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リフレインが叫んでいる


松任谷由美:「リフレインが叫んでいる」

Still Crazy For You以降このひとのCD買ってないなーDVDは面白そうだ。


1986年2月-----------------

2月3日・・・

ベンツ500SLを芦屋駅前の駐車場に停めた。新築したホテル「竹園」の隣のビル。1階にカフェ「ブラームス」がオープンしていた。オレはサングラスをかけたまま店内に入り奥のカウンターに向かった。ゆったりとした席、明るい店内。芦屋によく似合った店だと思った。

ヨーコ
「いらっしゃいませ^^」

オレ
「おう^^」

オレはサングラスをはずしてカウンターに置いた。すぐに水とおしぼりが出された。オレはそれを使った。

オレ
「うん。すっかり芦屋のママに見えてセクシーだなー^^」

ヨーコ
「ヒロにそんな風に言われると恥ずかしいじゃない(笑)」

オレ
「どーして?ここは本山じゃないんだからいいじゃないか^^」

ヨーコ
「あおやまの常連さんだった人たちも来てくれるのよ」

オレ
「ふむ。電車で一駅だからな^^こっちの方が開発が進んで活気もあるし」

ヨーコ
「そーね^^すごく便利でいいフインキのお店がいっぱいでまだまだ賑やかになりそうよ」

オレ
「それは楽しみだな^^」

ヨーコはオレの横に立って珈琲を置いた。そしてそれにフレッシュ・クリームだけを入れてスプーンを使い再度オレの前に置いた。

オレ
「ありがとう^^」

ヨーコ
「(笑)」

ヨーコはオレの隣に座った。オレはヨーコの耳元に顔を近づけて言った。

オレ
「まるでオレの女みたいたぞっ!(笑)」

ヨーコも同じようにした。

ヨーコ
「昔からそうじゃない(笑)」

オレ
「あははは^^そーだったのか?知らなかった(笑)」

オレは珈琲カップを持って口にした。

ヨーコ
「ダンナがうろたえて大変なの^^」

オレ
「どういう事?」

ヨーコ
「私がちゃんと就職した形になっていっぱいお給料貰って、それに真っ赤なベンベでしょう?今になって御機嫌とろうとするのよ」

オレ
「そう^^」

ヨーコ
「でももう遅いっ!って離婚届突きつけて、ヒロが用意してくれたマンションにもう引越しちゃった(笑)」

オレ
「いいのか?それで」

ヨーコ
「ヒロの言う通りよ!私を舐めてたのね(笑)」

オレ
「ははは^^元気が出てきたじゃないかヨーコ」

ヨーコ
「そうだSRのエンジンがイカレちゃったの」

オレ
「えっ?」

ヨーコ
「ラジエターホースの取り付け口が根元から折れて・・・白煙もうもうでエンジンがアウトなのよ」

オレ
「あははは^^とうとう寿命が尽きたんだな(笑)」

「そういう意味では、もうSRはその使命を果たしたから、これで引退だな」

ヨーコ
「いいの?」

オレ
「これからは赤のベンベで走り回れ!ATだけどな(笑)」

ヨーコ
「うん^^」


▼13時・・・六麓荘自宅


玲子
「ほとんど改装工事も終わっていい感じになったでしょう?」

オレ
「うん。クラシックな面影を残しながらモダンになった。沢木さんもよく勉強してるなーさすがだ(笑)」

玲子
「あらっ!期待通りでしょう?」

オレ
「期待以上にびっくりさせてもらう部分もないと(笑)」

玲子
「そう^^」

老巧化していた部分の改修と、リビングや寝室、風呂場等を大幅に手を入れたが、全体のデザインは壊れていなかった。それどころか元々こういう風になってなかったのがおかしいと思うぐらい合理的で使い勝手の良いレイアウトになっていた。

沢木デザイン事務所も昨年末に東京オフィスを開設して、本格的に動き出した。すでに前田が開発関連でいくつかの店舗デザインの仕事を回していた。うちの関連と含めるとすでにフル稼働状態になっていた。

玲子
「ねーユーちゃん。お願いがあるんだけど」

オレ
「ん?何?」

玲子
「私も東京に遊びに行っていいかなー?」

オレ
「うん。落ち着いたらちゃんと招待しようと思ってた」

玲子
「ほんと?!じゃー行っていい?」

オレ
「裕人も裕美もディズニーへ連れて行ってやるよ^^」

玲子
「それは嬉しいんだけど・・・ひとりで行きたいの」

オレ
「えっ?じゃー子供はオフクロに預けるのか?」

玲子
「ううん。おかーさまには二人は無理。洋子ちゃんが預かってくれるって言ってくれてるの」

オレ
「あっそう」

玲子
「3日間ぐらい行ってもいいかな?」

オレ
「オッケー♪東京での生活や店を全部見せてやる(笑)ふたりだけで過ごそう」

玲子
「嬉しい^^ありがとう」

昨年5月に日本に帰って来てわずかしか玲子とは一緒に居なかった。そしてオレの東京進出でバタバタして、義務的にはこっちへも帰っていたが、子供中心の家庭の中で玲子とふたりでゆっくり過ごす機会は皆無だった。

