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ロマンチックやな


三好鉄生:「ロマンチックやな」

この曲はあんまり売れなかったなー^^好きなんだけどなー


1986年12月PART4---------------


オレは両手いっぱいに荷物を抱えて受付で病室を聞いた。そしてEVに乗り指示された部屋へ向かった。

ドアをノックすると、引き戸になっているドアが開いた。

沙耶
「ユーちゃん^^」

オレ
「うん」

オレはベッドに行った。キョーコがベッドの上で上体を起こして凭れていた。オレはバラの花束をキョーコに渡した。

オレ
「よく頑張ったな^^」

キョーコ
「うわーきれいっ!」

オレ
「ひろこ^^弟が出来てよかったなー」

裕子
「うん。^^もう名前も決まってるんだよ「ゆうぞう」って言うの」

オレ
「そうかー^^「ゆうぞう」かいい名前だなー」

キョーコ
「ユーイチ。逆子だったら帝王切開しちゃった。」

オレ
「そっか。ちょっとお腹に傷が残るけど、気にするな^^」

キョーコ
「うん」

沙耶
「今、保育器の中にいるのよ^^後でまた看護婦さんが連れてきてくれるって」

オレ
「何か問題が?」

キョーコ
「ううん。何も問題はないわ!元気な男の子よ」

沙耶
「おサルさんみたいでどっちに似てるのかまだわらないけどね^^」

オレ
「沙耶もずっと居てくれたんだ。ありがとう^^」

沙耶
「だって、キョーコちゃんの子は私の子でもあるわけだから(笑)」

オレ
「ふーん(笑)」

オレは暫く居て看護婦さんが「ゆうぞう」を連れて来るのを待った。そしてオレは『ゆうぞう』を抱いた。3000グラム・・・沙耶が言う通りそれはまだサルっぽくて顔をみただけでは男か女かもわからない状態だった。

オレは持参したクリスマス・プレゼントを裕子とキョーコ、そして沙耶に渡した。

オレ
「バタバタして悪いけど、これで一度戻るよ」

キョーコ
「うん。気をつけてね」

オレ
「ああ。裕子またなっ!^^」

裕子
「ばいばーいユーちゃん♪」

沙耶
「またねっ^^」

オレ
「うん」

オレは病室を出た。そして赤坂に戻った。

▼11時・・・

佐和子
「お帰りなさい^^早かったのね?どうだった?」

オレ
「ああ。元気な男の子らしい。まだシワシワなサルみたいでよくわからなかったけどな(笑)」

佐和子
「そう^^落ち着いたら私も会いに行っていいかなー?」

オレ
「ああ。是非頼む^^きっとキョーコも喜んでくれる」

佐和子
「うん」

オレは話しながらダイニング・テーブルの前に座った。佐和子は珈琲を入れてくれた。

佐和子
「松井君は伊藤忠東京に、横山君は永田町の議員会館へ行ってるわ」

オレ
「そう」

佐和子
「北浦さん。どうなるのか皆心配してるわ」

オレ
「どうとは?」

佐和子
「もうあなたの顔も見れないって言ってるみたいよ」

オレ
「で、佐和子はどうしたらいいと思うんだ?」

佐和子
「美香ちゃんの亡くなったおかーさんの弟さんなんでしょう?許してあげたら?」

オレ
「じゃー佐和子に任せる。うまくやってくれ」

佐和子
「・・・私が?」

オレ
「頼むよ(笑)」

佐和子
「しょーがないわねー(笑)」

インターフォンが鳴り佐和子が対応した。どうやら横山が戻ってきたようだった。源がすでに玄関前に出て、モニター画面をみて玄関を開けたのだろう。先に横山と源の声が聞こえていた。佐和子は横山を出迎えた。

横山
「ただいま^^」

佐和子
「お疲れ様」

横山
「どうでした?ムーさん」

オレ
「うん。元気そうな男だった。キョーコも元気だった」

横山
「そーですか!それは良かった(笑)お祝いしないといけませんねー」

佐和子
「そうね^^クリスマスだし、今夜ぱぁーとやりましょうか?」

オレ
「あははは^^ありがとう」

松井はソファの方にやってきた。

横山
「いいですか?」

オレ
「うん」

横山
「後藤田さんの事務所に言ってきました。秘書の方から資料をもらってきました。そしてその場で説明を受けました。これが資料です。」

オレはその大型の茶封筒の中からファイルを取り出した。そこには、自衛隊員の個人データが書かれていた。

横山
「こいつが瀬島から指示を受けて、この流れで動いたようです。間に2名入ってます。

処分は、こいつが諭旨免職、間に入った2名は訓告処分。現場で動いた7名は・・・処分なし。となったようです。

秘書の説明によると、本来この幹部は査問にかけるべきなんですが、そうなると公式記録の中で、現場の者3名が発砲され重傷を負った事まで公になり、その取調べも発生するとの事で、今回はここまでになったと言ってました」

