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スクリーンに雨が降る


「スクリーンに雨が降る」高橋 研

79年の映画「戦国自衛隊」の挿入歌で一部では評判になったんですけどねー売れそうで売れませんでした^^;もっともその後、音楽プロデューサーとして、中村あゆみを見出したりして活躍するんですけどね!^^

高橋研が歌うオリジナル「翼の折れたエンジェル」

デビュー曲は「懐かしの4号線」高橋 研
87年12月PART2------------

▼12月10日・・・芦屋自宅

玲子
「すごく楽しみにしてたのよー^^」

オレ
「そう?川越の施設とそう変わらないと思うけどなー?」

玲子
「それが芦屋に出来るなんて、夢のようじゃない^^」

オレ
「ははは・・・そっか。そうだな(笑)」

玲子
「家族で行った後に、向井さんをご招待するんでしょう?」

オレ
「あの場所を提供してくれた家だからな一応は報告代わりに招待しないとな」

玲子
「その後は?」

オレ
「ん?」

玲子
「うちと向井さんが行ったら・・・裕人の学校関係の奥様たちも利用したくなると思うけどどうしよう?」

オレ
「将来的にどうするかは未だ決まってないけど、当分は暇だから好きにすればいいさ」

玲子
「ほんとに?いいの?^^」

オレ
「ああ。構わないよ(笑)」

玲子
「ありがとう^^あなた」

ソファの隣に座っていた玲子はオレに抱きついて軽くキスをした。オレは玲子がご機嫌な様子を見て嬉しかった。

玲子
「ねー寝室に行こう?」

オレ
「うん^^」

オレたちは2階の寝室に上がった。玲子はオレの服を脱がせた。下着もすべて・・・オレが家に帰ると、玲子はそれまでの子供中心から少し変わって、オレの世話をやくようになった。

オレのモノはすでに大きくなっていた。玲子はそこへ顔を押し付けた。頬ずりをするようにオレのモノに顔をつけていた。

オレはベッドに座った。玲子は服を着たままオレの股間に座り込んでオレのモノを口にした。瞬間、オレの脳が快楽の火花を散らし始めた。

オレは玲子を抱き上げてベッドに寝かせた。スカートの裾をまくり上げて、ストッキングと下着を一気に引き下ろした。黒々とした下腹部が窓から入る陽光の下に露になった。
オレはストッキングを全部とって放り投げた。

玲子の脚を持って股間を開かせた。

玲子
「あーーーあなたっ」

オレは草むらに顔をつけた。そして舌で割れ目を探る。固く尖った肉の芽を舌で弾きながら何度も割れ目を舐めた。その度に玲子は声を上げ体を捩った。

オレは顔を少し離した。そして指で内ヒダを開いた。きれいな色の肉の穴が見え、そこから透明な液体が流れ出て来た。それは割れ目を流れその下の可愛い穴を通って行った。

オレは穴を舌を使って味わった。

玲子
「あーーー恥ずかしいのに」

オレはかわいいケツの穴にも舌を使った。その穴はオレの舌の侵入を拒んでいた。何度がそうしているうちに、その穴は不意に緩んだ。オレはすぐに舌を入れた。

玲子
「あっダメ。ダメよー」

その穴がすぐに締まりオレの舌を弾き出した。オレは再び割れ目に舌を這わせた。そして伸び上がって玲子にキスをした。玲子は両手をオレの体に回してオレを抱きしめた。オレは舌を絡めながら、右手を玲子の股間に持って行き指で玲子の秘部を撫でた。

玲子
「あっあーーー」

親指を肉の芽に、人差し指を軽く女の穴に入れて二本の指で挟むようにもみ始めた。

玲子
「あぅ あーーー」

オレは玲子の首筋に舌を這わせて玲子の肌を味わったそして匂いをいっぱい嗅いでいた。

オレは上体を起こして玲子の服を脱がせた。目の前に乳が露になった。オレはそこにゆっくりと手を持って行き手のひらで押し付けるように乳を揉み始めた。両手で力強く乳を揉み始めた。

玲子
「あーあなたっあーーーあなたっ」

玲子は驚く程反応し始めた。

オレ
「乳がいいのか」

玲子
「あーはいっすごく あーいいです」

オレは力強く少し乱暴に乳を揉んだ。玲子は体を横に向けてふとももを擦り合わせ腰を使い始めた。

玲子
「あーーー変よ あー体が変よー」

オレは片手で乳を強く揉みながら、玲子の股間を開かせて性器を見た。そこは激しく濡れていた。オレは無造作に指を2本女の穴に突き立てた。

玲子
「うぁーーー」

玲子は仰け反った。オレは指に力を込めて穴野中を乱暴に責めた。

玲子
「あっぐぅぅぅぅあーそんなー」

オレは指に力を込めスピードを上げた。玲子は大きな声を上げて指でいった。オレは指を抜くとすぐに玲子の体に乗り自分のモノを突っ込んだ。そして容赦なく責め立てた。

玲子
「うぁーあーーーあーーーあーーー」

玲子は自分から脚を上げ膝を折り股間をいっぱい広げていった。良く締まる穴は一瞬緩み熱いモノを溢れ出させた。オレは玲子の両脚を持って持ち上げるようにして尻に乗るようにして激しく責め立てた。

玲子
「あぅ あぅ あぅ あーーーあーーーあーーー」

玲子は立て続けにいった。オレはゆっくりと玲子の体から降りた。これまでにない反応をみせつけた玲子・・・水泳に通い体は20代後半のように引き締まって手入れも行き届いていたが体の内部は女盛りの熟れた女になっていた。きついセックスに体が異常に反応しはじめていた。

オレは上体を起こし少し下がってベッドヘッドにもたれた。玲子はオレの脚に腕を回してまだ少し声をあげ喘ぎ、その度に体が動いていた。

玲子はオレの股間に顔を近づけてオレのモノを口にした。オレは玲子が銜えやすいように少し体を捻って寄せた。

オレ
「あー玲子いっていいか」

玲子はそれに応えるようにオレの太ももを手で撫でた。オレは片手だけを玲子の脇の舌に入れて乳を掴んだ。乳を揉みながらオレは玲子の愛撫を受けていた。

脳の中の火花が大きくなり始めた。

オレ
「あー玲子・・・いくぞーあーあーーあーーーー」

オレは玲子の乳を掴んだまま玲子の口に中に精液をいっぱい放出した。玲子は指でオレのモノをしごきながらオレの精液をすべて飲み込みこんでいるようだった。オレは玲子の頭を持ってそれをやめさせた。玲子はオレのモノに顔をつけたままの姿勢で居た。

夕方になって幼稚園と小学校を回って裕美と裕人をピックアップし芦屋三条町の芦屋藤原に行った。広大な敷地の奥に宿泊施設は完成していた。

駐車場に車を置いて、オレは裕美を抱き、玲子は裕人と共に施設の玄関を入った。

オレ
「邪魔しに来たぞー(笑)」

すぐに左手の脇から中村マネージャーが出て来た。

中村
「ようこそいらっしゃいませ^^」

オレ
「あははは^^第1号の来館者か?」

中村
「はい^^お待ちしておりました」

オレたちは中村に案内されて2階へ上がった。広く余裕のある階段を上がると、そこには同じくゆったりとしたスペースが広がっていた。そこを通り抜けた右側の部屋に入った。ドアを開けて入ると広い日当りのいい和室。障子を開けると海まで一望できた。

すでに芦屋六麓荘に自宅を構え2年近くなる。それは見慣れた光景だったが、初めてここへ来る人たちにとってはいい景色だろう。

室内には他に2部屋があった。何れもベッドルームだった。そして内風呂には最新のジャグジーが設置されていた。

玲子
「ひとつひとつにゆとりが感じられて、新しい和のデザインが素晴らしいわ^^」

オレ
「ははは^^コストを無視したつくりだからな(笑)贅沢な空間が出来た!」

玲子
「一般開放しないなんて贅沢の極みよ!全部で何部屋ぐらいあるのかしら?」

オレ
「全部で7部屋、すべてレイアウトとデザインは異なるけどね」

玲子
「そうなんだ(笑)」

オレ
「じゃー早速、露天風呂に行こう^^」

オレたちは浴衣と丹前に着替えてEVを使い1階の奥にある風呂場へ行った。2つある浴場はまだ1方しか使っていなかった。脱射場で裸になりオレは裕美の服を脱がせ、玲子は裕人の様子を見ていた。そして全員その場で裸になり浴室へ入った。ガラス張りになった一般の浴場を見ながらそのまま進み、突き当たりのガラスの引き戸を開けると目の前に露天風呂があった。