そういう意味ではそんな風にふたりで過ごす時間も必要だとオレ自身感じていた。

オレ
「さっきヨーコの店に寄って来た」

「やっと本来のヨーコに戻ったようで、嬉しかったよ」

「色んな批判もあるだろうけど・・・そうしたかったんだ」

玲子
「うん。私もわかってるつもりよ!ヨーコさんにもあなたの事で私に気を使わないで!ってお願いしてるし私達は大丈夫よ」

オレ
「そう^^ほっとした」

玲子は抱き付いてきてキスをした。オレたちは寝室に入り久々にきついセックスをした。寝室から続くふたりだけの風呂に一緒に入りオレは東京の事を色々話した。

夕方になって裕人を幼稚園に迎えに行き、裕美が週に3日行っている民間の保育園に迎えに行った。そして、ファミレスで食事をして自宅に戻ってオレはそこで過ごした。


▼翌日・・・18時・・・ミナミ「ギャラクシー」


オレ
「じゃー杏子はもう店を辞めたのか?」

千昌ママ
「はい。すでに入籍して芦屋のマンションでご一緒に暮らしてます」

理恵
「3代続いているお医者さまの奥さんに納まっちゃったんだ?」

千昌ママ
「ご本人たちは大層幸せそうでしたけど・・・」

理恵
「ユーちゃんには困った結果よね?」

オレ
「いや、すでに離婚は成立してるしこの事はもう解決している。」

「元の奥さんは今じゃうちのニューヨーク・ママをやってくれいて留学生たちからも慕われているし」

理恵
「ユーちゃんが離婚するように奥さんを説得したんでしょう?」

オレ
「えっ?」

千昌ママ
「この間、広田さんがご挨拶にいらっしゃった時にそんな事をおっしゃられていましたから」

オレ
「なっ何を?」

理恵
「ユーちゃんには娘どころか嫁までお世話になって・・・本当に感謝してる」

「そうおっしゃられていたわ」

「ユーちゃん。広田さんの奥さん。抱いたんでしょう?」

千昌ママ
「うっウソーーー!」

オレ
「いや、それは誤解だ。」

「オレは芦屋に閉じこもって一人で居るよりも、娘のヒロミちゃんと一緒にニューヨークで新しい生活を始めてみないか?ってアドバイスしただけだ」

理恵
「松村さんのリョーコちゃんのエステで見かけたのよ」

「あの奥さん年だけど、急に磨きがかかって色っぽくなってたもの」

千昌ママ
「オーナー!そうなんですかー?」

オレ
「ははは^^確かにリョーコのところのエステやスタイリストも紹介した(笑)」

千昌ママ
「そんな・・・私はオーナーとは未だなのに」

オレ
「だからーしてない!って(笑)」

理恵
「千昌さん。はしたないわよ(ーー;)」

千昌
「でもー悔しいじゃないですかー」

オレ
「しょーがねーなー(笑)じゃー誤解を解くためにも、千昌と・・・」

理恵
「ダメっ!!!ユーちゃん。千昌は入れ込むタイプなんだからっ」

千昌
「あーーーんっ!ユーちゃん^^」

高校時代から知っているユーコの友人のヒロミ、すったもんだの末、彼女らはニューヨークに語学留学に来た。そしてヒロミは再度NYへ今度は本格的に音楽留学をしに来た。それを実現させるためにオレはヒロミの両親に会い説得した。そして両親も何度もNYへ来て家族ぐるみの付き合いができるようになった。

オレはヒロミの親父と仲良くなり、帰国してからもクラブやソープに行って遊んだ。そしてヒロミ親父は、うちの店「ローズマリー」のホステスに入れあげるようになってしまった。

気付いた時には、すでに時遅しでどうにもならなかった。ヒロミママは頑なに離婚に応じなかったが・・・オレはヒロミママを抱いた。

結果的に離婚を応諾して、娘であるヒロミの居るmar'sNYへ行き一緒に暮らし始めた。そして今ではすっかりmar'sのニューヨーク・ママとして留学生たちからも慕われていた。

人の出会いと別れなんて、誰にも予測出来ないし、またその形はいつでも自在に変化する。たった1度のセックスで精神が救われる事もあるんだ。もっともオレはあくまでもヒロミママの名誉のために否定し続けたが(笑)


▼19時・・・ミナミ「菊水亭」


メシを食うつもりで理恵と一緒にギャラクシーを出たら、理恵に「菊水亭」のはなれに連れ込まれた。

豪華な夕食が用意され、ビールと酒が出た。

理恵
「ユーちゃん。どうぞ^^」

オレ
「おう^^」

理恵は熱燗を持った。オレは備前のぐい飲みを持ち酌をしてもらった。そして理恵にお同じようにした。

理恵
「かんぱぁ〜い♪^^」

オレ
「かんぱい^^」

菊水亭のはなれの部屋からは庭がよく見える。冬枯れの木々はそれなりに風情があり、ここがミナミのど真ん中である事を忘れさせた。まるで理恵とふたりで湯治に来たような気分になった。

オレ
「前にオレが刺された後ふたりで行った温泉気分だな」

理恵
「そーね^^あの時は大変だったわー」

「ユーちゃんが死んだら私も死のうと思ってた」

オレ
「なっ何を言い出すんだ(笑)」

理恵
「だってあの時は私もボロボロの状態で、やっとユーちゃんに助け出してもらったばっかりだったし」

「この子が死んだら・・・私はもうひとりで生きていけないって思ってたもの」

オレ
「そう。。。」

理恵
「最近どんどんユーちゃんが好きになっていくのよ」

「そこいらの小娘みたいに・・・」

「今まで他の女の事なんか全然気にならなかったのに、どうしよう(泣)」

オレ
「あははは^^プロ中のプロのオンナ「青い龍の女」がどうしたんだ?」

理恵
「お願いだからもうプロの女は相手にしないでー」

オレ
「あらっ?シロートはいいのか?」

理恵
「それもイヤだけどまだ我慢できるから」

オレ
「プロの女・・・現役はもう理恵ちゃんしか居ない」

理恵
「理沙の事・・・気付かなくてごめんね」

オレ
「・・・」

理恵
「未だに信じられない。あの理沙があなたから離れていったなんて」

オレ
「冬の寒い朝に「蒼い蝶」は飛んで行ってしまったんだ」

理恵
「咬龍はあなたに絡みついて絶対に離れないから!」

オレ
「うん。理恵は永遠だ^^」

「もし理恵が居なくなったら・・・オレはまたひとりで何処かに消えてしまうよ」

理恵
「あーユーちゃん。好きよぉー」

理恵は抱き付いてきた。ここんとこ理恵はよくこんな風に甘える。この間、東京で咬龍を見せた。

理恵はいつものように素っ裸になった。

オレはただその姿を見せるだけのつもりだったのだが・・・人前で素っ裸になっている理恵が愛おしくて堪らなかった。オレは服を脱ぎ同じように裸になって理恵を後ろ抱きに犯した。

理恵を見世物にするなら、オレ自身も見世物になる。

石本氏は異常に興奮してオレの隣に並んで理恵の背中の咬龍を見ていた。そして一緒に来ていた純子ママをオレの隣で同じように犯した。オレは純子ママの背中にいる伏龍が暴れるのを見たが・・・

オレ
「今日はここで泊まろう^^」

理恵
「うん^^はいどうぞ♪」

理恵はオレに酌をし続けた。旨い酒だった。

オレはあの時の事を思い出した。オレの隣で石本氏に突っ込まれながら悶えていた伏龍の女・・・ずっとオレの心に叫んでいた。

「まだよまだ私の龍は起きてない」

「あなたが起して伏龍を」

「お願い」

オレは伏龍を見ていた。女のいう通り、最後まで龍は目覚めなかった。


▼翌日・・・ミナミ・スカイオフィス


10時・・・

本橋
「香のおかーさんですが、大したことはないと言ってましたけど一応入院したようなので、暫く実家に居るって電話がありました」

オレ
「そっか。まー持病もあるから用心に越したことはないな」」

本橋
「明日にでもお見舞いに行ってきます^^」

オレ
「そっか悪いな^^」

オレは本橋が入れてくれた珈琲を飲んだ。そしてキャメル・ライトに火を点けた。

本橋
「刈谷から電話がありました」

オレ
「ん?なんて?」

本橋
「来月、結婚するそうです」

オレ
「えっ!」

本橋
「コロラド出身のアメリカ人でサンタモニカでエンジニアとして働いているごく普通のサラリーマンだそうです」

オレ
「そう。。。」

本橋
「それで仕事を一応辞めたいから、誰か責任者を寄越して欲しいと言ってました」

オレ
「ふむ」

昨年、紗也乃と一緒に東京赤坂の「桜井」に入って若女将をやっていた刈谷だったが・・・やはり合わないらしくサンタモニカに戻って従来通りカフェの責任者として働いていた。

