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天城越え


石川さゆり:「天城越え」

いくつかのライブバージョンがある中で、これが一番らしい。^^コンサートのエンディングで歌われるそうな。
1986年3月PART2

11時・・・南青山クォーリーマンションオフィス

オレ
「小林^^3月22日出発でLA空港行き2名分手配しておいてくれ」

小林
「往復にします?」

オレ
「んーそうだなじゃー帰りは28日ぐらいで」

小林
「了解です^^」

横山
「刈谷の結婚式ですよね?誰と行くんですか?」

オレ
「ショーヘーと一緒に行く」

横山
「えー浜田さんも行くんですか?!」

オレ
「なんならお前も行くか?」

横山
「んー行ってやりたい気はあるんですけど、ちょっと無理かなーって」

オレ
「よし!じゃーお前はビデオに撮ってやるから、メッセージ考えとけ」

横山
「ははは・・・ビデオですか(笑)」

オレ
「うん。ちょっと710号を見てくる」

オレはオフィスを出て710号室オレの自室だった部屋のチェックをした。沢木さんにデザインしてもらったままの状態だった。オレの私物はすべて赤坂の家に運び込まれていた。

ここにショーヘーが引越してくる。またオレたちの新しい関係が東京で始まる。それはきっとお互いの為にもいい事だろう。

オレは部屋から沙耶の部屋へ電話を入れたがルスデンになっていた。仕事に出ているようだった。もう1度事務所に顔を出して、オレはタクシーに乗って白金台のキョーコの部屋に行った。


▼12時・・・白金台キョーコの部屋


マンション入り口のオートロックを解除してEVで3階に上がった。そして301号室のアプローチを経てインターフォンを押し、鍵を使って入った。すぐに玄関前にキョーコが出てきた。

キョーコ
「お帰りー^^」

オレ
「おう^^ただいまっ!」

オレはキョーコを軽く抱いて、キョーコの匂いを確かめるように嗅いだ。そして軽くキスをした。

リビングのソファに座った。南向きの窓から暖かい陽射しが入る。キョーコは冷たいウーロン茶を持って隣に座った。

オレはキョーコを抱き寄せてもう1度キスをした。今度はちょっとディープなキスだった。

オレ
「バタバタしててすまん^^」

キョーコ
「心配してたんだからねっ!」

オレ
「うん。ごめん。でもようやく片付いてまた平和が戻って来た」

キョーコ
「あぶない事はいやーよ!」

オレ
「はーい^^」

キョーコ
「でも毎日のように電話をくれたからまー許してあげるわ^^」

オレ
「うん。結構努力した(笑)」

キョーコ
「苦手な電話だもんね(笑)」

オレ
「どうだおなかの調子は?」

キョーコ
「いたって順調ですって^^」

オレ
「そう^^まだ全然見た目は変わらないな?」

キョーコ
「そりゃーそーよ!まだまだこれからだもん」

オレ
「早く出てきたらいいのに^^」

キョーコ
「そーね(笑)どっちかなー?」

オレ
「さー?こればっかりは神様の思し召しだからなー」

キョーコ
「私は男の子だと思うわ」

オレ
「そう?それは男の子が欲しいという希望だろう?」

キョーコ
「そーだけど、きっとそーよ(笑)」

キョーコが言ったわけではないが、子供を欲しがっていると沙耶が言った。オレは半信半疑だったが、セックスの度にキョーコの穴の中でいった。その度にキョーコは喜んだ。肉体的な快楽だけでない喜びに、子供を欲しがっている事が伺えた。そして・・・妊娠した。

オレは半分演技もして狂喜乱舞した。キョーコも喜んでいた。オレたちは本当の夫婦になった気がした。

それはオレ以上にキョーコがそう感じていたようだ。玲子にふたり、間島にひとり、オレの子供が居ることをキョーコは知っていた。オレがもしキョーコの立場だったら何が何でも自分も欲しいと思うだろう。それだけ誰にも負けないふたりの歴史がある。

オレはそう結論して、キョーコを妊娠させた。

キョーコ
「ねーユーイチ。子供が出来ても私はここに居るわ」

オレ
「えっ?赤坂にこないのか?」

キョーコ
「あそこはユーイチの仕事の場所よ^^ここはユーイチの癒しの場所」

「だからここにユーイチが帰って来て」

「赤坂には時々遊びに行くわ^^」

オレ
「そっか。気を使わせて悪いな」

キョーコ
「ううん。私はその方がいいの^^」

オレはソファの隣に座るキョーコを抱き寄せた。

オレ
「ところで、名前もう決めてるか?」

キョーコ
「ううん。まだ何も考えてないけど、ユーイチは考えてるの?」

オレ
「男なら『裕蔵』でどう?」

キョーコ
「ゆうぞう?うわーなんか迫力あるなー(笑)」

オレ
「裕一なんて軽い名前じゃない。どっしりとした安定感のある男になってもらいたい」

キョーコ
「あらユーイチでもヒロカズでもどっちもいい名前よ!私とも相性抜群だって何度も占ってもらってるし」

「ゆうぞう・・・うん。なんか新鮮でいい(笑)それにしよ^^」

オレ
「女の子ならキョーコがしっかり考えてくれ」

キョーコ
「えーーーしっかり考えるの?」

オレ
「うん。すでに裕美がふたり居るから(笑)」

キョーコ
「あはっ!そーゆー事ね^^わかったわ!」

「いくつか候補を考えるから一緒に決めよ^^」

オレ
「オッケー」

ふたりだけの会話。ふたりだけの時間。これまで紆余曲折を経てここまで来た。もしあの時・・・そんな風にこれまで過去ばかり振り返り、そこに拘り今をおろそかにした結果、時間ばかりが過ぎていった。これからは前を向いてオレたちの未来をつくっていく。新しい家族も増える。キョーコも満足そうだった。

オレは心配したが、キョーコはまだ大丈夫だと言うのでふたりでベッドに入って緩いセックスをした。キョーコはこれまでと違う緩く長いセックスに新たな喜びを見出したのか、よく声を出しそして色んな事を口にした。

