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裏切者の旅


「裏切者の旅」宇崎竜童 2010VERSION?
残念な事に音ズレ起してますが・・・まーYou Tubeなんで仕方ありませんん。(笑)

当時のオリジナルはこっちです。

という事で、当初アップしていた井上孝之とのアコスティックバージョンが削除されてしまいましたので・・・修正しました。(^。^;)

▼1983年1月・・・

ユーコ
「ユーちゃんいつの間にヒロミのパパとあんなに仲良くなったの?(笑)」

オレ
「いつの間にって、オレとリョーさんは男同士だから(笑)」

ユーコ
「ヒロミも不思議がってたわ。高校の時なんか男の子の電話にお父さんが出ると、怒鳴って電話切るってヒロミ嘆いたたのに・・・ユーちゃんとはまるで友達同士みたいに話してるって」

オレ
「ははは^^あの顔で怒鳴ったら迫力あるだろうなー」

ユーコ
「でも私すっごい嬉しかった。ユーちゃんがママと真美連れて来てくれて」

オレ
「そっか^^」

ユーコ
「ヒロミのママとパパが来た時、正直淋しかったから」

「だからママの顔見た時、つい泣いちゃった(笑)」

「ママもユーちゃんにとっても感謝してた^^」

それぞれの家族が帰ったのは正月3日の日だった。すっかりと両方の家族と打解けて楽しい日々を過ごした。そしてリョーさん。ヒロミの親父さんには・・・夜親父さんだけを誘って、ダウンタウンにある高級パーラーに一緒に行った。始めは少し抵抗感があったようだが・・・2度目にはすっかりその気になってふたりで遊んだ。そんな事もあって、ヒロミの親父は安心したのかも知れない。

1月も第2週になるとそれぞれの学校が始まった。

オレは休み期間中の課題として、日本で行った「ファッション・ショーの演出について」というレポートを出した。2カメスイッチャーで撮影されたビデオとスチル写真を添えて提出したところ・・・1年の中での最高点を貰った。

キャッシー
「はーい!ヒロ^^最高点おめでとう」

ジミー
「いいよなーヒロは^^ベーカー教授のお気に入りだぜ!」

ジェシカ
「あのビデオ見せまくってるみたいよ^^」

オレ
「ははは^^ビデオ見せてあの教授はその間居眠りしてるんだろう(笑)」

ジミー
「あははは^^そーに違いない(笑)」

キャッシー
「来週は、パントマイムの発表よ!みんな練習してる?」

ジミー
「オリジナリティーが求められるからなー皆隠れて練習してるんだろう?」

ジェシカ
「ヒロは特訓してる?」

オレ
「さーどうかな?(笑)」

演劇論のベーカー教授についている学生は13人だった。生粋のニューヨーカーで長い間、ブロードウエイで演出を手がけていた実戦派の教授だった。オレとはうまが合いまた歌うのが好き!と言う事でよく教授のアパートでオレがギターを弾いてカラオケ・パーティーをしていた。

オレは18歳の俳優の卵たちと一緒に、新しい世界を楽しんでいた。

▼1月15日・・・mar'sOffice

夕食・・・

ショーコ
「横山君も今月末で帰国予定よね?」

オレ
「うん。不動産部門が忙しくて前田が悲鳴を上げてるから」

紗也乃
「そっかーまた淋しくなっちゃうね」

オレ
「その替わりに2名新しい人間が来ることになってる」

遠山
「ほーそれは楽しみだなー^^」

オレは久々のカレーをお替りした。トン汁の味も申し分なかった。これなら立派にメニューになると思った。

オレ
「ひとりは23歳の女でギャラクシーで2年間バイトしてた。昨年大学を卒業して就職せずにうちに居たんだが、こっちの仕事をしたいという事で理恵の許可が降りたそうだ。もちろん英語は話せる即戦力らしい」

ショーコ
「その子はじゃー「ヤマシロ」へ?」

オレ
「うん。そのつもりだけどショーコが当面管理してくれ」

ショーコ
「・・・ええ」

遠山
「もうひとりはやっぱり男?」

オレ
「そう^^ミナミの「満楽」で4年修行をしたこれも22歳の若手だ」

紗也乃
「じゃーそのまま「マンガク」へ入れるわね^^」

オレ
「うん。田川にマネージャーをやってもらおうと思ってる」

「それと観光ビザでやってきて他所で働いてた日本人2人が新しく入ってくる。これは田川の推薦なんで大丈夫だとは思うけど(笑)」

紗也乃
「そう^^じゃーここも忙しくなりそうね^^」

食事が終わり、後片付けをして後、ショーコが「話がある」と言った。オレもちょうど「ヤマシロ」の件で伝えたいことがあったので、ショーコの部屋に行った。

オレはソファに座った。ショーコは珍しくブランデーセットを持って来た。オレは学生を始めてから、あまり家の中では飲まないようにしていたが・・・

オレ
「なんかいい事があったのか?^^」

ショーコ
「うん。実は来週からフランスへ行ってもいいかなー?」

オレ
「フランス?それは?」

ショーコはブランデーの水割りをつくりオレの前に置いた。

ショーコ
「うん。向こうでチェロの勉強を・・・」

オレ
「そーか何かチャンスがあったんだな?^^」

ショーコ
「プロポーズされたの・・・」

オレ
「えっ」

ショーコは話始めた。昨年の12月の始めに来店したフランス人。弦楽四重奏を聞いてそれから毎日のように店に来た。クリスマスをショーコはそいつと一緒に過ごして・・・1週間前にプロポーズされた。

相手の年齢は52歳。フランスの富豪で独身。ショーコをフランスへ連れて帰ってチェロの才能を伸ばしたい。と言ったという。

オレ
「・・・」

ショーコ
「ピエールのプロポーズ受けようと思ってるの」

オレ
「そっか」

ショーコ
「賛成してくれる?」

オレ
「ああ」

「そーだ。明日パントマイムのテストなんだ」

「ちょっと練習してくる・・・」

オレは立ち上がり部屋を出ようとした。ショーコは後ろからオレに抱き付いてきた。

ショーコ
「ユーイチ。何か言ってよ!!!」

オレ
「・・・なんて言えばいいんだ?」

ショーコ
「愛してるわユーイチ」

オレは振り返って立ったままショーコを抱きしめた。口の中を噛んだ。必死で泣き出しそうになるのをこらえた。

オレ
「ああ。オレも・・・」

言葉がそれ以上出なかった。オレはもう1度ショーコを強く抱きしめて、その匂いをいっぱい嗅いだ。

オレ
「明日。また話そう・・・」

オレはショーコから離れてショーコの部屋を出て行った。頭の中が真っ白になった。オレはクルマに乗ってダウンタウンに向かった。そしてバーボンを買って安ホテルに入り、呷るように飲んで・・・いつの間にか眠った。

翌日以降、オレはショーコとの接触を避けた。彼女がOfficeに現れるとオレは何かしら理由をつけてすぐに出て行った。

オレは体調不良を理由にパントマイムのテストを受けなかった。翌週、−10点を覚悟でテストを再度受けることになった。ジムに行き筋トレを始めた。夜は図書館で過ごしていた。

