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バリー・ホワイト



これはもう90年代か?あの「アリー」の劇中でいきなり踊りだすテーマソングでウケましたね!^^

フルバージョンはこちらYou Are The First, My Last, My Everything



1986年7月---------------

オレ
「香、明日もう1度潜るか?」


「うん♪今度は2本ぐらいへっちゃらよ^^」

オレ
「あははは^^すっかりやる気になってるな」


「こんなに気持ちがいいとは思わなかった(笑)」

「それに魚があんなに近づいてきて!」

「怖いぐらい大きな魚も居て、もう何もかもが驚異の世界よ」

オレ
「そう^^」

今日の午前中、岩場に少し手を入れたところから海に入った。初心者用のスポットで、水深は5メートル程度、そこからふたりで手をとりながら、沖に続く岩場に沿って、水深で10メートル前後のところを、大きく弧を描くように岩場を一周した。

原色の派手な模様の熱帯魚に囲まれながら、陽光が差し込む海は綺麗だった。一度休息を取る為に、小さな浮き島のようになった岩場に上がったが、すぐにまた潜った。

そして同じようにその岩場の周囲を何度も回った。エアーが停まりオレはリザーブを引いて、残りのエアーを使った。香の方を見ると同じようにエアーが停まったようだが、香は落ち着いて後ろのレバーに手を伸ばして、習った通りにリザーブを引くことができた。

香は親指を立てた

ボンベ1本を消化して、その日はそれで終わった。そしてホテルの前のプライベート・ビーチで海を見ながら、長い椅子に寝そべっていた。

オレ
「後でアレに乗ろうか?」


「アレって、向こうで海の上を走ってるやつ?」

オレ
「ああ。たぶんジェット・スキーだろう」


「えーそんなの私も乗れるの?」

オレ
「アレはたぶん背が低いからヤマハのタイプだな!アレならオレが運転して、その後ろに香が乗ればいい」


「二人乗りできるんだー^^うん。乗りたいっ」

オレ
「よし^^行って見よう」

オレ達は手を繋いでビーチの端にある桟橋の方へ向かった。すでに前日に小型ボートを借りていたので、そのヤマハ製のジェットスキーをすぐに借りることが出来た。


「運転はこのハンドルのスロットル操作だけですので、非常にシンプルです」

「ムトーさまはすでに小型船舶の免許もお持ちで、操船も確かですから何も心配はないと思いますが、停止だけは余裕を持ってお願いします」

「また横波を受けて放り出されtも、このジェットはゆっくりと周回しますので、すぐに捕まえられますから」

オレ
「うん。ありがとう^^」

オレ達は簡単に説明を受けた後、ライフジャケットを付けて、その浮いているジェットに跨った。カワサキのジェットに比べると簡単に誰でも乗れるので、こっちはレジャーボート代わりにちょうどいい。

オレ
「香いいか?」


「うん♪」

オレはゆっくりとスロットルを開いた。ドドドッとエンジン音と共にその船は推力を与えられゆっくりと宮古島の海、ほとんど波のない平水面をすべるように走り出した。

いわゆる水上バイクの表現がぴったりの乗り物だった。少しスピードを上げてスラロームを繰り返してみた。後ろの香はぴったりとオレの背中についている。オレは一気に直線を飛ばした。そのままでも小さくバウンドするが、そのスピード感はなかなかのものだった。

香の手に力が入っているのがわかった。

オレはスピードを緩めて海の上で停止した。


「すっごいスピード感^^バイクより飛ばした?」

オレ
「いや、海の上だからそう感じるんだ(笑)」


「気持ちいいなー^^」

オレ
「よし^^もう1度飛ばすぞ」


「はいっ」

オレはゆっくりとスロットルを開きながら大きく旋回した。そしてまた長い力線コースをとりスピードを上げた。何度かそれを繰り返した後、桟橋にゆっくりと戻った。

回り込んでぴったりと元の場所につけた。


「お疲れ様でした」

オレ
「楽しかったよ^^ありがとう」


「ほんとコレなら私もできそうな気がする」

オレ達はライフジャケットを脱いで、男に渡した。そしてオレは伝票にサインをして返した。

沖縄、満座ビーチ・・・夏休み前だが、すでに観光客は多かった。バンガロータイプのもう少し遠いところにあるものよりもアミューズメントが多いリゾート・ホテルを宿泊先に選んだ。

3泊4日の2日目、オレ達はオキナワの海を全部楽しもうと思っていた。


▼18時・・・ホテル内レストラン


窓際の席はそこからビーチが見え、大きなサンセットを見ることができた。


「こんなに夕焼けが大きいなんて・・・」

オレ
「香の顔が黄金色に染まってるよ^^綺麗だ」


「ユーちゃんもこっちへ来てー私も見たい」

オレ達は一瞬だけ入れ替わるように席を交代した。


「ほんとだ。ユーちゃんが光り輝いてる♪」

オレ
「ははは^^オレはいいから香を見せてくれ」

もう1度オレ達は入れ替わった。オレたちの後ろのカップルも同じようにそうしていた。


「これがユーちゃんの言ってた黄金のサンセットなのねー♪」

オレ
「ああ。そうだシャシン撮って貰おう」

オレは後ろの席のカップルに声をかけてお願いした。ニコンのFEをプログラムオートにセットして、先に香だけをオレが撮りフォーカスだけを正確に合わせた。その位置で男にシャッターを押すように頼んだ。

