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サファイアの星


東京スカパラダイスオーケストラ「サファイアの星」

スカパラのボーカールバージョン第2弾!
1987年4月---------

4月20日・・・藤原神社

オレ
「ひとーーーつ」

「ふたーーーつ」

「みっーーーつ」

オレは大声を上げながら井戸水を真っ裸になって頭から被っていた。7杯被って終わりした。そしてそのまま縁側から屋内に上がった。

すぐに高瀬がタオルで体を拭いた。オレは自分で髪を拭いた。まだ疵のところはデリケートで少しそこにあたるだけでも痛みが走った。

腕の方はすでに表面的には治っていたが、再度の手術が必要だった。そして胸の疵はすっかりと治っていた。

高瀬
「こんなに疵が残って・・・」

オレ
「何年かしたら小さくなっていくだろう(笑)」

高瀬
「・・・」

高瀬はオレの下半身を拭いた。すぐにオレのモノは大きくなった。褌をとってつけようとしてくれた時にオレのモノが高瀬の顔に当たった。

オレ
「あっごめん。。。」

高瀬
「いえ」

高瀬はもう顔を背ける事なく、オレの体の前にしゃがんで褌をつけてくれていた。ついついオレは妄想してしまう。

そして白の狩衣を着せてもらって、拝殿横の部屋に行った。

オレ
「お待たせしました」

その場に居た男たちは一斉に頭を下げた。そしてその中のひとりが少し前に出て話し始めた。

土岐
「まずは龍斎宮司が復帰なされて神職、巫女、事務職それぞれ安堵しております。また先般の例大祭の折には宮司自ら多大なご寄進を頂き、本当にありがとうございました。

さて、おいで頂いた早々で大変恐縮なんですが・・・緊急事態が発生しております。」

オレ
「はい。何でしょうか?」

土岐
「先般、引継ぎ交代したばかりの事務長の北浦氏が・・・失踪されました」

オレ
「ふむ」

土岐
「ふだんは銀座で宝石店を営んでおられたはずですが、店をたたんで自宅からも家財道具一式が無くなり誰にも何も言わず失踪したようなのです」

オレ
「そうですか」

土岐
「どの様な理由からそうなったのかわかりませんが、このままでは藤原神社の運営にも支障が出ると思い、新しい事務長を選任したいと思うのですが、いかがでしょうか?」

オレ
「北浦氏の事は心配ですが、仕方ないですね」

土岐
「ありがとうございます。つきましては事務長には、米田氏にお願いしたいと思っているのですが、いかがでしょうか?」

オレ
「私に異存はありません。」

いちいちご丁寧な説明と儀式めいた手順にオレはうんざりしていたが、まじめに我慢してそれに応えていた。

米田氏が前に出てきてオレに挨拶をした。オレは笑顔でそれに対応した。そして、辞任届けを出した氏子総代の重富氏の後任に、坂下氏が理事会で承認を得て次の総代に決まったようで、その承認をオレに求めてきた。

オレは笑顔で承諾した。そして坂下氏がオレに丁寧な挨拶をした。

それらの認証式が終わった後、前事務長の土岐氏があらためてオレに向き直り話しはじめた。

土岐
「龍斎宮司。秋の例大祭の後、宮司が引退されると聞きました。そして藤原神社が神社庁の支配を受け、そこから新宮司が派遣されると言うのは本当ですか?」

オレ
「はい。本当です」

土岐
「そうなったら、藤原神社は藤原神社でなくなってしまいます。どうか、氏子会、崇敬者会、の総意を持って15代龍斎宮司に引き続きお願いしたいと思い理事一同と共に集まった次第です。何卒、藤原神社をお守り下さいますよう伏してお願い申し上げます。

そう言って土岐氏は手を付き深々と頭を下げた。同時に氏子会の理事15人もそれに習って手を着き頭を下げた。

オレ
「どうか手を上げてください。私の話を聞いてもらえませんか?」

男たちはゆっくりと頭を上げた。

オレ
「例大祭に出席できなかった事、申し訳ございませんでした。私はその頃・・・大怪我を負っており、また自分の父親の看病も含めてそちらを優先して例大祭に出ませんでした。

すでにその時に宮司を退くつもりでおりましたから・・・そしてその事を先代に相談した際に、このような混乱が続き15代も続ける気がないのであれば、神社庁の傘下に入って藤原神社を存続させようと言う話になりました。

ですからこれは私の一存ではなく、先代の龍斎宮司のご希望もあってそうする事に決めた次第であります。」

土岐
「宮司が銃で撃たれ危うく命を落すところだった事は聞いております。それが15代を継いだ事に起因する事も聞いております。

しかし、私どもは15代龍斎宮司の他には藤原神社を守っていける人は居ないと思っております。どうかお考え直して下さい。

藤堂家の権宮司も辞任したしました。

これからは15代のお考えを最優先して氏子会一同協力させていただきますので、どうかご再考を・・・」

オレ
「私は・・・ほとんど不在になるでしょうし、役立たずですよ?」

土岐
「構いません。年に1度だけ1週間だけ来ていただければ、それで何も問題はありませんから、よろしくお願いしたします」

「よろしくお願いいたします」

男たちが一斉にまた頭を下げた。

オレ
「わかりました。では、そのようにさせて頂きます。。。」

オレはもうそれ以上何も言う気が起こらなかった。彼らはオレがウンと言うまで頭を下げ続けるつもりなのだろうと思った。そして年に1度、1週間だけなら・・・と思い。妥協してしまった。

オレは立ち上がって部屋を出た。すぐに高瀬がついて来た。オレは母屋の方へ行き2階の宮司室に入った。そしてテーブルの前に座り、仰向けに寝そべった。背骨が音を立てて鳴った。