数日後・・・

mar'sBLGブライトン・カフェ

横山
「昨日、本橋から電話がありました」

オレ
「ん?」

横山
「本橋、香ちゃんのところへしょっちゅう行ってくれているみたいです。結婚して家が近くなったって言ってました」

オレ
「そっか^^本橋と香はこっちでも仲が良かったもんな」

横山
「はい^^ムーさんに香ちゃんの事は私に任せて安心するように伝えてくれって言ってました」

オレ
「本橋も強くなったもんだ(笑)」

横山
「そーですね^^」

オレはクリームだけのアメリカンコーヒーを口にした。

横山
「ところで・・・何があったんです?ショーコさんと」

オレ
「あいつ・・・来週フランスへ行くんだ。チェロを極めるために留学する事になった」

横山
「それでですか・・・」

オレ
「ショーコが何か言ってたか?」

横山
「いえ。何も、ただひどく塞ぎこんでいるようでしたから」

オレ
「ちょっとケンカしたんだ。後で謝りに行ってくるよ(笑)」

横山
「オレ、3月ぐらいまで居ましょうか?」

オレ
「いや、前田がもう限界のようだから戻って応援してやってくれ」

横山
「わかりました」

横山が居てくれたらオレはすごく楽だったが、これ以上有能な人間をここに置いておくわけにはいかなかった。

オレ
「今日は「ヤマシロ」に弦楽四重奏が入る予定だよな?」

横山
「ええ」

オレ
「オレも店にでるから」

横山
「はい」

▼18時・・・「ヤマシロ」

オレはシャワーを浴び、しっかりと整髪をしてスーツ姿で店に出た。すでに店は満席状態だった。オレは店内の一番奥の壁際に立っていた。すぐにショーコ達は現れた。そして演奏を始めた。

5曲やって終わった。

店内を見渡した。すぐにピエールという紳士を見つけた。彼は女性と二人で来ていた。オレは席に近づいて、挨拶をした。

オレ
「ようこそいらっしゃいませ!ムトーと申します」

ピエール
「おお^^あなたがミスター・ムトーか!ショーコから話は聞いている」

「あっこちらは、チェリストの・・・」

ピエールは立ち上がり、隣の妙齢の女性を紹介し、オレは席に座るように言われ着席した。そして、ピエールはショーコをフランスへ招待している事をオレに伝えた。プロポーズしていることは言わなかった。

ショーコがやってきて挨拶した。ショーコもその席に座った。4人でフランスでのクラシック音楽の話をした。最もオレはただ聞いているだけで話しているのはピエールだけだった。

ピエール
「という事でショーコはムトーの承認がないと行けないと言ってるんだが、承認してもらえないだろうか?」

オレ
「はい。喜んで^^」

ピエール
「おお^^それは良かった。ありがとう」

ショーコ
「・・・ユーイチ」

それを確かめるとピエールはショーコに念を押し、軽く抱擁をして店を出て行った。

ショーコ
「着替えるから待ってて」

オレ
「待て!そのピアスは付けたままで・・・」

ショーコ
「うん」

オレはショーコをダッヂに乗せてロックフェラーセンターへ行った。そして三つ星レストランに入った。

オレ
「最後の晩餐だ(笑)」

ショーコ
「違うわ」

オレ
「ショーコのチェロは素晴らしい^^きっとフランスで有名チェリストになるだろうなー」

ショーコ
「だったらいいけど」

ワインをテイストしてオレは頷いた。そしてグラスに注がれたそれを持ってグラスを合わせた。

ショーコ
「ねーこう思ってくれない?」

「私もユーイチも旅の途中でしょう?」

「私はこれからフランスの旅に出る。でも少しユーイチと離れるだけよ」

「私はいつまでもあなたを・・・」

そう言いかけてショーコは横を向き、窓の外の摩天楼を見て黙った。

オレ
「たかがフランスだ。1年に1度ぐらいはこうしてメシ食おうぜ^^」

ショーコ
「そう。たかがフランスよ・・・」

オレ
「わかっているだろうけど、無理するな?つらくなったらいつでも帰って来い(笑)」

ショーコ
「うん。。。」

こうしてショーコと2度目の別れが来た。それはいつかやって来る事は分っていた。もしかしたらオレはそれに耐えられないかも知れないと言う不安は、スカイ・マンションの1110号でふたりだけで暮らした時にすでに感じていた。

あの2週間が・・・オレたちにとって一番良かった頃かも知れない。

翌日、ショーコは身の回りのモノだけをトランク・ケースとに入れてmar'sBLGを出た。2、3日ホテル暮らしをしてそのまま出発すると言った。オレは見送らなかった。

オレは皆には「ショーコはフランスの著名なチェリストに師事する為にフランスへ行った」とだけ伝えた。

▼2月・・・

ニューヨークに雪が降り積もりあちこちで渋滞やら事故が発生した。そんな時に横山と入れ替わるように日本から新しいメンバーがやってきた。

オレ
「ご苦労さま^^大変だったろう」

田川
「いやー小さな事故がいっぱい発生しているようで、渋滞で大変でした」

「あっ日本から来た・・・」


「三浦智子と申します。どうぞよろしくお願いします」


「片平哲夫です。よろしくお願いします」

オレ
「ムトーユーイチです。こちらこそよろしく^^」

彼らを大きなテーブルの方へ案内してそこに掛けてもらった。紗也乃は熱い珈琲を淹れて彼らの前に置いた。

紗也乃
「紗也乃です^^みんなからはママと呼ばれてるわ^^よろしくねっ!」

田川は以前横山が作成した。mar'sNew YorkManualを配布してニューヨーク生活に慣れるための心構えを説明した。そしてその後、彼らをそれぞれの部屋に案内した。

田川と岩崎が住んで居た4階の2LDKから田川が同じく4階のオレと横山がすんでいたところに横山の帰国を待って移動してきた。岩崎に片平の面倒を見させることにした。

三浦には5階の1LDKの部屋を与えた。

翌日から三浦は「ヤマシロ」に出て、片平は「マンガク」のカウンターに入った。

オレは授業をサボることもなく真面目に学校へ行っていた。夕方からは「ヤマシロ」に出て三浦を教育していた。

2月の中旬から後半にかけて日本からの来客も多かった。横山が戻った事でようやく前田がやってきた。一般の観光などはそこそこで、毎夜のように一緒にNew York中の高級パーラーに行き、金髪女とやりまくった。それだけで前田は満足して帰って行った。

そして後半には「理沙」が来た。オレはショーコとの別れを癒すかのように理沙に甘えた。

そして2月はあっと言う間に終わった。

▼3月・・・

紗也乃
「お替りは?^^」

オレ
「ごめん。もういいお腹いっぱい(笑)」

紗也乃
「そう・・・ユーちゃん。大丈夫?」

オレ
「えっ?何が?」

紗也乃
「ううん」

遠山が一時帰国した。備前以外の土を送ってもらう交渉の為に2週間の予定で日本に戻った。オレとママのふたりだけの夕食だった。

紗也乃
「もうすぐ1年になるわね^^」

オレ
「なんだかんだと言いながらあっとゆー間だったなー(笑)」

紗也乃
「そーね^^今月はいよいよユーコちゃん達も帰国でしょう?」

オレ
「うん。ようやく解放されるかと思ったらほっとするよ」

ママは珈琲を淹れてオレの前に出した。オレはフレッシュ・ミルクだけを入れた。

オレ
「最初は、オレと田川だけでこっちに来るはずだったのに^^」

紗也乃
「そーね。3ヶ月で1人前にしてくれ!って「満楽」で言って大将に怒られて(笑)私たちとも運命的な出会いだったわね」

オレ
「それがいつの間にか大人数で行く事になりアパートじゃ間に合わなくてこのビルを買った」

紗也乃
「そう思えば、その時はわからなかったけど、ユーちゃん。人間関係が大変だったでしょうねー」

オレ
「でもまーコレで全部終わるから」

そう。本来はミナミのハーレムから逃げ出すつもりでNY行きを思いついた。それが結局過去を引きずったままこのNYへやってきた。そしてその複雑な人間関係がmar'sBLGと言うひとつのビルの中に凝縮されてしまったため、オレのすべてがそこで表面化してしまった。