自然石を配置し、趣のある露天風呂。湯煙が上がっていた。湯は単純泉で1000メートル以上掘ったので高温の湯が出る。

オレは裕美と裕人にかけ湯をしてやり、そこへ入った。少し熱いと感じるがそれは気温が低いからで入ってしまうとすぐに慣れた。裕美も泣きそうな顔をしていたがすぐにオレから離れて裕人と共にはしゃいでいた。

玲子
「裕人^^プールじゃないんだから暴れないのよ」

裕人
「あははは^^」

玲子
「グアムに行ってから裕人はすっかり、水に慣れてしまって(笑)」

オレ
「その内、親を困らせるような事もするんだろうなー(笑)」

玲子
「あなたの子だもの^^」

オレ
「ははは・・・」

オレが行方不明になる少し前・・・玲子は子供を欲しがった。そしてオレがシスコでひとりで漁師をやっている間に、裕人は生まれた。裕美は、オレがニューヨークに居る間に生まれた。そう言う意味では子供は玲子に任せっきりだった。

最近ようやく子供らはオレが父親だと理解するようになっていたが、父親らしい事は何一つしていない。

オレは自分の父親を憎んだ。色んな事が重なりそうなった。だがその親父ももう居ない。あの時はまだオレに特別な力があるとは思ってもいなかったから、助ける事が出来なかった。

家に連れ帰った時、親父はオレにポツンと一言、独り言でも言うように呟いた。「お前にはつらい思いをさせた。すまなかったな」オレは聞こえないふりをして自分の部屋に入った。涙だけが溢れ落ちた。

そんな事は最初からわかってた。親父のせいなんかじゃない事は・・・でもあの頃は、誰かを憎まないとやっていけなかった。

玲子
「どうしたの?」

オレ
「ん?いや何でもない(笑)そろそろ上がろうか」

玲子
「はい^^」

オレは裕美を抱き上げて、露天風呂を後にした。そして浴衣を着て部屋に戻った。玲子は冷蔵庫からビールとオレンジジュースを取り出した。玲子は先にオレにビールを注いだが、オレは逆にジュースをグラスに入れて子供達に渡した。裕美はオレがテーブルの前に座るとすぐに膝の上にやってきた。

オレは玲子とグラスを合わせてそれを一気に半分程飲んだ。

裕人
「とーさん。ここの中のお風呂は入れるの?」

オレ
「ああ。入れるよ!泡が出たりジェット水流が出たりするんだぜ!」

裕人
「後で入れる?」

オレ
「ああ。メシ食ったらまた入ろう」

裕人
「うん^^」

裕人にとーさんと呼ばれてドキっとした。オレが裕人に父親として教えてやれる事・・・何があるか考えた。裕人がオレの事を嫌いになる前に、何かひとつだけでも教えておかなければと思った。

玲子
「あっ裕美寝ちゃったわ!」

オレ
「ん?あっそう(笑)」

オレは裕美が膝の上に居るので寝ているのがわからなかった。小さいな裕美の体の重みをオレはもう暫く感じていたかった。

少し早いが食事が運ばれて来た。子供用のメニューもあった。裕美を起こしながらオレは裕美に食べさせた。玲子は笑いながらそれを見ていた。普段躾に厳しい玲子だったが、オレに甘える裕美を叱ろうとはしなかった。それをオレが嫌がるのを知っていたからだろう。

食事が終わってオレは裕人と内風呂のジャグジーに入った。泡が出て、ジェット水流が出て、浴槽の中の色が赤、青、緑に変わる度に裕人は喜んだ。

裕人ははしゃぎ疲れたのか風呂から上がるとすぐに眠った。オレは裕美を抱いてベッドに寝かせた。そして玲子とゆっくりと芦屋の夜景を眺めながらソファに座って飲んでいた。

玲子
「裕人はあなたが自慢なのよ」

オレ
「ん?」

玲子
「とーさんは大きな船もジェットスキーも運転出来て、海にも潜れるんだ!って」

オレ
「へーそうなんだ^^」

玲子
「グアム旅行がよほど楽しかったみたいよ」

オレ
「よし!正月開けにまた行こう!」

玲子
「えっそんなしょちゅうはダメよ」

オレ
「何だ?行きたくないのか?」

玲子
「行きたいに決まってるじゃない。でも・・・」

オレ
「裕人にグアムは常夏だって事を教えるのも重要だ(笑)」

玲子
「そう?甘えていいのね?^^」

オレ
「ああ。いっぱい乳を揉んでやるっ」

玲子
「あはっ^^」

オレは玲子を抱き寄せた。そして軽くキスをした。オレは余計な事を考えないようにしようと思った。目の前にいる女や家族をその瞬間、瞬間にめいっぱい愛するようにする。それがオレの使命だと思う事にした。

その夜はさんざん玲子とやりまくった。そしてオレは玲子の乳に顔を埋めて眠った。

▼12月12日・・・

裕人と裕美をそれぞれ小学校と幼稚園に送ったあと、オレたちは同じ六麓荘の向井邸へ立ち寄った。オレは向井の奥さんと軽く抱擁を交わした。グアムに一緒に家族で行ってから、そんな風に挨拶するようになっていた。

オレは別棟の向井さんの祖父が住む家に入った。庭に面した和室に通された。すでに向井さんは待っていたようだ。

向井
「ようこそ龍斎さま!どうぞどうぞ」

オレ
「はい。お邪魔します」

向井
「すっかり娘夫婦までお世話になってしまってありがとうございます」

オレ
「いえ、こちらこそいつも留守がちなうちの事を気にかけてもらって感謝してます」

廊下のふすまが開き、男がお茶を運んで来た。その所作は無駄が無く決まっていた。オレは男に礼を言った。男は短く返礼して部屋を出た。

オレ
「三条町の施設が完成しましたので、是非ご利用頂いてまたご感想を聞かせてもらえればと思います」

向井
「おお。もう出来ましたか!そうですか!それはありがとうございます」

オレ
「本体の工事も順調に進んでますから、この分だと桜の季節になんとか間に合いそうです」

向井
「春に・・・そうですか。来年が楽しみです」

オレは目の前の茶碗を手に取り、それを口にした。

向井
「ところで龍斉さま。こんな事を言うのも気が引けるのですが、他に相談する相手も居なくて・・・」

オレ
「はい。何でしょう?私でできる事ならなんでも」

向井
「ありがとうございます。実は、数少ない友人の家の事なんですが・・・孫の5歳になる男の子が、突然熱を出して、1週間程入院したのですが、結果小児麻痺になってしまいました。

友人は酒蔵の脇にあった古い祠を工事の際に移転させたのが悪かったのかと嘆いて・・・元に戻して地鎮祭も執り行ったのですが、悪い事は続いて、女の子の孫が交通事故に遭うやら、小火が出るやらで相当参っているんです。」

オレ
「それは災難続きですね。私でよければ祈祷させていただきますよ」

向井
「おお。龍斉さまにそうして頂けば、これ以上の事はありません。どうかよろしくお願いいたします」

オレ
「いえ。どうなるかわかりませんが、精一杯祈祷させて頂きます」

オレは後日連絡する約束をして向井さんの部屋を出た。そして、向井さんの娘さんとフランクに話し、珈琲をごちそうになりオレたちは自宅に戻った。オレは準備のために一旦東京へ戻る事にした。電話を数本かけてから玲子に車で新神戸駅まで送ってもらって新幹線に乗った。

▼17時・・・川越「藤原神社」

東京に戻ると駅まで松井と源が出迎えに来ていた。そしてそのまま川越までやってきた。オレは車内で松井からの報告を聞いていた。

オレたちは社務所の方から入った。

高瀬
「お帰りなさいませ」

オレ
「うん。早速来客と会おう」

高瀬
「はい。。。」

オレと松井は社務所の応接室の方へ行った。巫女の高瀬が声をかけてドアを開けた。先に入っていた客。坂下氏子総代と高瀬婦人会会長が立ち上がっていた。

坂下
「戻ってこられてそうそうに申し訳ございません」

オレ
「いえ。ちょうどタイミングが良かった。こっちへ来ようと思っていたところなんで」

オレは彼らが座るソファの正面に座った。隣に松井が座った。すぐに巫女の遠藤が新しいお茶を用意して持って来た。オレは彼女が部屋から出るとすぐに確認した。

オレ
「大宮司の件ですか?」

坂下
「はい。氏子会並びに婦人会は、15代宮司を辞めて大宮司に就く!というのは、なんとか再考してもらえないだろうか?と言う意見が多いのです」

高瀬
「・・・」

オレ
「微妙な言い回しですね?」

坂下
「すみません。芦屋、赤坂と新しく出来る神社に対しては、それぞれ専任の宮司を置くそうですが、ここ川越では今のままで、第15代の藤原龍斎さまのまま、大宮司職に就任して欲しいという希望なんでうが、どうでしょうか?」

