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COME ON



COME ON:小比類巻かほる

ちょっと立体感に欠ける。もう少しサックスとボーカルをを前に出して・・・このアレンジよりレコードの方がいいかも
▼1986年1月・・・

1月13日15時・・・銀座「一灯画廊」

約束の時間を過ぎていたがオレは応接室に入ったまま待たされていた。時折り大きな声が聞こえては静まり、その間はクラシックのBGMもその声を消すことはできなかった。

オレは退屈していた。

応接室を出て、店内の広いディスプレイを見ながら歩いていた。女性秘書のような人が申し訳なさそうにオレに待たせている侘びの言葉を発していた。

ドアの向こうから男が出てきた。オレと目が合ったが男は知らん顔をして憮然とした態度ですれ違った。

そしてディスプレイの絵のところで立ち止まりそれに見入っていた。

宮内
「あっムトーさんお待たせしてしまって申し訳ございません」

オレ
「いえ。ちょうどいい絵があったので見てました」

宮内
「はぁ〜ちょっとお借りしているだけのモノでして」

オレ
「もしかしてフランスからですか?」

宮内
「えっ?」

オレ
「いえ。ただそんな気がして」

立ち話をしていると男が振り返った。そしてゆっくりとこっちへやってきた。


「あの絵の持ち主を知ってるのか?」

オレ
「やー石本さんじゃないですか!奇遇ですね^^」


「ん?おー確かムトー君だったな^^いやー申し訳ないちょっと興奮していたもので」

オレ
「絵を見て興奮ですか?それはいいですねー^^」

宮内
「石本さんとお知り合いですか?」

オレ
「ええ。ちょっと(笑)」

石本
「そういやムトー君も確か備前をプロデュースしていたとか?」

「おーーーコレか?この大物か?なるほど」

「うん。確かにこれもいい(笑)」

宮内
「よろしければ応接室の方へ」

S会の総裁の周りには黒服の屈強なボディーガードが2名付いていた。それだけでも店内のフインキはよくなかった。宮内氏はそれを心配して応接室にオレたちを誘った。

展示されていたシャガールの「青いサーカス」に石本氏は執心のようだった。そしてオレはそれが誰のモノか知っていた。

応接室には宮内氏が先導する形でオレと石本氏が入り、黒服の男たちは別室に入ったようだった。改めて女性秘書が珈琲を運んできた。

石本
「いやーさっきは大人気なくてすまなかったね宮内さん」

宮内
「いえ。もうそういう事はファンならよくある事ですからもう」

宮内氏は汗を拭いながら緊張した様子で恐縮しているように見えたが、その目は決して怯えている様子はなく冷たく光っていた。

石本
「ところであの絵の持ち主をムトー君は知ってるのかな?」

オレ
「以前にフランスの何処かで見せてもらった記憶があったものですから」

石本
「ふむ。フランスか・・・」

宮内
「アレは預かりモノで持ち主に返さなければならないモノでして、つい先日の三越で行われた「シャガール展」で公開した後、ここで展示し、返却する予定になっているもので・・・なんとも」