外泊すればキョーコ&沙耶のところへ行ったのがバレる。誰かの部屋で朝まで過ごせばそれはすぐに誰かにバレる。時にオレは居た堪れない精神状態に追い込まれる事があった。

現にそれを慎むために未だに紗也乃ママとすら何もなかった。

紗也乃
「そー言えばタカコちゃん。ボーイ・フレンドが出来たみたいよ」

オレ
「へっ?四方に彼氏が?(笑)」

紗也乃
「この間来た時に言ってたわ^^なんでも同じ日本人留学生で企業から派遣されているとか?同じ年らしくて、よく食事なんか行ってるみたいよ」

オレ
「へーじゃー本橋みたいに留学が終わったら帰国して結婚なんて事になるのかなー?」

紗也乃
「さーそれはどうかしら(笑)タカコちゃんはこっちでずっとやっていきたいみたいだから」

オレ
「ふーん^^」

オレも来月になったら新しい出会いを求めて積極的に活動しよう。NY生活はまだまだ始まったばかりなのだから

▼3月15日・・・10時mar'sOffice

オレ
「片平はどうだ?」

田川
「えーしっかりしててフットワークが良くて研究熱心で言う事なし!です^^」

オレ
「そっか誰かよりマシか?」

田川
「ははは^^大きな声では言えませんが」

オレ
「じゃー何か考えろ」

田川
「えっ?」

岩崎はこっちへ来てから人が変ったようにしっかりと仕事をしてトラブルも起していない。もっとも英語がわからないのでトラブルの起しようもなかったのだが・・・1年が経ち語学学校にも通って、ようやく日常会話なら問題ないぐらいの語学力がついてきていた。

そして新しい人間も入って来た。次にする事は自ずとわかるはずだと思った。

田川
「何か・・・ですか」

オレ
「(笑)マンガク2をそろそろ計画してもいいじゃないか?」

田川
「あっ!そーゆー事でしたか・・・すみません。ボンクラで(^。^;)」

オレ
「お前はこれから大変だぞー何しろ横山の代わりをやるはめになったんだから(笑)」

田川
「はいっ!横山さんからも『よろしく頼む』って言われてますから」

オレ
「マンガクを出店したときの横山が作ったスケジュール表なんかを見て、まず何から手をつけるか自分なりの計画表をつくるんだ。できたら見せてくれ」

田川
「はい^^」

田川は元々ミナミでMary's 1号店をやり、そして北のJury'sの責任者をやった経験がある。それがこっちへ来て言葉の問題があったことで、すっかりそれらの経験を無駄にしてしまっていたようだ。本来は仕事も荒っぽい事も出来るタイプなのでこれからはビシビシやって行こうと思った。

オレ
「明日LAに行ってくる1週間ぐらいで帰ってくるから」

田川
「LAですか?サンフランシスコじゃなくて?」

オレ
「うん。ちょっと友人の顔を見に言ってくる(笑)」

田川
「じゃー明日空港まで送ります」

オレ
「いや大丈夫だ。イエローキャブで行く方が手っ取り早いから」

翌日・・・

ケネディー空港から飛行機で約5時間、ロス空港に到着した。しかし・・・時差が3時間、オレの頭の中は混乱した。そして空港を出てレンタカーを借りて市内に入った。

リトル・トーキョーで和菓子や子供用品、そしてバラの花束を作ってもらい地図を見ながら走った。ビバリーヒルズを抜けR14を北上してLake LAへ・・・途中で給油で立ち寄ったGSで電話を入れて道を確認した。

