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雪国


吉幾三 :「雪国」

最近のは年齢のせいか声が出ていないので、レコード音源のやつを!


1986年6月----------------

赤坂、「桜井」桔梗の間・・・

石井
「じゃーS会でも相談役ですか?」

オレ
「西でもやってるんならこっちでもやってくれ!って(笑)」

松井
「ムーさん。そんな言い方したら説明も何もないじゃないですか(笑)」

横山
「詳細を是非お願いしますよ^^」

オレ
「しょーがねーなー(笑)」

これまでの経緯は石井も横山も松井から詳細を聞いていたようだった。


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岩崎
「それでは時間になりましたので、定例理事会を始めたいと思います」

「その前に本日は、相談役のムトー氏にも入って貰ってますのでご了承下さい」

理事1
「ちょっと待って下さい。ムトー相談役は、投票権を持っていないですよね?」

岩崎
「はい。投票権はありませんが、発言権はあります」

理事2
「発言権と言ってもムトー相談役はほとんどS会、連合の事をご存知ないでしょう?」

オレ
「いいですか?岩崎さん?」

岩崎
「はい。どうぞ」

オレ
「あくまでも相談役ですから、ここで皆さんが協議されているのを見守るのが基本姿勢ですが、他の組織の事も含めて私の知っている事でお役にたつと思った事を発言させて頂きたいと思ってますので、どうぞよろしくお願いします」