オレは上半身を起こしてテーブルの前に胡坐をかいて座った。

高瀬
「ありがとうございました」

オレ
「ん?」

高瀬
「宮司を続けていただける事になって・・・安心しました」

オレ
「あっそう。。。」

廊下から声がかかり美香が入って来た。

美香
「宮司。お話があります」

オレ
「うん」

高瀬が部屋を出て行った。

美香
「ムトーさん。叔父がムトーさんを・・・申し訳ありませんでした」

オレ
「美香が謝る事じゃない。オレの方こそ美香に何も知らせる事が出来なくて申し訳なかったと思ってる」

美香
「・・・」

オレ
「そんな事もあって、オレは引退しようと思っていたんだけど・・・さっき続けるようにお願いされて、断りきれずに続ける事になってしまった」

美香
「ムトーさん。私は・・・辞めます」

オレ
「えっ?」

美香
「氏子会の方々や藤原神社にお参りに来て下さる地元の方々に、なんと言ってお詫びしていいか・・・辞める事で責任をとりたいと思います」

オレ
「それはダメだ。オレがせっかく残る決心をしたのも・・・美香にこれまで通り続けてもらいたいと思ったからなんだぜ」

美香
「藤原神社は地縁、血縁で結ばれています。すでにもう叔父の事は広まっているでしょう。私はこれ以上は・・・無理です」

オレ
「ダメだ。承知しない」

美香
「ムトーさん。。。」

オレ
「オレと同じように暫くは不在でいいじゃないか?オレなんか年に1度、1週間だけ出てくれればいいと言う条件で残ることにしたんだ。美香がどうしても残るのがつらいと言うなら、そんな風に年に1度でいいじゃないか」

美香
「でも私の役目は日々の相談ごとですし、年に1度では通りません」

オレ
「日々の相談は「純子」が手伝ってもいいと言ってくれている」

美香
「・・・」

オレ
「それに藤堂家が寄進を申し出てくれて、美香、美樹、美穂の3人は藤堂観光の非常勤役員に招聘される事になってる。ちゃんと報酬が出るから何も心配せずに自由に生活ができる」

美香
「私・・・そんなに何もかもしてもらって」

オレ
「余計な事を考えずに言う事聞いてろ(笑)」

美香
「うわーーー」

美香は顔を手で覆うようにして大きな声で泣き出してしまった。オレはテーブルの向こうにまわり美香を抱き寄せて背中を撫でてやった。暫くそうして泣き止むのを待った。

オレ
「お前の処女をもらったしな・・・心配せずに甘えろ(笑)」

美香
「あーユーイチさん」

美香は抱きついてきた。オレは美香を抱きしめた。美香の匂いを嗅いでオレはほっとした。

廊下の外から声がかかった。美香がオレから離れた。そして婦人会の会長の高瀬さんが入って来た。

高瀬
「お取り込み中のところ申し訳ございません。宮司にお話があって参りました」

オレ
「はい」

美香が高瀬さんに挨拶をして部屋を出て行った。

高瀬
「この度は宮司を続けていただける事になり本当にありがとうございます」

オレ
「いいえ」

高瀬
「また。藤堂観光から美穂が非常勤役員の待遇で迎えられると聞いて、驚いているところです。」

オレ
「そうですか」

高瀬
「藤堂観光は・・・宮司個人の所有になったと聞きました」

オレ
「はい」

高瀬
「私まで株主という立場で厚遇してもらってなんとお礼を言っていいか・・・本当にありがとうございます」

オレ
「藤堂家の好意でそういう事になりました。一応形の上では私が預かる事になってますが、それは藤原家と高瀬家の共同所有という形にしたいと思ってます」

高瀬
「そうですか。そこまでお考えになってくださって・・・」

オレ
「そういう事で、どうぞよろしくお願いします^^」

高瀬
「とんでもない。こちらこそどうぞよろしくお願いします」

高瀬さんはその場に手をついて深々と礼をした。そして部屋を出て行った。オレは立ち上がって窓の外を見た。警備の人間の姿が見えた。そしてその北側には新しい施設が完成していた。

施設の向こうには竹林が大きく広がっていた。

廊下から声がかかり松井と横山が入って来た。オレはテーブルの前に胡坐をかいて座った。

松井
「お疲れ様です^^」

横山
「やっぱりムーさんその姿。サマになってますよ^^」

オレ
「ふんっ!どうせお前らも氏子会のジジーたちと企んでいたんだろう」

松井
「さー何の事やら?(笑)」

横山
「年に1度、1週間ですからいいじゃないですか(笑)」

オレ
「ったく。。。」

松井
「宿泊施設も、露天風呂も完成しましたし、頻繁に来ても楽しいと思いますよ^^」

オレ
「まーな(笑)」

横山
「小さな露天風呂も貸切り用に3つありますから^^」

オレ
「うん。理恵、洋子、純子らも遠慮なく入れるな(笑)」

松井
「理恵ママの喜ぶ顔が早く見たいですね^^」

横山
「そーですね^^」

オレ
「ははは・・・」

その後、美樹がやってきて同じようにオレに礼を言った。オレは巫女を続けるのもいいし、好きな事をするのもいいと美樹に言った。美樹は初めてオレの前で笑顔を見せた。そして暫く外国へ行ってみたいと言ったので、オレはニューヨークとパリを薦めた。

同時に神職の大見氏に権宮司に就任するようにお願いした。大見氏は驚き最初は辞退したが、神職の責任者としての権宮司として要請すると、喜んで引き受けてくれた。そして神職を増員して6名体制で行うように指示した。

こうして藤原神社にまた平穏が戻り、新しい時代に相応しい設備や施設も整い独自の神社として再スタートをきる事が出来た。


■4月25日・・・白金台「自宅」


オレは門の前のインターフォンを押した。


「はい」

オレ
「ムトーです」


「はぁ〜〜〜い」

オートロックの鍵が開く音がした。オレは門の隣のドアを開いて中に入った。そして玄関口まで歩くと、玄関が開いてキョーコが出てきた。オレは玄関前でキョーコを軽く抱いた。そして家の中に入った。

広い玄関は2階まで吹き抜けになっていて右手には2階へ続く階段があった。オレはキョーコの後について、廊下を曲がりその先のドアの向こう側の部屋に入った。外光が射す明るいリビングだった。