松井
「新しいルールで大宮司として川越をやるのは反対と言う事でしょうか?」

高瀬
「いえ。そうではありません。ただ、川越藤原を本社として芦屋、赤坂の分社をつくって頂きたいと・・・その為の大宮司という職は賛成ですが、ここでは第15代藤原龍斎として振舞って頂きたいと思っている次第です」

松井
「どうも、曖昧ですね。代々藤原神社は巫女姫が主となって運営されていた神社ですよね?そういう意味では名目的な宮司の立場はあまり重要視されていない。それが問題の発端なのです」

坂下
「それは・・・」

高瀬
「これからはご不満な点は可能な限り対処させていただきますので」

松井
「では、お世話係を廃止してもらえますか?」

高瀬
「・・・」

坂下
「しかしそれは・・・」

オレ
「1年前・・・

13代巫女姫の跡目に絡んだ争いの中で・・・藤原芳恵さんが不幸な亡くなり方をした。そしてその次には、その関係で私自身がここで命を狙われるハメになった。

小佐野さんの遺産を受けた事が原因で、オレはまた命を狙われ、挙句の果ては藤堂家からも襲撃を受けました。

それもこれも15代を継いだからです。

1年経ってようやく落ち着いてきたように見えるが、そこまでしてなった15代藤原龍斎・・・ただの種馬だと思われてるようですね!(笑)」

坂下
「いえ、決してそんな事は・・・」

高瀬
「わかりました。今後は龍斎様のご意見をよく聞いて、それに沿うように努力いたしますので、どうかこれからもよろしくお願いいたします」

オレ
「いいだろう」

オレは冷たく言い放った。そして席を立ち応接室から出て、2階の宮司室に入った。すぐに美穂がやってきて、お茶の用意をした。オレたちの厳しい表情を見て、何か感じているようだったが、オレは特に声をかけなかった。

松井
「遠山さんたちの「登り窯」そろそろ完成するみたいですよ」

オレ
「おっ!そっか!後でちょっと見に行ってみよう」

松井
「はい」

オレ
「いい土があればいいんだけどなー」

松井
「それを利用するわけですか?」

オレ
「せっかくだから少しブレンドして、地域の色が出したいじゃないか(笑)」

松井
「そうですね^^じゃーちょっとオレは道場の方に行って田川と打ち合わせをしてきます」

オレ
「うん」

松井は部屋を出ていった。オレの後ろに控えていた美穂が前に出てきた。

美穂
「よろしいでしょうか?」

オレ
「はいはい^^なんでしょう?」

美穂
「また母が無理を言ってるようですけど・・・」

オレ
「いや、高瀬婦人はそうでもない。何も見えていない、いや見ようとしないのは総代だ(笑)まー老い先短い人だからそれも仕方ないと言えば仕方ない。今後は接触しないのが一番だな」

美穂
「すみません」

オレ
「美穂が謝る事じゃない(笑)それより風呂に入る」

美穂
「はい」

オレは1階の風呂場に向かった。脱衣場で上着を脱いだ。そこからは高瀬が手早くオレのスーツを脱がせ、下着もとった。オレは素っ裸になり引き戸を開けて浴室に入った。木の香りのするいい風呂だ。木桶で満々と湯をたたえる浴槽から湯をとってかけ湯をしてから浴槽に入った。湯が溢れ出す。気持ちのいい風呂だった。

暫くすると高瀬が入ってきた。

頭にタオルを巻いただけの姿、体には何もつけていない。下腹部の茂みはなくつるんとして盛り上がった丘の真ん中に深い縦線が刻まれている。オレはそれだけで魅了された。

ゆっくりと浴槽から出て、用意された木の小さないすに座った。いつものように高瀬はオレの体を丁寧に洗った。オレは黙ったまま高瀬に身を任せていた。そして髪を洗ってもらいオレは再び浴槽に入った。

お世話係・・・いつの頃からかこんな風習が始まったのだろ。宮司は一切何もしないで、褌すらもお世話係がつけてくれる。最初はただ立って着替えさせてもらう事に抵抗があったが、それもすぐ慣れて今ではそうしてもらう事が当たり前に思うようになってしまった。望めばその体も提供され、お世話係はそのために事前に性技を仕込まれて、快楽を与える女になっている。そんな家の宿命。撤廃するつもりだったが、すぐにとはいかなかった。

風呂から出ると高瀬が待っていて、オレの体を拭き、褌をつけ、髪を結う。そして狩衣を着せされオレは「龍斉」となって2階の自室に入った。

それら一連の行為があって「龍斉」となる。今ではそれが儀式のようにオレ自身感じていた。

高瀬
「おビールをお持ちいたしましょうか?」

オレ
「えっ本当か?」

高瀬
「はい^^」

オレ
「いや、やっぱりいい。冷たいお茶をくれ」

高瀬
「・・・はい」

高瀬は少し残念そうな顔をした。オレがビールが好きな事を知っている。これまでもそうしたかったのだろうが、社務からそれは禁止されていたため出来なかった。今はその社務がオレの顔色をう伺うようになっていた。

オレは意地を張ってビールを断ったわけではない。世話係にやっかいになって「龍斉」となった以上、これまでのルールを守った節制も必要だと感じていた。

高瀬は冷たいお茶をオレの前に置いた。そしてそれを一気に飲んだ。

オレ
「旨いっ!^^ここではビールよりお茶の方が旨い(笑)」

高瀬
「はい^^」

高瀬が嬉しそうな顔をした。オレはそれでいいと思った。

オレ
「美香を呼んでくれるか?」

高瀬
「はい」

オレ
「ついでに酒も^^」

高橋
「はい。すぐにご用意いたします^^」

高瀬は部屋を出ていった。オレは部屋で寝転んだ。背中がポキポキと音を立てた。新幹線の中の3時間、座りっぱなしの姿勢で体が少し固くなっていた。

人の気配がして廊下から声がかかった。そして美香と高瀬が入って来た。

美樹
「お帰りなさいませ龍斉さま」

オレ
「・・・なんだよ美樹お前までそんな固い挨拶して」

美樹
「ここでは、今後は龍斉さまを仰ぎ奉る事にしようかと(笑)」

オレ
「あはははは(笑)バカヤロー」

高瀬は地元の酒を酒杯に継いだ。オレはそれを一気に飲んだ。そして今度は美香がそれを注いだ。オレはそれも一気に飲んだ。杯はひとつ、それを美香と美穂にも返杯で使わせた。彼女らも礼儀正しくそれを3度で飲み干した。

オレ
「でもあれだな。お神酒を飲んで、酔っぱらい伽の相手をしてもらい。役にも立たないご祈祷をする。昔の神職は優雅だったんだなー」

美香
「ねー美穂ちゃん。言った通りでしょう?ユーちゃんはユーちゃんなんだから(笑)」

高瀬
「こんなに凛々しいのに・・・」

オレ
「高瀬。お前には厳しくて悪いな!そればっかりじゃーオレはやってけねーんだ(笑)

さてと、来てもらったのは他でもねーおめーらの力をおいらに貸してやってくんねーかっ!て頼みなんだが・・・

どうだ?ちったーオレも江戸っ子に見えるかい?ミカボー(笑)」

美香
「あははは(笑)誰がミカボーよ!まるで大江戸八百八町の岡っ引きみたいじゃない^^」

オレ
「銭形平次か?んーもうひと超え!せめて北町奉行の遠山の金さんぐれーは言ってほしいなー^^」

美穂
「あははははは^^(笑)」

美香
「美穂ちゃんは変なところでウケるねー(笑)よかったわね龍斉さま」

オレ
「でも高瀬には遊び人の金さんより、火付け盗賊改めの鬼のヘーゾーの方がいいいんじゃないか?」

美穂
「どうしよう(笑)あははははは」

オレ
「高瀬はゲラなんだな(笑)」

オレは杯を差し出した。美香がそれにお神酒を継いだ。オレはまたしてもそれを一気に飲み干した。そして美香に杯を渡して飲ませた後、今度は杯を美穂に渡した。美穂もしっかりと飲んだ。

