<< トワイライト・アヴェニュー | main | 夢伝説 >>
今夜だけきっと


スターダスト・レビュー:「今夜だけきっと」

2年下。日大芸術の放送・・・w中退^^

1986年10月--------------


「わざわざこんなところへお呼び立てして申し訳ない」

オレ
「いえ、どうぞお気遣いなく」

若い女性がオレが座ったソファの前のテーブルにお茶を置いた。オレは礼を言った。女はドアを開けて「失礼します」と言って出て行った。


「私は、藤原神社の氏子。いや正式には川越には住んで居ないので崇敬者とでもいう立場なんだが、氏子会の顧問をさせていただいいる小佐野です」

オレ
「はい。氏子総代の香川さんから伺っております。

この度、15代の藤原神社宮司を要請されている。ムトーと申します」


「藤原神社も色々とあって気にはかけていたんだが・・・今回あなたの尽力でまとまったという話を聞いてほっとしている次第です」

「それで15代は引き受けてもらえるのだろうか?」

オレ
「残念ながら、僕には無理です」


「そうですか・・・」

「西の組と東の組の相談役をされていて、フリーメイソンのメンバーにも入っておられる。ついこの間は、戦前から暗躍していた旧内務省の流れを汲む組織とやりあって、それを壊滅させた。

噂では、龍の男だとも言われている」

オレ
「・・・」


「そんな風には見えないし、何も感じない。どういう事なんだろう?」

オレ
「さー?僕にもよくわかりません。ただ好き勝手にやってるだけですから」


「ずいぶん前に、神戸に何度か行ったことがある。西と東の大同団結を提案しに・・・しかし、3代目に体よく断られてしまった(笑)」

君は今、それを行える立場に居る。やろうと思ってるのかな?」

オレ
「いえ。そんな気はありません」


「そうか。何も望んでいないという事か?」

「確かに、危ういな」

オレ
「・・・」


「松村とは、戦友だった。

彼も最後は君に託していった。そして今回は「藤原神社」だ。色んな意味で奇遇だし、縁が深い。

君は何もする必要はない。

ただ15代を継承してくれればそれですべてうまくいくだろう。

ただ・・・できれば藤原の姉妹に子孫を残してくれる事を願うばかりだが」

オレ
「残念ながら・・・そんな事は出来ません」


「何故だね?

君には、芦屋にも金沢にも、そして白金台にも君の子供は居るじゃないか?

いや白金台はまだだったな」

オレ
「・・・」

オレの目は細まった。そして部屋の中全体を俯瞰で眺めるようにした。


「おぉぉぉすごい気力だっ!」

「なるほど、挑発に弱いというのはこういう事か^^」

オレ
「・・・」


「いや、申し訳ない」

男はオレの前で頭を下げた。


「ただ、知りたかっただけなのだ」

オレ
「じゃー僕はこれで」


「待ってくれ!もう少しだけ聞いてくれ」

オレ
「・・・」


「私は・・・膵臓癌らしい。恐らく持って年内だろう。

本当に君にお願いしたいのは・・・龍なんだ。

咬龍、昇竜、伏龍。それを見たい」

男はその瞬間、ものすごい力を目に込めていた。大きなギョロ目がオレを圧倒するように見据えていた。

オレ
「それを見てどうするんです?」


「もちろん冥土への土産だ。松村は咬龍だけだった。S会の石本は伏龍と咬龍。誰もまだすべてを見ていない。

松村に伝えてやりたいんだ。すべての龍を見たと・・・」

オレ
「オレもまだ見たことがありません。3人揃ったところなど」


「ふむ」

オレ
「彼女達が、了解してくれるかどうか・・・」


「うん」

オレ
「一応。お願いはしてみましょう」


「そうか^^お願いしてもらえるか!」

オレ
「ひとりでも嫌がったらオレは強要できませんから・・・諦めて下さい」


「うむ。それでいい。いや、ありがとう。」

オレ
「結果は・・・連絡させてもらいます」

オレは立ち上がった。男は目だけで挨拶しているようだった。たぶんひとりで立ち上がれないのではないか?和服の正装姿で体力の衰えを隠しているようだったが・・・オレはそのまま黙って病室を出た。

外には男が2人居た。オレに頭を下げていた。オレは会釈だけをしてその場から去った。

病棟を出て、中庭を歩きながら出口に向かった。木々の葉が落ち始めていた。ベンツが停まっていた。松井が立っている。オレが近づくと松井がベンツの後部ドアを開けた。オレはそこに乗り込んだ。松井が続いた。松井は源に言葉をかけた。ベンツは走りだした。


▼11時・・・赤坂「自宅」


美香
「お疲れ様でした^^」

北脇
「さっそくですが・・・いかがでした?」

オレ
「色んな事を頼まれて・・・気が重いよ」

北脇
「色んな事・・・ですか?」

純子がオレと松井の珈琲を持ってきてくれた。松井は純子に礼を言った。オレは視線を向けて、笑顔を見せた。

ソファの前のテーブルに置かれた珈琲に美香がフレッシュを入れてスプーンを使った。そしてオレの前に置いた。

北脇
「それで、15代の件は?」

オレ
「松井・・・お前が決めろ」

松井
「えっ!なっ何を言い出すんですか。そんな事オレが決められるわけないじゃないですか」

オレ
「命令だ。お前が決めろ」

松井
「・・・命令。ですか」

オレ
「・・・」

部屋中が静まり返った。すべての視線が松井に集まっていた。

松井
「引き受けて・・・下さい」

オレ
「・・・わかった」

美香
「うわー松井さん。ありがとうございますっ!!!」

北脇
「良かった。松井さん。本当にありがとうございます!」

松井
「ははは・・・ムーさん」

オレ
「お前が決めたんだから、オレはそれに従う(笑)」

「じゃー後の事は、松井と相談して決めて下さい」

「オレはちょっと「はなれ」に行ってくる」

北脇
「はい。ありがとうございました^^」

美樹
「ムーさん。ありがとうございました」

松井
「いってらっしゃい・・・」

オレは居間を出て玄関に向かった。純子と源が玄関まで付いてきた。

オレ
「何かあったら「はなれ」へ」

純子
「はい^^いってらっしゃいませ」

オレは玄関を出て長いアプローチを庭の方を眺めながら歩いた。ジローがちょこちょこと着いて来ていた。先に源が出て門のところにいた。門を出る前にオレはしゃがみ込んでジローの頭を撫でてやった。そして桜井の正面に向かった。源が並んだ。

オレ
「今度は「神道」だってよ!どーすんだ一体。。。」


「でも・・・面白そうじゃないですか(笑)」

オレ
「そうかー?(笑)」


「オレも頑張りますから^^」

オレ
「そう。よろしく頼むよ」


「はい^^」

オレは桜井の正面玄関から入った。番頭の中野が笑顔で迎えた。

中野
「お疲れ様です」

オレ
「うん。はなれに行く」

中野
「はい」

中野が先に立った。オレはそれに続き、後ろに源が居た。はなれに続く廊下を抜け部屋に入った。源はオレの靴を持っていた。そしてはなれの小さな入り口のところにそれを置いた。

中野と源は部屋から出て行った。すぐに入れ替わるように紗也乃が入って来た。

紗也乃
「お疲れ様です^^」

オレ
「一緒に昼飯食おう」

紗也乃
「はい^^」

紗也乃は入り口の前の電話機を取り、昼食の用意を頼んでいた。

オレ
「藤原神社の件、引き受ける事になった」

紗也乃
「まーそれは良かったですね^^」

オレ
「なんで?」

紗也乃
「だって、烏帽子を被って、あの神官さんの衣装を着るんでしょう?