沙耶
「おかえりー^^ユーちゃん」

沙耶はソファから立ち上がってオレの方に近づき、軽く抱擁を交わした。

紗也乃
「お帰りなさい^^ユーちゃん」

裕子
「おかえりー♪ユーちゃん」

オレ
「ははは^^女の園に入ったようでなんか照れくさいなー(笑)」

キョーコ
「ちゃんと裕蔵も居るわよ^^」

ソファの横にまるでスーパーのカーゴのようなベッドに裕蔵は居た。覗き込むと彼は眠っていた。

裕子
「ゆーぞーはミルクを飲んで今眠ったところなのよ」

オレ
「そう^^ミルクは誰があげたんだ?」

裕子
「私よ^^沙耶ちゃんとじゃんけんして勝ったの」

オレ
「ははは^^裕子はじゃんけん強いんだ?ゆうぞうはいいなー皆に可愛がってもらって」

裕子
「うん^^」

オレはソファに座った。キョーコが珈琲を入れて持ってきてくれた。裕子がフレッシュミルクだけを入れてスプーンを使いオレの前に置いた。

オレ
「ありがとう裕子^^」

裕子
「どういたしまして^^」

紗也乃
「裕子ちゃんもすっかりおねーちゃんね^^」

沙耶
「だってこんなに可愛い弟が出来たんだもんねー♪」

誰もが小さい赤ん坊が家に居る事で、それだけで明るく楽しげだった。オレは今日始めてこの家に入った。キョーコに部屋を案内してもらいながら、ひとつひとつを観察した。

芦屋の家も赤坂の家も元々ある家を改築して住みやすい様にアレンジしたが・・・この家は家族構成を考え1から設計をした始めての新築だった。

どれもが新しく、洗練されたつくりになっていて、これまでの家の集大成としてそれは満足できるものに仕上がっていた。

オレは1階のリビングに戻った。

裕子
「ねーユーちゃん。お風呂見てくれたー?ジェットバスって言うのよー面白いのよー」

オレ
「そう?普通のお風呂じゃないのか?」

裕子
「ふふふっ^^今日一緒に入る?面白いことしてあげる」

オレ
「へーどんな面白い事があるんだ?」

裕子
「それは入ってからのお楽しみよ^^」

オレ
「そっかー裕子と一緒にお風呂に入れるのかー嬉しいなー^^」

キョーコと沙耶は我慢しきれずに大笑いしていた。紗也乃もつられて笑っていた。

オレ
「ははは・・・なんかちょっとドキドキしてきた(笑)」

裕子
「どうして?ユーちゃん恥ずかしいの?^^」

オレ
「あはははは^^そう。ちょっと恥ずかしいかも!あはははは(笑)」

紗也乃は桜井に出ると言い、沙耶は仕事の打ち合わせの後、クォーリーオフィスに行くと言って紗也乃と一緒に家を出た。キョーコは裕子をピアノのレッスンに車で送っていった。

リビングでオレと裕蔵のふたりだけになった。

芦屋の自宅とも違う赤坂の自宅とも違う新しいこれからの家。まるでいくつもの人生を同時に生きている。そんな自由で少し後ろめたい不思議な気分につつまれていた。

それは単に女の部屋に泊まるというこれまでのスタイルとは違ったおかしな感覚だった。

玄関の開く音が小さく聞こえた。そしてキョーコが帰ってきた。オレの隣に座った。

オレ
「色々心配かけたな?」

キョーコ
「そーよ!もうほんとに心配してたんだから・・・でも沙耶も居たし紗也乃さんも色々教えてくれたし、みんなで励ましあって待ってたのよー」

オレ
「葬儀の時も話せなかったしな」

キョーコ
「それは仕方ないわ・・・ユーイチも大変だったでしょう」

オレ
「オヤジは最後までオレがフラフラしてる事を心配してたみたいだ」

キョーコ
「そう。でもユーイチはフラフラなんかしてないわ

たくさんの仲間たちの事を考えて・・・私たちも含めて背負ってるものが大きいから苦労してるのよ」

オレ
「嬉しい事言ってくれるなー^^」

キョーコ
「ユーイチ。これからは東京へ来て良かったと思えるように私たちも頑張るから」

オレ
「あはっ^^どう頑張ってくれるのかなー(笑)楽しみだ」

キョーコ
「こうなって、本当に良かったと私は思ってるわ」

オレ
「そう^^オレも良かったと思ってるさ。お前がオレの子供産むなんて・・・想像もできなかったよ」

キョーコ
「そうね。ずっと何処かで諦めてたのに、夢みたいよ」

オレ
「これからはもっともっと楽しい事がいっぱいあるさ^^裕子とふたりで風呂へ入れるなんてサイコーだよ(笑)」

キョーコ
「あはっ^^可笑しい(笑)」

オレはキョーコを抱き寄せた。そしてたっぷりとキョーコの匂いを嗅いだ。2階の寝室に入りキョーコと緩いセックスをした。そしてその日はこの家に泊まった。


■4月28日・・・南青山クォーリーマンション1Fカフェ


四方
「卒業式には行くんでしょう?」

オレ
「もちろんそのつもりだ^^」

四方
「私も行っていいかなー?」

オレ
「うん。よし一緒に行こう」

四方
「うわーありがとう^^」

オレは通りを見ながら四方と珈琲を飲んでいた。ゴールデン・ウィークが終わる5月の第2週はニューヨークのジュリアード音楽院の卒業式がある。ついにヒロミが卒様を迎える。

四方
「小佐野さんの弁護士だった人には藤原神社への寄進ということで、こっちの弁護士と会計士にお願いして処理してもらったけど、今の評価額で200億以上あるわよ?」

オレ
「そう」

四方
「あなたが代表になってるから、その方が節税になるのでいいんだけど、そのままでいいのかなー?」

オレ
「どうすればいい?」

四方
「有価証券がほとんどなんだけど、一度現金化して再投資した方が運用効率が上がると思うの

この間、一緒に行ったパーティーであなたに紹介してもらったアメリカ人やフランス人は、ほとんど投資家の人たちよ

そうしろ!って事なんでしょう?(笑)」

オレ
「そうだったか。あいつらソレが本業だったのか(笑)」

四方
「松村財団の資産運用は外資系の投資会社に依頼してるんでしょう?」

オレ
「ああ。ここんところずっと年に20%以上の運用利益を出している」

四方
「アレはどうするの?」

オレ
「スイスのアレか・・・どうしたらいい?」

四方
「運用すべきだと思うわ」

オレ
「そっか。じゃー何か考えてくれ(笑)」

四方
「了解(笑)」

オレは珈琲を口にした。ニューヨークの事が気になっていた。

オレ
「ヒロミが卒業したら、ヒロミママたちはニューヨークを離れるだろうな?」

四方
「そうね。前の手紙ではヨーロッパへ行ってみたいような事言ってたけど、日本に戻って来ないのかなー?」

オレ
「芦屋の実家は・・・もうないし、親父さんのところへヒロミだけが戻る可能性もないだろうし、日本に戻ってくるとしたらやっぱりこっちかな?」

四方
「それはそれでいいじゃない^^」

オレ
「そうだな」


▼11時・・・赤坂「桔梗の間」


岩崎
「昨日、小西を長崎から船で韓国に逃がしました」

オレ
「ありがとう。今回は迷惑かけて申し訳ない」

岩崎
「何をまたそんな(笑)うちはほとんど何もしてません。それに川越の小西一家を解散させて、うちの者を入れさせてもらいましたし、うちとしてはお礼を言わなければなならい立場ですよ^^」