オレ
「重傷の3名は?」

横山
「貫通銃創が2名。腕を撃たれたのが骨で止まって居たようで、ちょっとやっかいだったと、でも後遺症はないから大丈夫だらしいです」

オレ
「そっか。ほっとしたよ」

横山
「はい。それと・・・非公式ですが、防衛庁長官は辞任。事務次官クラスも更迭させられるようです」

オレ
「それは、国会対策だから向こうが勝手にやる事だ。オレたちに詫びた形でもなんでもないさ(笑)」

横山
「警察内部も大幅な人事異動があるようです」

オレ
「ふむ。後藤田さんも本気で怒ってるようだな(笑)」

横山
「徹底的にやるみたいですね(笑)」

オレ
「そっか。じゃーこれで警察や自衛隊から襲われずに済むって事だな?」

横山
「はい。(笑)」

佐和子
「ねーカレーを作ったんだけど・・・お昼にする?」

オレ
「おう^^佐和子のカレーかー初めてだなー」

横山
「ご馳走になります^^」

オレたちはダイニングテーブルの方に行った。佐和子はカレーライスとサラダをテーブルに並べた。オレはさっそく大きなスプーンで口いっぱいに頬張った。

オレ
「あはっ!目から火が出るくらい旨いカレーだっ!」

横山
「うわっ!強烈に旨い。。。」

佐和子
「そう^^」

オレ達の反応を見ながら佐和子もそれを口にした。

佐和子
「きゃー辛いっ!!!」

オレ
「あははは^^作った本人が吃驚してどーすんだ?(笑)」

佐和子
「だってこんなに辛いとは思わなかったんだもんっ!」

横山
「ははは・・・ほんとちょっと辛いですよね」

オレ
「カレーは辛いからカレーなんだからいいんだ。(笑)この味は一生忘れられないなー」

インターフォンが鳴った。佐和子が対応した。源が同じように玄関に出た。松井が戻ってきた。

オレ
「おう^^おかえりーちょうど昼飯だから^^おい!源。お前も食ってけ」

横山はニヤニヤと笑っていた。佐和子はテーブルに松井と源の分のカレーとサラダを用意した。

松井
「これはもしかして佐和子さんのオリジナルですか?^^」


「うわーカレーだ^^こんな風に大勢で食べるの・・・ニューヨークみたいですね」

オレ
「ニューヨークかー懐かしいな!」

松井
「くぅーーーすげー(笑)旨いっ!」


「この辛さ!たまりませんっ^^美味しいー」

佐和子
「たくさんあるからどんどん食べてー(笑)」

誰もがオレの子供を産んだキョーコの事を気にかけてくれて、それほど旨くもない佐和子がつくったカレーを褒めながら一緒に食った。ごくごく普通の日常的な昼。源の言う通り、それは少し前のニューヨーク・スタイルだった。

オレは・・・反省した。

食事が終わると、佐和子は買い物に行き源はそれに付き合った。

電話が鳴った。松井がそれを取った。

松井
「ムーさん。国政会の大山が桜井の方に来て、ムーさんに面会を求めてるらしいです。とりあえず目立つので桔梗の間に通したそうなんですが・・・」

オレ
「しょーがねーなー。じゃ会うか?」

松井
「はい(笑)」

横山
「オレもいいですか?」

オレ
「(笑)」

オレたち3人は自室から通路を使って、桜井に入った。そして桔梗の間に入った。

オレ
「どうも大山さんわざわざ来ていただいてありがとうございます」

大山
「いえ。お忙しい中、押しかけて参りまして申し訳ございません。

早速ですが・・・先日、I会の立浪総裁と一緒に自民党の浜田幸一代議士と会い。お電話で指示を頂きました通り、手打ちとさせて頂きました。」

オレ
「そうですか。ありがとうございます」

大山
「いえ。つきましては、先方からの和解金を預かって参りましたので、どうぞコレを」

そう言うと大山の後ろに控えていた男2人が大きなダンボールをテーブルの横に置いた。

オレ
「コレは?」

大山
「はい。和解金として8億円。先方が置いていきました」

オレ
「はぁ〜でもそれは国政会さんとの和解金ですから、どうぞ大山さんが納めて下さい」

大山
「なっ何を言われるんですか!これはうちからムトーさんへお渡しするべきもので、私のところで納めるべきものではありません」

オレ
「いえ。ひとつ間違えば大山さんのところも潰される可能性があったわけですから、無理なお願いを快く引き受けてくれた大山さんのところが受け取るべきモノです」

大山
「・・・ムトーさん。本来なら腕の1本も差し出して、私がお詫びしなければならないところを・・・笑って忘れてもらったご恩。この大山、一生忘れません。

今回の件など、それに比べたらなんのお返しにもなっていません。とてもじゃないが、受け取るわけには行きません。

ムトーさんのその気持ちだけで十分です」

オレ
「大山さん。そんな風に思ってもらえるだけで嬉しいです^^でも今回は立浪総長にもご迷惑をおかけしてしまいましたし、どうぞその和解金は大山さんが受け取ってしまって下さい。

