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透明高速


クレージー・ケン・バンド「透明高速」
ガールフレンドPV
Girl Friend - Crazy Ken Band CD

と言う事で音楽関係、同世代関係の訃報が続いているので、少しは元気が出るようにと!(笑)
1988年4月----------------

芦屋藤原の開社も予想よりも盛況に終わった。芦屋市長やライオンズクラブなどにも来賓で参加してもらい地元にも暖かく迎え入れられたようでひと安心だった。

香と本橋は芦屋のマンションに引っ越しを済ませて、芦屋藤原に入ってもらった。新しい生活に、彼女らもリフレッシュした気分で喜んでくれていた。

前後して川越藤原では春の例大祭が行われた。秋よりは規模は小さいものの芦屋藤原の開社行事よりは一般の人出が見込める為に、いくつかのイベントが用意されこれも好評の内に無事に終わったようだった。

ただ、それが終わると・・・美香がパリへと旅立った。そして沙也乃も芦屋の開社を見届けるとサンタモニカへ旅立った。オレは横山をサンタモニカへ派遣して、沙也乃のが向こうでうまくやっていける状況をつくるように頼んだ。

サンフランシスコのはヨーコもまだヨーコが居る。この6月で滞在1年となるが、帰国する気配はない。

横山にはヨーコの様子も見てくるように頼んだ。本当ならオレがサンタモニカへ行き紗也乃の生活環境を整え、そしてヨーコにも会って直接確かめられれば良かったのだが・・・オレはそれをせずに人任せにしてしまっていた。

▼18時・・・ミナミ「Maggie」

酒井
「演舞。良かったですよ^^なんかあんな風だったらやってみたいと思いました(笑)」

オレ
「あははは^^そっか。いやそう思ってくれたら上出来なんだけどな!動機は何でもいいんだ。神道に興味を持ってもらってくれたら(笑)」

酒井
「はい^^また機会を作って下さい(笑)」

オレ
「おう^^」

カウンターの向こうの酒井が作ったジン・トニックを飲み干した。同時に酒井が頷いて視線を飛ばした。後ろから人が近づく気配がした。


「お待たせしました^^」

オレ
「おう^^向こうへ行こう」


「はい^^」

オレたちはテーブル籍の方へ移動した。ウエイターの岡本がやってきて、すぐにブランデーセットが用意された。そして下條が水割りを作った。オレはそれを止めなかった。オレたちは軽くグラスを合わせて乾杯した。

下條
「先にコレ渡しておきますね^^ネガとプリントです」

オレ
「出来たんだ?ありがとう^^」

下條
「写す方に必死で、じっくりと鑑賞は出来なかったんですけど、それでもあの演舞。素晴らしかったです」

オレ
「あははは^^お世辞でも嬉しいなー」

下條
「ヒロさんにお世辞は言いませんから(笑)」

オレ
「そう(笑)」

オレは紙袋を受け取った。ウエイターを呼びそれを貴重品扱いとして渡して預かってもらった。オレは芦屋藤原の開社の記録写真を下條にお願いした。彼女はカメラマンとして3日間芦屋藤原に張り付いて撮影を行ってくれた。そして、アシスタントには東海がついていた。

オレ
「カメラマンスタイルもなかなか良かったじゃないか!」

下條
「そうですかー?(笑)」

オレ
「アキラーって感じでそれはそれで魅力的だったさ」

下條
「あはっ^^また呼び捨てだ(笑)」

オレ
「飲んでる時はそれでいこう^^」

下條
「まーいいわ^^飲んでる時だけね」

オレは水割りのグラスを手にとって飲んだ。下條とはアキラと呼びながら話をするのが楽しい。彼女はそう呼ばれる事を嫌がったが、そう呼ばれるとちょっとラフなしゃべり方になって、挑発にも弱くなり面白かった。

