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DOWN TOWN BOY


佐野元春:ダウンタウンボーイ

1990.KOBEアレンジの違うパターンもなかなかよろし^^

1986年9月PART2----------

9月25日・・・

午後4時・・・クォーリーオフィス

インターフォンが鳴った。四方が対応してドアのところに行った。大きな声がした。

ユーコ
「四方おねーちゃーん♪ひさしぶりー^^」

四方
「ユーコ^^暫く見ない間に大人っぽくなったわねー」

ユーコ
「へへへ。ちゃんとしっかり社会人してるから」

オレ
「よっ^^久しぶり」

ユーコ
「ユーちゃん。ご無沙汰^^」

ユーコは四方がニューヨークからこっちへ帰って来て初めて会った。オレとも数ヶ月ぶりだった。

昨日ユーコから会いたいと言う電話があったので、オレは待っていた。

オレ
「じゃー下のカフェに行ってるから何かあったら呼んで?」

四方
「はい^^了解です」

オレはユーコを伴ってEVに乗り1階のカフェに入った。ユーコはアイス・ティーを頼みオレも同じものをオーダーした。

ユーコ
「久しぶりね^^」

オレ
「おう^^色々騒動もあったりして・・・バタバタしてた」

ユーコ
「そう」

オレ
「仕事、相変わらず忙しいんだろう?」

ユーコ
「うん」

ウエイターがアイス・ティーを運んできた。ユーコはそれにフレッシュ・ミルクだけを入れたものをオレの前に出した。自分のは少しガムシロップを入れていた。

オレはそれをグラスごと掴んで口にした。そして窓の外を見た。そろそろ季節は秋に向かっているようだった。大阪よりは秋の訪れは早いのかも知れない。

ユーコ
「この間、家に来てくれたのね」

オレ
「ん?あーついでがあったし、久しぶりだったからお邪魔した」

ユーコ
「ママに怒られちゃった」

オレ
「真美もそろそろ日航の試験だよな!頑張って最後の勉強してるみたいだ」

ユーコ
「ママ。泣くの・・・」

オレ
「おばーちゃんもすっかり脚が弱くなって車椅子使ってるそうじゃないか」

「一度大きな病院で診て貰った方がいいな?」

ユーコ
「ユーちゃん」

ユーコは正面からオレを見た。オレは視線をはずしてまた窓の外を見た。

ユーコ
「ちゃんと聞いて!」

オレ
「聞いてる」

ユーコ
「最初は・・・みんなで飲みに行ったりする程度だったの」

「その内にふたりで映画観たり、食事したりするようになったわ」

「ユーちゃん以外の人とそんな事初めてだった」

「そして結婚を前提にこれからも付き合って下さいって言われた」

オレ
「・・・」

ユーコ
「何か言う事はないの?」

オレ
「それで?」

ユーコ
「怒らないの?」

オレ
「それで?って聞いてるのはオレだ」

ユーコ
「ユーコはパイロットと結婚して、子供を産んで幸せになる。それが、最後の願いだ。そんな事ママに言ったのね」

オレ
「そうだ」

ユーコ
「それってまるで父親みたいじゃない」

オレ
「・・・」

ユーコ
「この間・・・今夜は一緒に居たいってホテルに誘われた」

オレは立ち上がった。そして外に出ようとした。ユーコもすぐに立ち上がってオレの腕をとった。

ユーコ
「ごめん。ユーちゃん。ちょっと意地悪言ってみたかっただけ」

「何もなかったのよ!座って!」

「お願い」

オレは上着からサングラスを出してかけた。

オレ
「もういい。オレは・・・もういい」

振り払うようにオレはその場を離れた。オレは支払いをして店を出た。ユーコは小走りにオレの隣に並んで歩いた。

駅に向かう通りに出た。歩いたせいかオレは少し落ち着いた。

オレは立ち止まった。タクシーを停めようと思った。

オレ
「もういいって言ってるだろう?」

ユーコはいきなり抱きついてきてキスをした。そしてオレの首に手を回した。オレは離そうとした・・・

ユーコ
「私を信じてないのっ!」

オレ
「何だよ!人が見てるじゃないか!」

ユーコ
「関係ないわっ!」

オレ
「わかったからちょっと離れろ」

ユーコ
「嫌よ」

オレ
「じゃーどーすんだよ」

ユーコ
「私がユーちゃん以外の人とセックスすると思ってるのっ!」

オレ
「ほらっ!そこの若いヤツラが笑って見てるじゃないか」

ユーコ
「答えて!私がそんな事すると思ってるのっ!」

オレ
「思ってないから、離してくれ」

ユーコ
「ちゃんと目を見て言って!!!」

オレは言われた通りにした。ユーコの目は怒りにも似た光を放っていた。そしてそれは見る見る涙が溢れてきていた。

オレ
「ああ。オレはお前を信じている」

ユーコ
「うわーーーんっ」

ユーコはオレに抱きついたまま大きな声で泣いた。


「あっ泣いちゃった」

オレ
「ははは・・・悪いけどさータクシー停めてくれないかな?」


「タクシー?ああいいよ」

何人か立ち止まって見ていた。その中の若い男が、そう言って手を上げてタクシーを停めてくれた。泣きじゃくるユーコをオレは抱いたままタクシーに乗り込んだ。

オレは若い男に礼を言った。若い男は笑って親指を立てていた。

赤坂のプリンスホテルでタクシーを降りた。その頃にはようやくユーコは泣き止んでいた。

オレたちはホテルにチェックインした。そしてすぐにルームサービスを頼んだ。ユーコはベッドに座って、黙っていた。

オレはキャメル・ライトを取り出して火をつけた。そしてデスクの前の椅子を引っ張り出してそこに座った。ゆっくりとキャメルを吸った。そして灰皿に押し付けた。

何かを言おうとしたらドアがノックされた。オレはルームサービスを部屋の中に入れた。テーブルの上にビールとコークを置いてルームサービスの男は出て行った。

オレはグラスにビールとコークを注いで、コークをユーコに渡した。