美香
「それで、力を貸すっていうのはなんでしょうか?」

オレ
「関西で、どうしても厄払いを至急やって欲しいというちょっと断りづらいところからのオファーがあった。」

美香
「それはいつなんです?」

オレ
「明日帰神して明後日には済ませたいと思ってる。わかってる!皆まで言うな!明日明後日、明々後日とぎっしり詰まっている巫女相談は、純子に代役を頼んだ。明後日、無事に終わったら・・・お前達を芦屋藤原の完成したばかりの宿泊施設に招待する。どうだ?」

美香
「うわー^^それは楽しみよーユーちゃん♪」

高瀬
「私もですか?」

オレ
「美香。リューサイだろう?高瀬。もちろんお前もだ!」

美香
「はぁ〜い^^龍斉さま」

高瀬
「ありがとうございます」

オレ
「新しいデザインの装束で行こう!準備万端よろしくな!」

美香が居るのでオレははしゃぎ続けた。美穂は笑いっぱなしだった。オレは美穂のウケを狙いながらくだらない冗談を言いながら酒を飲み続けた。

美香
「でもユーちゃんが15代に残って来れる事になって本当によかった」

オレ
「お前にしても高瀬にしてもガキのくせに・・・何言ってんだ(笑)」

美香
「へーユーちゃんがそんな風に言うの珍しいわねー^^年齢は離れていてもいつもユーちゃんの方がガキっぽいのに(笑)」

美穂
「そうなんですか!」

美香
「美穂ちゃんはそういうユーちゃんの姿はあんまり知らないんだ?銀座のクラブで飲んでる時なんかもホステスさん相手にバカっぽい顔して笑わせてるのよー^^」

美穂
「バカっぽい顔って(笑)あはははは」

オレ
「アレはオレがホステスを遊んでやってるんだっ!^^」

美香
「黙って飲んでるだけでサマになってるのに、ユーちゃんはサービス精神が旺盛だから困るって麻美ママも言ってたわ」

オレ
「ははは^^そっか(笑)という事で寝るっ」

美穂
「はい。ではご用意いたします」

美穂は立ち上がり奥の部屋へ入った。布団を敷きに入ったのだろう。オレは杯を手にしてそれを飲み干した。

高瀬が戻って来た。そして美香と高瀬はオレに挨拶をして同時に部屋から出て行った。オレはちょっと首を傾げた。そして、奥の部屋に入り自分で狩衣を脱いだ。部屋の壁のスイッチを操作して、手前の部屋と奥の部屋の明かりを消した。布団の脇の小さなスタンド照明だけを付けて布団に入った。

暫くすると人の気配がした。

部屋の入り口の襖が空き女が入ってきた。白の長襦袢姿が近づき、無言でオレの布団の中に入って来た。

オレ
「なんだ?」

美香
「今夜は私が・・・」

オレ
「もう眠い」

美香
「ユーちゃん。意地悪言わないでー」

オレ
「美穂がお前を呼びに行った時から決まっていたのか?」

美香
「ううん。ユーちゃんが来た時に決めたの」

オレ
「なんて?」

美香
「今夜は私の番って」

オレ
「じゃー次は美穂か?」

美香
「一応」

オレ
「オレの意思は?」

美香
「ない」

オレ
「アホっ!」

オレは仕方なく美香とゆるいセックスをした。それでも美香はいい反応で燃えた。美香は何度かいきオレはいかなかった。美香はそれを気にしていないようだった。

彼女らはただ単にオレと寝る順番をふたりだけで決めたようだ。そこにオレの意見が入る余地はないらしい。オレはアホらしくなってきた。仕事の後の芦屋の宿泊・・・彼女らだけ泊まらせてオレは帰ろうか?と思った。

翌朝・・・6時

外はまだ暗い。すでに美香は布団には居なかった。30分ほど前に部屋から出て行った。オレは起きた。部屋は床暖房のせいで暖かい。オレは自分で褌をつけ白の長襦袢を羽織って1階に下りた。

脱衣場前の洗面所で顔を洗いハブラシをくわえた。そしてシェーベングフォームをつけて軽くヒゲをあたった。素っ裸になって風呂に入った。掛け湯をして浴槽に入る。高瀬が居なくても別に不自由しないじゃないか。

ガラス戸が開き高瀬が入って来た。

高瀬
「申し訳ございません。遅くなりました」

オレ
「いいさ別に・・・自分で着替えて布団にも入ったし、こうして風呂にも入っている」

高瀬
「申し訳ありません」

オレ
「だからいいって」

高瀬は頭にタオルを巻いただけの姿で浴槽の外に膝をついて座っていた。オレは怒っているフリをした。美香は美穂と話し合ったという。本当に美穂は納得してそうしたのかどうか?オレは違うと思っていた。その事実関係を聞きたかったのだが・・・素面の頭の中は高瀬にそれを言わせるのは可哀想だとわかっていた。

オレは黙って浴槽を出て、木の椅子に座った。

オレ
「高瀬。悪いが洗ってくれるか?」

高瀬
「はい」

高瀬は感情を殺した声で応えていつものようにオレの体を洗った。そして最後に髪を洗って出て行こうとした。オレは高瀬の手を取って引き寄せた。そして抱き寄せ、そのまま膝の上に載せた。

高瀬は何も言わないでオレのモノに手を添えてそれを自分の股間にあてがいそのままオレの膝に腰を落とした。

高瀬
「あぁぁぁ」

前技がないままだったが高瀬の穴は良く濡れていてオレのモノを銜え込んだ。その声も小さく呻くように制御された声だった。オレは高瀬の脚を持ち体を浮かせてオレのモノで支えた。

高瀬
「あぅーーー」

オレのモノが全部高瀬の穴の中に入った。オレは高瀬の尻を持ち、その体を上に跳ね上がるようにテンポよく動かした。

高瀬
「あっ あっ あっ」

高瀬の手はオレの肩にかかり体を安定させている。高瀬は眉を寄せ口を開きながら声を発していた。オレは自分のモノが高まるのを待ちながら高瀬の尻を手で動かし続けた。そして脳の中の火花が大きくなり弾けた。オレは声をださずに高瀬の穴の中で放出した。その瞬間。

高瀬
「あっあうーあーあーーあーーー」

高瀬もいった。良く締まっていた穴の奥が緩み熱いモノが溢れた。オレは高瀬の体を降ろした。そしてそのまま浴槽に入った。高瀬は静かに風呂場を出て行った。

アイツは自分の快楽をコントロール出来ている。オレがいったすぐ後に自分もいく。普通ならそんな事は出来ない。自分がちゃんと男にいかされた。と伝えるためにいく。それは普通はいったように見せる演技だけで行うものだが・・・高瀬はそれをコントロールして本当にいった。見事だと思った。

オレは浴槽から上がり、風呂場を出た。脱衣場にはすでに高瀬が緋袴と白衣をつけて待機していた。オレの体を拭いて褌をつけた。いつものように少しオレのモノに顔をつけるようにしながら・・・そして椅子に座らせられ頭を拭きドライヤーを使いながら髪をといて後ろで束ねた。

オレは立ち上がった。用意されていた新しい狩衣を着せられた。オレは黙って先にたち2階の部屋に戻った。

その頃になってようやく外が明るくなり始めた。

高瀬が膳を持って入って来た。いつものメニューと少し違った。茶粥とは別にみそ汁と卵、ノリ、焼き魚があった。そして別の鍋を廊下から運び入れていた。

高瀬
「どうぞお替わりをお申し付け下さい」

オレ
「そう(笑)じゃー頂きます」

オレは食事を始めた。ようやく高瀬の表情が穏やかになるのがわかった。その変化は小さく普通の者ではわからないだろう。

オレ
「美香が無理言って悪かったな」

高瀬
「・・・いいえ」

オレ
「忙しいけど時間つくって今度はふたりで飲みに行こう」

高瀬
「はい」

今度は明らかにそれとわかる表情で高瀬は喜んだ。オレはそれで満足した。茶粥を2度お替わりをした。高瀬はそれも満足そうだった。

オレ
「旨かった。ごちそうさまでした」

高瀬
「はい」

高瀬は熱いお茶をいれてオレの前に出した。もしかしたら、数百年前はこういうスタイルが夫婦の間でも当たり前だったのだろうか?もしそうなら・・・男にとっていい時代だったんだなーとバカな事に感心した。