ちょっと卑猥なセリフもリクエストすると言ってくれた。オレはキョーコの穴に甘えて何度もキョーコの中でいかせてもらった。


▼19時・・・銀座


シャングリラへ顔を出してカウンターで一杯飲みながらヨーコと話をした。そしてオレはひとりで銀座をぶらついた。目的の店を探しながら・・・

そこは6丁目にあった。5階建てのビルの最上階。

クラブ「サザン・クロス」

小さなビルだが5階のEVを降りるとそのフロアーがすでに店のアプローチになっていて黒服が待機していた。ギャラクシーのような店作りになっている。


「いらっしゃいませ^^お一人様でしょうか?」

オレ
「うん」


「恐れ入ります。当店は会員制になっておりまして、どなたかのご紹介でしょうか?」

オレ
「ママに来てくれ!って言われて来たんだけど」


「それは大変失礼いたしました。お名前を頂戴できますでしょうか?」

オレ
「ムトーだ。ムトーユーイチだ」


「ムトー様。ありがとうございます。少々お待ちくださいませ」

男は言葉は丁寧だったが慇懃な対応だった。オレの年が若いからか?暫く待たされた。そして女が出てきた。

レミ
「ユーちゃん。。。」

オレ
「おう^^シューさんから聞いた(笑)」

レミ
「あーとうとう来てくれたのね」

オレは両手を広げた。レミは近寄ってきた。オレはレミと軽く抱擁を交わした。レミの匂いを思い出した。オレはレミから離れた。オレは目の端で黒服を捉えた。少し驚いているようだった。

オレはあくまでもニューヨーク・スタイルで陽気に振舞った。思い出せば感慨深いものがあり、懐かしさとともに少しの心の痛みを感じるが・・・レミとはそんな状況にはしたくなかった。

黒服を置いたまま。レミがオレを案内した。

オレは店内のボックス席に座った。レミは他の女の子をつけなかった。そしてオレの前に座ってブランデーの水割りをつくった。

髪は長かった。少しアップにしている。今のレミに似合っていた。7年ぶりに会うレミはそれなりの時間を経たイイオンナになっていた。

レミ
「さっきは思わずユーちゃんって言ってしまってごめんなさい」

オレ
「何が?オレは昔からそう呼ばれていただろう(笑)」

レミ
「ええ。でも(笑)」

オレたちは再会にカンパイした。

オレ
「あれから何度も南十字星を見に行ったんだな?」

レミ
「ううん。一度も行ってないわ」

オレ
「そうなのか?それなのに店の名前に?」

レミ
「次にもし行くとしたら・・・それはやっぱり好きな人と行きたいと言う願いを込めたのよ」

オレ
「そう^^オレは何度かオキナワには行ったが、「はいむるぶし」には行っていない」

レミ
「あそこは・・・私にとっては永遠の夢の島よ」

オレ
「そっか(笑)」

オレは水割りを飲み干した。レミは新しいのをつくった。

オレ
「いいのか?他の子をつけなくて?それにママを独り占めにしてたら他の客に怒られそうだけど(笑)」

レミ
「今日は特別よ^^」

「シューさんに聞いたけど、ユーちゃんも色々あったのね」

「1年半も行方不明になったり(笑)帰って来たら会社はなくなってたり」

「大暴れしてすぐにミナミの店を取り戻して・・・」

「いっぱい聞いたわ^^」

オレ
「話はじめたらそれこそ夜が明けてしまうぐらい色々あった」

「でも、レミもここまでやるのにずいぶん頑張ったんだろう?」

「大したもんだ^^」

レミ
「アレから銀座ではすぐに働けなくて、六本木で働いてたの」

「そしたら結婚することになったんだけど・・・1年で離婚しちゃった」

「それから銀座で働くようになって、2年前にこのお店を持ったの」

オレ
「そう^^今じゃ銀座の一流クラブのオーナーママなんだ?すごいじゃないか」

オレは水割りを口にした。そしてキャメル・ライトを取り出した。レミはそれに火をつけた。

レミ
「ユーちゃんは東京で何をしてるの?」

オレ
「オレか?オレは相変わらずジゴロのユーちゃんだ(笑)」

レミ
「ウソばっかり(笑)」

「この間、何年かぶりに大阪へ帰って、それでミナミに寄ってみたのよ」

「スカイ・マンションのカフェでひとりでお茶のんで・・・」

「EV前のネームプレートで『ムトー』の名前見つけて・・・安心した」

「それにしても新しい『キャッツ』ができていて、そこが閉店して」

「またそのお店を私の友達がやってたなんて、すごい偶然だったわ」

オレ
「そこにまたシューさんが常連で居るなんて(笑)」

レミ
「そう^^ユーちゃんと付き合いたくてお願いしたシューさん♪もうびっくりを通り越して運命的な遭遇だと思ったわ^^ユーちゃんの事もいっぱい聞けたし」

オレ
「あははは^^」

話は尽きなかった。オレは他の客への影響も考えて店を出ることにした。ところがレミはちょうどいい時間だから「ごはん」に行こうとオレを誘った。まー店でふたりで居るよりはいいのだろうと思って、オレたちは一緒に店を出た。

そしてレミに連れられてステーキ・ハウスに行った。レミはワインとサーロインを二人分オーダーした。

ここも目の前のテッパンで肉を焼いてくれる。オレたちは並んで座っていたがレミは少しイスを斜めにしてオレの方に向いていた。

レミ
「ユーちゃんもすっかり関西弁が出ていないわね」

「私なんかそれを消すのにずいぶん苦労したわ」

「今じゃそうでもないけど、私が銀座で働こうとした時は関西弁のイントネーションはダメだって言われて働けなかったのよ」

オレ
「へーそうなんだ(笑)気取ってるな」

レミ
「それが今じゃ会員制のクラブで一見さんはお断りなんて、すましてるでしょう?(笑)」

オレ
「うん(笑)最近は客に怒って帰らせる事はないのか?」

レミ
「うわー恥ずかしい(笑)そう言えばユーちゃんにはそう言う事しちゃったわね」

ニンニクの焼けるいい香が漂ってきた。それだけで食欲をそそる。オレはワインを飲んだ。

レミ
「あれからずっと理沙ママと付き合っていたんでしょう?」

オレ
「ああ。でも結局フラれてしまった(笑)」

レミ
「なんか信じられないわ」

オレ
「男と女だからな。他人にはわからない部分もあるさ」

レミ
「そうね。でも、「もうあの子がいないとダメなの!」って私に言った」

オレ
「えっ?」

レミ
「あの夏の終わりに、理沙ママと話し合って。私が引くことにしたのよ」

「だって理沙ママにユーちゃんでないとダメなの!って泣いてお願いされたし」

「これでユーちゃんに借りてるお金返してってお金もくれたの」

「300万円よ。だからユーちゃんに100万円返せた」

オレ
「・・・」

レミ
「私は・・・お金で気持ちを売ったの」

「そんな理沙ママがユーちゃんと別れるなんて」

「なんか、バカみたい」

オレ
「そんな事があったのか・・・」

レミ
「あの後、ショーコさんが結婚して居なくなる事も知らなかったし」

「でも結局私がユーちゃんを裏切ったんだから」

オレ
「もうずいぶん前に終わった話だ(笑)」

レミ
「そうね」

オレたちは肉を食った。オレはニューヨークに留学していた話をした。レミは想像できなかったらしく驚きながらも興味深く聞いていた。

そして食事を終えオレはまた来る!と言ってレミと別れた。オレは銀座の街をぶらぶらと歩いた。少し警戒しながら・・・ぽつりぽつりと雨が降ってきたかと思うとそれは一気に勢いを増した。