そしたらオレも立浪総長とまた笑って飲みに行けますから、どうぞオレの立場を考えてくれる気持ちがおありなら、そうして下さい」

大山
「・・・ムトーさん」

オレ
「それにしてもあの国会前での演説は素晴らしかった(笑)」

大山
「ははは^^ありがとうございます。

それでは、コレはありがたく頂戴いたします。これからは、ムトーさんの舎弟だと思って粉骨砕身勤めさせて頂きますので、どうぞよろしくお願いいたします」


「よろしくお願い申し上げます!!!」

大山が頭を下げた。同時に後ろに控えていた男たちも・・・

オレ
「ははは・・・舎弟ですか。。。」

大山
「それでは今日のところはコレで失礼させて頂きます」

大山はもう1度深々とオレに頭を下げて、男たちと共に部屋を出て行った。オレは玄関まで見送った。そして「はなれ」に行った。

前田と関川が大阪から来ていた。

▼14時・・・桜井「はなれ」

オレ
「よ!わざわざ悪いな^^」

関川
「一体何がどうなってるんだムトー!ちゃんと説明してもらうからな!」

前田
「日本中のやくざが注目してますよ!(笑)」

オレ
「そんな大げさな(笑)」

関川
「大げさなもんか!見るものが見ればわかるさ!現総理にケンカを売って、総理のブレーンのあの瀬島龍造を叩いて・・・ほぼ勝利を収めたって」

前田
「右翼はダミーで、その実はY組、I会、S会と日本の最大手の3つを動かしてるわけですから、それはもう日本のドンだって」

オレ
「あらら・・・そんな風に思われてるのか。困ったなー」

紗也乃が声をかけて、酒の用意をした。テーブルにビールとグラスが並べられて、紗也乃がそれぞれにビールを注いだ。

紗也乃
「ユーちゃん。さっきのお客さま。チップだと言って100万円置いて行ったわよ!どうしましょう?」

オレ
「あのバカオヤジ(笑)」

横山
「紗也乃ママ。安心して受け取って大丈夫ですよ!さっきの人8億円持って帰りましたから(笑)」

紗也乃
「8億円!まーそれは剛毅な(笑)ユーちゃんがあげたの?」

松井
「はい(笑)ムーさん気前がいいですから」

紗也乃
「あはっ^^じゃーこれは桜井のご祝儀としてみんなで分けます」

オレ
「あははは(笑)」

紗也乃は明るくそう行って部屋を出て行った。とりあえずオレたちはカンパイした。

松井
「前田。そっちはどうだったんだ?」

前田
「伊藤忠は結局石井さんが中に入って手打ちに^^和解金は10億です」

横山
「街宣車3台乗り付けて5日間騒いだだけで・・・10億ですか!」

前田
「ムーさんを狙った詫び料だとしたら、安いもんだ(笑)」

オレ
「関川のところは伊藤忠からの仕事も結構あっただろう?」

関川
「ああ。だが今回それが問題になって面白ろかったよ!

代行の中西組も昔から伊藤忠と付き合いがあって、現在もうちと分ける形で仕事をとってたんだけど

向こうは最初、右翼街宣車の排除を中西組に依頼して、石井さんが怒って(笑)

相談役を狙ったやつが伊藤忠の特別顧問だというのに、相談役に詫びも入れないで手を引けとはどういう事だっ!って

そうこうしているうちに東京の伊藤忠前でも始まってしまって、結局中西組はその件を石井組に一任する事になりました。

今後の大きな仕事はたぶんもう中西組には回らないだろうな。うちの独占だ!

松井
「伊藤忠東京は、協賛金名目でS会大島さんのところの右翼団体に5億円支払いました。」

横山
「一番低いですね(笑)」

オレ
「伊藤忠も大阪と東京で往復ビンタだから災難だな(笑)」

オレはビールを飲んだ。そしてそれぞれのグラスに新しいビールを注いだ。前田がオレのグラスにビールを注いだ。

前田
「国会前の右翼はどうなったんですか?」

横山
「それがさっき来た国政会の会長で大山さんって言う人なんですが、I会系の右翼で、誰かの変わりにハマコーさんが現金を持ってI会の総裁のところへ行ったようです。それが8億です(笑)」

松井
「大山はしぶしぶ手打ちに応じたそうなんですけど、その時の言い草が・・・

今度兄貴の命を狙ったら国政会は玉砕覚悟で突っ込むからな!と大見得を切ったそうです」

横山
「あはははははは(笑)」

オレ
「ぎゃはははは^^(笑)何度聞いても笑えるな!」

前田
「どういう事ですか?」

横山
「最初にムーさんの命を狙って暗殺チームを送りこんで来たのは、その国政会の大山なんですよ!もちろん返り討ちにしたんですけど、兄弟にした覚えもないのにあのバカオヤジ!!!」

松井
「粉骨砕身、勤めますって言ってましたね(笑)あんなゴリラみたいなオヤジが舎弟だって!あはははは(笑)」

関川
「一体どうなってるんだ?それにしてもこっちは楽しそうだなー(笑)」

前田
「ほんとに(笑)松井。そろそろ変われよなー」

松井
「ははは^^今でこそ笑っていられるけど、その時々は本当に危なかったんだから(笑)それに一連の騒動でオレはよくわかった」

前田
「何がわかったんだ?」

松井
「ムーさん。恐ろしくケンカが強い(笑)」

関川
「アホっ!(笑)ムトーにケンカをさせてどーすんだ」

前田
「あははは^^そりゃームーさんも弱くはないだろうけど、用心してないとすぐ大怪我するだろう!」

横山
「まーでも、これで今年は終わりにして欲しいですね(笑)」

前田
「あっムーさん。石井さんから10億預かってきましたけど?」

オレ
「ったく。必要ないってあれほど言ってあるのに・・・

前田。悪いけど持って帰って半分は石井組のシノギにして、半分は本家に入れるように言っといてくれ」

前田
「オレもムーさんは受け取らないでしょうって言ったんですけどね!中西代表に食ってかかった以上、自分からは入れられないから、ムーさんからそうして欲しいって言われて・・・」

