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さよならいとしのBaby Blues


「さよならいとしのBaby Blues」鈴木雅之

個人的には、この曲が一番彼らしい代表曲かなーと(笑)


84年9月・・・

学校が始まった。最終学年の4年となり新しいクラス編成になった。残念ながらジェシーとは別のクラスになった。ケリーとは一緒だったので、今後もダンスチームは彼の主導の元、いろんなイベントシーンで披露する機会がありそうだった。

ケリー
「よーヒロ!相変わらず夏休みは忙しかったのか?」

オレ
「ああ。短期のNYツアーでやってくるのが多いから」

ビル
「でもこの夏はLAの方が人気だったんじゃないか?」

オレ
「うちは芸術系が多いからやっぱりNYに人気が集中するんだ」

ケリー
「ヒロもトーゲーやってて、うちのオフクロも喜んでたよ」

ビル
「ドーゲーってあの焼き物の?」

ビル
「ああ。ヒロにBIZENを貰ってすっかりファンになっちまったようだ(笑)」

以前ケリーの親父のパーティーでギターを弾いて「カラオケ」やった。そして「マクベス」のプラチナチケットを取ってもらった。そのお礼もあってケリーのオフクロにオレが焼いたBIZENの大皿をプレゼントした。どうやらそれが気に入っているようだった。

ケリー
「次のパーティーもライリー教授が楽しみにしてるようだぜヒロ!」

ビル
「うん。お前が頑張ってくれるとオレたちも助かる^^」

オレ
「オッケー任せておけ!なんなら教授に新曲のリクエストでも聞いておいてくれ(笑)」

新学年が始まり、メインの演劇論の教授がプライベートで行うパーティーにクラスの学生も招待される。ライリー教授はすっかりカラオケファンになっていて、よくパーティーにオレは呼ばれていた。

本館のカフェでそんな事を話していると、ジェシーとルイージが前を通りがかった。仲良く腕を組んでいる。

ジェシー
「はーい♪ヒロ!」

オレ
「よー^^調子はどう?」

ジェシー
「絶好調よ(笑)あなたは?」

オレ
「うん。オレはさっぱりだ(笑)」

彼女は笑いながら通り過ぎていった。微妙な意味を知っているケリーはその事を話題にしなかったが

ビル
「ヒロ。お前ジェシーと付き合っていなかったか?」

オレ
「いや、仲のいい友達だけど付き合ってはいない」

ビル
「そうだったのか」

ケリー
「さてと、オレはそろそろ行くよ!ちょっとサボってたからまたトレーニングの開始だ」

オレ
「ビル。お前もサボらずにしっかりとフィットネスやれよ(笑)」

ケリー
「ビルは運動よりも先にカロリー制限をした方が良さそうだ」

ビル
「ああわかってるよ」

オレたちはカフェを出てそれぞれそこで別れた。オレは駐車場へ行き、ハーレーに乗ってmar'sBLGに帰った。

15時半・・・mar'sOffice

紗也乃と刈谷に声をかけてからオレはロフトに上がった。4年のプログラム。来年5月までのスケジュールを手帳のリフィルに書き写した。

ドアがノックされた。「どうぞ」オレが声をかけると刈谷がお茶を持って入って来た。

オレ
「ありがとう^^」

刈谷
「お疲れ様でした^^」

オレ
「とうとう4年だ(笑)」

刈谷
「ムーさんはよく勉強してましたもんね。来年の卒業が楽しみです」

オレ
「そっかー?(笑)お気楽な学生生活がずっと続けばいいのにな」

刈谷
「もしかして、何処かの大学院にでも?」

オレ
「あははは^^演劇学科だからなーつぶしは利かないから」

オレは刈谷が持って来た冷たいウーロン茶を口にした。

刈谷
「さっき書店から電話があって「本」が届きましたって言ってました」

「買い物のついでに受け取ってきましょうか?」

オレ
「そう。じゃー頼む^^相当量あるから市橋も連れて行って」」

刈谷
「はい^^近代美術全集だとか?」

オレ
「うん。急遽表面だけでもなぞっておかないといけない事態が発生した(笑)」

刈谷
「ムーさんは勉強家ですもんね(笑)やっぱりパリに刺激されたんでしょうか?」

オレ
「フランス語も勉強するぞ(笑)」

刈谷
「うわーやっぱり本気なんだ!卒業したらすぐに?」

オレ
「貧乏画家のまねことでもしようかな?^^」

刈谷
「ムーさんが?貧乏画家?」

オレ
「ダメか?」

刈谷
「ベレー帽はちょっと(笑)」

オレ
「そっか(笑)」

明後日からまたパリへ出張だ。とは言えなかった。刈谷は浜田から1年間の約束で預かっている。その期限が12月だった。そういう意味ではその先の話をしても仕方がない。例え本人が12月以降もここへ残りたいとしても浜田が居ない今その話はできない。

今月には佐和子がやってくる。そうなるとまたややこしくなる。きっと刈谷はそれで諦めるだろう。オレはそう思っていた。

そしてパリに居るショーコ。

オレは我慢できずにショーコに電話をかけて会った。元気な様子を確かめて、一緒にメシを食うだけで良かった。

ところがショーコはオレに何かをやらせようとしている。パリの画商をオレに紹介し「遠山」を売り出すプランを提案した。ショーコはそれをオレに勧めている。芸術家のパトロン。芸術をビジネスに変える。それだけではないような気がしていた。

ショーコとの新しい関係が始まろうとしている。オレはもしかしたらそれに何かを期待しているのか?自分でもよくわからなかった。

▼9月17日・・・サーフォーク「工房」

遠山
「それは構いませんが、何か計画があるんですか?」

オレ
「うん。遠山象山の「大物」を美術品愛好家に注目させるイベントを考えているんだ」

遠山
「イベントですか?」

オレ
「それはこっちで勝手にやるから特に何かをしてもらう必要はないから」

遠山
「はい。オレはこれまで通りの活動を続けていればいいんですね?」

オレ
「うん」

昨日、パリの画商から電話があった。「NYの画商の友人に連絡を入れてあるからすぐに動いた方がいい」という内容だった。オレはその日の内に、アッパーウエストの高級アパートへ行った。

