さーそれはわかりませんが・・・成功しても失敗してもすぐに何か他の事を始めたがるでしょうから(笑)」

紗也乃
「そこまでわかっていながらユーちゃんは・・・」

オレ
「リョーコちゃんとの信頼関係を壊したのはオレの方ですから」

紗也乃
「そんな事ないわ。ユーちゃんはリョーコちゃんにも平等にしてきたのを知ってるわ」

オレ
「はい。平等じゃダメなんです。特別扱いしないと(笑)」

紗也乃
「・・・」

オレ
「でもまーこれからはひとつひとつ実績をつくりながら信頼関係を再度構築します^^」

紗也乃
「ごめんね。ユーちゃん」

オレ
「ははは^^ママが謝ることじゃないですよ」

オレは水割りを口にした。

紗也乃
「ユーちゃんは4年間はここに居るんでしょう?」

オレ
「ええ。大学を卒業するまでは居ます」

紗也乃
「じゃー私はその間ここに居ていい?」

オレ
「ママ。日本で理恵と会いました?」

紗也乃
「ええ。理恵さんはエスポワールとローズマーリーをお返しします!と言ってくれたわ」

「ミナミの夜の街に出てほっとしたのは最初だけで、すぐにここはもう私の居場所じゃないとわかったの^^」

「私の居場所は・・・ここにしかないわ」

オレ
「松村さんがどんな遺言をしたか知りませんが・・・ママはもう自由に自分の好きなようにした方がいい。無理にここへ居る必要はないんですよ」

紗也乃
「ユーちゃん。覚えてる?神戸のホテルへユーちゃんに会いに行った時・・・ユーちゃんは最後に「ミナミのイイオンナなんだから笑って」って言ったわ」

「その時、あなたがとても大人に見えたの」

「その後の松村との関わりの中でも時に子供で、時に松村を超えるほどの包容力を見せてくれたわ」

「私はここに居たいの。できるだけ迷惑をかけないようにするからここにおいて?」

オレ
「うん。わかった」

オレはもうそれ以上何も言わなかった。もしかしたら理恵に何か頼まれたのか?とも思ったが、それ以上にママの意思が先にあるんだと理解した。オレはちょっとドキドキした。

オレ
「じゃーママ。おやすみなさい^^」

オレはそう言って立ち上がり部屋を出た。

オレは2階のOfficeに行った。自分のデスクの前でさきほそ預かった大きな書類封筒を開けて中を確かめた。故松村氏の顧問弁護士からの手紙が入っていた。いくつかの委任状と内容説明の書類が入っていた。

オレは引き出しから印鑑を出してそれら必要書類にサインとハンコを押印した。送り返すための封筒にそれらを入れて封をした。

そしてロフトにあがり、横山の寝るベッドの下に毛布を敷いてそこで寝た。

▼翌朝・・・7時 Office

横山
「おはようございます^^」

オレ
「ん?早いなー(笑)」

横山
「ムーさん。起してくれれば良かったのに(笑)びっくりしましたよベッドの下でムーさんを見つけた時は」

オレ
「あははは^^オレは何処ででも眠れるから(笑)それに今日リョーコが東京へ戻る。もうここへは戻ってこないから、横山お前そこにまた引越しだ」

横山
「えっ?リョーコさんどうするんですか?」

オレはリョーコが東京で自力で自分のレストランをやる事を説明した。

横山
「・・・そうですか」

オレ
「まっ不満もあるだろうけど、見逃してやってくれ」

横山
「いえ。それはもうオレなんかは全然・・・(笑)」

横山はオレのデスクの前にコーヒーを置いた。オレは礼を言い。これからの日程について話し合った。リョーコが降りてきた。横山に挨拶をして、Officeを出た。オレは通りまで一緒に行った。イエローキャブが通るのを待った。