オレ
「・・・」

横山
「何かまずい事でも?」

オレ
「やっぱり持って帰って10億全部ゴローちゃんに入れるようにしよう」

関川
「なんでだ?」

オレ
「石井はヤマケン組の組員だ。親はゴローちゃんだ。それを代表代行に食ってかかって、石井組が担当になった。その和解金をオレが受け取って差配したらどうなる?」

前田
「でも、渡辺さんの了解はとってあると言ってますよ?」

オレ
「今はそれでいいが、きっと後でしこりが残る。オレの命令だと言って、その金をゴローちゃんに渡すように言ってくれ」

前田
「わかりました」

松井
「ムーさん。渡辺さんを何が何でも5代目につけようと思ってるんですね?」

横山
「それはもう規定路線ですよね?」

オレ
「じゃー6代目は誰だ?」

関川
「6代目?そりゃー5代目が決める頭が6代目だろう?」

前田
「もしかして・・・石井さんを?」

松井
「ムーさんの代わりに組に戻った石井さんを・・・」

関川
「ムトーお前。そんな事を考えていたのかっ!」

横山
「そうなったら・・・いいですね(笑)」

オレ
「(笑)」

いつかあの本家で気楽に台所でメシを食う。そんな事がまた出来るようになるといい。オレはそう思っていた。関川と前田はとりあえず赤坂プリンスに部屋をとってあったので、そっちにチェックインしに行った。そして夜にはこっちでまたパーティーをしようと言う事になっていた。

▼16時・・・桜井「桔梗の間」

北脇
「ムトーさん。本当に申し訳ありませんでした」

オレ
「別になんとも思ってませんよ(笑)」

佐和子
「これからも北浦さんは藤原神社のために、ムトーを支えてやって下さい。ムトーの周りはみんな若いので、ついつい勝手に突っ走りがちなので、北浦さんのようなベテランが必要なんです」

北浦
「・・・ありがとうございます」

オレ
「という事で、これからもよろしくお願いします^^」

北浦
「ムーさん。ありがとうございます」

佐和子
「今日はクリスマスだし、ムトーの新しい子供も昨日無事に生まれて、今夜は隣で簡単にパーティーをしようと思ってますので楽しく過ごしましょう^^」

北浦
「えっ!ムーさんのお子さんが生まれたんですか!それは、おめでとうございます」

オレ
「はい^^ありがとうございます」

北浦
「初めてのお子さんですか?」

オレ
「いえ。4人目です(笑)次男になります」

佐和子
「芦屋の本家に長男、長女、金沢に次女、そして東京に次男誕生なんです」

北浦
「それってもしかして・・・」

佐和子
「はい。3人のムトーの女が別々に産んでます」

北浦
「3人・・・ですか?ははは・・・」

佐和子
「一般的には、おかしいのでしょうけど、私たちは全然おかしいと思ってないんですよ。それぞれのムトーの女が、子供を望んで結果的にそうなったんです。そして古くからムトーの傍に居る私たちは、まるで自分の事のように嬉しく思ってますから^^

それに予定では大阪にもひとり是非子供をと望まれてます(笑)」

北浦
「うん。ムトーさん。美香にも是非よろしくお願いします^^」

オレ
「ははは・・・」

そんな話で佐和子は北浦氏を和ませて、オレとの関係修復を図ってくれた。そして先に北浦氏と母屋の方へ向かった。

この日の夜、自宅でクリスマスパーティーと次男の誕生祝いを兼ねて軽くパーティーをした。

■12月26日・・・

駅のプロムナードのカフェで待っていた。ユーコはオレを探すように店内を見渡していた。オレは座ったまま手を振った。瞬間、ユーコは笑顔で小さく手を振ってこっちにやってきた。

オレ
「澄ましていると、しっかりした大人の女性に見えるようになったなー^^」

ユーコ
「澄ましてなくても大人よ^^」

ユーコはウエイトレスにカフェ・オレを注文した。

ユーコ
「先週、ニューヨークに行った時にヒロミと会ってきた^^」

オレ
「おお^^そうか!ニューヨークの連中も元気にしてたか?」

ユーコ
「うん。みんなでヤマシロに行ってご馳走になっちゃった^^」

オレ
「あーオレもみんなでメシ食いたいなー」

ユーコ
「うん。みんなユーちゃんどうしてる?っていっぱい聞かれたわ」

オレ
「元気に宮司やってるって言ってくれた」

ユーコ
「一応ね」

オレ
「一応か?」

ユーコ
「だって、全然ユーちゃんが何してるか知らないもんっ」

オレ
「ふむ。夏から色んな騒動があって、今がピークだからなー」

ユーコ
「やっぱり大変な事になってるんだ?横山さんも今回はちょっと深刻だって言ってたし・・・すごく心配してたんだからっ!」

オレ
「うん。ユーコは心配かけないように大人しくしててくれて、本当にいい子だ。感謝してる^^」

ユーコ
「そーよっ!本当にそう思ってるー?」

オレ
「もちろんさ。香露園へ帰ってママや真美と一緒に過ごすのをどれほど楽しみにしてたか^^」

ユーコ
「うん。それもいいけど、ふたりでゆっくりしたいー」

オレ
「よし。じゃー先に有馬へ行こうか?」

ユーコ
「有馬温泉♪行くぅー^^」

オレとユーコは新幹線に乗った。新大阪で降りるのを変更して新神戸まで行き、そこから有馬へ向かう事にした。

ユーコは新幹線が珍しいらしく、喜んだ。普段は東京、大阪間でも仕事で飛行機に乗ってるからか、新幹線のグリーン車は初めての経験だったようだ。

そして有馬で一泊してから香露園のユーコの自宅に戻り、オレも泊まった。真美の日航のCAの試験も合格し、来年の夏には姉妹で飛行機に乗る。

香露園浜に面したマンション。そこにはいつも変わらない風景がある。だけど来年の春には真美も東京に研修に行く。そうなるとここにはママがひとり残る事になる。淋しい思いをするだろうと思った。