オレ
「でもアレは後2つあって初めて面白いものでしょう?」

石本
「うむ。そうなんだ。『サーカス』『アクロバット』そしてあの『青いサーカス』」

「あとアレだけなんだ」

宮内
「石本さんはすでに2点をお持ちなんですよ」

オレ
「そーですか。それじゃーなんとしても手に入れなければ(笑)」

石本
「・・・それが何処の誰が持ち主なのかも教えてもらえないんだよ!」

せっかく治まりかけていた怒りがまた込みあがってきたようだった。

オレ
「いくらぐらいなモノなんでしょうねー?」

宮内
「いやアレは売り物ではないので値段は付きません」

石本
「2億でも3億でも金に糸目はつけんよ!!!」

オレ
「じゃー心当たりを当たってみましょうか?」

石本
「本当か?なんとかなるのか?」

宮内
「ムトーさん。持ち主は教えられませんよ!それに可能性は限りなく低いと思いますよ・・・」

石本
「あんたは黙ってろ!」

「ムトー君。なんとかなるのか?」

石本氏はオレを睨みつけた。その眼光は鋭くまるでオレにケンカを売っているように思えた。期待させてダメでしたとは言わせないぞ!という圧力がヒシヒシと伝わってきた。

オレは覚悟を決めてギャンブルをする事にした。

オレ
「欲しいものは何としても手に入れるっ!そうですよね(笑)」

石本
「ふっあははははは^^」

「気持ちのいい事を言ってくれるじゃねーか(笑)」

「いつでも電話をくれ!」

石本氏は愉快そうに立ち上がって部屋を出て行った。オレと宮内さんは部屋に残った。そして暫く沈黙が続いた。

宮内
「あの人は・・・怖い人ですよ」

オレ
「そうみたいですね」

宮内
「この件に関してだけは、力になれません」

オレ
「ええ、わかってます(笑)」

オレは珈琲の礼を言って部屋を出た。そしてもう1度『青いサーカス』を見た。


▼1月14日・・・


ドゴール空港からタクシーを飛ばして16区のピエールの家に向かった。すでに連絡は入れてあったので門番は大きな扉を開いた。電動で操作できるようになっているらしい。

玄関前の車止めでタクシーを降りるとすでに玄関前にショーコが迎えに出てくれていた。

オレたちは軽く抱擁を交わした。家の中に案内された。食堂にはすでにピエールが立ち上がって待っていた。

ピエール
「ヒロ^^よく来たな」

オレ
「ついでもありましたから^^」

ピエール
「君のその独特な言い回しをショーコに説明して貰ってようやく理解できたよ」

オレ
「そうですか?」

ピエール
「君はとても恥ずかしがりだと言う事がよくわかった(笑)」

オレ
「あははは^^」

オレたちはワインでカンパイをした。すぐに食事が始まった。旬の雉の肉の燻製からフォアグラまで、そこには三つ星レストラン以上の味のフランス料理が次々と運ばれてきた。

ピエール
「こっちでもそろそろ「遠山」の新作予約の入札が始まったよ」

オレ
「はい。お陰さまでニューヨークも好調のようで嬉しい限りです」

ショーコ
「年に5作品しかリリースしないから、プレミア付きで大変よ(笑)」

オレ
「そろそろ日本でも火がついてくれればと思ってるんだけどなかなか(笑)」

ピエール
「まっその内こっちの評判が入ってすぐに日本も動き出すさ!日本はそういう国だから」

オレ
「はい^^」

オレたちは食事を終えて、ブランデーをやり始めた。珍しくショーコがそれに付き合っている。

オレ
「ところであの『青いサーカス』ですが・・・譲っていただけませんか?」

ピエール
「ん?アレか?何か訳がありそうだな?」

オレ
「ええ。知人がすでに『サーカス』『アクロバット』を持っていまして、どうしても欲しいと」

ピエール
「ほう^^じゃー『青いサーカス』で完成するな?」

オレ
「はい」

ショーコ
「ヒロはそれでどの程度の利益があるのかしら?」

オレ
「お金の利益はそれほどでもないのですが・・・入手できれば東京でちょっと動きやすくなる」

ショーコ
「できなければ?」

オレ
「たぶん。東京に居られなくなるんじゃないかと(笑)」

ピエール
「それは大変だな(笑)なんならパリに来るかい?」

オレ
「あははは^^それもいいですねー(笑)マルセイユで船乗りでもしようかな?」

ピエール
「ショーコはどうしたらいいと思う?ヒロに船員をさせたいか?」

ショーコ
「ヒロの船乗りもかっこいいけど、やっぱり東京で男になって欲しいわ」

ピエール
「ヒロ。聞いての通りだ。あの絵は遠山の「大物」のお礼に君にプレゼントするよ」

オレ
「・・・ありがとうございます」

オレはピエールに向かって頭を下げた。そしてショーコの方を見た。ショーコはずっと微笑んでオレの方を見ていた。オレもショーコに笑顔を返した。

オレ
「じゃーせっかちな日本人ですので、今日はこれで失礼したします」

「ピエール。今度は是非ショーコと一緒に日本に来て下さい」

「心から歓迎させていただきますから^^」

オレは立ち上がってピエールと抱き合いそこで別れた。玄関口までショーコが送りに出てきた。

オレ
「ショーコ。ありがとう」

ショーコ
「あれぐらい大した事ないわ(笑)わざわざ来てくれて嬉しかった」

オレ
「春になったらまた来る^^風邪ひくなよ(笑)」

ショーコ
「ユーイチも・・・元気でね^^」

オレたちは抱き合いそこで別れた。ピエールの家の者がオレを空港まで送ってくれた。


▼1月15日・・・


銀座、クラブ「純子」

石本
「おーーーこっちだムトー君」

オレ
「どうも^^ご招待いただきましてありがとうございます」

石本
「何を言う(笑)長旅の帰りに無理をして貰ってこっちこそ申し訳ない」

オレ
「ははは^^」

オレは奥のテーブルの席に付いた。石本氏は御機嫌だった。すでに一灯画廊の宮内氏から連絡が入って、オレが『青いサーカス』を入手した事が伝えられていた。

石本
「ママ。この人は若いけどやり手でねー世界を飛び回ってビジネスをしてるんだ」

ママ
「初めまして純子と申します。石本さんがこんな風に紹介してくれるなんて、すごいビジネスマンなんですね」

オレ
「あははは^^たまたまうまくいっただけなんですよ(笑)」

石本
「どうだいママ。イイオトコだろう^^」

ママ
「はい^^惚れ惚れするイイオトコなのに笑顔がとっても可愛くてステキだわー」

石本
「ほー^^ママに惚れられるとは怖いぞームトー君」

オレはブランデーの水割りをつくってもらってそれを口にした。オレと石本氏の間に入るようにママは居た。そしてとなりにはふたりのホステス。その隣の席には黒服のボディーガードが二人居た。

オレ
「こんなに美人なのに怖いんですかー?」

石本
「まーその秘密はいずれ(笑)」

「ところでアレはどうしたらいい?」

オレ
「よろしければ明日にでもご指定のところへ搬入させていただきますよ」

石本
「おぉぉぉそうか^^いやーありがとうムトー君。本当にわしは嬉しいよ」

ママ
「あらー一体なんです?石本さんがそんなにお喜びになるなんて^^」

石本
「うん。わしのシャガールがついに完成するんだ^^」

「こんないい日はない^^ムトー君費用はもちろんだが、何でも言ってくれよ」

「それにしても、よく手に入ったものだなー(笑)」

「あの宮内が仰天してたぐらいだから、相当苦労しただろう?」

オレ
「飛行機に乗るまでちょっと背中が寒かったですよ(笑)」

石本
「ほーそうかい^^面白いなヤツだなー」

「それでいくらで譲ってくれる?」

オレ
「1億でどうです?」

石本
「オレは2億でも3億でもいいと言ったはずだが?」

オレ
「1億で結構です」

石本氏の目は細まりオレを正面から見ていた。オレの表情もたぶん弛緩してトロンとした顔になっていたはずだ。つま先に少し力が入った。

石本
「そうか(笑)オレに恩を売ろうってことだな?」

「益々面白いヤツだ!!!あははは^^」

「飲めームトー^^」

オレ
「おっす^^」

オレは飲んだ。石本氏も酒は強いようだった。

石本
「なー純子。この男どうだ?」

純子
「こんな人・・・初めてです」

石本
「どう初めてなんだ?」

純子
「何を考えているか・・・わかりません」

石本
「本当にか?本当にわからないのか?」

純子
「ええ」

オレ
「ははは^^酔っ払ってアホになってますから(笑)」

石本
「ほーそうかい。この純子がお手上げとはなーおもしれーなー(笑)」

ママ
「ただ者じゃない事だけはわかります」

オレ
「あははは^^ただのバカ者ですよ!」

「石本さん。歌でも歌いましょうよ^^」

オレはそこにあえて関心を示さないフリをした。この女・・・さっきからオレを読もうとしている。オレはそれを自然にブロックしていた。オレは話題を変えようとした。

石本
「ん?カラオケかー?あれはオレはやらん」

オレ
「なんならオレがギター弾いて歌教えてあげますよ」

石本
「ほー教えてくれるのか?(笑)」

ママ
「ギターですか?ご用意しましょうか?」

石本
「おう^^純子用意しろムトー君が歌歌ってくれるらしい」

ママ
「出来たらフェンダーとギターアンプね^^」

オレは酔っていた。そして調子に乗っていた。だがすでに石本氏も酔っていた。このまま向こうのペースに嵌る訳には行かなかった。

そしてリクエスト通りのモノがすぐに用意され、それが手際よくセットされた。銀座の一流クラブ。他にも客はまだ居たが、純子ママはそれらにおかまいなしにオレに微笑を向けて見ていたが、その目はクールだった。