オレは香の隣に座って、軽く肩を抱くようにしてポーズを取った。男は少し写真の知識があるらしく、フォーカスをいじりながら何度かシャッターを切った。

オレ
「ありがとう^^」

「そうだ君たちも撮ってあげるよ」

オレはそのカップルの写真を同じように2ショットで何枚か撮った。ウエイターにメモを借りて、男の住所を聞き、後で送付する約束をした。

カップルは喜んでいた。東京から新婚旅行で来た若いカップルはオレたちに礼を言った。


「あーもう陽が完全に落ちてしまう」

オレ
「空の色がこんなに変化するのもオキナワならではだな」


「ほんと綺麗だなー」

オレ
「陽が落ちてしまうと、つまんない」


「どうして?」

オレ
「ん?海は真っ黒で何も見えないから面白くもなんともない」


「それはそうだけど・・・(笑)」

オレ
「懐中電灯を借りて、ビーチを散歩しよう」


「真っ暗なのに?」

オレ
「ビーチに寝そべって・・・星を見るんだ」


「あっそっか♪」

オレ
「これもすごいぞー(笑)」


「うん^^」

食事を終えて、ロビーに出て懐中電灯とマットを借りた。そしてビーチに出てマットを敷いた。手を繋いで寝っことがった。

潮騒を聞きながら空を見ていた。

満天の星空・・・見ているとどんどんそれが近づいてくる錯覚に陥る。握っている香の手に少し力が入った。香もまた星が近づいてくる錯覚を覚えているのだろう。

オレは簡単に星座の説明をした。NYUに留学していた時に覚えたギリシャ神話の話を加えながら・・・


「ユーちゃん。ふたりっきりよ」

オレ
「ああ。そうだな」


「こんな気持ち、初めてよ」

オレ
「そう」


「宇宙の中で私とゆーちゃんのふたりだけ」

「今にもあの星たちが降って着そうね」

「あっ星が・・・流れた」

オレ
「うん。この時期は流星がよく見えるんだ」


「願い事しないと^^」

「でも、早い」

「すぐ見えなくなるっ」

オレ
「ははは^^ずっと思って見てればきっと届くさ」


「うん^^」

オレ
「もう少し南へ行くと、あの向こうにサザンクロスがはっきりと見える」


「サザンクロス♪南十字星ね」

オレ
「そう。単一の星じゃなくて星座なんだけどな」

「この時期はここでは見えないそうだ」


「それにしても、こんなにたくさんの星があるなんて」

オレ
「そうだな。『星の数ほどある』こんなにあったらそう思うよな(笑)」


「でも、宇宙に吸い込まれそうよ」

オレ
「ほらあの銀河が天の川だ。あの中にも真っ黒に見えるところがあるだろう」

「あれが暗黒星雲だ。きれいに見えるものにもダークサイドはある」

「アレに吸い込まれたら星も消滅するらしい」


「ブラック・ホールっていうやつ?」

オレ
「そうだ。それは日常でも口を開けて貪欲なやつらを狙ってる(笑)」


「うわーユーちゃんの好きなスター・ウォーズの世界ね?^^」

オレ
「あははは^^そーだな」

オレ達はフロントで借りたものを返して、部屋に戻った。そして裸になってベッドでゆるいセックスを繰り返した。

翌日、ホテルをチェックアウトして、午前中から2本潜った。ホテルの大浴場にゆっくりと浸かり体から潮を抜いた。香はホテルの全身エステを受けている間、オレはマッサージのサービスを利用した。

午後2時・・・ホテルを出て空港に行き、大阪に戻った。

■7月20日・・・

18時・・・銀座、「サザン・クロス」


「いらっしゃいませ」

オレ
「うん。二人なんだ」


「かしこまりました。どうぞご案内したします」

マネージャーの田辺に案内されて、奥のボックス席に着いた。すぐにレミがやってきた。

レミ
「ようこそいらっしゃいませ^^ご無沙汰しております。四方さん」

ガボマスター
「よう^^レミちゃん。じゃなかったレミママだな!いやついに来たよー」

オレ
「あははは^^レミちゃんって呼ばれる方が嬉しいだろう?」

レミ
「はい^^シューさんにはいつまでもそう呼んでもらいたいです」

ホステスが2人ついた。そしてウエイターはブランデーセットを持ってきた。ホステスたちは水割りをつくった。オレはウエイターに彼女らのいつものノン・アルコールのカクテルを頼んだ。