Lake LAを2周半してようやくたどり着いた家

ドアをノックして日本語で叫んだ。すぐにドアが開いた。

オレ
「よっ!わざわざNYからやってきたぞ(笑)」

由紀
「ユーイチ♪合いたかったー(笑)」

オレは由紀と抱き合いながら部屋の中へ・・・

オレ
「おっとちょっと待ってくれ!」

玄関先の脇に置いたバラの花束を由紀に渡した。

由紀
「うわーーーありがとう^^」

とりあえずリビングに案内された。由紀は冷たい麦茶を用意してくれた。

オレ
「それにしてもこっちは暖かいなー^^」

由紀
「年中これだからそう感じないけどNYはまだ寒い?」

オレ
「あー3月だというのにまだコートが必要だったりする」

赤ん坊の泣き声がした。

由紀
「あっちょっと待ってね^^」

由紀はリビングを出て行った。暫くすると小さな赤ん坊を抱いて現れた。そしてその隣に由紀のハズバンドのキタロー氏が仙人のような様相で入ってきた。

オレ
「どーも^^ご無沙汰してます。」


「いやー遠いところをよく来てくれました」

穏やかな笑みを浮かべてキタロー氏は挨拶した。由紀はソファの向かいに赤ん坊を抱えて座った。隣にキタロー氏も座った。

由紀
「龍二よ^^まだ3ヶ月なんだけど(笑)」

オレは立ち上がって由紀の傍へ近づいてそいつを除きこんだ。まだ猿顔でそいつがイイオトコなのか判別がつかなかった。

オレ
「うん。元気そうないい子だ^^」

由紀
「そーいえばユーイチのところも男の子だったよね?」

オレ
「あーーーうん。もう2歳になってゴンタざかりだそうだ(笑)」

由紀
「そう^^」

オレ
「あっクルマの中におみやげを置いてきた(^。^;)ちょっととって来るよ」

オレは玄関を出てレンタカーの後部座席に置いた買い物袋と全部取り出した。そして家の中に戻った。

赤ん坊用のおもちゃと服、そして関連する用品が入った袋を渡した。

由紀
「あはっ!こんなに?(笑)」

オレ
「いや人里離れたところに住んでるって言うから、あれば便利かなーって買ってきた^^」


「いやーほんとその通りで買い物行くにもなかなか(^。^;)ベビーシッターも遠いから敬遠されて大変なんですよ」

由紀
「ほんと大変なのよ^^ありがとう助かるわ」

暫く3人で雑談した後、キタローさんは作曲の途中だからと言って自分の部屋に戻って行った。夕食は3人で食べようと言っていた。ちょっと変った人だった。

由紀
「もうひとつ湖の反対側にロフトみたいなところがあって、普段彼はそこに住んでるの」

オレ
「ふーん」

由紀
「だから今日は泊まって行ってね^^」

オレ
「うん。世話になる(笑)」

由紀は哺乳瓶でミルクを与えた後、また赤ん坊を寝かせに行った。部屋のインテリアは古き良きアメリカを彷彿させるカントリースタイルのデザインのようだった。

由紀
「龍二の意味は知ってるわよね?」

オレ
「ん?」

由紀
「龍一じゃない訳・・・(笑)」

オレ
「ああ。そうだったな。」

由紀は一度堕胎している。オレが病院に付き合った。もう7年も前の事だった。オレは話題を変えた。

オレ
「おばさんは?」

由紀
「残念ながら未だ隆二を見てないわ」

オレ
「そっか。見せに帰る予定は?」

由紀
「何も決めてないの・・・決まってるのは、そろそろダメだって事だけ」

オレ
「えっ?」

由紀
「今日もあなたが来るからあの人わざわざ湖の向こうからやってきたの(笑)」

オレ
「あらら・・・」

由紀
「ねーユーイチ。NYへ連れて行ってくれない?」

オレ
「どういう事だ?」

由紀
「ちょうどいい機会だからこのままもうこの家出ちゃう」

オレ
「話し合いは?」

由紀
「たぶん出て行くと言ったら、「そう」で終わってしまうわ」

オレ
「・・・」

由紀
「ダメ?」

オレ
「オッケーわかった」

夕食は仲良く由紀とキタロー氏が一緒につくっていた。そしてオレは客としてそれを見守っていた。時折泣き出す赤ん坊を抱きながら・・・

夕食も音楽の話や、湖で釣れる魚の事や、ネイティブ・インデアンの話など・・・取りとめのない話だった。そして明日朝から湖で釣りをする事を約束させられた。

キタロー氏はさっそくその用意をすると言って、夕食が終わると湖の向こうの家に戻って行った。

オレはゲストルームに案内された。由紀はふいにオレに抱き付いてキスをした。オレは由紀の乳を揉んだ。

オレ
「キスは大好きなんだ」

由紀
「胸もでしょう?」

オレ
「ああ」

由紀
「もっと^^」

由紀は再びキスをしてきた。オレは由紀の舌を吸ってまた乳を揉んだ。由紀はオレを押し倒すようにベッドに倒れこんだ。オレは由紀の股間を弄り、由紀を抱いた。

そして2度由紀をいかせた。

翌日早くにキタロー氏はやってきて、オレはジーンズにシャツ、ヤンキースのウインドブレーカーを羽織って小さなローボートに乗った。湖の周りをゆっくりと周り、キャスティングしてはリールを巻いた。

キタロー氏のロッドがしなる。

キタロー
「来たっ!よし!乗った」

ロッドは左右に揺れるロッドを立ててはリールを巻く。水面を魚が跳ねた。そのまま手繰り寄せて、魚を掴んでオレに見せた。

キタロー
「ブラック・バスだ^^なかなか太ってる^^」

キタロー氏はそう言うとソレを湖に放した。オレはキタロー氏のレクチャーを受けて、同じようにロッドにアクションを与えリールを巻いた。

ボートで少し移動する。

1時間ほどそうしていた。ふいにリールを巻くオレのロッドにガツンと言う衝撃があった。オレは1テンポまってからロッドを強くしゃくるように合わせた。その瞬間大きな重量がかかったように湖の中を走りだす。

キタロー氏のアドバイスを受けオレはロッドを立ててゆっくりとリールを巻き手繰り寄せた。

大きな口・・・そこに指を突っ込んで持つらしいが、オレはしなかった。キタロー氏が変わりにそれをやってフックをはずしオレに見せた。

キタロー
「うん。こいつもいい形だ。40オーバーだな^^」

そう言ってまたソレを湖に戻した。

2時間ほどそうやっていたが、結局1匹づづかかっただけで終わった。家に戻りその事を由紀に話した。

由紀
「ねーユーイチにNYへ連れて行ってもらおうと思ってるの」

キタロー
「NYか^^君にはそこがいいかも知れないな」

由紀
「うん。ミュージカルでも観てくるわ^^」

キタロー
「じゃー気をつけて^^」

そう言ってキタロー氏はオレたちに手を振って家を出て行った。クルマの発進する音が聞こえてきた。

オレは由紀と龍二を連れて・・・NYへ戻った。

▼mar'sOffice

由紀
「へーここがユーイチの事務所なのね^^」

オレ
「紹介するよ^^紗也乃ママとうちのスタッフの田川」

「こちらはオレの古い友人の由紀ちゃん」

それぞれが自己紹介のように挨拶をして、大きなテーブルの前に座った。紗也乃ママは珈琲を入れて、オレたちの前に出した。

すでに5階の1LDKの部屋を与えて、ボストンバックを入れた。それ以外に必要なものはこっちですべて調達するつもりのようだった。

オレ
「ママ。龍二をちょっと頼めるかな?泣いたら抱くと泣き止む」

由紀
「すみません。ちょっと買い物に出てすぐに戻ってきますので」

紗也乃
「私も経験がないのでよくわからないんですけど、どうぞゆっくりして来て下さい」

オレは5番街に由紀を連れて行った。由紀はそこでびっくりするぐらい服や靴を買った。何度も駐車場へ戻りその荷物をダッチに積み込んだ。日用品も同じように大量に買っては駐車場へそれを運んだ。

そしてカフェに入った。

由紀
「あーーーすっきりした^^」

オレ
「ははは^^買い物でストレス発散は昔からだな」

由紀
「付き合ってくれてありがとう^^」

オレ
「どーいたまして(笑)」

由紀
「さすがにNYね^^LAののんびりしたムードと違って、なんか活気があるわ」

オレ
「せまいけどあの部屋で良かったら気が済むまで居てくれていいから」

由紀
「ほんと?^^いいの?」

オレ
「あーしっかりNYを楽しめばいい」

由紀
「ありがとうユーイチ^^」

オレたちはmar'sBLGに戻った。玄関の前にダッヂを停めて、何度も往復して荷物を運びこんだ。オレは由紀にドア・マンのカールを紹介した。カールは愛想よく由紀に挨拶をした。

Officeに戻ると紗也乃ママは夕食の準備をしていた。由紀は紗也乃に龍二を預かってもらっていた礼をいいさっき買ってきたスイーツをおみやげとして紗也乃ママに渡していた。

買ってきたベビーソファを組み立ててそこに龍二を寝かせた。

オレは由紀を1Fに案内した。遠山を紹介してショップと工房を見学させた。

由紀
「ねーもしかしてこのビル自体、ユーイチのモノなの?」

オレ
「うん。(笑)」

由紀
「へーやるわねー(笑)」

オレ
「明日は店の方に案内するよ」

由紀
「うん。楽しみにしとく^^」

オレたちはOfficeに上がり、4人で食事をした。メニューはビフカツ♪デミグラソースが用意されていたが、オレはウスターソースをかけて食った。すべての食器は遠山とオレが焼いたモノだった。

由紀はその器に盛ったビフカツとキャベツの千切り、そして味噌汁など里中チーフ直伝の和食を食って大変満足していた。

9時を過ぎたあたりで由紀と龍二は部屋へ戻った。オレは由紀の部屋まで一緒に上がって、内線電話と外線の使い方を説明した。

由紀
「紗也乃ママは・・・やっぱりユーイチの?」

オレ
「んーーーまーそんなとこ(笑)」

由紀
「相変わらず年上が好きなのね!でもキレイな人^^」

オレ
「あははは^^じゃーおやすみ♪」

オレは軽く由紀にキスをして部屋を出た。

翌日からオレは昼間は大学へ行き、夕方に戻ってくると由紀を連れて夜のニューヨークを案内しながら一緒に遊んだ。紗也乃ママに預けっぱなしは悪いと言って由紀はベビーシッターを頼んでいた。