遠山の新しいプロフィールを持ってその男と会った。アパートの1室がOfficeになっている。窓の外にはセントラルパークが広がる眺めのいいところだった。


「やーよく来てくれた!ハリー・ウエストだ。ハリーと読んでくれ^^」

オレ
「ども^^ムトーユーイチです。みんなはムトーと呼びます」


「さっそくだがムトー、パリのムラキから『トーヤマ』の事は聞いた」

「ボク自信以前から彼に興味を持っていた」

「NY1のニュースにもなった「登り窯」そしてこれまでの陶芸にないあの「大物」作品。非常に面白いと思ってたんだ」

オレ
「そーでしたか^^」


「アレはムトー、君のプロデュースかい?」

オレ
「えーたまたま偶然「登り窯」が区から使用禁止命令が出て、あたふたしながらなんとか認めてもらおうと思って(笑)」


「うん。私も「陶器」はいくつか見てきたが、「器」ではあまりにも独創性に乏しいと思ってたが、トーヤマの作品。アレはいい」

「そこでこの秋に行われるザザビーズのオークションに出店して、やりとりをしようと思うが・・・準備はできるかな?」

オレ
「具体的にはどんな準備でしょう?」


「筋書きはこうだ」

「ザザビーズの会員であるボクが出品する」

「5人が手を上げる。

「3人が途中で降りる」

「残った2人、LAの愛好家とパリの愛好家が競り合う」

「100万ドルでパリの愛好家が競り落とす」

「どうかな?」

オレ
「それらを行う為に必要な経費と成功報酬をボクが用意するという事ですね」


「そうだ。総額で300万ドルはかかる」

オレ
「100万ドルで落札するのに300万ドルかかるのですか?」


「そこがザザビーズの特殊性なんだ」

「途中で降りた3人の金額、最後で下りたひとりの金額、落札しなくてこれらは全部ザザビーズに入るんだ」

オレ
「えっ?落札していないのに、提示した金額を支払わなければならないんですか?」


「そういうルールなんだ。だから不正がある程度妨げられる(笑)」

「明日、返事をくれ!」

「それからこの約束に契約書はない」

「口約束がすべてだ。」

オレ
「わかりました。じゃー電話でいいですか?」


「うん。よく考えて返事をしてくれ」

オレ
「はい」

オレは村木氏に電話を入れ、会った事を伝えた。そして翌日返事をすると伝えた。村木氏は「どうする?」とは聞かなかった。

サーフォークの工房を出て、オレは刈谷とmar'sBLGに戻った。そしてロフトに上がった。刈谷はそのまま冷たいお茶を持って一緒に入って来た。

オレ
「今夜のエール・フランスでちょっとパリに行ってくる」

刈谷
「ちょっとパリですか?^^」

オレ
「日曜には帰ってくるから」

刈谷
「ずいぶん慌しいんですね」

オレ
「うん。フランス語の授業があるんだ(笑)」

刈谷
「あはっ^^もしかして新しい・・・」

オレ
「ん?」

刈谷
「いえ。気をつけて行って来て下さい(笑)」

新しい恋人でもできたのか?とジョークを飛ばそうとして止めたのか?オレの場合、それがジョークにならないからか?どっちにしても時間があれば、ジョエルと遊ぼうと思っていた。

オレは今朝ハリーに電話を入れた。そしてそれをやることにした。ハリーはその仕事の事を「ドラゴン」と名付けた。話は前後して、パリの村木氏から連絡があった後、ショーコから電話があった。「家に来てピエールと一緒に食事をして」と言うリクエストだった。オレは質問はせずに日程を週末に合わせて貰った。