オレ
「新しいオフィスは慣れたか?」

下條
「ええ。毎晩缶ビールを片手にミナミの夜景を眺めてから帰る習慣が付いてしまって」

オレ
「ほーそんなに夜景がキレイなのか?」

下條
「なんなら1度招待しましょうか?夜のオフィスに」

オレ
「うん。見せてくれ(笑)」

下條
「バイトの帰りなんか面倒くさくなって、一部屋だけプライベートルームにして泊まったりするのよ」

オレ
「平野まで帰るの大変そうだもんな?いいじゃないか!職住一体で^^」

下條
「うん。ずっと住んでもいいかなーって思うわ(笑)」

オレ
「ミナミの夜景を見ててどう感じる?」

下條
「自分がこの街を見下ろしている。なんか勘違いするわ」

オレ
「どんな風に勘違いするんだ?」

下條
「自分が何か大きな力を持って、この街で生きている。ううん征服した。いや征服したいとか(笑)なんかメラメラと闘志が沸き上がってきたりする(笑)」

オレ
「ふーん。やっぱりアキラだな(笑)もっと色っぽい事は考えないのか?」

下條
「あはっ^^色っぽい事なんて当分要らないわ(笑)現実は家賃払うのだってバタバタしてるのに、気分だけでも征服者よ!」

オレ
「あははは(笑)そっか」

オレは水割りを飲んだ。いい女がそんな事を言うのが面白かったし、どこか昔の自分に似ているようで聞いていて面白かった。

オレ
「征服者かーそれぐらいの欲を持たないとな」

下條
「あくまでも自分にハッパをかけてるだけよ」

オレ
「摩天楼は見た事あるか?」

下條
「ニューヨーク?ううん。未だ見た事ないけど、きっともっとすごい夜景なんでしょうね!」

オレ
「ああ。ゴッサムシティーのバッドマンになった気分になれるぜ!」

下條
「すごい表現ね!^^ゴッサムシティーなんて(笑)ヒロはバッドマン好きなんだ?」

オレ
「ああ好きだ。フェイスマスクを被って正体が分からない。いいじゃないか(笑)」

オレは水割りを空けて新しいのを自分で作った。下條もそれに合わすかのように水割りのグラスを空にした。オレはそれに新しいのをつくってやった。

下條
「ヒロの正体不明なところはバットマンだからなのね(笑)」

オレ
「あははは(笑)何でオレが正体不明なんだ?たかだか神社の神主だ」

下條
「いいえ。私にはわかるわ!ヒロはきっととんでもないヤツよ!」

オレ
「ふーん(笑)でもバッドマンは正義の味方だぜ」

下條
「そうね!ヒロも妖しい正義の味方なんじゃない?」

オレ
「くくくっ妖しいってところがいいな」

下條は水割りを飲んだ。飲みっぷりもいい。オレは気に入っていた。

下條
「今日も歌う?」

オレ
「いや、今日は連中は来ないだろう」

下條
「ここ。ヒロのお店なんでしょう?」

オレ
「そっか名刺は「Maggie」になってたもんな(笑)」

下條
「私も次の日に気づいたの(笑)」

オレ
「次の日はびびって引いたくせに(笑)アキラらしくねーな」

下條
「(笑)」

下條は視線をはずしてステージの方を眺めている。また少し表情に憂いが浮かんだような気がした。

オレ
「壊れたから、新しいものをつくる。じゃないよな?」

下條
「何が?」

オレ
「常に新しいものを求めてしまうから、気づかないうちに壊してしまう」

下條
「ふーん」

オレ
「年食うとちょっと臆病になるけどな(笑)でも基本は変わらないから・・・悩む」

下條
「それは自分の事を言ってるんでしょう?」

オレ
「ああ。普通でありたい。と思って制御するんだけど、気がついたら壊れるのがわかってて、同じ事を繰り返してる(笑)」

下條
「そう(笑)」

オレは水割りを口にしながらボーとした顔つきできっと下條を見ているんだろうと思った。

下條
「ずっと考えてたのよ!隣に居るヤツが売れてしまったから自分がデビューしなかったってヤツ」

オレ
「ほー^^」

下條
「TWISTの世良まさのりでしょ!」

オレ
「誰だそいつ?知らねーなー」

下條
「あはっ!やっぱりそうなんだ(笑)」

オレ
「(笑)」

下條
「あれだけ売れたのに、今は役者やってる。可笑しくない?」

オレ
「人それぞれだから(笑)」

下條
「きっとヒロも凄かったんでしょうねー^^」

オレ
「大した事ないから続かなかったんだよ」

下條
「あの最初のスローな歌。その場に居るみんなが過去の恋愛を思い出したはずよ。そして切なくなって、愛が欲しくなる」

オレ
「ほーそんな風に感じてくれるのか?」

下條
「ヒロがつくった曲なの?」

オレ
「一部な・・・たまにそんな夜もあっていい。記憶の中だけで生き続ける相手を思って」

下條
「2曲目も叩き付けるように自分の思いを吐き出して!去って行った女を想う。いいじゃない」

オレ
「ほう^^わかるのか?(笑)歌う事でしか表現できない事ってたくさんあるからなアキラももう少し持ってる優しさが表現できたら・・・良かったのにな(笑)」

下條
「ふんっ」

下條は水割りを乱暴な仕草で飲んだ。オレもつられて水割りを空けた。そして新しいの2つ作った。

オレ
「アキラの男も音楽やってたんだろう?」

下條
「全然ダメだった。私が色んな意見を言うといつも怒ってたわ(笑)」

オレ
「そう。アキラはきっと男に理想を求めすぎるんだろう」

下條
「だって、プライドを持って生きて欲しいじゃない」

オレ
「みんな持ってるさ。それをどう表現するかはそれぞれだ。ストレートな人間だけが良いわけじゃない」

下條
「そうだけど・・・ナンパな男は嫌いよ!」

オレ
「しょーがねーなー(笑)じゃーそのナンパなスタイルで爆笑させてやるよ!」

下條
「何をしようって言うのよ」

オレは上着を脱いで、椅子にかけた。そして立ち上がりステージの方に行った。ウエイターの岡本がセッティングを手伝った。カウンターのスツールを1つ持って来た。オレはギターをミキサーに繋ぎ、リズムシンセのフットスイッチを足元に置いた。ヘッドフォンをつけチューニングを確認してラインのパッチを操作した。一通りのチェックをすませてヘッドフォンをはずした。

そしてギターを弾き始めて、ブルースをやった。2曲続けて・・・客はしっかりと拍手した。

オレ
「気取ってるだけじゃつまんないっ!ってそこのおねーちゃんに怒られたので、懐メロなんかを最後に一曲^^」

赤いぃ?夕陽よ〜♪
      燃え?落ちてー♪

海を?流れて?何処へ?行くぅ♪

ぎたー抱えてーあてもなくぅー♪
           夜にまぎれてー消えーてーいくぅ

俺と似てるよ赤い夕陽♪

サビ・・・

浅岡ルリ子・・・
「どうしてもこの街には居てくれないんですねっ」

小林旭
「流れもんはひっところに居られねーんだ」

「またいつか会えるさ!じゃーなたっしゃでな!」

別れ?波止場の?止まり木の〜♪
       夢よ?さよなら?渡りどり〜♪

オレも?あのこも?わ?かぁいからぁ〜♪
           胸の?涙も?すぐぅ乾くぅ♪

風がぁそよぐよぉ別れぇ波止場〜♪

会場
「アハハハハ^^」

オレ
「ははは^^どもっ!」

オレはギターを置いてスツールを降りた。そしてカウンターに行きおしぼりを使いビールが入ったグラスを受け取って一気にそれを飲み干した。テーブルを通る度に小さな拍手を貰った。そして、下條の前に座った。

オレ
「歌うと喉が渇くんだ(笑)」

下條
「バッカみたい(笑)誰がおねーちゃんよ!皆に見られて恥ずかしかったじゃない」

オレ
「だって怒ってじゃないか^^」

下條
「だから怒ってない!って言ったじゃない(笑)」

オレ
「でもウケて良かった^^」

下條
「最後の歌、サイコーだったわ(笑)昔の歌謡曲?」

オレ
「なんだ知らないのか?「ギターを持った渡り鳥」」

下條
「うん。知らない(笑)」

オレ
「同じアキラが歌ってるんだぜ!小林旭だけど(笑)」

下條
「あっあの人の歌なんだーでもヒロが歌うとそれなりに歌詞が合ってるようで良かったわー^^」

オレ
「ははは^^ありがとう!さてと恥ずかしいからもう行こう」

下條
「うん。(笑)」

オレたちは店を出た。そして北に向かうって腕を組んで歩いた。すぐに長堀通りに出た。信号を渡りスカイマンションに行った。ほとんどしゃべらなかった。EVに乗ると下條は9階を押した。

下條
「酔い覚ましの珈琲でもごちそうするわ」

オレ
「うん。何でもいい」

EVを9階で降りた。この階に来るのは初めてだった。下條はドアの前に立って鍵を使った。オレは下條の後に続いて部屋に入った。内装は初期のままだった。リビングに入った。なんとなく12年前の1110号が思い出された。

オレは勝手にデスクの脇を通り、南側の窓に近づいた。そしてカーテンを開けた。同じ光景が広がるが・・・少し違った。やはりそれは9階と11階の微妙な高さの違いだろうと思ったが、それでも結構な夜景だ。

下條は珈琲の用意でもしているのかこっちへ来ない。オレはひとりでその光景を見ていた。ここに女が一人で立って、征服者をイメージする。面白いヤツだと思った。

オレ
「やっぱりこのデスクはアキラのデスクだよな!」

下條
「一応ね^^後ろを向けば景色が足元から広がるから^^どう?」

オレ
「うん。いい感じだ(笑)」

下條が近づいて来た。珈琲ではなくてグラスに入ったビールだった。オレはそれを口にした。

オレ
「リビング以外に3部屋あるんだろう?」

下條
「うん。そこの部屋は応接室で、次の部屋は資料室、その向こうが私室よ」

オレ
「そっか(笑)」

下條
「・・・何?」

オレ
「いや(笑)」

オレはビールを口にした。オレは可笑しかった。まるでオレだった。スカイマンションに事務所を持ち、毎夜ミナミの街を見下ろし、そして自分の部屋で寝る。数年前のオレの生活だった。

オレはグラスを置いた。そして下條の手を取り引き寄せた。下條は発作的に拒んだ。オレは後ろ向きに下條を軽く抱いて窓際に寄った。

オレ
「足元を見てみろ!落ちそうだろう?」

下條
「・・・うん」

オレは下條の腹のあたりで交差させていた。下條の緊張感が伝わってくる。オレの手を下條は持っていた。すぐに振りほどいて離れる事が出来るように?オレは下條の匂いをいっぱい嗅いでいた。

オレ
「摩天楼・・・見せてやりてーな」

下條
「ここの数倍も高いところよね」

オレ
「芦屋の芦有の展望台からの夜景もいい」

下條
「芦屋神社からも見晴らしいいんじゃない?」

オレは下條の体をゆっくりとこっちに向かせた。下條の表情はまだ強ばっているようだった。オレは軽く抱き寄せてキスをした。少し抵抗を見せたが下條は受け入れた。オレは舌を使って下條の舌を吸った。下條の体が伸び上がりそして少し力が抜けた。オレは思わず下條の服の上から乳を揉んだ。瞬間体が固くなってオレから逃げようとしたがオレは離さなかった。

下條
「ダメっ!ここは私の仕事場よ」

オレ
「じゃー部屋に行こう」

オレは下條を引っ張って、彼女の部屋に入った。灯りを付けないままオレは下條を抱き寄せてキスをし、服の上から乳を揉み続けた。そして暗さに目が慣れたところで、ベッドに押し倒し、その体に乗った。慌ただしく服をはぎ取り、ストッキングと下着を一気に引き下ろした。そして股間に手を入れながらまたキスをした。