■12月28日・・・芦屋「自宅」

玲子
「TVのニュースを見ていてもしかしたら・・・と思っていたけど、やっぱりあなただったんだ」

オレ
「これで、夏から始まった一連の騒動がようやく終わった」

玲子
「本当に、もうない?」

オレ
「ああ。ないっ!^^」

オレは玲子が淹れた珈琲を口にした。

玲子
「じゃー一緒に東京へいくわ^^」

オレ
「うん」

玲子
「本当は早く行ってキョーコちゃんの傍に居たかったんだけど、無事男の子が生まれたって聞いてほっとしたわ^^」

オレ
「ははは・・・」

玲子
「裕人や裕美の弟よ^^『裕蔵』いい名前ねっ」

オレ
「ありがとう(笑)」

オレは立ち上がって出る用意をした。玲子に車を借りて、そのまま芦屋駅前に行った。花屋によりバラの花束を2つ作ってもらい。ひとつを車に置いた。

▼13時・・・芦屋「ブラームス」

いつものようにサングラスをかけたまま店に入った。店内を見渡した。満席に近かった。オレは奥のカウンターに近寄った。すでに洋子はオレを認めていて、こっちを向いて微笑んでいた。

オレ
「ただいま^^」

洋子
「おかえりっ^^」

オレはバラの花束を渡した。洋子はそれに顔を近づけた。そしてオレと軽く抱擁を交わした。

カウンターに居た常連客に注目されていた。オレはカウンター席に座った。

オレ
「なんとか間に合った(笑)」

洋子
「うん。年内はここも今日までなの」

オレ
「そっか^^オレは、これから大忙しだ」

洋子
「神社の宮司だもんね^^お正月は稼ぎ時でしょ?」

オレ
「ははは^^そうだ。稼ぎ時だった(笑)」

洋子は珈琲にフレッシュミルクとブラウンシュガーが少量入れた。スプーンを使いオレの前に置いた。

オレ
「24日に子供が生まれた」

洋子
「うわーそうなんだっ!どっち?」

オレ
「男だ(笑)」

洋子
「そう^^良かったわねーおめでとう!」

オレ
「ははは・・・洋子は年末年始は?」

洋子
「実家でゆっくりしようと思ってるわ」

オレ
「そっか。年が明けたらまた東京へ来いよ」

洋子
「うん。^^」

オレ
「じゃー行くよ!」

洋子
「あっ私も出るわ」

オレは洋子と一緒に店を出た。洋子は先に部屋に戻った。そしてオレに必ず部屋に来るように言った。

オレは車で芦屋霊園に行き、キョーコのおかーさんの墓参りをした。バラの花束を置き、手を合わせて子供が無事生まれた事を報告した。

芦屋の高台に広がる霊園。眼下に街が広がって見える。木枯らしが吹き少し雪がちらついてきた。オレは車に乗り六麓荘の自宅に戻った。

■12月30日・・・

前野
「龍斎宮司さま。この度はお許しを頂きありがとうございました。これからは藤原神社の氏子、崇敬者として精一杯努めさせて頂きますので、どうぞよろしくお願い申し上げます」

オレ
「こちらこそ、よろしくお願いします」

北浦
「あらためて私も藤原神社、隆盛のために微力ですが精一杯勤めさせて頂きます」

オレ
「はい^^どうぞよろしくお願いします」

土岐
「龍斎宮司、この間の氏子、崇敬者の会議で私の事務局長退任の挨拶もすみましたので、本日を持ちまして新しい事務局長である北浦さんに次をお願いしたいと思います」

オレ
「そうですか。長年に渡り事務局長の大役をありがとうございました」

土岐
「これからは、ひとりの氏子として藤原神社とお付き合いさせて頂きますので、どうぞよろしくお願いします」

オレ
「こちらこそ、どうぞよろしく^^」

香川
「龍斎宮司。私も本日付けで氏子総代を退任する事になりました。次代は、重富さんにお願いしようと思っておりますが、よろしいでしょうか?」

オレ
「はい。氏子、崇敬者の皆さんの総意と伺っております。私に異存はありません。重富さん。どうぞよろしくお願いします」

重富
「龍斎宮司。氏子総代として、益々の藤原神社隆盛のために微力を尽くしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます」

「香川さん。お疲れ様でした。これらも氏子としてどうぞよろしくお願いいたします」

年末の大掃除が終わりそれぞれの離任の挨拶を受けた。藤原神社の慣例として、宮司が継承された場合、氏子総代、社務長、事務局長等も入れ替わるようになっているらしい。そして前任者は氏子、崇敬者会の顧問として活動する事になるようだ。

廊下の外が騒がしかった。襖が開けられ男がひとり入って来た。そしてオレの正面に座ってオレを睨みつけるように見た。


「ふんっまだ若造じゃないか!15代だと?ワシは聞いておらんぞ!」

北浦
「藤堂さん。ご無沙汰しております。

第15代の藤原龍斎さまです。龍斎さま、こちらは藤堂家の当主の・・・」


「ワシが14代藤堂鐘虎だ。ワシの居ない間に15代を決めてしまうとは、勝手が過ぎるな北浦」

北浦
「いえ。正式な手続きを終えすでに15代として継承式も済ませています。藤堂様のご不在は関係ございません」


「芳江さんが亡くなった責任。北浦、お前がとるのか?」

北浦
「この席でそのような事を言われましてもお答えできません。」

オレ
「藤堂さんとやら、お引取り下さい。(笑)私も含めて、今全員があなたの事を不快だと思っています。これ以上下品なまねをされると藤原神社に出入りできなくなりますよ」