▼9月19日・・・土曜

ピエール
「71年の赤だ。この年のボルドーの夏は暑かった」

オレはワインの薀蓄を聞きながら、ソレを飲んでいた。確かにいいワインなのだろうが、オレにはただの赤ワインにしか思えなかった。オレは黙って聞いていた。

ピエール
「話はショーコから聞いた」

「その若さで本気で芸術をビジネスにしようと思っているのかね?」

オレ
「はい。そのつもりです」

ピエール
「君はNYUで演劇を専攻していると聞いたが、芝居もプロデュースするつもりなのか?」

オレ
「ボクは日本人なので、自己演出の能力をアップするために演劇を勉強しています」

「コミュニケーション能力を高めて、ワールド・ワイドにビジネスが出来るように勉強中です(笑)」

ピエール
「なるほど」

ショーコの自宅の食堂。大きなテーブルの正面にピエールが座り、その隣にショーコが座っている。ワインで軽くカンパイした後、給仕が料理を運んできた。

ピエール
「ヤマシロは今やニューヨーカーにも評判の店で流行ってるそうじゃないか」」

オレ
「はい。ヤマシロは2店舗になりました」

ピエール
「確かに料理も芸術と言えば芸術だが・・・いきなり次ぎは「トーヤマ」かね?」

オレ
「はい。たまたまそうなりました(笑)」

ピエール
「ショーコがずいぶん無理を言ったようだな?」

オレ
「いえ。そうでもありません。ボクがやってみたかっただけです」

ピエール
「・・・」

無になって相手の目を見て話す。表情はあえて作る。香でも読むことは出来ない。ピエールの目にわずかに猜疑の気持ちが表れた。

オレ
「トーヤマはショーコが見つけて、ボクとショーコがムキになって一流にしようと思った人間です」

「これはボクの責任でやり遂げたいと思ってます」

ピエール
「君はショーコを愛しているか?」

オレ
「愛してますよ」

ピエール
「じゃー何故あの時手放した?」

オレ
「ボクは彼女の望みを適えてやる事ができませんでした」

「あなたはショーコに音楽環境を与え」

「自身の嫁として迎えました」

ピエール
「それでショーコの希望「トーヤマ」を君がなんとかしようとしているのか?」

オレ
「それはボクの希望でもありますから」

ショーコは食事の手を停めてこっちを凝視しながら黙って聞いていた。オレがこの間最初にショーコに会った時に感じた違和感の正体がわかったような気がした。

ピエール
「いいだろう。よくわかった(笑)」

その後は食事をしながら一般的なパリの芸術の話になった。ピエールは村木がオレと同じ名前の日本人の芸術家を育てようとしていると言った。オレはそいつを知らなかった。

ピエールは客室を用意しているから泊まるように言ったが、オレはそれを断りタクシーを手配してもらってホテルに戻った。

翌日、朝1番で村木氏がホテルに訪ねてきた。オレは村木氏とホテルのカフェに行った。珈琲を2つ頼んだ。

村木
「こっちの人間とは朝1番に仕事の話はしないんですけどね」

「同じ日本人と言う事で「善は急げ」という事でやってきました」

オレ
「何かいい事がありました?」

村木
「プロジェクト「ドラゴン」の保証をピエール氏が受けてくれました」

オレ
「保証ですか?」

村木
「はいこれで正式にスタートします」

ウエイターが珈琲を運んできた。オレはフレッシュミルクだけを入れた。ウエイターが立ち去るのを待った。

オレ
「保証とは一体?」

村木
「ムトーさんがプロジェクト費用の用意ができなくなった場合の保証です」

オレ
「必要ありません。なんなら日本円で3億でも4億でも供託しますよ」

村木
「・・・」

オレ
「最初からピエール氏にご面倒をおかけするつもりはありませんから」

村木
「ムトーさん。これは単にお金だけの問題ではなくて、ピエール氏の保証を受けられるムトーさん個人の信用が評価されるとご理解下さい」

オレ
「元々、金だけではこのプロジェクトは成り立たなかったと言う事ですか?」

村木
「いえ。「ドラゴン」は成功するでしょう。それだけで終わらせないようにする為には、今回のピエール氏の「保証」は大きいのです」

オレは珈琲を口にした。別にオレは不機嫌ではなかったが・・・

村木氏、50代ぐらいだろうと思うが、態度にこそ表さないがショーコがオレを紹介した時から、たぶんオレをみくびっているのだろう。

オレ
「村木さんはこっちでもうずいぶん長いんでしょう?」

村木
「いえ。まだ20年ぐらいです」

オレ
「そーですか」

「要するにシロートの若造はコケたくなければ黙って金だけだせ!」

「と言う事ですね(笑)」

村木
「何しろ初回ですから」

オレ
「わかりました^^」

それから細部の説明を受けて30分ほどで村木氏と別れた。オレはもう1度部屋に戻った。

結局昨夜はショーコとは挨拶を交わしただけで、ほとんど話はしなかった。部屋の電話が鳴った。受話器をとるとフランス語が流れてきた。オレは英語で返事をした。相手は英語に切り替えて、電話が入っている事をオレに伝えて、すぐに切り替わった。

ショーコ
「おはよう^^朝1番でかけたんだけど不在だったから心配したわ」

オレ
「村木氏が来てちょっと打合せをしてた」

ショーコ
「そう。良かった。じゃー私もそっちに行くから待ってて」

オレ
「わかった」

ショーコはそれだけ言うと電話を切った。オレはラークに火をつけた。昨夜のピエール氏との話を思い出していた。ショーコの前で余計な事を言いすぎた気がしたが、あの場合はああ言うしかなかった。

中途半端な時間を部屋で過ごしてショーコを待った。昼前にショーコはやってきた。ホテルを出てふたりで歩いた。ショーコは何処かのレストランに案内するつもりのようだった。

オレ
「最近は馬のウンチじゃやくて犬のウンチが多いんだな」

ショーコ
「そーなのよ^^足元気をつけないととんでもない事になるのよ(笑)」

オレ
「その為のハイ・ヒールなんだからいいじゃないか(笑)」

ショーコ
「きっとユーイチは言うんでしょう?」

「あーウンチ踏んだっ!きったねーって(笑)」

オレ
「あははは^^」

ショーコに案内されてフレンチ・レストランに入った。料理はショーコに任せた。ショーコは当たり前のようにワインも注文した。

オレ
「あのでかい家に二人だけか?」

ショーコ
「奉公人が数人居るけど・・・基本的には二人ね」

オレ
「もう慣れたのか?」

ショーコ
「(笑)」

オレ
「何だよ」

ショーコ
「ううん」

ギャルソンが持って来たワインに納得し、それがグラスに注がれた。オレたちは軽くグラスを合わせた。オレはそれに口をつけた。

ゆったりとした席で店内は広い。アールデコっぽいデザインは古さを感じさせないように工夫されていた。流行っているようだった。若い男の二人組も入ってきた。

ショーコ
「プロジェクト「ドラゴン」なんかスパイ映画っぽいけど、成功させてね^^」

オレ
「オレは金だけ出してりゃいいんだって」

ショーコ
「そう。でもユーイチだからそうなったのよ」

前菜が運ばれてきた。オレは早速それに手をつけた。

ショーコ
「楽しみね^^ザザビーズ私も会場に入れる手配してもらう」

オレ
「そう」

ショーコ
「その後の事、考えてる?」

オレ
「何も・・・」

ショーコ
「こっちで個展をやろうよ^^ユーイチもパリの拠点が必要よね?」

オレ
「オレはまだ学生だし4年だから、そうサボってばかり居られない」

ショーコ
「今回みたいに週末をこっちで過ごすようにすれば?」

オレ
「そーだな」

ショーコ
「じゃーいいアパート探しておくわ^^」

ショーコはご機嫌な様子だった。オレはそういうショーコを見ていると少し安心したが、態度はその逆で面白くなさそうにした。ショーコは見抜いているのか居ないのか、そんなオレの態度にお構いなしだった。