本橋
「ムーさんには迷惑ばかりかけてごめんなさい!って伝言を頼まれました」

オレ
「バッカヤローが(笑)」

本橋
「でもモトコもサンタモニカの生活が合ってるようで、明るく幸せそうに結婚の事言ってましたよ」

オレ
「そっかー幸せになって欲しいなー」

本橋
「はい。浜田さんにもこの間会って同じように刈谷からの伝言を伝えました」

「ショーヘーあなたも頑張って!って(笑)」

オレ
「あははは^^ショーヘーは何て言ってた?」

本橋
「黙って難しい顔をしてました」

オレ
「そっか。近くに居るのに、あいつとも最近会ってない・・・」

オレは灰皿にキャメルを押し付けて消した。

オレ
「じゃー午前中の新幹線で戻るからもう出るよ」

本橋
「はい^^」

玄関まで本橋は見送ってくれた。オレは本橋を抱いて感情をたっぷり込めたディープなキスをした。本橋の体がピクンと反応して力が抜けていくのがわかった。オレは溜まらずに服の上から本橋の乳を揉んだ。本橋は抵抗しなかったが、ゆっくりとオレの体から離れた。

オレ
「本橋。いつもありがとう^^」

本橋
「・・・」

ぼぉーとしている本橋を後にしてオレはスカイマンションを出た。タクシーに乗り新大阪まで行って、新幹線で東京へ戻った。


▼2月13日・・・


南青山クォーリーオフィス

オレ
「媒体計画と販促は斉藤に任せる」

「関西以西の販売チャンネルは松村屋さんのルートに乗せる」

「関東とそれ以北の販売計画については、横山と佐和子で検討してくれ」

「他に何か?」

斉藤
「予算案は先に出しておいたのでいいのかな?」

オレ
「ああ。一応オッケーだ。それ以外にもスポット的に何かあれば言ってくれ」

斉藤
「うん。今のところない」

横山
「関東以北は基本的には直販ですよね?販売代理か卸は必要ありませんよね?」

オレ
「ジョエル・ブランド以外のモノもすぐに出てくると思う。その事も頭に入れといてくれ」

佐和子
「販売代理や卸はジョエルに限っては行わないけど、それ以降のブランドについては有り得るからそういう申し出があった場合は考慮しろ!という理解でいいですか?」

オレ
「うん(笑)」

「他には?」

「無いようだったらコレで終わろう」

オレは事務所のミーティングテーブルから席をたって710号の自室へ戻った。いよいよ3月からジョエルの春夏物の販売が本格化する。すでに生産体制に入っていた。モノは着々と出来上がってきていた。

ドアがノックされ声がかかって横山が入って来た。多くのファイルを抱えてオレの座るテーブルの方へやってきた。そしてそのファイルを置いた。

横山
「一応目を通しておいて下さい」

オレ
「それ全部か?」

横山
「はい」

「ムトー商会、分社化のプラン」

「大阪統括の人事と各店舗の人員一覧」

「東京店舗の人事一覧」

「不動産部門の再編プラン」

「東京新規出店事業計画」

「大阪新規出店事業計画」

「後は税理士の方から来月の決算に向けた調整プラン」

「業務方はこんなもんですが、その外に」

「遠山氏「作品展示会」のスケジュール」

「次年度の芸大留学生の候補資料」

「その他、松村財団関係の資料が届いてます」

オレ
「松井と小林は?」

横山
「松井さんは六本木の物件を見に行ってます。その後、Maggieでバイトの面接があります」

「小林は来月の遠山展の打合せで三越百貨店に行っています」

「沙耶ちゃんは九州のショーに行ってますので、昼飯を食うのならオレか佐和子さんです(笑)」

オレ
「で、何を食うんだ?」

横山
「できれば、「桜井」で^^」

オレ
「じゃー行こう(笑)」


▼12時・・・赤坂、料亭「桜井」はなれ


横山
「おめでとうございます^^」

オレ
「・・・」

横山
「すみません。もう聞いちゃいました^^」

オレ
「ははは^^面と向かってそう言われるとなんの事かと思うじゃないか」

横山
「だって、オレ嬉しいから(笑)」

オレ
「ありがとう(笑)」

横山は何でも知ってる。キョーコが妊娠した事をすでにキョーコ自身から聞いたのだろう。オレはキョーコの前では喜んだが、実際には複雑な心境だった。横山はそんなオレの心境を察しているようだった。

横山
「服飾デザインの専門学校へ行きながら出産準備ですからちょっとアレですけど、これで完全に仕事をオフにすればいい状態ですよ^^」

オレ
「でもあいつも30だからなー(笑)」

横山
「マルコウってやつですか?今時そんなの関係ありませんよ^^キョーコさんは普段からフィットネスもやってるし、食事管理も怠りないしそういう意味では健康管理ができてますから心配ありません」