きっと可愛いと思うわー(笑)」

オレ
「ははは・・・そう?」

紗也乃
「ユーちゃん。獅子舞も出来るじゃない?今度のお正月が楽しみだわ」

オレ
「そっか。獅子舞も関係あるんだったな(笑)」

昼食を紗也乃と一緒に食った。紗也乃は最近の桜井に来る顧客の事を面白おかしく教えてくれた。

紗也乃
「M建設の会長さんが今度1度、桜井の主に会いたいって言ってたわよ」

オレ
「ふーん。なんで?」

紗也乃
「何度かいらっしゃる度に挨拶はしてて、たまに短い時間席に居ることがあるんだけど・・・この間口説かれちゃったのよ」

オレ
「あらら・・・」

紗也乃
「すぐにお断りしたんだけど、理由を聞かれて、主の女だからって答えたの。

そしたら、一度主に会わせて欲しいと・・・」

オレ
「しょーがねーなー(笑)で、ちゃんと断ればいいんだな?」

紗也乃
「当然でしょ!(笑)」

オレは正面の紗也乃のところへ回り込んだ。そして後ろから抱きついた。和服の香と紗也乃の匂い。いい匂いだった。

オレ
「人気の女将だもんなーそんな話いっぱいあるだろうなー」

紗也乃
「そうよ^^でも私はここを離れないわよ」

オレ
「そう。ありがとう」

紗也乃は上体を少し捻ってオレの方に顔を向けた。オレは紗也乃の顔を見た。オレは紗也乃にキスをした。紗也乃の舌を探り、自分の舌を絡ませて強く吸った。紗也乃の体が少し震えた。オレは紗也乃の首筋に口元を寄せて、その首筋にキスをした。