ママ
「どうぞ^^ご用意できましたわ」

オレ
「本当にいいのかなー?他にもお客さん居るけど」

石本
「なーに遠慮はいらない^^好きにやってくれ」

オレは立ち上がってカウンターの横の広いスペースにセットされたところへ行った。用意されたイスは低かった。オレはカウンターのスツールをひとつ持ってきてそれに合わせてマイクをセットし直した。

チューニングをして、リズムボックスをテンポをチェックした。客が注目し始めた。オレはマイクを通してしゃべった。

オレ
「じゃーせっかく用意してもらったので1曲歌います」

「馴染みのある。いやちょっと懐かしい曲でも^^」

イントロをオレは引き始めた。

赤いぃ〜夕陽よ〜♪
    燃え〜落ちて〜〜〜♪

海を〜流れて〜何処へ〜行くぅ♪

ぎたー抱えてーあてもなくぅー♪
    夜にまぎれてー消えーてーいくぅ

俺と似てるよ赤い夕陽♪

イントロ・・・

浅岡ルリ子・・・
「どうしてもこの街には居てくれないんですねっ」

小林旭
「流れもんはひっところに居られねーんだ」

「またいつか会えるさ!じゃーなたっしゃでな!」

風がそよぐよ別れ波止場♪

オレは1曲だけ歌いギターを置いた。店内の客から拍手喝采で大笑いされてウケた。オレは周辺の客に愛想を振りまきながら席に戻って行った。ボディーガードの連中も笑いながら拍手をしていた。

石本
「あははは^^ムトーオメーほんとに面白いヤツだなー(笑)」

「見たかよ純子あのセリフ(笑)最高だぜっ!」

「オレはあの映画みてどれだけやる気が出たか・・・」

石本さんはそれから延々昔話を始めた。まるでオレがその頃の事を知ってると思って喜んで話していた。その間もブランデーを飲み相当酔っていた。オレは適当に付き合いながら飲んでいた。

石本さんはトイレに立ったがすでにその足元は怪しかった。ホステスふたりに世話になりながらトイレの方へ向かった。

ママ
「石本さん。あんなに楽しそうに酔ったの何年ぶりかしらねー(笑)」

オレ
「ははは^^酒は楽しく飲むのが一番ですよ」

ママ
「ごめんなさい。ちょっと様子を見てきます」

すでに黒服たちはトイレの方へ移動していた。新しいホステスがふたり席についた。さっきの歌を褒めてくれた。そんな話をしてるとママが戻って来た。

ママ
「ムトーさん。申し訳ございません。石本がちょっと調子が悪くなったのでこれで失礼させてもらいますと申しておりました。本当に申し訳ございません」

オレ
「また明日会いますから^^大丈夫ですよ」

ママ
「すみません」

そう言ってオレの近くに座り直してママはオレにブランデーを勧めた。オレはご機嫌でそれを飲んだ。それから30分ほどしてオレは店を出た。最後にママはオレの手を握った。

ママ
「是非、近い内にもう1度来て下さい」

オレ
「はぁ〜また(笑)」

ママの手は燃えるように熱くオレのハートの中に入り込もうとしていたが、オレはブロックしていた。ママの潤んだ目の奥が光っていた。


▼翌日・・・


成城の石本邸に専用キャリアに収納された『青いサーカス』を搬入した。石本氏は昨夜はとは打って変わって丁寧に対応した。そしてそれを飾る特別な部屋に案内された。その壁にはすでに『サーカス』『アクロバット』が飾られてあった。

石本
「素晴らしいシャガールだ。これで3点がようやく揃った」

オレ
「見事ですね」

石本
「いやーこれもムトー君のお陰だ」

そう言ってオレは白い封筒を渡された。

石本
「指定の金額になっている。これでいいんだな?」

オレ
「はい」

石本
「領収書は要らない(笑)近い内にまた飲もう」

オレ
「はい(笑)じゃー失礼します」

どうやら石本氏は忙しいらしい。オレは部屋を出た。黒服に案内されて入って来た時と違うところに出た。そこも広い出入り口だった。すでに靴は用意されていた。庭の向こう側に大勢の黒服が邸内に入っていく様子が見えた。オレはベンツの500SLに乗り込んだ。そして車を出して事務所に戻った。

横山
「お疲れ様です」

オレ
「おう^^コレ入金しておいてくれ」

オレはさっき受け取った白い封筒を横山に渡した。

横山
「額面、1億・・・になってますけど?」

オレ
「どーでもいいもらった絵を売った金だ」

横山
「へっ!じゃー純利益ですか?」

オレ
「そーゆー事だ(笑)」

横山
「ムーさんが帰国してからの赤字がこれで補填できましたね」

オレ
「なんだよーオレが赤字を垂れ流してるってか?(笑)」

横山
「いえ(笑)でも一発で取り返せてしまったなーって(笑)」

オレ
「たまにはそういう事もあるさ」

横山
「ははは^^」

オレは事務所を出て自室に戻った。そして棚の前の大きなデスクの前に座った。ドアがノックされて小林が珈琲を持って入って来た。

小林
「ちょうど淹れ立てが入ったものですから^^」

オレ
「そう^^ありがとう」

小林はテーブルにソーサーに乗った珈琲カップを置いた。そしてフレッシュ・クリームを入れて軽くスプーンを使いそれをオレの前に再度置いた。オレはそれを見ていた。

小林
「あのー何か?」

オレ
「いや、それはそうするように佐和子に指示された?」

小林
「いえ。佐和子さんがそうするのを見たもので、何か問題が?」

オレ
「実はそれは今夜デートしてくれ!って言うサインなんだ」

小林
「うわーそうだったんですか。すみません」

オレ
「あははは^^気をつけてね(笑)」

小林
「はい(笑)」

小林は笑顔で部屋を出て行った。オレはその珈琲を飲んだ。新しい味がして美味しかった。オレは時計を見た。まだ早かったが先に出ることにした。


▼11時・・・赤坂料亭「桜井」


オレは駐車場に車を停めて、裏の木戸から離れに入った。廊下の方の入り口のボタンを押して部屋の中央のテーブルの前に座った。そして脚を掘りごたつの中に入れた。すでに暖かかった。