オレ
「いや、川越にS会の直轄があるのはオレも安心だし^^」

岩崎
「ははは^^会長もそう言ってましたから、川越は粋のいいのを入れてます(笑)」

オレ
「会長にはまたあらためてご挨拶に伺いますので、よろしくお伝え下さい」

岩崎
「はい。ありがとうございます」

岩崎はそう言って部屋を出て行った。松井が駐車場まで送って行った。小西はS会が確保していた。そして純子と一緒に小西を尋問した結果、北浦氏から話を持ちかけられて、藤堂の長男に吹き込みそれを承諾させた。手付けとして1000万を受け取ったと言う。そしてアメリカに飛び紹介者を介して、襲撃依頼をしたと言う。

松井
「アメリカから手配がかかって、こっちの警察にも捜査要請が出ているようですね?」

オレ
「まっ小西は当分日本に帰って来れないさ。警察とヤクザの双方から手配されているからな(笑)」

松井
「えっヤクザの方はすでに確保したので手配は溶けたでしょう?」

オレ
「いや、今後も手配は有効だ」

松井
「じゃー石井さんたちには?」

オレ
「そっちには内緒で伝えてあるから、ムキになってないはずだ(笑)」

松井
「そうですか(笑)小西は当分どころか永久に日本に帰って来れないですね!北浦さんは・・・どうしているんでしょうね?」

オレ
「さー?もうとっくに日本を離れているかも知れないな」

オレは目の前の冷たいウーロン茶が入ったグラスを手に取り口にした。

松井
「田川がすっかり藤原神社にのめり込んでますけどいいんですか?(笑)」

オレ
「道場で毎日稽古をして、午後からは神職の勉強をしてるんだろう?いいじゃないか!暫く好きにさせとけ」

松井
「まーあいつが居てくれれば何かと安心ですけどね」

オレ
「アメリカに居ると、日本人と言う事をすごく意識させられる。そして自分が日本人でありながら、日本の伝統文化を何も知らない事を痛感するんだ。きっと田川もそんな風に思って藤原神社にムキになってるんだろう」

松井
「そうですか。警備の連中を連れて合宿してますけど、かなり厳しくやってるみたいですよ^^」

オレ
「ははは^^オレも左腕が治ったら藤原流やってみるよ」

松井
「鬼武藤が見れるんですね!楽しみにしてます(笑)」

それから紗也乃と松井の3人でそこで昼食を摂った後、オレは源と一緒に渋谷へ行った。平日の午後だと言うのに渋谷の街には中高生が多く居た。オレたちは待ち合わせの場所、マグドナルドに入った。