理事2
「・・・」

岩崎
「では、始めたいと思いますが・・・前回の「理事増員」の件の話に入る前に、ひとつ提案があります」

理事3
「ちょっと待ってくれ!話の後先で言うと前回の議題を今回採決すると決まっている以上、そっちが先じゃないのか?」

岩崎
「おっしゃり通りです。しかしながら、これからお話しする内容はそれにも絡んできていますので、まずお聞き下さい」

理事3
「どう絡むんだ?」

大島
「だからこれから話すと言ってるじゃないですか!黙って聞きましょうよ」

理事3
「おい大島・・・いい気になるなよ」

岩崎
「それではご説明します」

「現在S会は連合の形式をとって運営しておりますが、今後はS会として、一家一門として運営したいと考えております」

理事1
「なっなんだいきなり!そんな事聞いてないぞ!」

理事2
「そうだ。一家一門って、それじゃダメだからと連合になったんじゃないか」

理事3
「連合になった経緯をまさか忘れたわけじゃないだろう?岩崎」

田所
「確かに・・・警察の頂上作戦が行われて、個別の組組織では対抗出来ない。という事で連合になった経緯がこれまでだった」

「だが・・・もう1度石本会長を親分と仰ぎ、我々もS組の一家一門になる事でより結束を固めて、これからの時代に対応して行こうというのは・・・ワシは賛成だ」

理事1
「えっ?田所さん賛成なんですか?」

理事2
「そっそんな」

理事3
「・・・」

岩崎
「今、田所さんが言われた通り、S会はS組となって石本会長を親分と仰ぎS会の隆盛を極めたいと思います」

「では採決を取りたいと思います」

理事2
「その前にもう少し話を聞かせて下さい」

「今後、この理事会に変わる機関とか定数とかそのあたりの具体的な組織図はどうなってるんでしょうか?」

岩崎
「そのあたりの事はまだ未定の部分がありますので、しっかりと固まってから発表させていただきます」

「まず、親子固めの杯をする事を最優先に考えております」

「では採決をとりたいと思います」

「賛成の方は挙手を」

田所が手を上げるのを確かめてから、それまで文句を言っていた連中も上げた。岩崎はそれらを確認してゆっくりとした口調で話した。

岩崎
「全員一致と言う事でご了承頂きありがとうございました」

田所
「最後にムトー相談役、何かありましたら」

オレ
「はい。では・・・」

「一家一門としてS会がS組に生まれ変わる瞬間に立ち合わせて頂いて光栄です」

「そしてまた皆さんと新しい「執行部会」で顔を合わせる事を楽しみにしております」

「以上、ありがとうございました」


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石井
「それでムーさんは?」

オレ
「オレは相談役のまま、そして石本さんとは兄弟のまま何も変わらない」

松井
「もう杯事は終わったんですよね?組織再編も?」

横山
「問題はその田所さんですけど、どんな役職なのかな?」

石井
「その作業はやっぱり岩崎が中心となってやってるんですか?」

オレ
「すでにもう執行部の方で役職を決めているだろうけど、田所が押していた新理事の候補も含めてうまくやってるんじゃないか?」

石井
「じゃームーさんは関わっていないんですか?」

オレ
「うん。会長に見せる前に見せてくれるらしいよ」

松井
「じゃームーさがチェックして修正依頼もかけれるんですか?」

石井
「そりゃー田所を黙らせたいや、真っ先に賛成に回らせた立役者だから、言う事聞かないわけには行かないだろう(笑)」

横山
「じゃー明確にナンバー2に?」

オレ
「いや、次は「岩崎」だ。だからナンバー2の「代貸」はこれまで通りだけど、新たに同格の「本部長」をつくる。たぶんそこに収まるだろう」

松井
「同格・・・もし石本さんが亡くなったりしたら」

オレ
「今すぐ急死したら問題だけど、当然何かあった時のために遺言はつくるだろうな、後継者を指名するような」

横山
「でもナンバー2がふたり居ると結局これまで通りになりませんか?」

石井
「いや、全然違う」

「今度は親分の力が強大だから、大義名分がなくても執行部で決めたことを、気に入らないと言ってひっくりかえす事ができる」

「それに文句を言うやつがいたら、それこそ破門だ」

「破門もくらった極道はどの組にも入れない」

「そういう絶対者という立場を保つ限り大丈夫だろう」

横山
「でもその田所・・・何か魂胆があるんでしょうね?」

松井
「横山、お前もそう思うか?オレもだ(笑)」

石井
「それもこれもみんなムトーマジックさ(笑)」

「岩崎ら次世代グループは今回ムーさんの力で自分達の思うようにできた」

「石本さんはきっと大満足だろう」

「そしてムーさんは田所ともパイプが出来た」

「ムーさんが新しい組織のキーマンになった」

オレ
「考えすぎだ(笑)」

嫌がる横山と松井を強引に誘ってオレたちは4人で吉原のソープへ行った。行ってしまえばそれなりに喜んでいるのだが、どうも横山はこういう時の往生際が悪かった。

そしてオレは赤坂の自宅に戻って寝た。


▼6月16日・・・六本木・Maggie


「現実の街ぃにぃ〜♪
    戻っていくけーれーどぉ〜♪」

オレ
「と、こんなところで小休止しよう」

「源、今のビデオプレビュー出来るか?

「オッケーじゃーそのデカイモニターに出して」

オレは客席の人溜まりに近づいた。

オレ
「坂井さん。基本はバックコーラスのレディーに振り付けをお願いします」

「坂井さんの振り付けで^^」

坂井
「ははは^^任せろ!」

「それと他のプレイヤーにももう少しリズムを生かしたノリが必要だな」

「その辺りもちょっとやってみよう」

オレ
「はい^^よろしくお願いします」

「ハセ!それぞれのヘアースタイルも決めてくれよ」

ハセ
「任せてー^^ユーイチは、その長髪、普段はそうしてひっつめてるの?」

オレ
「おう^^でもそろそろバッサリと短くしようと思ってる」

ハセ
「んーーーある程度の長さがある方が融通利くんだけどなー」

オレ
「なんならズラでもいいぜ!(笑)」

ハセ
「ふむっ!それなら面白いのがある(笑)ドレッドっぽいので行く?」

オレ
「おーージャマイカ風か?」

ハセ
「うん。ちょっと確認してくる」

オレは目の前に用意されたグラスに入ったスポーツドリンクを飲んだ。

小山
「ムーさん。衣装のデザイナーは別にいらっしゃるんですよね?」

オレ
「ああ。でももう一度やり直すというか、パターン化しようと思って」

小山
「この店のフインキにあった色使いでいいですか?」

「赤、青、緑、でもこんな風にちょっと彩度を変えて」

「こんな感じですね」

小山は色見本のようなものをオレに見せた。

オレ
「ふんふん」

小山
「今の衣装もステージ衣装という事でもう少し色を豊富に使ってこんな風に・・・」

小山は居ステージ衣装ののラフなデザイン、柄の組み合わせを描いた。

オレ
「モザイクっぽく色を使う?」

小山
「そーですね!ステンドグラスのような色使いでトーンを変えると・・・こんな感じですかね?」

オレ
「オッケーわかった。衣装全部お前やれ!オレとコーラスレディーのも」

小山
「えーいいんですか?」

オレ
「素材の調達とかは横山に言えば大丈夫だから」

小山
「はい^^」

オレは立ち上がり浜田のところへ行った。

オレ
「えーとちょっとプレイヤーは集まってくれ」

「さっきのオリジナル3曲をメインに他には・・・そうだな」

「マービン・ゲイをやろう^^」

浜田
「Mercy Mercy Me とかWhat Going Onか?」

オレ
「あい、うぉんちゅー♪とかな(笑)」

「もっとも原曲通りじゃなくて、アレンジしよう♪今風、さっき風に」

浜田
「オッケー^^ドラム以外にコンボとかパーカッションリズムセクションを足そうか?」

オレ
「うん。いいな^^ステージ上の見た目の人数を増やす意味でもいい(笑)」

「コーラス・レディーたちはどう?」

元田
「はい^^楽しいです!」

宮本
「振り付けが結構あるんですね!」

オレ
「今回のステージはコーラスレディーが最大のウリだ」

「きっちりと多彩な振り付けが入って、曲にしっかりと会って、『あっ!あんな風に一度踊ってみたい^^』て関心を持たせるようにしたいから、そっちのトレーニングの方が厳しいかも知れないぞ(笑)」

元田
「うわー大変そう(笑)でも面白そう」

宮本
「うん。面白そう」

オレ
「衣装もしっかり2パターン用意するから頑張って^^」

元田&宮本
「はぁ〜い」

オレ
「じゃープレビュー見よう」

「モニター前に集まって!」

それからオレ達はビデオでそれぞれ自分の映像と音を確認した。ヘアーや衣装の打ち合わせも終わり、なんとか新しいmar'sのコンセプトも理解して貰えたので任せてしまおうと思った。

2時間にわたる練習を終えて現場で解散した。そしてオレと浜田は隣のビルの1階にあるカフェに入った。

オレ
「斉藤の抜けた後のベースが見つかった。それとサックスも」

浜田
「ほう^^早いな(笑)」

オレ
「ベースは22歳のアメリカ人、黒人だ。サックスは26歳日本人だ」

浜田
「いつ会える?」

オレ
「ほんとは今日連れてくるつもりだったんだけど、明後日もう1度昼間にMaggieで顔合わせと軽く練習しよう」

浜田
「オッケー♪それにしてもヒロ。お前気合入ってるな?(笑)」

オレ
「ははは^^NY、シカゴでLIVEはさんざん見たけど、「東京」のLIVEはコレだと言うのをまず見せる!」

「音楽性をより知らしめるために今回はビジュアル重視でやる。同じ曲でも毎回微妙に違うモノを見せる。」

「LIVEは見に行かなければ面白くない!これを知らしめる(笑)」

「これまでの集大成と同時に新しいチャレンジだ」

浜田
「本気だな?」

オレ
「いや、アソビだ(笑)この年になってやるんだから、そこいらの若いやつらがマネできないものをやりたいだけさ」

浜田
「くくくっ!動機はなんでもいい(笑)mar's12年目の奇跡を見せてやろうぜ!」

オレ
「おう(笑)」

オレは浜田と別れて、同じ六本木の新店舗の工事状況を見て回った。多少の違いはあっても順番にやっつけているので、進み具合もそれぞれの順番になっている。ほぼ予定通りだった。