待つほどもなく声がかかり紗也乃が入って来た。

紗也乃
「お疲れ様でごさいます^^」

そう言ってオレの前に熱いお茶を置いた。

オレ
「まだ少し早いな?」

紗也乃
「はい。霧の間にご用意させていただいております」

オレ
「黒服も7、8人ついてくるかも知れない」

紗也乃
「はい。大丈夫です」

オレ
「何だよ硬いなー(笑)」

紗也乃
「なんとなく冗談言いにくくて(笑)」

オレ
「ふたりの時はリラックスさせてくれよ」

紗也乃
「はい^^」

あれから紗也乃は妙に従順になったと言うか、面白くなくなった。アレはアレでもう少し考えてくれないとオレは疲れてしまう。あくまでも奴隷ごっこなのだから

部屋の内線が鳴った。紗也乃が出た。そして返事だけをして受話器を置いた。

紗也乃
「お見えになったようです」

オレ
「おう^^じゃー先に霧の間に居る」

紗也乃
「はい」

オレと紗也乃は部屋を出た。紗也乃は玄関に向かいオレは途中の部屋に入り待機した。

部屋の入り口の襖が開き紗也乃が入って来た。その後ろに梅木が居た。そしてゴローちゃんがその後方から姿を現した。

オレ
「お疲れ様です^^」


「おう^^ひさしぶりだな」

オレは上座をゴローちゃんに進めた。梅木はオレの後ろ側に座った。その後ろの部屋に人の動く気配がした。ボディーガードが数名そこに待機したようだった。

紗也乃が挨拶をしてビールの用意を置いていった。オレはビールを持ちゴローちゃんに注いだ。ゴローちゃんは同じようにオレにビールを注いだ。軽くグラスを合わせてカンパイした。


「お前さっき成城に居たそうじゃないか?」

オレ
「ええ。ちょっと用事があったもんで(笑)」


「ったく。すでに石本会長と接触してるのか?」

オレ
「ええ。知り合ったばかりですけどね」


「ふんっ!知り合ったばかりで今日みたいな日に自由に出入りできるか(笑)」

オレが石本氏の自宅を出ようとした時、別の入り口から彼らが入って来た。梅木の他にもうひとりがこっちを見た。もうひとりが気付いたので梅木は先にゴローちゃんに伝えたのだろう。

オレ
「そっちはどうでした?型通りの新年の挨拶ですか?」


「ああ。お礼方々の挨拶だ(笑)特に何もない」

オレ
「そりゃー良かった」

食事の用意が運ばれてきた。オレは先に箸をつけた。


「こっちはどうだ?」

オレ
「景気いいみたいですよ!何処を向いても金儲けの話ばっかりで嫌になりますけどね」


「あははは^^嫌になるぐらいあるか(笑)」

オレ
「東京・・・ここがひとつあったら他は要りませんよ」


「ふむ」

ゴローちゃんもビールを飲みながら料理に箸をつけた。

オレ
「そろそろ1周忌ですね」


「ああ。だがまだ終わりそうにない」

オレ
「関東の言う事はあんまり気にしなくていいんじゃないですか?」


「どういう事だ?」

オレ
「本音は仲間割れしていて欲しいんですよ!その間安心してシノギをかけられるから(笑)」


「ちっ!その癖エラソーに説教たれやがるっ」

オレ
「人の不幸は蜜の味!ってヤツですよ(笑)」


「バカヤローが」

オレはゴローちゃんのグラスにビールを注いだ。そして自分のグラスにも注いだ。

オレ
「ここでは安心して下さい。警備も抜かりはありませんし、料理の味付けは関西風にしてますから」


「ん?そうなのか?」

オレ
「ええ。安全です。オレの店ですから^^」


「何だと!ここはお前の店なのか?あははは^^」

オレ
「まだ満さんにも言ってませんから内緒ですよ(笑)」


「わかった(笑)」

「これからコッチに来た時は利用させてもらう」

「ところで向こうはお前の正体知ってるのか?」

オレ
「調べりゃわかるでしょうけど、まだ知られてないようです」


「そっか。気をつけろよ!なんなら応援出すぞ!」

オレ
「いえ。今のところ必要ありませんから」


「そっか。じゃーオレはこれから横浜なんだ」

「梅木を置いていくから事情を聞いといてくれ」

オレ
「はい」

ゴローちゃんはすぐに立ち上がった。オレが襖を開けた。オレは隣に待機している連中を先に出した。その後ろをオレが歩いてゴローちゃんが続いた。オレは玄関のところまで行きそこで見送った。梅木は一旦駐車場まで行き、彼らがクルマで出発するのを確認してから戻って来た。

オレは梅木を離れに連れて行った。すぐに紗也乃が酒と昼食の用意をした。オレはビールを梅木のグラスに注ぎ梅木も同じようにオレに注いだ。

梅木
「成城で見かけた時は吃驚しましたよ(笑)」

オレ
「気付かれないようにしたつもりなんだけど(笑)」

梅木
「大田も気付いたもんで一応伝えました」

オレ
「あー気にしなくていい」

梅木
「この料亭がアニキ、いやムーさんの店だとは(笑)まだ帰国して半年でしょう?早いなー」

オレ
「たまたま運が良かっただけさ^^」

梅木
「成城とも、もう懇意なんでしょうね?」

オレ
「未だ懇意ではない(笑)」

「こっちは平和でいいぞ!チンピラとケンカしても歯ごたえないし」

「すべてがお上品だし」

梅木
「松井さんが付いてるとはいえ、気をつけて下さいよ」

オレ
「なんだよ石井みたいな事言うじゃないか(笑)」

梅木
「石井もムーさんがちょっと怖くなったって言ってましたから」

オレ
「オレが怖い?まさかー(笑)」

梅木
「いえ、さっきもゾクゾクするぐらいの迫力でしたよ」

オレ
「あらら・・・ゴローちゃんの前なのに気をつけないと(笑)」

オレは久しぶりに梅木とゆっくりと話した。梅木は内部事情を事細かく分析してオレに細大漏らさず伝えてくれた。そして梅木はクルマでゴローちゃんらの後を追った。

オレは暫くそこで過ごしてから白金台のキョーコの部屋へ行った。そしてその日はそこで泊まった。そして沙耶の言った事を試してみた。沙耶の言ったとおり・・・キョーコは喜んでオレの精液を子宮でいっぱい受けとめた。