すでに相手は先に来て待っていた。

オレ
「よっ!お待たせ^^」

千賀子
「あっ私がちょっと時間があって早くついたから^^」

オレ
「紹介するよ!コーハイの「みなもと」だ。」


「初めまして^^源と申します。みんなからは「ゲン」と呼ばれてます」

千賀子
「前野千賀子です。よろしくお願いします」

オレたちは席に着いた。源はカウンターに行った。

オレ
「NYで襲われてからひとりでウロウロさせてくれないんだ」

千賀子
「その頭の疵がそうなの?もう大丈夫なの?」

オレ
「ああ。心配かけて悪かったな^^」

源がハンバーガーセットを2つ買って持ってきた。そしてポテトを千賀子の前に置いた。


「どうぞ^^」

千賀子
「あっありがとうございます^^」


「じゃームーさん。オレはあっちに居ますので」

オレ
「うん」

ゲンは自分のハンバーガーセットを持って離れた席に移動した。オレはハンバーガーを頬張った。

オレ
「そっちはどうだ?うまくやってるか?」

千賀子
「ぜんぜん面白くないっ」

オレ
「日常はそんなに楽しい事ばかりじゃないさ」

千賀子
「もう中2よ!ヒロの女になったっていうのに、まったく会えないなんて!」

オレ
「大きな声でそんな事言うな(笑)恋人とか彼とかもっと言い方があるだろう」

千賀子
「ううん。ヒロの女♪なのっ!」

オレ
「わかったから、小さな声で・・・」

千賀子
「誰に聞かれてもいいもんっ」

オレはカップに入ったコークを飲んだ。クラッシュアイスが入っていると飲みやすかった。

千賀子
「ディズニーランド一緒に行く約束は?」

オレ
「うん。じゃー連休明けに行こうか?」

千賀子
「連休はダメなの?」

オレ
「ニューヨークへ行く事になってるんだ」

千賀子
「・・・私も行きたい」

オレ
「遊びに行くわけじゃない。出張なんだ」

千賀子
「最後の1日とかだけでも一緒に居ようよー」

オレ
「じゃー千賀子はひとりでニューヨークへ来るつもりか?」

千賀子
「うん。ちゃんと調べて行く」

オレ
「海外へ行った事あるのか?」

千賀子
「子供の頃に1度だけ、家族でハワイに行った事あるわ」

オレ
「じゃー両親の許可をとれ!そしたら・・・」

千賀子
「そしたら?」

オレ
「いや、やっぱりダメだ」

千賀子
「嫌!そしたら行ってもいい!って言おうとしたんでしょ!」

オレ
「ああ。」

千賀子
「絶対に許可とるからねっ^^」

オレ
「それが最低条件だ」

千賀子
「うん^^」

それからオレたちは3人で安全そうなゲームセンターを探して、そこで過ごした。オレと源はナムコの格闘ゲームに夢中になった。

オレ
「源。このゲーム欲しいな?(笑)」


「あはっ^^こんなのが家にあったら大変ですよ(笑)」

千賀子
「どこがそんなに面白いのかしら・・・(-o- )/ 」

オレたちは仕方なくテーブルゲームの方へ行った。千賀子がコークを買ってきてくれた。

オレ
「おっサンキュー^^」


「ありがとうございます^^」

千賀子
「どーいたしまして(笑)」

オレ
「よく遊んだな^^」

千賀子
「そう?(ーー;)」

オレ
「という事で、いい子にして早く帰って両親の許可をとれ!」

千賀子
「せっかくの創立記念日でお休みなのよー」

オレ
「送って行ってやるから(笑)」

千賀子
「・・・わかった」

源の運転でオレたちはベンツに乗り込んで、成城の千賀子の自宅へ行き、家の前で千賀子を降ろした。軽く抱擁をしてオレはベンツに乗り赤坂の自宅へ戻った。

シャワーを浴びて着替えて居間に降りた。


「桜井から内線があり、お客さんが来ているみたいです?宮内さんと他3名とか」

オレ
「そう。じゃーちょっと見てくるよ」

オレは自室から桜井に内線をかけて紗也乃の確認した。そして自室からはなれに行き、そこから来客の待つ「桔梗の間」に入った。

オレ
「どうも^^いらっしゃいませ」

宮内
「突然お伺いしてすみません」

オレ
「あっきれいどころも引き連れて宴会でもしようと言うんですか?(笑)」

麻美
「待っててもなかなか来てくれないから押しかけてきたのよ!(笑)」

真鍋
「ご無沙汰しております」

オレはテーブルの前に座った。席を入れ替わるようにオレの隣に麻美が座った。廊下から声がかかり仲居の壱さんが酒と肴を持ってきた。オレたちはビールでカンパイした。

宮内
「この度は、北浦がずいぶんご迷惑をおかけしたようで・・・申し訳ございません」

オレ
「いえ。宮内さんらが気にする事ではありませんから」

真鍋
「そうは言っても子供の頃からの付き合いの人間ですから・・・」

麻美
「一体何があったの?断片的には聞いているんだけど・・・」

オレは藤原神社にまつわるこれまでの経緯を簡単に説明した。その上で北浦氏が藤堂家に加担して、藤原神社の資産を流用しようと計画していた事を伝えた。オレを狙った事は話さなかった。

宮内
「本業の宝石店は順調だと思っていたんだけど、色々あったんだな」

真鍋
「それにしても・・・夜逃げ同然に失踪してしまって一体何処に」

麻美
「やっぱりユーちゃんがニューヨークで襲われた事と関係あるんだ?」

オレ
「さー?たとえあったとしてももう終わった事だ(笑)」

オレはもうそれ以上はその事について話す気はなかった。そして藤原神社の宮司としてこれからもやっていく事を伝えた。暫く飲んで宮内さんと真鍋さんは帰った。麻美だけが残った。

オレ
「まだ飲み足りないか?(笑)」

麻美
「そうね^^ひさしぶりだもんっ(笑)」

オレ
「じゃー外へ飲みに行こう♪」

麻美
「んーーーわかったわ!じゃーちょっと替わった所へ行こうか?」

オレ
「おっ案内してくれるのか?」

麻美
「銀座とはまた違ったところよ(笑)」

オレ
「楽しみだなー(笑)」

オレは麻美と桜井を出た。通りまで歩いてタクシーを拾った。麻美は運転手へ新宿へ行くように言った。夜。もうオレにはそこが新宿のどの辺りか分からなかった。

EVに乗り麻美について店に入った。派手な音が聞こえていた。オレたちは薄暗い店内のボックス席に座った。ステージに効果照明があたりその中を女たちがトップレスで踊っていた。

暗転になりひとりの女がセクシーなダンスを踊って居た。そしてステージを降りて客席を回った。オレは女が近づく前にサングラスをかけた。女はオレ達の席の前で止まり、体をくねらせて踊った。

そしてステージに戻り、曲が変わり大勢の女たちが出てきてフィナーレとなった。そしてステージ脇にはけた。オレはサングラスを取り上着に仕舞った。

客電が付き明るくなった。

麻美
「どう?セクシーだったでしょう^^」

オレ
「ああそうだな^^」

麻美
「せっかくこっちに来て踊ってるのにサングラスしたりして恥ずかしかった?」

オレ
「ああ。恥ずかしかった」

男がやってきた。


「ユーイチ!どうした?よくここがわかったな?(笑)」

オレ
「あっ!満さん。」

オレは立ち上がった。麻美を紹介した。麻美も立ち上がり挨拶をした。麻美はオレの隣に座り、満さんはオレ達の正面に座った。

オレ
「いやー驚いたなー^^もしかして?」


「ああ。お前の事だからもう気付いてると思うが・・・オレが世話してる」

オレ
「そうでしたか。いやオレは安心しましたよ」

さっきのソロで踊っていた女がやってきた。


「ユーイチ。。。」

オレ
「おう^^元気そうでなりよりだ(笑)」

オレは立ち上がった。そしてマリーを抱いた。マリーの匂いを嗅いだ。懐かしかった。

オレたちは席に着いた。

麻美
「知り会いだったんだ?あー吃驚した(笑)」

オレ
「古い友人さ^^」

マリー
「そうね」

男がふたりオレ達の席に近づいてきた。


「田岡さん。こんなところで飲んでたんですか?期限は今日ですよ^^」

田岡
「客の前だぞ!引っ込んでろ!」


「いやー明日からこの店がうちのものになると思うと気になりましてね」

オレ
「おい。下品なおっさん。礼儀を知らないのか?」


「あーーーなんだ?」

オレ
「運の悪いヤツだな(笑)可愛そうに」


「へっ色男は金も力もないんだろう?引っ込んでろ(笑)」

オレ
「しょーがねーなー(笑)」

田岡
「ユーイチ!やめろっ!」

オレ
「あはっ^^大丈夫ですよ!話をするだけですから」

オレは立ち上がった。そして男の前に立った。

オレ
「銀座のムトーって言うんだ。明日お前の事務所に行くから黙って帰れ!」


「あははは^^銀座のムトー?えらいカッコイイふたつ名じゃねーか(笑)残念だがジュクじゃ通用しねえ!

それになこっちは3億の金を今日中に払ってもらう約束で待ってんだ。明日までなんてもう待てねーのさ!