「なんだとっ!ワシを藤堂鐘虎を出入りさせないだと?(笑)若造。ワシはお前を15代とは認めておらん。出て行くのはお前の方だ」

男はオレを睨んだ。オレは薄笑いを浮かべていた。


「北浦、約束を破ったお前の罪は重いぞ!覚悟しておけ」

男はそう言って部屋を出て行った。暫く誰も口を開かなかった。

オレ
「今の人はなんですか?(笑)」

北浦
「宮司。申し訳ございません。

藤原神社の権宮司職にあたる藤堂鐘虎さまです」

重富
「ふむ。藤堂さんはご存じなかったのか・・・」

香川
「その事は最早関係ありませんな」

重富
「しかし・・・」

オレ
「その権宮司って何です?」

北浦
「宮司の次に位置する方です」

オレ
「今の無礼者が?」

重富
「確かに無礼ではありますが・・・ここ3代ほどはずっと藤堂家から物心両面で支えてもらって藤原神社は成り立って居ましたから」

オレ
「そうですか。今後は必要ありませんから」

重富
「いや、それは・・・」

オレ
「それではよろしくお願いします」

オレは席を立って、社殿の隣にある母屋に入った。内部の改装工事が終わり宮司の部屋も一新された。

オレは部屋に入った。高瀬が一緒に入って来た。奥の部屋で正装を解き、白の狩衣に着替えさせられた。

電話が鳴った。高瀬が出た。

高瀬
「松井さんと横山さんがお邪魔してよろしいでしょうか?と」

オレ
「どうぞ」

暫くすると、廊下から声がかかった。高瀬がドアを開けて彼らを招き入れた。もうひとり北浦氏が一緒にいた。オレは手前の部屋のテーブルの前に座った。

北浦
「宮司。先程は申し訳ありませんでした」

オレ
「・・・」

松井
「重富氏子総代はさっきの男に遠慮があるみたいですけど?」

北浦
「藤堂家はそもそもは藤原家の分家でした。そして藤原家に男子が居ない場合、藤堂家から養子を迎える事になっていました」

横山
「じゃー本来であれば、15代は藤堂家から・・・の予定だったのですか?」

北浦
「はい。しかしそれを14代が良しとしなかったのです。

最大の理由は、藤堂家の次男の孝雄さんと美樹さんを結婚させて、それぞれ15代宮司、13代巫女姫とする事に反対されていました。

能力を持つ美香さんを巫女姫にして、その伴侶を別に迎えて宮司になってもらおうというのが、14代のお考えでしたから

しかしそれは、芳江さんの手前表もあり表立っての理由にできませんでした。

藤堂家はこの川越では有力な事業家です。ホテル。旅館など県外にも数件持ち、バス、タクシーなどの旅客交通事業も経営しており、藤原神社にも毎年大きな額を寄進していただいておりました。