紗也乃
「あーーーユーちゃん」

オレ
「メシ食ったらいっぱいしよう」

紗也乃
「はい」

オレは紗也乃と昼食をとった。そして奥の部屋に行きオレは紗也乃を抱いた。

▼18時・・・銀座クラブ「シャングリラ」

洋子
「わかりました。じゃー3人で龍を見せればいいのね?」

オレ
「いいのか?」

洋子
「はい^^」

オレ
「そっか。ありがとう」

洋子
「私も・・・興味あるの」

オレ
「ん?」

洋子
「他の龍も見てみたいと思ってたから」

オレ
「そう(笑)そう言ってもらえると少しは楽だ」

洋子
「そんな事、気にしないで^^

その代わりじゃないんだけど、今夜「桜井」のはなれに行ってもいい?」

オレ
「おう^^大歓迎だ」

洋子
「そう^^じゃー少し早めに行ってる」

オレ
「楽しみが出来て嬉しい^^」

洋子
「あはっ(笑)」

オレはカウンター席を立った。洋子に見送られて階段を上がりビルの外へ出た。そして東へ歩いた。

「皐月」へ行くか「サザン・クロス」か迷ったが、どちらも止めた。そしてオレは「バモス」へ行った。



木製のドアを開けるとガラスのいい音がした。カウンターだけの店、客は3人居た。オレは真ん中より少し手前のスツールに座った。

マスター
「いらっしゃいませ」

オレ
「ご無沙汰です」

マスター
「はい。いつものでよろしいでしょうか?」

オレ
「うん」

ひとつ席を右に隔てた男がオレを見ていた。


「ムトーさん。ご無沙汰してます^^」

オレ
「あっ!宮内さん。こちらこそご無沙汰してます^^」


「ここへはよくいらっしゃるんですか?」

オレ
「よくという程じゃないですけど、時々(笑)」


「私も時々ですけど、もうずいぶんになります」

オレ
「オレはついこの間きたばかりです」

目の前にワイルド・ターキーのロックが置かれた。いつもながら大きくてきれいな氷がひとつ入っていた。オレはそのグラスをとって口にした。

宮内
「確か、以前ムトーさんのところでフランス領事館の方々とパーティーをされましたよね?」

オレ
「はぁ〜」

宮内
「いや、ちょっと知人に聞いて赤坂だったと言ってたものでもしかしたらと思い名前を教えてもらったら、「ムトー」さんだとわかったものですから^^」

オレ
「確か、それは春ごろだったと思います」

宮内
「日本からフランスへの留学生に大変な寄付を頂いてると聞きました」

オレ
「いえ。オレの寄付じゃなくて、関係する財団にお願いしてそうして貰ってるだけです」

宮内
「そうでしたか^^そう言えば、フランスでも日仏協会の新理事長の奥様が日本人だという事で話題になってましたね」

オレ
「そうなんですか?知りませんでした」

宮内
「来月、来日するらしいですね。日仏協会の新理事、ピエール氏が」

オレ
「へーそうなんだ」

オレはグラスを手にして、ターキーを飲んだ。

宮内
「実は北脇とは小学校時代からの親友なんですよ」

オレ
「あらら・・・」

宮内
「このところアイツが仕事をほったらかして忙しくしてるから昨日聞いてみたら・・・面白い事を言ってたものですから

ちょっと詳しく教えろ!っていう事で聞くと、ムトーさんのお名前が出てきて吃驚しました(笑)」

オレ
「あっそう。。。」

宮内
「いえ。決して悪い話じゃありませんよ^^そんなに落胆しないで下さい」

オレ
「ははは・・・別に落胆は(笑)」

宮内
「まーあいつのところは息子たちが頑張ってるから商売に支障はありませんが、何やら楽しそうにやってるのがちょっと羨ましくなりましたよ」

ドアの開く音がした。振り返らないでも誰だかわかった。

麻美
「あらー宮内さんおひさしぶりです^^」

宮内
「麻美ちゃん^^ご無沙汰っ!」

麻美
「久しぶりにミっちゃんのところへ?」

宮内
「ひとりじゃ行きづらいなーと思いながらここで飲んでたんだ」

「そうだ。ムトーさん。一緒にどうです?この下の店なんですが」

麻美
「まーもうユーちゃん。宮内さんと仲良くなったんだ?」

宮内
「あれ?ムトーさんは麻美ちゃんのお客さんなんだ?」

麻美
「いえ。お客さんじゃなくて、恋人なんですよー^^」

宮内
「ははは・・・そうなんだ?」

オレ
「さー?何の事でしょう?(笑)」

麻美
「もうっ^^じゃーミっチャンのところへ皆で行きましょう」

すでに麻美はオレの腕を取っていた。オレはスツールから立ち上がった。支払いをする時に、オレはマスターの顔を見た。マスターは知らん顔をしていた。

EVに3人で乗り込み1階に降りた。1階の奥の店、クラブ「アルファ」と書かれたドアを麻美が開けた。黒服に案内されてオレたちはボックス席についた。


「いらしゃいませ^^」

宮内
「こちらはムトーさん」


「美咲と申します。どうぞよろしくお願いします」

麻美
「例のムトーさんよ」

美咲
「うわーそうなんだ?^^やっぱりー♪」

宮内
「なんだ美咲。ムトーさんを知ってたのか?」

美咲
「その話は後でゆっくりね^^それにしても想像以上だわー」

麻美
「そうでしょう^^」

彼女らはテキトーに酒を用意した。オレと宮内さんはブランデーの水割り、そして4人でカンパイした。

美咲
「宮内さん。どうしてもっと早く一緒に来てくれなかったのー」

宮内
「ムトーさんとか?」

美咲
「そうよ!そしたら麻美より早く私が出会ってたかも知れないのにー」

麻美
「美咲。出会っただけじゃーダメでしょう?」

美咲
「わからないわよ?どんなドラマティックな展開になってたか?それは誰にもわからないわ^^」

宮内
「何を言ってるんだ。ムトーさんより、お前の方が年上だろうが」

美咲
「あらっ私と麻美は同じ年よ?ムトーさんはその麻美の恋人らしいから、きっかけさえ先だったら、私にもチャンスはあったわ」

宮内
「そんな事言ってるからお前はいつまで経っても落ち着かないんじゃないか」

麻美
「実は、美咲は宮内さんの娘さんなのよ(笑)」

美咲
「娘さんって年じゃないんですけどね^^」

オレ
「へーーー!全然親子には見えないなー?(笑)」

美咲
「時々、パトロンに間違われるんですけど、私にはその方が都合がいいんです(笑)」

麻美
「美咲は昔から熱しやすく冷めやすいのよね」

美咲
「その時、その時が真剣勝負なのよ^^」

オレはどうでもいい会話を聞きながらも店内の様子を見ていた。さすがに一灯画廊、宮内さんの娘という事もあり、店内にはそれなりの絵がいくつかかけられていた。

そして、美咲ママはビルの前で起きた事件を大げさに宮内さんに話して、麻美も喜んでそれを聞いていた。

宮内
「そんな事があったんだ?でもまー相手にならないのは当然だな(笑)」

美咲
「どうして?」

宮内
「いや、どうしてって言われてもアレなんだが(笑)ねームトーさん」

そうだ。さっきの日仏協会の件ですが、この美咲もちょっと関係してるんですよ

と言っても通訳で呼ばれるのがほとんどなんですけどね」

オレ
「通訳ですか?英語かフランス語の?」

美咲
「はい^^結婚してParisに7年ほど居ましたから」

オレ
「へーそうなんだ?」

麻美
「そういえば、ユーちゃんのところのスタッフの方たちそろそろParisから帰ってくる頃じゃない?」

オレ
「ん?あーそうだな」

宮内
「Parisで何かビジネスを?」

麻美
「ユーちゃんは、ジョエルってブランドでファッション・メーカーをやってるんですよ!」

美咲
「あっ知ってるわ^^最近、雑誌の記事でよく取り上げられてる」

「そうだったんだ?」

宮内
「へームトーさんは、そういう事もやってらっしゃたんだ?」

オレ
「まーそのーそれが主たる目的だったんですけどね」

オレはNYの事を少し話した。そしてParisの店の事も・・・宮内さんは、遠山の事や、Parisの画商の事についていくつか質問をした。オレは答えられる範囲でそれを教えた。

新しい客が入って来た。と思ったら、浜田だった。オレの方を見てちょっと驚いた顔をしたが、すぐに前の方に向かった。

店の奥のスペースにカバーをかけられていたモノを浜田は取り外した。ギターアンプが現れた。そしてそれをセットし始めた。

麻美
「あらっ何か始まるの?」

美咲
「この間からギター弾きさんにきてもらってるのよ

弾き語りして貰って、お客様にも少し歌ってもらって好評なのよ」

宮内
「流行のカラオケってやつだな?」

美咲
「ギターだから、カラオケじゃないんだけど、一般的にはそうね(笑)」

麻美
「美咲も歌うの?^^」

美咲
「恥ずかしいんだけど、少し練習がてら終わってからね」

美咲
「よろしければムトーさんも何かどうです?」

オレ
「オレはいいです(笑)」

宮内
「ははは^^これで甘い声で歌われたら、大変だ(笑)」

麻美
「うん。これ以上、モテてもらったら困るわ(笑)」

浜田はギターを弾き、1曲歌った。オレ達の曲・・・いつもはオレが歌っていた歌を浜田が歌った。

オレは浜田が歌う姿を見るのは、初めてだった。いや、高校の時に冗談でギターだけで歌っていたのを何度か見たが、バンドをやり始めてからは・・・初めてだった。

浜田
「いつもは3曲ぐらい歌うんですけど・・・

今日は1曲歌うのが精一杯です。

本当はこんなもんじゃない。

ヒロ・・・歌ってくれよ」

店内は静かになった。誰もが次に起こる事を待っているようだった。浜田はこっちを向いていた。

美咲
「まさか・・・?」

麻美
「うっそー?」

浜田と同じ年齢層・・・店内にはオレしか居なかった。他の客もちらちらとこっちを見ていた。

オレ
「しょーがねーなー」

オレは立ち上がり上着を脱いだ。そしてそれを麻美に渡した。オレは前に出た。すでに浜田はもう1本ギターを出して用意していた。オレはそれを受け取った。背の高いスツールに座った。浜田は少し離れてストラタを持って立っていた。

シャツの腕をまくり、ネクタイを少し緩めてオレはマイクを少し上げた。

オレは浜田の方を見た。浜田は頷いた。そしてイントロを弾き始めた。

 この曲は〜踊れな〜い♪

   思い出がぁ〜♪多すぎてぇ〜〜〜♪

    イントロがぁ〜終わる前に〜♪あの頃がぁフラッシュバックするよ♪

スローなラブ・バラード。歌いながら懐かしく、この歌をよく歌っていた頃を思い出していた。

1曲目が終わると同時に次の曲に浜田は入っていた。アップテンポな、いっぱいいっぱいの曲、オレは観念して歌った。そして最後に・・・

オレ
「どうも^^よろしければ皆さんもリクエストして歌って下さい。

えっ?そんなにすまして歌った後じゃ歌えないって?(笑)

じゃーそこのダンディーなお客さん。そうシルバーグレイの髪が渋い人

ナツメロでもいかがです?えっ?お前が先に歌えって?