高瀬は膳を引いた。

オレは階下に降りた。玄関に向かうまでに声をあげた。「窯を見てくる」玄関前で迷った。何を履けばいいのか?すぐに高瀬がやってきた。

高瀬
「コートをとってきますから、少しお待ち下さい」

オレ
「うん」

そっか、この季節このままじゃー寒いか?コート。そんなものがあるんだ?オレは玄関で待っていた。高瀬が手にそれを持ってオレに着せた。和風のコート。なるほどどこまで暖かいかはわからないが、風よけにはなりそうな代物だった。そして傍にあった椅子を用意しておれをそこに座らせた。前に回ってオレの足をとり足袋を履かせた。そして玄関脇の下足箱から履物を少し考えながら選び出した。下駄。その先には専用のカバーのようなものが付いていた。

オレは玄関先に降りて用意された下駄を履いた。高瀬はそこにしゃがんでオレの足がちゃんと下駄に入るように力を入れて履かせた。両足ともそうして立ち上がった。

高瀬
「奥の道はまだ雪が残っているかもしれません。足元をお気をつけていってらっしゃいませ」

そう言って頭を下げた。

オレ
「うん。ありがとう^^」

オレは外に出た。風が顔にあたりその冷たさを感じた。足袋を履いて下駄を履いたのは・・・いつ以来だ?少し歩きにくかった。オレは振り返った。玄関の外で寒いのに高瀬は立って見送っていた。オレは手を挙げた。高瀬はまた小さく礼をした。

オレは施設の方へ向けて歩いた。そこを通り過ぎ竹林の小径に入ると左右に雪が残っていた。そこまで来ると足と足袋と下駄が馴染んで来た。ずいぶん歩きやすくなった。

小径を抜けて窯に続く階段を上がった。少し開けた場所に出た右手に「登窯」が見えた。オレはそこに近づいた。窯の下あたりに人が居た。オレがそこへ近づくとそいつは振り向いた。

市橋
「ムーさん。おはようございます!^^」

オレ
「おう^^朝早くからご苦労だな」

市橋
「いえ。ムーさんのそういう格好初めてだから最初は誰だかわかりませんでしたよ」

オレ
「あははは^^ここでは着せ替え人形扱いでな。なかなか自由にならないんだ(笑)」

市橋
「上に遠山さんが居ますので呼んできます」

オレ
「いや、いい。オレが上がっていく。窯もみたいしな」

市橋
「はい。」

オレは窯の横にある階段を上り始めた。市橋も付いて来た。

オレ
「サーフォークの窯とは違うのか?」

市橋
「外見は風景に合うように考えてデザインされました。窯の構造も少し実験的な試みもあって、上の方は内部の仕様が随時変更できるような仕掛けになってます」

オレ
「そっか^^また意欲的な作品作りに活かせるように考えたんだな?」

市橋
「だと思います^^」

オレたちは上まで上がりきる前に遠山の姿を見つけた。市橋がオレが来た事を伝えた。遠山はこっちを振り向いて笑顔でオレを迎えた。

遠山
「おはようございます^^」

オレ
「おう^^おはよー」

遠山
「いやーそういう姿。いいですねー^^」

オレ
「ははは^^ここではこれが日常なんだ(笑)面倒くさいんだけど」

遠山
「いえ、似合ってていいなーと思います」

オレ
「完成した?」

遠山
「はい。すでに火入れは終わってて、上の方の室を少しいじってるところです」

オレ
「そう。上は「大物」専用になるんだ?」

遠山
「一応そうですね。すぐにもとに戻せるようにはなってます。どうぞムーさんも大物にチャレンジしてみて下さいよ」

オレ
「あははは(笑)オレはせいぜい大皿どまりだな。暫くロクロからも遠ざかっていたからまたそこから始めるよ」

遠山
「期待してますよ^^得意の緋襷の大皿。評判いいですから」

オレ
「うん。これからどんどんうちの連中にもロクロを練習させるから、面倒かけると思うけどよろしく!」

遠山
「はい。こちらこそ!是非みなさんによろしくお伝え下さい」

オレは手を挙げて、また階段を下りて行った。5年前・・・初めてニューヨークで登窯を持って以来、遠山は陶芸家としてニューヨークで頭角を表した。もちろんそれなりのプロデュースをしたのだが、そしてパリでもその名が知られるようになり、日本での個展も定期的に行うようになって行った。

mar'sBLGの1階に「BIZEN」というショップをつくり、その奥には備前焼の体験教室も運ていしていたが、オレがニューヨークを去った後、オフィスのクローズと共にそこもクローズした。代わりに5番街には遠山の大物を常設展示するギャラリーを開設していた。

そしてこの冬、いよいよ日本での活動開始となった。日本の歴史文化をもう1度最初から勉強するつもりで腰を据えて、日本での制作活動を始めるにあたりここ川越でスタートする事になった。

オレは竹林の小径を西に折れて歩いた。徐々に音が大きくなってきた。気迫の籠った声、竹刀のふれあう音・・・オレは道場の入り口から引き戸を開いて中に入った。下駄を脱ぐのが面倒だったのでそこに立っていると、道場へ続くドアが開いた。

田川
「ムーさん^^おはようございます」

オレ
「おう。昨夜からこっちにきた」

田川
「そうでしたか!どうぞお上がり下さい」

オレ
「いやそれが「登釜」をみたついでに立ち寄ったんだ。今から来客と懇談があってな、こんな格好のままなんだ」

田川
「そうですか!残念です。時間があったらお手合わせをお願いしようと思ってたんですけど、次の機会を楽しみにします(笑)」

オレ
「あははは^^自信ありげだな?」

田川
「いえ。簡単にやられない自信ですから大した事ありません(笑)」

オレ
「よし!近いうちに必ずやろう!」

田川
「はい(笑)お願いします」

オレは手を挙げてそこを出た。中には10人程が練習していた。きっと警備の連中だろう。一般の宿泊施設内に彼らの部屋はある。2段ベッドが数組入っての生活だが長くて1週間程度の泊まり込みで、2班づつの交代制になっていた。そして境内を含んだ周辺のパトロールも日常的に行っていた。

オレは母屋に戻った。下駄を脱ぎ上がると高瀬が出迎えた。

高瀬
「おかえりなさいませ」

オレ
「うん。竹林に入る頃に足袋と下駄がようやく足に馴染んだ(笑)」

高瀬
「はい」

オレはコートを脱がされた。そして足袋はそのまま履いたままで2階の自室に入った。和テーブルの前に座ると、高瀬がお茶の用意を持って入って来た。そして熱い茶をオレの前に置いた。オレはそれを手に取って口にした。

オレ
「今度、遠山がみんなに陶芸を教えてくれるそうだ」

高瀬
「はい。楽しみにしてます^^」

オレ
「うん。ニューヨークに居た頃は、居候まで当たり前にロクロを回していた(笑)あの弟子の市橋も、元はと言えばただの居候だった」

高瀬
「本家の源さんから伺いました。皆さん大学の後輩だと」

オレ
「だから・・・オレを筆頭にみんなアホばっかりなんだけどな(笑)」

高瀬
「そんなー(笑)」

入り口の内線電話が鳴った。高瀬が受話器をとった。短い返事で応対していた。

高瀬
「三浦さんがご面会したいといらっしゃってるようですが・・・」

オレ
「そう。もう来てるんならこっちへ上がってもらってくれ」

高瀬
「はい」

高瀬はまた短く話をして受話器を置いた。そして部屋を出て行った。三浦、ヘンリーと一緒に日本に来て、暫く滞在していたがそろそろパリに戻る頃か?

廊下から高瀬が声をかけて入って来た。三浦はオレの顔を見て微笑んだ。そして和テーブルの前に座った。

三浦
「突然お邪魔して申し訳ありません」

オレ
「いや、いい。オレもバタバタしてて全然おかまいなしで気にはなってたんだ。すまん」

三浦
「いいえ^^」

高瀬がお茶を三浦の前に出した。三浦は高瀬に優しく礼を言った。彼女らは夏のパリで一連の騒動を経験した仲だった。

高瀬はお茶を出すと部屋から出た。

三浦
「高瀬さん。お元気そうで安心しました」

オレ
「あー見えて結構タフな精神の持ち主なんだ」

三浦
「そうですか」

三浦はそれ以上高瀬の事に触れなかった。そして目の前のお茶に手を伸ばした。茶碗を暫く見ていた。そしてそれを優雅な手前で飲んだ。オレは黙っていた。

三浦
「明日。ヘンリーがフランスへ帰ります。私は日本に残る事になりました」

オレ
「どういう事なんだ?」

三浦
「ムーさん。お願いします。何か私に仕事を与えて下さい」

オレ
「・・・」

三浦
「田川さんから聞きました。ムーさんが東京へ来てからの一連の騒動を」

オレ
「あいつは最近こっちへ来たばかりだ」

三浦
「はい。田川さんも聞いた話だと言ってました。

ニューヨークではあんなに穏やかに暮らして居たのに、東京へ来てから命を狙われ続けて、そのせいでニューヨークのmar'sBLGの駐車場で銃撃にもあったそうじゃないですか。」

オレ
「ははは・・・そういう巡り合わせでな。でももう大丈夫だ。すべて治まったから、ほら!こんな格好で平和そのものだ(笑)」

三浦
「ファッションビジネスはもう興味がないようですし、私がパリに居る事もそう重要ではなくなりました。ヘンリーとこのまま結婚するつもりで、用意もあって帰国したんですが・・・

理恵ママの心配していた通り、NYでは勉強に集中されて静かでしたが・・・パリじゃなくて東京で大変な事になっていたとは、佐和子さんも教えてくれませんでした」

オレ
「きっと余計な心配をかけたくないと思っていたんだろう。それに佐和子もすべてを知ってたわけじゃないから

三浦。お前にはパリに行ってもらって苦労をかけたと思ってる。オレがパリに行ってもお前とは会う機会をつくれなかったり・・・ずいぶん迷惑もかけた。

この間、パリでお前が結婚すると聞いて、オレはほっとした。そしてヘンリーを紹介されて嬉しかったよ!