オレは雨を避けるようにビルの中に入った。歩道の上10センチぐらいが水しぶきで色が変わって見えていた。オレは上着からキャメル・ライトを取り出して火をつけた。半分ほど吸って歩道に指で飛ばした。


2階のBar「バモス」に入った。

カウンターだけのショット・バーだった。客は少ない。オレはカウンターの真ん中より少し手前のスツールに腰をかけた。


「いらっしゃいませ」

オレ
「バーボンを」


「銘柄は何がよろしいでしょうか?」

オレは男の後ろの酒棚を見た。フォアローゼ、IWハーパー、ワイルドターキー、ジャックダニエルなどなどが並んでいた。

オレ
「ワイルドターキーをダブルで」

男は頷いた。そして棚からそれを取り出した。氷をアイスピックで砕いている音。たぶんその後、氷は一度水に通されただろう。ロックグラスに入ったターキーとチェイサーがオレの前に出された。小さな木製の皿に入ったアーモンドと一緒に

きれいな氷が琥珀色のターキーの中にある。オレはグラスを手にとって口に放り込むように飲んだ。

オレ
「この店は出来てどのくらい?」


「さて?20年ぐらいになりますか」

オレ
「銀座で20年かー長いなー」


「他にする事もありませんでしたから」

オレはカウンターの中の男を見た。もうすでに初老の域に達しているのだろう。そのあたりの年齢はオレにはよくわからない。もしかしたらオレの親父よりも年を食ってるかも知れない。

銀髪のオールバック。髭をたくわえてシャツにはボータイ、そしてベストを着ている。生粋のバーテンダーに見えた。

オレ
「でもカウンターの中に入る。そういう憧れは誰にでもありますよ」


「憧れですか?」

オレ
「こういう店は特にそうだ」

「座って飲んでるより、中に入って客を見ている人の方が偉く思える(笑)」


「ははは・・・そうですか?」

オレ
「船に乗ってたんですか?」


「えっ?はい」

オレ
「なんとなくこの店が小さな船みたいな気がして^^」


「そうですか」

ドアが開く音がした。女がひとり入って来た。オレのひとつ隣の席に座った。


「いきなり強い雨が降ってきちゃったわ」

「もう今日はおしまいね」

女はハンカチで上着の水滴を払いながら男にバーボンをオーダーした。女と目が合った。オレは少し首を傾けて愛想をした。女も微笑んだ。


「雨、止みそうにありませんか?」


「かなり激しく降ってるわ!タクシーも止まらないし、どうしようもないわ」

オレ
「春の嵐かなー?」

オレはひとりごとのように呟いて前を見ていた。女の視線だけを感じた。

ドアが開いた。心地よい音が響いた。


「やっぱりここか(笑)客が居るのに消えるとはひどいじゃないか」


「私がどこへ行こうと私の勝手です」


「店ほったらかしていいのか?アサミ」


「いいかげんにしてくれませんか?あなたに呼び捨てにされる覚えはありません」


「なんだとー!!!」

マスター
「他のお客さんに迷惑ですからお引取り下さい」


「ほうーオレに言ってるのか?」

傍に居たもうひとりの男が囁いた。


「ふんっ!とっくに引退したただの年寄りのくせしやがって」

男は捨て台詞を吐いて出て行った。


「ありがとう。マスター^^」


「いいえ(笑)」

オレ
「嵐にならなくて良かった^^」

「マスターもう一杯」


「嫌な思いさせてすみません。私に奢らせて^^」

オレ
「あはっ!いいのかなー?」


「ええ。どうぞ^^」

女は笑顔でそう言った。やはりツンとしてる美人より笑顔のいい女の方がオレは好きだった。

女はもう二組居た客にも同じようにお替りを奢った。周りの客は笑顔で女の方を見て礼を言っていた。

新しいグラスにターキーが入ったものと交換されるようにオレの前に置かれた。
オレは女の方を見てグラスを少し上げて口にした。

オレ
「マスター2杯目の方が旨いよ」


「きっと美人の奢りだからでしょう^^」


「あらマスターがそんな事言ってくれるなんて珍しい^^」

オレ
「あははは^^今日は、最後にいい事があって良かった」

「じゃーごちそうさま」

オレはスツールから降りた。そして一杯分の金を払って女に礼をして店を出た。

オレはEVで1階に降りた。

さっきの男たちが居た。せっかくいい気分で1日が終わろうとしていたのにオレは面白くなかった。男たちに近づいた。

オレ
「バモスに居た女・・・オレの女なんだ」

男1
「なんだーお前!」

男2
「いいかげんな事言ってると怪我するぞ」

オレ
「お前ら何処のモンだ?」

男1
「ほー^^オレたちにそんな事聞くか?バカなヤツだな」

男2
「酔っ払ってるんならカンベンしてやるからとっとと消えろ!」

オレ
「さっきのおっさんに言っとけ!あの女に近づくな!って」

男1
「ふざけやがって」

男はオレの胸倉を掴んだ。オレは両手でその手首を決めて捻り背後に回した。男はすぐに一回転してオレに背中を見せた。手首を片手で決めながらもう一方の手で男の後襟首を掴んだ。

男1
「痛てててっ」

男2
「コノヤロー」

オレは掴んだ男を盾にして言った。

オレ
「お前らS会だな?さっき言った事守らねーと・・・岩崎に文句つけるぞ!」

男2
「でたらめ言いやがって!ただではすまさねーぞ!」

オレ
「銀座のムトーがそう言ってると伝えておけ」

オレは男を突き飛ばした。

男2
「ふかしやがって・・・」

オレ
「確かめてからでないとエライ事になるぞ!」

男2
「・・・」

オレはまだ雨が降ってる歩道を走ってシャングリラまで行った。洋子はすぐにタオルを数本持ってきて拭いてくれた。オレは上着を預けて頭を拭きながら奥のボックス席についた。

オレ
「後でハイヤーでも呼んでくれ」

洋子
「佐川ちゃんに送らせるわ」

オレ
「悪いな^^」

洋子
「何言ってるのよあなたのところの人でしょ(笑)」

オレ
「ははは・・・」

洋子
「そうだ。もう帰りましょう^^」

「はやくお風呂に入って着替えないと風邪ひくわ」

オレ
「ふむ」

結局オレは洋子と一緒に新富町の洋子のマンションに佐川に送ってもらって帰った。部屋に入ってすぐに服を脱ぎ熱いシャワーを浴びた。バスルームを出ると洋子が体を拭き、新しい下着をつけてバスローブを着せてくれた。