オレ
「ほれっ!泣いたから喉が渇いただろう」

ユーコは黙って受け取った。オレはビールを飲んだ。

オレ
「それから?」

ユーコ
「・・・」

オレ
「今夜は一緒に居て欲しいって言われてどうしたんだ?」

ユーコ
「好きな人が居て・・・その人以外と一緒に過ごす事はできません」

オレ
「相手はなんていった?」

ユーコ
「僕と結婚して欲しい」

オレ
「それで?」

ユーコ
「出来ません。もうコレっきりにしてください」

オレはビールを飲み干した。そしてユーコの方をじっと見ていた。

オレ
「嫌だ。僕は君を諦めない」

ユーコ
「ごめんなさい。でも、やっぱりダメなんです」

オレ
「僕をその人に会わせてくれ!」

ユーコ
「無理です」

オレ
「いや、君を悲しませているそいつにオレは話をつける」

ユーコ
「そんな事、言わなかったもんっ」

オレ
「僕がそいつをブチのめしてやる」

ユーコ
「残念でした。それも違いますー」

オレ
「んーーー僕の嫁さんにする許可を貰う」

ユーコ
「なんとなくそれに近い事だった(笑)」

オレ
「結局それでその時は終わったんだな?」

ユーコ
「うん」

オレ
「だったら最初からそう言えばいいものを・・・」

ユーコ
「もしかしたら・・・その人を好きになれるかも知れないと思ったの」

オレは再びキャメル・ライトを取り出して火をつけた。

オレ
「いつか・・・そんなヤツが現れるさ」

ユーコ
「ううん。無理よ」

オレ
「オレは前から覚悟してるんだから」

ユーコ
「私はこの仕事ずっと続けるの!結婚なんかしない」

「真美が合格したら、姉妹で日航のCAよ(笑)」

「ユーちゃん。嬉しいでしょう?^^」

オレ
「・・・」

オレはサングラスをかけて外を見た。

ユーコ
「あーユーちゃん。もしかして泣いてる?」

「見せてー」

ユーコは近づいてきてオレのサングラスを取ろうとした。オレはよけた。ユーコは抱きつくようにしてオレのサングラスをとった。

ユーコ
「ユーちゃんが、泣いてるっ」

オレ
「うるせー」

ユーコ
「私が居なくなったら、哀しい?」

オレ
「ああ」

ユーコ
「ちゃんと言って」

オレ
「きっと飲んだくれてケンカして、ボロボロになる」

ユーコ
「私の事・・・愛してる?」

オレ
「頭から食べてしまいたいほど愛してるさ」

ユーコ
「じゃー食べてー^^」

オレはユーコを抱きしめた。我慢していた涙が溢れた。オレはユーコを失いたくないと思った。


▼9月28日・・・


大阪、ミナミ、スコッチバンク

白いスーツ姿のママが現れた。ウエイターがこっちへ案内していた。オレは立ち上がった。そして奥の席の方へ手を出した。

ママ
「ごめんね。遅れちゃって^^」

オレ
「まだ5分も経ってないよ^^」

オレたちは向き合うように座った。すぐにウエイターはブランデーセットを持って来た。そして水割りを2つ作ってそれぞれの前に置いた。グラスを軽く合わせてオレはそれを口にした。

ママ
「仲直りできてほんとに良かった^^」

オレ
「ママがユーコを叱ってくれたからだ(笑)」

ママ
「ユーちゃんがこの間、家に来るまでちょっとした冗談だと思ってたの」

「ユーちゃんがあんなにショックを受けているのを見て吃驚して」

「それですぐに電話で怒ってしまったわ」

オレ
「ははは・・・そんなにオレ落ち込んでたかなー?」

ママ
「うん。ユーちゃんすぐわかるもの(笑)」

「それにあんな事言うし・・・」

オレ
「えっ?」

ママ
「最後の願いだ。なんて」

オレ
「いや、でもそれは・・・」

ママ
「ユーちゃん。私は結婚して離婚して、そして不倫もしたわ」

「ユーコがもし血迷って結婚しても・・・あの子はユーちゃんを忘れる事なんてできないわ

きっとそんな事は相手にもわかってしまって、うまく行かない。

子供でも出来たら大変よ

子供抱えて離婚なんて・・・そんな事になるより、いつかユーコはユーちゃんの子供を産むの。

私とユーコで育てるのよ^^心配しないで」

オレ
「ママ。そんな事ダメだ。アイツには幸せな結婚を!」

ママ
「ダメでもそうして!」

「あの子が高校生で、まだ18の時よ

ユーちゃんと付き合って、初めてあなたが家に来て会って・・・その後、あなたが結婚してる事を知って、私はあなたに別れてってお願いした。

あなたは私の希望通りにしてくれた。

それなのに私は、ユーちゃんに色んな事を頼んで・・・それから7年よ。ユーちゃんがユーコのためにどれほど・・・ううん。私や真美までとっても大事にしてくれた。

本当の父親でも出来ない事を、ユーコに親身になって愛情をかけてくれた。」

オレ
「そんな大げさなものじゃないよ

ただ・・・アイツが可愛くて仕方がなかった。

いつの間にか、大人になったと思ってたのに、道端で抱きついて大きな声で泣くんだ。まるで子供みたいに・・・ちっとも変わってない」

ママ
「そう(笑)」

「真美もすごく心配してたのよ!あの子の場合少し変なんだけど(笑)

おねーちゃんがもし誰かと結婚したら、もうユーちゃんは家に来てくれない。会えなくなるって

そんなの絶対嫌だから、おねーちゃんが結婚しても、ママと私でなんとかしようって言うの(笑)」

オレ
「あははは^^おっかしいなー(笑)でも嬉しい」

オレは水割りを飲んだ。ユーコがもし結婚したら・・・たぶんオレはもうママや真美とは、これまでのような形では会わない。いや会えないだろう。そんな事を真美が心配してくれるとは・・・可笑しかった。

ユーコを愛している。それはママと共通した愛情もあった。こうしてママとその事を話していると、オレとママが夫婦で子供の事を話し合っている錯覚に陥る。だけど、ママに対する愛情はオレの中で変化していた。