すぐに下條の股間は反応して、濡れた。荒々しく少し乱暴に割れ目を分け穴に指を突っ込んだ。

下條
「うっ」

ブラジャーの間に手を入れて乳を掴みそれを上げて固くなった乳首にキスをした。乱れた髪で顔が隠れ下條は逃げるように顔を横に向けていた。

始めての男とするセックス。怯えと恥ずかしさを我慢しながら・・・待っているようだった。

オレは自分のスラックスを脱ぐのももどかしく、自分のモノを出して下條の体に乗った。そして下條の脚を抱えて一気に挿入した。

下條
「あぅ」

下條の上半身が伸び上がった。声を上げたのは痛みに近い違和感か?オレはそれでも下條の脚を抱えて激しく動き、その女の穴の奥の奥まで入ろうとした。

下條
「うぅぅ」

オレは一気に畳み掛けるように責めた。いや、オレ自身の快楽を求めて動いた。そして射精した。

下條
「あぅぅぅ」

下條の上半身が沿った。オレの精液を子宮で受け止めた感触に軽くいったようだった。オレは下條の体から降りてスラックスをはいた。下條はベッドの毛布をひっぱり体を隠した。

オレ
「アキラ!午前中は居ろよ!じゃーいくよ」

下條
「・・・」

オレは部屋を出て、玄関に向かった。そして靴を履き905号室を出た。EVに乗り11階で降りた。そして1110号室に戻った。

自室に入り服を脱ぎ素っ裸になった。そして浴室に入った。シャワーの湯音を図り頭から熱いシャワーをかぶった。まだオレのモノは怒張したままだった。頭から肩、胸、体を回転させて背中に湯を浴びていた。オレは自分の怒張しているモノを手でしごいた。

ブラジャーの下から手を入れた時にわかった。胸の奥のしこり・・・下條は痛がった。生理前。安全日だろう。オレは突っ込んで相手を喜ばせようとは思わなかった。半分犯すつもりで既成事実のみを作ろうとした。オレはいかなくても良かったのだが、それでは女に対して失礼だ。

こんな風に少し強引に女を犯すようなセックス。それも始めての相手にするとは苦笑した。

髪を軽く洗いオレは風呂場を出た。腰にタオルを巻いたまま。自室に入った。下着をつけてパジャマがわりのスエットスーツを着た。新しいタオルで頭を拭きながらキッチンへ行き冷蔵庫からバドワイザーの缶を取り出した。そして南側の窓に近づき電動のブラインドを開けた。プルトップを引いて口にした。

やはり9階からの景色とは違った。そこには安定感のあるミナミの街の夜が広がっていた。

2階上に自分を乱暴に熱かった男が居るとは、思ってもみないだろう。今頃下條もシャワーを使ってるだろう。明日の朝、顔を合わせてオレがここに居る事を教えたら・・・怒るだろうなーと思った。

オレは何故かそれが楽しみになった。そして自室に入り寝た。

▼9時・・・1Fカフェ

オレはカフェのカウンター横の電話を使い。9階の「オフィス・零」に電話した。数回のコールの後、男が出た。オレが名乗ると東海も名乗った。下條に変わってもらった。

オレ
「今、1階のカフェにいる。珈琲飲もうぜ!」


「・・・わかりました」

オレはオープンカフェの方へ行った。連れが来たら珈琲をふたつ持って来てくれるように頼んだ。ジーンズにシャツ、薄てのジャンパーにサングラス。オレはポケットからキャメルライトを取り出し、銜えながら火をつけた。

キャメルライトを吸い終わる前に下條はやってきた。オレは立ち上がった。サングラスを外した。下條はオフホワイトのツーピースを着てすっかり仕事のスタイルになっていた。

オレ
「おはよー^^いい天気だ」

下條
「おはようございます」

オレは手で椅子を示し、座った。ウエイターはすぐに熱い珈琲を持って来た。オレは自分でフレッシュだけを入れて、スプーンを使った。下條は少しシュガーを入れた。

オレ
「写真を忘れて、さっき店にとりに行ったんだけど誰も居なくて(笑)」

下條
「そう」

オレ
「後でもう1度行ってみようと思ってる」

下條
「・・・」

オレ
「ご機嫌悪そーだな^^」

下條
「昨夜の事は・・・忘れて」

オレ
「あー?」

下條
「・・・」

下條は視線を通りに向けた。そして珈琲を口にした。アレが始まったのか?相当ご機嫌がよくないらしい。本当はこういう時は素直に引き下がるのが一番なんだが・・・

オレ
「我侭したから怒ってるんだ?」

下條はオレの方を見て睨んだ。

オレ
「あはっ^^」

下條
「私、仕事中ですから・・・失礼します」

下條はそう言うと立ち上がった。そして入り口の方へ向かいもう歩き出していた。恐ろしく短気なヤツだ。オレも立ち上がり追っかけた。そしてEV前に一緒に並んだ。

下條
「困ります。仕事中なんです!」

オレ
「そこまでムキになる理由はなんだ?(笑)教えてくれよ」

下條
「・・・」

EVの扉が開いた。下條は乗ろうとはしなかった。

下條
「ムトーさん。今はもう、また後ほど連絡しますからどうぞお引き取り下さい」

オレ
「嫌だ」

下條
「お願いします」

そう行って下條は頭を下げた。

オレ
「わかった。じゃーとりあえず帰る」

下條
「すみません」

下條はもう1度EVのボタンを押した。扉はすぐに開いた。下條は乗り込んだ。扉が閉まりかけた。オレは手を入れた。扉は再度開きかけた。オレは体をすべらせるようにしてEVに乗り込んだ。

下條
「いいかげんにして下さい!」

オレ
「悪いな!アキラ・・・」

オレは下條の体の前に手を伸ばして11階のボタンを押した。

オレ
「オレの部屋。ここなんだ」

下條
「ウソ!」

オレ
「(笑)」

下條はオレを睨んでいた。オレは黙って前を見ていた。9階までEVは停まらなかった。9階で扉が開き下條は降りようとした。オレはそれを体で防いだ。

下條
「やめて!」

オレ
「オレの部屋見て行けよ」

下條
「・・・」

返事に関係なく扉は自動的に閉じて11階に付いて開いた。オレは下條を先に降ろし手をとって1110号室前に行った。

鍵を使いドアを開けて下條を先に入れた。下條はもう抵抗しなかった。好奇心が強いのだろう。真偽を確かめるつもりにも見えた。

オレ
「靴は脱がなくていい。そのままで^^」

オレは玄関からフラットなままのリビングに続くドアを開け下條を招き入れた。中央に大きなテーブル。その向こうにデスク。

芦屋藤原が出来る前に、少しここも改装した。それまでの中途半端な仕様をやめて床を張り替えて土足で入れるようにした。そして壁も塗り替えた。ネオン管やピンボールゲームはそのままだった。

オレ
「12年前から、ここに居る。もっとも間で何年か抜けていたけどな(笑)」

下條
「本当だったんだ」

オレは窓際に行った。そして電動ブラインドを開けた。南から差し込む朝の陽射しが眩しかった。

オレ
「アキラ。こっちへ来てみろ」

下條は黙って窓際にやってきた。オレは昨夜と同じように下條の手を引っ張りオレの体の前に下條の体を入れて下條の腹のところで手を交差させた。

オレ
「ほら。少し違うだろう^^夜の夜景だと分かりやすいんだけどな」

下條
「・・・」

下條はオレの手をゆっくりと離してオレの前から出た。

オレ
「自己嫌悪にでも陥ってるのか?この間もそうだった」

下條
「この間も?」

オレ
「朝、珈琲を飲んでる時、昨日の話はなかったことにって言ったじゃないか(笑)」

オレはキッチンの方へ行った。そして珈琲メーカーを使い新しい珈琲をセットした。ジャンパーを脱いで半袖のシャツだけになった。キャメルライトを銜えて火をつけた。作り付けの壁の棚のカセットをかけた。