▼16時・・・クォーリーオフィス


オレ
「おはよーあれ?横山いない?」

小林
「お疲れ様です。はい。さきほど打ち合わせに出られました」

オレ
「あっそう」

小林
「連絡とりましょうか?」

オレ
「いや、いい」

オレは自分のデスクに座った。小林の他に誰も居ないようだった。ちょっと失敗した気になったが仕方ない。すぐに小林は珈琲を持ってきてくれた。そして目の前でフレッシュを入れスプーンを使った。

小林
「この間はすみませんでした」

オレ
「ん?何?」

小林
「・・・酔って変な事ばっかり言って」

オレ
「そうだっけ?そんな事はよくある事だ気にするな(笑)」

小林
「はい。。。」

オレは珈琲カップを持った。小林はまだそこに立ったままオレを見ていた。

オレ
「何?」

小林
「フレッシュクリーム入れたので・・・」

オレ
「あははは^^アレは冗談だって言っただろう?」

小林
「私にご招待させて下さい」

オレ
「何を?」

小林
「お食事でも」

オレ
「ふーん」

「小林の奢りでメシを食う^^いいな!行こう(笑)」

小林
「はい^^」

まだ5時にはいくらか時間があったが、オレたちは事務所を閉めて外に出た。そして並んで歩いた。

小林
「何がいいですか?」

オレ
「そうだな。今日はお前に任せる(笑)」

小林
「わかりました(笑)」

通りに出てタクシーに乗った。小林は赤坂のホテルの名前を告げた。どうやらホテル内のレストランにでも連れて行ってくれるようだ。

正面玄関でタクシーを降り、ロビーの脇から日本庭園を歩いて・・・テッパンの店に入った。オレはここはよく知ってる。しかし黙っている事にした。

小林
「フィレとサーロインのどちらかしかないんですけど^^」

オレ
「じゃーサーロインのミディアム」

小林
「はい^^」

小林はサーロインとビールをオーダーした。ビールはすぐに運ばれ、グラスが置かれた。そしてオレは小林にビールを注いでもらって、オレも同じように小林にした。

軽くグラスを合わせてオレはそれを飲んだ。

オレ
「いい景色だな^^」

小林
「そうですね^^一度だけ家族と来た事があるんです」

オレ
「そう^^小林は兄弟いたっけ?」

小林
「学生の弟がひとり居ます。クラブばっかりやってほとんど家には居ませんけど(笑)」

オレ
「ほー体育会だな?」

小林
「ええ。テニスなんですけど^^」

オレ
「軟弱なスポーツだと思ってたけど、アレはアレで結構ハードなスポーツだな?」

小林
「はい^^私も高校までやってました」

オレ
「へーそうなんだ?大学ではやらなかったのか?」

小林
「はい。さすがに大学のクラブには入りませんでした。でもサークルで時々やってました」

オレ
「サークルじゃ物足りなかっただろう?」

小林
「ええ。でもあんまりテニスが出来るのも可愛げがないと思われて(笑)ですからもっぱら弟の練習相手をしてました」

オレはそんなプライベートは話題を聞くのが好きだった。相手の家庭や環境が想像できて楽しかった。

テッパンに乗せられたサーロインが運ばれてきた。箸で食べられるようにサイコロ状にカットされていた。

オレは小さな皿に塩だけを入れて、それにつけて食べた。

小林
「今日、Maggieで練習だったんでしょう?」

オレ
「うん。2時間しっかりと練習した」

小林
「せっかく斉藤さんも頑張っていたのに残念でしたね」

オレ
「ははは^^あいつは仕事にかこつけて逃げ出しやがった(笑)」

小林
「改めて斎藤さんに詳しく教えてもらったんですよ(笑)」

オレ
「きっと斉藤は余計な事もぺらぺらと話たんだだろうな?」

小林
「はい(笑)幻に終わったツイストの話を詳しく聞きました」

オレ
「あいつは昔から虚言癖があるから(笑)」

小林
「そんなー^^浜田さんもその事は言ってましたし」

「ムーさんがあの時、世に出ていたらもっと音楽シーンは変わったって言ってました」

オレ
「もしかしたら?って話はいつだってそんなものさ(笑)」

「そしてそんな話はオレ達に限らずたくさんある^^」

小林
「うん。だからいいんですよ^^ムーさんは絶対自分の事を自慢しない」

「いつも他人事のように笑ってる」

オレ
「ふんっ」

小林
「そう浜田さんが言ってました」

オレ
「バカヤローばかりだから(笑)」

ちょっと意外な気がした。東京へ来てからショーヘーは変わった。それまでとは打って変わってアグレッシブになっていた。きっと自分の中で何かを変えようと努力しているんだろうとは思ったが・・・