ママを女として抱きしめたいと思うが・・・もうそれは出来なかった。

オレは酔っ払わない内に店を出てママをタクシーに乗せた。今度、皆でディズニーランドを行こうと真美に伝えてもらうように頼んだ。

▼9月29日・・・

18時・・・Maggie

オレ
「やっぱり夏が終わると客が戻ってくるな?」

滝口
「そうですね。この傾向は変わらないですね」

オレ
「だんだん夜が長くなってくるな^^バンドでも再開しようかな(笑)」

滝口
「ムーさん。それはもう是非お願いします!」

オレ
「なんだ?^^いやに熱が入ってるじゃないか(笑)」

滝口
「嫁が・・・ヒロさんの大ファンなんですよ^^」

オレ
「ほんとかよー(笑)」

滝口
「ええ。すべてのLIVE見てますもん(笑)」

オレ
「あははは^^じゃー今度ヒロになった時に一緒に写真でも撮ろう(笑)」

滝口
「うわっほんとですか?嫁にそう言っていいですかー?」

オレ
「おう^^」

滝口
「喜びますよー^^」

そんな会話をオレは喜んでいた。ヒロの姿で歌う時、オレはコレまでの自分とまったく違う人間になりきっていた。それこそ自分自身で非日常の自分を演出していた。

小林
「こんにちわー^^」

滝口
「いらっしゃいませ^^」

オレ
「おう^^久しぶりだな」

小林
「はい。1ヵ月半ぶりです」

「すみません。私はモスコを^^アルコールは少しで」

滝口は小林に笑顔で頷いた。オレはすでにジン・トニックを飲み干してブランデーの水割りを飲んでいた。

オレ
「こっちに残ってるのはオレと松井だけだ」

小林
「じゃー皆さんNYコレクションへ?」

オレ
「うん。気にはなるんだけどな、ちょっとまだこっちには色々あって離れられないから」

小林
「赤坂の自宅の工事は終わったんでしょう?」

オレ
「ああ。終わった」

「滝口。テーブルの方へ移動していいか?」

滝口
「はい。すみません」

オレは小林とテーブル席に移動した。すぐにウエイターがやってきて、用意をした。

小林
「ありがとうございます^^」

オレ
「何が?(笑)」

小林
「話しやすくなりましたから(笑)」

オレ
「うん。オレはお前と話をするの好きなんだ」

小林
「嬉しい^^でも話だけで終わらせないで下さいね!」

オレ
「男にそんな風に言うな!調子にのってつけあがるだけだから」

小林
「だって1ヵ月半も会ってないんですよー(ーー;)」

ウエイターがモスコとブランデーセットを持ってきた。小林は新しい水割りをつくってオレの前に置いた。オレたちは軽くグラスを合わせてオレはそれを飲んだ。

オレ
「その間どうしてたんだ?」

小林
「あまりにも退屈だったのでアルバイトしてました」

オレ
「ほーどんなアルバイトなんだ?」

小林
「半分ボランティアみたいに安くコキ使われたんです(笑)父の研究室の資料整理です」

オレ
「小林のおとーさんって何やってる人だっけ?」

小林
「一応、大学教授ですけど、あまりパッとしない分野ですので(笑)」

オレ
「パッとしないってのは?」

小林
「心理学です。特に大げさな機材や費用がかからない。その上で色んな検証が難しいいう分野なんです。父がそう言ってます(笑)」

オレ
「へー心理学かーでもアメリカなんかではカウンセラーとかそういう分野は広く認知されてて一般的だけどなー?今後日本でも重要な位置づけになるんじゃないか?」

小林
「そうらしいですけど、父の研究は少し変わっててどうしようもないって言ってます」

オレ
「どう変わってるんだ?」

小林
「一種の超能力が研究対象なんです」

オレ
「ふーん」

小林
「ヒロさんはそういうのに興味があるんですか?」

オレ
「いや、まったくない(笑)」

小林
「そうですよね^^ヒロさん自身はなんでも自分の力でできちゃいますもんね」

オレ
「でも例えば、どんな超能力なんだろう?」

小林
「霊感が強いとか勘が鋭いとか一般的に言われている人たちの中には、精神力の力が働いてるそうなんです。

人の考えている事がわかったり、危険を察知したり、中には肉体から精神を分離したり色んな形があるそうです」

オレ
「そう。面白そうだな?」

小林
「ほんとに?じゃー一度、父に会って下さい。実は、父も会いたがっているんです。」

オレ
「なんで?」

小林
「実は好きな人が居て、ちょっと付き合い始めた事をうかつにも言ってしまったんです。そしたら、一度家にご招待しなさい。って言われて・・・」

オレ
「あらら・・・」

小林
「あっヒロさんの事は詳しく言っていません。ごく普通の会社員だとしか」

オレ
「ふむ。。。やっぱりおとーさんだけじゃなく、おかーさんも弟も一緒なんだろうな?」

小林
「そんなに固い家じゃないので、気軽に来てもらって大丈夫ですから^^」

オレ
「まーその内な?」

小林
「はい^^」

オレ
「じゃー他の店を巡回しよう(笑)」



オレは席を立った。小林を連れて、5店舗ある各店を見て回るつもりだった。EVに小林と乗り込んだ。

首の後ろに痛みを感じた。オレの意識が飛んだ・・・

気が付くとオレは車の中だった。話し声が聞こえる。オレは目を閉じたまま暫く聞いていた。

男1
「さっきの女も連れてきた方が良かったのでは?」

男2
「いや、余計な事をするととんでもない事になる」

男3
「どうせこのまま殺してしまうんでしょう?」

男2
「たぶんな。生かしておいてもしバレたら・・・うちの組は崩壊する」

「合法的に心筋梗塞で死んでもらえば問題ない」

「もっともあの女を手にいれてからだけどな」

男1
「あの女とは、純子とかいう元会長の女ですよね」

男2
「とりあえず、こいつを連れて行ってからだ」

男たちはそれ以上話をせずにタバコをを吸い始めた。サイレンが鳴っている。たぶんこの車がそうなんだろう。音からすると救急車のようだった。

体の調子が悪い。頭ががんがんして頭痛が激しい。オレは意識を集中した。

サイレンが鳴り止み車が停止した。オレはストレッチャーに乗せられたまま建物内に運び込まれた。EVに乗せられて部屋に入れられた。

男2
「問題ありません。連れの女には連絡先を聞き、搬送先がわかったら連絡するといって無理やり置いてきました」

男4
「しっかりベルトで固定してるな?」

男3
「はい。絶対に動けません」

ドアが開く音がした。

男4
「こいつだ。予定通りの処置をしろ」

男5
「しかし・・・」

男4
「豊島院長、今更後戻りは出来ないぜ!こいつがどんな形でも生きていれば・・・オレたちは必ず報復を受ける。間違いなく組ごと潰されてしまう。もちろんオレたちが殺した事がバレてもそれは同じだ。