▼3月28日・・・

オレ
「やっぱりキャンパスの優雅な大学はいいなー^^」

ユーコ
「そう?私は街中がキャンパスのようなニューヨーク大学の方がよかったわ(笑)」

オレ
「ははは^^それももう終わりだな」

ユーコ
「・・・」

コロンビア大学の構内のオープン・カフェここは映画「卒業」のロケ地として使われたことでも有名な場所だった。

ユーコ
「ねーユーちゃん。相談があるんだけど・・・」

オレ
「ダメだ(笑)」

ユーコ
「まだ何も言ってないでしょ!」

オレ
「4月の第2週ですべてのプログラムが終わる。そしたら帰国だ」

ユーコ
「その後の事なんだけど」

オレ
「ん?」

ユーコ
「実は上級コースを申込んだの」

「帰ってママにもう1年勉強させて!って言うつもりなの」

オレ
「なんだとっ!」

ユーコ
「ユーちゃん。私もう子供じゃないわ」

「こっちへ来て色んな事を経験して勉強もした」

「ユーちゃんの周りからやっと女の人が居なくなってこれからって言う時に帰らないといけないなんて嫌」

「私もう日本の大学生活なんかしたくないし、2年もユーちゃんが帰ってくるの待ってられない」

「もうダメなの・・・」

オレ
「・・・」

オレはコーヒーカップを口にした。予想していた通りの展開になってしまった。

オレ
「今の日本の大学はどうするんだ?」

ユーコ
「辞める」

オレ
「ママは絶対許可しないだろうな・・・」

ユーコ
「だったら大学辞めて、こっちで働く」

オレ
「簡単に働くっていってもピザが降りなければ無理だ」

「それよりユーコ。今言ったよな?もう子供じゃないし、色んな事を経験して勉強もした。って」

「その上で「夢」はないのか?なりたいモノは?」

ユーコ
「・・・ある」

オレ
「何だ?教えてくれ」

ユーコ
「ユーちゃんの・・・お嫁さん」

オレ
「・・・」

「でもそれは今じゃなくてもいつでもなれるだろう?」

「今しか出来ないこと、どうしても今やっておきたい事ってないか?」

「小さい頃なりたかった職業とかなかったか?」

ユーコ
「子供の頃は・・・スチュワーデス」

オレ
「うん。そうだいいぞ!ユーコに似合ってる!それを目指そう^^」

ユーコ
「でも・・・」

オレ
「ユーコがスチュワーデスになる為の応援ならいくらでもするぞ!」

「いいかユーコよく聞いてくれ」

「オレはお前を遠ざけようなんてこれっぽちも思っていない」

「だけど、オレは我侭だし、まだまだやってみたい事もたくさんある」

「ユーコにもそうあって欲しいと思ってるだけだ」

ユーコ
「ユーちゃんは自立している女性が好きなのね」

オレ
「まーそういう事かな?」

ユーコ
「わかった。ちょっと考えてみる」

オレ
「うん」

ユーコ
「ユーちゃん。私の事好き?」

オレ
「ああ。食べてしまいたいぐらい大好きだ」

ユーコ
「いつか・・・お嫁さんにしてくれる?」

オレ
「ああ。オレがもう少しちゃんと出来るようになったらユーコを嫁さんに欲しいと思ってる」

ユーコ
「本当に?」

オレ
「本当だっ!」

ユーコ
「ユーちゃん。うわーーーんっ」

オレはユーコの傍らにイスを寄せた。ユーコの方を抱いた。ユーコは少し何かを感じてくれたのかも知れない。無邪気に笑ったり泣いたり・・・オレは本当にこの子が大好きだ。ただずっと一緒には居てやれない。ひとりで淋しい思いをして待ってる。と思っただけでオレは耐えられない。この子はそういうタイプではない。もっと自由にもっと奔放に自分の夢を追いかけて欲しいと、そうあって欲しいと心から願ってる。

オレはユーコを連れてmar'sBLGに戻った。由紀に引き合わせた。そしてその日はユーコをロフトに泊めた。

▼4月・・・

ユーコとヒロミの送別会をした。そして第2週の月曜日、オレは空港まで彼女らを見送った。ユーコは涙を隠しヒロミは泣いた。8ヶ月に渡るコロンビア大学ALIを無事修了してニューヨークを去った。

mar'sOffice

由紀
「十分ニューヨークを楽しんだわ^^そろそろ帰る」

オレ
「そう?^^LAに帰るのか?」

由紀
「ううん。神戸によ!」

オレ
「そっか」

由紀
「ユーイチは?」

オレ
「そーだな一緒に帰ろうか?」

由紀
「ほんとに?嬉しい(笑)」

由紀の子供を見ていると何故か帰りたくなった。1月に玲子が女の子を出産したのを聞いていた。それにやっぱり香の事が気になっていたしタイミングもいいと思った。

翌朝すぐに航空券を手配してケネディー空港から成田に向かう飛行機に乗り込んだ。9時間余りで到着した。そして羽田に移動してホテルにチェックインし、翌朝に大阪伊丹空港に到着した。

そしてタクシーで神戸、灘区に・・・玄関前で一緒に降りて家に入った。

由紀は子供を抱いて先に、オレは由紀の荷物をタクシーから降ろすと、後は家に詰めている男たちが運ぶこんだ。

応接室・・・

オレがそこに入るとすでにおばさんが子供を抱いて大騒ぎしていた。


「ムトー君。アメリカからわざわざ由紀とこの子のを連れて来てくれて、ありがとうねー^^」

オレ
「いえ、ちょうどタイミングがあったものですから」

由紀
「この子じゃなくて「龍二」よ^^」


「あーそうだった。(笑)」

オレ
「あははは^^大きな声で泣く元気な男の子ですよ」


「そう^^赤ちゃんはしっかり泣くのが仕事だからねー」

男が膝をついてソファの前のテーブルにお茶を置いて下がった。

オレは茶碗の蓋を開けてさっそくそれを一口飲んだ。

オレ
「あー旨いっ!」

由紀
「ほんと美味しいほっとするわー」


「向こうは日本茶売ってないの?」

由紀
「探せばあるんだろうけど、探してまで買わないから(笑)」

オレ
「麦茶とかは買うんですけどね^^」


「そーだ。お腹減ってるでしょう?」

オレ
「はい(笑)」

由紀
「私はいいわ」


「じゃーちょっと龍二は待っててね。そうだ、龍二は母乳?」

由紀
「ううん。ミルクよまだいい」


「そう。じゃームトー君のごはん用意してくるわね」

オレ
「すみません^^」

おばさんは応接室を出て台所に向かった。採光のいい広い応接室・・・普段はここで最高幹部会議などが開かれているはずだった。

今はプライベート空間として使っているため誰も呼ばない限り入ってこない。暫くするとトレーに乗せられた食事がオレの前に置かれた。丼のように大きなお碗に入った大盛りのご飯。焼き魚、卵焼き、味噌汁、漬物。オレはご飯をお替りして出されたモノを残さず食った。

オレ
「ごちそうさまでした」


「あの仙人とムトー君は釣りをしたんだって?」

オレ
「ええ。家の前に大きな湖があって、手漕ぎのボートに乗ってルアーで釣るんですけど、結構面白かったですよ(笑)」


「ルアー?何が釣れるの?鯉かなにか?」

オレ
「ルアーって言うのは疑似餌で小さな魚の模型みたいなものです。それで・・・」

オレは釣りの話をしながら、LAの自然環境の話をして、NYとは気候が全然違うところだと説明した。

由紀
「ユーイチの居るNYはそれはもう華やかですっごく楽しいの^^」


「そう^^ニューヨーク♪映画でしか知らないけれどミュージカルとかが有名なところね」

由紀
「うん。ユーイチに連れて行ってもらったわ^^いっぱい買い物も出来たし」


「きっと我侭いってさんざんムトー君をひっぱりまわしてたんでしょう」

オレ
「あははは^^その通りです(笑)」

男が入って来た。どこかで買ってきたのか赤ん坊用の小さなゆりかごを持って来た。おばさんは抱いていた龍二をそこへ寝かせた。そして小さな毛布を持ってくるように指示していた。