重富さんは、造り酒屋ですが藤堂家からの援助によってなんとか成り立っている現状のようで・・・藤堂家にはお世話になっていると言う気持ちが働いているのでしょう」

オレ
「高瀬家と藤堂家の関わりは?」

北浦
「・・・気が付かれましたか。

藤堂の考えでは、次男孝雄と美樹さんがそれぞれ継承して、高瀬さんに美樹さんをサポートさせようと考えておりました。

高瀬さんは正式に藤堂家が宮司となれば協力すると約束されていました」

横山
「高瀬さんがどうして関係してくるんです?」

北浦
「高瀬さんは・・・能力をお持ちですから」

松井
「何でそんな複雑な関係に・・・」

オレ
「くだらない。。。

じゃーこうしよう。オレは3年で宮司を引退する。16代は藤堂にでもやらせてやればいい。

今年の年末年始はこのまま宮司をやるが、それ以降は神職だけで運営してくれ!オレはもう関知しない。」

北浦
「そんな事はダメです!!!」

オレ
「ダメもクソもない。死人まで出てるんだぞ?これ以上の確執はまっぴらだ」

横山
「ムーさんが宮司を引き継ぎずっとその使命を全うする前提で、小佐野さんは私財を寄付されたんですよ」

松井
「ムーさんが宮司を止めたら美香さんも巫女姫を止めると思いますよ」

オレ
「なんだ?お前らはオレがずっとここで宮司をやる方がいいと思ってるのか?」

松井
「はい。安全ですし、似合ってますから(笑)」

横山
「あんなおっさんにくれてやるのは我慢なりませんね」

北浦
「なんとか、お願いします」

オレ
「条件がある。」

北浦
「なんでしょうか。。。」

オレ
「ここの食事をなんとかしてくれ!それからオレの身の回りの世話係はいらない。自分の事は自分でやるから」

北浦
「食事の件は・・・なんとかします。でも高瀬家からのお世話係は・・・まず無理かと」

オレ
「なんで?」

北浦
「あの家にも藤原の血を代々継承するしきたりになってますから」

オレ
「あのさーオレは全然関係ない外部の人間だぞ?15代になったけど、藤原の家の血とはまったく関係ないじゃないか」

北浦
「いえ。たぶん関係あります。

14代も『武藤』という名前に何かしら感じるものがあったようです。藤原の子孫で、関東武者の雄が『武藤氏』ですから」

オレ
「世の中に武藤という苗字はたくさんある(笑)こじつけだ」

北浦
「それにあなたは『龍の男』ですから」

オレ
「またそれか・・・」

北浦
「どうかよろしくお願いします」

オレ
「横山。風呂はもう温泉になったんだよな?」

横山
「はい。湯は捨てるほど出てきますからいつでも入れますよ^^」

オレ
「あははは^^それだけが楽しみだ」

それからオレは婦人会の方たちを労い。一緒にお茶を飲んだ。地元の方たちで年齢はさまざまだったが、50代の女性が多いようだった。オレは少しおちゃらけてサービス精神を発揮した。

敷地だけで1万坪以上ある藤原神社だったが、建物は神殿と母屋だけがあるシンプルな神社だった。

そこに道場と宿泊施設を建て、そして温泉を掘った。少しはこれで地元も人も集まるだろうと第1段階の活性化プランが始まった。

▼18時・・・宮司室

高瀬が夕食を運んできた。一汁一菜の質素な食事。神事の前の食事はそういう決まりになっているらしい。さっき北浦はなんとかすると言ってたけど、さすがにすぐには変わらないようだ。

オレ
「ははは・・・それにしてもシンプルだなー(笑)」

高瀬
「明日から5日までは、体の内部から清めて頂く意味もありますので・・・」

オレ
「あっそう。。。」

高瀬
「お神酒はご遠慮なくお申し付け下さい」

オレ
「じゃーソレお願いします^^」

高瀬
「はい」

あくまでも高瀬は笑顔を見せず静かに対応する。オレは高瀬が笑い転げる顔を見たいと思ったが・・・ここでは無理なようだ。

オレは夕餉をあっという間に食ってしまった。後は酒でも飲んで寝るしかない。

松井や横山は、宿泊施設の方で「桜井」の厨房スタッフの食事を楽しんでいることだろう。

高瀬が持ってきたお神酒は、冷酒だった。膳に乗せられた朱色の杯で高瀬が注ぐ酒を受け飲んだ。

オレ
「高瀬さんもどう?」

高瀬
「いえ。私は・・・」

オレ
「そういわずに一杯だけ^^」

高瀬
「・・・」

オレは自分の杯を高瀬に渡して、酒を注いだ。高瀬はそれを3度で飲み干した。そしてそれを膳の上に置いた。

オレ
「六本木にうちの店があるんだ。今度1度おいでよ^^」

高瀬
「機会がありましたら」

オレ
「ははは・・・そうだな」

オレは杯を持った。高瀬は酒を注いだ。オレはそれを口にした。

オレ
「今日、婦人会の方々と会ったけど、高瀬のおかーさん。とんでもない美人だなー^^それに若いしびっくりしたよ」

高瀬
「婦人会の会長にして頂く事になり、ありがとうございました」

オレ
「そうなんだ?オレは全然関知していないから知らないんだけど、それはやっぱりいい事なのかな?」

高瀬
「はい。いい事に決まってます」

オレ
「それにしても親子でご奉仕してもらってなんか悪いなーって思うけど」

高瀬
「龍斎様は何もご存知ないのですか?」

オレ
「はて?なんでしょう?」

高瀬
「藤原神社と高瀬の家の関係です」

オレ
「どんな関係があるんでしょう?」

オレはさっき北浦氏から簡単に説明は受けていたが、再度高瀬本人から話を聞こうと思った。

高瀬
「高瀬の家は、代々藤原家の分家として存在しております。今の母が高瀬家12代の当主です」

オレ
「そう。由緒ある家柄なんだ?当主というと、おとーさんはすでに亡くなられたのかな?」

高瀬
「・・・高瀬家は女系の家ですから、男は居ません」

オレ
「じゃー養子を迎えるって事なんだ?」

高瀬
「いえ。子孫は藤原の当主からお情けを頂いて・・・」

オレ
「えっ!どういう意味なんです?」

高瀬
「私の母は、巫女として藤原神社にあがり、14代龍斎さまから子供を授かりました」

オレ
「なっ!なんだー?じゃー君は先代の子供なのか?」

高瀬
「・・・はい」

オレ
「それじゃー美香や美樹と異母兄弟、いや姉妹なんだ?」

高瀬
「血筋はそうですが、あくまでも私は高瀬の家の者です」

オレ
「あらら・・・そう言えば、君のおかーさん。異能だな」

高瀬
「・・・」

オレ
「君は?」

高瀬
「私には・・・ありません」

オレ
「そうか。そういう意味では先代の奥さんとも確執があったんだ?北浦さんとも何かしら関係が深かったんだろうな」

高瀬
「祖母が亡くなる前に予言めいた事を言って、母はそれを信じていました。

藤原神社に龍がやってくる!と、龍の子を産んで初めて高瀬の家は昔のように繁栄すると・・・」

オレ
「なるほど・・・そういう事か」

まるで何処かで聞いた話が繰り返されているような気がした。オレはそれだけでもううんざりしていた。

オレ
「でも、君はそんな事を本当は望んでいないだろう?」

高瀬
「いえ。望んでいます」

オレ
「そうか?ちょっと着飾って六本木を歩けば、すぐに男たちから声がかかり、プロダクションからスカウトされたりしただろう?