豊島
「わかりました。。。田所さん。必ずあの件もお願いしますよ!約束を守ってもらいますよ」

田所
「こっちが無事に終わってからだ」

「三島。こいつのところに電話して純子を引き取りに行け、ごたごた抜かすとムトーを殺すと言え」

三島
「はい。ではすぐに」

三島と言う男は部屋を出て行った。

田所
「オレが命令したら、豊島わかってるな?」

豊島
「ああ。筋弛緩剤を打つ。たぶん3時間以内に心停止して死ぬだろう」

田所
「搬送されてきた時はすでに意識不明で、到着後死亡した。それで問題ないな?」

豊島
「司法解剖してもわからないさ・・・」

オレは意識を集中した。うごめく龍が見えた。そして意識をそこに持っていった瞬間周りの景色が急に明るく発光したように見えた。

浮遊感・・・

オレの周りを男たちが取り囲んでいた。服が脱がされて下着だけになり何かを着せられている。そしてそのまま点滴を付けられ、いくつかのチューブも体に付けられてその周辺の機材に電源が入ったようだ。口元には酸素マスク・・・

田所はそれを見て部屋を出た。オレは付いて行った。事務室と書かれたプレートが出ている部屋に田所は入った。

田所は黙っていた。

三島
「あんたが純子さんか?ムトーは預かっている。お前がひとりで来ない限りすぐにムトーは死ぬ」

「いいか一度しか言わないからよく聞け

今からすぐ家を出て、駅へ向かえ、電話を切ったらすぐだいいな?」

三島は受話器を置いた。

田所
「大丈夫だろうな?あの家には結構な数の警備の人間が居るんだぞ」

三島
「大丈夫です。すでに家の周辺に腕利きばかりを車3台に待機させてます」

「1台が女をさらい」

「2台、3台が警備の連中を押さえ込みます」

「ほんの3分もかかりません」

田所
「ふむ」

オレは自宅に意識を飛ばした。

純子
「すぐに家を出ないとムーさんを殺すって」


「松井さんが来るまで待って下さい」

純子
「ダメよグズグズ出来ない。ムーさんが危ないのよ!」

オレは純子に話かけた

オレ・・・
純子。外はすでに敵が待機してる。お前はひとりでそのまま大人しく付いて行け

純子
「ムーさん!!!」

オレ・・・
バカ(笑)声を出さずに答えろ

純子・・・
はい。今何処に?

オレ・・・
どこかの病院だ。確か名前は新生会病院だ

純子
「松井さんが来たら、新生会病院にムーさんが拉致されていると伝えて」

「私はこのままいく!心配しないでムーさんの指示よ」


「ムーさんの指示って一体そんな・・・」

オレ・・・
純子。心配ないオレがついてる

純子・・・
はい

純子はひとりで家を出た。警備の連中には気付かれていない。

オレはゆらゆらと浮遊しながら純子の後方をただ付いて行った。黒塗りのワゴン車が近づき純子の前で止まった。男が二人出てきて純子を両脇から掴み車に引っ張り込んだ。オレは車の中に入った。

男1
「上出来だ^^女お前は賢いな?無駄な怪我人を出さなくてすんだ」

男2
「無駄口を叩くな!」

男3
「それにしても拍子抜けですよ!警備の連中も居なければ女も無抵抗で付いてくるとは」

男1
「まっあの家の者は所詮シロートだからな」

オレ・・・
純子。抵抗さえしなければいい。安心していろ

純子・・・
はい。

オレは病院へ意識を飛ばした。オレが寝ている部屋は5階・・・意識を上に移動した。病院の建物を俯瞰できた。オレは意識だけで周囲を旋回した。

普通の総合病院のようだった。病院前の住所は江東区となっていた。

オレは記憶する場所に意識を飛ばした。銀座のクラブ「皐月」カウンターに美香は北浦さんといた。

オレ・・・
美香。すぐに赤坂に戻れ

美香
「えっムーさん?どこ?」

北浦
「なんだ美香。どうしたんだ?」

オレ・・・
美香。声をださずに返事しろ

美香・・・
はい。

オレ・・・
実はオレは薬を打たれて動けない。もうすぐ殺される

今、純子も浚われて、オレのところへ連れて来られている最中だ

美香・・・
そんな!純子さんまで一体

オレ・・・
落ち着け美香!

赤坂にすぐに帰れ!松井が居る。オレが誘導するから、お前は松井らを連れて・・・オレと純子を救出に来い

美香・・・
わかりました。すぐに

すぐに美香はカウンターから立ち上がって急いで店を出ようとした。

北浦
「美香。なんだ一体どこへ行くんだ?」

美香
「緊急事態よ伯父さんはここに居て連絡を待ってて」

北浦
「一体何があったというんだ?」

それ以上美香は話をせずに店を出た。そしてタクシーを拾って乗り込んだ。オレは再び病院に意識を飛ばした。

事務室の隣の部屋に純子は男たちと共に居た。

田所
「ひさしぶりだな?純子ママ」

純子
「あなたは・・・一心会の田所」

田所
「会長から放免されてあの若造の女になったんだって?」

純子
「ムトーさんはどこっ!何もしてないでしょうね!」

田所
「ああ。お前が手間をかけさせずにここへ来たのでムトーには手を出していない」

純子
「あなたの狙いは私でしょう?ムトーさんを解放して」

田所
「ああ。お前がオレに忠誠を誓えば、ムトーは帰してやる」

純子
「いいわ。誓うわ!」

田所
「ふむ。いい心がけだが・・・すぐには信用できない」

純子
「私に何をさせようとしているのか教えて、私の知ってる事も含めて協力するわ?」

田所
「そうだな。尾行もないようだし、途中でこっちも監視してるからまだここは大丈夫だ」

「よし。説明するからよく聞け!