それらがすぐに出されてオレ達はグラスを合わせてカンパイした。

ガボマスター
「こっちへはたまに来ることはあるんだけど、なかなか銀座は敷居が高くて(笑)ユーちゃんに連れられてようやく来ることが出来た」

オレ
「あははは^^ほんとは銀座でもきっと馴染みの店があるはずなんだろうけど、教えてくれないんだ」

レミ
「これからはこっちへ来たら必ず来てくださいねっ♪シューさん」

オレ
「でもシューさんはどちらかと言うとストイックに飲む方だからなー」

ホステス1
「そうなんですか?やっぱり苦みばしっていい感じですものね」

ホステス2
「ちょっと憧れちゃいますよねー^^」

レミ
「でもシューさんも毎日ミナミで飲んでらっしゃるでしょう?」

ガボマスター
「毎日飲みに行くけど、大体行くところは決まってるからなー(笑)」

オレ
「社用族じゃなくて、自分の楽しみの為に飲む!ってスタイルはいいよな」

ホステス1
「ムーさんも接待とかするんですか?」

オレ
「たまにね^^やっぱり取引先の相手とかと一緒に飲むよ」

ホステス2
「そーなんですか?いつもおひとりで飲んでるのかと思いました」

レミ
「ユーちゃんはシューさんと同じでここでは遊び人だと思われてるのよ^^」

オレ
「あらら・・・こんなによく働いてるオレが遊び人?(笑)」

ガボマスター
「オレもしっかり昼間は店番やって働いてるぞ(笑)遊び人ではない」

オレ達はやっぱりこの店でははしゃげなかった。レミ自身がここでは、レミママとしてその営業スタイルを堅持しているので、面白くもなんともなかった。

オレ達はそうそうに切り上げて、「ミルキーウエイ」に行った。


「いらっしゃいませ^^」

オレ達はいつものテーブル席に案内された。同じようにブランデーセットをオーダーした。

ガボマスター
「なんとなくこっちの方が落ち着くな?」

オレ
「そう^^」


「いらっしゃいませ^^蘭子と申します」

オレ
「シューさん。オレの先輩なんだ」

ガボマスター
「年の分だけ先輩扱いしてもらってる四方です」


「私もシューさんって呼ばせてもらっていいですか?」

ガボマスター
「ちょっと恥ずかしいんだけどね!まーその方が夜は慣れてるから」

オレたちはまた水割りを持ってグラスを合わせた。すぐにドアが開いてレミがやってきた。レミは周囲の客に愛想をしながらこっちにやってきた。

オレ
「お疲れ(笑)」

ガボマスター
「アレ?レミちゃん。もう仕事あがちゃったの?」

レミ
「ううん。実はここもオープンしたばかりなんだけど、うちの店なの^^」

ガボマスター
「へーそうだったんだ?レミちゃんの勢いはすごいなー^^」

レミ
「ほとんどムーさんがお世話してくれたから出来たの」

オレ
「ははは^^オレは別に・・・」

ガボマスター
「それでかー斬新でいいデザインなんだけど、何処となく懐かしさを覚えて不思議な感覚だったんだけど」

「そっかなんとなく前の「キャッツ」に似てるのはそういう事かー」

レミ
「私もちょっとそれを意識しちゃった(笑)そんな風に知ってる人にそう感じてもらって嬉しいわー」

オレ
「まー平面のレイアウトをそうしたら自然にそうなった部分はあるんだけどね」


「以前のお店に似てるんですか?きっとそこも流行ってたんでしょう?」

ガボマスター
「うん。流行ってたよ(笑)

オレ
「もうすぐ長井も顔を出すよ^^」

ガボマスター
「あっそれであのギターセットがあるんだ?そうかー長井ちゃんもこっちに来たんだ(笑)」

レミ
「ユーちゃんがmar'sを復活させてLIVEを始めたから、長井さんもこっちへ来たい!って事になったみたい(笑)今じゃこの店の音楽担当をやってもらってるんだけど」

ガボマスター
「ユーちゃんがmar'sを?おいおいほんとかよー!」

レミ
「あらっ?シューさんも知らなかったんだ。でももう終わっちゃったの」

ガボマスター
「終わったって?」

オレ
「まーアレはアレでひとつの実験みたいな見たいなものだから(笑)」

レミ
「すごい人気だったのに(笑)もうボーカルの「ヒロ」は伝説よ^^」

ガボマスター
「うわーまた伝説が^^」


「ヒロがムーさんだと知った時にはもうみんなにヒロさんの正体知ってるって言いふらしたかったわ(笑)」

ドアが開いて長井が入ってきた。そしてオレたちが居るのを見つけて近づいてきた。

長井
「シューさん♪おひさしぶりです!^^」

ガボマスター
「最近見ないと思ったら、みんなこっちへ来てたんだー^^」

長井
「あははは^^ムーさんがどうしても来い来いって言うもんですから(笑)」

レミ
「あはっ^^だんだんみんなユーちゃんに似てくるわね^^」

オレ
「勝手におしかけて来たくせに(笑)」

ガボマスター
「うん。ものすごく楽しそうだなーいいなー^^」

オレ
「じゃーシューさん。久しぶりにシューさんの曲歌ったら?」

レミ
「うわー聞きたいっ♪」

ガボマスター
「レミちゃんにそう言われたらしょーがねーなー(笑)」


「シューさん。歌ってー^^」

シューさんは前に出た。そして長井のギターとコーラスで7年前につくったオリジナル・バラードを歌った。そう言えばこの曲も間島が作曲したんだった。

シューさん。ここはもう新しいオレたちの遊び場なんだけど、シューさんも感じただろう。何か足りない。もうひとつ大事な事が抜けているんじゃないかって?