オレ
「それにしても・・・こんな話になるとは思わなかったな」

ショーコ
「そーね^^でもワクワクする」

オレ
「そう?」

ショーコ
「まだまだ先は長いけど、ユーイチと私の夢を実現するのよ!」

オレ
「オレが望んだ夢はどうなった?」

ショーコ
「えっ?」

オレ
「ショーコが交響楽団のチェリストになる!っていう夢だ」

ショーコ
「せいぜいアマチュアレベルよ!^^それで良ければいつか(笑)」

オレは食事を続けた。ショーコはあまり食べていない。

オレ
「食欲ないのか?」

ショーコ
「ううん。実を言うと・・・胸がいっぱいなの」

オレ
「朝飯に胸焼けするものでも食ったんだろう(笑)」

ショーコ
「アホっ!(笑)」

オレは食事を終えた。水を口にしてからワインを飲み干した。

オレ
「ごちそうさま。さてとそろそろ飛行機の時間だ」

ショーコ
「ユーイチ。私、何年あなたを見てると思うの?^^」

「そんなウソは通用しません(笑)」

オレ
「一応言ってみただけさ(笑)」

ショーコ
「こっちのランチはもっとゆっくりでいいのよ^^」

「もう少し食べる?」

オレ
「いやいい」

「なーショーコ・・・」

ショーコ
「なぁ〜に?」

オレ
「今日はどうもおねーさんっぽいな(笑)」

ショーコ
「あははは^^そう?」

「きっとすごく嬉しいからだと思う」

オレ
「じゃーおねーさんエッチしてくれるか?」

ショーコ
「残念だけどそれは・・・ダメ」

オレ
「残念だよショーコ」

ショーコ
「いじめないでよ^^」

ショーコが淋しそうに笑ったような気がした。ショーコはオレが勝てないと思っている。まーいい。もう始まってしまったのだから、今更後へは引けない。

オレ
「じゃーまたなっ!先に出る。ゴチになっていいか?」

ショーコ
「うん」

オレは店を出てホテルに戻った。ロビーから電話をした。日本食レストランが多いオルセー通りのカフェで待ち合わせをした。オレはホテルのドア・ボーイにチップを渡してタクシーを回してもらった。

1時間ぐらいは待つことになるだろうと思っていたが、ジョエルはその半分の時間でやってきた。

ジョエル
「待った?」

オレ
「いやそーでもない。ここから通りを眺めていても楽しいから」

ジョエル
「ここまで来れるのならアパートに直接来ればいいのに(笑)」

オレ
「ははは^^ジョエル。食事は?」

ジョエル
「もう済ませたわヒロは?」

オレ
「オレも済ませてきた。商談もあったし」

ジョエル
「そう^^じゃーアパートへ」

オレたちは腕を組んで歩いた。10分ぐらいでジョエルのアパートへ着いた。友人は今日は居ないようだった。

ジョエルの仕事部屋に入った。そこには大きなベッドと2人用のテーブルセット。シンプルなデザインでその為だけの部屋のようだった。

オレたちは軽くキスをした。オレはジョエルの乳を揉んだ。ジョエルは笑いながら服を脱ぎ始めた。オレは暫くそれを見ていた。線の細い感じがするが、乳はそれなりに大きくスタイルがいい。下腹部の毛は栗毛でどちらかというと少ない。

オレも裸になってベッドに入った。キスをして乳を口に含み片方の手で揉んだ。ジョエルの手はオレのモノを掴み緩くしごき始める。ジョエルの股間に手を入れて割れ目をさぐって撫でた。

頃合を見計らってオレはジョエルに乗り挿入した。ジョエルは声を上げオレの動きに合わせてゆっくりと腰を使った。そして徐々にスピードを上げてジョエルの穴の奥を責め立てた。

ジョエルは大きな声を上げていった。

オレはジョエルの体からゆっくりと降りた。ジョエルは追いかけるようにオレのモノを口にした。そして指と口を使い。最後は指だけでオレをいかせた。そしてティッシュを使ってオレのモノをきれいにした。

ジョエルは部屋を出て行った。すぐに戻って来て冷たいエビアンをオレに渡した。

ジョエル
「ひさしぶりにいかされちゃったわ^^」

オレ
「それは嬉しいなー^^」

ジョエル
「今月から外に出てないの。常連さんとだけなのよ」

オレ
「そうなんだ。ジョエルは人気者だからその方がいいかもな」

「じゃーショバ代もヤクザに払わないでいいんだ?」

ジョエル
「ううん。それは同じよ(笑)逆に高くなったわ」

オレ
「そっか。残念だな。」

「パリはヤクザ同士の揉め事とかはないの?」

ジョエル
「大きな揉め事は最近ないわ。それぞれ共存共栄してるようよ」

オレ
「やっぱり組織の大小があるだろう」

ジョエル
「大きくは3つね!ヒロはそんな事に興味があるの?」

オレ
「いや、何処の国でも同じなんだなって思っただけさ」

ジョエル
「そう。でもお店を持ったらもう関係なくなるわ」

オレ
「お店?」

ジョエル
「前にも言ったかなー?本当はデザイナー目指していたって」

オレ
「うん。思い出した」

ジョエル
「だからお店でも持とうと思って^^」

オレ
「そりゃーいい!ジョエルの店ならきっと流行るよ」

「そこでも常連になるから(笑)」

ジョエル
「ありがとう^^」

オレはこれまでの倍の金額をジョエルに払った。彼女は多すぎると言って返したが、オレは早く店が出来るようにと!ウインクをして押し返した。ジョエルは抱き付いてキスをしてくれた。

オレはジョエルのアパートを出てホテルに戻った。そして帰る準備をした。

▼9月25日・・・

授業を終え、フィットネス・ジムで汗をかいてからmar'sBLGに戻った。紗也乃と刈谷に声をかけてロフトに上がった。

すぐに刈谷が冷たいウーロン茶を持って上がってきた。律儀にドアをノックする。オレは声を上げた「どうぞ」刈谷が入ってきて、テーブルの上にそれを置いた。

オレ
「もうそろそろだよな?」

刈谷
「はい。田川さんとトモちゃんが迎えに行ってますから大丈夫だと思います」

オレ
「うん」

刈谷
「佐和子さんがいらっしゃっても私はこのままでいいんでしょうか?」

オレ
「何か問題がありそうか?」

刈谷
「いえ(笑)」

オレ
「ははーん。三浦だな?あいつが余計な事を言ったんだろう?」

刈谷
「いえ。そんな事ないですけど、トモちゃんちょっとだけ緊張するって言ってましたから」

オレ
「まーあいつにとっては上司だからな(笑)」

刈谷
「そうみたいですね(笑)」

オレはウーロン茶を口にした。とうとう佐和子がやってくる。正直オレもやっかいだと思っていた。田川や三浦ではコントロールできない。それだけにオレが関わる頻度が増える。それを考えると憂鬱だった。