しょーがねーなー(笑)

かっこ良く決めてここのママを口説こうと思ってたのにー^^じゃーナツメロ行きます」

オレはギターを弾き始めた・・・

   赤いぃ〜夕陽よ〜♪
       
      燃え〜落ちて〜〜〜♪

   海を〜流れて〜何処へ〜行くぅ♪

      ギターぁ抱えてぇーあーてーもなくぅー♪
       
   夜にぃまぎれてー消えーてーいくぅー

      俺とぉ似てるよぉー赤い夕陽♪

サビ・・・

浅岡ルリ子!
「どうしてもこの街には居てくれないんですねっ」

小林旭!
「流れもんはひとっところに居られねーんだ」

浅岡ルリ子!
「それじゃーもう会えないんでしょうか?」

小林旭!
「またいつか会えるさ!じゃーな!たっしゃでな!」

    風が〜そよぐよぉ〜別れぇ〜波止場〜♪

客席は大爆笑で、大騒ぎで拍手喝采だった。

オレ
「ははは・・・ありがとうございました。じゃー後はリクエストして下さいね」

オレは席に戻った。

麻美
「ユーちゃん。すっごぉーい^^」

美咲
「すごいー^^カッコイイのに面白ぉーい♪最高よー^^」

宮内
「いやー小林旭良かったよー^^あんなモノマネまで入ってもう傑作!」

オレ
「ははは・・・」

それから客が何人か歌い出した。店は賑やかになった。

麻美
「あのギター弾きさん。えーと浜田君だっけ?知り合いだったのねー?」

オレ
「ああ。昔の・・・バンド仲間だ(笑)」

美咲
「ねーねー口説いてくれるんでしょう^^口説いてーもうすぐに付いていっちゃうから♪」

麻美
「ユーちゃん。そういうリップサービスはダメよ!」

美咲
「あらっ^^いいじゃない少しぐらい(笑)」

麻美
「ダメです!!!」

宮内
「いやーそれにしても、ムトーさん。楽しい人だなー(笑)」

オレはすっかり安心して飲んだくれた。久しぶりに浜田と一緒にやってオレは楽しかった。浜田は途中で店を出て行った。オレの方をちらっと見て笑顔で親指を立てていた。それだけで、これまでのわだかまりが消えたように思えた。



▼24時・・・桜井「はなれ」

オレ
「お待たせー^^」

洋子
「あら。ご機嫌ね?^^」

オレ
「あーちょっと飲まされた(笑)」

オレは上着を脱いだ。洋子はそれを持って奥の部屋に行った。オレはテーブルの前に座った。洋子はオレの隣に座った。

洋子
「うーん。女の匂いがするわ^^」

オレ
「クラブで飲んでたからな」

洋子
「あら。何処のクラブ?銀座?」

オレ
「北脇さんの友人の店に連れて行かれた」

洋子
「どこかしら?」

オレ
「えーーーと確か「アルファ」とかいう店」

洋子
「そう^^今度私も覗いて見るわ」

オレ
「いや、別に大した店じゃないから洋子が見に行くほどじゃない」

洋子
「いいえ。ユーイチさんが行くお店はどんなところでも見ておかないと

困った事になるかも知れないし」

廊下から声がかかり、仲居がビールを運んできた。洋子はそれを受け取りオレにビールを注いだ。オレはそれを半分ほど一気に飲んだ。

洋子
「ここならひとりで待ってても全然退屈しなかったわ^^」

オレ
「あっそう」

洋子
「さっきまで紗也乃ママがお相手して下さったし^^色々ニューヨークでの生活も教えてもらって面白かったわ」

オレ
「そう^^紗也乃はニューヨーク・ママをずっとやっててくれたからな」

洋子
「ねーユーイチさん。東京にずっと居る?」

オレ
「んー?何で?どーした?」

洋子
「プロの女は・・・私が一番のつもりで居ていい?」

オレ
「なっ何だそれは?」

洋子
「なんかちょっと変なの最近・・・」

オレ
「どう変なんだ?体調でも悪いのか?」

洋子
「そんなんじゃない。もっとあなたの女で居たいのよ」

隣に座っていた洋子はそう言ってオレの方に向き直った。

洋子
「私が一番だと思いたい。後からきた人の方があなたの事をよく知ってるなんて・・・嫌!」

オレ
「ははは・・・」

洋子
「もっと二人の時間が欲しい。。。」

そう言って洋子は涙ぐんだ。オレはちょっと驚いた。これまで洋子がそんな事を言った事はない。オレは洋子の手を握った。

オレ
「そーだな。うん。そうしよう^^」

洋子はオレに抱きついてきた。ちょっと泣いているようだった。これまでオレはどちらかと言うと洋子は苦手だった。洋子の誠実さにオレはどう応えていいのかわからないところがあったからなのだが・・・ちょっと反省した。洋子をもっと楽しませる努力をしようと、オレは思った。