オレ
「気をつけてな」

リョーコ
「うん」

オレはリョーコを抱きしめてディープなキスをした。そしてイエローキャブを停めてリョーコを乗せた。

オレ
「じゃーまたな^^」

リョーコ
「ユーイチ。愛してるわ」

オレ
「(笑)」

イエローキャブが走り去るのをそこで暫く見ていた。

▼8月5日・・・

ショーコの友人で陶芸家の遠山がやって来た。すでに基本的なモノは揃っている。さっそくテストも兼ねて遠山は一通りの製作過程を見せてくれた。

ロクロを回して形を作る。そして電気炉に入れて焼く。しごく簡単な作業だった。本来、備前焼はそういう素朴な焼き物だったが、遠山はそれでは満足せず、オリジナルの創作を行っていた。

菊水亭の一番若い北野が興味を示し、毎日のようにロクロを回して居た。オレとシューさん。そして遠山の4人で「ヤマシロ」と「マンガク」で使う食器を量産するために、ムキになってつくっていた。

そんなオレたちに香も根気よく付き合っていた。


「ユーちゃんはすぐに上手になるのね^^」

遠山
「集中力がものすごいですよ^^この間も夜中にやってたでしょ?」

オレ
「ははは^^短期集中型で飽きっぽいんだけどね(笑)これは面白いよ」

ガボマスター
「うん。無心になってロクロを回す。これはきっとニューヨーカーにも受けると思うよ^^」

北野
「ニューヨーカーは変なところに関心を持つから何かのきっかけで爆発するでしょうね^^」

遠山
「ははは^^そうだと嬉しいんだけどね」


「私も下手だけど長くやりたいと思うわ」

遠山
「そうそう香ちゃんみたいに長いスパンで考えてやってもらうのが本当は一番いいんですけどね」

オレ
「あははは^^オレも長続きするように頑張ります」

ユーコとヒロミが顔を出して、ひとしきり騒いだ後、彼女らは街へ出かけていった。彼女らには毎日が新しい発見の日々で色々なイベントを見て周り、フリーマーケットで買い物をしたりしてすっかりニューヨークに魅了されていた。

そして日本から石原さん達がやってきた。松尾の82年度新作カタログの撮影をニューヨークで敢行する!というプランがようやく実施される事になった。専属モデルの香とオレ、そしてこっちで書類審査だけで決めたモデル男女4名でのロケだった。

季節感を消すために市内の教会を3つ渡り歩いてのロケは実質は4日間で終わり、残りの予備日をそのまま観光にあてるという優雅なニューヨークロケだった。

一般的な観光を行った後、夜はブルーノートへ行きその後はお決まりの高級パーラーへ連れて行った。

そして次は12月に日本でファッション・ショーが集中的に行われる。再会を約束して石原さん達は帰って行った。

前後してお盆を挟んだ日程で、大阪芸大mar'sClubの選抜メンバーがニューヨークにやってきた。松村さんらが住んで居た3LDKの部屋に1部屋2名づつの割り振りで宿泊させた。

3年、4年生が中心の2週間に及ぶニューヨーク・ツアーに最終的に300人がmar'sClubに入会したと言う。一般的な観光を2日間で済ませて、後はそれぞれのテーマに添った活動を行う。

事前審査はそれぞれNYで何をしたいか?と言うテーマに沿った作文を書かせていた。その中から6人が選ばれたが、オレは選考には直接関与していない。

彼らは連日のように街へ出て、自分たちのテーマに沿った行動をたぶんしたのだろう(笑)そして夜はmar'sOfficeで夕食をとった後、オレたちと酒を飲みながら大騒ぎした。

こうして慌しく忙しいニューヨークの夏が終わろうとしていた。

▼8月28日・・・19時

オレは香を連れてハドソン川の対岸にあるレストランに来た。丘の上の1軒屋のイタリアレストラン。そこの売りは川向こうに見える摩天楼の景色だった。価格もそれなりにリーズナブルで評判になっていた。オレたちはちょっとドレス・アップして来た。