そう理沙が居ないんだよ。ここに理沙が居れば完璧なんだけど・・・でもここはあの頃のキャッツじゃないし、理沙の事は忘れて楽しくやってるんだ。

オレはバラードを歌っているシューさんにそう言いたかった。

▼7月21日・・・クォーリーオフィス

横山
「浜田さん。結婚するそうです」

オレ
「えっ?」

横山
「21歳の資産家のお嬢さんらしいです」

オレ
「それは本人がそう言ったのか?」

横山
「はい。六本木でレコーディングスタジオをやるそうです」

「資金は相手方の援助で・・・それでその仕事に集中したいから、Player'sを正式に退職したいと」

オレ
「そうか。。。」

斉藤
「いや、結婚するとは聞いていたけど、そういう事情はオレは知らなかったよ」

横山
「2日前に浜田さんから電話があって、昨日カフェで待ち合わせて、そこで聞きました」

「ムーさんにはちょっと言いにくいので、よろしく伝えてくれと」

斉藤
「ここの部屋を出て、同棲してたんだろう?そういう意味では正式に結婚が決まったのはいい事だな」

「ムトー。オレがショーヘーには会って必ずお前に直接話しをするように伝えるよ」

オレ
「いや、話したくないものを無理にそうしなくてもいい。また飲んだ時にでもいつか話したくなるだろう(笑)」

斉藤
「ムトー。お前の怒る気持ちはわかるけど、あいつこの頃ちょっと変だし勘弁してやってくれよ!」

「なっ!なんだったら一度3人で話をしよう^^」

「いいだろう?」

オレ
「だから別にオレは怒っていないって」

斉藤
「どっちにしても、そーゆー事で頼むよ(笑)」

「じゃーオレ打ち合わせで先に出るけど・・・」

横山
「はい。いってらっしゃい^^」

オレ
「1階に行こう」

横山
「はい」

オレと横山は1階のカフェに行った。オープン・カフェのテーブルに座った。ウエイターにアイス・コーヒーをオーダーした。

横山
「ムーさん。怒ってます?」

オレ
「いや。オレが怒るわけないだろう(笑)」

横山
「そーですよね。でもなんか寂しいですよね」

オレ
「他になんか言ってただろう?」

横山
「mar'sの活動休止が・・・納得いかないって」

オレ
「それはお前もだろう(笑)」

横山
「オレの理由と浜田さんの理由は全然違いますよ」

オレ
「まっ何ににしてもアイツの決めた事だ。好きにやればいいさ」

ウエイターがアイスコーヒーを持ってきた。オレはフレッシュだけを入れてそのまま口にした。

横山
「もうひとつ昨日は連絡がありました」

「退社した小林ですが、婚約して9月に結婚するそうです」

オレ
「あははは^^そうか結婚するのか?そりゃーいい(笑)」

横山
「今度ムーさんに挨拶に伺いたいと言ってました」

オレ
「ほー^^そりゃー大歓迎だ。きっと自慢げに連れてくるんだ(笑)さぞいい男なんだろうな」

横山
「あははは^^楽しみですね!小林にはそう伝えておきます」

「それにしても、一時はどうなる事かと思いましたけど、良かった(笑)」

オレ
「どうにもならねーよ(笑)」

横山
「でもムーさんに振り向いてもらおうと必死でしたからね。ちょっと見ていて可愛そうに思えましたよ」

オレ
「知ったことか」

横山
「女には冷たい女嫌い!面目躍如でしたね」

オレ
「バッカヤロー(笑)」

週末のLIVEの後、何度か小林に迫られてた。オレはその都度冷たく対応した。それが引き金になったのか?小林は先月の末に突如退職願いを出した。そして去っていった。

東京に生活拠点を移してからもオレの女の問題は一向に解決しない。銀座でクラブをやっていた洋子。またもや離婚して戻ってきた沙耶。そして同じく銀座でパトロンを見つけてクラブをやっていたレミ。そして、同じく銀座でクラブをやっている麻美。東京だけでもコレだけ増え、関西では・・・コレもうまく行ってると思っていた香が離婚して戻った。そしてヨーコまでオレは離婚させてしまった。

そして去っていった女は・・・理沙。

▼12時・・・赤坂、日本料理店「桔梗」

由紀
「六本木に5店舗も出来たの?すごいわね?」

オレ
「1つの地域に集中するのはちょっと異常なんだけどね(笑)あそこは特別な場所だから」

由紀
「じゃー腰をすえてこっちで頑張るんだ?」

オレ
「うん。また逃げ出したくなるまでは・・・^^」

オレはビールを飲んだ。由紀はビールを持って注いでくれた。今日は満さん抜きの会食だった。

オレ
「由紀こそずっとこっちで?」

由紀
「うん。神戸に帰ってもする事ないし、もうあの家にも関係なくなったし」

オレ
「そっか・・・オレももうよほどの事がない限りあの家には行かない」

由紀
「あっちでもこっちでも相談役になったんですって?」

オレ
「あははは^^いつの間にかそんな事になってしまって」

由紀
「やくざじゃないにしても、あなたがそんな風になるとは、夢にも思わなかったわ(笑)」

オレ
「おれも(笑)」

由紀
「何もかも変わってしまったわね」

オレは懐石ランチを残さず食った。ちょうど昼時という事もあって店内は込み合っていた。

由紀
「お茶しに行こう」

オレ
「うん」

オレ達は「桔梗」を出て暫く歩いた。うす曇りの空は、この雨が終わったら夏だぞと言っているようだった。外を歩いても蒸し暑く感じる。またあのうだるような日本の夏がやってくる。