オレ
「じゃーオレはそろそろ^^」

由紀
「後で電話してね^^」


「こっちへは暫く居る?」

オレ
「はい1週間ぐらいは」


「じゃーまた来て?」

オレ
「はい^^」

オレはボストン・バックを一つ持っていつもの駐車場へ続く出入り口から出た。黒塗りのベンツが泊まっていた。そしてそのクルマの前に「梅木」が立っていた。

梅木
「お帰りなさい。ムーさん^^」

オレ
「ひっさしぶり^^ウメちゃんも元気そうだな」

オレたちはベンツの後部座席に乗り込んだ。ゆっくりと走る車内の中で、いくつかの話を聞いた。そして山手幹線と十二間道路が交差する交差点でオレは降りた。

歩いて北西へ向かった。

オートロックの表示板。305号室のボタンを押した。


「はい」

オレ
「ムトーです」


「ユーちゃん?すぐに降りるから^^」

玲子がEVから出てくるのが見えた。そしてマンション入り口のドアを開けた。オレは玲子に近づき軽く抱擁をした。

玲子
「びっくりしたわー(笑)」

オレ
「ははは^^いつもの事さ(笑)」

部屋に上がってリビングに行った。裕人がおもちゃを出して遊んでいた。オレは裕人に近づいた。

オレ
「ただいまー^^裕人」

裕人
「あっユーちゃん^^」

オレ
「うん。裕人は元気にしてたか?」

裕人
「うん」

オレ
「妹が出来て良かったなー」

裕人
「うん。」

オレは裕人の頭を撫でて立ち上がった。

玲子
「見る?^^」

オレ
「うん」

オレはリビングの手前の部屋に案内された。ベビーベッドが端っこに置かれて居た。玲子はその前に立った。オレもその横にたった。それまで一緒だった龍二と変らない猿顔の赤ん坊・・・裕美(ひろみ)がそこに居た。眠っていた。

オレ
「こいつが裕美か^^」

玲子
「おかーさまが命名してくださったの」

オレ
「そう(笑)」

玲子
「毎日のように来てくださるのよ」

オレ
「面倒ばっかりかけてるんだろうな」

玲子
「ううん。とっても助かってる^^」

オレたちは部屋を出てリビングへ戻った。

玲子
「ビールそれとも珈琲?」

オレ
「珈琲を」

オレは裕人が一人で遊んでるのを見ていた。

玲子
「暫く居れるの?」

オレ
「1週間ほど・・・バタバタするけどな」

玲子は珈琲をオレの前に置いた。オレはフレッシュ・ミルクだけを入れてそれを口にした。

オレは最近のニューヨークの話をした。そして夏前に一度来るように言った。

玲子
「裕美はその頃には6ヶ月ね。飛行機大丈夫かなー?」

オレ
「あー全然問題ない」

玲子
「おかーさまとおとーさまは?」

オレ
「今回はパスだな。次の機会にまた誘う」

玲子
「はい」

ここへは昨年の12月に帰国した時に初めて立ち寄った。そして今回が2回目だった。玲子と裕人、そして裕美を傍に置いて夕食を食った。自分が育った街に今こうして自分の本当の家族が居る。

これで目の前にオフクロやオヤジが居たら・・・どんな気分だろう?警察を退職したオヤジ、もうオレとの争点はないかも知れない。一緒に酒を飲んで何か話が出来るだろうか?

オレは裕人と裕美をを風呂に入れた。玲子はそいつらを受け取り寝かしつけた。

オレは風呂から上がりビールを片手にテラスに出てみた。低層階だが見晴らしは良かった。ゆるい夜景が見えた。

▼翌日・・・9時、珈琲館「ミッシェル」

家の前の道路を10メートルほど東に行くと十二間道路と交差する角にその店はある。ここにも10代頃・・・宏枝と付き合っていた時によく来た。駐車場にはすでに白のクラウンが停まっていた。

店に入ると窓際のテーブルに横山は居た。

横山
「おかえりなさい^^」

オレ
「うん。予定にはなかったんだけどな!ちょっとあって」

横山
「はい^^」

オレ
「裕美だってさ(笑)」

横山
「きっと美人になりますよ^^」

オレ
「ははは・・・」

マスターが注文をとりに来た。オレはブレンド珈琲を頼んだ。マスターはオレの顔を見て微笑んだ。

オレ
「ここの珈琲飲むの・・・8年ぶりぐらいです」

マスター
「もうそんなになりますか?^^時々お見えになりますよ」

オレ
「ん?宏枝が?」

マスター
「はい^^」

オレ
「オレはニューヨークで学生してるって言っといて下さい(笑)」

マスター
「そうですか(笑)」

マスターは頷いてカウンターの方へ戻って行った。オレはあらためて店内を見渡した。もしかしたらその当時からの常連がまだ居るかも知れないと思ったが・・・居ないようだった。

横山
「この街は、ムーさんの街ですよね」

オレ
「アルファやあおやまに連れて行けない女とここでよく待ち合わせをしたんだ。放送学科の入試の時に一緒に来た女だ(笑)」

横山
「そーなんだ(笑)」

オレ
「ユーコたちは何か言ってたかな?」

横山
「ユーコちゃんもヒロミちゃんも無事に帰ってきました(笑)でもよくユーコちゃんは素直に帰ってきたな?と思いましたけど」

オレ
「うん^^わりとスムーズに問題なく帰国を承知したんだ」

横山
「へーそうなんですか!で・・・どんな条件で?」

オレ
「親を説得して本格留学する!って」

横山
「あらら・・・それはまた大変でしょう?」

オレ
「(笑)」

若い女の子が珈琲を持って来た。オレはフレッシュ・ミルクだけを入れた。

横山
「業務の方は毎月ファックスで送っている通り、特に問題はありません」

「相変わらず不動産が好調です」

「ママ達も元気です^^」

オレ
「そっか。変わりないのが何よりだ」

横山
「(笑)」

ドアの開いたときに知らせるドアについているガラス細工のいい音が聞こえた。オレはゆっくりと振り返った。女が入って来た。オレは立ち上がった。

本橋
「ムーさん^^」

オレは両手を広げた。本橋が飛びついてきた。オレたちは抱き合った。本橋の匂いがした。

オレ
「うん。元気そうだな」

本橋
「ムーさんも^^」

気が付くと周りの客が注目していた。オレは全然ヘーキだった。すでにNYでのスタイルが身に付いてしまっていた。そういう意味では本橋も同じようだった。オレは本橋の珈琲を頼んだ。