オレ
「なんでもよく知ってるなー(笑)」

横山
「当然です(笑)」

紗也乃が昼食を運んできた。表の創作日本料理「さくらい」のメニューと同じように見えたが、こっちの方が膳が一回り以上大きく豪華に見えた。

紗也乃は料理を簡単に説明して部屋を出た。

オレ
「刈谷の事は聞いたか?」

横山
「はい。今月末に交代要員を手配して送り出す予定です」

オレ
「まー店の方は問題ないとは思うけど・・・」

横山
「刈谷の結婚・・・反対ですか?」

オレ
「いや、オレはそういう事に反対や意見をする立場にない。ただ、気にかかるだけだ」

横山
「あいつとは同期ですからオレも気にはかかるんですけど、失敗してもいいじゃないですか!(笑)また帰って来れば」

オレ
「わかった。刈谷が失敗して戻ってきたら、お前が刈谷の面倒みてくれるんだな?(笑)」

横山
「なっ何でオレなんですか(笑)」

オレ
「オレはお前と刈谷が漫才をしてるのを見るのが好きなんだ(笑)」

オレたちは昼食を摂りながら細かな打合せをした。そして横山は先に出た。入れ替わるように紗也乃が入って来た。そして一緒に風呂に入り奥の部屋できついセックスをした。


▼18時・・・クラブ「純子」


オレはカウンターをリクエストした。カウンターの中のバーテンにジン・トニックをオーダーした。

純子
「いらっしゃいませ^^」

オレ
「ども^^」

純子
「ボックス席の方へどうですか?」

オレ
「ひとりの時はカウンターがいいんだ。ボックス席で大勢のホステスを相手にするのが苦手で(笑)」

純子
「じゃーカウンターで私と飲みましょ^^」

オレ
「ははは^^嬉しいなー」

純子
「ほんとにこんなに若くてイイオトコなのに、あんなすごい人だとは未だに信じられません」

オレ
「つい調子に乗ってしまって人前であんな事してすみません。ママにまで迷惑かけてしまって」

純子
「あらっそんな風に言われるとわたしも恥ずかしいわ^^」

理恵の咬龍を見せた後、オレはたまらずに理恵を後ろから犯した。石本氏は純子ママを呼び同じようにした。その時の事を純子ママは恥ずかしいと言ったが・・・実はそうではない事にオレは気付いていたが、知らん顔をした。

バーテンダーはジン・トニックを一旦ホールのウエイターに渡してそれがオレの目の前に置かれた。

純子
「水割りにしましょうか?」

オレ
「ええ。この後で・・・最初の一杯目はジン・トニックと決めてるんで^^」

純子
「なんか拘りがあるようでいいですね^^」

オレ
「昔読んだ探偵小説の主人公がやってた事をマネてるんですよ」

純子
「あらそうなんですか^^」

確かにそれはそうなんだが、その店のバーテンダーの力量ですべてが分ると言う意味もあった。ここのジン・トニックは大した事なかった。銀座の一流クラブと言ってもこの程度なのだと、判断した。

さっきから背中や胸周りがチリチリとしてた。ソレに意識を向けると小さく囁くような声とも言えない声が聞こえた。

「殺されるかも知れない。気をつけて・・・」

純子
「あの方、理恵さん。っておっしゃいました?すごい人ですね」

オレ
「そうですか?」

純子
「頑なにブロックされていて入れませんでした。今までそんな事なかったんですけど・・・さすが龍の女ですね」

また小さく囁くような声が聞こえた。

「早く帰って危ないから・・・」

オレはジン・トニックを飲み干した。

オレ
「ブランデーの水割りを^^」

純子
「あっ気付きませんで申し訳ございません」

純子ママはウエイターにブランデーセットをオーダーした。オレはママにも勧めた。

オレ
「理恵とは6年ぐらいなんですけどね^^愛し合ってるものですからいつもあんな風に熱くて(笑)」

純子
「愛し合ってる?」

オレ
「おかしいですか?」

純子
「いいえ。ちょっと意外に思えましたから」

オレ
「あーオレと年が離れている事がですか?」

純子
「それもあるかも知れませんけど・・・」

オレ
「あはっ!オレはスケベだから他にも女居るんですけど、なんとか理恵には容認してもらってます(笑)」

純子
「そうですか^^理恵さんは幸せなんですね」

オレ
「さーよくわからないところもありますけど、オレの前ではいつも御機嫌に振舞って居てくれるので、オレは嬉しいくてたまりませんけどね」

純子
「ムトーさんは不思議な人ですねー^^」

オレ
「すみません。ちょっとトイレを^^」

オレは席を立ってトイレに入った。用を足して出てくると純子ママがオシボリを持って立っていた。そして今度は声に出して言った。

純子
「危険なんですはやく帰って・・・」

オレ
「ちょっと電話を貸して下さい」

オレは店の無線電話を借りてシャングリラに電話を入れたそして松井にこっちへ来るように伝言を頼んだ。オレは受話器を返してカウンターに戻った。

純子ママはオレを睨みつけるように見ていた。

オレ
「ママは笑ってる顔の方がステキなのに^^」

純子
「わからない人ですね」

オレ
「わかってますよ(笑)ちょっと手を^^」

純子ママはカウンターの上に片手を置いた。オレはそれに自分の右手を重ねるようにして握った。

純子
「あっ」

オレは心の中で感じている事を伝えてみた。

「ありがとう心配してくれて」

純子ママは驚愕の表情でオレをみた。

純子
「あなたやっぱり・・・」

オレは再び伝えた。

「大丈夫。心配ない」

純子
「そんな・・・」

オレ
「あーママの手に触れてるとすごく安心するなー^^」

純子ママ
「全部わかってたのね」

オレは手を離して水割りのグラスを持ってそれを飲んだ。後ろの入り口の方を見た。松井がやってきた。

オレ
「じゃー連れが来たので帰ります^^」

オレはクレジットカードを黒服に渡して精算してもらった。そしてママに見送られて店を出た。松井が並んで歩く

オレ
「気をつけてくれ!狙われてるらしい」

松井
「了解」

松井は少し離れて歩いた。オレはゆっくりと歩道を歩いていた。勤め帰りのサラリーマン。若いカップル。学生風の団体。通りは混雑していた。

正面のひとりで歩いている学生風の男が左から右に動いた。オレの歩く正面に・・・革ジャンのポケットに両手を突っ込んでいた。特に殺気は感じない。

すれ違った。不意に背後でものすごい殺気を感じてオレは左に飛んだ。男の腕が伸びていた。手の先には光るモノがあった。それがすぐに消えた。オレはもう一度後ろへ飛んだ。光る風が目の前を過ったように感じた。オレはビルの壁に背中を打ちつけた。

男が構え直そうとした瞬間、すでに男の後ろについた松井の恐ろしく早い回し蹴りが男のコメカミを捕らえていた。男はゆっくりと人形のようにぶっ倒れた。

オレはナイフを握っている男の手を踏みつけた。そしてその手を後手に捻り上げ革ジャンの襟首を掴んで引き起こした。

男のくぐもった声が聞こえる。

松井
「ムーさん。オレがやります」

オレ
「いやお前は周辺を注意してくれ!こいつはプロだオレがやる」

すでに肩がはずれる一歩手前まで絞りこんである。反撃の余裕を持てない状態にしてあった。松井がナイフを拾って仕舞った。

周囲の通行人は避けるようにしながらもオレ達を見ていた。オレはそいつをそのまま立たせて歩いた。松井は周囲を警戒していた。

交差点の向かい側・・・ビルの隣に駐車場があった。オレはそこへそいつを連れて行った。

オレ
「座れ」


「ぐぅーーー」

オレは男の膝の裏を蹴って座らせた。松井は前に回って身体検査をしている。革ジャンからもう1本ナイフが出てきた。それ以外はジーンズのポケットから裸の現金が出てきただけで何も持っていない。