オレ
「洋子。ごめんな^^」

オレたちは奥の部屋に行った。そして緩く長いセックスをした。一緒に風呂に入りお互いの体を洗い合い、また布団に入って抱き合い、オレは洋子の穴に入れたまま眠った。

▼10月10日・・・

岩崎
「昨日、田所本部長が本部長の辞任と共に引退したいと言われて、石本会長がそれをお認めになられて正式に引退する事となりました」

石本
「田所の事は兄弟に任せっきりだったけど、すまなかったな。色々あったんだろう?」

オレ
「そうですか。引退ですか・・・

まー色々ありましたけど、田所さんも色んな意味でケジメをつけたという事でこれで終わりですね」

岩崎
「最後に、一心会の跡目の事をムトーさんに一任したいと言ってました」

石本
「なー兄弟。この際だから、一心会を継承したらどうだ?」

オレ
「ははは・・・オレが一心会を?(笑)それは到底無理です」

岩崎
「オレは・・・賛成ですよ!ムーさん。いえ叔父貴が一心会を継いで、本部長になってくれたらうちはもう磐石ですよ」

オレ
「それは絶対ダメだ。ナンバー2はひとりでいい。代貸しと横並びの本部長はもう廃止にして、石本会長、岩崎代貸し体制を磐石なものする。

オレは、これまで通り一家を持たないただの相談役で居させて下さい」

石本
「ははは^^そう言うだろうと思ったんだけどな岩崎がどうしても言ってみてくれって言うもんだから(笑)」

岩崎
「やっぱりダメですか」

オレ
「それにオレ神社の宮司を引き受ける事になってしまって、しばらくそっちで忙しくなりそうなんで(笑)」

石本
「宮司って・・・あの宮司か?」

石本氏は胸の前で両手で何かを持つ仕草をした。

オレ
「そうそう^^その宮司ですよ(笑)」

石本
「あははは^^そりゃー傑作だ(笑)是非見せてもらいたいものだ」

岩崎
「なんでまたそんな事に(笑)」

オレは簡単に川越の藤原神社の話をした。美香やそれに関わる純子と似た能力の話はしなかったが・・・

岩崎
「ずいぶん前に噂を聞いたことがある。そうか。そういう神社なのか」

岩崎
「私らで協力できる事があったら何でも言って下さい」

オレ
「はい^^ひとつよろしくお願いします」

オレは最後はそんな風に話を誤魔化して会長室を出た。本部ビルの1階の前に停めた車に乗り込むまで岩崎は送ってくれた。そして多くの男たちに送られた。

▼11時・・・クォーリーオフィス

オレ
「おはよー^^」

四方
「おはようございます」

斉藤
「よー^^さっき帰ってきたところだ」

横山
「ただいま帰りました^^」

オレ
「おう^^お疲れさんだったなー」

斉藤
「NYも良かったけど、Parisは大成功だったぞ^^それにパリジェンヌも最高だったぜ(笑)」

横山
「佐和子さんや三浦さんも元気にしておられました。もちろんジョエルさんも^^もっともムーさんが居ないてって皆さんブーイングでしたけどね(笑)」

オレ
「そっかー^^みんなで楽しくやってたんならそれでいい(笑)」

斉藤
「それにしてもあの加納祥子がParisに居て有名になっているのには驚いたよ!」

オレ
「ははは(笑)ショーコも元気そうだったか?」

横山
「ええ。ショーコさんも打ち上げに参加してくれて、斉藤さんとムーさんの大学時代の話で盛り上がってました(笑)」

斉藤
「お前の事、ずいぶん心配してたぞ!(笑)」

オレ
「そっか(笑)ショーコは来月にはこっちへ来るんだろう?」

横山
「えっ知ってたんですか?内緒にしておいてね!って言われてたんですけど」

オレ
「ああ。オレにだってそれぐらいの情報はとれる」

斉藤
「フランスの大富豪らしいじゃないか!人生色々だなーって思ったよ」

オレ
「ははは^^実はな、オレ宮司をやる事になったんだ(笑)」

横山
「へっ?それってコレですか?」

横山は石本会長がした通り胸の前で両手で何かを持つ仕草をした。オレはそれがおかしくて大笑いした。

そして藤原神社の事を話した。細かな事件の事は一切省いたが、横山はそれまでの純子の事件の事と考え合わせて気付いたようだった。

斉藤
「ムトーお前が、神社の神主さんか?お笑いだな(笑)」

オレ
「なんだ?羨ましいのか?斉藤も神職で協力するか?^^」

斉藤
「ははは(笑)残念だがオレは遠慮させてもらう^^」

横山
「また何やら忙しくなりそうですね」

インターフォンが鳴った。四方が対応に出た。すぐに沙耶が入って来た。

沙耶
「ユーちゃん。ただいまー^^さっき帰ってきたところよー♪」

オレ
「おう^^お疲れさまー頑張ってくれたんだって?ありがとう」

オレは両手を広げて沙耶を迎えた。沙耶は抱擁と言うより抱きついてきた。オレは久しぶりに沙耶の匂いをいっぱい嗅いだ。そしてテーブルの前に座らせた。

横山や斉藤は沙耶の活躍を持ち上げて話し、オレは大げさにそれを喜んで聞いた。沙耶はご機嫌でその笑顔を振りまいて男達を喜ばせた。

そしてオレは沙耶を昼食に誘った。

▼12時・・・赤坂、ステーキハウス

カウンターだけの店。目の前でサーロインの肉が焼けるいい香がした。オレたちはワインでカンパイした。

沙耶
「フランス料理も飽きちゃったし、美味しい日本のお肉が食べたいと思ってたのー^^」

オレ
「うん。ご苦労さんだったな^^いっぱい食べてくれ、飛行機の中でもあまり眠れなかったんだろう?」

沙耶
「うん。日本に帰ってユーイチに会えるーって思ったら、なんか興奮して眠れなかった(笑)」

オレ
「ははは・・・時差もあるし食事がすんだらぐっすりと眠ればいい^^」

沙耶
「うん。でもその前に大事な事をしてからねっ!^^」

オレ
「ん?何か用事があるのか?」

沙耶
「ユーイチ。1ヶ月近くも離れてたのよ。私とあなたのとっても大事な事をしてからでないと安心して眠れないでしょう?」

鞘の目が妖しく光ったように見えた。

オレ
「もっもちろんさ^^ははは・・・もうオレはその期待でいっぱいなんだから」

沙耶
「そう?^^ほんとに^^浮気してなかった?^^」

オレ
「沙耶を思い浮かべてオナニーばかりしてた(^。^;)」

沙耶
「あはっ^^」

オレと沙耶はワインを飲みながらしっかりと旨い肉を食った。そして沙耶の部屋へ行き、ゆっくりと時間をかけてきつーいセックスをした。クォーターの沙耶の体はオレの体のサイズと何をしてもよく合ってたし、沙耶の穴はオレのモノをいっぱいに咥えられる穴だった。久しぶりのそんなセックスに沙耶も快楽に狂い泣きするように反応していた。

そして沙耶は穏やかな表情で眠りについた。

▼16時・・・赤坂「自宅」

家に戻るとすでに松井と横山が来ていた。

純子
「お疲れ様です^^」

オレ
「えっあーうん(笑)」

オレは沙耶としっかりセックスをしてきたので、その事を言われたのかと思ってちょっと焦った。それは決してオレを読んだわけでもなんでもない普通の挨拶に過ぎなかったのだが・・・純子はオレの焦りでそれを察したようだった。

松井&横山
「お疲れ様です」

オレ
「うん(笑)」

彼らはソファから立ち上がり同じように笑顔でそう言った。オレはもう笑うしかなかった。

横山は松井の隣に座りなおし、オレは彼らの正面に座った。

横山
「詳細は聞きました」

オレ
「ははは・・・これでもう関連する問題は片付いたから大丈夫だ」

横山
「だといいんですが、宮司ってどうなんでしょうね?」

オレ
「松井が決めたんだ(笑)」

松井
「そう言うと思いましたよ(笑)藤原神社の件はこれからは何でもオレの責任になりそうですね」

純子が珈琲ポットを持ってきてオレの隣に座った。そしてオレの珈琲にフレッシュを入れてスプーンを使いオレの前に出した。松井や横山にもお替りを薦めた。

横山
「撃ち合いまであったそうじゃないですか」

松井
「撃ち合いじゃない。こっちは銃は使わなかったんだから」

横山
「あれ?使わなかったんですか?」

松井
「ムーさんの指示がなかったからな・・・オレは持っていくつもりだったんだけど」

オレ
「アホっ!アメリカじゃあるまいし日本でそんなモノ持って見つかったらとんでもない事になるんだぞ!