オレ
「香がずいぶん世話になってるようで、ありがとう^^」

本橋
「いいえ。いつも家に遊びに行ってるだけで何もしてませんから(笑)香ちゃん元気ですよ^^」

オレ
「そっか」

本橋
「ニューヨークの方はどうです?^^」

オレ
「ギャラクシーからひとり即戦力の女子が送られてきたけど、残ってくれているのは、紗也乃ママだけになっちまった。もっともむさ苦しい男たちは居るけどな」

本橋
「あーまた行きたいなー紗也乃ママや皆に会いたい^^」

横山
「うん。オレも行きたい(笑)」

オレ
「ははは^^いつでも大歓迎するぞ」

本橋の珈琲が運ばれてきた。彼女も同じようにフレッシュ・ミルクだけを入れた。

オレ
「そーだ。本橋、今からお前が行くからちょっと出れないか?と香に電話してくれないか?」

本橋
「はい。いいですけど」

オレ
「お前は行かなくて、代わりにオレが行って驚かせてやる!どうだ」

横山
「あははは^^それは香ちゃんびっくりするだろうなー(笑)」

本橋
「わかりました早速!^^」

本橋は立ち上がって店の店の入り口の近くにあるピンク電話の方へ行った。

横山
「じゃークラウン。表に停めてますから、オレは本橋ともう少し居てから東洋ビルに戻ります(笑)」

オレ
「おう^^スマンな。」

オレは本橋に確認した後、「ミッシェル」を出た。そして横山が乗ってきたクラウンに乗って灘区、赤坂通りの香の自宅へ行った。少し離れた公園の脇にクルマを停めて歩いた。

門柱のところのインターフォンを押した。


「はい」

オレ
「本橋です」


「・・・えっ」

オレはそれ以上話さなかった。本橋と名乗る男の声に不信を感じている様子だった。それでも玄関のドアは開いた。


「あーーーユーちゃん!!!」

オレ
「あははは^^ちょっと帰ってきた(笑)」


「ユーちゃん。。。」

びっくりしたのか?ひざしぶりの為か、香はオレに抱き付いて泣き出した。オレは香を軽く抱いて背中を撫でていた。

オレ
「家に上がっていいか?」


「あっごめん。あがって」

オレ
「うん」

オレは家の中に入った。1階の奥の部屋、居間になっている和室に入った。オレは正座して座った。

オレ
「ご無沙汰しております」

オレは軽く頭を下げた。


「まームトーさん。玄関で大きな声がしたからもしかしたらと思いました(笑)」

オレ
「あははは^^いつも騒々しくてすみません(笑)」


「香がさんざんお世話になっていながらご挨拶もできないままで、すみませんでした」

オレ
「いいえ。おかーさんが大変な時にこちらこそ申し訳ありませんでした」


「とんでもない。ムトーさんには主人も口にはしませんが、感謝してるんですよ」

オレ
「お父さんもお元気で?」


「はい。相変わらず元気です(笑)」

一通り香の家族の近況を聞いた後、オレと香は外に出た。クラウンに乗って西へ走って神戸、中突堤にあるポート・タワーに上がった。最上階の展望カフェに入った。円形の外側が窓になっていて緩やかに回る。神戸港から神戸の街並みまでよく見える。ここからの夜景も素晴らしかった。

オレ
「どうだ?香、大丈夫か?」


「うん。時々挫けそうになるけど、百合ちゃんが来てくれるから^^」

オレ
「そっか。さっき本橋とも会った。あいつもよくやってくれてるようでお礼を言っておいた」


「うん。いつもユーちゃんの事を教えてくれるわ」

オレ
「うん^^」

横山と本橋は大学の同級だ。お互い苗字を呼び捨てにする関係だった。オレの情報は横山から本橋にそして香に流れているようだった。

珈琲が運ばれてきた。香はオレの珈琲にフレッシュ・ミルクだけを入れてオレの前に出した。

オレ
「おかーさんも元気そうで安心した」


「うん。普段はもうなんともないんだけど、毎日血圧を計って数値が高いと気をつけるようにしてるの」

オレ
「モデルの仕事の方はどうだ?」


「それも石原さんがしっかりと入れてくれるから大丈夫よ」

オレ
「そっか^^」

オレは珈琲を口にした。NYで飲むコーヒーより日本の方が濃い。海側よりもここから見る山側の景色の方が面白い。


「でも・・・」

オレ
「ん?」


「もう長期間は家を開けられそうにないの・・・」

オレ
「そっか」


「ユーちゃん。待ってていい?」

オレ
「うん」


「楽しかったなーニューヨーク♪ずっと居たかった」

「ユーちゃんが居て、みんなが居て・・・」

「必死で英語の授業受けて、お店を手伝って」

「教会でユーちゃんと結婚式の撮影もして」

香は窓の外の神戸の街並みを見ながらしみじみとそう言った。

オレ
「大変だったけど・・・楽しかったな!(笑)」


「うん^^」

オレ
「あと2年半NYに居るけど、その先は未だ何も考えていない」

「まだまだ楽しい事はこれからもいっぱいあるさ!」

「旅の途中だからな(笑)次は何処へ行きたい?」


「連れてってくれるの?」

オレ
「ああ。香の行きたいところへ行こう」


「いつかオキナワに行きたい!ユーちゃんが「海の男」してる姿見たい」

オレ
「おう^^まかせとけー(笑)」

あれほどの障害を乗り越えてようやくニューヨーク行きを果たしたというのに・・・自分ではなくて家族の健康問題で家から離れられなくなった。そしてニューヨークの生活を懐かしむ香。どこか諦めの気持ちがあるように思えた。

オレは香を今すぐにでもオキナワへ連れて行ってやりたかった。

珈琲を飲んだ後、オレは香と三宮のラブ・ホテルへ行った。そして何度も何度も香とセックスをして香をいかせた。香は声を上げてすすり泣きオレの名を呼びしがみ付いた。

そしてオレはミナミに戻った。

▼18時・・・スカイ・マンション1110号室

インターフォンを鳴らして鍵を使い入った。リビングに入る・・・定期的に掃除が行われているようだが、見た目には何も変っていない。

オレは廊下に出た。一番手前の部屋に入った。

セミ・ダブルのベッド。ドレッサー、その他の家具などがそのままになっている。ショーコが豊中の家を処分した時、子供も頃からあった自分の部屋の物を入れた。入りきれないものは今も倉庫に保管してある。

ワード・ローブを開けてみた。懐かしい見たことのあるショーコの服が並んでいた。そしてショーコの匂いがした。ドレッサーの上の写真立て!何処で撮った写真だろう?オレとショーコが並んで写っていた。そうだコレはショーコとふたりで備前・岡山へ行った時の写真だった。オレはそれを持って部屋を出て自室に入った。

壁際のライティング・デスクを開いて、そこにその写真を飾った。今にもドアが開いて「お帰りなさい^^」と言って珈琲を持ったショーコが現れるんじゃないか?と思った。。。

オレは何本かの電話をした。ワード・ローブから着替えをボストンに詰め込んだ。そしてすぐに部屋を出た。タクシーを拾って大阪駅に行きスーパー雷鳥に乗った。

3時間後、金沢駅の改札出口で間島は待っていた。間島の運転する車に乗って40分・・・1年前に来た。山中温泉の豪華な旅館に到着した。オレは部屋に案内された。

和室のテーブルの前に座った。まだ部屋は暖房が入っていた。部屋付きの仲居さんがお茶を持って入って来た。間島はそれを受け取った。

間島
「疲れたでしょう?どうぞ先に露天風呂へでも^^」

オレ
「おう^^じゃー先に入ってくる」

間島は奥の部屋から浴衣に丹前、タオルを用意してくれた。オレはその場で服を脱いでパンツだけになった。間島は浴衣を着せてくれた。そして露天風呂のところまで案内して貰った。