オレはそのまま洋子に裸になってもらって寝室に入りきついセックスをした。洋子はオレの好みを覚えて、いい声を出しながら少し大胆になってきた。姉の理恵にはまだまだ及ばないが、それでも普通の男が抱いたら、夢中になる女になっていた。

そして朝まで洋子を抱いて寝た。


▼翌日・・・赤坂、日本料理「桔梗」



「ユーイチ。お前、組の「役付」になったんだって?」

オレ
「すみません。どうにも断りきれなくて、それになんとか主流派をつくためにはまー仕方のない方法かと」


「S会からも聞かれたよ!」

オレ
「誰からです?」


「石本さんだ。ムトー君と兄弟分になったからよろしく!と挨拶された」

「何の事かわからずに聞き直したら、田岡家の守護人のムトー氏だと」

「話のつじつまは合わせておいたけどな」

オレ
「他にいい様がなくて、すみません」

オレは目の前のキレイな懐石弁当を食っていた。満さんとは月に1度ここで会い昼食を共にしている。特に何かあるわけでもなくただ世間話をしている程度だったが、ここんとこ急激にオレの方に変化があったので、その事で色々ときかれてしまった。


「4代目が死んでオフクロも・・・篠原の家も組に譲渡した」

「これで田岡の家は組とも一切関係がなくなった」

「残ったのは、オレと由紀だけだ」

オレ
「オレが居ますよ」


「・・・そうだったな」

オレ
「むしろオレの役目はこれからですよ」


「うむ。由紀もこっちに来たことだし、なんかせいせいしたよ」

「まだ終わりそうにないのか?」

オレ
「的屋まで締め出しを食らっている現状の周辺からは早く抗争を終わらせろと毎日のように責められて、その方向で進めているみたいですが・・・」

「9割方うまく行くと思ったら・・・また事件で人が死んで「白紙」に戻ってしまってます」

「どちらにも強力なリーダーシップを持った人間が居ませんから」

「強硬派をなんとか押さえ込もうとどっちも必死なんですけどね」


「はやく終わらせないと「やくざ」が生きていけない時代になるぞ」

オレ
「そうですね」

オレたちは1時間ほどで別れた。オレは歩いて5分の赤坂の自宅に戻った。インターフォンを押した。鍵を使ってドアを開け玄関に入った。広い玄関の右手は2階に続く会談。左手は居間。真っ直ぐ続く廊下は奥の和室が2部屋。


「お疲れ様です^^」

オレ
「ただいま^^」

オレは居間に入った。右手は対面式のキッチン・バーその向かい側にはダイニング・テーブル。その向こう側はコの字型に配列されたソファー。そして庭に続くテラスになっている。キッチンの横のドアを開け中2階へ続く階段を上がって自室に入った。右側の壁一面がクローゼットになっている。オレはそこで着替えた。そして反対側の窓際のカウンターデスクの前に座った。

ドアがノックされ源が珈琲を持って入って来た。


「ムーさんが戻ってきたらオレが松井さんに連絡する事になってますが、いいですか?」

源は珈琲カップを乗せたトレーをデスクに置いた。オレはそれを受け取りフレッシュ・ミルクだけを入れ、スプーンを使った。

オレ
「うん。電話してやってくれどうせこっちへ来る気だろう」


「了解です」

源は、ニューヨークへ連絡を入れて帰国の意思を確かめて、こっちにきて貰った。しばらくはここに住み込みで、事務処理を覚える事になっていた。

オレ
「慣れたか?こっちの生活は」


「なんか夜出歩いてもすごく安心できて、そう言う意味では日本はいいですね」

オレ
「そっか^^オレはニューヨークが懐かしいよ」


「ムーさんが帰国されてからmar'sNYも大きく変わりましたから」

オレ
「そう」


「こんな事言っちゃーなんですけど、ムーさんが居なくなってなんか火が消えたようにつまんなくなりました」

オレ
「ははは^^オレは学生でお前らといつも遊んでいたからだろう」

「他の連中は店もあるし、みんな働いているから」


「そーですね。でもムーさんが居たあの頃が一番楽しかったですよ^^」

オレ
「(笑)」

オレは右側の棚のところまでイスに座ったまま移動して「ゆうせん」をかけた。少しボリュームを絞った。ニューヨークのヒロミからの分厚い手紙を読んだ。

写真が数枚入っていた。コンクールに出て優勝した写真だった。そして手紙にはその事と近況が書かれていた。そしてヒロミもヒロミのママも日本にはもうあまり関心はないが、オレには会いたいからたまにはニューヨークへ来てくれと書いてあった。

3代続いていた芦屋の広田の家は・・・もうない。ヒロミの父親と母親が離婚する際に自宅を処分して、慰謝料の一部に換えた。ヒロミの父親はローズマリーの杏子と結婚して芦屋のマンション住まいだった。

ヒロミの母親は、荷物を倉庫に預けてニューヨークへ行った。そしてmar'sNYでヒロミと一緒に暮らして、自身はニューヨーク・ママをやっている。

来年の5月・・・ヒロミはジュリアード音楽院を卒業する。その後、どうするのか?まだ何も決まっていないようだが、今後は母親とふたりで音楽をやりながら暮らしていくのだろうとオレは思っていた。