オレ
「名前は?」


「・・・」

オレ
「しゃべらないと肩をはずすぞ!こんな風に捻り上げてはずすと・・・」

「筋が伸びきって元には戻らない。2度と手があがらなくなるだろうな」

オレは限界まで絞った。


「ぐぁぁぁ」

オレ
「はずした後に半回転させると筋は千切れる・・・」


「やめてくれ・・・」

オレ
「誰に頼まれた?」


「ぐぁぁぁ」

グキッという嫌な音を立てて肩がはずれた。


「ぎゃーーー」

オレ
「名前だけを教えろ。次は捻るぞ」


「うぁーーーいちまつのさかた」

松井
「ムーさん。パトカーがやってきます」

オレはそいつの背中を蹴っ飛ばした。男は腕を背中の上に貼り付けたままその場に倒れた。

オレたちはその場を立ち去った。タクシーを拾って松井と共に赤坂まで行った。そしてそこから暫く歩いて「桜井」の離れに入った。

紗也乃が愛想よく酒の支度をした。

オレ
「ビールだけでいい。日本酒はいらない。あとで呼ぶから^^」

オレは紗也乃にそう言って掘りごたつに入った。紗也乃が下がった。オレは松井にビールを注いだ。松井は慌ててオレにも注いだ。そしてオレはグラスを少し上げた。

オレ
「おつかれ^^」

松井
「はい。お疲れ様でした。

ムーさんにはオレ以外に2名つけます

移動は運転手付きの車でお願いします」

オレ
「大げさにしなくていい」

松井
「ムーさん。アレはムーさんを殺そうとしてました」

「オレは後方を警戒して、前はムーさんに任せてましたけど」

「あんな襲われ方をしたら次は防げないかも知れません」

オレ
「ふむ。知らなかったらやられてたかもな?(笑)」

松井
「それにしても、どうして狙われているのがわかったんです?」

オレ
「教えてくれた。あの女が」

松井
「じゃー相手は・・・」

オレ
「(笑)」

オレは喉が渇いていた。ビールを一気に飲み干した。松井はビールを注いだ。

松井
「石井さんに連絡入れて応援要請します!」

オレ
「・・・」

松井
「どうしました?」

オレ
「そうか!徹底的に大げさにしてしまえばいいんだ!^^」

松井
「えっ?」

オレ
「石井に100人ぐらい警備要員を連れて来てもらおう(笑)」

松井
「えっ!100人・・・ですかっ!?」

オレは松井とその件について詳細を詰めた。大阪にいくつか連絡を入れて明日の午後にはこっちで打ち合わせが出来る状態を作るように指示した。


▼2月14日・・・12時「桜井」

横山
「元、松村屋さんの総務部にいらした正田さんです」

オレ
「わざわざ東京までご足労頂きありがとうございます」」

正田
「いえ。私でお役にたつことなら」

オレ
「実はS会の「いちまつのさかた」って人物を探して調べて欲しいんです」

正田
「東京ですよね」

オレ
「はい」

正田
「ふたりほど大阪から呼んでいいですか?」

オレ
「はい。何人でも呼んでください。もうひとつ。松井アレを」

「そのナイフの指紋を調べて、警察の犯罪者リストと照会できますか?」

正田
「・・・やってみましょう」

オレ
「それから銀座のクラブ「純子」の純子ママの自宅と電話番号も」

正田
「わかりました」

オレ
「費用や必要なモノはすべて用意しますからなんでも言って下さい」

正田
「では早速!」

男は軽く頭を下げてすぐに席を立って部屋を出た。松井は一緒に出て男を送りに行った」

暫くして戻って来た。松井はさっきまで男が居たオレの正面に座った。

オレ
「じゃー正田は横山が担当してくれ」

横山
「はい」

オレ
「松井はとりあえずオレにひっつくんだろう?」

松井
「はい。もちろんです。覚悟して下さい(笑)」

横山
「夕方には石井さんがとりあえず50名連れてこっちにやって来ます」

「翌日にはもう50名来るそうです」

「宿の手配はすでに済んでます」

「事務所用の銀座の物件もすでにリストアップ出来てます」

オレ
「オッケー(笑)」

あの女が知っていたと言う事は当然石本氏の意思だろう。だからと言って石本氏に直接文句を言うわけにもいかない。

石本→幹部→組員→実行犯。少なく見積もってもこのぐらいの指揮系統にはなっているだろう。場合によってはもう少し多いかも知れない。「さかた」と言うのは実行犯の一歩手前だろ。それがS会の人間だったら面白いのだが・・・

オレは表面上は何も騒ぎたてずに日常生活を送る事にした。

夜は銀座の「シャングリラ」と「ブロードウエイ」で純粋な常連客のような顔をして遊んだ。そして、そこには必ず松井が付いていたし、その他にも2名が少し離れて必ず周辺の様子を見ていた。

2月17日・・・


▼18時・・・赤坂「桜井」2F


オレたちは2階の事務室でヘッドフォンを付けてモニターしていた。ドアの開く音がして客が入って来た。石井は愛想よく応対して、テーブルの席を薦めた。すぐに仲居がやってきて珈琲を持って来た。

石井
「どうもわざわざお呼び立てして申し訳ございません」

「石井と申します」

岩崎
「岩崎です」

石井
「東京は関西に比べるとやっぱりちょっと寒いですね。」

岩崎
「そうですか?」

石井
「はい^^まーでもうちはちょっと熱くなってますから、このぐらいの方がいいかも知れませんけどね」

岩崎
「昨日、銀座でちょっと小競り合いがあったようですが・・・」

「石井さんはこちらへ観光か何かでいらっしゃってるんでしょうか?」

石井
「いえ。実は大きな問題が発生してましてね」

「先日、私の兄貴分のムトーが銀座で襲われたんですよ!」

「どうも狙った野郎はプロのようでいきなり有無も言わさず殺そうとしたようなんですよ」

「かろうじて避ける事が出来てたのですが・・・私は心配で心配で、ムトーは嫌がったんですが、うちからボディーガードを付ける事にしました」

岩崎
「そうですか。それで石井組さんが100人も来てるわけなんですね?」

石井
「襲われた件は、ご存知ありませんでしたか?」

岩崎
「ムトーと名乗る人から私あてに電話があったそうですが・・・それ以降正式な連絡がないもので、いたずら電話だと思ってました。」

石井
「そうですか、ムトーは石本会長とも親しいと聞いてましたので、例えいたずらでもムトーの名前が出れば、真偽を確かめる上でも動いてもらえると思ったんじゃないですかね?」