でも、結果的に使った方が簡単に確保できたかも知れないな(笑)」

横山
「そりゃーそーですよ!ムーさんの射撃の腕ならそれこそテレビや映画みたいに相手の銃だけ狙って簡単に制圧できたでしょうに」」

純子
「そうなの?」

横山
「NYのガンクラブに熱心に通って、毎月行われるコンテストではいつもトップをとってましたから」

松井
「銃器に関してはムーさん熱心でしたもんね^^向こうからひとつも持って帰らなかったんですか?(笑)」

オレ
「銃は・・・持ってたら撃ちたくなる。こっちで撃つところがない以上持って帰るとそれこそ捕まるだけだからな。みんな置いてきた」

横山
「その辺りは感心ですね(笑)」

純子
「なのにどうして持って行けばよかったって?」

横山
「そっそれは・・・」

オレ
「内緒だぞ純子・・・」

純子
「はい」

オレ
「実はこの間、地下室から戦時中の銃が1丁だけ見つかったんだ」

純子
「あの初代の桜井さんが使っていたという地下室から?」

オレ
「うん。保管状態も良かったせいで、この間海で試射したんだけど、完全に動作した」

純子
「まー怖い」

オレ
「南部14年式後期の自動拳銃だ。あれほど程度のいいものはそうはない

美術工芸品としても相当の価値がある」

オレはそんな言い訳をした。本当は1丁ではなく10丁以上あったのだが、それは言わなかった。

松井
「ところで、赤坂の本部では何が?」

オレ
「ああ。それもニュースだ。

昨日、田所が石本会長に会って引退届けを出して了承されたそうだ」

松井
「田所が引退・・・ですか!」

横山
「そうでしたか!良かった。これで敵が居なくなった^^」

純子
「そうだったんですか」

オレ
「どした?純子。何か気になるか?」

純子
「いいえ。きっとそうなると思ってました(笑)」

松井
「じゃー一心会はどうなるんでしょう?」

オレ
「予定通りすでに岩崎が動いて、跡目を調整しているだろう」

横山
「ムーさんを狙う敵が居なくなって・・・良かった」

純子
「ほんと。それだけでもういいわ^^」

横山
「夢に出てきますもんね。

ムーさんがあの病院の霊安室で居たシーン。号泣していた松井さんが鬼になってやつらを皆殺しにする」

オレ
「アホっ!(笑)」

松井
「あははは^^皆殺しかー(笑)横山はよくわかってるなー」

横山
「笑いごとじゃないですよ!これで3度目ですよ」

純子
「えっこれまでにもあったの?」

松井
「1度目は10年前、人通りのある商店街で後ろからいきなり襲われて・・・大怪我を負いました。

2度目は4年前、正面から刺されて・・・手術を3回、その間に心停止も3回。よくあれで助かったものだと」

純子
「まーそんなに?」

横山
「ケンカや乱闘事件は数知れず・・・」

松井
「まっそういう意味では、そこいらのヤクザなんか足元にも及ばない修羅場を経験してますよね(笑)」

オレ
「ははは・・・酔っ払ってするケンカぐらいいいじゃないか(笑)

ニューヨークの3年間は大人しくしていたし、久々にちょっとした騒動が続いただけだ。

これで一連の問題もひと段落したし・・・宮司もやる事になったし(笑)

落ち着くだろう^^」

横山
「はい^^ムーさんはこれからは音楽活動と神社の神主さん^^これをしっかりやって下さい」

松井
「うん。暴れたくなったら道場で暴れましょうよ^^」

オレ
「ん?何それ?」

松井
「北脇さん。あれで結構な武道家なんですよ!

なんでも古武術の「藤原流」だとか!剣道をいや中でも小太刀がメインの総合格闘技に近いものみたいです。

もっとも危険な昔の戦で使われていた殺し技ばかりだそうですが(笑)」

オレ
「ふーん。オレもそれに近いのを子供の頃やってた。面白そうだな(笑)」

松井
「そう言えば、ずいぶん前にムーさんの中学の時の友人がいらしゃったでしょう?」

オレ
「ん?誰だ?」

松井
「確か、宮重さん。剣道で全国3位になったって人・・・言ってたじゃないですか!

面を付けたら人が変わる。『鬼武藤』に試合で勝った事がないって」

横山
「うわー『鬼武藤』ですかー初めて聞きましたよ(笑)」

純子
「そう。中学生の時にすでに・・・」

オレ
「もっともオレは反則負けが多かったけどな(笑)」

横山
「何ですか?その反則って」

松井
「何人も鬼武藤の突きを食らって救急車で運ばれた相手がいたと聞きました」

オレ
「あははは^^強い相手とやると手加減できなくてな!

つい禁止されている突きが出てしまうんだ(笑)

一発で吹っ飛ばす!危険だからって禁止されているんだ」

横山
「じゃームーさんはやっぱりケンカも相当強いんですね?」

松井
「横山。お前今頃何言ってんだ?(笑)」

横山
「だって、ムーさんいつも笑いながらするじゃないですか?それにちょっとズルイやり方だし(笑)」

松井
「なんだよ!ズルイって?」

横山
「油断させといていきなり仕掛ける。倒れた相手が死にそうだとかなんとか言って、他の敵がそれに気を取られた瞬間に、またエゲツない攻め方をする」

オレ
「あはははは(笑)」

松井
「確かに笑いながら緊張感のないケンカに見えるけど・・・そうじゃないんだ。

自分より強いかも知れない相手を複数、それも素手でやる時は、確実に一発で仕留める。それは結構難しいんだぜ!