階下でドアの開く音がして、人声が大きく聞こえてきた。オレはロフトを出て下に下りた。

オレ
「さわこー^^よく来たなー(笑)」

佐和子
「はい^^とうとう来ちゃいました(笑)」

オレは佐和子に近づき大げさに抱き付いた。そして佐和子の匂いを嗅いだ。それはやはり懐かしい佐和子の匂いだった。

佐和子は紗也乃とは旧知だったが刈谷は初めてだったので紹介した。

オレ
「そういう事で楽しくやろう^^」

とりあえず大きなテーブルの前に座った。紗也乃が冷たいお茶を用意した。

オレ
「ミナミはどうだ?」

佐和子
「景気がいいせいもあって好調を維持してます^^」

「それから、南署の署長が移動になりました」

「佐竹さんは栄転のようです。府警本部だそうですから」

オレ
「そっか。色々あったけど終わったか」

佐和子
「はい」

紗也乃はエスポとローマリの何人かのホステスの名前を出して様子を聞いていた。自分が居た頃の頼りになるホステスなのだろう。佐和子はしっかりと彼女らが店を運営していると応えていた。

オレは佐和子を1階の工房に案内した。

簡単にロクロや電気炉を説明して、ここで「陶芸教室」を行っている事を教えた。そしてショップの方も見せた。

その後、三浦が5階の部屋に佐和子を案内し夕食までゆっくりするように言った。

田川
「じゃーオレたち店に出ますので後よろしくお願いします」

オレ
「おう^^ありがとう。頑張って!」

田川は三浦が降りてくるのを待って一緒に店に行った。

紗也乃
「佐和子さんも3ヶ月滞在の予定よね?」

オレ
「一応^^」

刈谷
「ちなみに佐和子さんっておいくつなんでしょう?」

オレ
「んーーーオレより2つ上かな?」

紗也乃
「そう^^ユーちゃんより上なんだ」

刈谷
「すごく若く見えますね」

オレ
「後で、本人に言ってやってくれ(笑)喜ぶから」

その後、夕食は歓迎会を兼ねてちょっと豪華だった。居候たちを紹介して、それぞれの得意分野などの話になり佐和子は興味深く聞いていた。食事が終わった後、オレは佐和子の部屋に行った。

オレ
「日本じゃそうも行かないだろうから、こっちではのんびりやってくれ^^」

佐和子
「はい^^そのつもりです^^」

オレ
「オレの大学生活も4年になっていよいよ卒業を目指してラスト・スパートに入った」

佐和子
「卒業は来年の5月ですよね?その後は東京なんでしょう?」

オレ
「ん?あー理恵が言ってたか?(笑)」

佐和子
「はい。いよいよ「銀座」だって(笑)」

オレ
「パリと東京に拠点をつくろうと思ってる」

佐和子
「パリもですかっ!」

オレ
「(笑)」

佐和子は立ち上がってキッチンへ向かった。どうやらビールの用意をしているらしい。日本に居ると、何処へ行ってもビールが出てきたが、こっちでは自分の部屋にバドを置いているぐらいで、ほとんど飲まない。

オレは少し大きめのグラスを持った。佐和子はビール瓶を持って両手で注いだ。オレは一気に半分ほど飲んだ。

佐和子
「禁酒している訳ではないんでしょう?」

オレ
「ああ(笑)」

佐和子
「なんかおかしいわ(笑)」

オレ
「何が?」

佐和子
「ほとんど飲まないなんて」

オレ
「ストイックな生活に戻っただけだ」

佐和子
「他にも何か?」

オレ
「エッチもしていない」

佐和子
「まー」

オレ
「ははは・・・それはウソだ(笑)」

佐和子
「・・・(ーー;)」

オレ
「NYに居ると健康志向になる。フィットネスもしっかりやって体も柔らかくして、もっとも演劇学科だから、実技を求められるからだけどな」

佐和子
「理恵ママが心配してます。ちゃんとムーさんの事を理解してお世話出来ていないんじゃないかって」

オレ
「あははは^^三浦はよくやっている。彼女のせいじゃない(笑)」

佐和子
「だといいんですけど(笑)」

オレはビールを飲み干した。

オレ
「長旅で疲れただろう。ゆっくり休んでくれ^^」

オレは立ち上がったが、佐和子に手をとられて無理に座らされた。

佐和子
「さっき休んだから大丈夫です^^」

そう言ってまたグラスにビールを注いだ。

佐和子
「こっちに来るために色々苦労して人間関係を精算して・・・」

「こっちへ来てからも周りに気を使って、大変だったでしょうね」

オレ
「ふんっ」

佐和子
「お風呂、ひとりで入ってるんですって?」

オレ
「・・・」

佐和子
「さっそく工事をして大きなお風呂場をつくりましょ^^」

オレ
「あのなー佐和子お前は・・・」

佐和子
「元々あなたは勘違いしてた」

「石井は私の事を高橋の姪だという事で私が高校生の時に優しくしてくれただけ」

「今はあなたから預かってると思ってるわ」

「だから一緒に暮らしていてもずっと私に遠慮している」

「そして、やっぱり他に女が居るの」

「私も努力してみたんだけど、やっぱり無理があるわ」

「私はあなたのオンナで居る方がいい」

「だけどもうミナミに居場所がないし」

「だからちょっとだけ我侭させてもらおうと思って来たの^^」

オレ
「本当にお前の意思か?」

佐和子
「そんな事、疑わないで!」

オレ
「わかった」

そしてオレたちはセックスをし、一緒にシャワーを使い。またベッドに入り佐和子を抱いて眠った。。。

▼10月・・・

いい季節になった。学校では実技を重視した授業が多くなり、それぞれのグループで批評をし、活発にディスカッションをする。アメリカらしいアグレッシブな授業だった。週末のイベントも多くなり、学校行事も盛りだくさんでこの時期例年のように大学を中心とした活動で忙しく過ごしていた。