色んな意味で、すべての事が無駄にならなくて良かったと!

こっちもようやく落ち着いた。次はまた関西だ。そしてパリだ。ヘンリーとパリで暮らしていても、手伝ってもらえるんならパリで活躍してくれれば、オレも有り難い。

もう1度、よく考えたらどうだ?」

三浦
「ムーさん。私は・・・苅谷さんとは違います。お客さんじゃなく「ギャラクシーの女」としてニューヨークへムーさんのおそばへ自ら志願して派遣されたんですよ!

私の意思でハリーとの結婚はしない事にしたんです。」

三浦はオレを正面から凝視していた。もうとっくに覚悟は決めていると言わんばかりだった。「ギャラクシーの女」久々に聞く懐かしい言葉だった。オレはもうこれ以上何も言えなかった。

オレ
「理恵とはあったか?」

三浦
「はい。ご無沙汰してるお詫びに伺いました」

オレ
「何か言われたか?」

三浦
「いえ何も」

オレ
「そっか。悪気はないんだ。ただオレの事となると何も見えなくなる。許してやってくれ」

オレは頭を下げた。

三浦
「ムーさん。。。」

オレ
「夕方に帰阪する。祈祷の仕事だ。どうする?」

三浦
「ついて行きます」

オレ
「わかった」

三浦
「では用意に一旦戻りますが、どうしましょう?」

オレ
「じゃー赤坂に4時だ」

三浦
「はい。では失礼いたします」

三浦は軽く礼をして立ち上がり部屋を出て行った。オレは大きなため息をひとつついた。そして高瀬と美香が入って来た。

美香
「三浦さんも同行されるんでしょうか?」

オレ
「ああ。そういう事になった」

美香
「ギャラクシーの女って何なんでしょうか?」

オレ
「さー知らない」

美香
「また強敵がひとり増えた。。。」

オレ
「あはははは^^パリでも一緒だったじゃないか仲良くやってくれ!」

▼20時・・・長堀スカイマンション1110号室

インターフォンを鳴らし鍵を使ってドアを開けた。玄関を抜けリビングのドアを開いた。

オレ
「どうぞ^^入ってくれ!」

「お邪魔します」

田川、三浦、美香、美穂らが次々にリビングに入ってきた。

田川
「あー懐かしいなー^^あっメロービーチのネオン管だっ!」

オレ
「レプリカなんだけどな。いつか同じ名前の店を!と思いながらつくった」

三浦
「ここが噂のミナミのヘッド・オフィスなんですねー^^」

美香
「ピンボールゲームもあるじゃないですか(笑)」

美穂
「楽しそうなところですね^^」

オレ
「美香と美穂はこっちの部屋に泊まってくれ!三浦はそこ!オレと田川はこの向こうの部屋だ」

オレはそれぞれの部屋割りをした。とりあえず1日だけの宿泊なので、1Fのファミリー不動産の責任者石川にマットと布団セットをレンタルのものを用意してもらった。本来であれば、香か本橋に頼むところだったが、彼女らはステーキハウスの肉の調達でオーストラリアへ出張中だった。

オレはキッチンへ入り、珈琲を入れた。全員リビングの大きなミーティング・テーブルの前に集まった。

オレ
「遅くなったったけどこれから食事に行ってから、夜のミナミをウロつこう(笑)

明日は午前9時にここを車で出発して、西宮の依頼者のところへ行く、たぶんそこで地鎮祭のまねごとをする。その後、その家族の「お祓い」をしてから・・・入院療養中の子供の見舞いに行く。

予定では昼までに終わるだろう。その後は、芦屋の宿泊施設に入る。以上だが何か質問は?」

三浦
「私の肩書きなどはどう言えばいいでしょうか?」

オレ
「藤原神社の三浦です!で通用させてくれ。田川も同様でいいだろう」

三浦
「了解です^^」

三浦はそう言ってキッチンの方へ行った。

美香
「療養中の方のお見舞いには何か特別な事をする予定ですか?」

オレ
「ふむ。高熱が1週間続いた後、小児麻痺という診断が下ったようだ」

田川
「小児麻痺ですか・・・最悪だなー」

オレ
「一応、その場で病気回復の祈祷をするつもりだ」

三浦がトレイに珈琲を載せて運んできた。それぞれが礼をいい受け取った。三浦はオレの隣に座りオレの珈琲にフレッシュを入れスプーンを使いカップをオレの前に出した。

田川
「芦屋の宿泊施設は・・・ムーさんのご自宅じゃないですよね?」

オレ
「ああ(笑)家からも近い、現在建設中の「芦屋藤原」の宿泊施設だ。露天風呂もあり、食事はヤマシロの厨房が入っている」

田川
「うわーそれは楽しみだなー(笑)」

三浦
「ヤマシロの料理も久しぶりです^^」

オレ
「じゃーそろそろ行くか!」

オレたちはスカイマンションを出て、心斎橋を歩いた。街はクリスマスモードが全開になっていた。周防町を西に行き、そして南に入りギャラクシーの前を通り過ぎ鮨処「満楽」に入った。

威勢のいい声に迎えられた。カウンターの中の男達が一斉に注目した。そしてカウンター脇に立っていた男が声を上げた。

大将
「ムーさん!いらっしゃいませ^^いやーお久しぶりです」

オレ
「ども^^ご無沙汰してしまって!大将もお元気そうで何よりです」

大将
「あははは(笑)さーどうぞどうぞ奥の方へ!」

オレたちは奥の座敷の部屋へ入った。すぐにビールが用意された。大将も上がって来た。そして皆で乾杯した。

大将
「せっかくムーさんがこっちに顔を出してくれた時もあったのにスレ違いばっかりで、なかなか会えませんでしたけど、いやーちっとも変わってねーなー(笑)」

オレ
「大将もしっかり声が出て、店は繁盛してるし、いう事なしじゃないですか^^」

大将
「そうだといいんですけどね(笑)情けない話ですが、実はもう体にガタがきて、店の表に立ってるのがやっとなんですよ」

田川
「えっ!大将どこか悪いんですか?」

大将
「腰痛がひどくって、腰を屈めて板場に立つ事ができなくなっちまったんですよ」

オレ
「腰痛ですか。ふむっ」

大将
「それでも家でじっとしてるのも何なんで、せめて店の表にでもと思って(笑)」

オレは立ち上がって大将の隣に行った。

オレ
「そのままそのまま、ちょっと腰のあたりをさすります」

大将
「そんな!ムーさんにそんな事してもらっちゃー恥ずかしくって」

オレ
「まーまー大将!コーゾーの代わりだと思ってちょっとじっとしてて下さい(笑)」

田川
「あははは^^大将!コーゾーさんの代わりにムーさんが親孝行してくれるってんですから、言う事聞いて(笑)」

大将
「親孝行・・・」

オレは大将の後ろに立て膝を付くように座った。そして目を閉じて精神統一を図り、手を大将の腰にあてた。体温が上昇するのがわかった。3分程度そうしていた。

大将
「うぅームーさん。なんだかすごく熱いよ」

オレ
「はい。これでいいでしょう^^少しは楽になるように「祈祷」させてもらいました」

待ちかねたように鮨が運ばれて来た。

大将
「あっすっかりお邪魔してしまって、どうぞ皆さんお箸を進めて下さい。遠慮なく、お好きなものもおしゃって下さいね」

オレは席に戻った。大将が立ち上がった。

大将
「あれ?あら?ふむ」

オレは喉がからからになっていた。目の前のビールを飲み干した。三浦がすぐにビールを注いでくれた。オレはまたそれを一気に飲み干した。

大将
「ムーさん。全然痛くなくなりましたよ」

オレ
「ははは^^病は気からってやつでしょう(笑)」

大将
「ははは・・・そんなバカな(笑)」

大将は驚きながらもとりあえず店内に戻っていった。オレたちは久しぶりに満楽本店の鮨を堪能した。

田川は美香や美穂たちに、ここの店との最初の関わり・・・オレがこの店に田川とふたりで入り、カウンターの大将と揉め、息子のコーゾーと揉め、松村さんが仲裁に入りそれ以来仲良くなった事などを面白可笑しく説明していた。