最初に目に付いたカフェに入った。

由紀がアイスティーをオーダーしたので、オレも同じものを頼んだ。

由紀
「たまにはニューヨークにも行ってるの?」

オレ
「春ごろに1度行ったきりだな。最近は明確な目的がないとなかなか行けない」

由紀
「あらどうして?」

オレ
「なんか仕事に追われているから、ボォーと向こうで滞在できないと言うか、他の事が色々と気になってね」

由紀
「そう。ついこの間までニューヨークで学生してたのにね(笑)」

オレ
「まだ卒業して1年しか経っていないのに、ずいぶん昔の事に感じるよ」

ウエイトレスがアイスティーを運んできた。オレはフレッシュだけを入れてそれを飲んだ。ストローは使わない。

由紀とは特に用がなくても月に1度は会っている。特に何を話すわけでもなく、相手の様子を見て、聞いてお互い安心する。そんな関係になっていた。

由紀
「今度、本を書こうと思ってるの」

オレ
「本って、出版する本?」

由紀
「うん。特殊な家の子のエッセイみたいなもの」

オレ
「ははは・・・特殊な家の子か?」

由紀
「テーマとしては、非常識な中の常識!ってところで周りは面白がってるわ」

オレ
「なるほどな^^うん。普段笑い話にしている事を書くだけで一般受けするよ」

由紀
「そのあたりから始めてみようと思って(笑)」

オレ
「おう^^由紀なら大丈夫さ!頑張れー」

日本最大の暴力組織。ドンの子供・・・今年の1月にまだ権力を握っていた母親が亡くなり、事実上組織と縁が切れた。

オレはその家の子の守護を任された。名目だけのお遊びのような役目だったが・・・それが今本当に必要になるとは、想像もできなかった。

そして自分自身がその組織のど真ん中に位置するようになるとは・・・信じられない思いと同時に、運命の皮肉を感じた。

由紀と別れて、オレは自宅に戻り事務処理をしながら源と過ごした。


▼18時・・・クラブ「皐月」


EVを降りてすぐ目の前に「皐月」のドアが見えた。オレはドアを開いて入った。


「いらっしゃいませ^^」

麻美が近づいてきた。オレは手に持っていた赤いバラの大きな花束を麻美に渡した。

麻美
「まーきれいなお花^^ありがとう」

オレは麻美を軽く抱き寄せて抱擁をした。そして麻美の腰に手を当てて少し店内を歩いた。

客は3組、オレはカウンターに座った。すぐ隣に瑠璃子が座った。

オレ
「うん。新しいいい店になった^^」

瑠璃子
「はい^^私達もすごく気に入って喜んでるんです」

オレ
「そう^^みんないい表情で生き生きしてるよ」

瑠璃子
「10日間も休んでましたから、その間に休養もさせて頂きましたし、みんなムーさんのお陰だって喜んでいます」

オレ
「ははは^^別にオレは何も(笑)」

ウエイターがブランデーセットを持ってきた。店内には新装開店で送られた花が所狭しと並んでいた。

麻美は他の客のテーブルに付いていたが、花束を置いてテーブルを回った後、こっちにやってきた。留美子と入れ替わるようにオレの隣に座った。

麻美
「お店の子たちにもすごく頑張って営業してくれてるのよ^^」

オレ
「そう。それは何よりだ^^温泉合宿の効果があったな(笑)」

麻美
「そうなのよ^^まったく新しいお店に生まれ変わったようで、新鮮な気分で私も仕事できて・・・ほんとになんて感謝したらいいか^^」

オレ
「で費用はオレが出した事になってるのか?」

麻美
「はい^^だって私にそんなお金がないのみんな知ってるし(笑)」

オレ
「あっそう」

麻美
「事実、それに近いでしょう?私はそう思う事にしてるの」

「これから頑張って返すからね^^」

オレ
「ははは・・・」

ここも結局「沢木デザイン事務所」に依頼してリニューアルを行った。前の店を思い出させるものは一切なく、完全に新しい店としてオープンした。そしてギターとアンプの最新セットも入っていた。

麻美
「そうだ!あのギターはどうするの?」

オレ
「あーアレ?その内ギター弾きでも入れれば歌でも歌えるかなーと(笑)」

麻美
「お客さんが?」

オレ
「まーカラオケ代わりに歌いたい人は歌うとか」

「プロでやってる連中がくれば使えばいいかな?と思ってね」

麻美
「そう^^ユーちゃんが歌ってくれるのかと思ったわ」

オレ
「ははは機会があったらそのうちな^^」

オレは水割りを飲んだ。その間もお客さんはどんどん来て、満席になった。営業効果が出ているのだろう。

オレ
「じゃーオレはそろそろ行くよ」

麻美
「あっ!もう?」

オレ
「まだまだお客さんがやってくるだろう。また後で電話でも入れる」

麻美
「はい」

オレは席を立った。出口へ向かおうとすると、黒服の正木が近づいてきた。

正木
「ありがとうございました」

オレ
「うん。よろしく頼む」

正木
「はい^^お疲れ様でした」

オレは麻美に送られてビルを出た。そして隣のビルへ行き、2階のバモスへ入った。カウンターには3人の客。オレはカウンターの右端へ行き座った。

マスター
「いらっしゃいませ」

オレ
「バーボンを」

マスター
「かしこまりました」

オレ
「マスターはしょっちゅう船乗ってるの?」

マスター
「月に2、3度程度です」

オレ
「この間、オキナワに行った時にちょっと走らせたけど、やっぱり船はいい^^」

マスター
「ほう^^オキナワですか?」

オレ
「ええ。世界一の海ですから(笑)」

カウンターのオレの前にワイルド・ターキーのロックが置かれた。大きくてきれいな氷が1つ入っている。オレはそれを暫く眺めていた。

マスター
「私はまだオキナワに行った事がありませんが、世界一の海ですか?」

オレ
「ええ。海の中は世界一ですね!もっともモルジブもオーストラリアも行った事はないんですけどね(笑)」

マスター
「もしかして海の中を潜るんですか?スキューバーとかいうのをつけて」

オレ
「はい^^それにはまってしまって。一時はそれを職業にしてました(笑)」

オレは目の前のロックを口にした。別にバーボンでなくてもこんな風にロックで飲むのならスコッチでも良かったなーと今更ながらに思った。

マスター
「プロのダイバーだったんですか?」

オレ
「ええ。港でパナマ船籍の貨物が落としたアンカーなんかを潜って探すマネをしたりして(笑)結構いい稼ぎになったんですけどね」

マスター
「そーですかー^^どこかそんな海の感じがしてましたよ」

「初めていらした時から・・・」


「探す・・・マネ?ってどういう事です?」

オレはひとつ席を離れた隣の男を見た。50代前半の紳士に見えた。

オレ
「何しろ目の前の視界が30センチ程度で、海の下はヘドロだらけなんですよ。アンカーなんか落したらそれこそヘドロの中に沈んで2度と見つける事なんかできませんから(笑)」