▼1月17日・・・


19時・・・銀座「シャングリラ」

オレ
「だからーそれは誤解だって」

女1
「そーですかー?ムーさんが来られるとママは離れないじゃないですか^^」

女2
「これまでそんな事絶対になかった事なんですよ」

松井
「へーそうなんだ?じゃーやっぱりムーさんはママの恋人なんだから」

「綾香ちゃん気をつけてねっ^^」

オレ
「あのさー松井君。綾香ちゃんはNYUの可愛い後輩なんだぜ」

「そういう人をオレが口説くわけないっしょ?^^」

松井
「ムーさん(笑)バカっぽい顔になってますよ」

女1
「何ですそのバカっぽい顔って?(笑)」

女2
「あーわかりました。ウソついたり後ろめたい事をする時によくそんな風に変化する人って居ますよねー?」

松井
「ムーさんの場合、それがわかりやすいですよ(笑)」

女1
「うわーじゃー口説いてくれてるんだー?^^」

女2
「あー残念。ママが・・・(笑)」

洋子
「なーに?みんなで私の事悪く言ってるのねー^^」

松井
「いえ。洋子ママの恋人がムーさんだって言ってるのに、ムーさんが果林ちゃんを口説いてるんですよ」

オレ
「どーしてそーなるかなー?(笑)」

洋子
「あらっ!あなた達に言ってなかった?恋人なんて甘いものじゃなくて」

「命懸けで愛してるオ・ト・コなのー^^」

女1
「うわーママすごい事言ってるっ!」

女2
「重大発言だわーメモしてみんなに配んなきゃー^^」

オレ
「一体誰の事だ?(笑)」

オレはご機嫌で飲んでいた。松井も銀座では仕事抜きでリラックスして遊ぶようになった。もっとも誰もがオレをおもちゃにしているが・・・

入り口がちょっと騒がしくなった。黒服たちの制止する声が聞こえる。それを無視して男がふたり店内を見渡してひとりがオレの方を指さした。

黒服が制止しようとするが男はそれを振り切って、ひとりでこっちにやってきた。洋子が立ち上がりその男の前に行った。

洋子
「ここは銀座ですよ!無礼なマネは困ります。すぐにお引取り下さい」


「申し訳ないがすぐに済みますので」

男はそう言ってこっちに近づこうとするが洋子が前に立ちはだかって塞いで居る。すでに松井が立ち上がり席の隣に立っていた。

オレ
「私に用ならどうぞお掛け下さい」

洋子
「いいえ。お帰り願います。これ以上騒ぎを起すなら警察を呼びます」

「山下君。警察に電話を」


「怪しいものじゃありません」

洋子
「いいえ。お引取り下さい」

オレ
「洋子ママ。すまないがすぐに済むそうだからここに掛けてもらって」

「3分だけ話をするから」

洋子
「・・・」

洋子はその男と睨みあっていた。


「ママ。本当に申し訳ございません。3分だけお願いします」

男はそう言って頭を下げた。他の客も見ている。

洋子
「3分経ったら話の途中でも出て行ってもらいますから」


「はい。お約束します」

男は見られている事を十分に意識して話していた。オレは手で席を示した。松井はその様子を立って見ていた。すでに戦闘体制に入っていた。


「大変失礼いたしました。私こういう者です」

男はオレの前に名刺を置いた。

オレ
「で、何でしょう?」


「昨年末にこの上で騒動がありまして、うちの人間が3人暴行を受けました」

「その相手があなただと、さっき知らされましてここへ来た次第です」

オレ
「それで?」


「おたくの名前は?」

オレ
「ムトーだ」


「名刺いただけますか?」

オレ
「ここへ遊びに来てるんだ。仕事の疲れを癒しにね」

「そんな時に名刺を出せってか?」


「・・・」

「ムトー商会のムトーさんでしょうか?」

オレ
「だったら何だ?」


「うちの石本がこの先の店で飲んでるんでよければご一緒にと」

オレ
「しょーがねーなー(笑)」

オレは立ち上がった。

洋子ママ
「ユーちゃん。ダメよ!」

オレ
「心配ない。大丈夫だ(笑)」

オレたちは店を出た。ビルの外には男が10人ほどいた。先を歩く男の後ろについて歩いた。残りの男たちは距離を置いてついて来ていた。

ビルのEVを使い5階まで上がった。そして1軒の店に入った。薄暗い間接照明だけの静かな店だった。

店の黒服に案内されて奥のテーブル席に行った。

石本
「やームトー君。やっぱり君だったか!」

オレ
「この間はどーも^^」

オレはそこの席に座った。松井は座らずにオレの後ろの端に立っていた。石本氏はそれらを気にする風でもなかった。

石本
「銀座にムトー君が居るっていうのを聞いてたもんだから、うちの者にそれとなく気をつけるように言ってたんだが、いや驚いた^^ムトー君はケンカも強いんだねー」

オレ
「ちょっと酔っ払ってたもので失礼しました(笑)」

石本
「うん。それはまーどうでもいいんだが・・・」

「ムトー君。単刀直入に聞くが君は西の組の人間か?」

オレ
「ちょっと関係はありますがオレはシロートです」

石本
「ふむ。企業舎弟か何かかね?」

オレ
「いいえ」

石本
「じゃー何者なんだ?」

オレ
「石本会長。もう少し親しくなってからと思ってたんですけど」

「私は3代目から依頼を受けて動いていたシロートです」

石本
「3代目・・・田岡さんかね?」

オレ
「はい。田岡家の守護を命じられていました」

石本
「田岡家の守護とな?」

オレ
「はい。田岡家の人たちそれぞれと、ただ一緒に遊んだり、歌を歌ったりして過ごす間柄なんですけどね」

「ご本人たちも詳しくは何も知ってはいませんでした」

石本
「ほう。すでに田岡さんはお亡くなりになったが?」

オレ
「ええ。逆に3代目が亡くなった事でその役割が大きくなりました」

「4代目にも継続を認められていました」

石本
「その4代目も不幸にも亡くなられて今は大変な事になってるな」

オレ
「私の役目は・・・継続中です」

石本
「で、その守護人とはどんな立場なんだね?」

オレ
「特に私自身に明確な立場や力があるわけではありません」

「ただ・・・」

石本
「ただ・・・何だね?」

オレ
「ただ、その役目の為なら組内の人間を動かす事ができます」

石本
「組内とはその為の特定の組なのかね?」

オレ
「必要とあれば、Y組すべてを・・・」

石本
「ほう」

そこでオレは一息ついた。ようやく出された水割りをオレは飲んだ。さっきからずっと背中や胸のあたりがこそばゆい感じがしていた。