美香
「ムーさんは、何処でも騒動を起こすんですね(笑)」

田川
「オレなんかが初めてバイトで入った時のムーさんは怖かったですよー(笑)」

オレ
「バカヤローオレはいつもバイトには優しかっただろうが」

田川
「バイトには優しかったですね?でもムーさんが店の外で暴れてる姿を見
時はぞっとしましたよ(笑)何しろ笑いながらケンカしてるんですから!」

三浦
「そんな事もあったんだ?信じられないわー^^」

田川
「あの頃は・・・若かったですよ(笑)」

オレ
「なんだよジジーみたいに(笑)」

田川
「あははは(笑)」

オレは体温が上がったせいもありビールをガンガン飲んでいた。部屋の襖が開き、色っぽい声がかかったと思ったら理恵がやってきた。

理恵
「ようこそミナミへ^^」

三浦はオレの隣の席を空けた。田川は姿勢を整えて理恵に挨拶した。美香や美穂もよくわからないまま挨拶をしていた。

オレ
「さっき着いたばかりなんだ。ただいまー理恵ちゃん♪」

理恵
「おかりなさいませ^^お疲れさまでした」

オレ
「大将とも何年かぶりに会えたよ(笑)」

理恵
「そう^^大将も嬉しそうだったわ!ユーちゃんに逢えて^^田川ちゃんも懐かしいでしょう」

田川
「はい^^カウンターの中に入って修行してたのがつい昨日の事のように思い出しました」

理恵
「明日、お仕事なんでしょう?終わったらゆっくりしていきなさいね^^」

田川
「はい^^」

三浦
「ママ。私も後でお店のほうへ顔を出してもいいですか?」

理恵
「うん。未だ三浦を知ってる子たちも少しは残ってるから喜ぶと思うわ^^」

オレ
「ははは^^少ししか残ってないのか?(笑)」

三浦
「だってミナミのオンナはやっぱり粋のいい若い子がメインですから(笑)」

理恵
「あらっ私だってミナミのオンナよ!(笑)」

三浦
「理恵ママは特別じゃないですかー^^」

オレ
「うん。もう理恵に勝てるミナミのオンナは居ないなー」

田川
「伝説ですもんねー^^」

オレ
「あはははは(笑)ギャラクシー伝説かー」

オレ、田川、三浦、みんなが理恵を持ち上げご機嫌をとった。理恵は嬉しそうだった。誰もが理恵がオレのオンナだと認め、その力を信じいた。そして少しの恐れを抱きながら・・・美香と美穂もきっとそんな様子を少し戸惑いながらも感じていただろう。

その後、ミナミ・マギーへ行き騒いだ。店の連中もすっかり世代交代していて、すでにマネジャーをやっている人間とオレは初対面だった。

確実にオレたちのグループも新しい時代に向かいつつある。そんな実感をその時に感じた。


▼22時・・・菊水亭「はなれ」

オレ
「すっかり12月だなー^^ギャラクシーも忙しいだろう?」

理恵
「ギャラクシーだけじゃなくて北新地の店ももうとんでもなく忙しいわ」

オレ
「理恵ちゃんが居るからみんなお客さんが来てくれるんだ^^」

理恵
「ユーちゃん。私はこうしてユーちゃんの隣でお酌をしているのが一番なのよー」

オレ
「来年は関西に居る時間が長くなると思うから、できるだけ一緒に居ような」

理恵
「うん^^すごく楽しみだわー」

オレは理恵を抱き寄せた。そして軽くキスをして理恵の匂いを嗅いだ。そのまま首筋をなめた。

理恵
「あんっユーちゃん」

オレ
「美味しい^^店に出て毎日口説かれてるから、いいオンナのままで居られるんだろうなー」

理恵
「あはっ^^最近は北新地でも、なかなか口説いてもらえないわ^^そんな事言ってくれるのユーちゃんだけよ」

オレ
「いやー理恵は男の理想とするオンナだから80のジーさんでも理恵に酌してもらってぴったりとくっつかれたらビンビンに立っちまうぜ!」

理恵
「あははは(笑)80のジーさんにモテてくなーい!」

オレ
「そーだな(笑)」

理恵はこうしてどうでもいい話をして酒を飲むのを好んだ。もちろんその後の体を重ねるの期待もあるのだが・・・まるでそれは貴重な時間を少しでも長く味わうかのようにお互い相手を見て楽しむ。そんな風に過ごす時間を大切にした。

そしてオレたちは奥の部屋に入り、理恵はオレの前で和服を脱いだ。素っ裸になってオレにその体と背中の龍を十分に見せた。オレは自分で服を脱ぎ、理恵を抱いた。緩く長いセックスをして、最後にオレは理恵の中でいった。

そしてそのまま理恵を抱いて眠った。

▼12月13日・・・


「ようこそおいで下さいました。福井万太郎と申します」

オレ
「藤原龍斉です」


「どうぞおかけ下さい」

古いがモダンな建物の応接室のような部屋に通された。部屋というよりは洋風の広間に近い。クラシックなデザインの調度。ソファーセットが3つあり、その一角にオレと福井氏は向かい合うように座った。

すでに正装姿だった。他の連中は少し離れたところのソファに座って待機していた。

福井氏は向井さんの古い友人という事で年齢はほぼ同じぐらい70代だろうと思われた。そして向井さんからすでに聞いていた内容をあらためて福井氏本人から詳しく聞いた。

オレ
「ご家族の方々はすでにこちらへ?」


「はい。皆集まっております」

オレ
「では元の祠があった場所で「お祓い」をして、それからご家族への「祈祷」をさせていただきます」


「孫の正太郎は・・・どうでしょうか?」

オレ
「病院の方へ行って、直接「祈祷」しましょう」


「はい。よろしくお願いします」

オレは立ち上がった。そして皆が待つソファへ行った。そこの椅子にオレは座った。高瀬が立ち上がり、オレに立烏帽子をつけた。そして杓を持たされた。オレは立ち上がった。

三浦
「それでは参ります」

オレたちは三浦の後に続いて、その家を出て庭の回廊のような道をゆっくりと進んだ。オレの後ろには美香が太刀を持ち、その後ろに美穂がおおぬさを持ち進んでいた。最後尾はスーツ姿の田川が付いていた。

途中小さな鳥居があり稲荷神社のような祭壇があった。オレはそこで立ち止まった。暫くそこを注視した。

三浦
「ここが祠を移設して新たに祀ったところです」

オレ
「うん。後にしよう」

三浦
「はい」

三浦は歩き出した。オレたちはそれに続いた。そして庭の奥の方に行った。そして塀と建物のわずかなスペースに土が盛られた場所があった。すでにそこには何処かの神社の神札が置かれ結界のようなものが作られていた。オレはその前に行った。杓を両手で持って目を閉じた。モノクロの映像でその場が意識の中で見えていた。そして盛り土からゆらゆらと透明な気が上がっているのが見えた。その空間がグニャリと曲がり、歪んだ。

オレは目を開けた。

オレ
「太刀を」

美香
「はい」

オレの横に美香が進んで来た。オレは左手で太刀をとり右手に持っていた杓を美香に渡した。オレはゆっくりと太刀を左の腰にさした。

打ち合わせ通り美香と美穂はオレから少し下がった。

オレは右手を太刀の柄にかけて濃い口を切り、ゆっくりと抜き放った。そして気合いとともに、右手で左から薙ぐように横一文字に切り、そのまま片手で上段から振り下ろした。真剣が風を切る音が大きく聞こえた。

オレは目を閉じた。盛り土の上の空間は四散した渦が大きく蠢いていた。オレは両手で正眼に構え、そして最後にもう1度気合いを入れて上段から切り降ろした。

「ビシッ!」

目の前の空間が真っ白に光りゆっくりと元に戻っていった。盛り土の上の空間から何も感じられなくなった。オレは目を開けた。そして太刀を腰の鞘に納めそのまま鞘ごと腰から抜いた。