「まーそれはいいとして、ムトーの側近から連絡をもらって私がすっとんで来たわけなんですよ」

「それで色々と調べさせてもらいました」

岩崎
「・・・それで何か?」

石井
「どうも物騒な背景があるようなので、ムトーの警備を恒常的に行う必要があると判断しましてね」

「まっそれで結構な人数なものですから、銀座の近くで消費者金融でもやろうと思って準備を進めている次第なんですよ」

岩崎
「ちょっと待って下さい。神戸のY組の頭補佐をやっておられる石井組さんが、銀座に出てこられるという事ですか?」

石井
「いえ。あくまでもムトーの安全を考えての措置でして、その経費をかせぐための金融業ですわ(笑)」

岩崎
「それはしかしうちのS会でも問題になりますね」

石井
「実は実行犯は、新宿あたりの不良で「岩間」って言うナイフ使いなんですよ。そいつにムトーを襲うように指示したのがS会の市松組にゲソをつけている「酒井正」じゃないかと言う情報があるんですが・・・」

岩崎
「・・・」

石井
「今、懸命にその酒井を探してるんですけどね!ご存知ありませんか?」

岩崎
「何かのマチガイでしょう?有り得ませんな」

石井
「有り得ない!確かですね?S会のS組代貸の岩崎さんの言葉ですよ」

岩崎
「一応こちらでも調べてみましょう」

石井
「一応ですか?(笑)」

「まーその酒井ってのをとっ捕まえる事ができたらデタラメな話だと言う事もわかると思うんですが、岩間に襲われた事実は事実ですから、その背景がわかるまで私としてはムトーを守らなければなりません」

「そういう事情なのでS会の会長にもご理解いただけるのではないかと思っております」

岩崎
「しかしそれとこれとは」

石井
「同じです!岩間は傷害で2度前があるヤツです。今回はコロシを目的にした狙い方です」

「何しろうちは先代をあんな形で失くしてますから・・・神経質になってるんですよ

岩崎
「・・・」

石井
「この件はこの場で了承してもらいます。いいですね!」

岩崎
「ほう。ケンカになっても構わないって事ですか?」

石井
「いきなりケンカですか?(笑)」

「誰もそんな事は望んでいないはずですが・・・」

「うちは今どの組も臨戦態勢でピリピリしてましてね。ムトーのアニキはシロートですが、うちのカシラとも5分の兄弟なもんで心配してるんですよ」

「知りませんでしたか?」

「それに困った事に、うちは始まってしまうとなかなか終わらないんですよ」

暫く沈黙が続いた・・・きっとにらみ合ってるんだろうと思った。

岩崎
「わかりました。すぐに調べて石井さんにお知らせしますよ」

石井
「そうですか!じゃー明日にでも事情を教えて下さい」

岩崎
「今日の明日ですか?」

石井
「ええ。S会の市松組の酒井です。身内なんですから1日あれば調べられるでしょう」

岩崎
「・・・それでは明日、午後にでもうちの本部にご足労お願いできますか?」

石井
「いいでしょう。午後1時にお伺いさせていただきます」

岩崎
「では、そういう事で」

石井
「わざわざありがとうございました^^」

男が立ち上がる気配がした。石井はもうそれ以上は話をせずにその場で別れたようだった。オレは別の階段を使い階下に降りた。そして「はなれ」に入った。すぐに松井と石井がやってきた。

石井
「それにしてもこっちは平和なんでしょうね!」

「マヌケな対応で助かりましたよ(笑)」

オレ
「まー向こうもここまで後手を踏んだら打つ手は限られるしな(笑)」

松井
「市松組の酒井を隠して、知らぬ存ぜぬで突っぱねるんじゃないですか?」

石井
「ところが、もう惚けられないだよなー(笑)」

松井
「もしかしてそいつを?」

石井
「証拠は手に入れてますから大丈夫です。ムーさんは知らなくていいです」

オレ
「おい石井・・・」

石井
「大丈夫です。無茶はしてません」

正田氏の仕事は早かった。ナイフの指紋から相手を特定することができた。オレは石井に連絡取り事情を話してそいつを探させていた。同時に正田はS会の「さかい」を酒井正だと突き止めた。オレはそこまででいいと思っていた。

実行犯の岩間、そして依頼者が「酒井正」という事実をすでに知っている。それだけでよかった。

知らぬ存ぜぬで突っぱねられる事を承知で揺さぶりをかける。それだけの調査力と機動力を持っている。という事を示すだけでよかったのだが・・・

石井はオレに黙って、そいつらをすでに確保しているようだった。


▼23時・・・赤坂「桜井」はなれ


クォーリーマンションの自室に戻って着替えてから「はなれ」に入った。この問題に決着のメドがつくまで、クォーリーの事務所には顔を出さないようにした。そして沙耶やキョーコにも接触しないように気をつけた。夜にはどうでもいい電話を入れて、安心させるように努力もした。

松井
「ムーさん。南青山の710号から隣の母屋の方に移ってもらえませんか?」

横山
「1階でパーティーも開催する事ができますし、そっちで打ち合わせもできます。」

松井
「警備の人間もこっちと行き来できますし、いい状態になると思いますよ」

オレ
「ひとりでウロウロせずにここに居ろって事か?」

横山
「いえ。この「はなれ」と自宅が近い方がオレたちも便利ですし、こっちに集中した方が合理的だと思います」

松井
「セキュリティー工事も自由に出来ますし何があっても安全です」

オレ
「わかった」

横山
「そんな哀しそうな顔しないで下さいよー(笑)」

松井
「それに前田や関川さんが来た時もみんなで泊まれるじゃないですか^^」

オレ
「そーだな?マンションじゃ狭いしそうするか?(笑)」

松井&横山
「はい^^」

「はなれ」は便利だった。常に「桜井」が営業しているので、酒や食事の用意が何人分でも当たり前にすぐ用意できる。紗也乃が居て仲居が居るので、人手も不自由しない。

その隣の家を自宅に使用する事で、より一層便利になる。オレは横山や松井が薦めるようにそう思う事にした。

そして、オレは「はなれ」で紗也乃を抱いて寝た。


▼翌日・・・


紗也乃は朝早く布団を抜け出した。そして朝食は女将の顔で給仕をしてくれた。

事務所にS会の会長である石本氏から電話があったらしいが、打ち合わせ通り「体調不良で休んでいる」という答えで連絡がとれない状態をつくろった。

午前中は「桜井」の顧客資料を調べながら過ごした。

午後、店舗の方のランチメニューが届けられた。これも紗也乃と一緒に食った。


▼午後3時・・・


廊下から声がかかり紗也乃が入って来た。後ろに石井と松井が続いていた。横山が席を移りオレの隣に座った。正面に石井と梅木、松井は横に座った。紗也乃が珈琲と冷たいお茶の用意をした。