それをムーさんは笑いながら確実に急所を狙うんだ。

ハンパな闘争心じゃー出来ない!」

横山
「へーそんなもんなんですか?オレにはよくわかりませんけどね?(笑)」

オレ
「松井。オレはケンカは弱い^^それでいいんだ(笑)」

松井
「はい(笑)」

純子は久しぶりに店に出ると言って、自宅を出た。警備の柳川が送り迎えをする事になった。



▼18時・・・桜井「はなれ」

北脇
「そうですか。小佐野さんはすでにムーさんの事は調査済みだったんですね」

オレ
「他に氏子でそんな風にややこしい人がたくさん居るんでしょうか?」

北脇
「ははは^^ややこしい人ですか?まだまだ居ますよ(笑)でもムトーさんなら大丈夫ですよ。きっとうまく行きますから」

オレ
「いやー藤原神社は「特別な巫女」で持ってるんでしょう?宮司はぐうたらで、神事は神職の方々に任せてオレはフラフラしてますよ(笑)」

北脇
「はい^^それで結構ですから」

廊下から紗也乃の声がかかった。

紗也乃
「宮内さまがお越しになられました」

襖が開いて宮内さんが入って来た。そしてオレの正面に座った。

オレ
「どうも^^昨日はごちそうさまでした」

宮内
「いいえ。こちらこそあんなに楽しませてもらって娘まで大喜びでした」

北脇
「ミヤちゃん。そういう時はオレも呼んでくれよなー(笑)」

宮内
「お前はしょちゅうムトーさんと麻美ちゃんのところに居るんだろう?」

北脇
「しょちゅうというわけじゃないさ。ここんとこ忙しかったし」

オレは宮内さんにビールを注いだ。そして北脇さんにもそうした。

宮内
「ムーさん。実は昨日はちょっと話せなかったんですが、今回の「藤原神社」の件は私たちも早くから相談を受けていたんですよ」

オレ
「そうですか。それで私達というのは?」

宮内
「失礼しました。じつはもうひとり居るんです」

北脇
「私から説明しましょう。

実は、私と宮内、そしてここの前当主の桜井、そしてもうひとり銀座でテーラーをやっている真鍋の4人が幼馴染でして・・・銀座同盟という会をやってるんです。」

オレ
「銀座同盟・・・ですか?」

宮内
「まー子供の頃にそう言った名称でただの遊び仲間なんです(笑)」

北脇
「それが今でも結構色んな問題を皆で解決しようと色んな相談を持ち込まれて、それぞれの知恵を出し合っていたわけなんですよ」

オレ
「じゃー北脇さんや宮内さんはすでに桜井さんからオレの事を聞いていたわけですか?」

宮内
「はい。桜井の先代が亡くなられてからは、ここで何度か集まった事もありまして・・・龍伝説の事もその時に聞きました」

北脇
「桜井が言うには、恐らくムトーさんが「龍の男」だろうと・・・」

オレ
「そうですか(笑)他にはどんな事を?」

宮内
「フランスの実力者ピエール氏と知己があり、親しい関係にあるんじゃないかと」

北脇
「アメリカにも太いパイプをお持ちですよね?」

オレ
「そして東京にやってきてわずか1年足らずで、S会にも強い影響力をお持ちになった」

オレ
「よくご存知ですね。それでオレにどうしろと?」

北脇
「いえ。ムトーさんにどうしろなんて私らが言える事なんかありません。

ただ、アホみたいな「銀座同盟」が何かお役に立てる事がないかと」

宮脇
「正直なところ、ムトーさんにも「銀座同盟」に入ってもらえればいいなーと思ってる次第です^^」

オレ
「あははは^^オレが銀座同盟にですか?(笑)ずいぶん年齢が離れてますよ」

北脇
「はい^^年齢なんかは関係ありません。私や宮内は目の前でムトーさんの行動を目の当たりにしてますから」

宮脇
「どうかお願いします」

廊下から声がかかり、男がひとり入って来た。北脇氏はその男、真鍋氏をオレに紹介した。

オレ
「あーマスター」

真鍋
「どうも^^ムトーさんには色々と姪の麻美がお世話になっておきながら、知らん顔を続けて申し訳ございません」

オレ
「ははは・・・なんだ結局みんなグルだったのか(笑)」

宮内
「いえ。決してそういうわけではないのですが、ムトーさんがバモスで雨宿りした事も、めぐり合わせかと^^」

オレはマスターにビールを注いだ。

オレ
「じゃーマスターは昼間はテーラーをやりながら、夜はバモスを?」

真鍋
「テーラーの方はもっぱら弟がやってます」

北脇
「実は真鍋さんには双子の弟さんが居るんですよ^^」

オレ
「へーそうだったんですか!じゃーバモスでも時々入れ替わったりしてるんですか?」

真鍋
「はい。(笑)」

オレ
「そうでしたか」

こうしてオレは回りの人間に押し切られるように、何やら訳のわからないグループ「銀座同盟」に入らされた。宮内氏らは、これまでの銀座同盟の活動を説明しはじめたが・・・それは取るに足らない話ばかりだった。そしてそれぞれの家族の事や、仕事の話などを聞かされながら遅くまで飲んだ。

■10月13日・・・横浜

オレは小さな門のインターフォンを押した。すぐに応答する声が聞こえた。

オレ
「ムトーです」


「はい^^いますぐに」

本当にすぐに聡美が現れた。

聡美
「いらっしゃいませ^^どうぞお入りになって下さい」

オレ
「ども^^」

オレは聡美に赤いバラの花束とケーキを渡した。

聡美
「うわー綺麗^^ありがとうヒロさん♪」

オレは家の中に入った。玄関で靴を脱ぎ、庭に面したすぐ右側の応接室に通された。そこにはすでに聡美の両親が座っていた。そして立ち上がった。

オレ
「ムトーと申します。この度はお招き頂きありがとうございます」


「聡美がお世話になりながら勝手に退社までして、ご迷惑をおかけしておりますのに、わざわざありがとうございます。」


「どうぞおかけ下さい」

オレは両親の正面のソファに座った。

聡美
「ヒロさんからバラとおみやげを頂いたのよー^^」


「まーきれいなバラ^^ありがとうございます」

オレ
「いえ。バラの花束を買うのが好きなもので^^」


「そうですか^^ムトーさんならバラの花束を抱えても絵になりそうですものね」

オレ
「いえ。受け取ってくれる人の笑顔が見たくて、つい^^」

聡美が部屋を出て、すぐに珈琲の用意を持って戻ってきた。そして4人分の珈琲の用意をした。

たわいもない雑談をしながら珈琲を飲んだ。途中で聡美の母親と聡美が部屋を出た。


「ムトーさん。色々聞いてもいいですか?」

オレ
「はい。何でも聞いてください」


「ムトーさんは独身なんですか?」

オレ
「戸籍上は離婚して独身になってますが、現実的には嫁が居ます。子供は3人、いえ4人目がもうすぐ出てくる予定です」


「そうですか。聡美の事をどう思いますか?」

オレ
「健康な精神の持ち主で、とてもいいお嬢さんだと思います」


「聡美と結婚するおつもりは?」

オレ
「結婚は・・・できません」


「このまま聡美と付き合いを続けるおつもりですか?」

オレ
「彼女がそれを望むなら・・・でも、ご両親が反対されたら、それはそれで彼女の意思とは関係なく終わりだと思ってます」


「じゃームトーさんは、将来はどうなるかわからないが、聡美との付き合いを続けさせて欲しいと私達にお願いをしに来られたわけですね?」

オレ
「無責任な言い方になって恐縮なんですが、そうご理解いただけると嬉しいです」


「・・・」

父親は比較的若いと思った。50歳前後か?穏やかな表情で笑みすら浮かべながらオレの目を真っ直ぐに見ていた。


「気負いもせず正直に答えて頂いて、ありがとう。

でも、最後の問いだけは少しウソが混じっているように思いました。

そしてそれは聡美に対する思いやりでそう言ってくれたんでしょう」

オレ
「・・・」


「本当はこんな事を聞かないと聡美と約束をさせられていたんですが・・・家内の要望もあって、私は約束を破ってしまいました」

「どうか聡美を責めないでやって下さい」

オレ
「僕が聡美さんを責める?理由がありません。

訪問の目的や意図を聞いて来たわけではありませんし、ご両親と会えばそういう事を聞かれるのは当たり前ですから

どうぞ気にしないで下さい(笑)

話さない方がいいのなら、今聞かれた事は話しません。」


「ムトーさんは、もしかして敬虔なクリスチャンですか?」

オレ
「いえ。どちらかと言うとこれまでは無神論者でしたから^^」


「これまでというと今は違うのかな?」

オレ
「はぁ〜ちょっとした成り行きで、神社の宮司をやる事になったもので(笑)」


「なるほど神道ですか

いやお年の割りに、ある意味で人物、人格者だなーと感じたものですから」

オレ
「僕がですか?それはとんでもない誤解です(笑)」

オレは珈琲を口にした。何も入っていなかった。オレは改めて自分で珈琲フレッシュを入れてスプーンを使った。同じように聡美の父親も珈琲に手を伸ばした。


「ところで、ムトーさんは「心理学」に興味をお持ちだとか?」

オレ
「ちょっと専門家の方に聞いてみたいと思いながら、変な話なので迷っていたんです」


「変な話?どんな内容でしょうか?^^」

オレ
「肉体と精神は・・・離れる時があるのか?

或いは精神、意思、魂は肉体から離れて存在し続ける事ができるのか?