小林
「デビューするんですか?」

オレ
「いや、しない」

小林
「絶対ヒットすると思いますけど?」

オレ
「一般ウケしないさ(笑)それにそればっかりやっていられないし」

小林
「そんな事ないですよ!いい歌ですもん!それにヒットしても仕事はいくらでもセーブできると思うし、第一勿体無いですよ」

オレ
「ははは(笑)そう言って貰えるとちょっと嬉しい」

小林
「本当に嬉しそうな顔するんですね!^^」

オレ
「ははは・・・」

オレは昼飯を食いっぱぐれていたせいもあって旨い肉を食っただけで幸せだったのだ。

小林
「ムーさん。このホテルの最上階のBarにカップル席があるんですよ」

オレ
「そう」

小林
「行ってみません?きっと景色もいいしステキなところだと思います」

オレ
「思いますって、恋人と一緒に行った事ないのか?」

小林
「恋人?そんな人いませんよ」

オレ
「どうして?」

小林
「どうしてって聞かれtも・・・居ないものは居ないとしか」

オレ
「小林はモテるだろう?これまでもそれこそ、群がる男をバタバタとちぎっては投げ!泣かせてきただろう?^^」

小林
「あははは^^ムーさん。なんか時代劇っぽい(笑)でもダメなんです」

「気障な人とか、見た目がいいだけの人とか、どうも違うんですよねー」

オレ
「あっそう。要するに小林は選り好みが激しいんだ?」

小林
「んーそうかも知れません^^ねー行きましょうよ!もちろん私の招待です!」

オレ
「そろそろサンセットだな!いくか?」

小林
「はい^^」

オレたちは席を立った。そしてキャッシャーへ向かった。小林がカードで支払いをしようとした。オレはそれを遮り、自分のカードを出した。

小林
「ムーさん。ダメです!ここは私が」

オレ
「いや、心配ない。経費で処理するから」

小林
「嫌です。せっかくこんなに楽しい食事なのに、経費にしないで下さい」

そう言って小林は強引に自分のカードで支払うように目の前のマネージャーに言っていた。そいつはチラッとオレの方を見た。オレは肩をすくめて見せた。
マネージャーは少し笑ったような気がした。そしてオレは小林のご馳走になった。

一緒に庭園に出た。

オレ
「じゃーBarはオレの奢りだ。もちろん自分のポケットマネーだ」

小林
「はい^^それでは遠慮なくご馳走になります」

小林はそう言って少し遠慮がちにオレの腕を持った。オレは何故か新鮮な気分だった。

最上階のBarここにもよく来ている。オレはカップル席をリクエストした。黒服の案内で窓際の外に向いたソファ席に案内された。オレはシャンパンとオードブルをオーダーした。

ワゴンに乗せられたシャンパンクーラーから冷やしたシャンパンが取り出され、黒服はオレたちに見える位置に移動して、シャンパンの栓を飛ばした。そしてそれぞれのグラスに注いだ。

オレ
「今日の良き日を、神に感謝♪」

「カンパイ」

オレたちはグラスを合わせてそれを口にした。

小林
「ムーさんは、カソリックなんですか?」

オレ
「いや、神道だ(笑)」

小林
「はぁ〜?あの神棚で手をたたくやつですか?」

オレ
「ああ。そうだ。ほら空が紫色になってるぞ!」

小林
「あっもう陽が沈んでるんだ」

ソファ席に並んで座っているが、小林はオレの方に体を向けていた。小林の膝がオレの脚にあたっていた。そして上体だけを捻って外の景色を見ていた。

小林
「街もキレイ^^」

オレ
「もう灯りがつき始めている」

小林
「はい」

オレ
「サーカス・シティーの始まりだ」

小林
「サーカス・シティーって?」

オレ
「夢と幻想の世界だ(笑)」

小林
「そんな風に言われると、なんかワクワクしますね^^」

オレ
「この街はまだまだ熱くなる。オレたちはオレたちのショーを見せる」

「それを見るために観客は長い列を作って並ぶ」

「オレたちはちょっとそれを申し訳なさそうな顔をして客に軽く詫びる」

「でも、心の中では・・・楽しみにしてろ!オレ達のショーが1番なんだ!って誇らしく思うんだ」

小林
「ショーですか?」

オレ
「ははは^^気障ったらしいのは嫌いだったな?(笑)」

小林
「ぜんぜん気障じゃないです。まるでファンタジーように魅力的です^^」

オレ
「まっそんな店をつくって皆さんに喜んでもらおうと言う事だ」

「仕事の話だけどな(笑)」

小林
「何か・・・誤魔化してるように思えます(笑)」

「ムーさんはボーカルの『ヒロ』じゃないですか」

「きっとヒロさんは、そんな風に音楽やその仲間と一緒に楽しくショーをやってきたんでしょう?」

オレ
「・・・」

小林
「何か?」

オレ
「どっちがいい?」

小林
「えっ?」

「ちょっと危険な香がする『ヒロ』さんがいいです」

オレはシャンパンを口にした。小林がすぐにオレのグラスに注ごうとした。オレは先にボトルを持ち、小林のグラスに少し注ぎ足してから自分のグラスに注いだ。

オレ
「女性にお酒を注いでもらうのはどうも日本だけらしい。他ではそんな事をさせてはいけないみたいだ(笑)」

小林
「そーなんですか(笑)」

オレ
「ニューヨーク大学の演劇学科でしっかり芝居を勉強した」

小林
「はい」

オレ
「シェークスピアも悲劇より喜劇がいいんだ」

世良は男くさい男に拘った。フィリップ・マーローのようなハード・ボイルだ。

オレはチャップリンのように観客を笑わせながら痛みを感じられるアクターで居たい。」

小林
「すみません。勉強不足で・・・」

オレ
「ははは^^いいさ!今回のmar'sはその集大成だ(笑)