石本
「それは今も有効なのかね?」

オレ
「さーどうでしょうか?」

「これまでそういう大きな事態になったことがありませんし」

「こちらでは満さんも石本会長にじゅうぶんご加護いただいているようですから」

石本
「ふむ」

「しかし君は一家こそ構えていないが、兄弟分に精鋭がいるだろう」

「それに頭の渡辺君とも5分の兄弟だって?」

「それより、何より3代目の姐さんの相談相手だって言うじゃないか」

「その若さで驚くべき実力者だ」

オレ
「さすがにすごい調査網ですね。そこまで知っている人間は組内でも非常に少ないはずですが(笑)」

石本
「ははは^^実はかなり苦労したんだ(笑)」

「それで、ワシに近づいた本当の目的は何なんだ?」

オレ
「一応こっちで仕事をする上で、ご挨拶をしておいた方がいいと思いまして」

「それ以外に他意はありません」

石本
「それを信じろと言うのかね?」

オレ
「疑っても何もありませんから」

石本
「そうか(笑)」

「でどうだ?」

オレ
「?」


「やっぱりどうしても入れないわ」

「何を考えているのか?本当の事を言っているのか?ウソをついているのか?まったく読めないの」

石本
「ムトー君。君を最初に紹介してもらった仲介人は・・・アメリカ人だ」

「それも政府関係者だ」

「もしかしたら君は特殊な訓練を受けたスパイか何かかな?」

オレ
「ニューヨーク大学、芸術学部、演劇学科をこの春に卒業しました^^」

「ただそれだけです」

石本
「あははは^^相変わらず人を食った面白いヤツだな?」

「正直に教えてくれないのか?」

石本氏の目が細まりオレを見ている。脅しのつもりか?オレは無になってそれを見ていた。オレの体の中を熱い濃厚な女の匂いが駆け巡っていた。


「そんな・・・」

石本
「なんだ?」


「この人の心の中はキレイな海の中を漂っているような感じしかしない」

石本
「海の中?」

オレ
「昔、プロのダイバーをやってましたから」

石本
「お前はオレをおちょくっているのか?」


「この人・・・ウソをついていません」

石本
「それじゃー一体なんだ?」

オレ
「ただ聞かれた事に正直に応えているだけです」

石本
「ワシに敵意は?」

オレ
「親しみは感じても敵意はありません。」

石本
「ふむ。君を殺したら、西と戦争になるかね?」

オレ
「なるわけありません(笑)」

石本
「君の存在はやっぱり不気味だ。消えてもらった方がいいのかも知れないな」

オレ
「それは困りましたね」

石本氏は冷たい目でオレを見ていた。オレも同じように表情を変えずに見返していた。

石本
「まったく恐れていないのか?」

オレ
「いえ。キンタマが縮み上がってますよ」

石本
「あはははははは^^コキやがれっ(笑)」

「まっ君には借りもあるし、これからも友人付き合いをお願いしよう」

「どうだ?」

オレ
「はい^^私でよければ(笑)」

石本
「よし^^じゃー飲もう(笑)」

ウエイターが現れてブランデーセットが用意された。純子ママはオレに水割りをつくり石本さんにはストレートをつくった。

石本
「ところでムトー君。さっきからの純子の言動は気にならないのか?」

オレ
「何か霊感の強い占い師みたいな方でしょうか?」

石本
「ちょっと違うんだがな。まーいい(笑)カンパイしよう」

オレたちはグラスを合わせてカンパイした。オレはそれを口にした。

石本
「さてと、ここからが本題なんだ」

「純子この店に居る人間すべて出てもらってくれ、悪いがムトー君のボディーガードもだ」

「ワシと君。そして純子の3人だけだ」

純子ママが人払いをした。オレは振り返って松井の方を見た。そして頷いた。松井は暫くこっちを見ていたがオレは笑顔で手を振った。そして誰も居なくなった。

石本
「龍伝説・・・知っているか?」

オレ
「知りません」

石本
「ふむ。龍の刺青をしょった女・・・」

「その女を手にするとあらゆる成功が手に入るらしい」

オレ
「そうですか」

石本
「この純子がそうなんだ」

「15年前に知り合いオレは純子を愛して今の地位まで登りつめた」

「オレより強く優れた人物もいたが、ことごとく失脚してオレがトップに立てたのも純子がオレを守ってくれたからだ」

オレ
「それはすごいですね」

石本
「ただ自分の女にしただけではダメなんだ」

「その女と女の背中に居る龍に認められなければ・・・死ぬ」

「認められたからオレは生きてる」

オレ
「そうですか」

石本
「純子の龍は、『伏龍』なんだ。もうひとり『咬龍』の刺青をしょった女が居るはずなんだが・・・いくら調べても分らない」

「風の噂では西に居るらしいが、わからない」

オレ
「・・・」

石本
「知らないか?」

オレ
「まいったなーセンパイ(笑)知らないと言えば、殺すんでしょう?」

石本
「くくくっこんな時によく冗談が言えるな?」

オレ
「さっき仲良くしようってカンパイしたとこじゃないですかー」

石本
「そうだな」

オレは水割りを飲み干した。

オレ
「3代目彫匡の咬龍・・・それをしょった女はオレの女ですよ」

石本
「ふっははは^^やっと正体を見せやがったか(笑)」

オレ
「それでその女の龍を見せろ!と?」

石本
「見せてくれるか?」

オレ
「見るだけですか?」

石本
「やらせて・・・くれるか?」

オレ
「下手すると死にますよ?」

石本
「やっぱりそうか(笑)」

石本氏はブランデーを呷った。オレも水割りを飲んだ。それぞれ新しいモノを純子ママがつくった。

石本
「ムトーお前はその年で西を仕切ろうと考えてるな?」

オレ
「いいえ」

石本
「龍の女が居れば可能だぞ」

オレ
「そうですか」

石本
「もしかしてお前・・・」

オレ
「そんな事考えてませんよ」

石本
「お前・・・オレの考えを読めるのか?」

オレ
「純子さんじゃあるまいし読めませんよ!でもこうしてセンパイと話ができるところにいるオレはもっと大きな野望を持ってると疑われるだろうなーと推測しただけです」

石本
「ふむ。西と東の手を組ませてそのドンになる!そう考えていないのか?」

オレ
「そんな大それた事、考えていません」

石本さんはまたブランデーを呷った。オレもそのペースに合わせた。

石本