お前は石本会長を世田谷の自宅へ誘うんだ

理由はなんでもいい。

それさえ協力すればお前を自由にしてやる。もちろんムトーもだ」

純子
「石本を殺す気ね?

そして私とムトーさんも殺して・・・

あなたがS会のボスになる気なのね」

田所
「ふふふ。お前の前では隠し事が出来ないようだな(笑)

そうさ。その通りだが・・・ひとつ違う。

お前にはシャブ中になって貰ってオレの奴隷女にする

石本がしていたようにオレに敵対する連中をお前が読んでオレに教える

オレはそいつらを始末する。

S会は石本がやったようにオレの組織にする」

純子
「石本はそんな事はしていないわ」

田所
「敵対した連中を殺さなくても失脚させれば同じことだ(笑)」

純子
「あなたが石本を殺した事はすぐにバレるわ」

田所
「ふふふ(笑)」

純子
「あなた・・・なんて事を

ムトーを殺して、それをS会のせいにして、その報復で西の組の人間が石本を殺したようにみせかけるつもりなのね」

田所
「あははは^^

これで西と東は戦争になるが・・・西はこっちに攻めてこれないさ

警察が黙ってそれを許すはずがない。西を押さえ込むさ(笑)

こっちのしのぎはちょっときつくなるけど、それも暫くの間の辛抱だ

その内手打ちになる。東京から西は追い出されて、オレがドンになる

S会はその方がいいのさ(笑)」

電話が鳴った。

三島が受話器を取った。そして手早く指示を出して受話器を置いた。

三島
「車が3台。強行突破してこっちに向かってるようです」

田所
「何だと!尾行されていたと言うのか?」

「ちっ!ちょっと早いが予定通りやれ」

三島
「しかし・・・」

田所
「向こうで話す。豊島を読んで来い」

三島
「はい。おいお前らはこの女を見張ってろ」

田所は隣の事務室へ行った。オレは扉をすり抜けるようにそこへ移動した。豊島が男と一緒に入って来た。

田所
「豊島院長。予定がちょっと早まった

すぐにあの患者を始末してくれ、3時間も待てない。今すぐに殺してくれ」

豊島
「そっそんな・・・」

田所
「ヤツの仲間がこっちに向かってる。」

すぐに始末して霊安室にでも入れて、予定通り合法的に死亡したと伝える

揉めれば警察を呼べばいい

三島と数人残しておく!いいな」

豊島
「・・・」

田所
「オレの目の前ですぐにやれ!」

オレは意識を動かしてオレが居る部屋に戻った。えらい事になった。オレはこのまま殺されるらしい。オレは自分の体に戻った。

豊島が近づいて来た。オレは自分の精神を最大限に集中した。そして自分の体をコントロールしようとした。

豊島はオレの腕をとり注射をした。オレの意識は急速に薄れかけたが瞬間的にそこから離れた・・・

暫く誰も声を発しなかった。豊島はオレの手首をとった。そして聴診器でオレの胸を探った。

繋がっている機器を確認した。

豊島
「23時03分・・・臨終です」

田所
「間違いないか?」

豊島
「心停止して、呼吸も止まり脈もありません。完全に死亡しました」

田所
「よくやった。すぐに霊安室に運びこめ!急げ」

三島
「はい」

田所
「オレは女を連れてここを出る。後はしっかりやれ」

オレは漂っていた。さっきと何も変わらない。オレの体はストレッチャーのまま大きなEVに乗せられ運び出された。

事務室の隣に居た純子は田所に連れ出された。

オレ・・・
純子。オレは大丈夫だ。応援がもうすぐ到着する。すぐにお前も助けるから待ってろ

純子・・・
はい。

オレは自分の体のところへ戻った。霊安室・・・冷たく窓のない部屋。そこの台の上に寝かされていた。

病院の前が騒がしくなっているようだった。オレはそこへ行った。

松井
「ここを開けろ!」


「ここは病院ですよ!もう面会時間はとっくに過ぎてます明日にしてください」


「ここにムーさんが運ばれたのはわかってるんだ」

松井
「いいか?時間がないんだ。人の命がかかってるんだぞ

もしか何かあったら・・・お前」


「いいからさっさと開けろ!!!」

帯刀
「おい。こいつの鍵をとって入り口を開けろ」

帯刀が連れてきた男達が、言われたとおりにして入り口のドアが開けられた。病院の警備にあたる人間ふたりは帯刀らに押さえ込まれた。

三島
「あなた方は何をするんですか?警察を呼びますよ」

松井
「ああ。呼んでくれ!さっき30歳ぐらいの男が救急車でここに運び込まれただろう?オレたちはその関係者だ!すぐにその男に合わせろ」

三島
「こんな大勢で乗り込んでくるなんて・・・信用できませんね」

「患者の安全のためにもあなた方を病院内に入れることはできません」

「すぐに警察に連絡して」

三島は隣の男にそう言った。男はそこを離れた。

三島
「あなた方の中にさっきの患者の身内の方が居ますか?」

松井
「オレだ。さっきの男はうちの社長だ。オレは専務の松井だ」

三島
「証明書か何かありますか?」

松井
「名刺と運転免許書だ」

三島
「・・・わかりました。あなたおひとりだけで入ってください」

帯刀
「そうはいかない。今にも危険な目に合ってる可能性がある

これ以上ぐずぐず言うな

入るぞ」

松井
「帯刀さんオレが行きますから大丈夫です」

「それにきっと警察も来るでしょうからそっちの対応をお願いします」

帯刀
「・・・わかった」

三島は松井を連れてEVに乗りさっきの事務室に行った。

三島
「院長・・・この方がさっきの患者さんの身内だと」

豊島
「豊島と申します。さっきの患者さん運転免許からムトーと言う人だと判明しましたが・・・」

松井
「ああ。そうだ。何処にいるんださっさと案内しろ!!!」