派手な衣装でダンサブルに見せて、ちょっと可笑しい。

そして、失った愛を嘆き、哀しみ、悶えながら歌う^^」

小林
「はい。最初はちょっと笑いましたが・・・だんだセクシーに見えてきました。

失恋した事ないはずなのに(笑)」

オレ
「心が千切られるような痛みに、暴れたくなる。

何もかも無くなってしまえっ!と思うぐらい哀しくてやりきれない。

でも悲しんで泣いてばかりいられない。

すぐに別の女が待ってるから、次の舞台に上がらないとダメなんだ

泣きながら笑うんだ。ピエロのように」

小林
「・・・」

オレ
「ははは^^明後日の練習が終わったら、次は本番だ」

小林
「今、ヒロに戻ってください」

オレ
「いや今はグラサンも持ってないし(笑)」

小林
「途中で止めないで下さい。今一瞬ヒロになりかけていたのに、またムーさんに戻った」

オレ
「・・・」

オレはシャンパンを飲んだ。そして自分のグラスにだけ注いだ。思ってた以上に勘のいいヤツだな?それにオレの短い問いに的確に応える事ができている。

オレ
「小林。お前は健康な精神の持ち主なんだから、危険なマネはするな」

「そのままでお前は幸せになれるさ^^オレが保障する(笑)」

小林
「迷わないでヒロになって!」

小林は体ごとオレの方に向けて、真剣な表情をしていた。こいつは・・・香と同じか?オレは一瞬そう思った。

オレ
「明後日の練習・・・見に来るか?」

小林
「はいっ^^見たいです!練習も見たいっ!」

オレ
「あははは^^そんなに喜んでもらっても困るんだけど」

小林
「だって、ヒロの普段が見れるんでしょう?嬉しいっ^^」

オレ
「ははは・・・」

今を誤魔化すために、明後日の事を言っただけなんだが、なんとかそれに乗ってくれたようでひと安心した。

小林
「ユーイチ・・・って呼ぶ人も居るんですね」

オレ
「そうだったかな?(笑)」

小林
「ユーちゃん♪って呼ばれる事も^^」

オレ
「だから?」

小林
「私は・・・ヒロって呼びたいです」

オレ
「お前がオレの事をヒロって呼んだ瞬間に大騒ぎになるだろうな(笑)」

小林
「絶対にふたりっきりの時にしか呼びませんから」

オレ
「アホっ!ふたりっきりの時なんかない(笑)」

小林
「どうしてそんな意地悪なんですかー(ーー;)」

オレ
「お前・・・もしかしたらものすごく酒に弱いのか?」

小林
「ビールもシャンパンも飲んだし、美味しいし^^」

オレ
「で、酔うと絡むのか?」

小林
「絡んでないです。もう少し優しくして欲しいだけです」

オレ
「ははは^^オレは誰にも優しいぞ!」

小林
「いえ。ヒロさんは私を避けてます」

「やっかいなオンナだなーと思ってるでしょ」

「この間も意地悪ばっかりするし」

オレはウエイターを呼んだ。そしてブランデーのセットをオーダーした。

オレ
「オレが何をした?」

小林
「理子や絵梨ばっかりで、私にぜんぜん構ってくれなかったじゃないですか」

オレ
「あははは^^それは小林の友達だから」

小林
「お前でしょ!ちゃんとお前って呼んで下さい」

「あっサトミでもいいです^^」

ブランデーセットが用意された。オレは自分の好みの少し濃い目の水割りをつくった。そしてひとつを小林の前に置いた。

小林は無造作にそれを手にとり飲んだ。

小林
「飲みやすくて美味しい^^」

オレ
「そう^^」

それからオレは小林に絡まれながらも話を逸らして、NYの話なんかをしてしっかりと飲んだ。

オレは足元の危うい小林を連れて、そのホテルにチェックインした。ホテルの部屋に入り、オレは小林を抱いてキスをした。そして乳を揉んだ。小林はほとんど抵抗もせずにオレに体を預けてきた。

そして急に体に力が入りオレから逃れようとした。

小林
「・・・トイレ」

オレは小林の脇に手を入れてトイレに連れて行った。ドアを閉める余裕もなく小林は嘔吐した。レバーを引いて勢いよく水が流れる音が聞こえた。

オレは小林を介抱した。

ベッドに連れて行き服を脱がせて、下着もとった。黒々とした下腹部を見た時に一瞬ゾクとした。

オレは小林を毛布の中に入れた。

小林
「ヒロ・・・」

小林がオレの顔を見た。オレは仕方なく上着を脱いでその隣で寝た。そして軽くキスをした。そのまま手枕をしてやると小林は眠った。

オレはゆっくりと起こさないように気をつけてベッドを降りた。受話器を取り上げてビールを頼んだ。キャメルライトを取り出して火をつけた。

窓際に寄って外を見た。真下に日本庭園があった。さっきより低い階だったが、それでも夜の街が広がっていた。


翌朝・・・


朝、小林を起こしてすぐに服をつけここに降りてきた。2階のカフェで朝食をとっていた。バイキングスタイルの和洋折衷だった。

オレ
「しっかい食っとけよ^^その後さっき貰った薬を飲むんだ」

小林
「・・・はい」

オレ
「家の人心配してなかったか?」

小林
「大丈夫です。理子のところに泊まった事にしました。それに私信用ありますから」

オレ
「今日は横山も居るから休むか?」

小林
「いえ。仕事にでます」

オレ
「そっか」

オレは和食を食った。ご飯のお替りをしてようやく落ち着いた。小林はほんとんど食べていなかった。そして席を立ち、戻ってくるとコーヒーと紅茶をトレイに乗せていた。コーヒーにフレッシュクリームだけを入れてオレの前に置いた。