わかったら色男は女の後ろにでも隠れてな!」

オレ
「顔だけじゃなくて頭まで悪いようだな。今時の色男はなー金も力もあるんだよ」

「そこに座って待ってろ!」


「ほー言ってくれるじゃねーかー恥かくだけじゃーすまねーぜ!」

オレ
「とりあえずお前みたいなチンピラじゃ話にならねーから責任者呼べよ」


「なんだとー!!!ジョーダンもそれぐらいにしとけよ!」

オレ
「お前らどこの組だ?」


「ここらあたりを仕切ってるところだよ」

オレ
「国粋会か・・・金払ってやろうっていう客に何をエラソーにしてんだ?それでもお前の組は博徒か?ぼんくらっ」


「・・・そうかい。あんたが3億耳をそろえて今日中に金払ってくれるんだな!」

オレ
「さっさと責任者呼べこのダボっ(笑)」

オレは席に座った。男ふたりのうちひとりが動いた。そしてもうひとりがテーブルに座った。

オレは麻美に耳打ちした。

麻美
「わかりました」

麻美は立って席を離れた。

田岡
「ユーイチ。いいんだ。今日でここは店じまいなんだ。気にするな」

オレ
「そうですか^^でじゃー最後に大きな花火上げましょうよ(笑)」

田岡
「何をする気なんだ・・・」

オレ
「ほらっ昔やったじゃないですか。本家でテツマンやってる途中に、オレが大三元上がったら、満さん笑って大騒ぎして、押入れにあった打ち上げ花火を庭に出てやったでしょう?」

田岡
「あはっ^^あははははは(笑)お前よくそんな事覚えてるなー」

オレ
「真冬に震えながら庭で花火やって、パーンって音がしたら、すぐに泊まりのヤツらが日本刀持ってかけつけてきたじゃないですか(笑)」

田岡
「おう^^チャカの音だと思って大騒ぎになったな(笑)」

オレ
「オレは次の日、カシラにこっぴどく叱られましたよ!朝飯抜きで庭掃除させられ・・・(笑)」

田岡
「懐かしいな(笑)」

麻美が戻ってきた。そしてオレの顔を見て頷いた。

オレ
「マリーなんだその顔は?泣いたら承知しねーぞ(笑)」

マリー
「はい^^」

オレ
「もう1度見せてくれないか?」

マリー
「うん」

マリーは立ち上がった。そして席を離れた。暫くするとダンサブルな曲が流れ、ステージ照明がつき、マリーのワンマンショーが始まった。これまでに見たこともないパワフルなダンスだった。曲がカットアウトで終わり照明が落ちた。

オレは拍手をした。まだ残っていた客も大きな拍手をしていた。

オレ
「ダンスも進化してる^^」

男たちが店に入ってきた。そしてこっちの席に近づいてきた。もう一組。その後ろから松井と警備チームがやってきた。


「銀座のムトーさん。ですか?」

オレ
「ああ。そうだ」


「うちの若い者が失礼したようで、申し訳ありません」

男は頭を下げた。

オレ
「別に酒の席だし、現場の人間はそんなもんだろう」


「ありがとうございます。私・・・国粋会水島一家の代貸補佐をさせていただいております鎌谷と申します。

これは失礼なお詫びとして・・・どうかお納め下さい」

オレ
「なんです?コレは・・・」


「田岡さんの・・・」

オレはその封筒を受け取って中身を見た。借金の証書みたいなものだった。オレはそれを封筒に入れて男に返した。

オレ
「博打の借金はキレイにしないとダメだ。これは金を払ってから貰うよ」


「しかし・・・」

オレ
「松井。そこのテーブルの上に全部並べろ」

松井
「はい」

松井と警備チームは大きな段ボール箱を3つ運び込んで、その中のモノをテーブルの上に積み上げ始めた。客達が気付いて集まりだした。

オレは立ち上がった。

松井
「3億だけこっちに持って来てくれ」

松井と柳田が1千万づつ束になったものを3億円分持ってきた。

オレ
「そこのテーブルにおいてくれ」

「じゃー鎌田さん確認してください。3億ありますから」


「・・・」

オレ
「確認しないんですか?」


「はい。結構です」

オレ
「じゃーその封筒を!」

男は黙ってそれをオレに渡した。オレはそれを満さんに渡した。

オレ
「じゃー今度はこっちの落とし前をつけてもらいましょうか?」


「・・・どうしろと言うんです」

オレ
「そのテーブルにはまだ27億ある。一発勝負をやりましょう」


「27億・・・」

客がざわめいた。

オレ
「極道なら売れられたケンカは買いますよ!博徒なら挑まれた博打は受けるのが筋でしょう?」


「何でやろうと?」

オレ
「松井。トランプを」

オレは松井からトランプを受け取った。

オレ
「単純なゲームだ。カードを切って、その中から1枚引く!数の多い方が勝ちだ!もっともエースが1番だけど?どうだ?」


「27億の一発勝負!ですか?」

オレ
「そうだ」


「こっちはすぐに現金は用意できません」

オレ
「オレが勝ったら明日の夜。ここへ持ってきてくれればいいさ」


「いいだろう」

「おぉぉぉ」

周囲に集まった店の客がどよめいた。

オレは上着を脱いだ。半そでのシャツ。胸には龍の刺繍。トランプの封を切り中のトランプを取り出した。そしてカードを何回かゆっくりときった。男はオレの手元を見ていた。

オレ
「よーし^^衆人環視の中の勝負だ。^^恨みっこなしだぜ」

オレはカードを扇状に開いた。男はオレの目を見た。暫く冷たく射すような視線を向けていたが・・・おもむろに真ん中のカードを1枚引いた。

オレはカードを元に戻した。


「スペードのキングだっ!」

男はカードをオレに見せた。

「おぉぉぉぉ」

歓声ともどよめきとも付かない声が響いた。

満さんもマリーも麻美も立ち上がってみていた。

オレ
「あははは^^それに勝つにはエースしかないなー(笑)