「オレが協力すれば・・・もしかしたら可能かも知れんぞ」

オレ
「そうですね(笑)」

石本
「西の組は一気に世代交代が進み、今度の抗争でそれに拍車がかかりすべての傘下団体が若返った」

「その抗争が終結したら全体の勢いは留まるところを知らないだろうな」

「必ずこの東京へやって来る」

「大きな問題を解決するには、大きな決断が必要なる」

オレ
「手を組むことが出来たら・・・初代は石本さんですね」

石本
「その次は・・・お前だ」

オレ
「あははは^^夢のようなお話ですね」

オレはブランデーを飲んだ。純子ママが新しいのを作って出した。

石本
「で、咬龍は見せてくれるか?」

オレ
「わかりました」

石本
「くくくっ^^面白しれーなー(笑)」

酔うとその人物の本性が出ると言うが、普段は温厚そうなこの人もまだギラギラとした欲望を持っているヤクザだった。

日本の中心である東京、赤坂・・・そこに本部を置くS会の会長。今はいい関係を築く必要があった。


▼25時・・・赤坂「桜井」


石本氏と別れた後、松井と洋子の3人で桜井の「離れ」に入った。紗也乃が挨拶に来たので洋子を紹介した。紗也乃は笑顔で応え下がった。

そして松井と洋子に事の次第を説明した。

松井
「それにしても面倒な事になりましたね」

オレ
「まー急速に接近し過ぎたから用心して調べたんだろうけど(笑)」

洋子
「ユーイチさん。危なくないんですか?」

松井
「洋子ママ。ムーさんにはヤクザの部下はいるけど、ただそれだけです」

「いろんな意味でそういう付き合いが少し必要なだけです」

「ムーさんはヤクザではありませんから大丈夫ですよ」

洋子
「はい。」

オレ
「今日はもう遅い(笑)また明日にしよう。」

「松井もここに泊まっていけよ部屋はあるから」

松井
「いえ。オレはクォーリーに帰ります。また明日の朝こっちへ来ますから」

「それじゃーお先に失礼します」

オレ
「おう」

洋子は立ち上がった。どうやら見送るらしい。松井は固辞したが洋子は玄関まで!と言って一緒に部屋を出て行った。

オレは掘りごたつに脚を入れたまま寝転んだ。背中が伸びると背骨が音を立てて伸びるのがわかった。ちょっと体がなまってきたかも知れない。近くのフィットネス・ジムに通おうと思った。

洋子が戻って来た。

洋子
「お布団敷きますね」

オレの脇を通り奥の部屋の襖を開けてそっちへ入っていった。この部屋で紗也乃以外の女と寝るのは初めてだった。

洋子
「疲れたでしょう?着替えて休んでください」

オレ
「うん」

オレは立ち上がって隣の部屋に入った。布団が二組敷かれていた。その枕元に小さな行灯のような照明がほのかな灯りを放っていた。

オレはスーツを脱ぎ始めた。洋子が前に来てそれを手伝った。下着だけになると浴衣を後ろからオレに着せた。そしてその上に丹前を着せた。洋子はまだ店に出ていたままの和服姿だった。

一昔前の男と女の情景のようで、オレは自分がひどく年を取ったような感覚に襲われた。

オレは洋子の手をとって布団の上に座らせた。オレは胡坐を組んで座った。浴衣の前が広がった。無造作に下着を脱いだ。少し大きくなっているオレのモノが露出した。

オレは洋子の肩を持って股間に誘った。

洋子はオレの股間に上体を沈めてオレのモノをすぐに口にした。舌を使い口に含み軽く上下運動を行う。オレのモノは瞬間的に反応して怒張した。オレは洋子の尻を触り力強く尻を撫でた。

すぐに我慢できなくなって洋子の着物の裾をたくしあげた。そして股間に手を伸ばしたら・・・洋子は下着をつけていなかった。草むらの下の穴へ指を這わせた。少し乱暴にヒダを開いて穴に指を入れた。

洋子
「うっ」

洋子の体をオレの膝の上に乗せた。股間を少し開かせた。着物の前から手を入れてよく濡れている穴に指を突きたてた。

洋子
「あーーー」

オレ
「今はまだお前の昇龍は誰にも見せない」

洋子
「はい」

オレ
「いつか誰かに見せながらお前を素っ裸にして後ろから犯すぞ!」

洋子
「あーはいっ」

オレ
「着物を脱いで裸になってくれ」

洋子
「はい」

洋子はゆっくりとした動作でオレの膝から離れて布団の外へ立った。そして着物の帯をとり着物を脱ぎ落とすようにして裸になった。

オレ
「オレの昇龍をみせてくれ」

洋子
「はい」

洋子は後ろを向いてしゃがみ片膝立ちになった。白い体がわずかな灯りで浮かび上がり「昇龍」が駆け上がるような迫力でこっちを睨んでいた。

オレはそれを暫く見ていた。

オレ
「おいで」

洋子
「はい」

オレはそのまま布団に仰向けに寝そべった。洋子はオレの体を跨ぐようにしてオレのモノを自分の股間にあてがった。そして腰を落とした。

洋子
「うぁーーー」

オレのモノは洋子の女の穴にくわえ込まれた。洋子の上半身が伸び上がった。オレは下から洋子の乳を両方の手で持った。洋子はバランスをとるためにオレの手を持った。

オレ
「洋子。腰を使って」

洋子
「はい」

洋子の腰はゆくりと動いた。すぐに声が漏れて腰の動きがとまった。

洋子
「あーすみません動けない・・・」

オレ
「感じすぎて動けないんだな?手をついてかぶさって」

洋子はいわれた通りにオレの肩の横に両手を付いた。

オレ
「膝を前に出して・・・」

オレは洋子の腰を持って動かしながら自分の腰を使った。徐々にオレのモノは洋子の穴の奥深くまで入っていった。

洋子
「あぅ あぅ あぅ」

オレ
「そんなにいいか?」

洋子
「あーはい。あーいいです」

オレはゆっくり出し入れしながら下から責め立てた。洋子は声を上げながらオレの名を呼び喜び続けた。

体を入れ替え洋子を下にしてオレは洋子に乗りかかった。太ももを持ち上げて脚を抱えるようして大きなストロークで出し入れした。

洋子
「あぅーあーーー」

オレは徐々にスピードを上げて洋子を責め立てた。洋子は膝を曲げて脚を開き穴をいっぱい前に出すようにしてオレのモノを貪欲に咥えようとした。

洋子
「うぁーあーーーあーーーあーーー」

洋子の体が反り返り顎が突き出され大きな声をあげていった。オレは尚も激しく責め立てた。

洋子
「あっあーーーあーーーあーーー」

洋子は立て続けにいった。それまできつくオレのモノを締め付けていた洋子の穴はその奥が少し緩み熱いものが溢れ出てきた。そしてぐったりと失神したように洋子の体から力が抜けた。