ドアがノックされ松井が入って来た。

松井
「おはようございます」

オレ
「おう^^おはよー^^」

すぐに源が珈琲を持って来た。松井は源に礼を言ってオレの向かい側にイスを出して座った。

松井
「朝からS会の人から問い合わせが入ってました」

オレ
「ん?」

松井
「銀座のムトーさんとは、そちらのムトーさんですか?って」

オレ
「あははは^^そっか早いなー」

松井
「一応そうです!と応えて石井さんに電話を入れました」

オレ
「いやーちょっとした小競り合いだからそんなに大げさにする事ない」

松井
「すでに石井さんは神戸からコッチへ向かってます」

オレ
「あらら・・・また怒られるなー」

松井
「怒られるのはオレなんですよ!」

「何かあったらすぐにオレに連絡下さい。」

「いえ、やっぱりオレが離れたのがマチガイだったんだ」

「また今晩からくっつきますからね」

オレ
「松井・・・悪かった。これからはちゃんと連絡入れるから」

「ひとりでウロウロさせてくれ」

松井
「暫くはダメです!」

オレ
「ふんっ」

オレは珈琲を飲んだ。松井の後、ちょっと離れたダイニングテーブルに源が座っていた。オレは源に珈琲のお替りを頼んだ。

源は珈琲ポットを持ってこっちへ来た。そして珈琲を注いでくれた。

オレ
「そうだ。こいつとふたりでウロウロするよ!こいつも日本に戻ったばかりでまして東京は不慣れだからな^^六本木や銀座へオレが案内してやるよ!」

松井
「源・・・お前ボディーガードできるか?」


「はい^^」

松井
「じゃーオレが付いていけない時は、お前にお願いする事もある」

「後で、心得を教えるからそのつもりで居ろ」


「はい^^了解です」

松井
「暫くはオレです。諦めて下さい(笑)」

オレ
「あっそう。。。」

インターフォンが鳴った。すぐに源が降りて行った。オレはテーブルの上の郵便物を机の引き出しに仕舞った。

ドアがノックされて横山が入って来た。

横山
「おはようございます^^」

オレ
「おう^^おはよー」

横山は松井の隣にイスを持ってきて座った。テーブルの上にブリーフケースを置いて書類を取り出した。

オレ
「六本木の次の出店計画書です。目を通しておいて下さい」

オレ
「3店舗目か・・・」

オレはファイルの1ページ目をめくりそこを見ただけでファイルを置いた。そしてキャメル・ライトに火を付けた。

横山
「何か?」

オレ
「Maggieの月商は?」

横山
「平均で2000万強かと」

オレ
「そういう店をたらたらと1店舗ずつつくっていくわけか?」

横山
「・・・」

オレ
「松井。10年前、10月にオレと嶋がまだ19の頃にミルクホールを仕切った」

「その時、お前や前田がバイトで入って来た」

「3ヶ月目の12月の売り上げなんぼやったか知っとうか?」

松井
「・・・いえ」

オレ
「2500万やった。当時の武本営業部長や兼子専務は興奮しまくりやったな」

オレ
「それが今、1店舗に3億突っ込んで10年前の売り上げに負けてるとは・・・」

横山
「しかし・・・」

オレ
「もクソもない」

「あと何軒つくるつもりや?」

「10店舗つくっても30億やろう?」

「そのくらい武本頭取に直接頼まんでもすぐに融資してくれるはずや、違うか?」

「資金の裏づけがある現状で、アホみたいにトロトロやってるヒマなんかないぞ!」

「それこそ大下社長に笑われてしまうわ」

「不動産部を動員して六本木周辺を徹底して洗え」

「大量に人を入れて振るいにかけて一気加勢に同時出店や!」

松井&横山
「はいっ!」

オレ
「という事で、よろしく!^^」

オレは関西弁でしゃべった。彼らはオレが怒っていると思っただろう。すぐに松井と横山が部屋を出て行った。源は緊張した表情で突っ立っていた。

オレ
「ん?どうした源」


「いえっはいっ!」

オレ
「さてと、うるさいのを追っ払えた(笑)」

「あとひとりやっかいなヤツが神戸から来るけどそいつの小言を聞いたら」

「夜の銀座うろつくぞ!」


「おすっ!」


▼16時・・・桜井「はなれ」


石井
「その地図がそれぞれの地域別の組組織図になってます」

「六本木周辺はS会浅野組、銀座はS会S組がそれぞれの縄張りにしてます」

「それ以外の場合、S会、赤坂本部に連絡を入れれば24時間いつでも対応する事になってます」

オレ
「そう^^」

石井
「これからは、『銀座のムトー』でわかるようになってますから」

「それからうちの銀座の組も30人体制にしました。夜間の当番を4人置きますから夜でも対応できるようにしました」

オレ
「面倒かけて悪いな^^」

オレは石井のグラスにビールを注いだ。

石井
「午前中に松井に連絡もらった時点ですでにむこうは岩崎の耳に入っていたようで、迅速に動いたみたいです(笑)」

オレ
「そう(笑)」

石井
「それから、銀座はこの帯刀が責任者となります」

帯刀
「帯刀です。どうぞよろしくお願いいたします」

オレ
「こちらこそ、よろしく^^」

石井
「帯刀。騙されるんじゃないぞ!」

「兄貴は若くて優男に見えるけど・・・イケイケだから(笑)」

帯刀
「はい。梅木の叔父貴からもさんざん注意するように言われましたから」

オレ
「ははは^^すみませんねー(笑)」

石井
「ムーさん。本当にお願いしますね!」

「すぐにケンカしないで、電話連絡だけでカタをつけてください」

「ムーさんが怪我しただけで大変な事になりますからくれぐれも・・・」

オレ
「うん。わかった^^」

「そーだちょうどいいから紹介しておくよ」

オレは呼び鈴を鳴らした。すぐに女将の紗也乃がやってきた。オレは源をつれて来るように頼んだ。

すぐに廊下の向こうから声がかかり源が入ってきた。テーブルから少し離れたところに正座した。

オレ
「松井の代わりにオレの近くに居てくれる事になったやつです」


「みなもと・てつま!と申します。どうぞよろしくお願いいたします」

オレ
「通称は「ゲン」です。連絡役になるかと思いますのでよろしく」

帯刀
「みなもとさん。帯刀と申します。銀座に駐在しますので今後ともよろしくお願いします」


「こちらこそ!どうぞよろしくお願いします」

石井
「じゃームーさんオレすぐに神戸に戻らないとダメなので、今日はこれで」

オレ
「あーケンちゃん。ほんと悪かったな^^また今度ミナミでゆっくり飲もう」

石井
「はい^^じゃーゲンちゃん。アニキの事よろしくな!」

オレとゲンは玄関先まで見送った。帯刀が車で八重洲まで送る段取りになっているようだった。

オレたちは「はなれ」に戻った。仲居の千尋さんが部屋を片付けていた。そしてオレとゲンはもう1度テーブルに座った。

紗也乃がやってきて新しく酒の用意をした。

紗也乃
「ゲンちゃん。スーツなんか着ちゃってすっかり男前になったわね^^」


「紗也乃ママ^^お久しぶりです」

紗也乃はオレにビールを注いだ後、ゲンにも注いだ。オレは紗也乃のグラスにビールを注いだ。

オレ
「ニューヨーク以来の付き合いがある3人だ。仲良くしようぜ!」

「カンパイっ!」

オレたちはグラスを合わせてビールを飲んだ。今東京に居るメンバーでニューヨークで一緒に過ごしたのは、初期の頃に横山が居たがゲンがきた時にはもういなかった。そういう意味ではこの3人きりだった。