マリー♪ディープなキスをしてくれ!」

マリーはオレに近づいた。そしてオレの首に手を回してキスをした。オレの舌はマリーの舌に辛めとられて強く座れた。そしてマリーは離れた。

オレ
「さてと、じゃーオレの番だな?」

男にトランプを渡した。男はそれを鮮やかな手つきできった。そしてオレがしたようにそれを扇状に開いた。

オレは男の目を見た。そしてカードを見た。少し左端のカードを1枚抜いた。そして見た。それをひっくり返して見せた。

オレ
「ハートのエースだ!!!」

「うぉおおおおお」

大歓声が起こった。オレは男の目を見ていた。急速に力が抜けて青ざめていくのがわかった。

オレ
「明日の夜までだ!いいな?国粋会水島一家さん」


「・・・」

男たちは去った。客が大歓声を送った。

オレ
「松井。お客さんに口止め料と祝儀を出せ!ひとり・・・10万(笑)」

「おおおおおお^^」

またもや大歓声が起きた。オレはテーブルに座った。

田岡
「でかい花火を見せてもらった(笑)」

マリー
「ユーちゃん!」

オレ
「あははは^^マリーはやっぱり勝利の女神だ(笑)」

田岡
「ユーイチ。これで安心して神戸に帰れる」

オレ
「何言ってんですか(笑)明日あいつらが金持ってここへ来るんですから受け取っとって下さいよ」

田岡
「バカヤロー!オレが受け取るわけにはいかない」

オレ
「満さん。オレも田岡の家の子ですよ!役目を果たしただけですから」

田岡
「役目・・・(笑)もうそんなものはない。

それに東京にも飽きてな!神戸に帰って、本業の運輸会社に力を注ぐ事にしてるんだ。

もしお前がオレを助けてくれる気があるんだったら・・・マリーの面倒みてくれないか?」

オレ
「満さん」

田岡
「お前には言おう言おうと思いながら・・・言い出せなかった(笑)じゃー後の事は頼む」

満さんは立ち上がった。マリーも立ち上がった。そして満さんに着いて行きながら何か話していたが・・・途中で立ち止まった。

店内の客はすでに居なかった。松井と警備チームだけが残っていた。

オレはグラスにブランデーを注ぎ、ストレートで煽るように飲んだ。

麻美
「ユーちゃん。じゃー私、先に帰るね!また明日赤坂に行く」

オレ
「そう。悪いな」

麻美
「(笑)」

オレ
「麻美ママをタクシーに乗せてくれ!」

松井
「了解です」

入れ替わるようにマリーが席に戻ってきた。

オレ
「満さんは言い出したら聞かない・・・」

マリー
「私も神戸に付いて行くって言ったら・・・ユーイチのところに居ろ!って・・・」

オレ
「心配するな(笑)金は神戸に届ける。見えた金は3億だが、きっと10億か20億はすでに持って行かれているはずだから、これでチャラさ」

マリー
「よくわかってるのね。もう10億以上負けてたの」

オレ
「あははは^^ギャンブラーはそんなものさ(笑)それにマリーのキスで勝ったようなものなんだから^^」

マリー
「私・・・」

オレ
「何も言わなくていい(笑)それよりナミは?」

マリー
「今日は・・・たまたま休みなの」

オレ
「元気にしてるんだろうな?」

マリー
「うん。相変わらずだけど」

オレ
「じゃー帰ろうか?」

マリー
「うん」

オレは薄々は感じていた。マリーがミナミの店を辞めたと聞いた時から・・・満さんだろうと思った。東京に来て満さんと会った時にもどこか満さんは遠慮がちだった。

新宿の噂も知っていた。ニューハーフ界ではやっぱりマリーはずば抜けていたし、その名前は聞こえていた。

だからオレは新宿へ近づかなかった。しかしまさかこんな事になるとは・・・

その日、オレはマリーとふたりでラブ・ホテルに泊まった。何年かぶりにマリーのケツを味わった。いいケツだった。


翌日・・・赤坂、桜井「はなれ」


麻美
「はいどうぞ^^」

オレ
「うん」

オレはご飯のお代わりを受け取った。そしてそれを食っていた。廊下から声がかかり松井が入って来た。

松井
「すみません。食事中に・・・」

オレ
「お前も食う?」

松井
「いえ。オレは済ませてますから」

オレ
「そう。」

麻美は松井にお茶を入れて出した。松井は礼を言った。

オレ
「ごちそうさまでした^^」

麻美
「はい(笑)」

麻美は手早くテーブルを片付けて、新しいお茶をオレの前に出した。

松井
「客はちょうど20人でした。200万バラ巻きましたけど・・・逆効果でしょう?」

オレ
「ああ。宣伝費みたいなものだ(笑)今日はあの店満員になるぞ(笑)」

麻美
「うわっ!そんな計算だったんだ?(笑)」

松井
「国粋会水島一家♪有名になりますよ(笑)」

オレ
「あははは^^」

麻美
「でも大丈夫?ほんとに27億取っちゃうの?」

オレ
「さー向こうも素直に引き下がらないだろうなー」

麻美
「どういう事?また危ない事になるの?嫌よ!」

松井
「麻美ママ。心配は要りません。国粋会とじゃケンカになりません。

ただ、向こうも博徒の意地を見せてくるんじゃないですか?」

麻美
「意地?どんな意地を見せるの?」

松井
「さー?ムーさんに聞いて下さい」

オレ
「ん?オレ?そーだなーオレなら同じ事をするな^^27億の上に30億の現金積んで、もうひと勝負お願いできますか?ってな(笑)」

麻美
「うわっじゃー57億の現金を積んで勝負をするわけ?」

オレ
「まー気持ちとしてはそうしたいだろうな?(笑)それだけの度胸があるかどうか」

麻美
「んーーーーー今夜も見逃せないわね!」

松井
「全くだ(笑)」

オレ
「じゃーオレはちょっと寝るっ」

松井
「はい^^」

オレは奥の部屋に行った。そして素っ裸になった。麻美が敷いた布団に寝転がった。麻美も服を脱ぎ始めた。そしてオレの布団の中に入って来た。

麻美
「マリーさん。ってオカマなんでしょう?セックスしたの?」

オレ
「ニューハーフって言ってくれよー(笑)」

麻美
「ねーしたの?」

オレ
「ああ。したさ(笑)」

麻美
「もうっ!!!」

麻美は怒り、オレのモノを握った。そしてそこへ降りて行ってキスをした。オレのモノはすぐに元気になって、麻美のするセックスにオレはただただ身を任せていた。

そして麻美を抱いてちょっと眠った。


▼20時・・・新宿「サラダ・ハウス」


石井
「昨日の勝負、見たかったなー(笑)」

オレ
「ははは・・・しょんべんチビリそうになってカードを引いたよ」

麻美
「見てるほうももうドキドキして胸が痛かったわー見てられなかった!」

石井
「それにしても、よくそんな現金がありましたね?」

オレ
「この間、藤原神社の件で客が30億、置いていったのがそのまま押入れに放り込んであった」

石井