オレは洋子の体から降りて隣に転がった。そして洋子を横抱きにしてその体を引き寄せた。脚を絡ませて腰の辺りを持って抱いていた。

洋子
「うぅーうーーー」

まだ声が漏れて洋子の腰は動きオレの脚を股間で挟んでその快楽を味わっている。オレは洋子の股間に手を入れて穴の付近を強く押しながらその穴から快楽を逃がしてやった。


▼1月18日・・・クォーリーオフィス

小林
「お疲れ様です^^」

オレ
「おう^^あー佐和子^^帰ってきてたのかー!」

事務所に入ると佐和子がパリから戻って来ていた。オレは佐和子に近づいて抱き付いて匂いを嗅いで軽くキスをした。

佐和子
「ただいま戻りました^^」

オレ
「うん。疲れただろう^^十分休んでからでいいぞぉー」

佐和子
「はい。大丈夫です(笑)」

オレ
「そうだ昼は和食食いに行こう!どう?」

佐和子
「はい^^ありがとうございます」

オレ
「うん♪」

ちょっと大げさにはしゃいだかな?と思いながらも久々に佐和子の顔をみたらオレは嬉しくなった。

オレ
「じゃーオレはちょっと着替えてくるよ」

オレは事務所を出て自室に入った。ジーンズとTシャツそれに革ジャンを羽織った。そしてリビングに戻った。

ドアがノックされ小林が入ってきた。トレイに珈琲を乗せていた。オレは奥のデスクの前に座り郵便物を見ていた。

小林はテーブルに珈琲を置いてフレッシュ・ミルクを入れてスプーンを使った。

小林
「どうぞ^^」

オレ
「うん。ありがとう」

小林
「佐和子さん帰って来て良かったですね」

オレ
「ん?あーそうだな(笑)」

小林
「今夜、Maggieの新しい店に行ってきていいですか?」

オレ
「ん?まだ行ってなかったか?」

小林
「はい。ちょうど年末年始はパリへ行ってましたから」

オレ
「そうだったな。オレもまだ1度しか行ってない(笑)様子を見てきてくれ^^」

小林
「はい^^」

小林はトレーを持ってオレの部屋を出た。Maggieの入っている六本木のビルの1階下にMaggie Barを作った。Maggieより少し落ち着いたデザインでオレたちが遊ぶ店にしたつもりだったが、ここもいっぱいでふらりと行って自由に席を確保するのが難しいぐらい流行っていた。

まだまだ六本木には可能性があった。

佐和子と昼食をとって佐和子の部屋に行った後・・・関西へ向かうつもりでいた。


▼1月20日・・・神戸市民病院


受付で病室を確かめて、病棟内を迷いながらも目的の病室へたどりついた。入り口の前で立ち止まり、スーツの襟を治してバラの花束を整えてドアをノックした。

中から人の気配がしてドアが開いた。

由紀
「ユーイチ^^」

オレ
「よっ!^^遅くなってごめん(笑)」

由紀
「ううん。どうぞ入って」

オレ
「おう」

ドアの前には白い布製の衝立があり、その向こうにベッドがあった。おばさんはベッドにもたれながらも体を起していた。

オレ
「遅くなってすみません^^」


「まーやっと来てくれたのね(笑)赤いバラ楽しみにしてたわー」

オレ
「あははは^^いつも代わり映えしなくて(笑)」

オレは叔母さんに赤いバラの花束を渡した後、由紀が用意してくれたイスに座った。もうひとつ、ハイジのバームクーヘンを由紀に渡した。


「肝臓の数値が前からよくなくてとうとう入院させられてしまったのよ」

オレ
「退屈でしょうけど、ちょっとゆっくりすればすぐに良くなりますよ」

「そしたら今度こそ皆で温泉に行きましょう^^」


「そーね^^それを楽しみに大人しくしてるわ(笑)」

由紀
「東京はどう?」

オレ
「うん。向こうはこっちよりやっぱりちょっと寒いな(笑)」

「でもまー満さんとメシ食ったり銀座で飲んだり楽しくやってるよ」

由紀
「きっと思い切り二人で遊んでるんでしょうねーいいなー(笑)」


「そう^^きっと楽しくやってるとは思ってたけど、安心だわ」

オレ
「満さんのレストランも流行ってますし、また今度新しい店も出すみたいではりきってますよ」

「そうだ1度東京にもみんなで来て下さいよ^^」

由紀
「そーね!退院したら東京もいいかもね」

オレ
「是非^^ディズニーランドもあるし(笑)龍二も喜ぶぞー^^」

オレは他愛のない話をして30分ほど居て病室を出た。由紀が一緒に出てきた。その階のフロアーに小さなロビーがあり、そこに座ってオレは様子を聞いた。

由紀
「ほんとはあまりよくないの」

オレ
「そう」

由紀
「慢性の肝炎だからちゃんとクスリを飲んで大人しくしていないとダメなんだけど、家に居たらクスリを飲まなくて・・・」

オレ
「まーこれをきっかけにクスリを飲んで規則正しい生活習慣になれば大丈夫さ」

由紀
「うん。早く退院してほんとに東京いくわ(笑)」

オレ
「おう」

オレは由紀と軽く抱擁をして病院を出た。1月にしては気温が高く、天気も良かった。オレはタクシーに乗って本家に向かおうか?と思ったが・・・止めた。そして新神戸駅から新幹線に乗って東京へ戻ったが・・・

それから4日後の夜。由紀から急遽電話がありオレは松井の運転で東名高速を飛ばして神戸に向かった。途中、車に電話があり、間に合わなかった事を知らされた。3代目姐・・・と呼ばれたおばさんが亡くなった。

オレは、声も出ずただ涙だけが流れた。


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