懐かしいBGMがかかった。

オレ
「こっちへどうぞ^^」

オレは少しおどけて広いテーブルの前の椅子を勧めた。下條は逆らわずにそこにきた。オレはテーブルから離れてキッチンへ行った。

オレ
「なーアキラ。昨夜は既成事実のつもりだった。怒るなよ」

オレはマグカップを2つ用意して、珈琲を注ぎ、下條のカップにはフレッシュと少量のシュガーを入れてスプーンを使った。もちろんオレのはフレッシュだけだった。オレはふたつのマグカップを持って、テーブルの方へ行きシュガーの入った方を下條の前に置いた。

オレ
「ここもお前のところと同じだ。その部屋ふたつはゲストルームだ。そしてそっちがオレの部屋だ。ここはオレのスタート地点なんだ」

下條
「どうして先に教えてくれなかったのよ」

オレ
「お前がここに来ると言ったから、1階下の10階の部屋を開けてやったのに・・・お前、そこに入らなかったな」

下條
「そんな、そんなに以前から・・・」

オレ
「ははは^^驚かせるのを楽しみにしてたんだ」

下條
「私の事をからかって面白がってるだけでしょ!!!」

オレ
「いや、最初に飲んだ時に好きになったさ。次の日の朝、珈琲を飲んだ時に失敗したと思った。既成事実をつくるべきだったとな

結果的にはこの方が良かったと思ってる。こんな風に先にケンカが出来た方が理解しやすいから」

下條
「ずいぶん勝手ね」

オレはマグカップを持ちながら立っていた。そしてそれを口にした。下條もようやくカップを手に取りそれを口にした。

オレ
「仕事の方は焦るな。景気がいいんだ。アキラならうまく行く!^^」

下條
「当たり前よ!(笑)」

オレ
「あははは^^やっと笑ってくれた。良かったー^^」

下條
「いつまで居るの?」

オレ
「今日東京へ一旦戻るが、すぐに戻ってくる。」

下條
「そう」

オレ
「明後日の夕方から芦屋に行こう^^」

下條
「・・・バイトがあるわ」

オレ
「そんなもの休め!」

下條
「・・・しょーがないわね」

オレ
「また電話する」

下條
「わかったわ」

下條は立ち上がった。オレは軽く抱き寄せてキスをした。

オレ
「さてと帰ってくるのが楽しみだ(笑)」

下條
「ふーん(笑)」

オレ
「あははは^^」

オレは玄関まで見送った。下條は澄ました顔で出て行った。オレはやれやれと思った。こんなに手のかかる女は・・・これまでに居なかったな。

オレは着替えてから東京に戻ることにした。

▼14時・・・赤坂「自宅」

オレ
「ただいまー^^」

松井、横山、三浦
「お帰りなさい^^」

オレはソファの方に行った。そしてそこに座った。三浦はキッチンの方へ行った。

オレ
「ほぼ1ヶ月ぶりだな(笑)」

松井
「はい^^お疲れさまでした」

横山
「すっかりミナミに馴染んでしまったんじゃないですか?^^」

オレ
「ははは^^元々ミナミの人間だから仕方ないさ」

三浦が珈琲を持ってきてくれた。そしてオレの隣に座った。

オレ
「ギャラクシー、泉、エスポワール、ローズマリー、もう若いホステスばっかりだった(笑)」

松井
「あはっ^^オレも今度ゆっくりと見に行って来ますよ」

オレは珈琲カップに手を伸ばした。そしてそれを口にした。松井は川越藤原の例大祭の報告をし、今後の予定を確認した。横山は新しい新生会病院の設備機器とスタッフ拡充の現状を報告した。これは厚生省プロジェクトによるものだった。そしてそれに伴って南青山クォーリーオフィスの隣にあった。「超・心理学研究所」の移転も完了したようだ。

三浦
「芦屋藤原も順調で良かったですね^^」

オレ
「そうだな。まっ神社だからな!先は長いから(笑)」

松井
「ムーさん。ポルシェ買ったんですって?^^」

オレ
「ああノーマルな911カレラだ。リョーコに押し付けられてな」

松井
「ははは・・・もっと押し付けてくれたらいいのに」

オレ
「松井。テスタロッサ・・・注文しとけ(笑)」

松井
「えっ!」

オレ
「今注文してもすぐには手に入らないか?」

松井
「本気ですかー!」

オレ
「もちろんだ」

松井
「あはははは(笑)よーし!すぐに持って来させますよ!」

松井はそう言ってダイニングテーブルの方に行って電話をし始めた。

三浦
「あんなに松井さん喜んで・・・もしかしてそれは車ですか?」

オレ
「イタリアの超高級スポーツカー、フェラーリ、テスタロッサ♪」

三浦
「超高級・・・いくらぐらいするんでしょう?」

オレ
「すでにプレミアが付き始めてるらしいから、4000万ぐらいじゃないか?」

三浦
「スポーツカーに4000万ですか!車好きの松井さんのおもちゃになりそうですね(笑)」


オレ
「ははは^^(笑)さてと、オレはひと風呂浴びてくるっ^^」

オレは中2階の自室に上がった。三浦がついてきてクローゼットからオレの着替えの下着等を用意した。オレは服を脱いだ。三浦がそれをハンガーにかける。オレはその様子を見るとはなしに見ていた。まるで嫁のようだった。

オレ
「三浦」

三浦
「はい^^」

オレ
「一緒に入ろうか?」

三浦
「残念ですけど、今はダメです(笑)」

オレ
「そっか」

三浦
「また深夜にでも^^」

オレ
「うん(笑)」

オレは桜井に続く通路から露天風呂へ向かった。脱衣場ですっぱだかになりガラス戸を空けて露天風呂に行った。湯がこんこんと湧来出しているように見えた。オレは木桶でかけ湯をした。そして岩風呂に入った。

ゆっくりと肩まで浸かる。体を伸ばして足の指を出て曲げる。ポキポキという音が湯を通して伝わってきた。

周囲はケブラーが入ったガラス面が余裕をもって盾になるように配置されている。視覚的にも出来る限り意識させないようなデザインでありながら、防犯対策も同時に行われている。満足のいく仕上がりになっていた。

オレは風呂を上がり母屋の自室に戻った。クローゼットの前にワゴンが置かれ、三浦が用意した着替えが置いてあった。オレはそれに着替えた。コットンパンツにポロシャツ。春っぽい色目だった。

階下に降りた。すでに松井は出たようだった。ダイニングテーブルの前に座った。三浦がバドワイザーを持って来た。

オレ
「特に変わった事はなかった?」

三浦
「はい。美香さんも沙也乃ママもすでに出発してそれぞれ無事に到着したようですし、横山さんも付いてますから大丈夫でしょう」

オレ
「そう。色々あったけど、表面的にはただ人が動いただけだな」

三浦
「はい^^芦屋藤原も開社して、桜井の女将さんも若返りましたし、活気がありますよ」

オレ
「ははは^^それは良かった」

オレはバドを飲み干した。部屋の中にも春の香がしているようで目の前の三浦がなんとなく眩しく見えた。

オレ
「リョーコの関係でスエーデンでエステをやる話をつけに行く事になったんだけど・・・エステはどうだ?」

三浦
「パリに居た頃に少し通った事がありますが・・・日本のようにサービスが充実していませんでした。日本式のサービスがあればヒットすると思います」

オレ
「そっか。こっちのエステも実際に通って調べておいてくれるか?」

三浦
「はい^^楽しい仕事になりそうですね」

オレ
「よろしく(笑)じゃーちょっと桜井に行ってくる」

三浦
「いってらっしゃい^^」

オレは玄関から外に出た。庭にいた源が付いてきた。

オレ
「いい陽気だな^^」


「はい^^ゴローもムーさんが帰って来て喜んでますよ」

オレ
「おーじゃー後でゴローにも挨拶しないとな!」


「あははは^^お願いします」

めったに吠えない秋田犬のゴローは源が子犬の頃から世話をしていた。そういう意味ではゴローにとって主人は源のはずだったが、オレにもゴローは懐いていた。

桜井の正面玄関から入った。番頭の中野が頭をさげて丁寧に礼をした。そしてすぐにフロントの脇から洋子が現れた。髪をアップにして和服を着ている。クラブに出ている不インキとは少し違っていた。