オレ
「ありがとう」

小林
「あのー」

「服は・・・脱がされたんですよね?」

オレ
「ああ。苦しそうだったからな素っ裸にした」

小林
「・・・」

オレ
「極力見ないようにした。だけど、ちょっと抱いて寝た^^」

小林
「今度は酔いつぶれないようにしますから・・・」

オレ
「あははは^^あんなに弱いとは思わなかった」

小林
「もう1度、チャンスを下さい」

オレ
「怒ってないのか?」

小林
「私がですか?どうしてですか?」

オレ
「いや、家に送ろうと思ったんだけど、オレも酔ってて(笑)」

小林
「今度はちゃんとセーブしますからお願いします^^」

オレ
「ははは・・・また今度な^^」

小林
「はい^^でも・・・嬉しかったです」

オレ
「あっそう」

オレたちは一緒にタクシーに乗って、青山の事務所前で降りた。先に小林を向かわせてオレは下のカフェで時間を潰した。本当はこのまま自宅に帰って風呂に入りたかったが・・・オレだけそれをするのは気が引けた。

オレはコーヒーを飲み、キャメル・ライトをくわえて通りを見ていた。手間がかかったが・・・なんとか乗り切れたと思った。同時にそれは問題を先延ばしにしただけで、なんの解決にもなっていない。むしろ相手に誤解を与えたという事でもっと罪深いかも知れないと思った。