紗也乃
「ゲンちゃんとはよくダッジに乗って夕食の買出しに行ったわね^^」


「はい^^まだ英語もろくに出来なかったので紗也乃ママには迷惑ばかりかけてしまって(笑)」

オレ
「お前が撮ってくれた写真やビデオはみんな宝物のように思ってるぜ」


「いやーそーですかー(笑)嬉しいなー」

紗也乃
「ほんとアレは一生の思い出よ^^」

オレ
「そーいや紗也乃のスカートの中に手を突っ込んで濃厚なラブシーン撮影したよな?」

紗也乃
「うん^^まるで女優になった気分だったわ(笑)恥ずかしかったけど」


「オレなんかどきどきしっぱなしで(^。^;)」

紗也乃
「ユーちゃん。あの時は楽しかったねー^^」

オレ
「あははは^^そうだな(笑)」

「やっぱり紗也乃やゲンは今のオレを見て幻滅してるだろうな^^」

紗也乃
「どうしてそんな事言うの?」

オレ
「紗也乃は特にそう思ってるんじゃないかと思ってな」

紗也乃
「ユーちゃん。私はサンタモニカでちょっとおかしくなったけど、こっちに来てまた安心してやっていけてるわよ!それはユーちゃんが居るからよ!幻滅なんかするわけないわ」


「ムーさんは何があってもムーさんですよ^^」

「ちょっと環境が変わって苦労してるみたいですけど(笑)」

オレ
「あははは^^そう(笑)そんな風に思って貰えるとちょっとほっとする^^」

その後も紗也乃と源のニューヨークで起こった初めて聞くハプニングの話で盛り上がった。それぞれのニューヨークはやはりそれぞれの小さなドラマがあり、それはとても面白かった。

結局この日は銀座へは行かずに、「はなれ」でゆっくりと紗也乃と遅くまで飲んだ。そして紗也乃と一緒に奥の部屋で寝た。

消費者金融の店舗展開で不動産部がフル回転して忙しくなった。同時に六本木の多店舗展開を指示したこともあり、オレも即決で決済を出しながら急展開で仕事に追われた。

また3月と言う事もあり、歓送迎会が多発してアメリカ領事館やフランス領事館関係者ともパーティーに参加して密接にコミュニケーションを高める努力をした。


▼3月20日・・・


銀座、ショットバー「バモス」

シャングリラに顔を出した後、ゲンを帰らせてオレはひとりで銀座の夜の街をうろついた。見覚えのあるビル。EVに乗り2階に上がった。

木製のちょっと重量のある扉を開けて店に入った。

マスター
「いらっしゃいませ」

オレ
「バーボンを」

マスター
「かしこまりました」

この間レミの店に行った帰りに雨宿りのつもりで入ったショットバー。1度しか訪れてないのにマスターはワイルドターキーのダブルをオレの前に置いた。

マスター
「この間は遅くまで降り続けてましたけど、帰りは濡れなかったですか?」

オレ
「ああ。雨でしたね。結局走ってタクシー乗り場まで行きました。びしょ濡れになりましたけど(笑)」

マスター
「そうでしたか」

いい音がした。木製のドアが開くとガラスの音がする。そういう飾りがドアの上に付いているようだった。

女がひとりひとつ席を置いて座った。女と目があった。オレは軽く会釈した。


「この間はすみませんでした^^」

オレ
「えっ?いやオレの方こそ奢ってもらってラッキーな日でした(笑)」


「マスターにも話していたんだけど、アレから私こそラッキー続きだったんですよ」

オレ
「へーそーなんだ^^」


「あのしつこくされていた「やくざ」がアレ以来ぴったりと来なくなったの」

「それに大きな声では言えないけど、地回りに払っていた「ミカジメ料」も払わなくていいことになったの」

オレ
「ほー^^それはほんとにラッキーでしたね」


「この下の1階に私の友人のお店があるんですけど、あの日1階でちょっとした騒動があったんですって」

「なんでも、ヤクザに文句を言って、殴りかかってきたヤクザをいとも簡単にやっつけた男が居て」

「男が何かを言うと、そのヤクザたちが急におとなしくなって」

「男はそのまま雨の中を外に走っていったそうなんです」

オレ
「ふーーーん」


「友人のママが、すごくイイオトコだったって言ってたの」

オレ
「雨振ってたし、そう見えただけじゃないんですか?」


「ううん。絶対イイオトコだと私も思うわ(笑)」

オレ
「なんか他人事ながら羨ましい話だなー(笑)」


「そうかしら?あなたが『銀座のムトー』さん。なんでしょう?」

オレ
「・・・」


「見てた人がそう言うのを聞いたんです」

オレ
「その話はマスターも聞いたの?」

マスター
「さー私は知りません(笑)」

オレ
「あの日はずいぶん酔ってたからよく覚えてないんですよ」

女は立ち上がった。そして小さな名刺をオレのグラスの横に置いた。


「隣のビルのクラブ「皐月」の麻美と申します」

「よろしければ、今から少しだけお寄りいただけませんか?」

オレは小さな名刺を手にとって見た。そして上着のポケットに入れた。

オレ
「じゃー少しだけ」

オレは立ち上がった。そしてこの間と同じ金額2000円を置いて店を出た。女に案内されて隣のビルに入りEVで3階に行った。目の前の黒いドアに金色の文字で「皐月」と書かれている店に入った。