洋子
「お疲れさまです^^」

オレ
「さっき帰って来た」

洋子
「はい^^」

洋子が先に歩きオレはその後に続いた。庭を眺めながら奥のはなれに入った。入ってすぐの和室。真ん中に和テーブルが置かれている。洋子は座布団を用意した。オレはそこに座った。

オレ
「もうすっかりサマになってるな?」

洋子
「ありがとうございます^^」

洋子はお茶の用意をしていた。オレの隣に座りお茶を入れた。

オレ
「生活のリズムが変わって疲れてない?」

洋子
「全然^^ずっと近くに居れると思うとすごく楽しくやれてるから」

オレ
「そっか。喜んでくれて良かった」

オレは目の前の茶碗をとってお茶を口にした。旨かった。

洋子
「母屋にもしょちゅう顔を出してるんです。邪魔な時はちゃんと叱って下さいね^^」

オレ
「ははは^^」

オレが東京に来て3年が経とうとしていたが、洋子はそれ以前からこっちにひとりでやって来て相当の苦労をして自分の銀座の店「シャングリラ」を持った。その後、オレと再会してまたオレの女となったが、次の店「ブロードウエイ」も開店させ、すっかり銀座のママの生活になっていた。

新富町のマンションを手に入れデザイン変更もしてオレにとっても快適な環境となっていたが・・・やはりそこには週に1回或は10日に1回ぐらいしか行けてなかった。

こうして母屋の隣の桜井の女将になった事で、少なくとも1日に1度は顔を合わせる。いやそれ以上か?その事に喜んでいる洋子を見てオレは沙也乃が去った事が結果的には良かったんだと思う事ができた。

オレ
「2階に洋子女将の部屋も新しくつくったんだろう?」

洋子
「はい。ですから泊まりも全然楽ですから^^」

オレ
「そう。じゃー夜ばいに行くよ」

洋子
「まーそれは楽しみ!^^」

オレ
「あはははは^^」


▼17時・・・川越藤原「大宮司室」


源の運転する車に乗り川越藤原神社に行った。拝殿の隣の広間で、事務長の宮内氏からいくつかの報告を受け、オレは奥の宮司室に入った。

廊下から声がかかった。そして巫女がひとり入って来た。テーブルの横に座った。

巫女
「田崎と申します。大宮司さまの衣装係になりましたので、どうぞよろしくお願いいたします」

そう言って巫女は手をついて挨拶をした。オレは巫女の方に向き直った。

オレ
「そうですか^^こちらこそどうぞよろしく」

オレは軽く頭を下げた。

田崎
「狩衣をお持ちしましたが、お着替えになりますか?」

オレ
「ん?あーそうだな。そこに置いておいて下さい」

田崎
「よろしければ、お手伝いしたします」

オレ
「ん?ふむ。じゃーお願いします」

オレはその場でスーツを脱ぎ始めた。崎田はそれらを手早く片付け、白の狩衣を広げて持った。オレがシャツを脱ぐとそれを後ろから肩にかけた。そして前に回りオレの足元にしゃがんだ。そして手にしていた褌を自分の膝の上に置き、オレのパンツを脱がせ始めた。オレはそれを上から黙って見ていた。オレのモノは田崎の顔の前で大きくなった。

田崎はそれを見てどう思っているのか、何も言わず褌を付ける。オレの腰の後ろに紐を回す時、田崎の顔がオレのモノに少し触れた。

そして褌でオレのモノを包み込む際に、オレのモノに触れて動かした。田崎は立ち上がってオレの狩衣の前をそろえて、しっかりと力を入れ下帯で閉めた。そして後ろに回り色違いの模様の入った上衣を着せた。そして再度前に回りそれを留めた。

オレ
「ありがとう」

田崎
「お疲れさまでした」

田崎はオレのスーツやシャツ、下着などを片付け始めた。オレは大きな座布団にあぐらをかいて座った。やっぱり神社へ入るとこの装束の方が楽で、なんとなく落ち着く。

田崎はオレの前に熱いお茶を出してくれた。

オレ
「ありがとう」

田崎
「いいえ。御用の際はそこのボタンを押して下さい」

オレ
「はい^^」

田崎は一礼して部屋を出て行った。オレは茶碗を手にしてそれを口にした。ふと高瀬の事を思い出した。着替えは高瀬に任せっぱなしだった事もあり、装束をひとりで着るとすぐに前が乱れる。さっきの田崎は着付け上手だったが、高瀬ほどじゃなかった。

そう言えばこの間と衣装係が変わったようだが・・・前の巫女はどうしたのだろう?ふと気になったが、彼女はオレの着替えを手伝おうとはしなかったな?何かルールめいたものがあるのだろうか?後で社務に聞いてみようと思った。

廊下から声がかかった。さっきの田崎が約束していた客を連れて来ていた。

前野氏と純子が一緒に入って来た。そしてオレの前に座った。田崎は客にお茶を出した。

前野
「芦屋藤原も無事に開社し盛況なようでなりよりですね」

オレ
「前野さんには遠いところをわざわざ来て頂いて、ありがとうございました」

前野
「いえ、向井さんとも久しぶりに会えて旧交を暖める事ができ私も楽しかったですよ」

オレ
「でも、こっちと日程が被ってしまって迷惑をかけてしまいました。(笑)」

前野
「いいえ。藤原の分社ですからこちらの氏子の皆さんも喜んでいましたよ!純子さんにもお手伝いいただいて、好評でした」

純子
「いいえ私なんか、いい年をして巫女装束で恥ずかしい限りでした」

オレ
「あははは^^これからの巫女舞いが楽しみだなー(笑)」

約1ヶ月、東京を離れていた。その間にここでは、巫女姫の巫女が1年間のパリ留学へ旅立った。例大祭では純子の応援を得て、美樹が先頭にたち頑張ってくれたようだった。

前野
「Kプロジェクトも順調に進んでますし、後は9月の赤坂藤原を待つばかりですね」

オレ
「Kってアレですか?」

純子
「はい。厚生省と言う名前を出来るだけ出さない方がいいと思いまして、今後はKプロジェクト、略して『Kプロ』と言う呼称にしようと^^」

オレ
「なるほど、うちは何でもオリジナルな形容詞を使うからそれでいいじゃないか(笑)」

前野
「超・心理学研究所はすでに「チョーケン」って呼ばれてて最初は何の事かさっぱりでしたよ!