オレ
「あれ?もう終わりか?」

ケリー
「ああ。BIZENは一瞬で売り切れちまった(笑)」

ジェーン
「Tシャツもあっという間に売り切れたわ」

ボブ
「安売りしたつもりはないんだけどなー」

マーシー
「それだけ人気なのよ^^」

オレは隣のブースで人数分のオリジナルレモン・ソーダを買って、差し入れ代わりに渡した。そして後ろの階段に直接腰を下ろした。

日曜の本校内でのイベントでフリーマーケットにうちのグループは出店していた。オレは「陶芸教室」で余っている備前焼の皿や漢字Tシャツなどをmar'sの企業協賛代わりに現物提供していた。

ケリー
「紹介するよ^^2年のジェーンだ」

ジェーン
「はーい!よろしくねヒロ」

オレ
「やあジェーン。そう言えばこの間のパーティーで見かけた。よろしく」

ケリー
「ジェーンの親父さんは・・・あのピーター・フォンダだ」

オレ
「あのって、あのイージーライダーか?」

ジェーン
「もうケリー言わない約束なのに」

ボブ
「ヒロはあの映画の大ファンなんだぜ(笑)」

ジェーン
「そーなの?ヒロ^^」

オレ
「ははは^^あの映画はオレのその後の人生を変えた(笑)」

ケリー
「ヒロ。オレたちは後片付けするから、ジェーンと一緒に先にカフェに行っててくれよ」

オレ
「ん?みんなで一緒に片付けた方が早いじゃないか?」

マーシー
「もう少し売れ残ったのもあるから頑張ってみる」

オレ
「そっか?じゃーあっちで待ってるよ」

オレはジェーンと一緒にオープン・カフェの方へ行った

オレ
「あのレモン・ソーダは甘過ぎたな?」

ジェーン
「そう?甘いもの嫌い?」

オレ
「うん。(笑)冷たいコーヒー買ってくるよ」

オレは、カウンターに並んで冷たいコーヒーを2つ買い席に戻った。

ジェーン
「ありがとう^^」

「ヒロは映画好きなの?」

オレ
「日本の大学で映画を専攻してた。こっちでも映画学科と演劇学科のどっちにするか悩んだんだけどね」

ジェーン
「何故、演劇へ?」

オレ
「ちょっと違う事をやってみたかった。(笑)大きな理由はない」

ジェーン
「イージーライダーがどうしてあなたの人生を変えたのかしら?」

オレ
「アレを見たのは14の時だった。強烈な印象だった。次の日から自転車をチョッパー風に改造したり、ギターを練習したりして、バイクと音楽に目覚めた」

ジェーン
「ふーん。それはあたなだけ?それとも日本でも映画の影響ってあったのかしら?」

オレ
「ああ。圧倒的な人気だった(笑)」

ジェーン
「そう^^ヒロのギターがうまいのは、私の父の影響が少なからずあったんだ?(笑)」

オレ
「ははは^^大いにあったよ」

普段は親父の事が話題になるのを嫌っていたようだが、外国人のオレがその映画のファンだと言う事で、あえてその話題に付き合ったようだった。同時に彼女は日本に興味を持っていたようで、さっきの「陶芸」などにも興味を示していた。そしてなにより「カラオケ」に関心を持って、カラオケパーティーに是非誘ってくれと言っていた。

暫くしてケリーたちがやってきた。

ケリー
「なんとかこれで足りない衣装をつくる事が出来そうだ^^」

マーシー
「ボブはちゃんとダイエットして今ある衣装に合わせてよ」

ボブ
「5キロ・・・できるかなー減量」

オレ
「しっかりフィットネスもやろうぜ!」

ジェーンは2年下の学年だったが、話に付き合ってその場にいた。オレたちは次の練習の打合せをしてカフェで別れた。

16時・・・mar'sOffice

オレ
「ただいまー」

紗也乃
「お帰りぃー」

紗也乃に軽く抱き付いた。大きなテーブルには刈谷ともうひとり・・・


「ヒロっ!」

オレ
「あーーー由佳かぁ〜?」


「久しぶり^^元気そうね」

オレはテーブルに近づいた。由佳は立ち上がった。オレは内心で何故?どうしてここが?動揺していた。

オレ
「いやーそれにしても驚いた」


「私はずいぶん前から知ってたわあなたがNYに居ることは(笑)」

オレ
「そっかーそれにしても由佳は?(笑)」


「ちょっと会いに来たのよヒロに会いたくて^^」

オレ
「そっかーいやー嬉しいなー^^」


「ウソよ(笑)」

オレ
「ははは・・・」

オレは刈谷の隣に座った。刈谷はちょっと怒ったような顔をしていた。紗也乃がお茶をオレの前に置いた。オレは礼を言ったそして紗也乃の顔を見たが微笑んでいただけで特に変化はない。


「今、私LAに居るの」

オレ
「へーそーなのか!またなんで?」


「主人が、LA駐在になって1月から市内に住んでいるの」

オレ
「そっか^^そりゃーゴキゲンだなー(笑)」


「それで、今度離婚することになって・・・でもこのままLAに居たくて、そしたらショーヘーがヒロに相談してみろって言うから来たの」

オレ
「ちょっと待て・・・」

オレは冷たいウーロン茶を飲んだ。

オレ
「オレの部屋で話そう」

刈谷
「ムーさん。実はさっきもう話を聞いてしまったの」

オレ
「・・・」


「ごめんなさい。この方がショーヘーの奥さんだって知らずについショーヘーの名前を出したら、色々と聞かれて」

オレ
「だから待て、それ以上先に話を進めるな!」

「由佳。最初からオレにわかるように事情を説明してくれ」

由佳は話始めた。由佳は今年3月、偶然にもLAの鮨屋でショーヘーと会った。その後、連絡を取り合いショーヘーの相談に乗っていた。いつの間にか男と女の関係になり、由佳は離婚してショーヘーと暮らす事を決め、すでに離婚は成立する方向で話は済んでいる。ショーヘーは9月からLAのカレッジに入学した。今はふたりでアパートを借りて住んでいるが、由佳のビザの問題をショーヘーはオレに相談しろと言ってここの住所を教えたという。