3月も中旬を過ぎたと言うのにこの辺りはまだ寒い。オレは露天風呂に入った。手足を伸ばして屈伸させ足の指先まで手を使い軽く押えた。

NYに露天風呂はない。久しぶりの温泉だった。去年の今頃・・・ここへ来た時の事が思い出された。

部屋に戻ると、間島は和服に着替えていた。そしてテーブルには豪華な食事の用意が揃っていた。

オレは向かい合うようにテーブルの前に座った。間島はビールを持ったオレはグラスを持ち前に出した。間島はビールを注いだ。オレは一気にそれを半分ほど飲んだ。旨かった。

オレ
「昨日帰国して、本橋に聞いた」

間島
「内緒にしておいてって言ったのに(笑)」

オレ
「あいつが隠し事なんて出来るはずないだろう(笑)」

間島
「仕方ないわねー^^」

間島はオレのグラスにビールを注いだ。オレは料理に箸をつけた。

オレ
「明日にでもお前の両親にもお詫びと挨拶をしたいと思うんだけど」

間島
「父は組合の寄り合いで東京へ行ってるの。母はいつでもいいけど、でも本当に会う?(笑)」

オレ
「どうして?」

間島
「ううん。じゃー会って^^」

オレ
「あっ!その前に、子供に会えるか?」

間島
「こっちに連れて来ているけど・・・」

オレ
「ん?」

間島
「せっかく来てくれたのに、ここに連れて来ていい?」

オレ
「もちろん。その為に来たんだから」

間島
「私もここでいい?」

オレ
「おう。3人でここで寝よう^^」

間島
「はい^^」

遠慮がちに言う間島・・・それはオレを客として迎え歓待しようと思う気持ちからか?それとも・・・

食事を済ませると間島は仲居を呼び、テーブルを片付けさせた。そして自分も部屋を出て行った。

暫くすると、間島は戻って来た。胸に赤ん坊を抱いているようだった。オレの傍へ座った。

間島
「ひろみです。3ヶ月になります」

オレ
「裕美か?」

間島
「はい^^私がつけました」

オレ
「ひとみがオレの子を産んで、その子がひろみ!か一字違いだな(笑)」

間島
「はい^^血液型は、私とあなたと同じB型です(笑)」

オレ
「ふむ。どっちに似ても大変だ^^」

間島
「そーですね^^」

間島が赤ん坊を抱きながらオレに話す言葉は、それはもう男と女、夫婦のような話し方に聞こえた。これまでは何があってもオレは間島と苗字で呼び後輩扱いをしていた。そして間島もオレの事をムーさんと呼び、先輩扱いの関係だったが・・・

オレ
「ひとみ・・・良かったのかな?」

間島
「もちろんです。大きな夢がかなったんですから^^」

オレ
「そっか」

間島
「すみません。ちょっと抱いててもらえますか」

オレ
「うん」

間島はオレに裕美を預けた。裕美は眠っている。間島は奥の部屋へ入り布団を敷いているようだった。間島は裕美を受け取り、奥の部屋に寝かせた。

オレも奥の部屋に入った。間島を抱き寄せてキスをした。間島の舌強く吸った。

間島はその場で自分から裸になった。オレも素っ裸になり布団に入って間島を抱いた。1年ぶりのセックスだった。

翌朝・・・

オレは露天風呂へ行き、朝風呂を浴びた。少しもやがかかっていたが生垣の向こうには庭園が広がっていた。

朝食をとった後・・・女将がやってきた。

「失礼いたします」

部屋の外から声がかかった。間島は小さな声で「女将です。私の母です」とオレに言った。

和服姿の女将が部屋に入って来た。

女将
「遠いところを、ようこそお越し頂きありがとうございます」

「当旅館の女将「間島さなえ」でございます。どうぞよろしくお願いいたします」

そう言って間島のおかーさんは軽く手をついて頭を下げた。その挨拶は一般の客にするのと同じなのだろうとオレは思った。

オレは座布団を外して、女将の間に出て正座した。

オレ
「ムトーユーイチ。いえ、ヒロカズと申します。」

「本来であればもっと早くにお目にかかってお詫びしなければならないところを、遅くなってしまってすみません」

オレは膝に手を置いたまま頭を深く下げて暫くそうしていた。そして頭を上げた。間島の母親はしっかり正対してオレの目を見た。

オレ
「間島にはつらい思いをさせて・・・申し訳なく思ってます」

オレは再び頭を下げた。

女将
「ムトーさん。どーぞ手を上げてください^^」

「こちらこそこんな元気な跡取りを授けてもらって家族一同感謝しています」

「どうぞご安心下さい。裕美は間島の家の子として、また跡取りとしてしっかりと育てさせて頂きますので、何卒ご了解下さいませ」

オレ
「・・・はぁ〜」

女将
「ひとみは多くは語らないんですが・・・あなたを見てよくわかりました」

「これからはここはご自分の家だと思っていつでも自由に使って下さいね」

「ひとみをよろしくお願いいたします」

そう言って間島の母親はまた深く礼をした。そして間島から赤ん坊を受け取って、部屋を出て行った。

暫く沈黙が続いた。

間島
「どうやら母もあなたを気に入ったようだわ」

オレ
「まさか・・・」

間島
「良かった^^」

オレ
「怒ってないのかな?」

間島
「どうして?」

オレ
「お前は未婚の母だろう?」

間島
「あはっ!そんな事(笑)それより女の子を産んで立派に役目を果たした事の方が大きいのよ」

オレ
「・・・」

間島
「ごめんなさい勝手な事言って。裕美は・・・家で育てていい?」

オレ
「ああ。きっとそれが裕美の持って生まれた運命なんだろうし、それが一番いいんだと思う。なんか無責任な言い方だけどな」

間島は姿勢を正してオレの方へ向き直った。

間島
「ありがとうございます。あなたの子としてしっかりと育てますから見ていてください」

そこに居る和服を着た美人は・・・本当にあの間島か?とオレは不思議な気持ちになって見ていた。

オレ
「NYの事聞いてるか?」

間島
「はい^^本橋と横山君からしっかり聞いてます」

オレ
「そっか(笑)」

間島
「なんか・・・悔しかった」

オレ
「ん?」

間島
「本橋がいつの間にかすっかりあなたの理解者になっていて(笑)」

オレ
「あははは^^でもエッチはしてないぞ!キスはしたけど」

間島
「当然です!本橋はちょっと残念がってましたけど」

オレ
「んーオレもほんと言うと1度ぐらいはしたかった(笑)」

間島
「(笑)」

オレ
「本橋が結婚してうまくやってるって聞いて斉藤もしみじみ喜んでたそうだ」

間島
「みんなムトーマジックのおかげだって浜田さんも喜んでました(笑)」

オレはビールを飲んだ。旨いビールだった。間島がまた注いでくれた。

間島
「私も行ってもいいですか?」

オレ
「もちろんだ。いつ来る?」

間島
「来月あたり・・・1週間ぐらいならなんとか」

オレ
「おう^^ニューヨーク大学、芸術学部、演劇学科1年のオレがニューヨークを案内してやる(笑)」

間島
「はい^^」

旅館を出て周辺をドライブした。間島は束の間の時間を楽しんでいる様子だった。裕美を育て家業を継ぎいずれ裕美も・・・そんな運命を当たり前のように受け入れている間島をちょっと可哀そうに思え、いつかオレはここへ戻ってきてやりたいと思った。

外で昼食をとった後、駅まで送って貰いオレは大阪へ戻った。


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