さて、それに関連した話なんですが、実は・・・ドイツ大使館から極秘裏に提携の話が来ています。

緊迫しているドイツ情勢を鑑みて、N元総理も出来れば龍斉さまの協力をお願いしたいと言ってます」

オレ
「提携の具体的なプランは出てるんですか?」

前野
「2月に大宮司がドイツに行かれた時に、マイヤーさんにトレーニングの手解きをされて、その後マイヤーさんの効果が素晴らしかったと言う事で、ドイツの異能者の訓練をムトーさんにお願いしたいと」

オレ
「・・・」

前野
「東西ドイツの統一が叫ばれている中、現在その方面では東ドイツが優位だとか・・・そこでどうしても、補強、能力アップを必要としているようです」

オレ
「純子はどう思う?」

純子
「えっ私は国際情勢にも疎いですし、ドイツがどんな国かもよくは知りませんが・・・すでにもう大宮司が前に出て関わってしまってますから、仕方ないのはないかと思います」

オレ
「ははは・・・仕方ない。しょーがねーなーってヤツか(笑)」

前野
「ではよろしいですか?」

オレ
「龍斉はぐずってたけど、なんとか承知させたから多少の我侭は聞いてやってくれ!とでも言っておいて下さい(笑)」

前野
「あははは^^了解です(笑)」

前野氏は上機嫌で帰って行った。純子はまだ話があるのか、この部屋に留まったままだった。

純子
「いいんですか?前野さんをあんな風に喜ばせて」

オレ
「ああ。前野→龍斉ラインは絶対だと周囲に思ってもらう方が何かと便利なんだ」

純子
「実は美樹さん何ですが・・・チョーシンでのいくつかの検査の結果、潜在的な力は高いと小林先生が判断してます」

オレ
「どういう事だ?」

純子
「一般的に言う勘が鋭いと言う程度なんですが、遺伝的も能力は引き継いでいるはずなので、何かのきっかけ次第でその能力が開花するのではないかと・・・」

オレ
「辛抱強く待っていればその内目覚めるだろうと?」

純子
「いえ、このままでは一生覚醒しないままだろうとおしゃってます」

オレ
「じゃーどうすればいいんだ?」

純子
「小林先生もそこまではわからないそうです」

オレ
「そうか」

純子
「私は・・・大宮司と寝れば目覚めるのではないかと思います」

オレ
「バカな!(笑)それとその大宮司と言うのはふたりの時はやめてくれ」

純子
「はい^^ムーさんに調教されれば女は変わります。

オーガズムは大きく2つあり、1つは普通の絶頂感、もうひとつは大きな絶頂感。もちろん個人差はありますが、ムーさんに調教されると3つ目を味わう事ができます。」

オレ
「そんな事は・・・」

純子
「あります。快感が脳に突き刺さり体中に快楽が走り、いき続けます。堪え難く長く続く快楽です。女は狂います」

オレ
「んーーー」

純子
「それはすぐにそうなるわけではなくて、ある程度体を重ねて慣れる必要があります。そしてその3つ目の快楽を味わった女は・・・その精神にまで影響を及ぼします」

オレ
「どんな風に?」

純子
「あなたをどうしようもなく好きになってしまいます」

オレ
「ウソだ(笑)」

純子
「他の人に確かめたわけではありませんが、少なくとも私はそうです」

オレ
「・・・」

純子
「もしあれでしたら、小林先生に相談して他の人にも聞き取りをしてもらえばどうでしょう?」

オレ
「そんな事聞いて、それがどうなると言うんだ?(笑)ただ恥ずかしいだけじゃないか」

純子
「きっとそれには何らかの効果があると思うんです。もちろん健康で肌がきれいになったり、体がとてもいい状態になったりと言うのは第3のオーガズムを得られなくてもそうなると思いますが」

オレ
「それはオレの効果じゃなくて、適度なセックスが女性の体に与えるプラス面の影響だろう?」

純子
「でも、ユーちゃんにしてもらうと、本当に狂うのよ^^」

オレ
「なっ何だよ急にトーンを変えるなよ!全部冗談になっちまうじゃないか(笑)」

純子
「そんな話をしてると、そうなっちゃって・・・^^」

オレ
「ははは・・・あっ!そういや露天風呂出来たんだったよな?」

純子
「はい。そう聞いてます」

オレ
「ちょっと見てみよう」

オレは立ち上がった。キッチン脇のドアを空けた。そこは従来の風呂場の脱衣場と洗面所だったが・・・洗面所の位置が替わり、その奥に引き戸があった。それを開くと庭だったところが、露天風呂に変わっていた。

オレ
「ほー^^出来てるなー(笑)」

純子
「ほんとっ!感じのいい岩風呂ねー^^」

オレ
「よし^^湯も出てるしこのまま一緒に入ろう♪」

純子
「えっ私も?まだ陽が高いし、社務の方とか皆さんいらっしゃるし」

オレ
「あははは(笑)大丈夫だ宮司専用だから誰も入る事はできない!入ろう!」

純子
「はい(笑)」

オレは部屋に戻ってすぐに素っ裸になった。ここに来る前に自宅で入ったばかりだったが、新しい露天風呂を早く味わいたかった。

木桶でかけ湯をして入った。

風呂の中の周囲を確かめるように動いた。生け垣で遮られているように思うがその内側にはしっかりとした柵があり防犯も出来ているようだった。死角はなくうまく見えないように遮蔽されている。

純子が頭にタオルを巻いただけで入って来た。

太ももの赤いバラが見え隠れし、その上の丘には草むらがなくそこは深く縦に割れていた。純子はかけ湯をして入って来た。

純子
「あー気持ちいいっ^^」

オレ
「やっぱり露天風呂はサイコーだなー(笑)」

純子
「赤坂の自宅にも出来たんでしょう?」

オレ
「おう^^今度入りに来いよ!こことはまた少しデザインが違う。でも泉質は似たようなもんだな」

純子
「芦屋藤原はまた泉質がちがうのかしら?」

オレ
「いや、同じ単純泉だ。有馬のような金泉を期待したんだけどな(笑)」

純子
「やっぱり大宮司室には露天風呂があるんでしょう?」

オレ
「残念ながら芦屋にはない。。。」

純子
「あらじゃー早速つくらないと^^」

オレ
「ははは・・・」

芦屋には宮司室はあるが、大宮司室はない。もっともその宮司室もあくまでも客間を一時的に利用する程度で、川越のように専用室としてオリジナルの設計はしていない。あくまでも分社として存在する神社と言う事で、最初の設計段階で必要ないと決めた。

というのもそこからわずか5分の六麓荘にオレの自宅がある。芦屋藤原にオレが宿泊する必要がないと言うのが最大の理由だった。そして宿泊する場合も、併設する「宿泊施設」を利用すればいいので問題ない。

そういう意味では川越が一番敷地面積が広く、郊外という事もあり造作しやすい。逆にこの秋オープンする赤坂藤原は都心の一等地という事もあり、完全ビル化の斬新なデザインの神社になる。

オレは純子に体を洗ってもらってる内に、我慢出来なくなっていた。そうそうに露天風呂を上がり、宮司室の奥のベッドで純子を抱いた。純子の言う第3のオーガズム。たぶんアレだと思って最後をそれで決めると、純子は自身で言った通り、快楽の嵐の中で狂った。

風呂から上がり「宿泊施設」の方で少し早かったが、純子と共に夕食を一緒にした。その後オレは一旦宮司室に戻り着替えて源と一緒に東京に戻ろうと思っていたが・・・美樹が宮司室にやってきた。

美樹
「お疲れのところ申し訳ありません」

オレ
「ははは^^大丈夫だ。それより例大祭、頑張ってくれたようでありがとう」

美樹
「いいえ、そんな・・・実はお願いがあってやってきました」

オレ
「はい。何でしょう?」

美樹
「小林先生のところでトレーニングを受けているんですけど、私には潜在能力があると言われました。ただ、まだ目覚めていないだけだと・・・それで大宮司さまにお願いすればきっと目覚めさせてくれるだろうと小林先生はおっしゃいました。