「この方がショーヘーいえ浜田さんの奥さんだとさっき知って・・・」

刈谷
「・・・」

オレ
「刈谷。悪いけど由佳とふたりだけで話をさせてくれ!」

刈谷
「はい」

オレ
「由佳。そこがオレの部屋なんだ一緒に来てくれ」


「はい」

オレは先に立ち上がってロフトへ上がった。由佳を部屋に招き入れて中央のテーブルの前に座らせた。


「へーここがヒロのお部屋ね^^本がいっぱいあって、ちゃんと学生やってるんだ?」

オレ
「それにしてもLAの鮨屋で偶然会うか?(笑)」


「うん。とんでもない偶然・・・運命的なのよ」

オレ
「運命的ね?」


「ユーヤが引き合わせてくれたんだわ」

オレ
「・・・」

その名前が出たらオレはもう何も言えない。由佳とはオレがシスコへ行く前・・・4年前に神戸のパームツリーで会って以来だ。そしてmar'sの元ボーカル。ユーヤの彼女だった。

オレ
「じゃー今はショーヘーとうまくやってるのか?」


「うん。私は離婚で結構慰謝料が入るから暫くはこっちでふたりで暮らそうってことになってるんだけど、問題はビザなのよ」

オレ
「じゃービザはオレがなんとか協力しよう。それより浜田が結婚してるのは知ってるよな?」


「うん。ヒロに預かってもらってひとりでフラフラしてるって言ってた」

オレ
「どーする気だ?」


「本当は私とショーヘーの今の関係だけをヒロに伝えてくれ!って言われてたの」

「でも、あの人が奥さんだって知ってしまって正直に全部話した」

オレ
「それで?」


「そしたらヒロが帰って来たのよ」

オレ
「そっか」

オレは立ち上がって小さな冷蔵庫からウーロン茶のボトルを出した。冷蔵庫の上のグラスを2つ取り出してそれに注ぎ、テーブルの上に置いた。

オレ
「なんで由佳が来たんだ?ショーヘーは何故来ない?」

由佳
「由佳が話した方が話が早いからって」

オレ
「ったく。。。」

オレはウーロン茶を飲んだ。机の上のレポート用紙とペンをとった。

オレ
「これにLAの住所と電話番号。それからパスポートの住所を書いてくれ」

由佳
「はい」

オレ
「それを書いたらホテルへ送っていく」

由佳
「一緒に食事でもする?」

オレ
「そうしたいんだが、刈谷に事情を説明してケアしてやらないと」

由佳
「そーよね。」

オレ
「じゃー行こう」

由佳
「はい」

オレは由佳が書いたものを一瞥してそれを机の引き出しに仕舞った。そしてふたりでBLGを出て、ダッヂに乗り由佳をホテルまで送っていった。

浜田はオレに何をさせようとしてるんだ?電話ぐらいかけてきても・・・と思ったがあいつの性格ではそれは無理な注文だと思った。

Officeに戻り、同じように今度は借家とロフトで話をする事になった。

刈谷
「すみません。浜田が勝手な事してムーさんにご迷惑かけて・・・」

オレ
「いや、こっちこそ、悪かったな」

刈谷
「ムーさんが謝ることなんかありません。浜田はムーさんに何もかも押し付けて・・・卑怯だわ」

オレ
「申し訳ない」

刈谷
「だから・・・ムーさんは」

オレはウーロン茶を飲んだ。

オレ
「刈谷。お前はどうしたい?」

刈谷
「・・・」

オレ
「遠慮なくなんでも言ってくれ」

刈谷
「私、役立たずですけど、暫くムーさんの近くに置いてくれませんか」

オレ
「そんな事は何でもない。納得するまでここに居ればいい」

刈谷
「いえ、今はここですけど、来年の5月になったらムーさんは何処かへ行くんでしょう?できたら付いて行きたいなーと思って」

オレ
「まーそれはまだ流動的だからそうなった時に考えよう」

「それよりショーヘーいや、浜田との関係はどうしたい?」

刈谷
「ちょうど良かったと思ってます」

「籍も入っていませんし、彼にも自由に自分の道を歩いて欲しいと思ってますから」

「特に恨んだり嫌いになったりしてませんから」

「浜田には電話ででも直接そう伝えようと思います」

オレ
「そっか。悪いな」

刈谷
「ムーさん。ムーさんが謝らないで下さい」

「ムーさんが謝るたびに、浜田に対して腹がたってきますから」

「浜田も斉藤さんもみんなムーさんに甘えて迷惑かけてばかりで・・・」

「あっ私が一番甘えてますけど(笑)」

オレ
「刈谷、お前が明るくそう言ってくれるとなんかほっとする(笑)」

言葉とは裏腹にオレは憂鬱だった。由佳は運命的だったというが・・・オレはそうは思わない。むしろ浜田が強引に自分自身を変えようと無理をしているように思えた。

それにしても佐和子に刈谷、一体どうすればいいんだ?