「じゃー何故探すんですか?」

オレ
「港湾の管理規則で、回収する努力をしないと出航許可が降りないんですよ(笑)」


「なるほど!それでぎりぎりまで探したけど見つからなかったという過程が必要なんですね?」

オレ
「はい^^その通りです(笑)」


「マスターもそうだけど、海に出てる人はいいなー^^」

「あっ申し送れました。私、そこで「松美堂」という店をやってる北脇と申します」

オレ
「ども^^ムトーです」

マスター
「北脇さんも10年来のお客さんなんですよ」

オレ
「そーですか^^よろしく」

北脇
「こういうところではあまり名乗らない方がいいのかも知れないんですけど、根っからの好奇心が強くてつい話に割り込んでしまいました」

オレ
「いえ。あたり前のように話に入るのもこういう場所の面白さでしょうから^^」

ドアの下のガラス細工がいい音を出した。女が入ってきた。チラッと視線を投げかけた目が合ったが、麻美ではなかった。

オレは前を向いて一人でボォーと飲んでいた。

北脇
「美香ちゃん。今日は休みなのかい?」

美香
「はい。平日の真ん中ようやく休みがとれたもので」

北脇
「今じゃ行列だもんなーよく当たるって(笑)ちゃんと店でも構えて予約制にでもしたら?」

美香
「そう思ってるんですけど、なかなか(笑)」

女はカンパリソーダをオーダーしたようだ。オレはおしゃべりな北脇さんのやりとりを聞くともなく聞いていた。

北脇
「TV出演断ったんだって?あれだけ当たる占いはそうないよ!TVに出たらすぐに店ぐらい構えられるだろうに」

美香
「そうですね(笑)今度考えて見ます」

北脇
「ムトーさんは占いに興味ありませんか?」

オレ
「オレですか?あんまりありません」

北脇
「この藤原美香さんの占いはよく当たるって銀座では有名なんですよ」

オレ
「そーですか^^でもいい事は信用しなくて、悪い事を言われると気にする性格なもんで、占いは苦手ですね」

北脇
「あははは^^そうですか(笑)」

背中と胸がチリチリとし始めた。オレは海の中をイメージさせて招待した。なんでもないただの遊びだった。

オレはキャメル・ライトに火をつけた。

オレ
「マスターごちそうさま」

オレは現金をカウンターに置いてキャメルをくわえたままドアに向かった。ドアを開けて振り返ると女がオレを見ていた。オレは少し愛想をして店を出た。

ビルの外へ出る前で立ち止まった。

雨が降り出していた。道行く人が小走りに走っていた。梅雨はまだ明けていない。オレは雨の歩道にキャメルを飛ばした。


「あのー」

オレは振り返った。さっきの女だった。

オレ
「何でしょう?」


「傘・・・お持ちじゃないですよね?」

オレ
「はい」


「よろしければ、そこのカフェで雨宿りしませんか?」

オレ
「はぁ〜」

オレはビルを1つ隔てた1階にあるカフェに女と一緒に入った。オレはコーヒーをオーダーし女は紅茶を頼んだ。


「さっき北脇さんが言ってたと思いますけど、藤原美香です」

オレ
「どうも^^ムトー。ムトーユーイチです」


「占い。嫌いなんですか?」

オレ
「嫌いってわけじゃありませんけど、ただ興味がないだけです」


「そうですか。やっぱり占いを信用していないんですね?」

オレ
「当たるも八卦当たらぬも八卦でしょう?^^」


「はい^^その通りです」

コーヒーと紅茶が運ばれてきた。女はシュガーポットを使いオレの方を見た。


「おいくつ?」

オレ
「今年31です(笑)」


「砂糖は?^^」

オレ
「いりません。ムトーですから」


「あっ!クスクス^^」

オレはくだらないギャグを言った後、自分でフレッシュだけを入れてスプーンを使った。


「無糖ですか?おっもしろーい(笑)」

オレ
「ははは・・・」

オレはコーヒーを口にした。アメリカンタイプの浅煎りのようだった。


「あなたのような人、初めてです」

オレ
「くだらないギャグを言うおっさんはこのあたりのクラブに行けばたくさんいますよ(笑)」


「どうして海を見せてくれたんです?」

オレ
「さー何の事でしょうか?」


「・・・わかっていてそうしたんでしょう?」

オレ
「バモスは船をイメージさせるから先週行ったオキナワを思い出してたのかなー?」


「やっぱり(笑)私があなたの心を読もうとしたのをわかったんですね」

「でないと、そんな事言えませんもの」

オレ
「へーあなた人の心を読める占い師さんなんですか?」


「惚けないで!あなたもしかして私と同じなんですか?」

オレ
「人の心を読むなんて、誰もそんな事できるわけないじゃないですか(笑)」


「・・・」

オレは珈琲を口にした。

またちりちり感が胸のあたりで感じた。ちょっと強いと思った。オレは面倒だったのでブロックした。


「こんな事・・・初めてだわ」

女は正面からオレの目を見ている。その目の奥は蒼く光っている。その目を見てるとボォーとした感じになった。


「お名前はなんて言うんです?」

オレ
「ムトー。ムトーユーイチ」


「お仕事はなにを?」

オレ
「繊維関係の会社に・・・」


「何処にお住まいですか?」

オレ
「赤坂」


「ご家族は?」

オレ
「犬が、、一匹」


「私を中に入れてください」

オレ
「一発やらせてくれるのなら」


「えっ」

オレ
「後ろから一発やりたい(笑)」


「・・・ふざけてるっ」

オレ
「あははは^^」

「雨も小降りになったようだし、そろそろ行きます」

「楽しい雨宿りだったよ!ありがとう」

オレは席を立った。キャッシャーで支払いを済ませてオレは先に出た。そしてタクシー乗り場まで歩いた。

バモスは面白い店だ。あそこへ行くたびに何かある。評判の占い師は、人の心を読み、尚且つ瞬間的に催眠術をかけるようだ。あの女の前では、誰であろうと何でもペラペラとしゃべるだろう。