オレ
「お疲れ^^」

石井
「でっち上げでなんとか取り繕うとしましたよ」

梅木
「向こうはS会、S組の代貸「岩崎」と銀座を縄張りにしている室戸会の代貸「塩崎」市松組代貸の「大村」の3名が対応しました。こっちは、オレと石井と松井さんの3名です」

松井
「それとムーさんがぶっちめた室戸会の3人が頭を丸めて並んでました(笑)」

石井は順を追ってその様子を話し始めた。


------------------


石井
「じゃーその3人がケンカでやられた腹いせにムトーのアニキの殺しを依頼した!って訳ですか?」

室戸
「いえこいつらがその事を愚痴っていたのを、その下の市松組の酒井が聞いてどうやら勝手に突っ走ったようで、申し訳ございません」

石井
「そのケンカも元はと言えば銀座の一流クラブがひしめくビル内で行儀の悪いチンピラが仕掛けてきたっていう話じゃありませんか!3対1でやられてその腹いせにヒットマン飛ばすとは信じられませんな」

大村
「今、引き続き捜索中なのですが、まだ酒井が見つかっていないのでそのあたりはなんとも・・・」

岩崎
「石井さん。梅木さん。うちの会長から早くお手数をおかけしている事をお詫びして解決するようにと言われてます」

「それでこれはそのお詫びと言う事でお納め下さい」

石井
「金ですか?それですべてなかった事にして欲しいと?」

岩崎
「そうご理解していただけばありがたいです」

石井
「飛田ってのはどいつです?」

室戸
「・・・真ん中にいるのがそうです」

石井
「お前、酒井に「殺ってしまえばわからねーよ!」って言ったそうだな?えっ?」

飛田
「・・・」

石井
「今正直に言った方がいいんじゃねーか?」

室戸
「それは・・・証拠があるんでしょうか?」

石井
「おいおい。聞いてるのはオレの方なんだがな?」

「それに証拠なんてモノが出てきたら大変だろう?そいつら以外からの指示かも知れないし」

室戸
「・・・」

梅木
「岩崎さん。石井も私もムトーのアニキの事だけが心配なんですよ」

「街でケンカしてその腹いせにヒットマン差し向けられるような所じゃ安心して商売もやってられませね?」

「今後の事が具体的に何も提示されず、宝くじに当たったような金を受け取ってもなんの解決にもなりません」

「このままだと、私の組も動員して警備体制を敷くしかありませんな」

石井
「いや、オレの組が丸ごとこっちへ来るよ!オレがムトーの兄貴のボディーガードするよ」

岩崎
「今後はムトーさんにマチガイが起こらないように私どもを含めまして関係先に厳重に対処したいと思ってますので、どうかご理解いただけないでしょうか?」

「この者たち3人は本日付で破門にいたします」

「そして石井さん。これは私の個人的なお願いなんですが、私と兄弟分の杯を交わしてもらえませんか?」

石井
「残念ですが、私の兄貴分はムトーだけなんですよ」

岩崎
「それは全然問題ないんじゃないでしょうか?5分の兄弟なら」

石井
「・・・」

梅木
「お話は伺いましたので、一度ムトーに報告してから後日改めて返事をさせていただきます」


------------------


石井
「向こうも苦しいところですね。非を認めて詫びて、3億の慰謝料で銀座から引き上げてもらおうと言う腹だったんでしょうけど(笑)」

梅木
「でも石井がS会の岩崎と縁を結ぶのは何かといい事だと思います」

「もちろん銀座からは出て行かない条件で(笑)」

松井
「ちょっといいですか?」

オレ
「ん?」

松井
「向こうは杯を交わす代わりに石井組は銀座から撤退して欲しいと言う事なんじゃないんですか?」

石井
「最初はたぶんそのつもりだっただろうな(笑)」

「だが、こっちがすでに裏を知っていると向こうは感じただろう」

「そこまで進んでいる状況では、もう向こうはこっちに何も注文をつけることができない」

「だから石井組は出て行かない(笑)」

松井
「そうですか(笑)」

オレ
「で、ゴローちゃんは何て言ってるんだ?」

梅木
「これはムトー個人の問題として扱うようにと」

「内部的にはムーさんの兄弟のオレたちの好きにしろ!って事です」

松井
「じゃームーさんがこっちでトラぶっても関知しないと?」

オレ
「当たり前じゃないかオレは組の人間じゃないんだから」

松井
「まーそうですけど」

石井
「いえ。今のうちの状況でS会と正面から揉めると内部的に問題になります。しかし、S会の縄張りにどんな形であれ出張できる事はカシラにとっても大きなプラスです」

「それに向こうは絶対にうちとはケンカしたくないでしょうし、非を認めた以上ケンカは出来ません」

「それに頭補佐の梅木とオレが出て行けば、それだけで本家の強い意思の表れだと世間は思います」

松井
「わかりました」

オレ
「じゃー後はいいようにやってくれ(笑)」

石井
「はい。ムーさんの方は大丈夫ですか?」

オレ
「コレで石本さんとオレの個人的な問題になった訳だから後は話し合いでなんとかなる(笑)」

梅木
「何か他にお手伝いできる事は?」

オレ
「ありがとう。悪いがこれは女が関わってる問題だから(笑)」

梅木
「はぁ〜」

その後、オレたちは遅い昼食を一緒に食いながら神戸の状況を聞いた。

後はオレ個人の問題だった。

石本氏がオレを消そうとした理由はひとつだった・・・あの夜。桜井で見せたオレと理恵の情事。その時に咬龍の変化を確かに石本氏は見た。そして自分の伏龍に変化がない事に疑問を持った。

伏龍を手にして15年。石本氏は成功した。しかしそれは純子個人の特殊な才能により相手を何を考えているかを知ることによって、常に先手を打つ事が出来た。それが伏龍の効果だと思っていた。

しかし、純子の様子が変わりオレと寝たがっている事に気付いたのだろう。もしオレと純子が寝て、伏龍に変化が起きたらもう純子は自分のモノではなくなる。伏龍までオレが手に入れればこの先どうなるか?