▼10時・・・


オレは事務所に上がった。すでに横山は来ていた。小林はいつものように笑顔で対応した。横山が近づいてきた。

横山
「明日、練習ですよね?」

オレ
「うん。他に何かあったか?」

横山
「浜田さんの引越しの話、聞きました?」

オレ
「いや、何も」

横山
「どうも歯切れが悪いんですけど、引越しするそうです」

オレは小林に見られないように小指を立てた。横山は小さく頷いた。

オレ
「ちょうどいい。浜田の後に四方に入ってもらえばどうだ?」

横山
「あっ!そうですね^^そうしましょう。じゃーそれで段取りします」

六本木の新しく開店させる店の話をしてからオレはオフィスを出た。そして5階で降りて沙耶の部屋のインターフォンを押した。暫くして応答があった。


「はい」

オレ
「ムトーです」


「あっユーちゃん。ちょっと待ってねー」

言葉通りオレは待たされた。そしてドアが開いて招き入れられた。沙耶はすっぴんだった。どうやら寝起きらしい。

沙耶と軽く抱擁をしてオレはリビングに入った。そしてソファに座った。沙耶はキッチンへ行った。

オレ
「昨日は遅かったのか?」

沙耶
「うん。延々夜の11時まで・・・それからごはんに行って飲んだから帰ってきたらもう2時だった」

オレ
「ははは^^それぐらい沙耶はへっちゃらだろう?」

沙耶
「んーーー面白くもないし、もう私も年かなーって(笑)」

オレ
「何言ってるんだ^^ちょっとしっとりとした感じが出てきてまだまだこれからさ」

沙耶はドリップしたコーヒーをトレーに載せて持ってきた。テーブルに置いてオレの隣に座った。フレッシュクリームを入れスプーンを使った。

オレ
「ありがとう^^」

沙耶
「どう?調子は?」

オレ
「ん?オレか?オレは元気さ(笑)」

沙耶
「昨日はバンドの練習だったんでしょう?」

オレ
「ああ。そっちの方か(笑)うん。衣装もヘアーも振り付けもしっかりとやってるから面白いと思うよ」

沙耶
「そう^^本番は予定通り週末でしょう?楽しみだなー」

オレはコーヒーカップを口にした。沙耶はコーヒーメーカーを使わない。手早くドリップでコーヒーを淹れる。それはまたそれで美味しかった。

オレ
「そう言えば・・・Mellow Beachでやった最後のLIVEを見て沙耶は東京へ行ったんだったな」

沙耶
「うん」

オレ
「今度は、あの頃とは全然違う音楽性だけどな^^」

沙耶
「後半は・・・ずっと泣いてた」

オレ
「ん?」

沙耶
「こんなに愛してるのに・・・私がバカな事して、ユーちゃんの傍に居られなくなって、後悔ばかりした」

オレ
「ははは^^お互いあの頃は若かったからな(笑)」

「なんだかんだ言いながらオレは格好をつけてたし」

「沙耶にも可愛そうな事をしたと思ってるよ」

沙耶
「ユーイチはいつだって優しい」

「私に可愛そうな事なんて・・・」

「でもしてくれなかった」

オレ
「ほんと沙耶は昔からこんなイイオンナだったのに、どうして手を出さなかったのか自分でも不思議だ(笑)」

沙耶
「ユーイチがあんなにキョーコちゃんを愛してるなんて思わなかった」

「私を抱く事がキョーコちゃんを裏切る事だとでも思ってたんでしょ?」

「ちゃんとキョーコちゃんの許可をとってるのに最後まで信じなかった」

オレ
「あははは^^後で聞いてびっくりしたけどな(笑)」

沙耶
「でも、今は前より優しくて、すごく嬉しいのよ!^^」

オレ
「そう^^」

沙耶
「だから、今日は一緒に居よ^^」

オレ
「えっあーそうだな。。。」

沙耶はオレに抱きついて首の後ろに手を回した。そしてキスをしてきた。沙耶の舌がオレの舌にからんで強く吸った。オレは思わず抱きしめる手に力が入った。

オレ
「何年経っても・・・オレは沙耶が可愛くてたまらない」

沙耶
「私もよ^^ユーイチが大好きっ」

オレたちは寝室に入りゆるいセックスを何度かした。そして一緒にシャワーを浴びまた沙耶を犯すようにした。

そしてその後、昼食に出かけた。


▼6月19日・・・


18時・・・六本木Maggie

横山
「すでに満席です。立ち見を制限してますがそれでもまだ並んでます」

オレ
「身内ばかりで満席か?(笑)」

横山
「一般客も多いですよ(笑)」

オレはちょっと緊張した。待ってる間はこんなもんだ。一旦ステージに立ってしまうとまったく緊張感などはないのだが・・・

横山
「じゃー先にボーカルとコーラス以外はステージに行って下さい」

「予定通りドラムがなったら残りが出ます!」

オレ
「よしっ!やるぞっ!^^」

「おう^^」

オレとコーラスの元田、宮本だけが控え室になっているスタッフルームに残った。

オレ
「緊張してるか?(笑)お前達はこの中で一番セクシーできれいな声の持ち主だ!」

「客はみんなお前達に注目する^^自信を持って見せ付けてやれ!」

元田&宮本
「はいっ!^^」

ドラムの音が聞こえてきた。

横山
「お願いしますっ!」

オレ
「さて、いくか(笑)」

横山がドアを開いた。ドラムのイントロが大きく聞こえてきた。そしてオレたちは店内に入った。そこで一旦止まった。サックスが始めた瞬間、オレたち3人にスポットが当たった。

会場の歓声が上がった!

オレたちはステージに向かう。オレは真ん中の自分のマイク前にステップを踏みながら会場を見渡した。テーブル席は埋まり、壁際には人、人、人の列。そして隣を見る。ショーヘーが真剣な表情でこっちを見て頷いた。ギターが始まった。

そしてオレは歌い出した


Woo Mercy, Mercy Me♪

Ah things ain't what they used to be no no♪


そして立て続けに・・・

What's Going On

I Want You

と3曲やった。そして次のオリジナルへ続く曲がドラムのリズムで続いていた。

オレ
「ようこそMaggie^^へ」

「mar'sのLIVEをお楽しみ頂いておりますが・・・ここでメンバー紹介!」

「ギター♪ショーヘー・ハマダ!」

ショーヘーが軽くギターを鳴らした。

「ベース♪ジョニー・リーサス!」

ジョニーがベースプレイを見せた。

「ドラムス♪コースケ・トモダ!」

スティック捌きが軽やかだった。

「キーボードっ♪リョータ・サトー!」

滑らかな指先が感じられた。

「サックスっ♪コウイチ・オオカワ!」

サックスを上に挙げいい音を鳴らした。

「パーカッション♪ケイタ・シンジョー!」

手捌きが軽かった。

「そしてコーラス・レディーは・・・

「ヒカル・モトダandアカリ・ミヤモト!」

軽やかに舞いいい声を聞かせた。

「ボーカルっ!わたくし、謎のジャマイカ人のヒロでございますっ!^^」

ひときわ大きな拍手とともにオリジナルの1曲目に入っていった。

マービン・ゲイの軽いリズムから一転してノリのいいビートの利いたラブソング♪新しい曲を立て続けに3曲やった。

そして、エンディング・・・

オレ
「・・・また、お会いましょう♪^^」

エンディングのリズムに乗りながら出てきた時と同じようにオレたちは3人で先にスタッフ・ルームに消えた。そしてアンコールの声を虚しく聞きながら、MCが入り、アンコールがない事を伝えた。

オレは横山が差し出した冷えたスポーツドリンクのボトルを掴んで、一気に飲んだ。

それをコーラスに渡したちょっと遠慮しながら彼女らも飲んだ。

すぐにプレイヤーが戻ってきた。

オレは入り口に立って手のひらを出していた。それぞれその前を通り、オレの手を叩いていく。

オレ
「お疲れっ!^^良かったぞー!」

浜田
「あははは^^ヒロっ!最高に決まってたぜ!お前のダンス♪」

オレ
「おう^^歌はどうなんだ?(笑)」

浜田
「ああ。それも良かったけどな(笑)」

横山
「ムーさん。コーラスがすごいウケてましたよ!」

オレ
「あったり前だ!どれだけあの振り付けをやるのに練習したか」

「なーヒカル、アカリ^^」

ヒカル
「あはっ^^でもすっごく気持ちいいです」

アカリ
「ほんと^^注目されてるのがヒシヒシと伝わって来てサイコー♪」

オレ
「くくくっこれからもがんがん行くぞー(笑)」

ウエイターがビールが入ったグラスをトレーに乗せて持ってきた。オレはそれを全員に渡した。そして大声でカンパイした。

そのまま飲んだくれたかったが、2度目のステージが終わるまで我慢した。そして2度目はやはり少し慣れたせいもあって余裕を持って歌うことが出来、また1度目よりも長いメッセージを発した。