カウンターにボックス席が5つ。すでに半分以上は客が入っていて塞がっていた。女はボックス席に案内しようとしたがオレはカウンターをリクエストした。

麻美
「バーボンでよろしかったでしょうか?」

オレ
「いえ。ブランデーの水割りを」

カウンターはごく普通の高さだった。カウンターの中は外より一段低くなっているようで、バランスはとれていた。

麻美
「本当にありがとうございました」

オレ
「いえ。そんな・・・」

ウエイターがブランデーのボトルセットを用意して持ってきた。ママはそれを受け取り自分で水割りをつくってオレの前に置いた。

麻美
「でもどうしてそんな大変な事をしてくれたんでしょうか?」

オレ
「さー?オレもそんな事になってるとは知りませんでした(笑)」

麻美
「じゃー向こうが勝手にそうした。って事ですか?」

オレ
「だと思います」

麻美
「信じられません(笑)」

オレ
「あっママも一緒に飲もう」

麻美
「はい^^」

ママは同じように水割りを作った。そしてグラスを合わせてオレは水割りを口にした。

オレ
「あのショットバーはちょっとした雨宿りのつもりで、初めて入った店だったんだ^^」

麻美
「そうでしたか^^」

オレ
「あのーこの間、マスターとしゃべってた時、もっとフランクな話し方だったじゃないですか?そんな風に話して下さいよ」

麻美
「はい。じゃー私より若い人だし遠慮なくそうさせていただくわ^^」

オレ
「うん。その方がいい」

麻美
「実はマスターにあなたが現れたらすぐに知らせて!ってお願いしてたの」

オレ
「そうだったんだ」

麻美
「すぐに現れるんじゃないかと期待して待ってたの」

「でも・・・ぜんぜん現れない」

「どうしようって不安ばっかりだったわ」

オレ
「ちょっと忙しかったもので(笑)」

麻美
「さっきも私が聞かなかったら知らん顔を続けてた?」

オレ
「まーそんな事になってるとは知らなかったし(笑)」

麻美
「ふーん」

オレは水割りを飲んだ。ママも同じように飲んでいた。

オレ
「まーそれもこれもラッキーだったと言う事で^^」

麻美
「そういうわけにはいきません(笑)」

オレ
「あっそう。。。」

麻美
「そんな困った顔しないでー」

「何もとって食おうってわけじゃありませんから^^」

オレ
「ははは・・・」

麻美
「ムトーさん。で良かったかしら?」

オレ
「ムトー。ムトーユーイチです」

麻美
「できたらお年も教えて下さい^^」

オレ
「30です」

麻美
「うわー若いなーどうしよう?^^」

オレ
「ママはいくつ?」

ママはオレに近づいて耳元で小さな声で囁くように年齢を言った。32だと言った。

オレ
「なんだー変わらないじゃないか(笑)」

麻美
「ごめんなさい。とっさにウソついちゃった(笑)ほんとはもう2つ上なの」

オレ
「あはっ!それにしても似たようなもんだ変わらないさ」

麻美
「あら?ずいぶん年上の女性に親しんでいらっしゃるみたいね?」

オレ
「うちは女系家族で姉が5人も居るから(笑)だから慣れてるだ」

麻美
「そう^^血の繋がっていない綺麗なお姉様方が5人も^^」

「私もぜひその中のひとりに加えてくださーい」

オレ
「ははは・・・なんか手ごわいなー(笑)」

麻美
「みなさんにはなんて呼ばれているんです?」

オレ
「んーと、ムーさん(笑)」

麻美
「それはないでしょう?当てて見ましょうか?」

「そーだなー?」

「うん。やっぱりコレしかない!『ユーちゃん♪』どう?」

オレ
「・・・当たった」

麻美
「じゃーコレから私もそう呼んでいいかしら?」

オレ
「まー当てられたら仕方ないか」

麻美
「良かったー^^」

オレ
「じゃーオレはそろそろ^^」

麻美
「えっもう?」

オレ
「また今度ゆっくり友達連れて来るよ」

麻美
「はい。今日は初めてのご挨拶だし、でも出来たら次も一人で来てくださいね」

オレは立ち上がり精算をお願いしたが、ママは受け取らなかった。とりあえず今回はそういう事でご馳走になることにした。

オレはビルの外まで麻美ママに見送られて、近いうちに必ずまた来ると約束させられて解放してもらった。

タクシーを拾って赤坂の自宅に戻った。



玄関から入り、左手の居間に入った。キッチン横のドアから中2階へ上がった。デスクの上の無線電話機をとって電話をかけた。そしてジーンズとシャツに着替えた。

1階に降りて間接照明のセットに切り替えた。ゆうせんのチャンネルを切り替えてボリュームを落とした。

ソファに座って壁の絵を見た。ニューヨークの画商に進められて買った新進画家の抽象画が2点、対になっている。絵の上に小さなスポット照明をわからないように付けるのもいいかも知れない。今年の冬は、その下の暖炉に火を入れてみよう。と思った。

インターフォンが鳴った。

オレは玄関に出て沙耶を招き入れた。同時に2階から源が降りてきた。オレは沙耶に源を紹介した。沙耶は愛想よく応えた。オレは源に頷いた。源は2階の自室に戻った。

沙耶
「お邪魔しますー」

オレ
「源の他には誰もいないよ」

オレは居間に沙耶を案内した。ソファを薦めた。

沙耶
「うわーまた何かクラシックな感じでいいお家ねー^^」

オレ
「こんどこの家でパーティーでもやろう」

沙耶
「うん。面白そう^^」

オレ
「他も案内しよう」

オレは沙耶の手をとってキッチン横のドアを開けてゆるい階段を上った。段差は1メートルもない。次のドアを開いて自室に沙耶を入れた。

オレ
「ここがオレのプライベートルームだ^^」

沙耶
「うわーいいなー^^アレ?ここにはベッドはないの?」

オレ
「うん。寝室は2階の別の部屋なんだ」

沙耶
「そーなんだ」

オレ
「でもほとんどそこは使ってない。向こうへ行こう」

オレは入ってきた入り口の向かいにあるドアを開けた。この部屋には2箇所の出入り口がある。もう一方のドアから同じようにゆるい階段を下りた。そして板張りの廊下を暫く歩く。突き当たりのドアを開けた。そして引き戸を開いて中に入った。