豊島
「そう興奮されても困りますが、すでに警察にも先ほど連絡をしたのでもうすぐ来るでしょう」

松井
「そんな事はどうでもいい!さっさとうちの社長のところへ案内しろっ!!!」

豊島
「・・・三島君。興奮されているようだから、説明はその場で」

「とりあえずご案内したまえ」

三島
「どうぞこちらへ・・・」

三島と松井は再びEVに乗り地下へ向かった。オレは純子のところへ意識を飛ばした。

田所
「ふふふ・・・今日からお前はオレの奴隷だ(笑)それとも心を入れ替えてオレの女になるか?」

純子
「あなたは知らないようね」

田所
「今更悪あがきか?」

純子
「私がただの女だと思ってないでしょう?」

田所
「ああ。お前は人の考えている事がわかるそうじゃないか?それにその背中には大きな龍の刺青まである。」

純子
「何故石本が私を解放したのか?疑問に思わないの?」

田所
「月に1度はお前は幹部会議に出るんだろう?オレは欠席してるが(笑)」

きっともうお前に飽きたんだろう(笑)磐石なS会のトップにもなったしな

お前は捨てられたんだよ」

純子
「あの男が現れたから・・・諦めたのよ」

田所
「ムトーって若造か?」

純子
「あの人は・・・死なないわ(笑)」

「笑いながらあなたを見てるわ。もうあなたの正体が知れたから・・・あなたも終わりよ」

田所
「あははは^^そうかあの男はそれほどのヤツだったのか(笑)それは残念だったな。

あの男はオレの目の前で、死んだよ!今頃は冷たい霊安室で寝てるさ

もう2度と目覚めない」

純子
「さーそれはどうかしら?あまりにもうまく行き過ぎてると思わないの?」

田所
「確かにそれは感じている(笑)しかし、あの男は間違いなくオレの前で死んだ。これは動かしがたい事実だ。

うまく行く時っていうのは、運も味方してこんな風に簡単に成功する事もあるんだ

もうすぐお前もそんな澄ました顔で居られなくなる。シャブ中にして飼ってやるよ!奴隷女としてな」

はははは(笑)」

オレ・・・
「純子心配するな。すぐに助けてやるから」

純子・・・
はい。私は大丈夫ですから心配しないで

オレは意識を病院に戻した。

松井
「うおおおおおおっムーさん!!!」

ちくしょーやりやがったなー!お前ら全員許さん。」

ぐっーうわぁぁぁぁ」

ドアがいきなり開き、帯刀らが入ってきた。

帯刀
「あーーー」


「ムーさん!!!」

美香
「あーーーそんな!!!」

警官も数人入って来た。そして三島と院長の豊島も・・・

三島
「このような状況ですので、明日朝にでも司法解剖をお願いします」

警官1
「そっそれは上の判断で・・・」

警官2
「・・・」

松井
「お前らが、お前らがやったんだな。。。全員覚悟しろ!八つ裂きにしてやるからなっ!!!」

オレ
「松井。起こしてくれ」

松井
「えっ」

その場に居た全員が沈黙した。


「ムーさんの声だ。間違いない」

オレ
「源でもいいオレを起こせ!」


「あーーーはいっ!」

松井
「ムーさん!!!」

オレは松井と源に上半身を抱えられるようにして起こされた。

オレ
「この病院の処置が・・・適切で、オレは助かった」

豊島
「そっそんなバカな・・・この人はさっき死んだ!!!」

「間違いなく死んだんだ!!!」

三島
「なっなんて事だ・・・」

帯刀
「ムーさん。本当に大丈夫なんですか!!!」

美香
「あーやっぱり^^」

オレ
「体が言う事を利かない・・・」

警官1
「死亡は間違いだったんですね?」

警官2
「人騒がせな・・・」

警官1
「とりあえず事情は明日もう一度伺いますけど」

豊島
「いや絶対に死んだんだ!ウソじゃない!」

警官1
「じゃー生き返ったんですね。良かったじゃないですか(笑)」

警官2
「もう遅いんですから、あなた方も早く引き取ってくださいよ(-o- )/ 」

「これ以上揉めないように!」

オレは車椅子に乗せられて、病院から運び出された。そして松井と源に抱きかかえられるようにしてベンツに乗せられた。

オレ
「杉並の田所の家に行け!純子が連れ込まれている」

「早く行かないと、一発やられてしまう(笑)」

松井
「ムーさん。もう大丈夫ですよ!オレが、オレが居ますから・・・」

オレ
「お前も泣き虫だな(笑)」

松井
「はい。。。」

オレ
「ちょっと寝る」

オレは純子のところへ意識を飛ばした。

田所
「くくくっ!コレが「龍」か見事だ!見事な龍だ」

純子
「・・・」

純子は素っ裸にされて、ベッドに俯けに寝かされ両手両足を縛られていた。田所はその背中から尻を撫でていた。

そしてベッドから降りて上着を脱ぎ始めた。

その時、ドアがノックされた。


「三島の兄貴から電話が入ってます。緊急事態です!」

田所
「ちっ!せっかくその気になってきたと言うのに・・・」

「少しの間だ待ってろよ純子(笑)」

田所はドアを開いて隣の部屋に行った。そして男から受話器を受け取った。

田所
「寝ぼけるのもいいかげんにしろっ!!!

アイツは死んだ!オレの見てる前で!

・・・

そんな・・・バカな事が・・・

わかった。すぐに出る本部で待て!」


「一体何が?」

オレ
「あの男が・・・生き返ったそうだ」

「そしてこっちに向かってるらしい」

「おいすぐに出るぞ!」


「あの女は?」

田所
「・・・連れて行く」

純子は数人の男たちに服を着せられて、すぐにその家から出て車に乗せられた。

オレ・・・
純子。オレは助け出された。もう大丈夫だ

純子・・・
良かったー

オレ・・・
美香が来てるコンタクトできるか?