オレ
「まだ明日がある。今日はこれで解散して、明日打ち上げをやる」

オレはメンバーにそう言ってすぐにヅラをとり地毛をセットして、洗顔した。そしてダークなルーズスーツにノータイで店内に入った。

キョーコと沙耶が居るテーブルに行った。

キョーコ
「ユーイチ♪サイコーだったわー^^」

沙耶
「もうセクシーでびっくりよ♪」

オレ
「あははは^^」

オレは周囲を気にしながらそのテーブルについた。

オレ
「全然気付かれてないな(笑)」

キョーコ
「そりゃーそーよ私達だって街ですれ違ったらわからないもの」

沙耶
「ほんと歌を聞くまで信じられなかった^^」

滝口がわざわざジン・トニックを持って来た。オレは礼を言った。キョーコも沙耶も滝口に愛想をした。オレはジン・トニックを口にした。旨かった。

オレ
「1度目は結構緊張して、ミスもあったんだぜ」

キョーコ
「あーそれも見たかったなー」

沙耶
「うん。見たかった」

オレ
「ははは^^後でビデオを見せてやる」

キョーコ
「あー明日もLIVE見たいよぉー」

オレ
「裕子が寂しがるぞ(笑)また次の週末に裕子も連れてくればいい」

キョーコ
「ほんとー?連れてきていい?きっとあの子も喜ぶっ!」

沙耶
「うん。来週また来よ^^」

キョーコ
「沙耶はどうせ明日も来るでしょ?ちゃんと教えてね!」

沙耶
「へへへ^^ごめん。しっかり見ておくから(笑)」

オレ
「じゃーちょっと他へも挨拶してくる」

キョーコ&沙耶
「はぁ〜い^^」

関係者のほとんどは1回目のステージに呼んであった。そして完全入れ替えを行ったので2回目の客で見知った顔は少ない。その中に・・・やっぱりアイツらが居た。

オレはその席に近づいた。

理子
「きゃーヒロさん^^」

小林
「ダメでしょ理子!バレるじゃない」

そう言った瞬間に隣の客がこっちを見た。オレは笑顔で誤魔化した。相手は変な表情をして関心がなさそうにまた元に戻った。

オレ
「ははは^^バレなかった(笑)」

絵梨
「うん。絶対わからないわ^^知ってる人だけですね」

小林
「素顔がバレたら大変なんだから」

理子
「そう?ファンがキャーキャー言って喜んでくれるじゃない?」

小林
「それが一番困るの!」

絵梨
「あはっ聡美は独占したいからでしょ^^」

小林
「こうして一緒に飲む事なんかできなくなるのよ(笑)」

理子
「確かにそれは困った問題だ^^」

オレ
「まー音楽性だから男のファンは居るだろうけど、女のファンはどうかなー?そんなに居ないだろう」

小林
「何言ってんですか!さっきまでこの辺りの女性客がキャーキャー言ってました!」

オレ
「それはドレッドヘアーにグラサンかけて面白いからだよ(笑)」

小林
「いいえ。ドレッドっていってもシンプルですし、全然おかしくないどころが魅力的でした。それにやっぱりカッコイイですし、絶対知られたくないです」

オレ
「あははは^^身内贔屓だなー(笑)それより、小林はノン・アルコールにしろよ!^^」

オレはキョーコたちに見られている手前、大人しく振舞っていたが・・・

理子
「ムーさん。この間、聡美と食事したんでしょう?」

小林
「理子、約束でしょ」

絵梨
「私もお食事をご招待いたしますから^^」

小林
「まったく聞いてないわねー」

理子
「私はお酒強いですから^^」

絵梨
「私も聡美よりは強いですから大丈夫ですよー^^」

オレ
「あははは^^じゃー何にもしないから、みんなで裸になって寝ようかー?(笑)」

小林
「なっ!なんて事をっムーさん!!!」

理子
「きゃー恥ずかしい^^」

絵梨
「うわー理子と一緒なのー(笑)」

オレ
「あははは^^」

こいつらはきっと、キョーコと沙耶のテーブルを意識して、キャーキャー言ってるに違いなかった。小林はそれをわかっていないようだったが、オレはわざとその挑発に乗った。

そして店内を一周して、またキョーコのテーブルに戻った。

キョーコ
「まーユーイチ♪わざわざ戻ってきてくれたんだー」

沙耶
「キャーユーイチ♪カッコイイ(笑)」

オレ
「ちょっとリップサービスしてきただけだ(笑)」

「小林の友人だしな」

キョーコ
「あら、どんどんサービスしてきて!^^」

沙耶
「せっかく戻ってきてくれたんだから私がサービスしてあげるわ」

「ディープなキスしよう^^」

キョーコ
「じゃー順番にしようか?^^」

オレ
「カンベンしてくれよ(笑)」

結局オレはキョーコたちと一緒に店を出た。そしてキョーコの部屋へ行き、もう1度そこで飲んだ。そして沙耶だけが帰る事になりオレは沙耶を通りまで送りタクシーに乗せた。

オレはキョーコの部屋に戻った。

オレ
「あーずいぶん飲んだ(笑)」

キョーコ
「あーん。ユーイチ♪こっちへ来てー」

オレはキョーコが座るソファの隣に座った。キョーコはオレの首に手を回した。オレは軽くキスをした。

キョーコ
「今日は楽しかったー^^」

オレ
「そう^^良かった」

キョーコ
「でも沙耶が心配してるのっ」

「最近ユーイチが優しいのは・・・若い女の子と遊んでるからじゃないかって」

オレ
「公明正大に、誓ってそう言う事はないっ!」

キョーコ
「もちろん私はユーイチの事信じてるわよ^^」

「ただ。私がこんなお腹でユーイチを満足させてあげられないから・・・」

オレ
「キョーコ。考え過ぎだ」

「そのお腹はオレの宝モノが入ってるんだから、キョーコを心配させる事をする訳がないだろう」

キョーコ
「うん。好きよユーイチ♪」

オレ
「ああオレもキョーコが大好きだ^^」

オレはもう1度ディープなキスをした。オレは昔はこんな事をペラペラと言ったりするタイプの男ではなかったはずだが・・・アメリカに長いこと居る事で、最初に言葉ありき!と言う観念に気付かされた。

「愛してる」「好きだ」はそう思う相手にはそれこそ日常の「おはよう」「こんにちわ」と同じくらい頻繁に言わないといけない。という事を覚えた。

オレ
「キョーコ。寝室に行こう^^少しだけでいいからしていいか?」

キョーコ
「あーんっユーイチ♪心配しないでして」

オレはキョーコの手をとってベッドに行き、緩いセックスをした。何度もそんな風にキョーコを大事にしながらした。キョーコは喜んでオレに甘えた。

努力が実った事にオレは安心した。少し妊婦として情緒不安定になっているのかも知れなかったが、やっぱりそんな風に甘えるキョーコが愛おしくてたまらなかった。


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