オレは関わりあいたくなかった。


▼21時・・・自宅



「ムーさん。風呂の用意できましたから先に入ってください」

「風邪引きますよ」

オレ
「ん?あーそう?じゃー」

オレは1階の風呂場に行き素っ裸になって風呂に入った。この風呂場は昔からある風呂場で、一般用というか来客用だった。

オレは頭からシャワーを浴びた。シャンプーを使い熱い湯が張ってある湯船に入った。普通の風呂よりは少し広いが、はなれや自室にある風呂よりは小さかった。

オレは風呂を上がり着替えてから居間に戻った。すぐに源が冷蔵庫から冷えたバドワイザーの缶を渡してくれた。

オレは大きなテーブルの前に座った。源も同じようにそこに座った。


「明日も降り続くようですよ」

オレ
「そっか。梅雨だもんな」

オレはプルトップを引いてバドを口にした。

オレ
「源。お前は占いを信じるか?」


「占い?ですか・・・さーいい事は信じたいですけど(笑)」

オレ
「銀座によく当たる占い師さんが居るんだって」


「ムーさん。見てもらったらどうです?」

オレ
「なんで?」


「危険な事があらかじめわかれば、いいじゃないですか?」

オレ
「あははは^^じゃー悪い事を信じろ!って事なんだな?」


「ムーさんの場合、いい事よりも悪い事の方が規模が大きいから」

オレ
「そう(笑)お前にも心配かけてるからなー」


「あっいえ、そういう意味ではなくて(笑)」

オレは暫く源とどうでもいい話をして久しぶりに一人で寝た。

■7月22日・・・

18時・・・MaggieBar

オレは店内を見渡した。長井と岡田が立ち上がってこっちを見た。オレはその席に近づきながら、ちょっと戸惑った。長井らの後ろの席に小林らのグループが居た。

オレ
「お疲れっ!」

長井&岡田
「お疲れ様です^^」

オレが座ると彼らも座った。ウエイターにジン・トニックを頼んだ。彼らの前にはすでにドリンクとオードブルが出ていた。

オレ
「岡田。大阪はどうだ?」

岡田
「はい。全体的には景気がいいんでしょうね?うまく行ってます」

オレ
「なのにどうして東京へ来るんだ?(笑)」

岡田
「だって、もしまたムーさんがやる時があるかも知れないし(笑)それにやっぱり東京に居れば色んなチャンスも多いと思って」

長井
「部屋はオレのところに転がり込むつもりのようですから^^」

ウエイターがオレのジン・トニックを持ってきた。

長井
「とりあえずオレと岡田で「ミルキーウエイ」と「皐月」に入りますから、なんとかなるでしょう?」

オレ
「あーそれは助かる。ありがとう^^」

「まーそれ以外にもオレが紹介できる何かがあったらお前らを押すから」

岡田
「ムーさん。オレは諦めていませんよ(笑)」

長井
「ははは^^こいつムーさんは必ずもう1度やる!って信じて疑わないんですよ」

岡田
「何いってやがる。それはお前もだろうがっ!」

オレ
「お前ら、そんなにやりたいか?」

長井
「ムーさん。オレたち新mar'sの曲すべてやれますよ!」

「オレと岡田で新しい曲なんかも作ってみたりしてるんですから」

オレ
「ほう^^じゃー試してやろうじゃないか!」

長井
「えっ?」

オレ
「ほれ!そこにセットはそのままあるだろう」

「用意して来い」

長井
「おっす!」

長井と岡田は立ち上がって前に出て機材のセットをし始めた。オレはキャメル・ライトに火を付けた。

平日の早い時間。客はそれでも半分以上入っていた。オレたちの後ろの席には小林、理子、絵梨、そしてきっとそれぞれのパートナーらしい男たちが居た。

オレはサングラスをはずした。上着を脱いで椅子に置いた。半そでのオープンシャツ。胸に小さな龍の刺繍。髪は後ろでひっつめていた。

オレ
「よしっ!」

オレは声を出して前に出た。島本が気付いてやってきた。

オレ
「照明だけフラットにしてくれればいい」

島本
「了解です」

オレは長井からストラタを受け取り肩にかけた。長井はフェンダー。岡田はベース。そして足元にはフットスイッチ。リズムも担当するようだ。

オレはマイク位置を微調整した。

オレはいきなりギターを鳴らした。少し後方のふたりはすぐに反応した。

新mar'sの新曲だった。

そしてオレは歌いだした。

サングラスをはずし素面を晒して歌うのは恥ずかしかったが、それも最初のうちだけで、オレはすぐに「ヒロ」になっていた。

ざわついてた客席が一気にオレたちのリズムに乗った。次第に客が前へ前へと集まり、リズムに合わせていた。

オレはギターを弾きながらだったが、精一杯歌った。1曲目が終わった。

会場すべての人間が大きなアクションで拍手をしていた。

オレ
「しばらく活動休止を宣言したばかりなんですけど・・・こいつらが煩くってちょっとテストを兼ねてやってみました(笑)」

野次
「ヒロさん!カッコイイ♪」

オレ
「(笑)ギター長井!」

長井はさっきのサビを軽くギターでやった。

オレ
「ベース♪岡田」

岡田もベースプレイを見せた。

オレ
「ちぇっ!すっかりその気になってるじゃねーか(笑)」

「じゃー残り2曲行くぞっ!」

オレはギターを鳴らした。すぐに彼らは反応した。このユニットで十分やれそうな予感がした。

オレはギターを弾きながら、大きなアクションを入れ2曲歌いきった。

オレ
「ありがとう^^」

オレはギターを置いた。そして席に戻ろうとしたら、客が集まり出した。そう多くはなかったが、適当に相手をしてオレたちはすぐに店を出た。そして上の階の「mar's」に入った。