と言うような事なんですけど」


「ふむ。基本的に肉体と精神が分離すると言うのは・・・死そのものかと思いますが・・・

一時的に、そういう状態になる事を「幽体分離」ともいいますね。

もっともこれは証明が難しいので曖昧なままなんですが、もしかしてムトーさんはそういう経験がおありなんですか?」

オレ
「いえ。そんな夢をよく見るもので・・・それともうひとついいですか?」


「どうぞ^^」

オレ
「他人の考えている事や、他人の心の中を見通す事ができる人間っているんでしょうか?」


「居ます。私が知る限りひとり居ましたがすでに亡くなられました」

オレ
「そういう研究は進んでいるんでしょうか?」


「こればかりはそういう能力の持ち主を調べない限り、研究できませんから・・・たぶんこの国では進んでいないと思います。

ムトーさんは、そういう方をご存知なんですか?」

オレ
「そうじゃないかと思える人は知ってます」


「・・・ムトーさん。教えていただけませんか?」

オレ
「それを知ってどうするんです?」


「是非、お願いして協力して頂きたい」

オレ
「何に協力するんです?」


「研究に・・・ご協力頂きたい」

オレ
「ですからどんな研究に?」


「何故それが出来るのか?どこがどう違うのか?突き詰めて言えば、さっきムトーさんがおっしゃった。精神そのものが分離するのか?と言うところを知りたい」

オレ
「知ってどうするんです?」


「ひとりの研究者として、知りたい。ただ知りたいだけです」

ノックをして聡美が入って来た。

聡美
「なんだか話が進んでいるようだけど、どうぞ^^昼食の用意ができましたから^^」

オレ
「あっ悪いなーいいのかなー?」

聡美
「どうぞどうぞ^^アレお父さんどうしたの?」


「あっいや、そうだな昼食だったな。あははは(笑)」

オレたちは応接室を出て、居間の方に行った。そしてダイニングテーブルの前に座った。

小林家のオリジナルだというスパゲティーとサラダ。そしてロースト・ビーフがダイニングテーブルの上に並んでいた。ビールが注がれて軽くカンパイした後、食事が始まった。

聡美
「おとうさんとヒロさんどんな話をしてたの?」

オレ
「うん。オレが気になっていた心理学の事を教えてもらってた」

母親
「まームトーさんは心理学にご興味があるんですか?それはいいお話相手が出来て良かったわね?あなた」


「ははは・・・そうなんだ。ムトーさんは実に興味深い話をされて、僕も夢中になりかけたところだったんだ」

母親
「あらーそれは珍しいわね^^」

聡美
「おとうさんが興味を持つ話なんて、ヒロさんそれはなぁ〜に?」

オレ
「そんな大げさな話じゃなくて、ちょっと不思議な夢物語みたいな話さ(笑)」


「いや。夢物語じゃない。ソレは・・・絶対に存在するんだ」

母親
「またあのお話ですかー?(笑)」

聡美
「おとーさんの研究が始まったきっかけよね^^」


「聞いてくれ!ムトー君」

オレ
「ええ。聞かせてもらいます」


「アレは・・・僕が大学2年の頃だった・・・」

そして聡美のお父さんは自分がその研究に没頭することになったきっかけを話始めた。すでに家族は何度も聞いているらしく、半分笑いながら聞いていた。

夏休み・・・大学に通う道すがら通りがかった川筋で、少女が泣いていた。まわりに人影はなく、その子に近づくと「あの子犬を助けて」と少女に言われ、通りがかりの大学生は、川の真ん中にひっかかった木の上に居る子犬を、服を脱ぎ、パンツひとつになって川へ入り、泳いで子犬を助けた。

その子犬を少女に手渡すと、少女は「ありがとう」と礼を言って去っていった。

遠ざかる少女を見ながら、大学生は服を着ながら気付いた。あの少女は一言も声を発していなかった。

驚いてもう一度少女を探すと、少女は犬を抱いてバスに乗り込むところだった。大学生は声を出してつぶやいた。

「うそだろう。。。」

少女・・・
ありがとう。お兄いちゃん

こんどははっきりと大学生の心の中にその声が届いた。

オレ
「へーなんかメルヘンチックなお話ですね^^」


「ムトー君は本当はそうは思っていないだろう?」

聡美
「それからおとーさんは大学院に進み、大学の研究室に残って、以来30年近くその研究を続けているのよ^^」

オレ
「その少女とはどうなったんです?」


「いくら調べても・・・消息はわからなかった」

オレ
「そうですか」


「そして2年前だ。ある年老いた女性と会った時に再びそういう体験をした

協力を願い出たのだが・・・断られて、何度もお願いしに行ったが、それ以上会えないまますぐに亡くなられた」

オレ
「それは残念でしたね」


「たぶん。これが最後だろうと思う。ムトー君。協力してもらえないだろうか?」

母親
「えっムトーさんが何かご存知なの?」

聡美
「ヒロさん」

オレ
「どうも僕の説明の仕方が悪かったようで、おとうさんには大きな誤解を与えてしまって申し訳ございません」

母親
「そう。それは残念だったわねあなた^^」

聡美
「あー吃驚した(笑)」


「・・・」

オレ
「どうも美味しかったです^^ご馳走さまでした。

今日はこれで失礼します。」

母親
「また是非遊びに来てくださいね」

オレ
「はい。ありがとうございます」

聡美
「私、ちょっとそこまでお見送りに行ってきます」

そしてオレと聡美は家を出て、住宅街を抜けて近くの公園に寄った。

聡美
「おとうさん。お酒弱いから、少しのビールで酔っちゃったんだ。ごめんね」

オレ
「そっかお前が酒に弱いのはおとーさん譲りなんだな(笑)」

聡美
「そうかも(笑)でも、あんな事を初めて会った人に話すなんて珍しいわ」

オレ
「でもたったそれだけのきっかけで、30年近くも研究をするなんて、すごい情熱家だなー」

聡美
「でも何やらヒロさんにすごい興味を持っていたみたいね」

オレ
「お前はどう思う?人の心に直接話しかける事なんて出来ると思うか?」

聡美
「さーどうかしら。愛があってどうしても伝えたいっ!と思う気持ちがそんな風に通じたら・・・素敵だろうなーとは思うけど^^」

オレ
「そーだな(笑)」

オレは聡美の父親があんなに真剣にムキになるとは思わなかった。もう少し研究者として客観的に、体系的な学問上の興味程度に考えていたが・・・

きっと聡美の父親は見抜いている。オレがソレを知っている事を・・・間違いなくそう思い込んでいる。ちょっとやっかいな事になったとオレは憂鬱だった。

オレはそこで聡美と別れて、駅前の駐車場へ行きベンツに乗って東京へ戻った。


Next Story>>>>>
<<<<<Back Story



━…━…━…━…━…━…━
 My History Index
━…━…━…━…━…━…━
| My History | 00:26 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP









http://kaizin.jugem.cc/trackback/1445
CONTROL
PROFILE
━…━…━…━…━
My History Index
━…━…━…━…━

メールフォーム

クリックで救える命がある。

RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
SELECTED ENTRIES
RECENT COMMENTS
  • 迷子のフクロウ保護
    kina
  • ポール ライブ イン オオサカ
    pio
  • 宇野くん元気そうだ!
    るーく
  • 宇野くん元気そうだ!
    みく
  • キーボード
    るーく
  • キーボード
    みく
  • キーボード
    みく
  • キーボード
    るーく
  • キーボード
    みく
  • 週刊朝日
    るーく
RECENT TRACKBACK
CATEGORIES
ARCHIVES

このページの先頭へ