「ははは・・・押入れに?(笑)まー赤坂に入る泥棒は居ないでしょうけど、無用心ですよ」

麻美
「知らなかったなー(笑)」

ウエイターがビールを持ってやってきた。

ウエイター
「来ましたよ!国粋会」

オレ
「なんだ田川じゃねーか?」

ウエイター
「はい。従業員全員警備の者に入れ替わってますから(笑)」

石井
「うん。いい心がけだ(笑)」

男が近づいてきた。


「ムトーさん。ご無沙汰しております。高本です」

石井
「やーコレは高本さんお久しぶりです」

高本
「石井さんっ!どうもこちらこそご無沙汰しております」

オレ
「どうぞおかけになって下さい」

高本
「それでは失礼します」

麻美と入れ替わるように三角形の形になり男3人がそのソファ席に座っていた。すでに高本と一緒に来た男たちは大きなダンボールを運び込んでいた。

高本
「昨日はうちの鎌谷がとんだ失礼をして申し訳ありませんでした」

「27億・・・ご用意させていただきましたのでお納め下さい」

オレは手を上げた。松井が近づいてきた。そして昨日の男、鎌谷と何か話して、ダンボールを確認していた。

高本
「ところでこう言ってはなんなんですが、ムトーさん。もうひと勝負していただけませんか?」

オレ
「どうしてです?

昨日は、田岡満と知ってて、博打に誘い10億以上毟り取った。そしてオレが明日まで待てと言ったら、笑って首を振った。

オレは田岡の家の守護が役目なんですよ・・・この事だけはハンパにする訳には行きません

それを100歩も譲って、博打で落とし前をつける事にした。それだけです」

石井
「・・・そんな事が!」

高本
「おっしゃる事はわかります。しかし・・・」

石井
「高本さん。次の勝負にこっちが負けたら、今度はまた倍掛けでうちと勝負してもらいますよ!勝つまで倍額の現金を積み上げますが・・・それはもう博打じゃないでしょう?」

オレ
「石井。そんな事を言ったら身も蓋もない。オレはただ、田岡満と知って毟り取った事に我慢がならないだけだ。」

高本
「・・・田岡満さんだとは、知りませんでした。申し訳ありません」

オレ
「知らないで済めば・・・極道は要らない」

オレは高本を睨みつけた。高本は視線をはずした。オレは凶暴になった。

オレ
「いくらの勝負をしたいんです?」

高本
「いえ。もう・・・」

オレ
「現金持ってきたんでしょう?」

高本
「30億・・・です」

オレ
「勝負は勝っても負けてもこれで終わりだ。受けてやるよ」

高本
「・・・ありがとうございます」

高本は視線を上げてオレの目を見た。目に力が入っていた。気合の入った博徒の目に変わっていた。

オレ
「サイコロあるか?」

高本
「はい」

オレ
「それでやろう」

松井が近づいてきた。

松井
「確認しました。」

オレ
「そう。あと3億。持ってきてくれ!30億積んで勝負する事になった」

松井
「はい」

ウエイターたちが客を追い出した。昨夜も居た客がほとんどだった。客たちはこれから起こる事を想像して帰りたがらなかったようだ。

テーブルが整理され、その上に現金が積み上げられた。国粋会がこっちに渡した27億の現金を積んだ。そして松井が3億の現金をそれに足した。もうひとつのテーブルにはもう30億。国粋会の現金が積まれていた。

テーブルを2つくっつけた。60億の現金が山になっていた。

そしてそれを目の前に同じテーブルを置いた。そこにオレと高本が向かい合うように立った。

石井が高本が差し出した壷とサイコロを確かめた。頷いて高本に渡した。

オレ
「どうぞ」

高本
「・・・入りますっ」

高本は指でサイコロを二つはさみもう一方の手に壷を持って手を交差させて一瞬でそれをテーブルに叩くように置いた。

木のテーブルはいい音をたてた。そして壷を少し前に押し出すようにした。

高本
「入りました。さーどっちだっ!」

オレは高本の目を見た

オレ
「半だ」

高本はゆっくりと壷を上に上げた。サイコロの目は、5と2だった。

石井
「ぐにの半!!!」

国粋会の人間と店の従業員から唸り声のような声ともつかないため息が聞こえた。

高本
「・・・ありがとうございました。。。」

高本はオレにそう言って、踵を返して店を出て行った。その後を国粋会の連中が追うように帰って行った。

オレ
「ははは・・・あはははははは^^(笑)」

石井
「あはははは(笑)」

松井
「あはははは(笑)」

皆が大笑いした。それはこんなサイコロのばかばかしい博打に、目の前の60億が手に入った事によるバカ笑いだった。麻美も笑っていた。

石井
「ムーさん。ションベンちびってませんよね?」

オレ
「んーーー自覚できないほど緊張してたからなー(笑)」

松井
「それにしても・・・強い!」

石井
「ああ。強い!」

麻美
「ほんと勝負強いわー^^」

オレ
「ふんっやる前から勝負の女神はこっちにいたさ(笑)」

松井
「昨夜はマリーさんで、今日は麻美ママだ^^」

麻美
「うわー嬉しい♪」

石井
「麻美ママ。ムーさん何でも買ってくれるって(笑)」

オレ
「ははは^^松井。口止め料と祝儀をここに居る全員に1束づつだ」

松井
「はい」

「おおおおおおお^^」

警備の人間と従業員に入れ替わった連中が咆哮を上げた。そしてオレたちは赤坂へ帰って祝杯をあげた。


▼24時・・・赤坂、桜井「はなれ」


石井
「いやーそれにしてもいいものを見せてもらった(笑)」

松井
「オレなんかもう壷を開ける瞬間に思わず目をつぶりましたよ」

麻美
「うん。見ていられなかった」

オレ
「なんだ?オレが負けると思ってたのか?」

松井
「だって勝負は5分5分でしょう?」

石井
「いや圧倒的にムーさんが有利だった」

麻美
「どうしてです?」

石井
「まず掛け金。30億を積んで彼らが勝って60億持って帰ってもほとんどチャラだ。負ければ57億の損!

それに、比べてムーさんは負けても3億だ。

そして何より、相手は話の途中で1度は戦意を喪失していた。

いくら高岡が腹の据わった博打打ちでも、国粋会としては57億の現金を失うのは組織の死活問題だろう。

そんなプレッシャーの中でサイコロで受けにまわった。

その段階でほぼムーさんの勝ちが決まったようなもんだ(笑)」

松井
「確かに、理屈ではそうなんでしょうけど(笑)当事者にとってはビビリますよね?」

オレ
「いやーあんなに緊張したのは、初めて女とセックスして以来かも知れないなー(笑)」

「あはははは^^」

櫻井のはなれに全員の高笑いが続いた。



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