美香が近づいてきた。オレは太刀を美香に渡した。美香がそれを両手で持って下がった。つぎに美穂がオレに近づいた。そして手にしていたおおぬさを両手でオレに渡した。オレはそれを受け取って体の前に持って行った。

そしてそれを前に突き出した。左に大きく振った。そして今度は右に大きく振った。最後にもう1度左に大きく振った。そして体の前に戻した。

美穂が近づいてオレの隣に来た。おおぬさを渡しかわりに杓を受け取った。オレは杓を両手に持ち体の向きを変えた。美香と美穂は体をひねり間を空けた。オレはその間を抜けて歩いた。後ろに彼女らがついた。

後ろで福井氏やその家族らが10数人が見ていた。

三浦
「お祓いは終わりました」

三浦は福井氏らにそう言って軽く会釈をした。福井氏がそれに応えて頭を下げると、その家族ら見学者も同様に頭を下げた。三浦が先導する形でオレたちは来た道を戻った。そしてさっきの稲荷神社のようなところへ近づいた。三浦は立ち止まりオレの方を見た。オレは応えなかった。三浦はそのまま進み出した。

そしてさっきの広い応接室のようなところへ戻った。それに続いて福井氏と関係者が十数人は言って来た。

三浦はその一団を4人づつ縦に並ばせた。そして部屋の中央に移動させた。三浦がこっちに来た。

三浦
「よろしくお願いします」

そう言って頭を下げて脇に寄った。オレは立ち上がった。そしてゆっくりとその一団の前に立った。大きく腰を曲げて礼をした。同じように彼らも礼をした。オレは懐から祝詞を取り出してそれを大きく体の前で開き奏上した。そしてそれを折りたたみ懐にしまった。

美香がオレの隣に進んで来た。オレは太刀を受け取り腰にさした。そしてさっきと同じように彼らの前で気合いを入れて太刀で捌いた。そしておおぬさを振って終了した。

オレ
「どうぞ福井家ご一同さまにおかれましては、お健やかにお過ごしくださいますように心からお祈りしたしております」

オレは腰を折り大きく一礼した。彼らもそれに習って大きく頭を下げた。

三浦
「これにてご祈祷は終了したしました」

ようやくノイズが聞こえ始めた。オレたちはさっきのソファの場所に戻った。

三浦
「このまま車に乗って、病院に向かいます」

オレたちは三浦の先導でその屋敷を出て車に乗った。

▼11時・・・西宮・愛友会病院

すでに連絡を受けていた病院側はオレたちの入室に特に抵抗はないようだった。オレたちは装束のまま、福井氏の孫、5歳の男の子が入院する病室に入った。


「龍斉さま。先ほどはありがとうございました。正太郎の母の福井路子でございます。どうぞよろしくお願いいたします」

女はそう言ってオレに深々と頭を下げた。

オレ
「はい^^では始めましょう」

オレはその子が居るベッドに近づいた。その子はベッドで眠っていた。

オレは椅子の位置を調整して座り、目を閉じた。杓を両手で持ち精神統一を図った。すぐに体の内部が熱を持ち始めた。

オレは片手を伸ばして子供腹の上に置いた。そして暫くそうしていた。

子供の息づかいが聞こえるだけでその場に居る大人達は咳きひとつなく誰もが緊張して見守っているようだった。

子供
「あー熱いよー」

オレはゆっくりと手を引いた。そして両手で杓を持った。


「正太郎!話せるの!」

子供
「ママージュース」


「ああ。正太郎!ああ正太郎がしゃべった」

オレ
「微熱が残りますが、大丈夫です。明日には歩いて帰れるでしょう」


「そんなっそんな事が・・・」

オレ
「(笑)では、失礼します」

オレは立ち上がった。そして部屋を出た。美香と美穂が後ろに続いた。そして福井氏が後を追うように出て来た。


「龍斉さま。本当に正太郎は・・・」

オレ
「きっと小児麻痺というのは見立て違いだったんでしょう。ただの知恵熱が出ただけじゃないですか?(笑)」


「そんな。そんなバカな・・・いやでも、どうもありがとうございました」

オレ
「はい^^では失礼します」


「後日改めてご挨拶に伺いたいと思います。どうも本当にありがとうございました」

オレ
「(笑)」

オレは踵を返してEVの方に向かった。そして病院を出て田川の運転するベンツに乗り込んだ。美香と美穂も太刀とおおぬさを持ったまま車に乗った。

▼13時・・・芦屋藤原、宿泊施設

オレたちは1階の奥の部屋に入った。そしてそこで着替えた後、1階ロビーの脇のプラベートダイニングルームに入った。見晴らしのいい部屋だった。そこで大きなテーブル前に座って、優雅に昼食をとった。

オレ
「三浦のマネージメントはばっちりだったな!^^」

三浦
「そーですかー?(笑)実は緊張してましたから言葉が足りなかったかなーと反省してるんですけど」

美香
「厳かな儀式の中で、三浦さんのきりっとした話し方がすごく良かったと思います」

美穂
「私もすごく良かったと思います」

田川
「うん。なかなか決まってたぞ!」

三浦
「うわーどうしよう?そんなに褒められたらその気になってしまいそうよ^^」

オレ
「あははは(笑)とりあえず無事に終わってよかった」

オレはビールを飲んでいた。

田川
「無事に終わらない事もあるんですか?」

美香
「あの祠跡には悪意が充満してましたから・・・もっともそんなに大きなモノとは思えませんでしたけど」

美穂
「でも、背中がぞくぞくして怖かったです」

三浦
「そうなんだ。私には何も感じませんでした」

田川
「んーオレは・・・やっぱり何も感じなかったなー(笑)じゃーその悪意をムーさんは神刀で切り裂いたわけですね?」

オレ
「いやただのポーズだ(笑)」

田川
「ははは・・・ただのポーズですか(笑)でも、あの気合い一閃はポーズであっても相当の気力が込められていたし、人に向けたら心得のある者でも卒倒しますよ!」

美穂
「やっぱりそんなに凄いんだ」

美香
「ムーさんは何でも冗談にしてしまうから^^」

三浦
「病院でも「見立て違いでしょう」ってヘーキな顔で言うですもん吃驚したわ」

田川
「ムーさん。ほんとにあの子供は小児麻痺が治ってしまったんですか?」

オレ
「さー知らん。(笑)

それよりここの露天風呂も気持ちいいぞ!今日の宿泊客はオレたちだけだし自由に使ってくれ!

オレは悪いが少し寝る。」

そう言ってオレは1階の「称揚の間」に入り、寝室に入った。そしてベッドに潜り込んですぐに眠りについた。

ずいぶん眠った気がした。

人が入ってくる気配で目覚めたが目は閉じたままでいた。どうやら三浦のようだった。彼女はオレの方を見て小さなデスクの前に座った。そして窓の外を眺めていた。

オレ
「その組んだ脚はキレイだな」

三浦
「あっすみません。起こしてしまって」

オレは起き上がった。三浦は浴衣の裾を割って組んでいた脚を降ろし裾を隠した。ベッドから降りて寝室から出た。そしてリビングになっている部屋のソファに座った。すぐに三浦がやってきてオレの正面に座った。

オレ
「みんなは?」

三浦
「はい。田川さんが彼女たちと芦屋の市内観光に出かけました」

オレ
「お前は?」

三浦
「一応、警備と連絡係として(笑)」

オレ
「それだけ?」

三浦
「もし目覚めて露天風呂に入るようなら・・・着替えをと(笑)」

オレ
「なんだ。付き合って一緒に入ってくれるのかと思ったのに」

三浦
「私でよければいつでも」

オレ
「ははは^^」

三浦は風呂上がりで髪は降ろしていた。すっぴんだったが男前だった。5年前より確実に色気がありいい女になっていた。そろそろ日が落ち始め夕焼けが始まりそうだった。

三浦
「やっぱり日本はいいですね」

オレ
「暫くぶりに帰ってくるとそう感じるな」

三浦
「ムーさんと居れば退屈しない。皆さんそう思って離れられないんですね(笑)」

オレ
「その内、愛想を尽かされるさ(笑)」

そして田川達が戻って来た。オレたちはまだプライベートダイニングで今度は夕食をとった。そして今度はそこから夜景を楽しみにながら、飲んで食って騒いだ。露天風呂に入り、また夜が更けるまで飲み続けた。


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