▼10月13日・・・9時ブライトンカフェ

田川
「東京にも出店するんですか?」

オレ
「ん?佐和子が言ってたか?」

田川
「はい。来年は東京とパリに出店するから忙しくなるって(笑)」

オレ
「東京は、銀座のクラブと「ヤマシロ」を出店させようと思ってる」

田川
「クラブもですか?そーなると・・・んー誰が担当するんでしょうか?」

オレ
「未だ決めていないが、お前はどうしたい?」

田川
「オレはできればこのままmar'sNYでやりたいです」

オレ
「じゃー東京はやっぱり佐和子だな」

田川
「その為のNY滞在ですか?」

オレ
「ははは・・・逆だ(笑)」

田川
「滞在してるから、東京出店!(笑)」

佐和子はいつの間にか語学力を身につけていた。聞けばこの2年間必死で英語を勉強したという。どっちにしても来る気で居たということなんだろう。それであるならば、今回の覚悟のほどを考えると観光ピザの期限の11月末になっても帰らないつもりでいるのは明白だった。

田川はオレが佐和子を体よく追っ払うために東京出店を決めたと思ったようだ。

オレ
「じゃー田川、そろそろ中期プランを考えておいてくれ」

田川
「はい^^」

こんな時に横山が居たら、パリの話も同時に進められるのに・・・

オレはハーレーに乗って学校へ行った。午前の授業が終わり本館の食堂に入った。

ジェシー
「はーい♪ヒロ^^ここいい?」

オレ
「やあージェシー久しぶりだな」

ジェシー
「クラスが変るとなかなか会わないわね」

オレ
「そーだな」

オレはパスタとソーセージ、野菜サラダとフレッシュ・ジュース。ジェシーは昼食をセーブしているのか野菜サラダとフレッシュ・ジュースだけだった。

ジェシー
「マクベスやるんだって?」

オレ
「ああ。多数決でそうなった」

ジェシー
「ヒロは何やるの?」

オレ
「オレはその場その場の端役さ^^マクベスはケリー。婦人はジョセが演る」

ジェシー
「へーそーなんだ^^」

オレ
「そっちは何やるんだい?」

ジェシー
「リア王よ^^配役はまだ決まってないの(笑)」

オレ
「ジェシーはきっとコーディリアさ^^」

ジェシー
「うわーそれは大変だわ(笑)」

卒業公演に向けた準備が着々と進められていた。シェークスピアから作品から何を選ぶかは班の自由選択だった。

オレ
「ジェシー。君がトップで卒業しろ^^」

ジェシー
「頑張るわ^^」

「ねーヒロ。今度、パリの話聞かせて?」

オレ
「ああ。いいよ。じゃー先に行くよ」

ジェシー
「うん」

オレは先に席を立って、次の授業のある校舎(ビル)へハーレーで移動した。食事の後の授業は眠気を誘ったが、うまく誤魔化しながらやり過ごした。

15時30分・・・mar'sOffice

紗也乃に声をかけてからオレはロフトに上がった。すぐにドアがノックされた。オレは「どうぞ」と声をかけた。佐和子が冷たいお茶を持って来た。

佐和子
「お帰りなさい^^」

オレ
「うん。ありがとう」

中央のテーブルに佐和子はお茶を置いた。そしてその前に座った。オレはデスクの前からそっちに移動した。

佐和子
「週末はパリでした?」

オレ
「うん。ちょっとパリコレを観ようと思って(笑)」

佐和子
「先月のNYコレクションは観なかったんですか?」

オレ
「ああ。ちょっと見逃した」

佐和子
「もしかして・・・」

オレ
「・・・」

佐和子
「ファッション・ビジネスをやろうと思ってます?」

オレ
「ん?」

オレは、ショーコと会う事を気付かれたのか?と思ったが、佐和子はビジネスがらみだと勘違いしたようだ。そしてそれは妥当な推理でもあった。故松村氏は大阪繊維教会の会長だったし、松村屋は今やいくつかのヨーロッパ・ブランドのライセンス契約をとっている。そして、ファッション・ショーそのものはオレの元々の仕事でもあった。

佐和子
「当たれば・・・大きいですね」

オレ
「そう?」

佐和子
「日本人デザイナーもチラホラ出てきてますし、ムーさん松村屋さんの筆頭株主ですものね」

オレ
「ははは・・・」

佐和子
「いいデザイナーでも見つけたんですか?」

オレ
「ジョエルって女の子なんだ」

佐和子
「パリジェンヌ?」

オレ
「ああ」

佐和子
「もしかしてもうパトロンに?」

オレ
「まだだ(笑)」

パリの娼婦がデイザーか。佐和子にはそう思ってもらって居た方がいい。しかし何気なく言った事が・・・妙にひっかかった。

佐和子
「日本人デザイナーをパリコレにデビューさせて、日本国内向けのビジネスをする方がいいんじゃないでしょうか?」

オレ
「ケンゾーやヨウジ・ヤマモトのように?」

佐和子
「はい。コントロールが難しいでしょうけど」

オレ
「ふーん。イヤに興味ありげだな?(笑)」

佐和子
「商社のOL時代にちょっと関わりましたから」

オレ
「そっか」

佐和子は飢えている!と思った。何かムキになれる新しい事に飢えている。きっとそれを求めてNYに来たのだろう。タイミングとしては悪くない。オレもNYへ来て3年・・・学生生活を中心に過ごしてきたがそれも来年の5月で終わる。パリにも行って向こうでの生活も考えたが、とりあえずは拠点だけでいい。

それよりも日本に戻ってそろそろ次のステージをつくらないと周りが納得しないだろうと感じていた。

佐和子
「今夜もお風呂に入りにきてくださいね^^」

オレ
「ん?あーわかった。。。」

佐和子は階下に降りて行った。

ここんとこ2日に1度のペースで佐和子の部屋に行き一緒に風呂に入っている。風呂場を改装して大きな浴槽をつくった。通常の倍はある広さでしっかりと手足が伸ばせる大きさだった。

佐和子は必ず一緒に入ってオレの体を丁寧に洗う。オレは我慢できずにその場で佐和子を犯す。そして自分の快楽の為だけに佐和子の穴に放出する。

佐和子はその事に非常に喜ぶ・・・きついエッチで自分だけが翻弄されるよりオレが我侭に振る舞い喜ぶ事の方が充実感を感じるという。そして出来れば毎日でも来て欲しいと。さすがに毎日は行けないが、2日に1度は行ってしまう。


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