純子・・・
まだ・・・無理みたい

オレ・・・
よし。たぶん近づきつつあるから美香を確認しろ

純子・・・
はい

オレは自分の体が移動する車に意識を飛ばした。オレの隣で美香がオレを抱くようにしていた。

オレ・・・
美香。品川の一心会の事務所に向かえと松井に言ってくれ

美香・・・
あっはい。

美香
「松井さん。ムーさんが品川の一心会の事務所へ行けと言ってます」

松井
「あー?ムーさんが?眠ってるだろう?」

美香
「でも、そう言ってます!!!」

松井
「・・・わかった」

美香
「そこに純子さんが連れ込まれるそうです」

「まだ到着はしてませんが・・・」

松井らの車が品川の一心会事務所のあるビルに着いた。その後ろには帯刀らの車が3台続いた。

オレは自分の体に意識を戻した。

オレ
「ひどく体がだるい・・・源。ビールないか?」


「水ならあります」

オレ
「くれ」

源は水の入った大きなペットボトルを取り出した。美香がそれを受け取りオレの口元に持ってきた。

オレ
「いっぱいくれ!」

オレは何度も休憩しながらその水を全部飲み干した。

オレ
「松井。電話しろ」

松井
「はい」

松井は車内から一心会に電話した。

オレ
「田所を電話口に」

松井
「一心会さんですね」

「ムトー商会の松井と申します」

「田所会長と変わって下さい」

「・・・」

「居るのはわかってる。今車が入っていっただろう?」

「電話口に出ないと・・・大変な事になるぞ」

松井は暫くそのままで待った。

オレ
「美香。タバコ」

美香
「はい」

美香は松井からラークを受け取り、それを自分で咥えて火をつけた。咳き込みながらもラークを吸い。オレの口元にくわえさせた。オレは軽く何度もそれを吸った。

松井
「田所が出ました」

オレ
「替われ!ちょっと起こしてくれ」

オレは松井に体を支えられるようにして上体を起こした。松井は受話器をオレの耳元にあてた。

オレ
「ムトーです」

「その節はお世話になりました」

「いえ(笑)」

「ところでうちの純子が酔っ払って田所さんに迷惑をかけているとか」

「ええ。そう聞いてます」

「オレも何か悪い酒を飲んだようで、急性アルコール中毒で救急車で運ばれたようなんですよ」

「ええ。まだ体がふらふらで、みっともない話なんですが(笑)」

「・・・」

「このまま純子を解放したら・・・今回の件は忘れてやる」

「ウソじゃない」

「その替わり・・・今後はオレに協力しろ」

「お前、博徒だよな?」

「オレを信用して賭けてみろよ」

「ああ。咎めないさ」

オレは電話を切った。オレは意識がなくなりそうになるぐらい疲れた。オレの肉体は相当弱ってるようだった。そりゃーそうだ。さっきまで死んでいたんだから・・・

ビルの正面口のシャッターが開いた。中の灯りはついていない。歩道の水銀灯の明かりが入り口を明るくしていた。

純子が出てきた。しっかりした足取りで出てきた。

すぐに帯刀らが走り寄って取り囲んだ。どうやら無事に確保したようだ。純子はオレが乗るベンツに乗り込んだ。松井が助手席に移り、源が運転した。運転していた柳川は別の車に移った。

松井
「源。すぐに車をだせ!赤坂だ」


「はい」

純子
「あーあなたっ!」

オレ
「ああ。なんとか大丈夫だ」

オレ
「松井。岩崎に電話して・・・3日間石本会長を外に出すなと言え」

松井
「はい」

純子はオレを抱きかかえるようにして泣いた。オレは意識を体に戻して体力の回復を待った。



色んな夢を見た。龍が騒いでいた。いつの間にか3頭居た龍が1頭になった。大きなこれまでとは違う凄みのある龍だった。オレはそいつと対峙していたはすだが・・・いつの間にかオレは龍の中にいるような気になった。体中から力がどんどん溢れてきて海の中を思い切り泳ぎたくなった。熱く、熱く、体中が燃えるような感覚だけが支配していた。

オレは目が覚めた。

体を起こした。特に問題なく動く頭の中はスカッとして気分は爽快だった。

純子
「あっ大丈夫ですか?」

オレ
「うん。腹が減って・・・肉が食いたい」

美香
「良かったーーー」

オレ
「ん?オレは快調だぜっ!ほらこの通り」

オレは布団を跳ね上げた。オレのモノは朝立ちしていた。

美香
「きゃー」

純子
「あらっ本当にお元気^^」

オレは部屋を見渡した。自宅の2階だった。

オレ
「喉が乾いた。水!」

目の前のペットボトルを受け取りオレは一気にそれを飲んだ。

オレ
「んーーートイレに行ってから風呂だ」

オレはベッドから降りた。やはり素っ裸だった。そして寝室から続く風呂場へ入った。洗面所の前のトイレに入って長い放尿をした。少し茶色がかった色をしていた。洗面所の前の鏡で顔を見た。無精ひげだけで特に変化はない。