大宮司さま。どうか私に力を下さい。お願いします」

オレ
「といきなり言われても・・・どうすればそんな事が出来るのか?オレにはわからないよ!一度小林先生と話し合って、そのあたりの事を詳しく聞いてみるよ」

美樹
「・・・はい。ただ、美香さんが居ない今、私が早く力をつけて川越藤原でがんばりたいと思うのです」

オレ
「ありがとう。でも異能の力がなくても美樹ちゃんは美樹ちゃんのできる範囲で頑張ってくれたらいいと思ってるよ」

美樹
「大宮司あさま。聞いていいですか?」

オレ
「どうぞ^^」

美樹
「藤原神社は川越藤原となり変わりました。15代藤原龍斉さまは初代龍斉さまとなり、川越藤原の宮司は、一般の神職の方がお勤めされてます。同様に美湖姫も廃止になるんでしょうか?」

オレ
「これまでのように、異能の才がなければ美湖姫になれない!というような形のものはもう止めようと思ってる」

美樹
「はい」

オレ
「急激な変化に反対があったり、戸惑いもあるかと思うけど、古い因習に縛られてこれからの若い連中が悩み苦しむのはバカバカしい。それは神道の理念にも反する。オレはそう思ってる」

ましてや継承問題や家同士の争いで死人まで出た。そしてオレは何度も命を狙われた。それもこれも元はと言えば古い因習のせいだ。それに深く関わった美樹の母親の自殺・・・オレはそれ以上は言わなかった。

美樹
「大宮司さまにお情けを頂いたらきっと目覚めるだろうと・・・」

オレ
「えっ?」

美樹
「純子さんもそうやって目覚めさせてもらったと言っておられました」

オレ
「それはちょっと違うんだけどなー」

美樹
「どうか私にもお願いします」

オレ
「あっいや・・・小林先生と相談してからだ」

美樹
「・・・はい。では失礼いたします」

美樹はオレに頭を下げてから部屋を静かに出て行った。きっと美樹は純子から連絡を受けてオレが帰る前に話をしたかったのだろう。それにしても・・・

オレは源と一緒に東京に戻った。


▼23時・・・白金台


赤坂に戻ろうと思っていたが、気が変わってキョーコの家に行ってもらった。そして源はそのまま赤坂に帰らせた。

門野までインターフォンを使った。キョーコはちょっと驚いたようだった。門の施錠が自動で解除されオレは通用口から入り玄関に向かった。玄関で暫く待った。庭の照明がほんのりと周囲の景色を浮かび上がらせている。ゆうぞうがもう少し大きくなったらここでも犬を飼おうとと思った。

玄関が開きオレは家の中に入った。

キョーコが笑顔で迎えてくれた。オレは軽くキョーコと抱擁を交わしてキスをした。居間に入った。間接照明とソウルフルなBGMでいいムードになっていた。

オレ
「子供らは、とっくに寝たか?」

キョーコ
「うん。裕子はさっきまで起きてたけど、ゆうぞうが泣いたからあの子が愛子ながら、眠っちゃったの」

オレ
「そっか」

オレはソファに座った。キョーコはビールの用意を持ってオレの隣に座った。オレはグラスを持ちキョーコはそれを注いだ。オレは軽く口をつけた。

オレ
「沙也乃の件では・・・迷惑をかけてしまったな」

キョーコ
「・・・」

オレ
「もう少し、気をつけていれば良かった」

キョーコ
「ユーイチ。怒ってよ!お前はオレの嫁なのに沙也乃とどうしてうまくやれなかった!って、怒ってよ!!!」

オレ
「誰もそんな事思ってないさ」

キョーコ
「ユーイチは昔はよく怒ったわ!そしてケンカもしょちゅうしてた」

オレ
「・・・」

キョーコ
「いつからか、ユーイチは物わかりがよくなって、何でも自分のせいだと思うようになった。嫌よ!そんなのっ!」

オレ
「別にそんな事ないさ」

キョーコ
「ユーイチの事は私が一番良く知ってる。だから沙也乃さんのアドバイスも素直に聞けなかった。沙也乃さんもユーイチの事をいつも心配していてくれたのに・・・居なくなちゃった。それなのに私はユーイチに知らん顔して・・・」

オレ
「なーキョーコ。」

キョーコ
「うわーーーん」

オレ
「あっ」

オレはキョーコを抱いた。そしてキョーコの背中を撫でてやった。色々いっぱい相談したい事や、言いたい事があったのだろう。オレはそれを聞いてやれなかった。

オレ
「沙也乃は桜井の女将として赤坂に居た。オレとは毎日のように顔を合わせていた。この家が気に入らないのなら、桜井にも部屋はあったし、また新しいマンションにでも引っ越せばいいだけの話だった。

沙也乃はオレから離れたかったんだ。だからサンタモニカに行った。オレの目の届かないところへ・・・

キョーコのせいなんかじゃないさ」

オレ
「この家、お手伝いさんに入ってもらおう。キョーコが動きやすくなれば、頻繁に赤坂にも来れるだろう?そうしよう」

キョーコ
「そんな・・・」

オレ
「ニューヨークでもパリでも当たり前だ(笑)お前が赤坂にくれば横山も喜ぶぞー!」

キョーコ
「・・・ユーイチは喜んでくれる?」

オレ
「あったり前じゃないか!^^」

キョーコ
「じゃーそうする」

オレはキョーコにキスをした。キョーコの舌を強く吸った。

キョーコ
「あーユーイチ。我侭言っていい?」

オレ
「んー何でも」

キョーコ
「今から露天風呂に入りに行きたい」

オレ
「えっ今から?裕子やゆうぞうは?」

キョーコ
「朝まで起きないわ」

オレ
「んーーーそうだ。ちょっと待て」

オレはテーブルの上にあった無線電話機をとり電話をした。源にこっちへ来てもらうことにした。

キョーコ
「ダメよユーイチ。源ちゃんに悪い。そんな事をしたら私、赤坂に行けなくなる」

オレ
「コレはオレの我侭だ。源はそんな事思うやつじゃない。心配ない^^」

源に留守番を頼みオレとキョーコは源が乗って来たベンツで赤坂の自宅に行った。そして一緒に露天風呂に入り、寝室でしっかりときついセックスをした。夜明け前にキョーコを白金台の自宅まで送って行き、入れ替わりに源を乗せてまた赤坂に戻った。

オレは久々に源や柳田とともに早朝の「木刀振り」を行った。ほぼ1ヶ月ぶりだった。気持ちのいい汗を流しシャワーを浴びて3人でいつもの朝食を摂った。

8時・・・

三浦
「おはようございます^^」

オレ
「ん?おはよー早いな?」

三浦
「ええ。(笑)」

三浦はオレの正面のソファに座った。源が三浦の珈琲を持って来た。

三浦
「あっ源ちゃんごめん」


「いいえ^^」

源はコーヒーポットも持って、オレのカップに新しいのを注いだ。オレは礼を言った。そして源は居間から出て行った。

三浦
「今日の午後の新幹線でしたよね?」

オレ
「ああ。ばたばたしっぱなしだ」

三浦
「よければ、源ちゃんと柳田さんを随身として連れて行ってもらえば安心だと松井さんが言ってました」

オレ
「ミナミに芦屋はオレのホームだ。心配ない」

三浦
「ええ、でも二人ともムーさんがここに居ないとヒマそうですし、この祭ですから芦屋藤原にも行ってよく向こうの事も知っておく方がいいと思います」

オレ
「ふむ。あいつらが退屈してるのなら・・・いいかもな?(笑)」

三浦
「その間は、私がここで連絡係をしますから・・・ゲストルーム使っていいですか?」

オレ
「うん。全然問題ない。でも・・・」

三浦
「何か?」

オレ
「男は連れ込まないように^^」

三浦
「はぁ?い^^」

オレ
「あらっ居るのか?」

三浦
「構ってくれないとそうなるかも知れません(笑)」

オレ
「ははは・・・」

オレは源と柳田と一緒に帰阪の用意をしてから、半蔵門の近くのビルに引っ越した「超・心理学研究所」へ顔をだした。

▼10時・・・「超・心理学研究所」

新しいオフィスはテナントビルの一室で大きなフロアだった。新しいスタッフも居た。オレは応接室に案内された。

小林
「新しい人間も増えて、まだ全然慣れてなくて(笑)」

オレ
「これからここも忙しくなりそうですね!」

ドアがノックされ女性職員が珈琲を持って来てくれた。オレは彼女に礼を言った。そしてフレッシュクリームだけを入れてスプーンを使った。

小林
「あっそうだ。芦屋藤原の開社、おめでとうございます」

オレ
「ははは^^ありがとうございます。とうとう始まってしまいました」

小林
「そうですね。これから続々と続きますし^^」

赤坂藤原、パリ藤原、そう次々と分社が出来る。多くの問題を抱えながら、そしてより多くの問題を発生させる事になるのがわかっていても、動き出した船は停まりそうになかった。