石本氏はオレに脅威を感じた。それは咬龍と伏龍を手に入れる男に脅威を感じた。だから・・・殺す!そうする事でうまくいけば咬龍も手に入ると考えたのだろう。

それをシンプル且つ大胆な方法で本気で仕掛けてきた。オレは石井組を動員した。こんなに早く対応するとは思っても見なかったのだろう。S会は慌てた。後手に回りすぎている。オレたちの勝ちだった。


▼午後5時・・・


廊下から紗也乃が声をかけて入って来た。

紗也乃
「石本さまがお見えになって、どうしてもムトーさんに会いたいとおっしゃられて・・・」

「とりあえず控えの間にはいってもらってます」

石井
「なんだと?」

梅木
「警備体制は?」

横山
「すぐに用意します」

オレ
「桔梗の間に入ってもらえ!オレは先にそこでまってる」

石井
「ムーさん」

松井
「オレは離れませんから」

梅木
「オレたちは後ろの部屋にでも」

オレ
「大丈夫だ(笑)」

すでに横山は部屋を出て行った。オレは桔梗の間に入って待った。暫くすると紗也乃の声がして襖が開いた。

紗也乃
「どうぞこちらでございます^^」

オレ
「ようこそいらっしゃいませ^^どうぞこちらへ」

石本
「臥せっていると聞いていたのでお見舞い方々やってきた」

純子
「失礼したします」

オレは2人を上座に案内した。テーブルを挟んでオレは下座に座った。

オレ
「少しでも熱が出るとダメな方でさっきまで横になってましたが、もうすっかり回服しました」

「わざわざお見舞いまで頂きましてありがとうございます」

オレは頭を下げた。

石本
「いやーそれにしても驚いた。この「桜井」がムトー君の経営に変わっていたとは(笑)」

オレ
「色々ありまして、このままの形で営業を続ける前提で譲っていただきました」

紗也乃はお茶の用意をした。そしてそれを置いて部屋を出た。

石本
「ムトー君。今回の事は本当に申し訳なかった」

「すべてはワシの不徳の致すところで、ワシの本意ではなかった。マチガイなんだ」

オレ
「そうですか」

オレたちは正面から睨み合った。マチガイで殺されたらたまらない。オレは一歩も引く気はなかった。

石本
「どうだろう。ワシと5分の兄弟分になってくれんか?」

オレ
「・・・」

石本
「そしてこの純子を満足させてやってもらえないか?」

オレ
「それで石井には銀座から出て行けと?」

石本
「ムトー君の兄弟が心配しているのは承知している」

「その件はワシとムトー君が兄弟になれば、そのまま居てくれて構わない」

オレ
「わかりました」

オレは部屋の入り口の呼び鈴を押した。すぐに紗也乃が声をかけて入って来た。

オレ
「すぐに酒の用意を」

紗也乃
「はい。かしこまりました」

オレは席に戻った。

オレ
「純子さんの件は、辞退させていただきます」

石本
「・・・」

オレ
「伏龍が起きなかったらオレは死んでしまいますから(笑)」

石本
「あははは^^」

酒の用意が整いオレはビールを持って石本氏のグラスにそれを注いだ。石本氏は同じようにオレのグラスに注いだ。オレたちはグラスを合わせてそれを飲んだ。

石本
「純子はそうは思っていないようだぞ」

「伏龍を起せる男は君以外にいないと思っておる」

「そしてそうなっても、ワシとの関係は続く。もちろんもう一緒に寝る事はないがな・・・」

オレ
「別に龍が起きようが起きまいがいいじゃないですか」

「これからも愛し合って一緒に過ごす方が幸せでしょう」

「オレはそう思いますけどね」

石本
「伝説を信じてないのか?」

オレ
「オレは理恵がいてくれればそれでいいと思ってます」

純子
「本当に・・・そうでしょうか?」

オレ
「この話はまた次の機会にしましょうよ^^」

石本
「うむ。そうだな(笑)」

それで話は終わった。近い内に手続きを済ませた後にまたゆっくりと話し会う事を約束して石本氏達は桜井を後にした。オレと松井は車に乗り込むまで見送った。

そして「はなれ」に戻った。紗也乃は酒の用意をした。オレたちは全員でカンパイをした。

石井
「それにしても一体どういう心境の変化なんでしょう?」

梅木
「ムーさんを狙ったのは本当にマチガイだったと言う事でしょう(笑)」

横山
「しかしそれはどう考えてもおかしいですよ」

松井
「でも石本さんとムーさんが5分の兄弟になれば世間はそう思いますよね」

横山
「マチガイ・・・殺す事はマチガイだったのかも知れませんが、それに至る原因は何かあるでしょう?そこを解決しない限り、この次も似たようなマチガイが起こるかも知れません」

梅木
「そう言えば・・・純子と言う女も絡んで伝説とか言ってましたよね」

横山&松井
「・・・」

オレ
「ケンちゃんとウメちゃんは理恵の背中を見たことがあるだろう?」

石井&梅木
「・・・はい」

オレ
「高橋と郷田は何故死んだか・・・知ってるか?」

石井
「高橋の兄貴は・・・肺がんでした」

梅木
「郷田の親分は・・・心筋梗塞です」

オレ
「伝説通りだとすると、ふたりともオレのせいで死んだ事になる」

石井&梅木
「そっそんな・・・」

横山
「一体それはどんな伝説ですか?」

オレは龍の伝説の話をした。龍の女を抱きその龍に認められなければ男は3年以内に死ぬ。認められれば「あらゆる成功を手に入れる事ができる」

石井
「じゃーふたりとも龍に認められていなかったから死んだって事ですか?」

オレ
「細かな経緯は抜きにして、伝説ではそうらしい(笑)」

梅木
「その伝説にさっきの女がどう関係しているんですか?」

オレ
「うん。さっきの話でもうオレを狙わない!と言う証が・・・あの女を喜ばせてやってくれ!と言う事に象徴されている」

「あの女も伝説の「龍」を背負っているんだ」

「5分の兄弟なんて世間体だけだ」

「本当の本音はそこにある」

「元々はそれが原因だったんだから(笑)」

石井
「よくわかりませんが・・・とりあえず手打ちにはなったと言う事ですよね」

オレ
「ああ。心配かけたけどなんとか治まった」

横山
「石井さんと岩崎さんの兄弟分の話は生きてるんですよね?」

梅木
「向こうが言ってきた話だからこっちが断らない限り生きている」

石井
「これでムーさんは、西と東のトップと5分の兄弟関係ですね(笑)」

梅木
「それにしてもえらい事になってしまいましたね」

横山
「どういう事でしょう?」

梅木
「もうこの先がまったく読めなくなってしまいました(笑)」

オレ
「まっコレで来月からのジョエルの春夏商戦に打ち込めるな(笑)」

松井
「あっ!そういやそこに3億置いてありますよ」

オレ
「ん?アレはケンちゃんととウメちゃんのシノギだ」

石井
「何言ってんですかー向こうはムーさんへの詫び料として出したんですよ」

「ムーさんが受け取らないと格好が付きませんよ」

オレ
「それじゃーウメちゃんからゴローちゃんに渡しておいてくれ(笑)」

梅木
「ムーさん。オレにそんな気を使わないで下さい」

オレ
「ははは^^じゃーそう言う事でこれからみんなでソープ行くぞ!」

オレたちは吉原へ繰り出した。オレは事前に前田の調べで聞いていた高級ソープへ行き、笑いながら大車輪をして遊んだ。


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