すでに湯が出されていた。オレはシャワーを使った。頭から熱いシャワーをかぶった。

風呂場の引き戸が開いて純子が入って来た。頭にタオルを巻いただけの姿で入って来た。オレはもう少し見たかったが、距離が近すぎて全体が見えなかった。

オレは風呂場の小さな椅子に座らされた。純子はオレの体を洗いかけた。また引き戸が開いた。

オレ
「うわっ何だ?どうしたんだ?」

美香
「私も一緒に入ろうと思って^^」

オレ
「ははは・・・」

美香
「純子さんごめんねー私も混ぜてー」

純子
「どうぞ^^じゃームーさんの髪洗ってあげて」

美香
「はぁ〜い^^」

オレ
「美香。せっかく一緒に入るんだから、その体に巻いたバスタオル取れよ」

美香
「後でとるわ^^」

オレ
「いや、今とってくれないと・・・せっかく頭洗ってもらうのに」

美香
「どうして?」

オレ
「乳がオレの体に触れるのがいいんだけどなー(笑)」

美香
「あはっ^^さっきまでうなされていたのに(笑)」

純子
「私ので我慢して^^はい」

オレ
「あっ背中に当たってる。乳首がコロコロしてるぞー」

美香
「ばっバッカじゃないのー!」

オレ
「美香。風呂に入ったら乳揉んでいいか^^」

美香
「ダメです!」

純子
「ムーさん。元気になってよかった(笑)」

オレは風呂を上がって、寝室で朝飯を3人前ほど食った。

松井
「よくそんなに食えますね?」

オレ
「昨夜は晩飯も食いそびれてたからな^^」

松井
「オレはまだダメージが残っていて食欲ないですよ」

オレ
「何の?」

松井
「ムーさんが死んだと・・・歯軋りして歯が2本折れました(笑)」

オレ
「ああ。悪かったな。すぐに歯医者行って^^」

松井
「一体何が、どうなってたんです?」

オレ
「たぶん仮死状態になった。(笑)その辺りはよく自分でもわからん」

松井
「・・・納得行きません」

オレ
「後で詳しい事は純子にでも聞いてくれ!それより他には漏れてないだろうな?」

松井
「S会には漏れていません。もうすぐ石井、前田、関川さんらが到着します」

「さっき羽田に着いたと連絡がありました」

オレ
「そう。。。」

松井
「それから、緊急事態を昨夜各店に流しましたから・・・ママ達も下に集まってます。。。」

オレ
「誰が?」

松井
「洋子ママ、麻美ママ、レミママの3人です。昨夜、ムーさんをここに運び込んだ時点ですでに桜井で待機していたようで・・・

とりあえず、疲れて眠っているとだけ言いましたが、たぶんウソだと見破られています。

かなり心配されてます」

オレ
「わかった。すぐに降りていく」

「悪いが純子と美香はもう少しここに居て後から降りてきてくれ」

純子&美香
「はい」

オレはジーンズとポロシャツに着替えて階下に降りた。一斉に視線が集まった。

オレ
「ごめん^^もう大丈夫だ。心配かけて本当に申し訳ない」

レミ
「ムーさん。一体どうしたのよーもう心配したんだからねっ!」

麻美
「本当に・・・立て続けにもう」

洋子
「・・・もういいんですか?」

オレは女たちがバラバラに座っているソファの一番手前の補助椅子座った。

オレ
「ああ。ちょっとした騒動に巻き込まれてな^^オレ自身はこの通り元気そのものだ」

「緊急事態に誤報が重なって、大変な騒ぎになったようで、ほんと申し訳ない」

「後でちゃんと説明するから^^」

ドアがノックされて源が声をかけて入って来た。


「大阪の皆様が到着されました」

「桜井のはなれの方にご案内したしました」

オレ
「そう。すぐに行くから待っててもらって」

レミ
「ユーちゃん。元気そうだから安心したわ^^じゃー後でね」

麻美
「ムーさん。私もとりあえず帰りますけど、来て下さいね」

オレ
「ああ。すまないな^^」

オレは洋子の方を見た。洋子は知らん顔をして横を向いていた。レミと麻美は居間を出て行った。

オレ
「なー洋子。今から石井や前田、関川と打ち合わせなんだ」

洋子
「どうぞ^^私に遠慮なく打ち合わせして下さい」

「私は暫くここに居ますから」

「もう着替えも持ってきてますので・・・」

オレ
「えっ?あーそう?じゃー悪いけど行ってくる」

洋子
「いってらっしゃいませ」


▼11時・・・桜井「はなれ」


オレは昨夜の出来事を話した。もちろん表面的な事実だけで済ませた。

石井
「一心会の田所がムーさんを誘拐して監禁した。それをネタに純子さんをおびき出して浚った

ムーさんは間一髪で仮死状態から復帰して事なきを得た。

そして田所にお咎めなしを条件に純子さんを解放させた。

こういう事ですか?」

オレ
「まーその通りだ」

石井
「ムーさん。それで収めるつもりですか?

S会にも言ってないんでしょう?

どうするつもりです?」

オレ
「さーあまり深い事は考えていない

一度ゆっくりと田所と話をするつもりだ」

石井
「・・・」

オレ
「ケンちゃん。手を出すなよ!」

前田
「ムーさん。2度目ですよ!命を狙われたのは・・・

ムトーに手を出したらただではすまない!!!

わかっていないようですから今回は見逃すわけにはいかないでしょう」

関川
「ムトー。オレもそう思う

お前がこのまま東京に居るのなら、きっちりとそれを教えなくては

3度目は本当にやられるかも知れないんだぞ」

オレ
「・・・」

オレは冷たいお茶を口にした。松井は黙っていた。どうやらこっちへ来る前に意見調整がすでに行われていたようだ。

石井
「ムーさん。これは組の問題ではありません

うちのファミリーの大問題なんです

絶対に譲れません!!!

責任はオレがとります」

オレ
「ダメだ。

確かに・・・オレが無用心だった事は謝る。

だがな、歩いていても死ぬ時は交通事故にあったりして死んでしまう

バイク事故や海の事故でオレの友達は何人も死んだ。

オレは死にかける事はあっても死なない。

そういう運命だ(笑)

そして今回の問題は・・・オレ以外のところにある。

オレはそれを解決するために田所をそのままにしておく

もう暫く待ってくれ」

石井
「・・・」

前田
「警備の人間を増やしましょう」

関川
「オレが残る」

松井
「待って下さい。警備の責任はオレの責任です!

心配をおかけして申し訳ありません。

オレがしっかりとやりますから、どうかそれぞれの仕事に戻ってください」

オレ
「もうこのくらいにしておこう^^メシの用意が出来てる」

まだ不承不承という感じだったがとりあえずオレたちは一緒にメシを食い、それぞれの仕事を取り巻く近況を聞き、オレは彼らのご機嫌を取った。そして石井にはひとつの課題を与えて、それに向けた準備を指示した。

そして彼らはようやく笑顔で帰って行った。

オレと松井だけがはなれに戻った。

オレ
「松井。すまんな。お前の責任じゃないのに」

松井
「いえ、みんなの心配は痛いほどわかりますから・・・」

オレ
「さてとじゃー行くか!」

松井
「はい^^でどこへ?」

オレ
「田所のところだよ!」

松井
「まっ待って下さいムーさん」


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