沙耶
「アレ?ここは・・・」

オレ
「うん。桜井の「はなれ」に繋がっている。普段はここで寝てるんだ」

寝室に使っている和室を向こう側の部屋に案内した。

沙耶
「あはっ^^いつもの「はなれ」だーいいなー^^」

オレ
「うん。ここならいつでも食事を頼めるし、くつろげる」

オレは本来の入り口横にある内線電話を使って、酒と食事の用意を頼んだ。

沙耶
「自宅と桜井の「はなれ」を繋いじゃったのね^^まるで隠れ家みたいでステキじゃない^^」

オレ
「セキュリティーも万全だしな^^」

沙耶
「キョーコちゃんとかちょっと心配してるんじゃない?」

オレ
「未だキョーコは案内してないから知らない」

沙耶
「うそーじゃー私の方が先なのー?」

オレ
「うん。この改装工事が終わったのはついこの間だし、秘密の通路は・・・今のところ沙耶しか知らない」

沙耶
「うわーほんとにー^^なんか嬉しい」

廊下からから声がかかって酒と料理が運び込まれた。そして仲居の春さんがテーブルに並べた。簡単に料理の説明をした。

オレはビールを沙耶のグラスに注いだ。沙耶はオレのグラスに注ぎ、軽くグラスを合わせて口にした。

沙耶
「こんな風に過ごせたらもう何処にも行けなくなっちゃう^^」

オレ
「南青山の部屋は浜田が住む事になった」

沙耶
「浜田さんこっちへ来るんだ?^^」

オレ
「うん。こっちで音楽活動を本格的に始める。それに六本木で新しい店をつくってまたバンドもやろうって言ってる」

沙耶
「えっユーちゃんもバンドで歌うの?^^」

オレ
「ああ。シャレでmar'sを再開しようと思ってる」

沙耶
「うわー楽しみがいっぱいじゃいない^^」

「そんなお店があったり、ここがあったりしたら私毎日来たくなるー」

オレ
「沙耶は売れっ子だから仕事も忙しいじゃないか^^」

沙耶
「嫌だもんっ(ーー;)」

オレ
「ははは^^」

オレはビールを飲み干した。沙耶がすぐにビールを注いでくれた。

沙耶
「そうだ。後で面白いモノ見せてあげるから楽しみにしててね^^」

オレ
「ん?何だろう?」

沙耶
「お楽しみは後よ♪」

「それよりさっきの源ちゃんって人はあの家にずっと居るの?」

オレ
「ああ。一応住み込みで管理人してくれてる。オレが夜ぶらぶらする時も松井の代わりにくっついてくれるけどな」

沙耶
「じゃーコレからはユーちゃんの事を1番よく知ってる人になるわけね?」

オレ
「んーーーまーそうかな?」

沙耶
「じゃー仲良くしてもらおーっと(笑)」

オレ
「悪さするんじゃないぞ!ほどほどにな(笑)」

沙耶
「はぁ〜い^^」

オレはビールを飲み干した。沙耶がビールを注ごうとしたのをオレは断った。

オレ
「ここに帰ってくるまでに銀座でしっかり飲んできたんだ」

沙耶
「あー洋子ママにいっぱい甘えてきたんでしょう(ーー;)」

オレ
「銀座だからなそんなにハメをはずして甘えたり出来ないさ^^」

「明後日からLA出張だし、暫く会えないから沙耶と一緒に居たいなーと思って電話した」

沙耶
「あーんっユーちゃん♪」

沙耶は席を立ってオレの隣にきた。両手をオレの首に回した。

オレ
「あらら、どうした?」

沙耶
「だってユーちゃんがそんな優しい事言ってくれるの初めてなんだもん」

オレ
「えーそんな事ないだろう?」

沙耶
「ううん。ベッド以外では言ってくれない」

オレ
「まーそれはその・・・」

沙耶はキスをしてきた。沙耶の舌が入ってきてオレの舌に絡んだ。そしてオレの舌を強く弱く吸った。

沙耶
「もっといっぱい言ってー」

オレは少し後ろに下がり沙耶を膝の上に乗せた。オレは座椅子に少しもたれるようにして沙耶の体の重みを受け止めていた。その重みを感じるだけでオレは少し凶暴になりかけた。

オレ
「2度も結婚したのに、他の男の女になったのに、また舞い戻って来た」

沙耶
「うん。もうしないからっ」

オレ
「お前を幸せにしてくれそうなヤツが居たら、何度でもしてもいい」

沙耶
「あー優しくないっ!」

オレ
「そんな事ないさ。オレはいつだってお前が幸せになる事を願ってるんだから」

沙耶
「ユーちゃん。もうわかってるでしょう?ユーちゃんしかダメなの」

オレは沙耶を抱きしめた。沙耶の匂いをいっぱい嗅いだ。確かに沙耶が他の男と結婚をすると聞くたびにオレは沙耶が幸せになってくれる事を望みながら、同時にオレの傍から居なくなる大きな哀しみを感じていた。

オレ
「本気で言ってるか?」

沙耶は顔を上げて少し離れてオレを見た。

沙耶
「ユーちゃん。怒るぞっ!」

オレ
「うん。怒った顔もいい^^」

沙耶
「私の本気を信じないのね・・・」

オレ
「オレはお前が可愛くて仕方がない。だから・・・」

沙耶
「見て・・・」

沙耶はオレの膝の上で自分の片膝を立てた。ミニのスカートがめくれ上がりふとももの内側が見えた。

オレ
「お前っ!!!」

ふとももの内側、ほぼ性器のすぐ下に赤いバラの刺青があった。

沙耶
「もう、こんな体、他のオトコに見せられないわ」

「ユーちゃんの好きな赤いバラよ」

オレは生唾を飲み込みながらその赤いバラの刺青から目が離せなかった。声すら出なかった。

沙耶
「ウソよ^^シールなの(笑)」

オレ
「えっ?」

沙耶
「本物に見える特殊なシールなのよ^^アメリカで流行ってるの!知らなかった?(笑)」

オレは慌てて沙耶を膝の上から下ろして乱暴に畳に寝かせた。両脚を持って股間を開かせて、オレはそこへ顔を近づけてその「赤いバラ」を間近で見た。

沙耶
「あんっユーちゃん。そんなに焦らないで^^」

指で触れてみた。少し強く擦ってみた。取れない。オレは舌で舐めてみた。

沙耶
「あーんっユーちゃん」

オレはよく観察した。少し絵柄の色の乗りが刺青とは違う。しかし普通に見ればわからない。本物の刺青をしょちゅう見ているオレでも騙されそうになった。

いつの間にパンストと下着を取ったのか?沙耶の股間、栗色の恥毛の下に割れ目が露出していた。オレは起き上がって沙耶を起こした。

オレ
「他にどんな絵柄がある?^^」

沙耶
「ユーちゃん。私の恥ずかしいところを見てなんとも思わないのー?(笑)」

オレ
「えっ?あー綺麗に手入れされてる性器だったよ^^」

「それよりどこで手に入れたんだ?赤いバラの刺青」

沙耶
「原宿のショップ(笑)」

「サソリとかクモとかもあったよ^^」

オレ
「うわー明日すぐ行って買い占めよう(笑)」

「そっか今のシールはここまで進化してるんだー」

沙耶
「結構消すのも大変なんだよ^^」

「お風呂に入って熱いお湯をかけながら石鹸つけて擦るの」

オレ
「そっか^^お尻とかに星がいくつか付いてたらいいかもな^^」

沙耶
「ほんとユーちゃんそーゆーの好きなのねー(笑)」

「キョーコちゃんや他の人にしちゃー嫌よ!」

「私だけにしてねっ!^^」

オレ
「うん^^」

沙耶
「絶対よ!約束よっ!」

オレ
「約束する(笑)沙耶・・・全部見せてくれ」

沙耶
「私の裸が見たいの?」

オレ
「ああ。見たいっ」

沙耶
「見たら・・・私を乱暴に犯す?」

オレ
「いや、どちらかと言うと見るだけでいい^^」

沙耶
「アホっ!(笑)」

オレ
「あははは^^冗談さ・・・」

「今すぐ押し倒して、そのまま突っ込んでその可愛い顔が歪むのを見たいさ」

「お前は、自分で気づいていないかも知れないけど、とんでもなくイイオンナになってきている」

沙耶
「じゃー今日は乱暴にして」

「私の体を・・・おもちゃにして」

「飢えたコールガールにするように・・・」

沙耶の表情が妖艶になり、その目の奥が光り始めたような気がした・・・

そして沙耶を奥の部屋に連れて行って、オレはきついセックスで沙耶の体を責めたてた。そして何度も沙耶の穴に放出した。まるでその為だけのオンナのように扱った。沙耶は奴隷のようになり狂ったように燃えた。



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