世の中、楽しい事はいっぱいある。家に縛られずに自分の人生を好きなように生きたいと思うだろう?」

高瀬
「・・・」

オレ
「いい男を見つけて結婚しろ(笑)」

高瀬
「ダメです。龍斎さまにお情けを頂いて、女子を産むのが私の使命ですから・・・」

オレ
「オレは種馬か?(笑)」

オレは高瀬に部屋を片付けてもらった。すでに奥の部屋には布団が敷かれていた。オレは狩衣を脱いで寝巻きを着てそのまま布団に入った。少しの酔い。すぐに眠りについた。

廊下の人の気配・・・美香がやってきたのがわかった。オレは起き上がりドアをロックをはずした。

美香
「すみません。遅くに(笑)」

オレ
「いいさ。腹が減って眠れなかったし(笑)」

美香
「そう思って差し入れを持ってきました^^」

オレ
「よし(笑)じゃー入れてやる」

オレは美香を部屋に招き入れた。手前の部屋の灯りをつけた。美香は紙袋から重箱を出した。おにぎりに卵焼きとたらこが入っていた。

オレ
「おっ!すげー^^ありがとう」

美香
「お茶入れますね」

オレ
「いただきまーす」

オレは箸も使わずにおにぎりを手で掴んで食べた。そして美香はポットを出して熱いお茶を入れてくれた。

オレ
「婦人会の人に頼んでくれたのか?」

美香
「私がつくりましたっ」

オレ
「おお。そうか^^それはそれは」

美香
「おにぎりぐらい誰だってつくれます」

オレ
「ふむ。(笑)」

オレは美香がつくったというおにぎりをしっかり食った。

オレ
「それにしてもここの食事はもう少しなんとかならないのかなー?」

美香
「いいじゃない。こうして内緒で持って来てあげるから(笑)」

オレ
「何か悪い事しているようで後ろめたいじゃないか?」

美香
「その方がちょっとスリルがあっていいわ」

オレ
「高瀬に見つかったら怒られるだろうなー(笑)」

美香
「そうね^^」

オレ
「同じ年の姉妹なんだって?」

美香
「婦人会の高瀬さん。おかーさまに聞いたの?」

オレ
「ああ」

美香
「おかーさま。美人で色っぽいでしょう?」

オレ
「うん。ぞくぞくした(笑)」

美香
「ダメよー!ユーちゃん(ーー;)」

オレ
「あー何がユーちゃんだっ!宮司と呼べ龍斎宮司と(笑)」

美香
「ふたりの時は恋人同士だからいいじゃない!だからユーちゃんなの!」

オレ
「ほー^^いつからそういう関係になったんだ?」

美香
「意地悪ねー(ーー;)愛がないとセックスしないって言ったのはユーちゃんでしょ!愛があるからしてくれたんでしょう?」

オレ
「さてと、ごちそうさまでした^^」

美香
「どうしたしまして^^」

オレ
「高瀬のおかーさん。ここであの能力を使ってないのか?」

美香
「長い間。ここにはおばーさまがいらして、一切を取り仕切って居ましたから・・・そういう機会はなかったの」

オレ
「そっか。その後はどうして手伝ってもらわなかったんだ?」

美香
「芳江さんとは犬猿の仲だったから・・・」

オレ
「そっか。美香は藤堂家と関わりを持たなかったのか?」

美香
「あの家は自分たちだけの欲望で生きているような人たちばかりよ!絶対に嫌!」

オレ
「まー多かれ少なかれそういうものだけどな・・・でもあのオッサンは下品だ」

美香
「そう^^そーなのよ!下品なのよ(笑)」

オレ
「まー家同士の付き合いが断ち切れないのなら、うまくやってくれよ!オレは関係ないんだから(笑)」

美香
「そんな風に言わないでーユーちゃんはもう藤原家の当主なんだから」

オレ
「宮司になっただけだろう?」

美香
「イコール当主で、私を自由に出来るのよ^^」

オレ
「あははは・・・どうぞご自由にやって下さい。オレはもう寝るっ」

美香
「はい^^」

オレは立ち上がって奥の部屋に入った。美香が同じように入って来た。

オレ
「美香は自分の部屋で寝なさい!」

美香
「いいえ。当主の伽をするのは、私の重要な役目ですから」

オレ
「それは・・・高瀬の役目じゃないのか?(笑)」

美香
「ダメです。私が先です。恋人でもあるんですから!」

オレ
「・・・」

美香
「私の処女を奪ったのに」

オレ
「なんでその年まで処女なんだか・・・(笑)」

美香は先に布団に入ってしまった。オレは仕方なくその中に入った。そして儀式的にセックスをした。

翌朝、早くに美香は自分の部屋に帰っていった。

こうして、オレは生まれて始めての経験。宮司として神社で年末年始を過ごす事になってしまった。それはまったくこれまで予想もしていなかったことで、自分自身どうしてこんな事になってしまったのか?戸惑いながらも成り行きに身を任せながら自分の運命の不思議を感じていた。

もっとも、それ以前に意識だけで何処にでも自由に動ける不思議を経験してからは、何もかも運命として受け入れるようにはなってきたいたのだが・・・

こうして86年はまだまだ問題を残しながら暮れていった。



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動画で 三好鉄生を 聞いています。涙を拭いて 夕陽に向かって 最高ですね。ビールを廻せの 歌詞は 面白いですね。音楽同好会(名前検討中
| 村石太レディ&マツダ | 2011/10/22 9:10 PM |










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