小林
「美香さんの件、お聞きになったと思いますが・・・非常にポテンシャルが高いという事がわかりました」

オレ
「しかしまだ目覚めてない!と」

小林
「はい。このままだと恐らく目覚めないまま終わってしまうでしょう」

オレ
「しかしそれは、藤原の女の宿命みたいなものでしょう?」

小林
「確かにそうかも知れません。しかしすでに藤原神社そのものが変わりつつあります。宿命を断ち切って、生まれ変わりたいと思う気持ちは止められません」

オレ
「・・・」

小林
「私からもお願いします。美樹さんを覚醒させてやって下さい」

オレ
「わかりました。でも、今回限りです」

小林
「ありがとうございます^^」

超・心理学研究所を提案し作ったのはオレだった。香や美香や純子。彼女達の安全を考えてその能力の使い方にも一定のルールを設けて、できるだけ目立たないようにするために必要だと考えた。同時にその才能故のテクニックである瞬間催眠などを研究し、習得させることにも役立った。そして今後は野放しになっている才能の持ち主などを探して、出来ればそれらにもルールを適用できるようにケアする事も目的とした。潜在的能力者への積極的な働きかけもそうだったのだが・・・物理的なセックスを要求されるとは思わなかった。だからあえて「今回だけ」と言う言い訳を自分の中でつくった。

▼15時・・・スカイマンション1110号室

オレ
「そことそこがゲストルームだからお前らはそこを使ってくれ!こっちはオレの部屋だ」

源&柳田
「はい^^」

彼らは自分たちの荷物を部屋に入れた。オレは自室に入った。そして電話を何本か入れた。そしてリビングに戻った。すでに源はキッチンへ入り珈琲の用意をしていた。

オレ
「あーそこのキッチン自由に使っていいからな」


「はい。ここが大阪の拠点なんですね^^」

柳田
「松井さんや横山さんの話によく出て来ますもんね!」

オレ
「こっちに来てみろ^^」

オレは南側の窓に近づき、ブラインドを開けた。源と柳田が声をもらした。

源・柳田
「おおー^^」

オレ
「摩天楼ほどじゃないが、夜はここから見るミナミの街の灯はなかなかだぞ!」


「いやー昼間でも絶景ですよ!」

柳田
「ムーさんは二十歳の頃からこの景色を見てたんでしょう?凄いなー」

オレ
「よく知ってるな(笑)すべてがここから始まったんだ」

そう。そしていつかここを訪ねてくるかも知れない女の為に、オレはここを手放せないでいる。いつか、いつかきっと逢えると信じて・・・

インターフォンが鳴った。源が対応した。


「オフィス零の下條さんと言う方がお見えです」

オレ
「オッケー通してくれ」


「はい」

源が玄関に出た。そして下條が入って来た。

オレ
「よう^^さっき帰って来た。こっちへどうぞ!」

オレは真ん中の大きなテーブルの前の椅子を勧めた。

オレ
「紹介しておくよ!うちの人間の源と柳田だ。」

下條
「初めまして、オフィス零の下條と申します。よろしくお願いします」


「みなもとと申します。こちらこそよろしくお願いします」

柳田
「柳田です。どうぞよろしくお願いします」

オレたちは席に着いた。源はキッチンへ行った。

オレ
「源と柳田も暫くこっちに居る事になった。芦屋藤原をちょっと見てもらおうと思ってな」

下條
「そうですか。皆さん背が高くて素敵な方ばかりで、吃驚しました^^」

柳田
「あはっ^^警備が専門ですからただデカイだけなんですけど、ありがとうございます」

下條
「警備ですか?」

柳田
「はい^^神社の人出が多い時なんかに、参拝客を誘導したりする警備です」

下條
「そうですか^^すごく重要なお仕事ですね」

源がそれぞれの珈琲を持って来た。下條は源に丁寧に礼を言った。オレは自分でフレッシュミルクだけを入れスプーンを使った。

オレ
「下條さんには芦屋藤原が開社の祭、フォトグラファーとして写真を撮ってもらった」


「そうでしたか!それはありがとうございました」

オレ
「普段は写真やビデオは源の担当だったんだけど、今回は東京と重なったからな」

下條
「ビデオも撮影なさるんですか!」


「はい。」

オレ
「源は大学の後輩だから、映像が専門なんだ」

下條
「もしかして・・・大阪芸大の映像学科ですか?」


「ははは・・・そうです^^」

源にしても柳田にしても下條という女性がオレとどんな関係かわかっていない以上、余計な事は一切言わなかった。そして源はオレの方をちらっと見た。オレは笑って下條にわからないように合図をした。


「ムーさんの直の後輩ですから、もっとも4年下なんでその当時は雲の上の存在でしたけど」

下條
「そうなんだ?ムトーさんも映像学科だったんだ?」

オレ
「あれ?言ってなかったかなー?もっとも4年で中退したけどな」

下條
「舞台芸術だったと聞いたわ?」


「それはニューヨーク大学の時の事ですよ」

下條
「ニューヨーク大学!?」

オレ
「ははは・・・酔ってたから間引いて話してこんがらがったんだな(笑)」


「ムーさんは、ニューヨーク大学、芸術学部、演劇学科、ただひとりの日本人として首席卒業したんですよ!^^」

下條
「そんな・・・ニューヨークでお鮨を握ってたって」

柳田
「オープンした最初の1週間だけだと聞いてます^^」

オレ
「アホっ!もっとやってたわい(笑)」

これ以上居ると何でもかんでもバレそうだったので、オレは源と柳田に先に車で芦屋藤原に入るように頼んだ。そして彼らは1110号室を出た。

オレ
「アキラ。そっちの仕事終わりでオレたちも芦屋へ行こう」

下條
「あの人たちと居たらもっと色んな事が聞けそうね」

オレ
「ん?聞きたい事があったらオレに直接聞けばいいじゃないか」

下條
「あなた何も本当の事言わないじゃない」

オレ
「ははは・・・一度に全部を説明する時間がなかっただけさ(笑)それにウソはついてないし」

下條
「じゃー今日はゆっくり聞かせてちょうだい!」

下條は怒ったような表情でオレを睨んだ。こいつは素面の時は怒ってばかりだなーと思った。そしてそれはある意味でオレにとっては気持ちのいい事だった。下條はまだ仕事中だと言って905号室に戻った。

オレは1110号室を出て、心斎橋の本屋へ行った。そして最近出版されたドイツやスウェーデンの資料になりそうな本を探してそれぞれ数冊づつ買った。そして向いの店喫茶「ハーフ」に入ろうとしたら・・・そこはもう喫茶店ではなくてアメリカンカジュアルショップに変わっていた。仕方なくあまり行った事のない北の方へ歩き、一番最初に目に留まった喫茶店に入った。そこで、買ったばかりの本を読み始めた。


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