「ユーちゃんとゆっくりと食事するなんて始めてじゃない?」

オレ
「そーだな。申し訳ないなー(^。^;)」


「ううん。わたしはようやくわかったの」

オレ
「ん?」


「ユーちゃんの苦労が」

「あんなにたくさんの女性をよくまーひとりで(笑)それにみんなの面倒を見ながら仕事までして、見ていて可哀そうになってきたもの」

オレ
「かおりぃー^^イイオンナだなー」


「でも結構怒ってる時も多いんだけどね(笑)」

オレ
「うんうん。いくらでも怒っていいぞ」


「でもねー本橋さんがユーちゃんの事庇ってくれたりするのよ」

「そんな事を聞くと逆に嬉しくなったりするの(笑)」

オレ
「本橋がオレの事を???」


「そーよ^^ムーさんが助けてくれたからこんな楽しい生活が出来てるって」

オレ
「ははは^^たまたまそーなっただけだ」


「ううん。違うと思う。ユーちゃんはいっぱい無理をして本橋さんも助けてあげたんだと思う」

オレ
「そっか^^香はいいように解釈してくれるんだな。ありがとう」


「みんなはムトーマジックって言ってるみたいだけど、そーじゃないわ。ユーちゃんは何度も何度も嫌な思いをしながらでも粘り強くお願いして、最後はその誠意が伝わって相手が信頼してくれるのよね。それを人に見せないだけなのよ」

オレ
「うわー香どうしたんだ?そんなに褒めてくれて(笑)」


「ユーコちゃんやヒロミちゃんからもいっぱい聞いたわよ^^シャイだからそういう事を言われると茶化すのよね^^でもそんなのも大好き」

オレ
「あははは・・・」


「強敵はやっぱりキョーコさんと沙耶さんだわ^^いつ帰ってくるの?」

オレ
「実は・・・もう帰って来ないんだ。裕子がどうしてもこっちに慣れなくて、やっぱりキョーコは東京で暮らすことになったんだ。沙耶はキョーコひとりが東京に帰るのは可哀そうだって、一緒に居てくれるらしいんだ」


「そう。心配でしょうユーちゃん」

オレ
「いや、ふたりが一緒に居てくれるならオレは安心だ(笑)なんて言うかなーあいつらはオレの分身みたいなんだ」


「ユーちゃんの分身?」

オレ
「うん。意味が適切ではないかも知れないけど・・・オレはそんな風に思ってる」

「まっそういう事でとりあえずひと段落だ」

「9月になればユーコ&ヒロミと四方はコロンビア大学の寮生活が始まるし」

「mar'sBLGもちょっと人が減って落ち着く(笑)」


「そっかーちょっと淋しくなるわね」

オレ
「いやせいせいするよ(笑)」

食事が終わって、庭に出てオレたちの住むマンハッタンの夜景を眺めた。もう夏の匂いはなく、虫が鳴いて秋の訪れを感じさせていた。

オレは香を後ろから抱いて香の匂いをいっぱい嗅いだ。そして振り向かせてキスをした。


Nest Story>>>>>
<<<<<Back Story


━…━…━…━…━…━…━
 My History Index
━…━…━…━…━…━…━
| My History | 17:29 | comments(2) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP
あらららら〜〜〜〜

少しさぼりすぼりすぎと思っていたら
まとめてアップ


「ずっと好きだった」
出だしが、モップスのたどりついたら雨降りみたいな曲
単純でいいですね 初めて聞きました。
コメントからすると最近の曲という事ですね
| 藤野 | 2010/09/11 10:10 PM |

どもども^^

いやー今年は熱くってパソコンもご機嫌がよろしくないようでサボってました(笑)

選曲もだんだんと脈絡がなくなってきて(笑)これは今年の春にスマッシュヒットしたようです。

まだまだ熱い・・・
| るーく | 2010/09/12 11:31 AM |










http://kaizin.jugem.cc/trackback/1401
CONTROL
PROFILE
━…━…━…━…━
My History Index
━…━…━…━…━

メールフォーム

クリックで救える命がある。

RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
SELECTED ENTRIES
RECENT COMMENTS
  • 迷子のフクロウ保護
    kina
  • ポール ライブ イン オオサカ
    pio
  • 宇野くん元気そうだ!
    るーく
  • 宇野くん元気そうだ!
    みく
  • キーボード
    るーく
  • キーボード
    みく
  • キーボード
    みく
  • キーボード
    るーく
  • キーボード
    みく
  • 週刊朝日
    るーく
RECENT TRACKBACK
CATEGORIES
ARCHIVES

このページの先頭へ