オレ
「さすがだな?(笑)」

長井
「へへへ^^サックスの変わりのリードはあんなもんでしょ^^」

岡田
「くぅー^^楽しい(笑)ドラムよりベースの方がやっぱ目立ちますもんね」

オレ
「まー色々考えている事があるから、ちょっと待ってろ(笑)」

岡田
「はい^^オレたちはいつでも準備オッケーですから^^」

後ろから声がかかった。


「こんにちわー^^ご無沙汰してまーす」

長井
「あははは^^小林ちゃん(笑)」

岡田
「ども^^打ち上げで一度^^」

オレ
「ん?ああ久しぶりだな?」

長井
「じゃームーさん。真剣に考えててくださいよ(笑)」

「岡田。行くぞ」

岡田
「はい。じゃーお先です」

オレ
「あらら・・・」


「座っていいですかー?」

オレ
「ああ」

滝口がドリンクを持ってきたが、すでにふたりは店を出たところだった。

滝口
「どうしましょう?^^」

オレ
「じゃー3つともここへ(笑)小林ひとつ飲め」

小林
「はい^^頂きます。滝口さんありがとうございます^^」

滝口
「いいえ。どうぞごゆっくり^^」

オレはグラスを持って勝手に先に飲んだ。

オレ
「アレ以来、あいつらが煩くてな。とうとう岡田までこっちへやってきてしまった」

小林
「そうですか^^よかったじゃないですか?^^」

オレ
「なんで?」

小林
「mar's以外でもあんな風にやれて^^」

小林もジン・トニックに手を伸ばしていた。オレはそれ以上自分から話をせずに黙って視線を他に向けていた。

小林
「理子と絵梨とその彼達と来たんです」

「私の彼を紹介する為に」

オレ
「そう^^」

小林
「でもやっぱりダメでした(笑)」

オレ
「ん?」

小林
「あんなの見ちゃったら・・・」

オレ
「おいおい^^最後にお祝いのつもりで歌ってやったんだぞ!」

小林
「理子も絵梨も、ヒロさんが行くな!って言ってるって」

オレ
「ばっバカな!」

小林
「私もそう思ったし・・・」

オレ
「いいか小林。お前はもう次の人生を歩き始めたんだ」

「アレはその門出だ^^」

「まーあいつらのテストもあったんだけどな(笑)」

小林
「どうしてあんなに哀しそうに、つらそうに歌うんですか」

オレ
「へっ^^それは声がいっぱいいっぱいでキツかったからだよ(笑)」

「グラサンとって歌うとそう見えるんだ」

小林
「違いますっ!絶対に・・・」

オレは2つ目のジン・トニックに手を伸ばして飲んだ。

オレ
「もういいだろう。早く下へ戻れ!」

小林
「下にはもう誰も居ません。すぐに出て私は帰ると言って来ましたから」

オレ
「何考えてんだ?フィアンセほったらかして」

小林
「まだ婚約なんかしていません」

オレ
「横山が言ってたぞ9月に結婚するって」

小林
「それはちょっとウソついてしまいました」

オレ
「ウソ?」

小林
「結婚は絵梨が9月にするんです。。。」

オレ
「・・・ったく」

小林
「すみません」

オレ
「でもそのつもりの彼なんだろう?」

小林
「だからそれはやっぱりダメでした・・・って」

オレはジン・トニックを飲んだ。そしてキャメル・ライトに火をつけた。

オレ
「そっか絵梨ちゃん結婚するのかー理子ちゃんは?^^」

小林
「またそうして私の友達に気があるフリして私を怒らせようとしてるでしょ!」

オレ
「あのさー小林。お前は仕事まで辞めて色んな意味で自分の将来を考えたんだろう?その決意を無駄にするな!」

小林
「だからもう部下ではありませんし、ひとりの自由な女です」

オレ
「だから何だ?」

小林
「ムーさん。いえ、だからヒロさんと・・・付き合いたい」

オレ
「ははは^^」

「なんと光栄な言葉だろう^^こんな若くて美しい女性からそんな風に言われて(笑)もうクラクラしてきたよ」

小林
「目の前で、素顔であんな風に歌って」

「聡美行かないでくれぇ〜〜〜♪」

「って言われたら仕方ないでしょ(笑)」

オレ
「ぎゃははははは^^(笑)」

小林
「これでもヒロさんの事はわかってるつもりですから^^」

オレ
「お前(笑)酔ってるか?」

小林
「はい^^少しだけ」

オレ
「無理してるか?」

小林
「そうでもないです」

オレ
「そっか」

小林
「じゃーそーゆー事でよろしくお願いします」

オレ
「わかった(笑)その代わり今日はまっすぐ帰れ」

小林
「・・・」

オレ
「じゃーどーすんだ?」

小林
「この間の夜みたいに・・・」

オレ
「ははは^^また酔いつぶれるから介抱しろってか?(笑)」

小林
「もうこれ以上は飲みません!」

オレはもう覚悟を決めた。そのまま小林を連れて、赤坂のホテルへ行った。そして、とうとう小林とセックスをしてしまった。

▼7月25日・・・赤坂、自宅

松井
「銀座と六本木にステーキ・ハウスを出店しようと思います」

オレ
「そう」

松井
「六本木は現在5店舗、銀座は2店舗ですが、他にサザンクロス、ミルキーウエイ、皐月などなどもありますし、オープンさせればそこを使ってもらえるでしょう?」

オレ
「そうだな」

松井
「じゃー物件もリストアップ出来てますので始めます。詳しい事は予算書を含めて近日中に出します」

オレ
「オッケー頼む」

オレはコーヒーカップを手にした。松井の言ってる事は頭に入っていたが、別の事を考えていた。

オレ
「ん?何だ?」

松井
「余計な事ですけど・・・理恵ママがちょっと淋しがってるようです」

オレ
「わかった。今週帰る」

松井
「すみません」

オレ
「なんでお前が謝るんだ?」

松井
「言い方がまずかったかな?って(笑)」

オレ
「アホっ!何を今更(笑)」

「いつも言ってるだろう?オレにプライバシーはない。仕事もプライベートの事もいくらでも口を挟んでいいって」

「もっとも今じゃー全部知ってるのは、お前と横山ぐらいだけどな(笑)」

松井
「普通は絶対嫌なはずなのに、変ですよね?」

オレ
「好き勝手やってるからな^^嫌な事でもちゃんと聞いておかないとそれこそ傲慢な人間になっちまうだろうが?」

「でも聞いたからって、なんでもその通りにするわけじゃないけどな」

松井
「ムーさんが傲慢?我侭だとか、生意気だとかは言われても、傲慢はないでしょう?」

オレ
「ははは^^だったらいいんだけどな」

松井
「ムーさん。変な言い方ですけどオレ、ムーさんが理恵ママのご機嫌とってるところを見てるのが好きなんですよ」

オレ
「お前はいつも呆れた顔してすぐ逃げるじゃないか(笑)」

松井
「それは、ふたりっきりにしてあげようと^^」

オレ
「へーそうだったんだ?じゃー今度ずっと居て見てろ(笑)」

松井
「いいですよ(笑)」

オレ
「よしっ!今週は一緒に帰ろうぜ!」

松井
「はい^^」

週に1度、2日間戻るのが習慣になっていたが、今月はオキナワに行っていた事もありちょっとそのペースが狂っていた。ほぼ2週間ぶりに帰ることになったが・・・今回は少し長うく居ようと思った。

もうすぐ夏休み・・・オレのプライベートはまたまた忙しくなりそうだった。。。


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